JP3625012B2 - 殺虫殺菌組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、優れた殺虫、殺菌活性を示す新規な殺虫殺菌組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
本発明に係わる一般式(1)(化3)
【0003】
【化3】
(式中、R1は水素原子またはメチル基、R2は水素原子または炭素数1〜5のアルキル基、R3は水素原子または炭素数1〜5のアルキル基、R4は水素原子または炭素数1〜5のアルキル基をそれぞれ表す)で表される化合物(以下、化合物1ともいう)は優れた殺虫活性を示す新規化合物である。
【0004】
また、(E)−2−{2−[6−(2−シアノフェノキシ)ピリミジン−4−イルオキシ]フェニル}−3−メトキシアクリル酸メチル(以下、化合物Aという)はEP−382375にイネ紋枯病防除作用を、N−[1−(2,4−ジクロロフェニル)エチル]−2−シアノ−3,3−ジメチルブタン酸アミド(以下、化合物Bという)は特開平2−76846号公報、2−(E)−メトキシイミノ−2−[(2−メチルフェノキシ)メチル]フェニル酢酸メチル(以下、化合物Cという)はDE−4042272、及び7−チオメトキシカルボニル−1,2,3−ベンゾチアジアゾール(以下、化合物Dという)は特開昭64−90176にイネいもち病防除作用を示すことが記載されている。
しかし、これら活性化合物の作用は、それぞれ単独では殺虫効果あるいは殺菌効果のいずれかの効果だけであり、病害虫を同時に防除することはできない。
【0005】
ところで、水稲栽培では、播種から田植え、そして収穫の間に多種多様な病害虫の攻撃に曝され、薬剤による防除なしにはまともな収穫はおぼつかないのが現状である。従って、この栽培期間に薬剤による防除を何回も行う必要があり、労力的にも、コスト面に於いても多大な負担となっている。またともすると薬剤の必要以上の処理による環境に対する安全性も問題視されているところである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、殺虫殺菌活性の向上した組成物を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、これらの問題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、一般式(1)(化3)で表される殺虫活性化合物を1種類含有し、かつ、化合物A〜Dから選択される殺菌活性化合物の少なくとも1種類を含有する殺虫殺菌組成物が、水稲の病害および害虫に対し、同時にまた広範囲に優れた殺虫および殺菌効果を示すことはもとより、両化合物を混合した場合、特に、殺虫効果の持続性が増加することも併せて見いだした。更に、害虫、及び病害を同時に効率よく防除可能かつ、害虫に関しては効果の増強がみられ、防除回数の軽減にも大いに寄与すると考え、本発明を完成した。
【0008】
すなわち本発明は、一般式(1)(化4)
【0009】
【化4】
(式中、R1は水素原子またはメチル基、R2は水素原子または炭素数1〜5のアルキル基、R3は水素原子または炭素数1〜5のアルキル基、R4は水素原子または炭素数1〜5のアルキル基をそれぞれ表す)で表される殺虫活性化合物の1種類と、(E)−2−{2−[6−(2−シアノフェノキシ)ピリミジン−4−イルオキシ]フェニル}−3−メトキシアクリル酸メチル、N−[1−(2,4−ジクロロフェニル)エチル]−2−シアノ−3,3−ジメチルブタン酸アミド、2−(E)−メトキシイミノ−2−[(2−メチルフェノキシ)メチル]フェニル酢酸メチル、または7−チオメトキシカルボニル−1,2,3−ベンゾチアジアゾールから選択される殺菌活性化合物の少なくとも1種類とを含有することを特徴とする殺虫殺菌組成物。
【0010】
【発明の実施の形態】
化合物1の製造方法及びその殺虫剤としての使用は、特開平−179448号公報に記載されている。
本発明に係る殺菌活性化合物である化合物Aは、欧州特許公開第382375号公報に記載の方法により製造することができる。
本発明に係る殺菌活性化合物である化合物Bは、特開平2−76846号公報に記載の方法により製造することができる。
本発明に係る殺菌活性化合物である化合物Cは、ドイツ特許第4042272号に記載の方法により製造することができる。
本発明に係る殺菌活性化合物である化合物Dは、特開昭64−90176号公報に記載の方法により製造することができる。
【0011】
本発明の殺虫殺菌組成物を実際に施用する場合には、殺虫性化合物と殺菌性化合物の混合物を予め調製するか、あるいは殺虫性化合物と殺菌性化合物をその場で混合するためのそれぞれ単独の通常の製剤形態にすることが出来る。本発明の組成物の調製に際しては、A〜Dから選ばれる殺菌活性化合物を少なくとも1種類用いるが、それら殺菌活性化合物の2種以上を混合して用いてもよい。本発明における、一般式(1)(化4)で表される殺虫活性化合物(化合物1)と化合物A〜Dの殺菌活性化合物との混合比は、500:1〜1:500であり、好ましくは20:1〜1:20である。殺菌活性化合物を2種以上を混合して用いる場合、各々の殺菌活性化合物の割合は、500:1〜1:500である。
【0012】
本発明の殺虫殺菌組成物の製剤化にあたっては、何らの特別の条件を必要とせず、一般農薬に準じて当業技術の熟知する方法によって乳剤、水和剤、粉剤、粒剤、微粒剤、フロアブル剤、マイクロカプセル剤、油剤、エアゾール、サーフ剤、投げ込み剤、薫煙剤、毒餌等の任意の剤型に調製でき、これらをそれぞれの目的に応じた各種用途に供しうる。
【0013】
各剤型における殺虫性化合物と殺菌性化合物を併せた有効成分の含有量は0.0000001〜95重量%、好ましくは0.0001〜50重量%であり、特に乳剤では5〜50%、水和剤では5〜50%、粉剤では0.1〜5%、粒剤では0.1〜20%、微粒剤では0.1〜5%、フロアブル剤では5〜50%、マイクロカプセル剤では5〜50%、油剤では0.1〜20%、エアゾールでは0.01〜5%、サーフ剤では0.1〜20%、投げ込み剤では0.1〜20%、薫煙剤では0.1〜20%、毒餌等では0.01〜5%である。
【0014】
本発明の殺虫性化合物と殺菌性化合物を殺虫殺菌組成物として使用する場合は、処理する昆虫や植物に原体を直接施用しても良いが、一般には不活性な担体と混合して上記のような各種の製剤形態の製剤として使用される。更に製剤上必要であれば補助剤を添加することも出来る。
【0015】
本発明でいう担体とは、処理すべき部位への有効成分の到達を助け、また有効成分化合物の貯蔵、輸送、取扱いを容易にするために配合される液体、固体または気体の合成または天然の無機または有機物質を意味する。
【0016】
適当な固体担体としては例えばモンモリロナイト、カオリナイト、ケイソウ土、白土、タルク、バーミキュライト、石膏、炭酸カルシウム、シリカゲル、硫安等の無機物質、大豆粉、鋸屑、小麦粉、ペクチン、メチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ワセリン、ラノリン、流動パラフィン、ラード、植物油等の有機物質等が挙げられる。
【0017】
適当な液体担体としては例えばトルエン、クメン、ソルベントナフサ等の芳香族炭化水素類、ケロシン、鉱油等のパラフィン系炭化水素類、4塩化炭素等のハロゲン化炭化水素、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、ジオキサン、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル類、酢酸エチルエステル、酢酸ブチルエステル、脂肪酸グリセリンエステル等のエステル類アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール等のアルコール類、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、水等があげられる。
【0018】
さらに本発明の殺虫殺菌組成物の効力を増強するために、製剤の剤型、適用場面等を考慮して目的に応じてそれぞれ単独に、または組合わせて以下のような補助剤を使用することもできる。
乳化、分散、拡展、湿潤、結合、安定化等の目的で使用する助剤としてはリグニンスルホン酸塩類等の水溶性塩基類、アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキル硫酸エステル類、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル類、多価アルコールエステル類等の非イオン性界面活性剤、ステアリン酸カルシウム、ワックス等の滑剤、イソプロピルヒドロジエンホスフェート等の安定剤、その他メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カゼイン、アラビアゴム等が挙げられる。しかし、これらの成分は以上のものに限定されるものではない。
【0019】
尚、本発明の殺虫殺菌組成物は光、熱、酸化等に安定であるが、必要に応じ酸化防止剤あるいは紫外線吸収剤、例えばBHT(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール)、BHA(ブチルヒドロキシアニソール)のようなフェノール誘導体、ビスフェノール誘導体、またフェニル− α− ナフチルアミン、フェニル−β−ナフチルアミン、フェネチジンとアセトンの縮合物等のアリールアミン類あるいはベンゾフェノン系化合物類を安定剤として適量加えることによって、より効果の安定した組成物を得ることが出来る。
【0020】
本発明の殺虫殺菌組成物に用いられる一般式(1)で表される殺虫活性化合物及び殺菌活性化合物は該化合物を施用するには、一般にそれら有効成分を各々0.001〜5000ppm、好ましくは0.01〜1000ppmの濃度で使用するのが望ましい。また、10aあたりの施用量は、一般に有効成分で各々1〜300gである。
【0021】
本発明の殺虫殺菌組成物は、優れた殺虫殺菌効果を示し、有害病害虫に対して的確な防除効果を発揮する。
その様な害虫としては例えば、アワヨトウ、イネヨトウ、フタオビコヤガ、タマナヤガ、ワタアカキリバ、オオタバコガ、シロイチモジヨトウ、ハスモンヨトウ、カブラヤガ、ヨトウガ、タマナギンウワバ、ニカメイガ、コブノメイガ、サンカメイガ、ナシオオシンクイ、ハイマダラメイガ、マメノメイガ、イネツトムシ、ワタアカミムシ、ジャガイモガ、モンシロチョウ、ノシメマダラメイガ、チャノコカクモンハマキ、キンモンホソガ、ミカンハモグリガ、ブドウホソハマキ、ナシヒメシンクイ、マメシンクイガ、モモシンクイガ、ブドウスカシバ、チャノホソガ、コナガ、イガ等の鱗翅目害虫;タバココナジラミ、オンシツコナジラミ、ミカントゲコナジラミ、ワタアブラムシ、ユキヤナギアブラムシ、リンゴワタムシ、モモアカアブラムシ、ダイコンアブラムシ、ニセダイコンアブラムシ、マメアブラムシ、コミカンアブラムシ、ミカンクロアブラムシ、ブドウネアブラムシ、ムギミドリアブラムシ、ジャガイモヒゲナガアブラムシ、チャノミドリヒメヨコバイ、フタテンヒメヨコバイ、ヒメトビウンカ、トビイロウンカ、セジロウンカ、ツマグロヨコバイ、タイワンツマグロヨコバイ、シロオオヨコバイ、ルビーロウムシ、オリーブカタカイガラムシ、サンホーゼカイガラムシ、リンゴカキカイガラムシ、アカマルカイガラムシ、アカホシマルカイガラムシ、ヤノネカイガラムシ、クワコナカイガラムシ、ミカンコナカイガラムシ、イセリアカイガラムシ、リンゴキジラミ、ミカンキジラミ、ミナミアオカメムシ、ホソヘリカメムシ、ナシグンバイ等の半翅目害虫;イネミズゾウムシ、イネドロオイムシ、キスジノミハムシ、コロラドハムシ、テンサイトビハムシ、Diabrotica spp. 、コクゾウムシ、クリヤケシキスイ、ニジュウヤホシテントウ、インゲンマメゾウムシ、アズキゾウムシ、ヨツモンマメゾウムシ、ドウガネブイブイ、ヒメコガネ、マメコガネ、ゴマダラカミキリ、タバコシバンムシ、ヒメマルカツオブシムシ、コクヌストモドキ、ヒラタキクイムシ等の鞘翅目害虫;アカイエカ、チカイエカ、シナハマダラカ、ヒトスジシマカ、イネハモグリバエ、ダイズサヤタマバエ、イネカラバエ、イネミギワバエ、イエバエ、クロキンバエ、タマネギバエ、ウリミバエ、ミカンコミバエ等の双翅目害虫;ネギアザミウマ、カキクダアザミウマ、ミナミキロアザミウマ、イネアザミウマ、チャノキイロアザミウマ等のアザミウマ目昆虫;クロゴキブリ、ヤマトゴキブリ、ワモンゴキブリ、チャバネゴキブリ、コバネイナゴ、トノサマバッタ等の直翅目害虫;カブラハバチ等の膜翅目害虫;ナミハダニ、カンザワハダニ、ミカンハダニ、リンゴハダニ、チャノホコリダニ、ミカンサビダニ、ニセナシサビダニ、イエダニ、ツツガムシ類、ケナガコナダニ等のダニ目害虫;その他イヌノミ、アタマジラミ、ヤマトシロアリ、ヤケヤスデ、ゲジなどを挙げることが出来る。
【0022】
また本発明の組成物が防除可能な病害としては、例えばいもち病(Pyricularia 0ryzae)、紋枯病(Rhizoctonia solani)などを挙げることが出来る。
【0023】
【実施例】
次に製剤例をあげて本発明の殺虫殺菌組成物を具体的に説明するが、有効成分の含量、担体、補助剤などの補助成分の種類と含量及び対象の害虫等はこれに限定されることは言うまでもない。
【0024】
尚、化合物1とあるのは、一般式(1)に含まれる化合物であるR1は水素原子、R2は水素原子、R3はメチル基、R4は水素原子で表される化合物を指している。また部とあるのは重量部を表す。
【0025】
製剤例 1
化合物1を10部、化合物Bを40部、ソルポール355S(東邦化学製、界面活性剤)10部、ソルベッソ150(エクソン製)40部、以上を均一に攪拌混合して乳剤を得た。
【0026】
製剤例 2
化合物1を10部、化合物Cを40部、ソルポール355S(東邦化学製、界面活性剤)10部、ソルベッソ150(エクソン製)40部、以上を均一に攪拌混合して乳剤を得た。
【0027】
製剤例 3
化合物1を10部、化合物Dを40部、ソルポール355S(東邦化学製、界面活性剤)10部、ソルベッソ150(エクソン製)40部、以上を均一に攪拌混合して乳剤を得た。
【0028】
製剤例 4
化合物1を10部、化合物Aを20部、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム2部、リグニンスルホン酸ナトリウム1部、ホワイトカーボン5部、ケイソウ土62部、以上を均一に攪拌混合して水和剤100部を得た。
【0029】
製剤例 5
化合物1を0.3部、化合物Aを1部、ホワイトカーボン0.3部を均一に混合し、クレー98.2部、ドリレスA(三共製)0.2部を加えて均一に粉砕混合し、粉剤100部を得た。
【0030】
製剤例 6
化合物1を2部、化合物Bを2部、ホワイトカーボン2部、リグニンスルホン酸ナトリウム2部、ベントナイト92部、以上を均一に粉砕混合後、水を加えて混練し、造粒乾燥して粒剤100部を得た。
【0031】
製剤例 7
化合物1を2部、化合物Cを2部、ホワイトカーボン2部、リグニンスルホン酸ナトリウム2部、ベントナイト92部、以上を均一に粉砕混合後、水を加えて混練し、造粒乾燥して粒剤100部を得た。
【0032】
製剤例 8
化合物1を2部、化合物Dを2部、ホワイトカーボン2部、リグニンスルホン酸ナトリウム2部、ベントナイト92部、以上を均一に粉砕混合後、水を加えて混練し、造粒乾燥して粒剤100部を得た。
【0033】
製剤例 9
化合物1を10部、化合物Bを40部およびポリビニルアルコールの20%水溶液5部を充分攪拌混合した後、キサンタンガムの0.8%水溶液45部を加えて再び攪拌混合してフロアブル剤100部を得た。
【0034】
製剤例 10
化合物1を2部、化合物をA2部、ホワイトカーボン2部、リグニンスルホン酸ナトリウム2部、ベントナイト92部、以上を均一に粉砕混合後、水を加えて混練し、造粒乾燥して粒剤100部を得た。
【0035】
試験例 1 乳剤における効果(散布試験)
製剤例1〜3に準じて調製した乳剤を所定濃度の水溶液とし、ワグネルポット(1/5000アール)に3本ずつ5株を定植した水稲(品種:コシヒカリ)に3ポットあたり100ml散布した。1週間後イネいもち病菌の胞子懸濁液を噴霧接種し、高湿度条件下で栽培し、接種後10日及び20日目に病班数を調査した。防除率は次式(数1)により算出した。
【0036】
【数1】
また、接種10及び20日後に、水稲を金網円筒で覆い、内部へヒメトビウンカ雌成虫10頭づつを放って、48時間後に死虫率を調査した。死虫率は次式(数2)により算出した。
【0037】
【数2】
結果を第1表(表1)に示した。
【0038】
【表1】
【0039】
試験例 2 粒剤における試験(水面処理試験)
製剤例6〜8に準じて調製した粒剤を所定量計量し、ワグネルポット(1/5000アール)に3本ずつ5株を定植した水稲(品種:コシヒカリ)の水面に施用した。5日後にイネいもち病菌の胞子懸濁液を噴霧接種し、高湿度条件下で栽培し、薬剤処理後10日及び20日目に病班数を調査した。防除率は試験例1と同様にして算出した。
また、処理後10及び20日後に、水稲を金網円筒で覆い、内部へトビイロウンカ雌成虫10頭づつを放って、48時間後に死虫率を調査した。結果を第2表(表2)に示した。
【0040】
【表2】
【0041】
試験例 3 粒剤における試験(苗箱処理試験)
製剤例6〜8に準じて調製した粒剤を水稲(品種:コシヒカリ)の育苗箱
(30cm×60cm)に各50g処理し、翌日にワグネルポット(1/5000アール)に3本ずつ5株を定植した。翌日イネいもち病菌の胞子懸濁液を噴霧接種し、高湿度条件下で栽培し、定植後10日及び20日目に病班数を調査した。防除率は試験例1と同様にして算出した。
また、定植後10及び20日後に、水稲を金網円筒で覆い、内部へトビイロウンカ雌成虫10頭づつを放って、48時間後に死虫率を調査した。結果を第3表(表3)に示した。
【0042】
【表3】
【0043】
試験例 4 水和剤における効果(散布試験)
ワグネルポット(1/5000アール)に3本ずつ5株を定植した水稲(品種:コシヒカリ)の株元に培養したイネ紋枯病菌を接種し、紋枯病がイネ体上部に移行した適期に製剤例4に準じて調製した水和剤を所定濃度の水溶液とし、ワグネルポット(1/5000アール)に3本ずつ5株を定植した水稲(品種:コシヒカリ)に3ポットあたり100ml散布した。処理後20日及び30日目に発病株率と病班高率を調査した。被害度及び防除価は次式(数3、4、5)により算出した。
【0044】
【数3】
病班高率=最上位病班高(cm)÷草丈(cm)×100
【0045】
【数4】
被害度=(1.62×病班高率−32.4)×発病株率÷100
【0046】
【数5】
防除価=100−(処理区の被害度÷無処理区の被害度×100)
また、散布20及び30日後に、水稲を金網円筒で覆い、内部へトビイロウンカ雌成虫10頭づつを放って、48時間後に死虫率を調査した。また、薬害についても同時に調査した。結果を第4表(表4)に示した。
【0047】
【表4】
【0048】
試験例 5 粒剤における効果
ワグネルポット(1/5000アール)に3本ずつ5株を定植した水稲(品種:コシヒカリ)の株元に培養したイネ紋枯病菌を接種し、紋枯病がイネ体上部に移行した適期に製剤例10に準じて調製した粒剤(化合物1:2%、化合物A:2%)処理した。処理後20日及び30日目に発病株率と病班高率を調査した。被害度及び防除価は試験例5と同様にて算出した。
また、散布20及び30日後に、水稲を金網円筒で覆い、内部へトビイロウンカ雌成虫10頭づつを放って、48時間後に死虫率を調査した。また、薬害についても同時に調査した。結果を第5表(表5)に示した。
【0049】
【表5】
【0050】
試験例 6 粒剤における効果(苗箱試験)
製剤例6〜8、および10に準じて調製した粒剤を水稲(品種:コシヒカリ)の育苗箱に各50g処理し、翌日にワグネルポット(1/5000アール)に3本ずつ5株を定植した。定植後20、40、60及び80日後に、水稲を金網円筒で覆い、内部へトビイロウンカ雌成虫10頭づつを放って、48時間後に死虫率を調査した(数2)。また、薬害についても同時に調査した。結果を第6表(表6)に示した。
【0051】
【表6】
【0052】
【発明の効果】
本発明の殺虫殺菌組成物は、以上の試験結果から明らかなように優れた殺虫及び殺菌効果を合わせ持ち、害虫及び病害の同時防除に大いに役立ち、かつ農薬の処理回数及び施用薬量を減少させることができる。さらに、本発明の殺虫殺菌組成物は、殺虫剤単独で用いた場合より、殺虫剤としての残効性を延長させることができ、植物に対して薬害がなく、かつ温血動物に対する毒性も低く安全性が高い。また、本発明の殺虫殺菌組成物を用いた水稲の育苗箱処理は、害虫と病害を長期にわたり同時に防除できることから、農家の労力の負担を軽減するだけでなく、単位面積あたりの薬剤量を低減し、環境に対する影響を減少するのに役立つ。さらに、肥料と混合し、田植え時、または定植時に側条施肥を行うことにより、或いはサーフ剤、投げ込み剤として製剤化することで一層の省力化に役立つ。従って、本発明の殺虫殺菌組成物は農作物および園芸作物において、病害虫の同時防除及び省力化に非常に有効であり、産業上の有効性においても卓越した技術的進歩性を提供するものである。
Claims (6)
- 一般式(1)(化1)
- 殺菌活性化合物が、(E)−2−{2−[6−(2−シアノフェノキシ)ピリミジン−4−イルオキシ]フェニル}−3−メトキシアクリル酸メチルであることを特徴とする請求項1または請求項2記載の殺虫殺菌組成物。
- 殺菌活性化合物が、N−[1−(2,4−ジクロロフェニル)エチル]−2−シアノ−3,3−ジメチルブタン酸アミドであることを特徴とする請求項1または請求項2記載の殺虫殺菌組成物。
- 殺菌活性化合物が、2−(E)−メトキシイミノ−2−[(2−メチルフェノキシ)メチル]フェニル酢酸メチルであることを特徴とする請求項1または請求項2記載の殺虫殺菌組成物。
- 殺菌活性化合物が、7−チオメトキシカルボニル−1,2,3−ベンゾチアジアゾールであることを特徴とする請求項1または請求項2記載の殺虫殺菌組成物。
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