JP2981665B1 - ゼンマイばね式巻き取り器 - Google Patents

Abstract

【要約】 【課題】 本発明は、非常に実用性に秀れ画期的なゼン
マイばね式巻き取り器を提供することを目的とする。 【解決手段】 ケース体１内にホースやコードやロープ
などの長尺物２を引き出し自在に巻き取り収納し得る巻
取回動体３と、この巻取回動体３を長尺物２を巻き取り
回動する方向に付勢するゼンマイばね構造体４とを備え
たゼンマイばね式巻き取り器において、前記巻取回動体
３をケース体１内に自転回動自在に設け、ゼンマイばね
構造体４をケース体１内に巻取回動体３の自転回動に伴
って自転回動しない状態で設けたものである。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、ゼンマイばね式巻
き取り器に関するものである。

【０００２】

【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来か
ら、ゼンマイばねの付勢力を利用して引き出したホース
やコードやロープなどの長尺物を自動的に器内に巻き取
るゼンマイばね式巻き取り器（以下、従来例という。）
が提案されている。

【０００３】この従来例は、長尺物を引き出すことによ
りゼンマイばね部材を巻き締め、手を放すとゼンマイば
ね部材の付勢力によりゼンマイばね部材が巻き戻されて
引き出された長尺物を自動的に器内に巻き取ることがで
きる構造のものである。

【０００４】具体的には、従来例は、ケース体内に長尺
物を引き出し自在に巻き取り収納し得る巻取回動体と、
この巻取回動体を長尺物を巻き取り回動する方向に付勢
するゼンマイばね構造体とを備えており、この巻取回動
体とゼンマイばね構造体とを一体に構成、即ち、従来例
は、ケース体の内面に軸着する主軸体を突設した回転体
の一部を長尺物を巻き取る巻取回動体とし、その他の部
分をゼンマイばね部材を巻回してゼンマイばね構造体と
して一体に構成している。

【０００５】ところで、ゼンマイばね構造体に係るゼン
マイばね部材は、使用を重ねるうちに、その自重により
均一な渦巻き状態から図４に図示した下方に片寄った渦
巻き状態となってしまうが、従来例は、前述のように巻
取回動体とゼンマイばね構造体とが一体に構成されてい
る故に、巻取回動体に巻き取り収納される長尺物を引き
出し或いは巻き取り収納する度に、ゼンマイばね構造体
が巻取回動体の自転回動と一緒に自転回動することとな
る為、ゼンマイばね部材が主軸体より一方に片寄った状
態のまま長尺物を出し入れすると、ゼンマイばね構造体
がゼンマイばね部材の自重により不規則な自転回動（偏
心輪のような自転回動）を起こしてしまい、よって、長
尺物の引き出し作動並びに巻き取り作動がスムーズに行
われず長尺物の動きが不規則となってしまう場合があっ
た。これは、例えば図４の時点に比して図５の時点では
巻き取る力が弱くなってしまうことを意味する。図４，
５中符号Ｓは従来例に係るゼンマイばね構造体の巻き取
り回動の向き，Ｐは片寄ったゼンマイばね部材の自重の
向きである。

【０００６】また、ケース体21内に配設されるゼンマイ
ばね部材24ａは、バラけてしまうのを防止するために予
め外周面にバンド体が巻回止着されているが、従来例に
係るケース体21内にこのゼンマイばね部材24ａを配設す
る際には、ゼンマイばね部材24ａの外周面側一端部をケ
ース体21の内面側から外面側へ直接引っ掛け係止する構
造のため（図６参照）、ケース体21内に配設する際に
は、ゼンマイばね部材24ａの外周面に巻回止着されたバ
ンド体は外さなければならない。

【０００７】従って、従来例は、ケース体21内にゼンマ
イばね部材24ａを配設する際には、ゼンマイばね部材24
ａを型から抜くように押し出してバンド体を外してケー
ス体21内に配設しているが、このケース体21内へのゼン
マイばね部材24ａの配設は非常に厄介であり、しかも、
万一、修理などでゼンマイばね部材24ａをケース体21か
ら外す場合には、慎重に作業を行わないとゼンマイばね
部材24ａがバラけてしまう場合があった。

【０００８】本発明は、上述の問題点を解決するゼンマ
イばね式巻き取り器を提供するものである。

【０００９】

【課題を解決するための手段】添付図面を参照して本発
明の要旨を説明する。

【００１０】ケース体１内にホースやコードやロープな
どの長尺物２を引き出し自在に巻き取り収納し得る巻取
回動体３と、この巻取回動体３を長尺物２を巻き取り回
動する方向に付勢するゼンマイばね構造体４とを備えた
ゼンマイばね式巻き取り器において、前記巻取回動体３
をケース体１内に自転回動自在に設け、ゼンマイばね構
造体４をケース体１内に巻取回動体３の自転回動に伴っ
て自転回動しない状態で設け、このゼンマイばね構造体
４に係るゼンマイばね部材４ａの外周面側一端部に止着
体13を設け、この止着体13を、ケース体１の内面と、前
記巻取回動体３とゼンマイばね構造体４との間に配設す
る仕切り部材８との間に架設状態に止着することで前記
ゼンマイばね部材４ａの外周面側一端部をケース体１の
内面に止着したことを特徴とするゼンマイばね式巻き取
り器に係るものである。

【００１１】

【発明の実施の形態】好適と考える本発明の実施の形態
（発明をどのように実施するか）を、図面に基づいてそ
の作用効果を示して簡単に説明する。

【００１２】本発明は、巻取回動体３に巻き取り収納さ
れている長尺物２をゼンマイばね構造体４の巻き取り付
勢に抗して引き出したり、或いは、引き出した長尺物２
をゼンマイばね構造体４の巻き取り付勢により巻き取り
収納したりすると、ゼンマイばね構造体４をケース１内
に巻取回動体３の自転回動に伴って自転回動しない状態
で設けたから、巻取回動体３はゼンマイばね構造体４に
影響を受ける事なく長尺物２の引き出し方向への自転回
動或いは長尺物２の巻き取り方向への自転回動が良好に
行われることとなる為、この長尺物２の引き出し作動並
びに巻き取り作動が極めてスムーズに行われることとな
る。

【００１３】従って、従来例は、巻取回動体とゼンマイ
ばね構造体とが一体に構成されている故に、巻取回動体
に巻き取り収納されるホースやコードやロープなどの長
尺物を引き出し或いは巻き取り収納する度にゼンマイば
ね構造体が巻取回動体の自転回動に伴って自転回動する
こととなる為、ゼンマイばね部材が主軸体より下方に片
寄った状態のまま長尺物を出し入れすると、ゼンマイば
ね部材の片寄ったゼンマイばね構造体が不規則な自転回
動（偏心輪のような自転回動）を起こしてしまい、よっ
て、長尺物の引き出し作動並びに巻き取り作動がスムー
ズに行われず長尺物の動きが不規則となってしまう場合
があるなどの問題点があったが、本発明によればそれら
問題点は確実に解消されることとなる。

【００１４】具体的には、本発明は、巻取回動体３をケ
ース体１内にて自転回動自在に設け、ゼンマイばね構造
体４をケース体１内にて巻取回動体３の自転回動に伴っ
て自転回動しない状態に設けることで、巻取回動体３に
巻き取られる長尺物２は、ゼンマイばね構造体４の状態
に関係なく、ケース体１内からの引き出し、或いは、巻
き取りが行われることになるから、長尺物２の引き出し
作動並びに巻き取り作動が極めてスムーズに行われるこ
とになり、特に従来から巻き取り作動時の問題点とされ
てきた巻き取り力の低下を確実に防止し得ることとな
る。

【００１５】また、ゼンマイばね部材４ａをケース体１
の内面に止着する手段として、ゼンマイばね部材４ａの
外周面側一端部に設けた止着体13を、ケース体１の内面
と、巻取回動体３とゼンマイばね構造体４との間に配設
する仕切り部材８との間に架設状態で止着する構造を採
用した為、例えばゼンマイばね部材４ａの外周面に巻回
されるバンド体を付けたままでもケース体１内に止着す
ることができるから、ケース体１内への配設作業が極め
て容易に行えることになるのは勿論、万一、修理時など
においてケース体１内からゼンマイ部材４ａを取り出そ
うとしても、ゼンマイばね部材４ａをバラすことなく良
好に作業が行えることとなる。

【００１６】

【実施例】本発明の具体的な実施例について図面に基づ
いて説明する。

【００１７】符号２は長尺物としてのロープ、１ａはケ
ース体１内からロープ２を出し入れし得る排出口部、１
ｂは本実施例に係る巻取器を吊り下げ固定するための吊
下用部、６は排出口部１ａよりロープ２の先端部を外出
状態に保持せしめる係止部材、７は被連結部材の係止環
に連結するフック部，14はゼンマイばね部材がバラけて
しまうのを防止するバンド体である。

【００１８】本実施例は、二枚合わせのケース体１内に
ホースやコードやロープなどの長尺物２を引き出し自在
に巻き取り収納し得る巻取回動体３と、この巻取回動体
３を長尺物２を巻き取り回動する方向に付勢するゼンマ
イばね構造体４とを備えたもので、前記巻取回動体３を
ケース体１内に自転回動自在に設け、ゼンマイばね構造
体４をケース１内に巻取回動体３の自転回動に伴って自
転回動しない状態で設けたものである。

【００１９】以下、本実施例の構成各部の詳細な説明を
する。

【００２０】巻取回動体３は、図１に図示したようにボ
ビン形状の本体３ａを設け、この本体３ａの軸芯中央部
に主軸体５をその両端部夫々が本体３ａの左右側面から
突出するように貫通状態で設けて構成したものである。
この主軸体５は、ケース体１の内面に両端部を軸着し得
るように構成している。従って、巻取回動体３はケース
体１内で自転回動自在に配設されることとなる。

【００２１】また、巻取回動体３は、ケース体１内に配
設する際には、長尺物としてのロープ２を巻き取り、当
該ロープ２をケース体１内に巻き取り収納している。

【００２２】ゼンマイばね構造体４は、図１に図示した
ようにゼンマイばね部材４ａの一端部４ａ'をケース体
１の内面に止着し且つ他端部４ａ"を前記巻取回動体３
から突設された主軸体５に止着して構成したもので、巻
取回動体３を常にロープ２を巻き取り回動する方向に付
勢するように構成している。

【００２３】ゼンマイばね部材４ａのケース体１内面へ
の止着は、ゼンマイばね部材４ａの一端部４ａ'の巾方
向に左右両端部が突出する状態で配される止着体13を設
け、この止着体13の左右両端部を、ケース体１の内面
と、前記巻取回動体３とゼンマイばね構造体４との間に
配設する仕切り部材８との間に架設状態に止着すること
で前記ゼンマイばね部材４ａの一端部４ａ'をケース体
１の内面に止着している。従って、ゼンマイばね構造体
４は、仕切り部材８を介して巻取回動体３に触れない状
態で配設され、ゼンマイばね構造体４はケース体１内で
前記巻取回動体３の自転回動に伴って自転回動しない状
態で配設されることとなり、しかも、ゼンマイばね部材
４ａの外周面に巻回されるバンド体14を装着したままで
もケース体１内に止着することができることとなる。

【００２４】また、本実施例では、巻取回動体３に巻き
取り収納されるロープ２の引き出しを阻止するロック機
構９を設けている。

【００２５】このロック機構９は、ロープ２の引き出し
作動により所定速度以上若しくは所定加速度以上で巻取
回動体３が回転することによって、係止爪10に遠心力若
しくは慣性力が働き、係止爪10が弾性体（スプリング）
11に抗して外方へ回動すると、いずれかの係止爪10が巻
取回動体３に連設した円形内縁板12の係止部12ａに係止
し、巻取回動体３の回動を阻止する構造のものである。

【００２６】本実施例は上述のように構成したから、巻
取回動体３に巻き取り収納されている長尺物２をゼンマ
イばね構造体４の巻き取り付勢に抗して引き出したり、
或いは、引き出した長尺物２をゼンマイばね構造体４の
巻き取り付勢により巻き取り収納したりする。この際、
ゼンマイばね構造体４をケース１内に巻取回動体３の自
転回動に伴って自転回動しない状態で設けたから、巻取
回動体３はゼンマイばね構造体４に影響を受ける事なく
長尺物２の引き出し方向への自転回動或いは長尺物２の
巻き取り方向への自転回動が良好に行われることとなる
為、この長尺物２の引き出し作動並びに巻き取り作動が
極めてスムーズに行われることとなる。従って、従来例
は、巻取回動体とゼンマイばね構造体とが一体に構成さ
れている故に、巻取回動体に巻き取り収納されるホース
やコードやロープなどの長尺物を引き出し或いは巻き取
り収納する度にゼンマイばね構造体が巻取回動体の自転
回動に伴って自転回動することとなる為、ゼンマイばね
部材が主軸体より下方に片寄った状態のまま長尺物を出
し入れすると、ゼンマイばね部材の片寄ったゼンマイば
ね構造体が不規則な自転回動（偏心輪のような自転回
動）を起こしてしまい、よって、長尺物の引き出し作動
並びに巻き取り作動がスムーズに行われず長尺物の動き
が不規則となってしまう場合があるなどの問題点があっ
たが、本実施例によれば、巻取回動体３をケース体１内
にて自転回動自在に設け、ゼンマイばね構造体４をケー
ス体１内にて巻取回動体３の自転回動に伴って自転回動
しない状態に設けることで、巻取回動体３に巻き取られ
る長尺物２は、ゼンマイばね構造体４の状態（ゼンマイ
ばね部材４ａが片寄った渦巻き状態）に関係なく、ケー
ス体１内からの引き出し、或いは、巻き取りが行われる
こととなるから、長尺物２の引き出し作動並びに巻き取
り作動が極めてスムーズに行われることとなり、特に従
来から巻き取り作動時の問題点とされてきた巻き取り力
の低下を確実に防止し得ることとなる。

【００２７】また、本実施例は、ゼンマイばね部材４ａ
をケース体１の内面に止着する手段として、ゼンマイば
ね部材４ａの外周面側一端部に設けた止着体13を、ゼン
マイばね部材４ａの外周面側一端部に設けた止着体13の
左右両端部をケース体１の内面と、巻取回動体３とゼン
マイばね構造体４との間に配設する仕切り部材８との間
に架設状態に止着する構造を採用した為、例えばゼンマ
イばね部材４ａの外周に巻回されるバンド体14を装着し
たままでもケース体１内に止着することができるから、
ケース体１内への配設作業が極めて容易に行えることに
なるのは勿論、万一、修理時などにおいてケース体１内
からゼンマイ部材４ａを取り出そうとしても、常にゼン
マイばね部材４ａの外周面にバンド体14が巻回されてい
ることとなる為、ゼンマイばね部材４ａをバラすことな
く良好に作業が行えることとなる。

【００２８】尚、本発明は本実施例に開示される上述の
構造だけに限らず、巻取回動体３，ゼンマイばね構造体
４及びロック機構９などの基本構成は適宜設計しても良
いのは勿論である。

【００２９】

【発明の効果】本発明は上述のように構成したから、巻
取回動体をケース体内にて自転回動自在に設け、ゼンマ
イばね構造体をケース体内にて巻取回動体の自転回動に
伴って自転回動しない状態に設けることで、巻取回動体
に巻き取られる長尺物は、ゼンマイばね構造体の状態に
関係なく、ケース体内からの引き出し、或いは、巻き取
りが行われることとなるから、長尺物の引き出し作動並
びに巻き取り作動が極めてスムーズに行われることとな
り、また、ゼンマイばね部材をケース体の内面に止着す
る手段として、ゼンマイばね部材の外周面側一端部に設
けた止着体を、ケース体の内面と、巻取回動体とゼンマ
イばね構造体との間に配設する仕切り部材との間に架設
状態で止着する構造を採用した為、例えばゼンマイばね
部材の外周面に巻回されるバンド体を付けたままでもケ
ース体内に止着することができるから、ケース体内への
配設作業が極めて容易に行えることになるのは勿論、万
一、修理時などにおいてケース体内からゼンマイ部材を
取り出そうとしても、ゼンマイばね部材をバラすことな
く良好に作業が行えることとなるなど非常に実用性に秀
れ画期的なゼンマイばね式巻き取り器となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本実施例の側断面図である。

【図２】本実施例に係る要部を説明する正断面図であ
る。

【図３】本実施例に係るゼンマイばね構造体の説明図で
ある。

【図４】ゼンマイばね部材の説明図である。

【図５】ゼンマイばね部材の説明図である。

【図６】従来例に係る要部の説明図である。

【符号の説明】

１ ケース体 ２ 長尺物 ３ 巻取回動体 ４ ゼンマイばね構造体 ４ａ ゼンマイばね部材８ 仕切り部材 13 止着体

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) B65H 75/00 - 75/50 F16F 1/10

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ケース体内にホースやコードやロープな
   どの長尺物を引き出し自在に巻き取り収納し得る巻取回
   動体と、この巻取回動体を長尺物を巻き取り回動する方
   向に付勢するゼンマイばね構造体とを備えたゼンマイば
   ね式巻き取り器において、前記巻取回動体をケース体内
   に自転回動自在に設け、ゼンマイばね構造体をケース体
   内に巻取回動体の自転回動に伴って自転回動しない状態
   で設け、このゼンマイばね構造体に係るゼンマイばね部
   材の外周面側一端部に止着体を設け、この止着体を、ケ
   ース体の内面と、前記巻取回動体とゼンマイばね構造体
   との間に配設する仕切り部材との間に架設状態に止着す
   ることで前記ゼンマイばね部材の外周面側一端部をケー
   ス体の内面に止着したことを特徴とするゼンマイばね式
   巻き取り器。