JP3625912B2 - ケイ素含有共重合ポリマー及びその製造方法 - Google Patents
ケイ素含有共重合ポリマー及びその製造方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は新規なケイ素含有共重合ポリマー及びその製造方法に関し、この共重合ポリマーは耐熱コーティング、耐熱電線用被膜等の耐熱性が要求される部位に広く利用できるものである。
【0002】
【従来の技術】
耐熱性高分子に関しては、Rochoらによりシリコーンが合成されて以来、フッ素系材料、ポリイミドベンダゾール、芳香族ポリアミド、ポリイミド等の芳香族・複素環高分子が研究されてきている。更に近年、宇宙・航空分野の発達に伴ない耐熱性の要求が高まり、芳香族・複素環系高分子において研究の進展が見られ、芳香族ポリイミドの改良が進められている。またこの他に、ポリボロシロキサン、ポリチタノシロキサンのように主鎖がSi、Ti、Bなどの金属元素とO、Nなどからなる有機金属ポリマーが研究されている。
【0003】
近年さまざまな耐熱・絶縁材料分野で、耐熱性の向上が望まれている。例えば、最も代表的用途として、発電機、高圧交流モータ、産業用直流モータ、電車モータ等の回転機分野が挙げられ、これらの高圧回転機に属するものは大容量化、高圧化への傾向があり、小形化、高耐熱性が要求される。しかも、これらの分野における耐熱性の要求特性は、大気中400℃を超えるものもある。更に、この他に耐熱性とともに絶縁性、可撓性、機械的特性等も必要とされる。ところが、現在の耐熱性高分子のうち有機ポリマーに関しては、実用化されている耐熱温度は300℃以下である。
【0004】
一方、シリコーン樹脂、ポリボロシロキサン樹脂等の有機金属ポリマーは、ポリマーの熱安定性が高いこともあり、500℃以上の高い耐熱性を有する。ところが、有機高分子は分子構造が分岐の少ない線状構造であるのに対し、有機金属ポリマーは分岐の多い網目構造を有しており、OH基同士の脱水素縮合反応あるいは酸化反応により、巨大な三次元網目構造が形成され、その結果可撓性に乏しく、回転機の分野では使用できなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、このような有機金属ポリマーの欠点を解決するために、有機樹脂と無機材料との複合化等が試みられており、例えば無機ポリシラザン部分と有機ポリシラザン部分とからなるブロック共重合シラザンが提案されている(例えば特開平2−175726号公報)。ところが、このような複合化ポリマーも例えば機械的特性が不充分であるとかいう点があって、未だ満足されるものではなかった。
【0006】
従って、本発明の目的は、上記の課題を解決した、即ち、400℃以上の耐熱性を有し、しかも機械的強度及び可撓性に優れた有機金属ポリマー及びその製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、鋭意検討を重ねた結果、ポリマー中にC=C結合の導入、二官能基の導入及びSi結合の導入を図ったところ、結合エネルギーの増大化、ポリマーの直鎖化の進行及び酸化安定性の向上が達成され、本発明に到達した。
【0008】
即ち、本発明によれば、第一に、数平均分子量が500〜100,000であり、少なくとも下記一般式(I)から(III)で表わされる構造単位を含むことを特徴とするケイ素含有共重合ポリマーが提供される。
【化1】
【化2】
【化3】
〔上式中、R1、R2、R4、R5、R6及びR7は、それぞれ独立にアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルキルアミノ基又はアルキルシリル基であり、R3及びR8はそれぞれ独立に二価の芳香族基である。
また、構造単位(I)から(III)はランダムであり、それぞれのモル比p、q及びrは以下の関係をとる。
p/q=0.01〜99
p/r=0.01〜99 〕
第二に、前記二価の芳香族基がアラルキレン基、ナフチレン基又は下記一般式(A)で表わされる基であることを特徴とする前記第一のケイ素含有共重合体が提供される。
【化4】
〔式中、R10はハロゲン原子又は低級アルキル基、aは0〜4の整数、Zは直接結合してるか又は下記一般式(B)で表わされる基である。
【化5】
(式中、R11はハロゲン原子又は低級アルキル基、bは0〜4の整数、Yは直接結合しているか又は二価の基である。)〕
第三に、任意に付加的に下記一般式(IV)又は(V)で表わされる構造単位を含むことを特徴とする前記第一のケイ素含有共重合体が提供される。
【化6】
【化7】
〔上式中、R9はアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基又はアルキルシリル基であり、R3は前記と同様である。
また、構造単位(I)から(V)はランダムであり、それぞれのモル比p、q、r、m及びnは、以下の関係をとる。
(m+n)/(p+q)=0.01〜99
(m+p)/(n+q)=0.01〜99
r/(m+n+p+q)=0.01〜99 〕
【0009】
また、本発明によれば、第四に、下記一般式(VI)で表わされるオルガノジハロシランと下記一般式(VII)で表わされるジシリル化合物とを含む混合物と、下記一般式(VIII)で表わされるジアミンとアンモニアを反応させる(ジアミンとアンモニアの順番はどちらが先でも良い)ことからなる、前記第一のケイ素含有共重合ポリマーの製造方法が提供される。
【化8】
(式中、R1、R2は前記と同様、Xはハロゲン元素である。)
【化9】
(式中、R4、R5、R6、R7及びR8は前記と同様、Xはハロゲン元素である。)
【化10】
NH2−R3−NH2 (VIII)
(式中、R3は前記と同様である。)
第五に、前記混合物が更に下記一般式(IX)で表わされるオルガノヒドロジハロシランを含み、それゆえ前記第三のケイ素含有共重合ポリマーを形成することを特徴とする前記第四の製造方法が提供される。
【化11】
(式中、R9はアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルキルアミノ基又はアルキルシリル基である。)
第六に、反応の第一段階において、下記一般式(VI)で表わされるオルガノジハロシランと、下記一般式(VIII)で表わされるジアミンとアンモニアを反応させ(ジアミンとアンモニアの順番はどちらが先でも良い)オリゴマーを得、反応の第二段階において上記のオリゴマーと下記一般式(VII)で表わされるジシリル化合物とを反応させることからなる前記第一のケイ素含有共重合ポリマーの製造方法が提供される。
【化8】
(式中、R1、R2は前記と同様、Xはハロゲン元素である。)
【化9】
(式中、R4、R5、R6、R7及びR8は前記と同様、Xはハロゲン元素である。)
【化10】
NH2−R3−NH2 (VIII)
(式中、R3は前記と同様である。)
第七に、前記オルガノハロシランが更に下記一般式(IX)で表わされるオルガノヒドロハロシランを含み、それゆえ前記第三のケイ素含有共重合ポリマーを形成することを特徴とする前記第六の製造方法が提供される。
【化11】
(式中、R9はアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルキルアミノ基又はアルキルシリル基であり、Xはハロゲン元素である。)
【0010】
なお、本発明によれば、好ましい態様として下記のポリマー及びポリマーの製造方法が提供される。
▲1▼ 前記一般式(I)〜(V)において、R1〜R2及びR4〜R7がメチル基又はフェニル基である前記のケイ素含有共重合ポリマー。
▲2▼ 前記一般式(VI)、(VII)及び(IX)において、R1〜R2、R4〜R7及びR9がメチル基又はフェニル基である前記のケイ素含有共重合ポリマーの製造方法。
▲3▼ 前記一般式(II)(III)及び(V)において、R3及びR8がアリーレン基である前記のケイ素含有共重合ポリマー。
▲4▼ 前記一般式(VII)及び(VIII)において、R3及びR8がアリーレン基である前記のケイ素含有共重合ポリマーの製造方法。
▲5▼ 前記一般式(VI)、(VII)及び(IX)において、XがCl原子である前記のケイ素含有共重合ポリマーの製造方法。
▲6▼ 前記のケイ素含有共重合ポリマーから得られるフィルム又はコーティング等の成型体。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について具体的に詳しく説明する。
本発明のケイ素含有共重合ポリマーは前記一般式(I)〜(III)、場合により(I)〜(V)で表わされる構造単位を有し、数平均分子量が500〜100,000の範囲にあることを特徴とする。即ち、本発明の共重合ポリマーは、特に前記一般式(II)及び(III)場合により更に(V)で表わされる構造単位を有することから、C=C結合により結合エネルギーが上昇し、また二官能基(R3、R8)の導入によってポリマーの直鎖化が進行し、もちろんSi結合によって酸化安定性が高いので、400℃以上の耐熱性を有する上に、可撓性を併せ持ち、しかも機械的強度が高いものとなる。
【0012】
なお、ハロシランと二官能アミンを反応して得られるポリマーについては、Plast und Kautshuk 33. Jahrgng Heft 6/1986に記載されているが、構造的には本発明の共重合ポリマーと構造を異にするものであり、しかもその耐熱性については記述がない。また、シラザン結合を含む耐熱塗料については、Journal of Paint Technology Vol. 42,No.543,April 1970に記載があるが、構造的に本発明の共重合ポリマーと全く異なったものであり耐熱性も低い。
【0013】
本発明のケイ素含有共重合ポリマーは、前記のように一般式(I)〜(III)、場合により(I)〜(V)で表わされる構造単位を有し、特に前記一般式(II)及び(III)、場合により更に(V)で表わされる構造単位を有し、C=C結合を持っている点に特徴がある。なお、一般式(I)〜(III)又は(I)〜(V)の各構成単位の結合順序はランダムであり、また各構成要素の比p、q、r又はm、n、p、q、rは下記の範囲を取り得る。
p/q=0.01〜99
p/r=0.01〜99
又は、
(m+n)/(p+q)=0.01〜99
(m+p)/(n+q)=0.01〜99
r/(m+n+p+q)=0.01〜99
【0014】
次に、本発明のケイ素含有共重合ポリマーの製造方法について説明する。
本発明の製造方法の1つは、前記一般式(VI)で表わされるオルガノジハロシランと前記一般式(VII)で表わされるジシリル化合物とを含む混合物に、前記一般式(VIII)で表わされるジアミン及びアンモニアを反応させる(ジアミンとアンモニアの順番はどちらが先でも良い)ことによって、目的とする本発明のケイ素含有共重合ポリマーを得ることを特徴とする。
【0015】
即ち、本発明においては、出発原料としてオルガノジハロシランとジシリル化合物との混合物が使用されるが、オルガノジハロシランは、次の一般式(VI)で表わされるものである。
【化8】
(式中、R1及びR2はそれぞれ独立にアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルアミノ基、アラルキル基若しくはアルキルシリル基である。)
【0016】
上記一般式(VI)において、R1及びR2としては、通常炭素数が1〜7、好ましくは1〜5、更に好ましくは1〜2のアルキル基、2〜7のアルケニル基、5〜7のシクロアルキル基、アリール基が一般的であり、Xとしては通常フッ素、塩素、臭素及びヨウ素原子、好ましくは塩素原子が使用される。アリール基としてはフェニル基、トリル基、キシリル基、クメニル基、ベンジル基、フェネチル基、α−メチルベンジル基、ベンズヒドリル基、トリチル基、スチリル基、シンナミル基、ビフェニル基、ナフチル基等を使用することができる。アルキルシリル基(モノ、ジ、トリー置換体)、アルキルアミノ基(モノ、ジー置換体)、アルコキシ基としては、通常、炭素原子を1〜7個有するものが使用される。なお、R1とR2は同一であっても良いし、それぞれ異なっていてもよい。
また、Xとしては、Cl原子が好ましい。特に上記一般式(VI)で表わされる化合物としては、ジフェニルジクロロシランが好ましい。
【0017】
一方のジシリル化合物は、次の一般式(VII)で表わされるものである。
【化9】
[上式中、R4〜R7はそれぞれ独立にアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルアミノ基、アラルキル基若しくはアルキルシリル基を表わし、Xは一般式(VI)の場合と同一のものを表わし、またR8は独立に二価の芳香族基を表わす。なお、R8の芳香族基は、アラルキレン基、ナフチレン基又は前記一般式(A)で表わされる基であることが好ましく具体的には、アルキレン基、アルケニレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、アルキルイミノ基若しくはアルキルシリレン基が挙げられ、更にR8のうち少なくとも1つはアリーレン基であることが好ましい。]
【0018】
なお、一般式(VII)において、R8としてはアリーレン基が好ましく用いられる。アリーレン基としては、フェニレン基、トリレン基、キシリレン基、ベンジリデン基、フェネチリデン基、α−メチルベンジリデン基、シンナミリデン基、ナフチレン基等を使用することができる。
一般式(VII)で表わされる化合物として、具体的には1,4−ビス(ジメチルクロロシリル)ベンゼン等が好ましい。
【0019】
本発明方法においては、上記のオルガノジハロシラン類とジシリル化合物との混合物に、一般式(VIII)NH2−R3−NH2で表わされるジアミン及びアンモニアと反応させる。一般式(VIII)におけるR3は、前記一般式(VII)におけるR8と同様に二価の芳香族基を表わし、好ましくは、アルキレン基、アルケニレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、アルキルイミノ基若しくはアルキルシリレン基であり、特にアリーレン基が好ましい。ジアミンの具体例としては、表1に示すものが挙げられる。これらの中でも、特にパラ−フェニレンジアミン(p−PDA)、メタ−フェニレンジアミン(m−PDA)、4,4′−ジフェニルジアミノエーテル(オキシジアニリン、ODA)が好ましい。
【0020】
【表1】
【0021】
また、反応溶媒としては、ルイス塩基及び非反応性溶媒単独あるいは混合物のいずれを使用してもよい。この場合、ルイス塩基としては、例えば3級アミン類(トリメチルアミン、ジメチルエチルアミン、ジエチルメチルアミン、及びトリエチルアミン等のトルアルキルアミン、ピリジン、ピコリン、ジメチルアリニン及びこれらの誘導体)、立体障害性の基を有する2級アミン類、フォスフィン、スチピン、アルシン及びこれらの誘導体等(例えばトリメチルフォスフィン、ジメチルエチルフォスフィン、メチルジエチルフォスフィン、トリエチルフォスフィン、トリメチルアルシン、トリメチルスチピン、トリメチルアミン、トリエチルアミン等)を挙げることができる。中でも、低沸点でアンモニアより塩基性の小さい塩基(例えばピリジン、ピコリン、トリメチルフォスフィン、ジメチルエチルフォスフィン、メチルジエチルフォスフィン、トリエチルフォスフィン)が好ましく、特にピリジン及びピコリンが取扱上及び経済上から好ましい。
【0022】
また、非反応性溶媒としては、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素の炭化水素溶媒;ハロゲン化メタン、ハロゲン化エタン、ハロゲン化ベンゼン等のハロゲン化炭化水素;脂肪族エーテル、脂環式エーテル等のエーテル類が使用できる。これらの中でも好ましいのは、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、ブロモホルム、塩化エチレン、塩化エチリデン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン等のハロゲン化炭化水素、エチルエーテル、イソプロピルエーテル、エチルブチルエーテル、ブチルエーテル、1,2−ジオキシエタン、ジオキサン、ジメチルジオキサン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等のエーテル類、ペンタン、ヘキサン、イソヘキサン、メチルペンタン、ヘプタン、イソヘプタン、オクタン、イソオクタン、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、N−メチル−2−ピロリドン、ジグライム等の炭化水素である。これらの溶媒のうち、安全性などの点から、ジクロロメタン、キシレン及びN−メチル−2−ピロリドンが好ましい。
【0023】
本発明方法では、最初に前記一般式(VI)で表わされるオルガノジハロシランと一般式(VII)で表わされるジシリル化合物とを有機溶媒中で混合し、続いてそれに前記一般式(VIII)で表わされるジアミンを反応させるが、オルガノジハロシランとジシリル化合物との混合割合は、モル比で1:99〜99:1の範囲内であればよく、好ましくは90:10〜10:90であり、更に好ましくは80:20〜40:60である。また、上記両ジハロケイ素化合物とジアミンとの使用割合は、モル比で90:10〜10:90の範囲であればよいが、好ましくは87.5:12.5〜25:75であり、更に好ましくは87.5:12.5〜40:60である。また、アミン変性量としては、両ジハロケイ素化合物の理論反応量の25〜75mol%とするのが好ましい。
溶媒中のジハロケイ素化合物の濃度は任意に選択することができるが、5〜25重量%の範囲とするのがよい。温度は反応系が液体となる範囲(典型的には−40〜300℃)ならいずれでもよい。また、圧力は一般的には常圧〜加圧下であるが、窒素加圧下がよい。
【0024】
前記ジハロケイ素化合物とジアミンとの反応を実施した後、アンモニアを加えてアミノリシス反応を実施する。(もちろん、前述したようにジアミンとの反応及びアミノリシス反応の順序は任意である。)この場合の反応溶媒、反応温度等の条件は、前段のジアミンとの場合と同じである。アンモニアの添加量は、先に反応させたジアミンの量により決まる。即ち、ジハロケイ素化合物のアンモノリシスに必要な理論量をXモル、添加したジアミン量をYモルとすると、(X−Y)モルがアンモニアの必要量となる。但し、アンモニアは過剰になっても構わない。圧力は一般的に常圧下から加圧下であるが、窒素加圧下が好ましい。
本反応においてHClが生成するが、これはトリエチルアミンあるいはアンモニア等の塩基で塩を作り、目的物質と分離することができる。
このようにして製造された共重合シラザンと副生塩化アンモニウムを濾別し、この濾液を減圧下で溶媒を除去し、共重合シラザンが得られる。
【0025】
本発明の製造方法の別の1つは、前記一般式(IX)で表わされるオルガノヒドロジハロシランと前記一般式(VI)で表わされるオルガノジハロシランとを、有機溶媒中で前記一般式(VIII)で表わされるジアミン及びアンモニアと反応させて共重合シラザンを得、更に得られた共重合シラザンを前記一般式(VII)で表わされるジシリル化合物と反応させることによって、目的とする本発明のケイ素含有共重合ポリマーを得ることを特徴とする。
【0026】
なお、本製造方法においては、前記一般式(IX)で表わされるオルガノヒドロジハロシランは任意成分であり、使用しなくても差しつかえない。また、前記したオルガノジハロシランとジシリル化合物との混合物を出発原料とする製造方法においては、上記オルガノヒドロジハロシランの使用については触れられていないが、該方法の出発原料混合物中にオルガノヒドロジハロシランを添加使用することはもちろん可能である。
【0027】
本発明において出発原料として用いられるオルガノ(ヒドロ)ジハロシランは、次の一般式(IX)及び(VII)で表わされるものである。
【化11】
【化8】
(式中、R1及びR2はそれぞれ独立にアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルアミノ基、アラルキル基若しくはアルキルシリル基である。)
【0028】
上記一般式(IX)及び(VI)において、R1及びR2としては、通常炭素数が1〜7、好ましくは1〜5、更に好ましくは1〜2のアルキル基、2〜7のアルケニル基、5〜7のシクロアルキル基、アリール基が一般的であり、Xとしては通常フッ素、塩素、臭素及びヨウ素原子、好ましくは塩素原子が使用される。アリール基としてはフェニル基、トリル基、キシリル基、クメニル基、ベンジル基、フェネチル基、α−メチルベンジル基、ベンズヒドリル基、トリチル基、スチリル基、シンナミル基、ビフェニル基、ナフチル基等を使用することができる。アルキルシリル基(モノ、ジ、トリー置換体)、アルキルアミノ基(モノ、ジー置換体)、アルコキシ基としては、通常、炭素原子を1〜7個有するものが使用される。なお、R1とR2は同一であっても良いし、それぞれ異なっていてもよい。また、Xとしては、Cl原子が好ましい。特に上記一般式(IX)で表わされる化合物としてはメチルジクロロシランが好ましく、また上記一般式(VI)で表わされる化合物としてはジフェニルジクロロシランが好ましい。
【0029】
本発明方法においては、上記のオルガノジハロシラン類を、一般式(VIII)NH2−R3−NH2で表わされるジアミン及びアンモニアと反応させる。一般式(VIII)におけるR3は二価の芳香族基を表わし、好ましくはアルキレン基、アルケニレン基、シクロアルキレン基、アルキルイミノ基若しくはアルキルシリレン基であり、特にアリーレン基が好ましい。ジアミンの具体例としては、前記した表1に示すものが挙げられる。これらの中でも、特にパラ−フェニレンジアミン(p−PDA)、メタ−フェニレンジアミン(m−PDA)、4,4′−ジフェニルジアミノエーテル(オキシジアニリン、ODA)が好ましい。
【0030】
また、反応溶媒としては、ルイス塩基及び非反応性溶媒単独あるいは混合物のいずれを使用してもよい。この場合、ルイス塩基としては、例えば3級アミン類(トリメチルアミン、ジメチルエチルアミン、ジエチルメチルアミン、及びトリエチルアミン等のトルアルキルアミン、ピリジン、ピコリン、ジメチルアリニン及びこれらの誘導体)、立体障害性の基を有する2級アミン類、フォスフィン、スチピン、アルシン及びこれらの誘導体等(例えばトリメチルフォスフィン、ジメチルエチルフォスフィン、メチルジエチルフォスフィン、トリエチルフォスフィン、トリメチルアルシン、トリメチルスチピン、トリメチルアミン、トリエチルアミン等)を挙げることができる。中でも、低沸点でアンモニアより塩基性の小さい塩基(例えばピリジン、ピコリン、トリメチルフォスフィン、ジメチルエチルフォスフィン、メチルジエチルフォスフィン、トリエチルフォスフィン)が好ましく、特にピリジン及びピコリンが取扱上及び経済上から好ましい。
【0031】
また、非反応性溶媒としては、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素の炭化水素溶媒;ハロゲン化メタン、ハロゲン化エタン、ハロゲン化ベンゼン等のハロゲン化炭化水素;脂肪族エーテル、脂環式エーテル等のエーテル類が使用できる。これらの中でも好ましいのは、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、ブロモホルム、塩化エチレン、塩化エチリデン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン等のハロゲン化炭化水素、エチルエーテル、イソプロピルエーテル、エチルブチルエーテル、ブチルエーテル、1,2−ジオキシエタン、ジオキサン、ジメチルジオキサン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等のエーテル類、ペンタン、ヘキサン、イソヘキサン、メチルペンタン、ヘプタン、イソヘプタン、オクタン、イソオクタン、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の炭化水素である。これらの溶媒のうち、安全性などの点から、ジクロロメタンやピリジンが好ましく、特にピリジン/ジクロロメタン混合溶媒が好ましい。
【0032】
本方法では、最初に前記一般式(IX)で表わされるオルガノヒドロジハロシランと一般式(VI)で表わされるオルガノジハロシランとを有機溶媒中で反応させ、続いてそれに前記一般式(VIII)で表わされるジアミンを反応させるが、オルガノヒドロジハロシランとオルガノジハロシランとの混合割合は、モル比で0:100〜99:1の範囲内であればよく、好ましくは10:90〜90:10である。また、上記両ジハロシランとジアミンとの使用割合は、モル比で1:99〜99:1の範囲であればよいが、好ましくは50:50〜90:10である。また、アミン変性量としては、両ジハロシランの理論反応量の10〜50mol%とするのが好ましい。
溶媒中のジハロシランの濃度は任意に選択することができるが、1〜20重量%の範囲とするのがよい。温度は反応系が液体となる範囲(典型的には−40〜160℃)ならいずれでもよい。また、圧力は一般的には常圧〜加圧下であるが、窒素加圧下がよい。
【0033】
前記ジハロシランとジアミンとの反応を実施した後、アンモニアを加えてアミノリシス反応を実施する。(もちろん、ジアミンとの反応及びアミノリシス反応の順序は任意である。)この場合の反応溶媒、反応温度等の条件は、前段のジアミンとの場合と同じである。アンモニアの添加量は、先に反応させたジアミンの量により決まる。即ち、ジハロシランのアンモノリシスに必要な理論量をXモル、添加したジアミン量をYモルとすると、(X−Y)モルがアンモニアの必要量となる。但し、アンモニアは過剰になっても構わない。
このようにして製造されたシラザンオリゴマー(共重合シラザン)と副生塩化アンモニウムを濾別し、シラザンオリゴマーが得られる。
【0034】
次に、以上のようにして得られたシラザンオリゴマーと、下記一般式(VII)
【化9】
で表わされるジシリル化合物とを、ルイス塩基あるいは非反応性溶媒中で反応させることによって、目的とするケイ素含有共重合ポリマーが得られる。
一般式(VII)において、Xはフッ素、塩基、臭素及びヨウ素各原子が一般的であるが、好ましくは塩素原子が用いられる。R4〜R7はそれぞれ同一の基であってもあるいは異なった基であっても良い。R4〜R7はアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルキルアミノ基又はアルキルシリル基である。R8は二価の芳香族基であって、アラルキレン基、ナフチレン基又は前記一般式(A)で表わされる基であることが好ましく、具体的にはアルキレン基、アルケニレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、アルキルイミノ基又はアルキルシリレン基が挙げられ、特に好ましくはアリーレン基が用いられる。アリーレン基としては、フェニレン基、トリレン基、キシリレン基、ベンジリデン基、フェネチリデン基、α−メチルベンジリデン基、シンナミリデン基、ナフチレン基等を使用することができる。
一般式(VII)で表わされる化合物として、具体的には1,4−ビス(ジメチルクロロシリル)ベンゼン等が好ましい。
【0035】
前記シラザンオリゴマーと一般式(VII)で表わされるジシリル化合物との反応に当っては、ジシリル化合物の反応量はシラザンオリゴマーとの重量比で1:99〜99:1の範囲であり、好ましくは10:90〜90:10である。反応温度は0℃から300℃であり、好ましくは20℃から200℃の範囲である。
【0036】
本発明の方法によると、前記一般式(I)〜(III)、場合により(I)〜(V)で表わされる構造単位を有し、数平均分子量が500〜100,000の範囲にある新規なケイ素含有共重合ポリマーが容易に得られる。なお、このポリマーは脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素の炭化水素溶媒、ハロゲン化炭化水素、エーテル類、アルコール、エステル、ケトン等の一般的有機溶媒に可溶である。
【0037】
また、本発明方法によって得られた共重合ポリマーは、高い耐熱性と、優れた機械的強度を持つ成形体にすることができる。例えば、共重合体を金属線の表面に適用し大気中250℃から400℃で、0.05から2.0時間焼成すると、高温に耐え、優れた機械的特性と可撓性を備えたフィルムが得られる。更に、窒素、アルゴン等の不活性雰囲気中で400℃から550℃で、0.1から2時間焼成すると、更に耐熱性の向上したフィルムが得られる。
【0038】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明の技術的範囲がこれらにより限定されるものではない。
【0039】
実施例1
恒温槽内に設置した反応容器内を乾燥窒素で置換した後、キシレン200mlにp−PDA(パラフェニレンジアミン)7.5gr(0.069moles)を投入し、反応容器内温度を120℃にしp−PDAを溶解させた。次に、ジフェニルジクロロシラン(Ph2SiCl2)25.3gr(0.1moles)、メチルジクロロシラン(MeSiHCl2)0.75gr(0.0065moles)、及び1,4−ビス(ジメチルクロロシリル)ベンゼン6.6gr(0.025moles)をキシレン100mlに溶解させたものを、120℃の一定温度に保たれたp−PDAのキシレン溶液中に15分かけて添加し反応させた。添加と共にp−PDAの塩酸塩の沈殿生成が確認された。
更に、反応で生成した塩酸及び塩酸塩を潰すためにトリエチルアミン60mlを添加した。その後、反応槽を冷却し温度が30℃以下になった時点でアンモニア12grを加え、未反応のハロゲン化シランを反応させた。アンモニアの添加により、溶液温度の上昇と共に塩化アンモニウムの白色沈殿の生成が確認された。反応終了後、乾燥窒素を吹き込み未反応のアンモニアを除去した後、窒素雰囲気下で加圧濾過し、濾液約350mlを得た。
この濾液を減圧下で溶媒を除去したところ、30grの赤褐色の常温で固体状のポリマーを得た。
【0040】
得られたポリマーの数平均分子量は、GPCにより測定したところ700であった。また、IRスペクトル分析の結果、波数3350cm ̄1にN−Hに基づく吸収;2170cm ̄1のSi−Hに基づく吸収;1140cm ̄1のSi−Phに基づく吸収;1020−820cm ̄1のSi−H及びSi−N−Siに基づく吸収;3140、2980、2950、1270cm ̄1のC−Hに基づく吸収;810,780cm ̄1のベンゼン環のC−Hに基づく吸収を示すことが確認された。
更に、このポリマーの1H−NMR(プロトン核磁気共鳴吸収)スペクトルを分析したところ、δ7.2ppm(br,C6H6)、δ4.8ppm(br,SiH)、δ1.4ppm(br,NH)、δ0.3ppm(br,SiCH3)の吸収が確認され、また29SiNMRのNON−NOE BB−DC測定結果、−17ppm及び−20ppm〜−25ppmにかけて(−Si−NH−)l(−Si−NH−C6H5−NH−)mに起因するピークが、−25ppm〜−35ppmにかけて(−Si−NH−)n (−Si−NH−C6H5−NH−)oに起因するピークが、また−2ppm〜8ppmにかけて(−Si−C6H5−Si−)pに起因するピークが観測され、以下の構造単位をもった物質が得られた。
−(CH3SiH−NH)m−、
−(CH3SiH−NH−Ph−NH)n−、
−(SiPh2−NH)p−、
−(SiPH2−NH−Ph−NH)q−、
−{(CH3)2Si−Ph−Si(CH3)2}r−
また、15NNMR DEPT90の測定データからポリマー構造中の−NH−C6H5−NH−に起因するピークが50ppm〜65ppmにかけて、アンモニア由来の−NH−基に起因するピークが20ppm〜40ppmにかけて観測された。これらのピークの積分強度比より、それぞれのユニットの存在比は以下のように推定される。
(l+m)/(n+o)=0.09
(l+n)/(m+o)=0.58
p/(l+m+n+o)=0.40
【0041】
次にこのものの物性を調べた。このものをアルミ箔上に塗布し、大気中400℃、2時間熱硬化させ、その後アルミ箔を除去して、30μm〜50μmのフィルムを作成した。このフィルムは抗張力580kgf/cm2、伸び10%であり、高温で優れた物性を示した。また、大気中5%重量減少温度は500℃であった。
更に、このポリマーを直径2.4mmのニッケルメッキ銅線に厚さ10μm塗布し、大気中400℃、6時間の耐熱劣化試験を実施した結果、塗膜は400倍の顕微鏡観察結果割れ等の欠陥なく全く健全であった。更に、過酷な大気中600℃、1時間の条件でも塗膜は脱落しなかった。
これらの結果は、既存の有機樹脂(例えばポリイミド)には見られない優れた耐熱性である。また、このポリマーはフィルムの伸びが示すように、銅線に塗布し350℃で焼き付けて被膜を硬化させたものを1d(自己径曲げ)曲げても割れが発生せず、従来のシラザン系ポリマーにはない可とう性を示した。
【0042】
実施例2〜12
原料オルガノジハロシランの種類と混合比、使用ジアミンの種類と添加量、反応温度、反応溶媒を表2に示す条件に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてケイ素含有耐熱ポリマーを得た。更に、得られたポリマーの物性評価テストを実施例1と同様にして行なった結果を表3に示す。
【0043】
【表2】
【0044】
【表3】
可とう性:直径2.4mmのニッケルメッキ銅線に耐熱ポリマーの皮膜を10μm焼付けて、直径の何倍の径まで割れずに曲がるかをテストした。1d :理論伸び50%相当
【0045】
実施例13
温度が−40℃の恒温槽内に設置した反応容器内を乾燥窒素で置換した後、乾燥した塩化メチレン1,000mlとピリジン80mlの混合溶媒を入れ温度が一定になるまで保持した後、攪拌しながらメチルジクロロシラン(CH3SiHCl2)47.6gr(0.413moles)、ジフェニルジクロロシラン(Ph2SiCl2)25.3gr(0.10moles)をそれぞれ加え反応槽内の温度が一定となるまで攪拌、保持した。次に、DDE(ジアミノジフェニルエーテル)25gr(0.125moles)をピリジン100grに溶解させ、反応槽内に約5.0gr/minのゆっくりしたスピードで添加した。そののち、アンモニア20grを更に添加し反応させた。
【0046】
反応終了後、乾燥窒素を吹き込み末反応のアンモニアを除去した後、窒素雰囲気下で加圧濾過し濾液1,150mlを得た。この濾液に乾燥m−キシレン1,000mlをを加え減圧下で溶媒を除去したところ、45.0grの赤褐色の粘性液体を得た。
【0047】
得られた粘性液体の数平均分子量は、GPCにより測定したところ850であった。また、IRスペクトル分析の結果、波数3350cm ̄1にN−Hに基づく吸収;2170cm ̄1のSi−Hに基づく吸収;1140cm ̄1のSi−Phに基づく吸収;1020−820cm ̄1のSi−H及びSi−N−Siに基づく吸収、3140、2980、2950、1270cm ̄1のC−Hに基づく吸収を示すことが確認された。更に、このポリマーの 1H−NMR(プロトン核磁気共鳴吸収)スペクトルを分析したところ、δ7.2ppm(br,C6H6)、δ4.8ppm(br,SiH2又はSiH)、δ1.4(br,NH)、δ0.3(br,SiCH3)の吸収が確認された。
【0048】
上記粘性液体を40grをm−キシレンに溶解させ反応槽に仕込んだ。温度を150℃にセットし温度が一定になるまで攪拌保持した後、m−キシレン300mlに1,4−ビス(ジメチルクロロシリル)ベンゼン40grを溶解させた溶液を徐々に反応槽内に添加した。次に、反応槽内の温度が90℃以下になった時点で、反応により発生した塩酸をトラップするために、20mlのトリエチルアミンを添加した。この時トリエチルアミン塩酸塩の沈殿が確認された。更に、温度が常温まで下がった時点で、未反応の1,4−ビス(ジメチルクロロシリル)ベンゼンを潰すために、アンモニアを5.0gr添加し反応させた。
【0049】
反応終了後、乾燥窒素を吹き込みアンモニアを除去した後、濾過し溶液800mlを得た。この濾液を加え減圧下で溶媒を除去したところ、75grの赤色の粘性液体を得た。
【0050】
得られた粘性液体の数平均分子量は、GPCにより測定したところ2,000であった。また、IRスペクトル分析の結果、波数820cm ̄1の1,4−ビス(ジメチルクロロシリル)ベンゼンに基づくPara位のベンゼンの吸収が大きくなっていることが確認された。更に 1H−NMRスペクトルからはδ7.2ppmの架橋したベンゼン環に基づく吸収が相対的に増加していた。
また、29SiNMRのNON−NOE BB−DCデータ及び29SiNMR DEPT90データ測定結果、−15ppm〜−25ppmにかけて{−Si(R1)(H)−NH−}l、{−Si(R1)(H)−NH−C6H5OC6H5−NH−}mに起因するピークが、−30ppm〜−35ppmにかけて{−Si(R1)(R2)−NH−}n、{−Si(R1)(R2)−NH−C6H5OC6H5−NH−}oに起因するピークが、また−2ppm〜−5ppmにかけて(−Si−C6H4−Si−)pに起因するピークが観測され、以下の構造単位をもった物質が得られた。
−(CH3SiH−NH)m−、
−(CH3SiH−NH−Ph−NH)n−、
−(SiPh2−NH)p−、
−(SiPH2−NH−Ph−NH)q−、
−{(CH3)2Si−Ph−Si(CH3)2}r−
また、15NNMR DEPT90の測定データからポリマー構造中の−NH−C6H5OC6H5−NH−に起因するピークが60ppm付近に、アンモニア由来の−NH−に起因するピークが20ppm〜40ppmにかけて観測された。これらのピークの積分強度比より、それぞれのユニットの存在比は以下のように推定される。
(l+m)/(n+o)=7.2
(l+n)/(m+o)=5.1
p/(l+m+n+o)=2.3
【0051】
次にこのものの物性をしらべた。このものをアルミ箔上に塗布し、大気中300℃で架橋硬化させ、その後アルミ箔を除去して、30μm〜50μmの独立膜を作成した。この独立膜は坑張力450kgf/cm2、伸び8%であり、このものの大気中5%重量減少温度は450℃であった。また、窒素中500℃、2時間焼成して得られた独立膜は透明で坑張力600kgf/cm2、伸び12.0%であり、大気中5%重量減少温度は500℃と優れた耐熱性を示した。更に、このポリマーを直径2.4ミリのニッケルメッキ銅線に塗布し、大気中400℃、6時間の耐熱劣化試験を実施した結果、塗膜は全く健全であった。
【0052】
実施例14〜23
原料オルガノヒドロジハロシランとオルガノジハロシランの種類と両者の混合比、使用ジアミンの種類と添加量、第1工程の反応温度、使用ジシリル化合物の種類、及び第2工程の反応温度等を、表4に示す条件に変更したこと以外は、実施例13と同様にしてケイ素含有共重合ポリマーを得た。更に、得られた各ポリマーの物性評価テストを実施例13と同様にして行なった。その結果を表5に示す。
【0053】
【表4】
【0054】
【表5】
【0055】
【発明の効果】
請求項1〜3のケイ素含有共重合ポリマーは、前記一般式(I)〜(III)、場合により(I)〜(V)、特に(II)、(III)及び(V)で表わされる構造単位を有するものとしたことから、次のような卓越した効果を奏する。
(イ)耐熱性に優れ、しかも可撓性、機械的特性にも優れているので、従来の有機樹脂で使用できなかった300℃以上の高温環境下での使用が可能である。例えば、耐熱コーティング、耐熱電線用被膜等の耐熱性が要求される部位に広く適用できる。
(ロ)樹脂が高温環境下で使用できることにより、軽量化を図ることができ、コストダウン、高効率化等に貢献できる。
【0056】
請求項4〜7のケイ素含有共重合ポリマーの製造方法は、前記一般式(VI)で表わされるオルガノジハロシラン〔場合により前記一般式(IX)で表わされるオルガノヒドロジハロシランを含む〕と前記一般式(VII)で表わされるジシリル化合物とを含む混合物に、前記一般式(VIII)で表わされるジアミン及びアンモニアを反応させるか、又は前記一般式(VI)で表わされるオルガノジハロシラン〔場合により、前記一般式(IX)で表わされるオルガノヒドロジハロシランを含む〕を、前記一般式(VIII)で表わされるジアミン及びアンモニアと反応させて共重合シラザンを得、更に得られた該共重合シラザンを前記一般式(VII)で表わされるジシリル化合物と反応させるという構成としたことから、本方法によると、温和な条件で容易に高耐熱性ポリマーを得ることができる。
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