JP3625900B2 - 腎臓疾患治療剤 - Google Patents
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【産業上の利用分野】
本発明は、腎臓疾患の予防治療剤に関するものであり、更に具体的には、グアバの葉の抽出物を有効成分とする腎臓疾患の予防治療剤に関するものである。本発明の腎臓疾患の予防治療剤は、グアバ葉を熱水または親水性溶媒等で抽出して得られる天然物由来の物質を有効成分とするものであり、特に、糖尿病の合併症のうち糖尿病性腎症の進行抑制作用を有するものとして、有効かつ安全な新しい腎臓疾患の予防治療薬剤として有用である。
【0002】
【従来の技術】
グアバ葉のエキスは、古くより、糖尿病、高血圧などに効果があることが知られており、そのまま、もしくは適宜加工して健康維持飲料として利用されている。グアバ(Psidium Gugjava Linn)はフトモモ科に属する植物であって、東南アジア、中国南部、ハワイ等の熱帯、亜熱帯地域において広く自生または栽培されている常緑の喬木であり、その葉は、上記のように、健康維持飲料等として、また、その果実は、生食のほか、ジュース等に利用されている。
【0003】
一方、腎臓疾患の患者は、年々増加する傾向にあり、なかでも、糖尿病の合併症としての腎不全患者は、透析療法に導入されるケースが年々増加しており、最近の全国調査では、透析治療を受けている患者の約30%を占めており(1993年)、このような腎不全を含めて、腎臓疾患を、有効に治療・予防することが可能な新しい薬剤の開発が急務の課題となっており、その探索研究が種々行われている状況となっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、このような状況の中で、有効かつ安全な新しい腎臓疾患の治療・予防薬剤を得ることを目標として、鋭意研究を行った結果、グアバ葉のエキスに、腎臓疾患の、特に、糖尿病性の腎臓疾患の予防・治療効果があることを見出し、本発明を完成した。
【0005】
本発明は、グアバ葉エキスを有効成分とする、腎臓疾患の予防治療剤を提供することを目的とするものである。
【0006】
本発明は、安全性が高くかつ優れた薬効を有する新しい腎臓疾患の予防治療剤を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する本発明は、グアバ葉エキスを有効成分とする腎臓疾患の予防治療剤、である。
また、本発明の他の態様は、グアバ葉エキスが、熱水および/または親水性溶媒で抽出したものである上記の腎臓疾患の予防治療剤、である。
【0008】
ここでいう、グアバ葉のエキスとは、グアバ(バンジロウ)の葉を、そのまま、または乾燥後、水または親水性の有機溶媒(アルコール類、アセトン類、酢酸エチルなどの当該技術分野で通常用いられる溶媒)またはこれらの混合溶媒で抽出したものである。グアバ葉は、生でも乾燥したものでもよく、使用に際しては、これを適当なサイズに切断し、圧力式抽出釜等で常法によりそのエキスを抽出する。グアバ葉エキスは、熱水および/または親水性溶媒で抽出したものが使用される。抽出は、原料の状態、使用する溶媒の種類などによりその条件が異なるが、通常、常圧ないし加圧下、即ち、約1気圧から約2気圧の範囲で、加温または加熱して行われる。例えば、熱水抽出の場合、約100〜130℃の加熱条件下で、数分から数時間に亘って抽出が行われるが、具体的な抽出条件は、原料の状態、製品等に応じて、適宜変更することが可能であることは云うまでもない。
【0009】
当該エキスは、抽出後、常法により抽出液を分離し、必要により、不純物を除去した後、そのまま利用するか、一旦、真空濃縮機等にかけて濃縮し、抽出溶液を除去して利用してもよい。また、フリーズ・ドライ法等を用いて、粉末化して用いてもよい。
【0010】
また、当該エキスを得た後、更に、適当なクロマトグラフィー処理等の精製処理を加えて精製してもよく、当該エキスの精製のレベル、利用形態などについては、特に制限はない。
上記抽出方法によれば、原料のグアバ葉に存在する場合がある雑菌、例えば、耐熱芽胞菌などに対する滅菌処理も完全に行えるので、得られたグアバ葉エキスは、雑菌汚染の心配が全くなく衛生的観点からみてもきわめて安全性の高いものである。上記方法で得られたグアバ葉エキスは、グアバ葉に含まれる天然物由来の有効成分を高濃度に含有しているので、そのまま、液状あるいは適宜の剤形に加工して使用することができる。
【0011】
本発明の腎臓疾患の予防・治療剤は、経口投与が好ましく、液剤、ペレット、錠剤、カプセル剤、散剤等任意の剤形を採用することができ、それらの製剤化にあたっては、クアバ葉エキスの他に、必要に応じて、安定剤、賦形剤、増量剤等任意の助剤を含有させることができる。また、製剤化の方法は、特に制限されるものではなく、例えば、当該エキスを適当な基材と共に、常法により製剤化すればよい。
【0012】
本発明の腎臓疾患の予防・治療剤の有効成分のグアバ葉エキスは、従来より健康食品として利用されており、安全性も確認されているものであり、これを腎臓疾患の予防・治療の目的で経口投与する場合の投与方法、投与量に厳格な制限はないが、例えば、そのまま経口投与したり、あるいは任意の飲食物と混合して、経口投与する方法が好適なものとして例示することができる。また、その服用量に厳格な制限はないは、その好適な服用量は、濃縮エキスとして1日100mg〜5gである。本発明の腎臓疾患の予防治療剤は、そのまま利用することはもとより、適宜、食品等に添加して利用することも可能である。
【0013】
【実施例】
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明は以下の実施例により何ら限定されるものではない。
実施例1
1.グアバ葉エキス凍結乾燥粉末の調製
(乾燥)グアバ葉100gを2リットルの蒸留水に浸漬し、80℃で30分加熱抽出し、4重ガーゼでろ過し、得られたグアバ葉エキスを、凍結乾燥処理し、粉末とした。収量は約14%であった。この粉末を(以下GvExと記載することがある)動物実験に用いた。
【0014】
2.自然発症糖尿病マウス(C57BL/Ksj(db/db))を用いたGvExの投与試験
1)被検動物
6週令のdb/dbマウス(日本クレア社製)を1週間MF固形飼料(オリエンタル酵母工業(株))で予備飼育し、GvExを、GvEx250mg/kg(体重)/dayの割合で飲料水に溶かして、7週間投与した。餌はMF固形飼料とし、水、餌は自由摂食とした。対照群10匹、投与群9匹とした。
【0015】
2)試験方法
投与7週間で、エーテル麻酔下に解剖し、膵臓と腎臓を摘出した。摘出した膵臓についてはブアン液で、また、腎臓については10%緩衝ホルマリン液でそれぞれ固定し、常法に従ってパラフィン包埋して3〜5μの病理組織標本を作製した。膵臓におけるランゲルハンス氏島の数と大きさについては、平面的に包埋したパラフィンブロックから、上、中、下と場所の異なる3切片についてH−E染色(Hematoxylin−Eosin重染色法)を施し、以下の方法で実施した。
ランゲルハンス氏島の数については、最もランゲルハンス氏島が多く認められた切片当たりの数をその個体の値とした。ランゲルハンス氏島の大きさの測定については、リアルタイム画像処理解析装置ルーゼックスF(LUZEX F;(株)ニレコ社製)を用いて、3切片のうちで最も大きなランゲルハンス氏島の面積を計測してその個体の値とした。
【0016】
腎臓については、Periodic Acid Schiff(PAS)染色を施し、個体毎に50個の観察可能な糸球体についてメサンギウム基質の肥厚の程度を、−(変化なし、no changes)、±(弱度、mild)、+(中程度、moderate)、++(強度、marked)のGradeに分類した。評価は+(moderate)以上のGradeを示す糸球体数で行った。
【0017】
3)結果
その結果を表1に示した。
【0018】
【表1】
【0019】
上記方法で用いたdb/dbマウスは、高インスリン性糖尿病の合併症を研究するための実験モデルとして知られているもので、腎症の発症が迅速で、最初の病変として、糸球体メサンギウムにおける内因性免疫グロブリンの沈着、メサンギウム基質の肥厚が認められる。
上記表1の結果から明らかなように、GvEx投与群は、対照群に比較して、ランゲルハンス氏島の数の減少あるいは萎縮の抑制傾向があり、メサンギウム基質の肥厚を示す糸球体数は有意に低く、GvEx投与群は、腎症の進行が抑制されることが分かった。
【0020】
従来、例えば、糸球体腎炎、ネフローゼ症候群の実験モデル等については、ヒト糸球体腎炎、あるいは原発性ネフローゼ症候群の発症、病態、ならびに治療の研究のため、動物を用いた実験モデルが色々作製されている。それらは、主として免疫機序を介したものが多いが、その病態や免疫病理組織はヒト腎炎のそれらと類似が認められている。しかし、ヒト腎炎の多くがその発症機序については不明であるため、実験腎炎の研究で得られた成績がそのままヒト腎炎に当てはまるものでなく、ましてや、糖尿病の研究で得られた成績がそのまま糖尿病性の腎臓疾患に有効であるとは限らないのは当然のことである。
糖尿病のように慢性の経過をとりやすい病気では多種多様な腎臓病の合併があり得るが、それらの疾患に対する予防治療効果は、当該疾患に関する有効性試験の結果はじめて実証されるものであることは云うまでもないが、本発明者らの知るところによれば、これまで、グアバ葉エキスの有効性が腎臓疾患との関係で論じられた例は全くなく、本発明者らによる上記試験によって、はじめてグアバ葉エキスが腎症の進行抑制作用を有し、有効かつ安全な腎臓疾患の予防治療剤の有効成分として有用であることが判明した。
【0021】
実施例2
実施例1で製造したグアバ葉エキスを使用して、常法により下記の配合からなる本発明に係る液剤形態の腎臓疾患の予防治療剤を製造した。
実施例1で得たグアバ葉抽出エキス──── 30ml
クエン酸 ───────────────100mg
精製水 ─────────────── 70ml
香料 ─────────────── 適量
【0022】
【発明の効果】
上述のように、本発明は、グアバ葉エキスを有効成分とする腎臓疾患の予防治療剤に係るものであり、本発明に係る腎臓疾患の予防・治療剤は、古くより健康維持飲料等に利用されている天然物のエキスを有効成分として使用するものであって、安全性にも優れており、そのまま、あるいは、食品等に添加して、有効かつ安全に腎臓疾患の予防治療用薬剤として用いることができる。
Claims (2)
- グアバ(Psidium Gugjava Linn)葉エキスを有効成分とする腎臓疾患の予防治療剤。
- グアバ葉エキスが、熱水および/または親水性溶媒で抽出したものである請求項1記載の腎臓疾患の予防治療剤。
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