JP3625601B2 - 燃焼排ガス中の微量有害物質の分析方法 - Google Patents

燃焼排ガス中の微量有害物質の分析方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば生ごみ焼却炉の排出ガスに含まれるダイオキシン類等の有害物質のサンプリングと分析を安全で確実かつ高感度に行なえ、有害物質の分析システムのオンライン化を実現するとともに、複雑な前処理を廃し、分析コストと分析設備費の低減を図れるようにした燃焼排ガス中の微量有害物質の分析方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
生ごみを焼却すると、生ごみに混入した合成樹脂等が燃焼されて、排出ガスに極微量のダイオキシン類が検出されることが知られている。
ダイオキシン類は癌や奇形の原因とされる猛毒物質であり、これがごみ焼却施設周辺に放出され、大気の吸入や食品からの摂取によって、人体に重大な影響を及ぼすことが懸念される。
【0003】
しかし、ダイオキシン類は猛毒物質であるにも拘らず、現状ではその排出濃度の規制や取締まりがなく、いわば野放しの状態に置かれているため、上記問題の早急な解決が望まれている。
【0004】
上記問題の解決に際して、ダイオキシン類の排出濃度の測定が不可欠になるが、上記測定は極微量の測定になるため、一般の環境分析と異なって非常に複雑で高度な前処理を要し、分析コストが高価になる上にその作業に熟練を要し、しかもこれを高性能の二重収束ガスクロマトグラフ質量分析計(GC/MS)で検出するため、分析設備が高価になる等の問題があった。
【0005】
更に、ダイオキシン類は猛毒のため、その取り扱いや標準サンプルの作成が非常に難しく、ダイオキシン類の測定を一層困難にするとともに、作業の安全性を確保し難いという問題があった。
【0006】
従来、このような問題を解決するものとして、例えば特開平5ー312796号公報には、ダイオキシン類の代替指標としてクロロベンゼン類を用い、焼却炉から排出される排ガスの共存水分やダストを除去して試料ガスを捕集し、該ガスを濃縮装置に注入する。
そして、含有する有機化合物を吸着剤に吸着し、該吸着剤を加熱してクロロベンゼン類を脱離し、これをガスクロマトグラフに送り込んで濃度を測定し、ダイオキシン類の濃度とクロロベンゼン類の濃度との相関関係から、ダイオキシン類の濃度を推定している。
【0007】
また、特開平8ー266863号公報には、焼却炉に連通する排ガス導管の一端を真空ポンプに接続し、上記導管に複数のインピンジャーを接続し、これらをドライアイスバスに収容して排ガスを液化し、その水分を除去し排ガスを吸着剤に吸着後、濃縮および脱着過程を経てガスクロマトグラフを介し、クロロベンゼン類やクロロフェノール類の濃度を測定するようにしている。
【0008】
しかし、これらの装置は何れも試料ガスの水分除去過程を要し、該過程を一般的なバブリング法で行なう場合、温度制御可能なバブリング室やバブルガス、および該ガスの速度制御等を要して、設備費が嵩む上に試料の回収率が低く、したがって多量の試料ガスを要するばかりか、分析感度が概して悪い等の問題があった。
しかも、上記装置に用いた電子捕獲型検出器や光イオン化検出器、GC/MS等はガスクロマトグラフに使用し得ても、液体クロマトグラフには通常適用できない。
【0009】
一方、従来、HPLC(高速液体クロマトグラフ)の検出器として使用されている紫外可視吸光検出器(UV検出器)は、液化し捕集した試料を多量に注入しただけでは、目的とするクロロフェノール類を検出することはできず、またHPLCに注入する前に種々の方法で濃縮しても、共存するクロロベンゼン類との分離を考慮すると、定量するのは難しい。すなわち、検出の選択性と感度の双方を期待できない。
【0010】
ところで、液化した試料を濃縮し分析する方法として、従来よりパージ&トラップ法、固相抽出法、溶媒抽出法が知られている。
このうち、パージ&トラップ法は、試料を窒素等でバブリングすることで、試料に含まれている目的成分を追い出し、これを融点以下に冷却したトラップ管で捕集し、これを急速加熱して目的成分をGC/MS等へ導入していた。
しかし、この方法は目的成分が水への親和力が強い物質の場合、目的成分の追い出しが悪くなり、濃縮効率が低下する上に分析精度が悪いという問題があった
【0011】
また、固相抽出法は、試料を固相に通水し、固相と溶媒との相対的親和性により目的成分のみを固相に保持させ、該成分を最も引かれる溶媒によって固相から溶出させていた。
しかし、この方法は濃縮に最良の方法であるが、捕集、不純物除去、目的成分の溶出の工程を要し、溶出量は最低でも5mL要する。また、溶出液の溶媒を除去しても再現性のある操作をするためには、除去後の試料としては1mL程度となる。
【0012】
更に、再現性のある溶出を行なうためには、有機溶媒の溶出液を要するが、このサンプルを注入する場合、GC/MSでは1〜2μLが注入の限界で、HPLC(高速液体クロマトグラフ)でもサンプルの希釈液が有機溶媒であるため、10μL程度となる。
したがって、HPLCでは最低1mLの溶出量に対しサンプル注入量が10μLに制約されるので、目的成分の絶対量としては100分の1となり、十分な分析感度を期待できず、試料からの目的成分の最終的な濃縮率も悪くなる。GC/MSでは尚更である。
【0013】
溶媒抽出法は、試料に含まれている目的成分と同極性の溶媒を加え、該液相に目的成分を濃縮する方法であるが、多くの溶媒を要し、作業者による手順誤差を生じ易い上に、目的成分の回収率が悪くなるという問題がある。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はこのような問題を解決し、例えば生ごみ焼却炉の排出ガスに含まれるダイオキシン類等の有害物質のサンプリングと分析を安全で確実かつ高感度に行なえ、有害物質の分析システムのオンライン化を実現するとともに、複雑な前処理を廃し、分析コストと分析設備費の低減を図れるようにした燃焼排ガス中の微量有害物質の分析方法を提供することを目的にする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
このため、請求項1の発明は、燃焼排ガスを液化して該排ガス中の有害物質を捕集し、該有害物質を濃縮し分離して検出する燃焼排ガス中の微量有害物質の分析方法において、前記液化した試料液を逆相分配系の高速液体クロマトグラフへ導き、試料液中の親水性有害物質を濃縮し分離して電気化学検出器へ導入し、親水性有害物質を検出するようにして、ダイオキシン類等の有害物質のサンプリングと分析を安全で確実かつ高感度に行なえ、有害物質の分析システムのオンライン化を実現するとともに、複雑な前処理を廃し、分析コストと分析設備費の低減を図れるようにしている。
【0016】
請求項2の発明は、親水性有害物質がダイオキシン類の前駆体であるクロロフェノール類であり、分析の安全性と作業の容易化を図れるようにしている。
請求項3の発明は、液化した燃焼排ガス中の疎水性有害物質を物質を含む試料ガスをガスクロマトグラフへ導き、該ガス中の疎水性有害物質を分析するようにして、親水性有害物質に関する情報に加えて、疎水性有害物質に関する種々の情報が得られるようにして、該情報に基いてダイオキシン類の排出濃度の検出や削減に有効な情報を得るようにしている。
請求項4の発明は、疎水性有害物質がダイオキシン類の前駆体であるクロロベンゼンであり、分析の安全性と作業の容易化を図れるようにしている。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面により説明すると、図1および図2において1は生ごみ等の焼却炉で、該炉1に連通する煙管2に排気ガス導管3の一端が配置され、その取入口にフィルター4が取付けられている。
焼却炉1の離間位置には分析用筐体Hが設置され、該筐体H内に後述する親水性有害物質と疎水性有害物質の各分析装置が設けられている。
【0018】
分析用筐体H内には冷却室5が設けられ、該室5に排気ガス導管3の他端が配管され、該管3に介挿したポンプ6を介して、冷却室5の内部に排気ガスを導入可能にしている。
冷却室5は周壁内部に冷水等の冷却手段が供給かつ循環され、内部に導入した排気ガスを冷却かつ液化可能にしている。
【0019】
図中、7は液化した排気ガスの試料液で、冷却室5の内部に収容され、その液面は冷却室5に設けた溢出口(図示略)を介して、後述する試料ガス導管の吸入口より下方に設定されている。
【0020】
冷却室5の底部には試料液導管9の一端が配置され、該管9はダイオキシン類の前駆体であるクロロフェノール類等の親水性有害物質の分析装置8、つまり液体クロマトグラフ、この実施形態ではHPLCに配管されている。
上記導管9の他端はインジェクター10に接続され、前記導管9に介挿したポンプ11を介して、前記試料液7をインジェクター10へ供給可能にしている。
【0021】
インジェクター10には溶離液導管12の一端が接続され、この他端が溶離液収納容器13に接続されていて、上記導管12に介挿したポンプ14を介して、前記容器13に収容したリン酸緩衝液等の濃縮用溶離液15をインジェクター10へ供給可能にしている。
【0022】
インジェクター10には送液管16の一端が接続され、この他端が回動可能な切換弁17に接続されている。
切換弁17は実施形態の場合、6ポート切換弁で構成され、そのポートP1 に送液管16の他端が接続されている。
【0023】
ポートP2 ,P5 には濃縮導管18の両端が接続され、該管18に逆相系の濃縮用カラム19が介挿され、またポートP3 には分析導管20の一端が接続され、該管20に分析用カラム21と、第1および第2検出器22,23と、記録器(図示略)が接続されている。
【0024】
実施形態では第1検出器22として、ベンゼン環や二重結合の有無の検出に優れるUV検出器を用い、第2検出器23として、フェノール性水酸基をもつ化合物(クロロフェノール類)に対して高感度分析が可能で、かつ燃焼排ガスに含まれていると思われるクロロフェノール以外のクロロベンゼン類が共存していても、それらを検出しない、つまりそれらの選択性の良い電気化学検出器を用いている。
【0025】
この実施形態では、電気化学検出器として、カラムの内径が小径で試料の移動速度が低速な場合に好適なアンペロメトリック型のものを使用している。なお、フェノール類の検出には第2検出器23のみでよい。
【0026】
上記記録器は焼却炉1の温度調節装置と警報器(図示略)とに接続され、規定値以上のダイオキシン類排出濃度が検出された際、当該信号を警報器と温度調節装置とに入力し、当該状況を告知するとともに、炉内温度を調節する等適宜な措置を促すように設計されている。
【0027】
分析用カラム21は濃縮用カラム19よりも小径かつ長尺に構成され、またポートP5 には溶離液導管24の一端が接続され、この他端が溶離液収納容器25に接続されていて、上記導管24に介挿したポンプ26を介して、前記容器25に収容したリン酸緩衝液等の分析用溶離液27を切換弁17へ供給可能にしている。
図中、28はポートP6 に一端を接続したドレン管で、他端が外部に連通している。
【0028】
そして、試料の濃縮時には切換弁17は図1のように、ポートP1 とP2 、ポートP3 とP4 ,ポートP5 とP6 とが互いに連通し、また試料の分析時には図2のように、ポートP2 とP3 、ポートP4 とP5 ,ポートP6 とP1 とが互いに連通している。
【0029】
冷却室5の上部には試料ガス導管29の一端が配置され、該管29は焼却炉1の燃焼排ガスに含まれるクロロベンゼン等の疎水性有害物質の分析装置30、つまりガスクロマトグラフ(GC)を構成している。
上記導管29の他端はインジェクター31に接続され、前記導管29に介挿したポンプ32を介して、前記試料ガスをGCのインジェクター31へ供給可能にしている。
【0030】
インジェクター31より上流側の試料ガス導管29には吸水器33が介挿され、該器33に収容した活性炭等の吸水手段を介して、試料ガス中の水分を除去可能にしている。
【0031】
図中、34はインジェクター31に一端を接続した分離カラムで、その他端側に質量分析計等の検出器35と記録器36とが接続されている。
この他、37は一端をインジェクター31に接続したキャリヤーガス導管で、他端がヘリウムガスを充填したキャリヤーガス収納容器38に接続されている。
39は冷却室5内の試料液7の液面上方に形成される空隙部である。
【0032】
このように構成した本発明方法は、焼却炉1の離間位置に分析用筐体Hを設置し、該筐体H内に逆相分配のHPLCを備えた親水性有害物質分析装置8と、GCを備えた疎水性有害物質分析装置30とを装備し、後述のように高度な前処理施設や高価な検出器を要しないから、安価な分析装置を提供できる。
【0033】
次に本発明方法を使用して燃焼排ガスの有害物質を分析する場合は、冷却室5内に残留する試料液7を排出するとともに、切換弁17を図1のように濃縮モードに切換え、ポートP1 とP2 、ポートP3 とP4 ,ポートP5 とP6 とを互いに連通させる。
【0034】
このような状況の下で焼却炉1にごみを投入し、これを焼却すると、ダイオキシン類の前駆体である極微量のクロロフェノール類を含んだ燃焼排ガスが発生し、これが煙管2に導かれて大気に排出される。
上記焼却と前後して親水性有害物質分析装置8と、疎水性有害物質分析装置30とを作動し、それらのポンプ6,11,14,26を駆動する。
【0035】
このうち、ポンプ6を駆動すると、煙管2内の燃焼排ガスの一部が排気ガス導管3に導かれて冷却室5へ移動し、該室5内に滞留する。
冷却室5は周壁に冷水が供給されて冷却され、上記流入した燃焼排ガスを冷却して液化し、液化した試料液7を収容する。
【0036】
上記試料液7には、親水性を奏する極微量のクロロフェノール類が約1000倍程度濃縮されて溶け込み、その液量は燃焼排ガスの流入量に伴って増量し、その一部が冷却室5の上部に設けた溢出口(図示略)から流出して、一定高さの液面を形成し、該液面の上方に図1のような空隙部39を形成する。
【0037】
上記空隙部39には燃焼排ガスの一部と、疎水性の有害物質を含む気体とが収容され、該空隙部39に試料ガス導管29の管端部が位置している。
【0038】
一方、ポンプ11を駆動すると、試料液7が試料液導管9に導かれてインジェクター10へ移動し、またポンプ14を駆動すると、濃縮用溶離液15が溶離液導管12に導かれて、インジェクター10へ移動する。
【0039】
試料液7と濃縮用溶離液15とは送液管16に合流して、切換弁17のポートP1 へ移動し、該ポートP1 よりポートP2 を経て濃縮導管18を移動し、濃縮用カラム19で試料成分をトラップされた後、ポートP5 よりポートP6 を経てドレン管28へ移動し、外部に排出される。
【0040】
試料液7と濃縮用溶離液15とは、この後も濃縮用カラム19へ送り込まれ、換言すれば多量の試料成分を注入して試料成分を高濃度に濃縮し、この後の液体クロマトグラフにおける高感度検出を促す。
この場合、濃縮用カラム19は大径で短小に形成されているから、上記トラップないし濃縮を速やかに行なえ、上記多量注入に応じられる。
【0041】
また、ポンプ26が駆動すると、分析用溶離液27が溶離液導管24に導かれてポートP4 へ移動し、該ポートP4 よりポートP3 を経て分析導管20を移動し、分析用カラム21から第1および第2検出器22,23を経て外部へ排出する。
【0042】
このように逆相分配のHPLCでは、特別な処理を要することなく試料を直接注入できるから、分析コストの低減を図れるとともに、目的成分のみを濃縮し他の成分を抽出しないから、試料液7の多量注入に応じられ、濃縮効率が向上するまた、通常、分析用溶離液に高極性の溶媒を用いられるが、これに比べ上記試料液7は極性が低いため、濃縮用カラム19での希釈が起こりにくく、分離を悪化させることがないので、前述と相俟って多量注入が可能になり、濃縮効率が向上する。
【0043】
出願人は上記の点を実験したところ、図3の結果を得た。
すなわち、図3は逆相分配HPLCの試料注入量の感度特性を示し、Aは5ppbの濃度になるようにクロロフェノール類を水溶媒で希釈し、この試料を1mL注入した場合のクロマトグラムである。Bは5ppbの濃度になるようにクロロフェノール類を水溶媒で希釈し、この試料を0.3mL注入し、Cは5ppbの濃度になるようにクロロフェノール類を50%有機溶媒で希釈し、この試料を0.3mL注入した場合のクロマトグラムである。
この実験結果から、逆相分配HPLCでは、試料注入量が増加するにつれて濃縮効率が上昇し、かつ各ピークが鋭くなって、分析感度が向上することが確認された。また、水溶媒で希釈された試料は、1mLという多量注入が十分可能であることも確認された。
【0044】
こうして、試料液7を所定量注入し、濃縮用カラム19に所定濃度の試料を濃縮したところで、ポンプ11,14の駆動を停止するとともに、切換弁17を分析モードに切換え、図2のようにポートP2 とP3 、ポートP4 とP5 ,ポートP6 とP1 とを互いに連通する。すなわち、試料液7の流路を濃縮用カラム19から分析用カラム21に切換え、つまりカラムスイッチングする。
【0045】
このようにすると、分析用溶離液27が溶離液導管24に導かれてポートP4 へ移動し、該ポートP4 よりポートP5 を経て濃縮導管18を移動し、該導管18に介挿した濃縮用カラム19を移動して、該カラム19に濃縮された試料成分を溶出する。
【0046】
上記溶出された試料成分は、分析用溶離液27を介してポートP2 よりポートP3 を移動し、分析導管20を介し分析用カラム21に導かれ、該カラム21で試料成分中のクロロフェノール類を分離され、これが第2検出器23で検出されて、記録器(図示略)で記録される。
また、試料成分中のベンゼン環や二重結合の有無が第1検出器22で検出され、これが記録器(図示略)で記録された後、試料成分と分析用溶離液27とが外部へ排出される。
【0047】
この場合、分析用カラム21は小径かつ長尺に構成されているから、分離作用がゆっくりかつ精密に行なわれ、クロロフェノール類が高感度に検出される。
そして、この一連の分析の間、ポンプ26を駆動し、分析用溶離液27を分析用カラム21に送り込んでいるから、該カラム21の安定した分離作用が得られる。
【0048】
このように微量なものを分析する場合、または分析中に夾雑物が多量に含まれている場合は、前記のようにカラムスイッチングを採用したHPLCを使用すれば、前述の固相抽出法と同様な効果が得られ、また溶出した液をすべて分離用カラム21に導入できるから、分析感度を高めることができる。
【0049】
また、実施形態ではクロロフェノール類の濃縮、不純物除去、溶出の過程で逆相分配HPLCを利用しているから、水溶性の高い試料中の不純物が先に溶出して不純物が除去され、次いでクロロフェノールと同じ程度の極性のものを分離用カラム21に導入し、更に水溶性の低いものは、濃縮用カラム19に残り、分離用カラム21に導入されない。
したがって、目的成分以外の試料の溶出がなく、必要に応じて濃縮用カラム19を洗浄すればルーチンワークでの使用が可能になる。
【0050】
また、第2検出器23は電気化学検出器が使用されているから、フェノール性水酸基をもつクロロフェノール類等の化合物に対し高感度分析が可能になる。
出願人は上記の点について、従来よりHPLCに使用されているUV検出器と、電気化学検出器とを比較実験したところ、図4のような結果を得た。
すなわち、同図においてUV検出器のベースラインはドリフトし、各ピーク高さが低く、実施形態のクロロフェノール類の検出が困難になる。
これに比べ、電気化学検出器はベースラインが一定で各ピーク高さが高く表われ、その感度が格段に良いことが確認された。それゆえ、実施形態のクロロフェノール類の検出が可能になる。
【0051】
次に、出願人は電気化学検出器の選択性について実験したところ、図5の結果を得た。同図において、上記検出器は1000倍濃度の濃い下段のクロロベンゼンについては何も検出しないが、上段のクロロフェノール類については各異性体を確実に検出し、それらのピークが重なることなく明瞭に表われている。
それゆえ、燃焼排ガスにクロロフェノール類以外のクロロベンゼン類が共存していても検出せず、各ピークを正しく定量し得ることが確認された。
【0052】
こうして、第2検出器23で検出されたクロロフェノール類が許容濃度を越えると、その信号が警報器と焼却炉1の温度調節装置(共に図示略)とに入力され、上記事態を告知するとともに、炉1の燃焼温度を調節する適宜手段が講じられ、燃焼排ガス中のダイオキシン類の排出濃度が低減される。
【0053】
このように本発明は、燃焼排ガス中の極微量のクロロフェノール類を濃縮して捕集することで、猛毒のダイオキシン類の直接的なサンプリングを回避し、サンプリングの安全性と取り扱いの容易化を図れる。
【0054】
また、ダイオキシン類の前駆体としてのクロロフェノール類を分析することで、ダイオキシン類の排出濃度を高確度に検出でき、その検出精度の信頼性を得られる。
しかも、クロロフェノール類は親水性であるから、そのサンプリングを容易に行なえ、かつその多量注入が可能になる。
【0055】
一方、ポンプ32が駆動すると、空隙部39内の疎水性有害物質を含む燃焼排ガスの一部が、試料ガス導管29に導かれて吸水器33を移動し、該吸水器33で水分を取り除かれてインジェクター31へ移動する。
【0056】
インジェクター31には、キャリヤーガス導管37に導かれてキャリヤーガスが供給され、該ガスを介して試料が分離カラム34を移動し、かつその際クロロベンゼン等の疎水性有害物質が分離され、これを検出器35で検出して記録器36に記録する。
【0057】
このように本発明は、親水性有害物質の分析と並行して、疎水性有害物質の分析を行ない、燃焼排ガスの分析を充実するとともに、疎水性有害物質に関する種々の情報を得られ、当該情報からダイオキシン類の排出濃度を検出若しくは推測可能になる。
【0058】
その意味で、疎水性有害物質の分析は親水性有害物質の分析を補完することにもなり、仮に一方の分析が分析装置8,30の故障等で不可能になっても、他方の分析によってダイオキシン類の排出濃度を検出若しくは推測可能になる。
【0059】
したがって、上記記録計36に焼却炉1の温度調節装置と警報器(図示略)とを接続し、規定値以上のダイオキシン類や他の有害物質をが検出した際、当該信号を警報器と温度調節装置とに入力し、当該状況を告知するとともに、炉内温度を調節するようにすることが望ましい。
【0060】
【発明の効果】
以上のように請求項1の発明は、液化した試料液を逆相分配系の高速液体クロマトグラフへ導き、試料液中の親水性有害物質を濃縮し分離して電気化学検出器へ導入し、親水性有害物質を検出するようにしたから、ダイオキシン類等の有害物質のサンプリングと分析を安全で確実かつ高感度に行なえ、有害物質の分析システムのオンライン化を実現するとともに、複雑な前処理を廃し、分析コストと分析設備費の低減を図ることができる。
【0061】
請求項2の発明は、親水性有害物質がダイオキシン類の前駆体であるクロロフェノール類であるから、分析の安全性と作業の容易化を図ることができる。
請求項3の発明は、液化した燃焼排ガス中の疎水性有害物質を物質を含む試料ガスをガスクロマトグラフへ導き、該ガス中の疎水性有害物質を分析するようにしたから、親水性有害物質に関する情報に加えて、疎水性有害物質に関する種々の情報が得られ、該情報に基いてダイオキシン類の排出濃度の検出や削減に有効な情報を得られる効果がある。
請求項4の発明は、疎水性有害物質がダイオキシン類の前駆体であるクロロベンゼンであるから、分析の安全性と作業の容易化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示す説明図で、親水性有害物質分析装置の前処理過程と、疎水性有害物質分析装置の分析過程を示している。
【図2】本発明の実施の形態を示す説明図で、親水性有害物質分析装置の分析過程と、疎水性有害物質分析装置の分析休止過程を示している。
【図3】本発明に適用した逆相分配HPLCの各試料注入量に対する感度特性を示す実験図である。
【図4】本発明に適用した電気化学検出器の感度特性をUV検出器と比較して示す実験図である。
【図5】本発明に適用した電気化学検出器の選択特性を示す実験図である。
【符号の説明】
7 試料液
8 高速液体クロマトグラフ(HPLC)
23 電気化学検出器(第2検出器)

Claims (4)

  1. 燃焼排ガスを液化して該排ガス中の有害物質を捕集し、該有害物質を濃縮し分離して検出する燃焼排ガス中の微量有害物質の分析方法において、前記液化した試料液を逆相分配系の高速液体クロマトグラフへ導き、試料液中の親水性有害物質を濃縮し分離して電気化学検出器へ導入し、親水性有害物質を検出する燃焼排ガス中の微量有害物質の分析方法。
  2. 親水性有害物質がダイオキシン類の前駆体であるクロロフェノール類である請求項1記載の燃焼排ガス中の微量有害物質の分析方法。
  3. 液化した燃焼排ガス中の疎水性有害物質を含む試料ガスをガスクロマトグラフへ導き、該ガス中の疎水性有害物質を分析する請求項2記載の燃焼排ガス中の微量有害物質の分析方法。
  4. 疎水性有害物質がダイオキシン類の前駆体であるクロロベンゼンである請求項3記載の燃焼排ガス中の微量有害物質分析方法。
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