JP3624233B2 - 交流面放電型プラズマディスプレイパネル - Google Patents

交流面放電型プラズマディスプレイパネル Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、交流面放電型プラズマディスプレイパネルに関し、特に面電極の構造を改良した交流面放電型プラズマディルプレイパネルに関する。
【0002】
【従来の技術】
電場により加速した電子を放電気体に衝突させてそれを励起し、緩和過程を経て放射される紫外光を蛍光体により可視光変換して画像表示を行うプラズマディスプレイパネル(以下、PDPという)は、大画面・大容量表示の可能な薄型平面画像表示装置として知られている。特に交流(以下、ACという)放電型のPDPは、発光輝度、発光効率及び動作寿命等の点で、直流(以下、DCという)放電型のPDPよりも優れている。
【0003】
従来、この種のAC面放電型PDPとしては、例えば特開平8−22772号公報に開示されているものがある。図18は前記公報の図1に示されるPDPと同様の構造を有する従来のPDPを示す部分切断斜視図である。また、図19(a)は前記公報の図2に示される面電極と同様の構造を有する面電極を示す平面図、図19(b)はその断面図である。また、図20(a)は前記公報の図8に示される面電極と同様の構造を有する面電極を示す平面図、図20(b)はその断面図である。また、図21(a)は前記公報の図11に示される面電極と同様の構造を有する面電極を示す平面図、図21(b)はその断面図である。これらの図を参照して従来のPDPの構造について説明する。
【0004】
なお、本明細書において、垂直方向及び水平方向とは、プラズマディスプレイ装置が壁等に掛けられて使用される状況での夫々垂直方向及び水平方向をいい、夫々、図示において、列方向及び行方向に相当するものである。また、垂直方向及び水平方向は、夫々縦方向及び横方向ともいう。また、単に上下方向というときは、ガラス基板等の厚さ方向の上下方向を示す。この上下方向の基準としては、製造工程においてガラス基板に積層物が積層される方向を上方向とする。なお、スキャン電極は走査電極、コモン電極は維持電極ともいわれ、線電極はバス電極及びトレース電極ともいわれる。
【0005】
ソーダライムガラス等からなる後面基板1上には、Ag(銀)等からなるデータ電極2がセルの縦中心軸を通って縦方向(列方向)に複数形成されており、その上には、PbO(酸化鉛)、SiO(酸化シリコン)、B(酸化ホウ素)、TiO(酸化チタン)、ZrO(酸化ジルコニウム)等からなる白色誘電体層3が形成されている。白色誘電体層3上には、PbO、SiO、B、TiO、ZrO、Al等からなる複数の隔壁4aがデータ電極2と平行に縦方向に延びて形成されており、隔壁4aの側面を含む白色誘電体層3上には、赤色、緑色、青色を夫々可視発光する蛍光体層5(赤色セル用蛍光体層5a,緑色セル用蛍光体層5b,青色セル用蛍光体層5c)が交互に形成されている。
【0006】
また、ソーダライムガラス等からなる前面基板6の下面には、SnO(酸化スズ)又はITO(スズ添加酸化インジウム)等からなる複数の面電極7aが夫々セル横中心軸を挟む位置に設けられている。これらの面電極7aは、横方向(行方向)に複数配列されていると共に、縦方向(列方向)にも複数配列されている。また、各面電極7aの下層として、Ag等からなる狭幅のトレース電極8aがデータ電極2と直交するように横方向に延びて、複数対形成されている。各面電極7aとそれに対となるトレース電極8aとは、電気的に接続されており、その両者によって構成されるスキャン電極9aとコモン電極10aとが夫々横方向(行方向)に配列されていて、これらの横方向に配列されたスキャン電極群とコモン電極群は縦方向(列方向)に交互に配置されている。スキャン電極9aとコモン電極10aの下面には、PbO、SiO、B等からなる透明誘電体層11が形成されており、その下面には、MgO(酸化マグネシウム)等からなる保護層12が形成されている。
【0007】
上述の後面基板1と前面基板6とは、互いの構造物を内側にして張り合わされており、基板周縁部に設けたフリットガラス等によって気密封止されている。そしてその内部には、He(ヘリウム)、Ne(ネオン)、Ar(アルゴン)、Kr(クリプトン)、Xe(キセノン)等からなる紫外光発生用の放電気体が所定圧力で封入されている。
【0008】
なお、後面基板1側には、発光輝度を向上させるために、蛍光体層5下にTiO、ZrO等を多量に含む可視光反射層を設ける場合もある。また、前面基板6側には、色温度及び色純度を改善するために、透明誘電体層11中に赤色セル、緑色セル、青色セルに夫々対応する着色層を設ける場合もある。
【0009】
次に、従来技術の動作について説明する。ライン毎に独立して信号電圧パルスが印加されるデータ電極2と線順次で走査電圧パルスが印加されるスキャン電極9aとの間で対向放電による書込放電を起こし、壁電荷及びプライミング粒子(電子、イオン、準安定粒子等)を生成してセルの選択動作を行う。そして、走査電圧パルスに引き続き維持電圧パルスが印加されるスキャン電極9aとコモン電極10aとの間で面放電による維持放電を起こし、蛍光体層5を可視発光させてセルの表示動作を行う。
【0010】
図19に示す従来の電極構造においては、面電極7aをセル(単位発光画素)毎に設けることで面電極7aの面積を減少させ、維持放電電流を低減している。そして、面電極長L1と面電極幅W1とを最適化することで発光効率を最大としながら維持電圧を減少させ、消費電力を低減している。この結果、パネル動作時の温度上昇が抑制され、動作の信頼性が向上する。
【0011】
更に、図20及び図21に示す従来の電極構造においては、面電極7b,7cに夫々狭小部13a,13bを設けることにより、面電極7b,7cの面積をより一層減少させ、維持放電電流をより一層低減している。この結果、消費電力が図19の電極よりも低減され、パネル動作時の温度上昇がより一層抑制される。
【0012】
特に、図20及び図21に示す面電極7b、7cの場合には、予備放電(セル間の動作特性のばらつき等を軽減するための面放電)の動作時に、予備放電プラズマを面放電ギャップの近傍のみに安定して起こすことができ、さらに狭小部13a,13bがない面電極7aに比べると、予備放電と維持放電との間の可視発光強度の差を大きくできるため、表示コントラストを改善できるという利点がある。
【0013】
一方、特開2000−156167号公報には、放電ギャップを介して対向する1対の透明面電極(スキャン電極及びコモン電極)に、複数個の微小開口を設けたAC駆動方式の面放電型プラズマディスプレイパネルが開示されている。そして、前記公報には、このように、透明面電極に微小開口を設けることにより、誘電体層の厚さを薄く形成して動作電圧を低減した場合の電流密度の増大を防止し、AC−PDPの発光効率及び保護層の寿命の低下を防止できると記載されている。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の従来技術には、次のような問題点がある。先ず、図19に示す従来構造は、発光輝度は高いものの、発光効率が低く、動作負荷が大きく、書込放電(選択動作)から維持放電(表示動作)への遷移が悪く、放電干渉が大きいという問題点がある。
【0015】
図19(b)は、図19(a)のA−A線による断面図を示したものである。維持放電プラズマにおいて、蛍光体層5で可視光変換に有効利用される紫外光14の発生領域は、主に維持放電プラズマの外殻領域15a(概略、図19(b)の波線の外側の領域)である。つまり維持放電プラズマの内殻領域16a(概略、図19(b)の波線の内側の領域)は、無駄な電力を消費している領域となる。図19(b)に示す従来構造では、セル全体に維持放電プラズマが広がるため、広範囲の蛍光体層5に紫外光14が照射されて発光輝度は高くなるものの、可視光変換に有効利用されない無駄な内殻領域16aも広がるため、電力損失が大きくなり、発光効率が低下していた。この発光効率が低いと、表示動作の際に多量の電力を必要としてしまう。
【0016】
また、セルの選択動作と表示動作を行うに当たっては、面電極7aが必ずしもセル全体に均一に形成されている必要はない。面電極に要求される性能は、書込放電から維持放電への遷移を損なわずに維持放電プラズマを効果的に広げることであるから、その要求をうまく満たすように面電極を形成した方が無駄は少ない。図19に示す従来構造では、面電極7aがセル全体に広く形成されているので、面電極7aとデータ電極2との間の無駄な容量結合が大きく、余分な容量充電等に伴う動作負荷が大きかった。無駄な容量結合が増えると、容量充電に伴う消費電力が増加したり、電圧パルスの波形がなまる等してパネルの表示性能を低下させてしまう。
【0017】
更に、書込放電から維持放電への遷移に関しては、面放電ギャップ近傍の特にセル縦中心軸上(データ電極2上)の面電極上に壁電荷を高密度に形成することが重要となる。図19に示す従来構造では、面電極7aがデータ電極2上に広く形成されているので、書込放電が広範囲にばらついて起こってしまい、書込放電によって形成される壁電荷の分布が悪かった。書込放電による壁電荷の分布が悪いと、維持放電への遷移を損なうばかりでなく、縦及び横方向に隣接するセル間で放電干渉による誤点灯及び誤消灯が起こりやすくなり、動作マージンを狭めてしまう。
【0018】
そして、維持放電によって形成される壁電荷は、セル全体に満遍なく均一に分布している必要はない。図19に示す従来構造では、面電極7aがセル全体に均一に形成されているため、強い維持放電がセル全体に広がりやすく、維持放電による壁電荷がセル全体に広く分布していた。特に、非放電ギャップ側まで壁電荷が高密度に形成されてしまうと、書込放電及び維持放電、更には予備放電等に伴う消費電力が増加するばかりでなく、面電極7a上の不要な壁電荷を予備放電等によりキャンセルしきれなくなるため、縦及び横方向に隣接するセル間で放電干渉による誤点灯及び誤消灯が起こりやすくなり、動作マージンを狭めてしまう。
【0019】
なお、上述の課題を解決しようとして面電極長L1及び面電極幅W1を減少させると、発光輝度が低下したり、維持電圧が上昇する等の弊害が生じてしまう。
【0020】
また、図20に示す従来の電極構造は、発光効率が高く、書込放電から維持放電への遷移も良く、放電干渉も小さいものの、発光輝度が低く、動作負荷が大きいという問題点がある。
【0021】
図20(b)は、図20(a)のB−B線による断面図である。PDPにおいて、実際に発光輝度として観測されるのは、蛍光体層5により可視光変換された光である。従って、高い発光輝度を得るためには、蛍光体層5の可視光変換量が飽和するまでたくさんの紫外光14を蛍光体層5に広く照射するのが良い。しかしながら、図20に示す従来の電極構造では、セル縦中心軸上(データ電極2上)に設けられた狭小部13aに沿って維持放電プラズマが収縮してしまい、その体積が減少してしまうという問題点がある。維持放電プラズマの体積が減少すると、紫外光14の発生量が減少し、紫外光14を広範囲の蛍光体層5に照射できなくなるため、可視光変換量の減少による発光輝度の低下が生じてしまう。
【0022】
また、維持放電プラズマの外殻領域15bと蛍光体層5との距離が広がると、例えば代表的な紫外光14である励起Xe原子からの紫外光(共鳴線:波長147nm)と励起Xe分子からの紫外光(分子線:波長172nm)の内、共鳴線の利用効率が低下し、蛍光体層5での可視光変換量が減少してしまう。その理由は、共鳴線が基底状態のXe原子と共鳴吸収・緩和放射を繰り返しながら蛍光体層5まで到達するため、維持放電プラズマの外殻領域15bと蛍光体層5までの距離が広がってしまうと、途中で電子及びイオンの衝突による電離作用等を受けて紫外光14を放射するエネルギーを失ってしまう確率が高くなるからである。但し、図20に示す従来の電極構造では、無駄な電力を消費している維持放電プラズマの内殻領域16bが狭いため、図19に示す従来の電極構造よりも発光効率は高くなる。
【0023】
更に、図20に示す従来の電極構造では、面放電ギャップ近傍とセル縦中心軸上(データ電極2上)だけに面電極7bが形成されているため、書込放電及び維持放電によって形成される壁電荷の分布が良く、書込放電から維持放電への遷移が良くなり、放電干渉も小さくできるものの、依然として面電極7bとデータ電極2との間の無駄な容量結合が大きいため、余分な容量充電等に伴う動作負荷が大きいという問題点がある。これは、結果的に容量充電に伴う消費電力を増加させたり、電圧パルスの波形をなまらせる等してパネルの表示性能を低下させてしまうという欠点がある。
【0024】
なお、上述の課題を解決しようとして面電極幅W2を減少させると、発光輝度が低下したり、書込電圧及び維持電圧が上昇する等の弊害が生じてしまう。また、面電極長L2を増加させると、表示コントラストが低下したり、壁電荷の分布が悪くなる。
【0025】
次に、図21に示す従来の電極構造は、発光輝度及び発光効率が高く、動作負荷も小さいものの、書込放電から維持放電への遷移が悪く、放電干渉が大きいという問題点がある。
【0026】
図21(b)は、図21(a)のC−C線による断面図である。図21に示す従来の電極構造では、セル縦中心軸(データ電極2)の両側に設けられた狭小部13bに沿って維持放電プラズマがセル全体に広がりやすく、しかも狭小部13bが隔壁4側面に沿って設けられているため、図20に示す従来構造よりも維持放電プラズマの外殻領域15cと蛍光体層5との位置関係が改善され、紫外光14を広範囲の蛍光体層5へ効果的に照射でき、発光輝度と発光効率が向上する。また、面電極7cとデータ電極2との間の容量結合が小さいため、容量充電等に伴う動作負荷も小さくなる。
【0027】
しかしながら、図21に示す従来構造では、面電極7cとデータ電極2との間の重なり面積が小さすぎるため、両電極間の統計的な絶縁破壊経路(絶縁破壊確率)が減少して、書込電圧が上昇するだけでなく、書込速度も低下してしまう。更に、書込放電によって形成される壁電荷量が不足するため、書込放電から維持放電への遷移が悪くなる。この場合、書込電圧を上げたり、維持電圧を上げたりすれば、書込放電から維持放電への遷移を良くすることはできるが、動作電圧の上昇による消費電力の増加及び駆動回路への負担が避けられない。その上選択していないセルでも誤点灯及び誤消灯が生じやすくなるため、表示画質が低下してしまう。
【0028】
また、図21に示す従来構造では、横方向に隣接セルするセル間の面電極7c同士の間隔が狭いため、横方向に隣接するセル間で放電干渉による誤点灯及び誤消灯が起こりやすくなり、動作マージンを狭めてしまう。
【0029】
なお、上述の課題を解決しようとして、面電極長L3を増加させると、無駄な容量結合が大きくなり、消費電力及び動作負荷が増加したり、表示コントラストが低下する等の弊害が生じてしまう。また、面電極幅W3を減少させると、発光輝度が低くなる。
【0030】
下記表1は、上述した従来構造の特性を相対比較したものである。いずれの従来構造も一長一短があり、全ての課題を解決できる構成とはなっていない。
【0031】
【表1】
Figure 0003624233
【0032】
また、特開2000−156167号公報に記載されたPDPの面電極は、放電開始電圧を下げるために、誘電体層を薄くすると、電荷Q=容量C×電圧V、容量C=比誘電率ε×面積S/距離dに従って面電極に流れる放電電流が増加するという問題点を解決するために、面電極中に無数の微小孔を設け、その孔径と誘電体層厚とを制御することにより、実質的な面電極面積を減少させて、この実質的な面電極面積に比例して流れる放電電流を低減するものである。即ち、放電空間に作用して放電領域を規定する面電極の全体的な領域(外縁により規定される領域)の面積は変えずに、電荷が放出される実質的な面電極面積(孔を除いた面電極の面積)を減少させて、この実質的な面電極面積に比例して流れる放電電流を低減するものである。
【0033】
しかしながら、この従来技術も、放電電流の低減が期待されるものの、それに止まり、放電空間内においてプラズマを高効率で生起すると共に、プラズマを十分に広がらせるという点に関しては不十分である。
【0034】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、低消費電力で動作信頼性が高く、無駄なく放電が生じると共に、プラズマを放電空間内で十分に広がらせることができ、表示画質が優れた交流面放電型プラズマディスプレイパネルを提供することを目的とする。
【0035】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る交流面放電型プラズマディスプレイパネルは、水平方向に配列された複数対のスキャン電極及びコモン電極を備えた前面基板と、垂直方向に延びる複数のデータ電極を備えた後面基板とが、両者間に放電空間を形成するように、赤色、緑色、青色の単位発光画素を区画する隔壁を挟んで対向配置され、前記放電空間中に紫外光発生用の放電気体が導入されてなる交流面放電型プラズマディスプレイパネルであって、前記スキャン電極及び前記コモン電極は、いずれも水平方向に延びる線電極と、前記単位発光画素毎に設けられた面電極とからなり、前記各単位発光画素において前記スキャン電極及びコモン電極の各面電極は、放電ギャップをおいて離隔しており、前記面電極は、前記放電ギャップ側の第1部とその反対側の第2部とからなり、前記第1部は平面視で前記データ電極に重なる部分とこのデータ電極から水平方向にはみ出して延出する部分とを有し、前記データ電極に重なる部分には放電ギャップの反対側に突出する部分が形成されており、前記第2部は平面視で前記データ電極の両側方を垂直方向に延びる側方部分を有ることを特徴とする。
【0036】
本発明においては、面電極の形状及び配置を、セル(放電空間)内における放電の起こり方及びプラズマの広がり方が最適なものとなるように決め、輝度、発光効率及び駆動特性等と高度にバランスするように放電空間中に占める面電極(放電部)の位置を適切に設定したものである。面電極の形状及び配置を適切に規定することにより、放電が無駄なく生じ、プラズマが放電空間中で広範囲に広がり発光に寄与することができる。
【0037】
本発明に係る他の交流面放電型プラズマディスプレイパネルは、水平方向に配列された複数対のスキャン電極及びコモン電極を備えた前面基板と、垂直方向に延びる複数のデータ電極を備えた後面基板とが、両者間に放電空間を形成するように、赤色、緑色、青色の単位発光画素を区画する隔壁を挟んで対向配置され、前記放電空間中に紫外光発生用の放電気体が導入されてなる交流面放電型プラズマディスプレイパネルであって、前記スキャン電極及び前記コモン電極は、いずれも水平方向に延びる線電極と、前記単位発光画素毎に設けられた面電極とからなり、前記各単位発光画素において前記スキャン電極及びコモン電極の各面電極は、放電ギャップをおいて離隔しており、前記面電極は、前記放電ギャップ側の第1部とその反対側の第2部とからなり、前記第1部は平面視で前記データ電極に重なる部分とこのデータ電極から水平方向にはみ出して延出する部分とを有し、前記第2部は平面視で前記データ電極の両側方を垂直方向に延びる側方部分とこの側方部分に連結され平面視で前記データ電極に重なる部分とを有し、前記面電極は透明材料により形成されていることを特徴とする。
【0038】
また、前記面電極は、その前記第2部における前記放電ギャップの反対側の端部で前記線電極に接続することができる。
【0039】
更に、前記面電極の前記第2部は、▲1▼前記第1部から前記データ電極上を垂直方向に突出し又は延びる部分を有するか、▲2▼前記側方部分から相互に対向する側に延出する部分を有するか、▲3▼更に前記延出する部分は相互につながっているようにするか、▲4▼前記側方部分と、前記第1部の水平方向中央部との間を、垂直方向に対して傾斜して延びて接続する傾斜部分を有するか、▲5▼前記側方部分と、前記第1部の水平方向両端部との間を、垂直方向に対して傾斜して延びて接続する傾斜部分を有するか、▲6▼前記放電ギャップの反対側の端部を相互に接続する部分を有するか、▲7▼前記側方部分から前記線電極まで相互に近づくように垂直方向に対して傾斜して延びる傾斜部分を有するように構成することができる。▲7▼の場合において、前記傾斜部分は、前記線電極に向けて幅が狭くなるように形成でき、更に、前記傾斜部分は、平面視で前記データ電極の縁辺と重なる位置にて前記線電極に接続されているか、又は平面視で前記データ電極の幅方向中央の位置にて前記線電極に接続されているように構成することができる。
【0040】
更にまた、前記隔壁は、前記データ電極間の位置にて垂直方向に延びるように形成されているか、又は前記データ電極間の位置にて垂直方向に延びるように形成された垂直部と、水平方向に延びる水平部とを有し、この垂直部と水平部とで井桁状をなすように形成されており、この垂直部及び水平部で囲まれた空間が前記単位発光画素を構成するように形成することができる。
【0041】
なお、前記線電極は、金属材料で形成し、前記面電極は、金属材料又は透明材料で形成することができる。
【0042】
加えて、前記放電ギャップを形成する前記面電極同士の間隔は、面電極の幅方向に連続又は不連続に変化させることができる。
【0043】
また、前記面電極の前記第1部と前記2部の双方若しくは片方の形状又は面積が、前記スキャン電極側と前記コモン電極側とで相互に異なるように形成することができる。
【0044】
更に、赤色、緑色、青色の前記単位発光画素毎に、又は1つ以上の前記単位発光画素で、前記面電極の前記第1部と前記第2部の双方若しくは片方の形状又は面積が、前記スキャン電極側と前記コモン電極側とで相互に異なるように形成することができる。
【0045】
そして、前記面電極のパターン外縁部である面電極エッジ部と前記データ電極との重なり部は、少なくとも2カ所以上設けることができる。
【0046】
また、前記スキャン電極及び前記コモン電極の少なくとも一方の面電極を水平方向で隣り合う単位発光画素間で連結する導電材料を有することもできる。この導電材料は、面電極と同一の導電材料であってもよく、異なるものであってもよい。
【0047】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例に係る交流面放電型プラズマディスプレイパネルについて、添付の図面を参照して詳細に説明する。図1は、面電極の空間的役割を説明するための図である。縦方向に延びる1対の隔壁101間にセルが形成されており、縦方向(列方向)に隣接する1対の面電極100(スキャン電極及びコモン電極)は面放電ギャップ102を介して離隔している。この面放電ギャップ102の反対側においては、面電極100は非放電ギャップ103に面している。また、帯状のデータ電極104が隔壁101間で縦方向(列方向)に延びるように配置されている。
【0048】
この面電極100及び隔壁101により形成される放電空間において、領域Aは、書込放電を起こすために必要な領域である。この領域Aは、面電極とデータ電極との重なり面積をある程度確保しながら、面放電ギャップ近傍のセル縦中心軸上(データ電極上)に壁電荷が高密度に分布するようにした方が良い。領域Bは、維持放電を起こすために必要な領域である。この領域Bは、面電極の広がり面積をある程度確保しながら面放電ギャップに沿って壁電荷が高密度に分布するようにした方が良い。領域Cは、維持放電プラズマをセル全体へ効果的に広げるために必要な領域である。この領域Cは、面電極とデータ電極との重なりを避けながら壁電荷が広く分布しすぎないようにした方が良い。領域Dは、セル全体に渡る電位分布を改善し、維持放電プラズマをセル全体へ広げやすくするために必要な領域である。この領域Dは、面電極とデータ電極との重なりを抑えながら壁電荷が広く分布しすぎないようにした方が良い。領域Eは、余分な誘電体層の充電及び隔壁側面での電荷再結合による電力損失が大きい領域である。この領域Eは、横方向に隣接するセル間の放電干渉を抑制するため、ある程度面電極面積を減少させた方が良い。領域Fは、書込放電から維持放電への遷移には強く影響しない領域である。この領域Fは、無駄な放電による消費電力の増加や縦方向に隣接するセル間の放電干渉を抑制するため、ある程度面電極面積を減少させた方が良い。
【0049】
本発明は、上述の観点にたってなされたものであり、以下、本発明を具体化した実施例について、詳細に説明する。
【0050】
第1実施例
図2は、本発明の第1実施例に係るPDPの面電極構造を示す平面図である。本実施例は、面電極の形状が図18に示す従来のPDPと相違し、その他の構造はこの図18に示す従来のPDPと基本的には同一である。本実施例においては、セル毎に細幅の透明な面電極7dが略コの字型に設けられており、面電極7dの開口部(非放電ギャップ72側)の部分がトレース電極8aに接続されてスキャン電極9dとコモン電極10dを夫々形成している。そして、面電極7dの閉端部(面放電ギャップ71側)の部分により、面放電ギャップ71を形成する面電極先端部が形成されている。この1個のセルを構成するスキャン電極9d及びコモン電極10dは縦方向(列方向)に延びる1対の隔壁(図2に図示せず)間に配置され、データ電極2は平面視でこの隔壁間の中央にて縦方向に延びるように形成されている。
【0051】
このように、本実施例においては、スキャン電極9d及びコモン電極10dは面放電ギャップ71を挟んで対向しており、この面放電ギャップ71の中心線を対称線として線対称の形状を有する。これらのスキャン電極9d及びコモン電極10dの面電極7dは、いずれも面放電ギャップ71側の第1部51と、その反対側、即ち、非放電ギャップ72側の第2部52とかなる。そして、第1部51は、平面視でデータ電極2に重なる部分と、この部分から横方向(行方向)にはみ出して延出する部分とを有する。一方、非放電ギャップ側の第2部52はデータ電極2の両側方を縦方向(列方向)に延びる側方部分となっている。本実施例の第2部52はデータ電極2に平面視で重なっていないが、第2部52はこのデータ電極2に若干重なってもよい。第2部52の側方部分は、その非放電ギャップ側の端部がトレース電極8aに接続されている。
【0052】
この本発明の第1実施例に係るPDPは、図18に示す従来のPDPと同様の方法で駆動することができる。図3はこの駆動方法の一例を示すタイミングチャートである。本実施例においても、図18に示すように、データ電極上の隔壁に挟まれた放電空間に、順次、赤色セル用、緑色セル用、青色セル用、赤色セル用、緑色セル用、青色セル用・・・の蛍光体層が塗布されている。つまり、赤、緑、青の各発光セルが、横(行)方向に順次的に配列されており、行方向に配列された各行の複数個のスキャン電極9dは行方向に延びる1本のトレース電極8aに共通に接続され、同じく行方向に配列された各行の複数個のコモン電極10dは隣接する他のトレース電極8aに共通接続されている。
【0053】
図3は第n行目のスキャン電極をSn、コモン電極をCmとして、各電極に印加される駆動波形を示すタイミングチャートである。
【0054】
スキャン電極Sn、Sn+1、Sn+2、Sn+3、…には、走査パルスが順次印加される。このタイミングに合わせて、データ電極Djに当該スキャン電極上の表示セルの表示データに応じて、走査パルスとは逆極性のデータパルスが印加される。これにより、スキャン電極Sn、…とデータ電極Djとの間に対向放電が発生する。この対向放電による書込み動作により、スキャン電極Sn、…の表面に正電荷の壁電荷が生成される。壁電荷が生成された表示セルでは、その後にコモン電極Cmとスキャン電極Sn、…との間に印加される維持パルスにより面放電が発生する。
【0055】
一方、データパルスが印加されず、データ電極とスキャン電極との間で放電が発生しなかったため、壁電荷が生成されずに書込みがなされなかった表示セルでは、壁電荷による電場の重畳効果がないため、コモンパルスが印加されても維持放電は発生しない。
【0056】
そして、壁電荷が生成された表示セルに維持パルスを所定の回数印加することにより、発光表示が行われる。
【0057】
なお、コモン電極Cmには走査パルスのように1本ごとに選択されるパルスを印加する必要がないため、各コモン電極Cmは共通接続され、図3に示すように、同じ電圧波形が印加されている。また、実用パネルでは書込み動作性向上のために、書込み動作に先だって全てのセルに高電圧が印加され、強制的に放電が行われる予備放電動作等により、セル内の活性化及び適当な壁電荷生成が図られている。
【0058】
図2に示す本実施例の電極構造では、面電極7dの放電ギャップ側先端部(第1部51)の外縁がセル縦中心軸を頂点として曲線形状となっており、隅部が曲線状をなしている。これにより、面電極7dの面積を増やさずに、面電極長L4を延ばして、面電極7dの放電ギャップ側先端部における面電極7dとデータ電極2との間の重なり面積を増やことができる。このため、書込電圧の上昇及び書込速度の低下を抑制することができる。また、書込放電による壁電荷量を増やすことができるため、従来よりも動作マージンを広げることができる。更に、放電ギャップ長がセル縦中心軸でd、横方向端部でd(d<d)と、セル縦軸中心から横方向外側に向って徐々に長くなるため、面電極先端部におけるデータ電極2上の領域(第1部51の横方向中央)の面積が最も大きくなり、そこでの壁電荷量を最も多くすることができる。この結果、従来よりも面電極7d上の壁電荷分を改善することができ、書込放電から維持放電への遷移を良くすることができる。
【0059】
また、図2に示す本実施例の電極構造では、放電ギャップ長は、セル縦中心軸付近の放電ギャップ長dが最も短くなるので、セル縦中心軸付近での維持放電確率を最も高くすることができる。そして、面電極先端部における予備放電及び維持放電の収束度が増すため、予備放電及び維持放電開始初期の強放電が縦及び横方向に隣接するセルへ強く影響することを防ぐことができる。この結果、従来よりも表示コントラストを向上させることができ、放電干渉も軽減することができる。
【0060】
更に、図2に示す本実施例の電極構造では、面電極先端部の外縁の隅部において図19乃至図21に示したような直角部(90゜)17が無くなるため、電場の歪みに起因した局部的イオン衝撃による保護層12の劣化、導電性遮光析出物の成長による動作電圧の変動、及び発光輝度の低下等の問題点を、軽減できるという副次的効果もある。この結果、従来よりもパネルの動作寿命を延ばすことができる。なお、導電性遮光析出物とは、ソーダライムガラス前面基板中のNa(ナトリウム)イオンが、コモン電極よりも負バイアスされる時間が長いスキャン電極側に偏析し、そこで鉛ガラス透明誘電体層中のPbOを主に還元して成長するPb(鉛)を主成分とした金属性樹枝状晶のことをいう。
【0061】
なお、図2に示す本実施例の電極構造では、面電極7dとデータ電極2との間の容量結合は増えるものの、面電極7d面積自体は増えないため、維持放電に伴う消費電力を増加させずに済むという利点がある。また、本実施例の面電極は、図19に示す矩形の面電極と異なり、放電セル内に占める面積が少ないから、これを透明でない金属電極で形成することもできる。
【0062】
図4は、本発明の第1の実施例に係るPDPの面電極構造の第1の変形例を示す平面図である。図4に示す電極構造は、図2に示す電極構造に対し、更に、面電極先端部(第1部51)の内縁もセル縦中心軸を頂点とした曲線形状とした点が相違する。これにより、この図4に示す面電極も、図2に示す面電極と同様の作用効果を得ることができる他に、面放電ギャップに作用する面電極先端部のセル縦中心軸付近における壁電荷の影響をより強調することができる。この結果、図2に示す面電極よりもその性能を向上させることができる。
【0063】
図5(a)乃至(c)は第1実施例の電極構造の他の変形例を示す平面図である。面電極の放電ギャップ側の先端部及びその隅部の形状は、図2及び図4に示すものに限らず、図5(a)に示すように、セル縦中心軸の近傍で横方向に延びる直線形状を有し、隅部でこの直線形状(セル縦中心軸付近)と曲線形状(面電極角部)とを組み合わせたものでも良いし、図5(b)に示すように、セル縦中心軸から横方向に向けて曲線形状を有していれば、横方向の端部においてこの曲線形状と直線形状(面電極角部)とを組み合わせたものでも良いし、図5(c)に示すような複数の鈍角部(91゜以上180゜未満)の組み合わせでも良い。いずれの形状でも図2及び図4に示す第1実施例の電極構造と同様の作用及び効果を得ることができる。
【0064】
また、図2乃至図5に示す第1実施例の電極構造では、曲線形状部の曲率及び直線形状部の長さ、鈍角部の角度及び個数等を調整して赤色、緑色、青色の各セルにおける蛍光体層5及び着色層等の違いによる動作電圧の差を軽減したり、各色の発光輝度比を変えて色温度及び色純度を改善することもできる。
【0065】
更に、面電極同士の間隔、即ち面放電ギャップ71が連続的又は不連続的に広がっていくため、狭ギャップ部の放電をトリガにして広ギャップ部の放電が誘起され、これに伴う発光輝度及び発光効率の向上が達成できる。これは、陽光柱の効果と考えられている。
【0066】
陽光柱とは、プラズマ発光状態の1つであり、電圧降下量の割に紫外線の放射量が多いため、この領域が増加すると発光輝度及び発光効率が向上する。そして、この陽光柱領域は、電極間距離を延ばすほど長く成長する。ちなみに、蛍光灯の発光効率が高いのは、この陽光柱を利用しているからである。
【0067】
本発明のプラズマディスプレイパネルのように、誘電体(絶縁体)層に交流電界を印加して発生させるバリア放電では、放電開始と共に面電極上の誘電体層表面に印加電圧とは逆極性の壁電荷が形成されるため、実効的な印加電圧は時間的に変位し、放電は過渡的となって最後には停止する。従って、このようなバリア放電では、直流放電のような純然たる陽光柱は成長しないが、放電が過渡的に変化する以前の瞬間においては、直流放電に類似した成長挙動を見せるため、バリア放電であっても放電ギャップの増加に伴って陽光柱と類似の効果を得ることができるようになる。
【0068】
第2実施例
図6は、本発明の第2実施例に係るPDPの面電極構造を示す平面図である。セル毎に細幅の面電極7fが略コの字型に形成されており、面電極7fの開口部側(非放電ギャップ72側)の部分がトレース電極8aに接続されてスキャン電極9fとコモン電極10fが夫々形成されている。そして、面電極7fの閉端部側(面放電ギャップ71側)の部分により、面放電ギャップを形成する面電極先端部が形成されている。本実施例においては、面電極7fの面放電ギャップ71側の第1部51はその外縁の隅部が曲線形状に形成されていないが、データ電極2の両側方を列方向に延びる側方部分を有する第2部52は、第1部51から非放電ギャップ72側に向けて若干突出する突出部18aを有する。
【0069】
即ち、図6に示す本実施例の電極構造では、面電極7fの放電ギャップ側の第1部51の内縁側に面放電ギャップ側から非放電ギャップ側へ伸びる縦方向の突出部18aが設けられている。これにより、面電極先端部における面電極7fとデータ電極2との間の重なり面積を増やすことができる。このため、書込電圧の上昇及び書込速度の低下を抑制することができる。また、書込放電による壁電荷量を増やすことができるため、従来よりも動作マージンを広げることができる。更に、面電極先端部におけるデータ電極2上の面電極7fの面積が最も大きくなるため、そこでの壁電荷量を最も多くすることができる。この結果、従来よりも面電極7f上の壁電荷分布を改善することができ、書込放電から維持放電への遷移を良くすることができる。
【0070】
また、図6に示す第2実施例の面電極の構造では、セル縦中心軸付近の壁電荷密度を最も高くできるため、そこでの維持放電確率を最も高くすることができる。そして、従来よりも低い電圧で予備放電及び維持放電を起こすことができるため、予備放電及び維持放電開始初期の強放電が縦及び横方向に隣接するセルへ強く影響することを防ぐことができる。この結果、従来よりも表示コントラストを向上させることができ、放電干渉も軽減することができる。
【0071】
更に、図6に示す電極構造では、データ電極2と重なる面電極エッジ部が増加するため、面電極エッジ部の電場歪みによるトリガ効果(面電極エッジ部に集中した電気力線により電場が歪み、電気力線に捕捉される電子数及び電場強度が増加して放電が起こりやすくなる効果)によって書込放電の低電圧化及び高速化が可能になるという副次的効果もある。この結果、従来よりもパネルの表示性能を向上させることができる。
【0072】
なお、図6に示す電極構造では、面電極7fとデータ電極2との間の容量結合は増えるものの、無駄な面電極7fの面積は増やさないため、容量結合が増えることの不利を補うより高い効果が得られる。
【0073】
図7は、第2実施例に係るPDPの面電極構造の第1の変形例を示す平面図である。図7に示す面電極は、図6に示す面電極に対し、第1部51からデータ電極2上を非放電ギャップ72側に向けて突出する突出部18bがトレース電極8aと接続される位置まで細長く伸びている点が異なる。これにより、図6に示す面電極と同様の作用及び効果を得ることができる他に、維持放電プラズマが突出部18bに沿って広がりやすくなるため、維持放電プラズマの制御性及び発光輝度を向上させることができる。この結果、図6に示す面電極の構造よりもその性能を向上させることができる。
【0074】
なお、図6と図7に示す突出部18a,18bの形状は、台形状に限定される必要はなく、三角形状又は方形状及び曲線形状等種々の形状にすることができる。また、複数の鋭角部及び鈍角部からなる多角形状でも良いし、直線と曲線の組み合わせからなる形状であっても良い。いずれの形状でも、図6及び図7に示す電極構造と同様の作用及び効果を得ることができる。
【0075】
また、図6及び図7に示す電極構造では、突出部18a,18bの長さ及び幅を調整して第1の実施例よりも簡便に赤色、緑色、青色の各セルにおける蛍光体層5及び着色層等の違いによる動作電圧の差を軽減したり、各色の発光輝度比を変えて色温度及び色純度を改善することもできる。
【0076】
更に、図6及び図7に示す突出部18a,18bは、1個に限定されるものではなく、複数個形成することもできる。データ電極2上の面電極部分に複数の突出部を設けた場合には、面電極エッジ部のトリガ効果による書込放電の低電圧化及び高速化を実現できる。また、その位置もセル縦中心軸上に限定されるものではない。データ電極2と重なる面電極先端領域であれば同様の作用効果を得ることができる。加えて、その突出方向も垂直方向だけではなく、斜め方向であってもかまわない。
【0077】
そして、図6及び図7に示す本発明の構成(突出部)を図2乃至図5に示す本発明の構造に適用すればその性能をより向上させることができる。
【0078】
第3実施例
図8は、本発明の第3実施例に係るPDPの面電極構造を示す平面図である。セル毎に細幅の面電極7hが略コの字型に設けられており、面電極7hの開口部側(非放電ギャップ側)の第2部52がトレース電極8aに接続されてスキャン電極9hとコモン電極10hを夫々形成している。そして、面電極7hの閉端部側(面放電ギャップ側)の第1部51により、面放電ギャップ71を形成する面電極先端部が形成されている。
【0079】
図8に示す第3実施例の電極構造においては、第1部51からデータ電極2の側方を非放電ギャップ72側に延びる第2部52の相互に対向する縁辺からその対向方向に、即ちセル縦中心軸側に突出する横方向の突出部19aが設けられている。これにより、面電極7hの第2部52において、面電極7hとデータ電極2との間の重なり面積を増やすことができる。このため、書込電圧の上昇及び書込速度の低下を抑制することができる。また、書込放電による壁電荷量も増やすことができるため、従来よりも動作マージンを広げることができる。更に、面電極7hの第1部51だけではなく、それより非放電ギャップ72側のデータ電極2上の面電極7h部分にも壁電荷が形成されるため、セル縦中心軸付近の壁電荷量を最も多くすることができる。この結果、従来よりも面電極7h上の壁電荷分布を改善することができ、書込放電から維持放電への遷移を良くすることができる。
【0080】
また、図8に示す電極構造では、セル縦中心軸付近の壁電荷密度を最も高くできるため、そこでの維持放電確率を最も高くすることができる。そして、従来よりも低い電圧で予備放電及び維持放電を起こすことができるため、予備放電及び維持放電開始初期の強放電が縦及び横方向に隣接するセルへ強く影響することを防ぐことができる。この結果、従来よりも表示コントラストを向上させることができ、放電干渉も軽減することができる。
【0081】
更に、図8に示す電極構造では、データ電極2と重なる面電極エッジ部が増加するため、面電極エッジ部の電場歪みによるトリガ効果によって書込放電の低電圧化及び高速化が可能になるという副次的効果もある。この結果、従来よりもパネルの表示性能を向上させることができる。
【0082】
なお、図8に示す電極構造では、面電極7hとデータ電極2との間の容量結合は増えるものの、無駄な面電極7h面積は増やさないため、容量結合が増える以上の高い効果が得られるという利点がある。
【0083】
図9は、本発明の第3実施例の面電極構造の第1の変形例を示す平面図である。この変形例においては、図8に示す本発明の構成に対し、突出部19b同士が接続されている点が異なる。これにより、図8に示す電極構造と同様の作用効果を得ることができると共に、維持放電プラズマが突出部19bに沿って広がりやすくなるため、維持放電プラズマの制御性及び発光輝度を向上させることができる。この結果、図9に示す面電極構造は、図8に示す面電極構造よりもその性能を向上させることができる。
【0084】
なお、図8と図9に示す突出部19a,19bの形状は、台形状に限定される必要はなく、三角形状又は方形状及び曲線形状等でも良い。また、複数の鋭角部及び鈍角部からなる多角形状でも良いし、直線と曲線の組み合わせからなる形状であっても良い。いずれの形状でも図8及び図9に示す面電極構造と同様の作用と効果を得ることができる。
【0085】
また、図8及び図9に示す面電極構造では、突出部19a,19bの長さ及び幅を調整して第1の実施例よりも簡便に赤色、緑色、青色の各セルにおける蛍光体層5及び着色層等の違いによる動作電圧の差を軽減したり、各色の発光輝度比を変えて色温度及び色純度を改善することもできる。
【0086】
更に、図8及び図9に示す突出部19a,19bの数は、1個に限定されるものではなく、複数個形成してもよい。データ電極2上の面電極先端部の背面に複数の突出部を設けた場合には、面電極エッジ部のトリガ効果による書込放電の低電圧化及び高速化が可能となる。また、その位置も面放電ギャップ側に限定されるものではない。非放電ギャップ側に設けた場合は、維持放電時の電位分布が改善されて維持放電プラズマを広げやすくなる。加えて、その突出方向も水平方向だけではなく、例えば、斜め方向であってもかまわない。また、互い違いに突出していてもよい。そして、図8及び図9に示す面電極構造(突出部)を図2乃至図5に示す本発明の構造に適用すればその性能をより向上させることができる。
【0087】
第4実施例
図10は、本発明の第4実施例に係るPDPの面電極構造を示す平面図である。セル毎に細幅の面電極7jが略πの字型に設けられており、面電極7jの開口部(非放電ギャップ側)の第2部52がトレース電極8aに接続されてスキャン電極9jとコモン電極10jを夫々形成している。そして、面電極7jの閉端部(面放電ギャップ側)の第1部51により、面放電ギャップ71を形成する面電極先端部が形成されている。
【0088】
図10に示す実施例の面電極7jにおいては、第2部52は、第1部51のセル縦中心軸上の位置から、データ電極2の側方を縦方向に延びる側方部分まで縦方向に対して傾斜して伸びる傾斜部分を有する。これにより、面電極先端部における面電極7jとデータ電極2との間の重なり面積を増やすことができる。このため、書込電圧の上昇及び書込速度の低下を抑制することができる。また、書込放電による壁電荷量を増やすことができるため、従来よりも動作マージンを広げることができる。更に、面電極先端部におけるデータ電極2上の面電極7j面積が広がるため、そこでの壁電荷量を多くすることができる。この結果、従来よりも面電極7j上の壁電荷分布を改善することができ、書込放電から維持放電への遷移を良くすることができる。
【0089】
また、図10に示す面電極構造では、セル縦中心軸付近の壁電荷密度を最も高くできるため、そこでの維持放電確率を最も高くすることができる。そして、従来よりも低い電圧で予備放電及び維持放電を起こすことができるため、予備放電及び維持放電開始初期の強放電が縦及び横方向に隣接するセルへ強く影響することを防ぐことができる。その上、横方向に隣接セルするセル間で面電極7j同士の結合を減少することができるため、特に横方向に隣接するセルへのプラズマ拡散を抑制することができる。この結果、従来よりも表示コントラストを向上させることができ、放電干渉も軽減することができる。
【0090】
更に、図10に示す面電極構造では、データ電極2と重なる面電極エッジ部が増加するため、面電極エッジ部の電場歪みによるトリガ効果によって書込放電の低電圧化及び高速化が可能になるという副次的効果もある。この結果、従来よりもパネルの表示性能を向上させることができる。
【0091】
なお、図10に示す面電極構造では、面電極7jとデータ電極2との間の容量結合は増えるものの、無駄な面電極7j面積は増やさないため、容量結合が増える不利を補ってそれ以上の高い効果が得られるという利点がある。
【0092】
図11は、本発明の第4実施例の面電極構造の第1の変形例を示す平面図である。図11に示す面電極7kは、図10に示す面電極7jに対し、第2部52の傾斜部分が、第1部51の横方向端部と、データ電極2を挟んで反対側のデータ電極側方を縦方向に延びる側方部分とを接続している点が異なり、本変形例の傾斜部分はX字状をなして交差している点が図10と異なる。これにより、図10に示す面電極7jと同様の作用効果を得ることができると共に、面電極7kの放電ギャップ側先端部の第1部51の外に、非放電ギャップ側の部分にも壁電荷が形成されるため、維持放電プラズマがより広がりやすくなり、維持放電プラズマの制御性や発光輝度を向上させることができる。この結果、図10に示す面電極構造よりもその性能を向上させることができる。
【0093】
なお、図10と図11に示す斜め方向の電極部は、垂直方向に伸びる部分を有してカギ型に屈曲していても良く、またその一部に水平方向に伸びる電極部を備えていても良い。
【0094】
また、図10及び図11に示す面電極構造では、斜め方向の電極部の長さ、幅、及び角度等を調整して、第1の実施例と同様に、赤色、緑色、青色の各セルにおける蛍光体層5及び着色層等の違いによる動作電圧の差を軽減したり、各色の発光輝度比を変えて色温度及び色純度を改善することもできる。
【0095】
更に、図10及び図11に示す斜め方向の電極部及び交差部の数は、特に限定されるものではない。その数を適宜増やした場合には、面電極エッジ部のトリガ効果による書込放電の低電圧化及び高速化を実現できる。また、その位置も特に限定されるものではない。データ電極2と重なる面電極先端領域であれば同様の作用と効果を得ることができる。
【0096】
そして、図10及び図11に示す面電極構造に、図2乃至図5に示す実施例の構成(面電極先端部の形状)を適用すれば、その性能をより向上させることができる。
【0097】
第5実施例
図12は、本発明の第5実施例に係るPDPの面電極構造を示す平面図である。セル毎に細幅の面電極7Lが略コの字型に設けられており、面電極7Lの開口部側(非放電ギャップ側)の第2部52がトレース電極8aに接続されてスキャン電極9Lとコモン電極10Lを夫々形成している。そして、面電極7Lの閉端部側(面放電ギャップ側)の第1部51により、面放電ギャップを形成する面電極先端部が形成されている。
【0098】
図12に示す第5実施例の面電極7Lは、データ電極2の側方を縦方向に延びる側方部分を有する第2部52が、この側方部分からトレース電極8aに向けて、セル縦中心軸側へ近づくように傾斜すると共に、徐々に狭くなるようにくびれており、くびれ部20aが形成されている。これにより、維持放電に関与する電位分布が非放電ギャップ72側へ行くにしたがい、徐々にセル縦中心軸付近に収束していくため、維持放電プラズマもまたその電位分布にしたがって収束しやすくなる。この結果、従来よりも縦及び横方向に隣接するセル間の放電干渉を軽減することができる。
【0099】
図13は、この第5実施例における面電極構造の第1の変形例を示す平面図である。図13の面電極7mは、図12に示す面電極7Lに対し、1対のくびれ部20bが平面視でデータ電極上の部分でつながり、共通して1点でトレース電極8aに接続されている。このように、本変形例においては、面電極7mが閉じた形状を有し、くびれ部20bが相互につながっている。これにより、図12に示す面電極7Lと同様の作用効果を得ることができる他に、維持放電プラズマの収束度がより増してプラズマの制御性をより向上させることができる。この結果、図12に示す面電極7Lよりもその性能を向上させることができる。
【0100】
なお、図12及び図13に示すくびれ部20a,20bの形状は、曲線的であっても良いし、複数の鈍角部の組み合わせでもあっても良い。いずれの形状でも図12及び図13に示す面電極と同様の作用効果を得ることができる。
【0101】
そして、図12及び図13に示す面電極構造(くびれ部)を図2乃至図9に示す本発明の構造に適用すればその性能をより向上させることができる。
【0102】
更に、図2乃至図5に示す面電極構造(面電極先端部の形状)と、図12又は図13に示す面電極の構造(くびれ部)を図6乃至図9に示す面電極構造に適用すれば、その性能をより一層向上させることができる。
【0103】
本発明の最大の特徴は、面電極の果たす空間的役割を過不足無く網羅する構成となっていることである。従って、上述した本発明の面電極構造を組み合わせることにより、種々の有用な作用と効果が期待できるようになる。つまり、本発明によれば、図2乃至図13に示す面電極構造を種々組み合わせて所望の性能を容易に得ることができる。また、従来の技術に本発明の技術の一部を適用しても高性能化が実現できることは明らかである。
【0104】
図14(a)乃至(h)は本発明の面電極構造の組み合わせ例を示す平面図である。例えば、図14(a)は、図5(a)と図6に示す構成を組み合わせた例である。図14(b)は、図5(a)と図6と図12に示す構成を組み合わせた例である。図14(c)は、図5(a)と図6と図8に示す構成を組み合わせた例である。図14(d)は、図5(a)と図6と図8と図12に示す構成を組み合わせた例である。図14(e)は図5(a)と図6に示す構成とを組み合わせ、かつ縦方向突出部がトレース電極8aと接続されない位置まで伸長した場合である。図14(f)は、図5(a)と図9に示す構成を組み合わせた例である。図14(g)は、図5(a)と図9と図12に示す構成を組み合わせた例である。図14(h)は、図5(a)と図9に示す構成を組み合わせ、かつ互いに接続された横方向突出部の数を二つに増やした場合である。図14(i)は、図5(a)と図9と図12に示す構成を組み合わせ、かつ互いに接続された横方向突出部の数を二つに増やした場合である。図14(j)は図5(a)と図8に示す構成とを組み合わせ、かつ横方向突出部が互い違いに配置された場合である。
【0105】
第6実施例
図15は、本発明の第6実施例に係るPDPを示す部分切断斜視図である。パネルの構成はほぼ図18に示す従来のPDP構造と同じであるが、隔壁4bが単位セルの四方を取り囲む格子状となっている。即ち、隔壁は列(縦)方向に延びる部分と、行(横)方向に延びる部分とを有し、それらが格子状に交差して隔壁に4方を取り囲まれた単位セルが構成されている。また、面電極21は、図2と図6と図13に示す構成を組み合わせた構造をしており、更に、縦(列)方向に隣接するセルについての1対の面電極21が一体化してセル間に設けられた共通のトレース電極8bに接続されている。
【0106】
図15に示すPDP構造では、図18に示す従来構造で存在していた非放電ギャップが存在しなくなるため、面電極21をセル全体に広く形成できるようになる。この結果、セルの開口率が上がり、維持放電プラズマの体積も増えるため、従来よりも発光輝度及び発光効率を向上させることができる。
【0107】
次に、図15に示す第6実施例のPDPの動作について説明する。図16はこのPDPの駆動方法を示すタイミングチャートである。列方向に複数本配列されたトレース電極8bに、夫々E,E,E,E,E,E・・・の信号が印加され、列方向に延びるデータ電極2にDjの信号が印加される。1本のトレース電極に共通接続され、縦(列)方向に隣接する1対の面電極21のうち、縦方向の上側の面電極21がスキャン電極、下側の面電極21がコモン電極であるとする。また、このスキャン電極とコモン電極は図15に示すように同一形状をなしているが、保護膜の厚さを異ならせる等して、スキャン電極用の面電極21とデータ電極との間の対向放電の開始電圧の方が、コモン電極用の面電極21とデータ電極との間の対向放電開始電圧よりも低いとする。そうすると、信号Eを印加するトレース電極8bにパルスを印加した場合に、このトレース電極8bに共通接続され、列方向に隣接する1対の面電極21のうち、列方向の上側の面電極(スキャン電極)とデータ電極との間でのみ対向放電が発生する。
【0108】
図16に示すように、先ず、駆動装置は、書込期間において、電極Eから順に走査パルスを垂直方向に印加し、表示データに応じて走査パルスと同期してデータ電極D1に走査パルスと逆極性のデータパルスを印加する。このとき、本実施例ではトレース電極8bの上側に配置された面電極21の方が、下側に配置された面電極21より低い電圧でデータ電極2との間で対向放電が発生するため、適当な走査パルス電圧及びデータパルス電圧の印加により、この上側の面電極でのみ書込放電を発生させることができる。
【0109】
例えば、信号Eの走査パルス印加時に第3行目の表示データに基づいて選択されたデータ電極にデータパルスを印加し、データ電極の電位がグランド電位にある場合は、面電極と選択されたデータ電極との間で対向放電が発生し、選択された面電極の近傍に壁電荷が生成される。このとき、同じ電圧の走査パルスが印加されているにも拘わらず、コモン電極用の面電極21とデータ電極との間では対向放電が発生しないため、このコモン電極用の面電極に走査パルスが印加されてもその表示セルでは面電極21の近傍に壁電荷は生成されない。また、水平隔壁により、1本のトレース電極に共通接続されて列方向に隣接する1対のスキャン電極用面電極21とコモン電極用面電極21とが仕切られているため、スキャン電極用面電極の表示セルで放電が生じても、コモン電極用面電極の表示セルにまで放電が拡がることはない。
【0110】
書込みが終了した後、駆動装置は、図16に示すように、各両側面放電電極に維持放電パルスを印加する。維持放電パルスは隣接するトレース電極8b間で交流パルス印加となるように交互に印加され、面放電ギャップを挟んで対向するスキャン電極用面電極とコモン電極用面電極との間で面放電が発生する。この維持放電も、水平隔壁が存在しているため、縦方向において隣接する表示セル間で相互に影響を及ぼすことはない。同様に、垂直隔壁が存在すると共に、面電極が横方向で分離されている形状を有するため、横方向で隣接する表示セル間においても干渉はない。このような一連の駆動をサブフィールド毎に繰り返すことにより、フルカラー表示を行うことができる。
【0111】
なお、書き込み放電を一方の面電極でのみ発生させるために、面電極の形状を縦方向の上下で異ならせても良い。
【0112】
本発明においては、細幅の面電極をその空間的役割に合わせて無駄なく、効果的に配置することを最大の特徴としている。このため、面電極の幅、長さ及びその数等は適宜変更されることになる。つまり、上述した本発明の構成を含む限り、面電極の構造は限定されない。またその特徴によって従来よりも面電極面積を減少させることができるため、面電極を従来の透明導電材料ではなく、金属材料で形成してもセルの開口率低下が小さくて済む利点がある。この場合、従来の面電極形成に関わる製造工程(維持放電面積を稼ぐための透明面電極形成工程と配線抵抗を低減するためのトレース電極形成工程)を一括化し、簡略化できるため、製造歩留まりの向上や製造コストの削減が可能となる。この結果、従来よりも低価格のPDPを提供することができる。
【0113】
なお、図2乃至図16に示す本発明の実施例では、面電極が孤立した島状に形成され、各面電極間がトレース電極によって横方向に連結された構造となっているが、面放電ギャップ側と反対側の面電極部が同一材料によって横方向に連結された構造であっても良い。そして、その横方向に伸長した面電極部の上又は下にトレース電極を設けても良い。
【0114】
第7実施例
図17は、本発明の第7実施例に係るPDPの面電極構造を示す図であって、(a)は放電ギャップ側で面電極が相互に連結された例を示す平面図、(b)は放電ギャップ側と非放電ギャップ側との中間部で面電極が連結された例を示す平面図、(c)は非放電ギャップ側で面電極が連結された例を示す平面図である。本実施例では、行方向(横方向)において隣り合うセル間で面電極が連結されている。
【0115】
例えば、図17(a)に示すように、図14(e)に示す面電極と同様の形状の面電極7nが行方向(横方向)において隣り合うセル81間で連結部105aにより放電ギャップ71側で連結されているか、図17(b)に示すように、図4に示す面電極7eと同様の形状の面電極7oが行方向(横方向)において隣り合うセル81間で連結部105bにより放電ギャップ71側と非放電ギャップ72側との中間部で連結されているか、又は、図17(c)に示すように、図13に示す面電極7mと同様の形状の面電極7pが行方向(横方向)において隣り合うセル81間で連結部105cにより非放電ギャップ72側、例えばトレース電極8a上で連結されている。
【0116】
図17(a)に示す面電極構造では、面電極7n、トレース電極8a及び連結部105aから、夫々スキャン電極9n及びコモン電極10nが構成され、図17(b)に示す面電極構造では、面電極7o、トレース電極8a及び連結部105bから、夫々スキャン電極9o及びコモン電極10oが構成され、図17(c)に示す面電極構造では、面電極7p、トレース電極8a及び連結部105cから、夫々スキャン電極9p及びコモン電極10pが構成される。
【0117】
なお、連結部105a乃至105cは、例えば面電極7n等と同一の導電材料から構成されるが、これとは異なる導電材料から構成されていてもよい。
【0118】
このような第7の実施例においては、個々の面電極同士をトレース電極以外でも電気的に連結しているので、電極配線の断線又はひび等による構造欠陥が減少して、パネルの製造歩留まりを改善することができるようになる。
【0119】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明のPDPによれば、面電極先端部における壁電荷量を増やすことができるため、従来よりも書込放電から維持放電への遷移を向上させ迅速化することができる。このため、従来よりも動作マージンを広げることができ、表示画質を向上させることができる。
【0120】
また、本発明のPDPによれば、面電極先端部における予備放電プラズマの収束度及び面放電ギャップ側から非放電ギャップ側へ向かう維持放電プラズマの収束度を増すことができるため、従来よりも隣接セル間の放電干渉を軽減することができる。このため、従来よりも動作マージンを広げることができ、表示画質を向上させることができる。また表示コントラストも向上させることができる。
【0121】
更に、本発明のPDPによれば、局部的イオン衝撃による保護層劣化及び導電性遮光析出物の成長を緩和できるから、従来よりも動作電圧の変動ならびに発光輝度の低下等を軽減することができる。このため、従来よりもパネルの動作寿命を延ばすことができる。
【0122】
また、本発明のPDPによれば、面電極に設けた構成要素を調整して発光輝度及び発光効率を損なわずに個々の特性を制御することができるから、従来よりもセル間における動作電圧の差を軽減して色温度及び色純度を改善することができる。このため、従来よりも表示画質を向上させることができる。
【0123】
更に、本発明のPDPによれば、面放電ギャップが連続的又は不連続的に広がっており、狭ギャップ部の放電をトリガにして広ギャップ部の放電が誘起されるため、陽光柱効果による発光輝度及び発光効率の向上が達成できる。このため、従来よりもパネルの消費電力を下げることができ、発熱等に伴う信頼性の低下等も軽減することができる。
【0124】
更にまた、本発明のPDPによれば、面電極エッジ部のトリガ効果によって放電を起こしやくなるから、従来よりも低電圧で素早く書込放電を起こすことができる。このため、従来よりも動作マージンを広げることができ、表示画質を向上させることができる。
【0125】
また、本発明のPDPによれば、面電極を従来のような透明導電材料ではなく、金属材料で形成することもできるから、従来よりも製造歩留まりを向上させ、製造コストを削減することができる。このため、従来よりも低価格のPDPを提供することができる。
【0126】
その上、本発明のPDPによれば、個々の面電極同士を線電極以外(面電極と同じ導電材料)でも電気的に連結することができるから、電極配線の断線又はひび等による構造欠陥を減少させることができる。このため、従来よりもパネル製造歩留まりを改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】面電極の空間的役割を説明する平面図である。
【図2】本発明の第1の実施例に係るプラズマディスプレイパネルの面電極構造を示す平面図である。
【図3】本実施例のPDPの駆動方法を説明するタイミングチャートである。
【図4】本実施例の面電極構造の第1の変形例を示す平面図である。
【図5】(a)乃至(c)は本実施例の面電極構造の他の変形例を示す平面図である。
【図6】本発明の第2の実施例に係るプラズマディスプレイパネルの面電極構造を示す平面図である。
【図7】本実施例の面電極構造の第1の変形例を示す平面図である。
【図8】本発明の第3の実施例に係るプラズマディスプレイパネルの面電極構造を示す平面図である。
【図9】本実施例の面電極構造の第1の変形例を示す平面図である。
【図10】本発明の第4の実施例に係るプラズマディスプレイパネルの面電極構造を示す平面図である。
【図11】本実施例の面電極構造の第1の変形例を示す平面図である。
【図12】本発明の第5の実施例に係るプラズマディスプレイパネルの面電極構造を示す平面図である。
【図13】本実施例の面電極構造の第1の変形例を示す平面図である。
【図14】(a)乃至(j)は本発明の面電極構造の組み合わせ例を示す平面図である。
【図15】本発明の第6の実施例に係るプラズマディスプレイパネルを示す部分切断斜視図である。
【図16】本実施例のPDPの駆動方法を説明するタイミングチャートである。
【図17】本発明の第7実施例に係るPDPの面電極構造を示す図であって、(a)は放電ギャップ側で面電極が相互に連結された例を示す平面図、(b)は放電ギャップ側と非放電ギャップ側との中間部で面電極が連結された例を示す平面図、(c)は非放電ギャップ側で面電極が連結された例を示す平面図である。
【図18】従来のプラズマディスプレイパネルを示す部分切断斜視図である。
【図19】(a)は従来の面電極構造を示す平面図、(b)は(a)のA−A線による断面図である。
【図20】(a)は従来の面電極構造を示す平面図、(b)は(a)のB−B線による断面図である。
【図21】(a)は従来の面電極構造を示す平面図、(b)は(a)のC−C線による断面図である。
【符号の説明】
1;後面基板
2;データ電極
3;白色誘電体層
4a;隔壁(ストライプ)
4b;隔壁(ラティス)
5;蛍光体層(赤色セル用5a,緑色セル用5b,青色セル用5c)
6;前面基板
7a〜7p;面電極
8a;トレース電極(分離)
8b;トレース電極(共通)
9a〜9p;スキャン電極
10a〜10p;コモン電極
11;透明誘電体層
12;保護層
13a,13b;狭小部
14;紫外光
15a〜15c;維持放電プラズマ外殻領域
16a〜16c;維持放電プラズマ内殻領域
17;直角部
18a,18b;縦突出部
19a,19b;横突出部
20a,20b;くびれ部
21;両側面電極
51;第1部
52;第2部
71;面放電ギャップ
72;非放電ギャップ
81;セル
100;面電極
101;隔壁
102;面放電ギャップ
103;非放電ギャップ
104;データ電極
105a〜105c;連結部

Claims (22)

  1. 水平方向に配列された複数対のスキャン電極及びコモン電極を備えた前面基板と、垂直方向に延びる複数のデータ電極を備えた後面基板とが、両者間に放電空間を形成するように、赤色、緑色、青色の単位発光画素を区画する隔壁を挟んで対向配置され、前記放電空間中に紫外光発生用の放電気体が導入されてなる交流面放電型プラズマディスプレイパネルであって、前記スキャン電極及び前記コモン電極は、いずれも水平方向に延びる線電極と、前記単位発光画素毎に設けられた面電極とからなり、前記各単位発光画素において前記スキャン電極及びコモン電極の各面電極は、放電ギャップをおいて離隔しており、前記面電極は、前記放電ギャップ側の第1部とその反対側の第2部とからなり、前記第1部は平面視で前記データ電極に重なる部分とこのデータ電極から水平方向にはみ出して延出する部分とを有し、前記データ電極に重なる部分には放電ギャップの反対側に突出する部分が形成されており、前記第2部は平面視で前記データ電極の両側方を垂直方向に延びる側方部分を有することを特徴とする交流面放電型プラズマディスプレイパネル。
  2. 水平方向に配列された複数対のスキャン電極及びコモン電極を備えた前面基板と、垂直方向に延びる複数のデータ電極を備えた後面基板とが、両者間に放電空間を形成するように、赤色、緑色、青色の単位発光画素を区画する隔壁を挟んで対向配置され、前記放電空間中に紫外光発生用の放電気体が導入されてなる交流面放電型プラズマディスプレイパネルであって、前記スキャン電極及び前記コモン電極は、いずれも水平方向に延びる線電極と、前記単位発光画素毎に設けられた面電極とからなり、前記各単位発光画素において前記スキャン電極及びコモン電極の各面電極は、放電ギャップをおいて離隔しており、前記面電極は、前記放電ギャップ側の第1部とその反対側の第2部とからなり、前記第1部は平面視で前記データ電極に重なる部分とこのデータ電極から水平方向にはみ出して延出する部分とを有し、前記第2部は平面視で前記データ電極の両側方を垂直方向に延びる側方部分とこの側方部分に連結され平面視で前記データ電極に重なる部分とを有し、前記面電極は透明材料により形成されていることを特徴とする交流面放電型プラズマディスプレイパネル。
  3. 前記面電極の前記第2部における前記放電ギャップの反対側の端部が前記線電極に接続されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の交流面放電型プラズマディスプレイパネル。
  4. 前記面電極の前記第2部は、前記第1部から前記データ電極上を垂直方向に突出し又は延びる部分を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の交流面放電型プラズマディスプレイパネル。
  5. 前記面電極の前記第2部は、前記側方部分から相互に対向する側に延出する部分を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の交流面放電型プラズマディスプレイパネル。
  6. 前記延出する部分は相互につながっていることを特徴とする請求項5に記載の交流面放電型プラズマディスプレイパネル。
  7. 前記面電極の前記第2部は、前記側方部分と、前記第1部の水平方向中央部との間を、垂直方向に対して傾斜して延びて接続する傾斜部分を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の交流面放電型プラズマディスプレイパネル。
  8. 前記面電極の前記第2部は、前記側方部分と、前記第1部の水平方向両端部との間を、垂直方向に対して傾斜して延びて接続する傾斜部分を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の交流面放電型プラズマディスプレイパネル。
  9. 前記面電極の前記第2部は、前記放電ギャップの反対側の端部を相互に接続する部分を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の交流面放電型プラズマディスプレイパネル。
  10. 前記面電極の前記第2部は、前記側方部分から前記線電極まで相互に近づくように垂直方向に対して傾斜して延びる傾斜部分を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の交流面放電型プラズマディスプレイパネル。
  11. 前記傾斜部分は、前記線電極に向けて幅が狭くなっていることを特徴とする請求項10に記載の交流面放電型プラズマディスプレイパネル。
  12. 前記傾斜部分は、平面視で前記データ電極の縁辺と重なる位置にて前記線電極に接続されていることを特徴とする請求項10又は11に記載の交流面放電型プラズマディスプレイパネル。
  13. 前記傾斜部分は、平面視で前記データ電極の幅方向中央の位置にて前記線電極に接続されていることを特徴とする請求項10又は11に記載の交流面放電型プラズマディスプレイパネル。
  14. 前記隔壁は、前記データ電極間の位置にて垂直方向に延びるように形成されていることを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1項に記載の交流面放電型プラズマディスプレイパネル。
  15. 前記隔壁は、前記データ電極間の位置にて垂直方向に延びるように形成された垂直部と、水平方向に延びる水平部とを有し、この垂直部と水平部とで井桁状をなすように形成されており、この垂直部及び水平部で囲まれた空間が前記単位発光画素を構成することを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1項に記載の交流面放電型プラズマディスプレイパネル。
  16. 前記線電極及び面電極は金属材料で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の交流面放電型プラズマディスプレイパネル。
  17. 前記線電極は金属材料で形成され、前記面電極は透明材料で形成されていることを特徴とする請求項1乃至15のいずれか1項に記載の交流面放電型プラズマディスプレイパネル。
  18. 前記放電ギャップを形成する前記面電極同士の間隔は、面電極の幅方向に連続又は不連続に変化していることを特徴とする請求項1乃至17のいずれか1項に記載の交流面放電型プラズマディスプレイパネル。
  19. 前記面電極の前記第1部と前記第2部の双方若しくは片方の形状又は面積が、前記スキャン電極側と前記コモン電極側とで相互に異なることを特徴とする請求項1乃至18のいずれか1項に記載の交流面放電型プラズマディスプレイパネル。
  20. 赤色、緑色、青色の前記単位発光画素毎に、又は1つ以上の前記単位発光画素で、前記面電極の前記第1部と前記第2部の双方若しくは片方の形状又は面積が、前記スキャン電極側と前記コモン電極側とで相互に異なることを特徴とする請求項1乃至18のいずれか1項に記載の交流面放電型プラズマディスプレイパネル。
  21. 前記面電極のパターン外縁部である面電極エッジ部と前記データ電極との重なり部は、少なくとも2カ所以上あることを特徴とする請求項1乃至20のいずれか1項に記載の交流面放電型プラズマディスプレイパネル。
  22. 前記スキャン電極及び前記コモン電極の少なくとも一方の面電極を水平方向で隣り合う単位発光画素間で連結する導電材料を有することを特徴とする請求項1乃至21のいずれか1項に記載の交流面放電型プラズマディスプレイパネル。
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