JP3623868B2 - 高耐久性酸化物超電導体及びその製造方法 - Google Patents

高耐久性酸化物超電導体及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は高耐久性酸化物超電導体及びその製造方法に関するものであり、特に、電流リード、磁気軸受、磁気シールド、バルクマグネット等に用いられる耐久性に優れた高耐久性酸化物超電導体及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、酸化物超電導体を、例えば、大気中に長期間放置したり、あるいは、湿度の高い雰囲気もしくは弱アルカリ等の環境下で放置すると、徐々に超電導性が劣化していくという経年変化現象が知られている。この現象は焼結体に限らず、湿気等に対してある程度安定な溶融法で作製された超電導体にも生じる。
【0003】
この経年変化の原因は、以下の理由によるものと考えられている。
【0004】
▲1▼酸化物超電導体そのものが大気中などに含まれる水やCOあるいは弱酸などと反応して分解する。
【0005】
▲2▼超電導体の結晶粒界中にある未反応物が大気中などに含まれる水やCOあるいは弱酸などと反応して分解し、粒界で導電性を劣化させる。
【0006】
これらの対応策として、(1) 酸化物超電導体の保護膜としてセラミックス系の保護層を設けたり(特公平7−25614号公報)、(2) Ag、Al、Pt、Au、Ti、W、Moのいずれか1種以上の物質を含む保護膜を設けたりする方法(特開平3−69581号公報)などが提案されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述した対応策には次のような問題点があった。
【0008】
(1) 特公平7−25614号公報の方法では、一般的に大きな酸化物超電導体は空孔やマイクロクラックなどを有しており、上記のようなセラミックスの保護層が薄い場合には、金属のような展性がないために、隙間が発生してしまう。また、これらを覆うために保護層を厚くすると、熱膨張係数の違いにより隙間ができてしまう
(2) 特開平3−69581号公報の方法では、上記物質の保護膜を、蒸着法、スパッタ法、CVD法等で形成することになるが、保護膜が薄いと塗りむらができて空孔やマイクロクラック等を覆い尽くすことができない。また空孔やマイクロクラック等を覆い尽くすほど厚く膜を形成するためには、非常にコストがかかる。
【0009】
このようにいずれの対応策も、保護膜が1層構造であるため、酸化物超電導体の経年変化を有効に防止することができなかった。
【0010】
本発明の目的は、保護膜に中間層を介在させることによって、上述した従来技術の欠点を解消して、酸化物超電導体の経年変化を効果的に防止し、併せて廃熱効率を高めることが可能な高耐久性酸化物超電導体を提供することにある。また、本発明の目的は、酸化物超電導体の空孔やマイクロクラック等を覆う保護膜を低コストで製造することが可能な高耐久性酸化物超電導体の製造方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
第1の発明は耐湿性及び耐気密性を示す金属系保護層の被覆を少なくとも2層以上有する高耐久性酸化物超電導体である。このように酸化物超電導体に少なくとも2層以上の金属系保護層の被覆が設けられていると、金属のもつ延性、展性により均一で効果的な保護膜となり、保護槽内にある酸化物超電導体やその粒界中に存在する未反応物が、大気中に含まれる水やCOあるいは弱酸等と反応して分解することを有効に防ぐことがきる。
【0012】
第2の発明は、第1の発明において、上記金属系保護層がさらに高い熱伝導性を示す高耐久性酸化物超電導体である。密着性良く、厚く被覆した金属がさらに熱伝導の高い金属であると、クラックや不純物等の微細な欠陥によって超電導体中に発生する局所的な熱を効率よく廃熱し、超電導体の安定性を高めることができる。
【0013】
第3の発明は、第1及び第2の発明において、酸化物超電導体と接する第1保護層は酸化物超電導体と密着強度が強く第2保護層とのぬれ性の高い金属であり、第1保護層の上に被覆される第2保護層は、上記酸化物超電導体の特性を酸化又は還元反応により変化させてしまう温度である300℃よりも低い融点を有する金属である高耐久性酸化物超電導体である。第1保護層が酸化物超電導体と密着強度が強く第2保護層とのぬれ性の高い金属であり、第2保護層が低融点の金属であると、均一に厚い保護膜が形成できるので酸化物超電導体と保護膜との間に隙間が生じない。また、酸化物超電導体の超電導特性は酸素の含有量に強く影響される。よって第2保護膜として被覆する金属としては、上記酸化物超電導体の酸化又は還元反応が数分程度で起こってしまわないような温度で被覆処理できる金属が望ましい。この酸化又は還元反応が数分程度で起こってしまわないような温度とは、例えばREBaCuO系、BiSrCaCuO系及びBiSrPbCaCuO系酸化物超電導体では約400℃以下である。
【0014】
第4の発明は、第1ないし第3の発明において、酸化物超電導体と接する第1保護層の金属はTi、V、Mn、Ni、Cu、Zn、Al、Zr、Nb、Ru、Rh、Pd、Ag、Sn、Ta、W、Re、Ir、Pt、Au、Pbのいずれか1種もしくは2種以上の金属である高耐久性酸化物超電導体である。第1保護層を上記のような金属で形成すると、容易に超電導体全体を被覆することが可能であり、第2層として被覆する金属とのねれ性を高めることができる。
【0015】
第5の発明は、第1ないし第4の発明において、酸化物超電導体と接する第1保護層の金属の上に被覆する第2保護層の金属がPb、Sn、Ag、Ga、In、Cdのいずれか1種もしくは2種以上の金属を主成分とした合金である高耐久性酸化物超電導体である。半田等の合金をろう付けすると簡便に厚い保護層を形成できるが、超電導体と合金とのねれ性が悪いため、均一に厚い保護層を形成することが困難である。しかし、上述した金属を主成分とした第2層の合金を第1保護層の金属の上に被覆すると、ぬれ性が良く、酸化物超電導体の空孔やマイクロクラックを覆い尽くすことができる厚い保護層を均一かつ簡便に形成することができる。
【0016】
第6の発明は、第1ないし第5の発明において、さらに耐腐食性を示す保護層の外部被覆を有する高耐久性酸化物超電導体である。耐湿性及び耐気密性を示す金属系保護層の被覆の外方に、さらに耐腐食性を示す保護層の外部被覆を設けると、耐久性が一層向上する。
【0017】
第7の発明は、酸化物超電導体の表面に第1保護層としてTi、V、Mn、Ni、Cu、Zn、Al、Zr、Nb、Ru、Rh、Pd、Ag、Sn、Ta、W、Re、Ir、Pt、Au、Pbのいずれか1種もしくは2種以上の金属を蒸着法、スパッタ法、CVD法、金属箔または金属ペーストによる焼付け法等により形成し、この上に第2保護層としてPb、Sn、Ag、Ga、In、Cdのいずれか1種もしくは2種以上の金属を主成分とした合金を300℃以下の温度で鋳型に流し込むか、ろう付けする高耐久性酸化物超電導体の製造方法である。これによると酸化物超電導体に密着強度の強い均一な第1保護層を形成して合金半田等とのぬれ性を高め、この上に合金半田等で厚く均一な保護膜を容易に形成できるようになるので、製造コストの低減が図れる。ろう付け温度は酸化物超電導体から酸素が抜けない温度である300℃以下、好ましくは160℃〜300℃がよい。なお、第2保護層としてSn、Ga、Inは融点が300℃よりも低いので、単体の純金属として使用してもよいが、Agは融点が約962℃と高いので使用できない。
【0018】
第1保護層の上に被覆する第2保護膜材としては、融点が約300℃以下となるPb、Sn、Ag、Ga、In、Cd等を主成分とした低融点合金であれば上記以外の合金であっても良い。
【0019】
なお、第1保護層、第2保護層共に厚さに制限はないが、第1保護層は1〜500μm、第2保護層は0.1mm〜5mmが望ましい。第1保護層は1μmより薄いと下地金属としての機能を発揮できず第2保護層の合金とのぬれ性が悪くなり、500μmより厚いと製造コストが高くなるからである。なお、合金半田の厚さは特に制限はないが、0.1mm〜5mmが好ましい。
【0020】
第8の発明は、第7の発明において、第2保護層の上にさらに耐腐食性を示す保護膜を被覆する高耐久性酸化物超電導体の製造方法である。耐腐食性を示す保護膜、例えばNi等の金属を無電界メッキ法で被覆すると、さらに酸化物超電導体の耐久性は向上する。金属としてはNi以外にAu、Ti、Al、Ir、Pt、Pb、Rh、Ruなどがある。
【0021】
上記発明は、溶融法、焼結法のいずれで作製された酸化物超電導体にも適用できる。例えば、溶融法で作製されたYBaCuO系の超電導体、またはBiSrCaCuO系の超電導体、焼結法で作製されたBiPbSrCaCuO系の超電導体、またはYBaCuO系の超電導体、そして焼結法及び溶融法で作製されたTlCaBaCuO系の超電導体等にも適用することができる。
【0022】
【実施例】
(実施例1)
溶融法で作製されたYBaCu7−x 相中にYBaCuO相が微細に分散したYBaCuO系の超電導体の外側全体を覆うように、有機バインダー、有機溶剤及び表1に示す金属を主成分として含む金属ペーストを塗布し、そのうち、Zn、Al、Sn、Pbについては酸素気流中、それぞれの金属ペーストに対して表1に示す温度で焼付けを行い、厚さ50μm程度の第1保護層を被覆した。
【0023】
Zn、Al、Sn、Pb以外の表1の金属ペーストに関しては、大気中900℃で焼付けを行った後、600℃まで降温し、そこから酸素を流し300℃まで1℃/時間で徐冷することによって厚さ50μm程度の第1保護層を被覆した。さらにこれらの試料を160℃に温められたホットプレート上に置き、超音波半田ごてで、この第1保護層の上からIn半田を約0.1mm被覆して第2保護層を作製した。このようにして表面に2層の保護膜処理をした超電導体の概略図を図1に示す。図中、符号1が酸化物超電導体、2が第1保護層、3が第2保護層である。
【0024】
これを50℃の水に浸して、240時間放置し、超電導体表面付近の臨界電流密度(Jc)を温度77Kで磁化法により測定した。その結果を表1に示す。なお、50℃の水に放置する以前の試料の臨界電流密度は3.2×10A/cmであった。
【0025】
【表1】
Figure 0003623868
実施例1のように保護膜処理をして50℃の水に240時間放置した試料の臨界電流密度は放置する以前の試料と同程度の値を示しており、保護膜処理をすることによって特性の劣化を抑止できた。
【0026】
(比較例1)
実施例1と同じ条件の溶融法で作製されたYBaCuO系の超電導体を、保護膜処理をせずに50℃の水に浸して、240時間放置し、超電導体表面付近の臨界電流密度(Jc)を温度77Kで磁化法により測定した。
【0027】
表2に示すように、水に浸す前のこの試料の臨界電流密度は3.2×10A/cmであったが、50℃の水に浸して、240時間放置した後では0.8×10A/cmと急激に劣化していた。
【0028】
【表2】
Figure 0003623868
(実施例2)
実施例1と同じ条件の溶融法で作製されたYBaCu7−x 相中にYBaCuO相が微細に分散したYBaCuO系の超電導体の外側全体を覆うように、有機バインダー、有機溶剤及びAgを主成分として含む金属ペーストを塗布し、大気中900℃で焼付けを行った後、600℃まで降温し、そこから酸素を流し300℃まで1℃/時間で徐冷することによって厚さ50μm程度の第1保護層を被覆した。
【0029】
さらにこれらの試料を160℃に温められたホットプレート上に置き、超音波半田ごてで、この第1保護層の上から表3のような成分の合金半田をそれぞれに対応する温度で約0.1mm被覆して第2保護膜を作製し、実施例1と同様に50℃の水に浸して、240時間放置し、超電導体表面付近の臨界電流密度(Jc)を温度77Kで磁化法により測定した。この試料の臨界電流密度を表3に示す。
【0030】
【表3】
Figure 0003623868
実施例2のように保護膜処理をして50℃の水に240時間放置した試料の臨界電流密度は放置する以前の試料と同程度の値を示しており、保護膜処理をすることによって特性の劣化を抑止できた。
【0031】
(実施例3)
実施例1と同じ条件の溶融法で作製されたYBCu7−x 相中にYBaCuO相が微細に分散したYBaCuO系の超電導体の外側全体を覆うように、真空蒸着装置を用いて真空度を10−4Torrにして抵抗加熱によってAuを約20μmの厚さに成膜した。その後、600℃まで昇温し、そこから酸素を流し300℃まで1℃/時間で徐冷することによってアニールを行い第1保護層を被覆した。
【0032】
さらにこれらの試料を160℃に温められたホットプレート上に置き、超音波半田ごてで、この第1保護層の上から表4のような成分の合金半田をそれぞれに対応する温度で約0.1mm被覆して第2保護膜を作製し、実施例1と同様に50℃の水に浸して、240時間放置し、超電導体表面付近の臨界電流密度(Jc)を温度77Kで磁化法により測定した。この試料の臨界電流密度を表4に示す。
【0033】
【表4】
Figure 0003623868
実施例3のように保護膜処理をして50℃の水に240時間放置した試料の臨界電流密度は放置する以前の試料と同程度の値を示しており、保護膜処理をすることによって特性の劣化を抑止できた。
【0034】
(実施例4)
実施例1と同じ条件の溶融法で作製されたYBCu7−x 相中にYBaCuO相が微細に分散したYBaCuO系の超電導体の外側全体を覆うように、Agターゲットを用い、アルゴン圧5×10−3Torrで、Ar:O=3:1の条件のスパッタ法によりAgの薄膜を約20μmの厚さに成膜した。その後、600℃まで昇温し、そこから酸素を流し300℃まで1℃/時間で徐冷することによってアニールを行い第1保護層を被覆した。
【0035】
さらにこれらの試料を160℃に温められたホットプレート上に置き、超音波半田ごてで、この第1保護層の上から表5のような成分の合金半田をそれぞれに対応する温度で約0.1mm被覆して第2保護膜を作製し、実施例1と同様に50℃の水に浸して、240時間放置し、超電導体表面付近の臨界電流密度(Jc)を温度77Kで磁化法により測定した。この試料の臨界電流密度を表5に示す。
【0036】
【表5】
Figure 0003623868
実施例4のように保護膜処理をして50℃の水に240時間放置した試料の臨界電流密度は放置する以前の試料と同程度の値を示しており、保護膜処理をすることによって特性の劣化を抑止できた。
【0037】
(比較例2)
実施例1と同じ条件の溶融法で作製されたYBaCuO系の超電導体の外側全体を覆うように保護層を被覆した。この保護層は実施例4で形成した第1保護層と同じ条件で形成した。すなわち、Agターゲットを用い、アルゴン圧5×10−3Torrで、Ar:O=3:1の条件のスパッタ法によりAgの薄膜を約20μmの厚さに成膜した。その後、600℃まで昇温し、そこから酸素を流し300℃まで1℃/時間で徐冷することによってアニールを行って保護膜を形成した。
【0038】
形成された保護膜はほぼ均一に超電導体を覆っていたが、溶融法で作製されたYBaCuO系の超電導体に一般的に発生するマイクロクラックや空孔部分で、塗りむらができていた。
【0039】
これを実施例1と同様に50℃の水に浸して、240時間放置し、超電導体表面付近の臨界電流密度(Jc)を温度77Kで磁化法により測定したところ、表6に示すように、0.9×10A/cmと放置する以前の試料より急激に劣化していた。
【0040】
【表6】
Figure 0003623868
(比較例3)
実施例1と同じ条件の溶融法で作製されたYBaCuO系の超電導体を、予め酸素気流中600℃から300℃まで1℃/時間で徐冷することによってアニールした。これを160℃に温められたホットプレート上に置き、外側全体を覆うように保護層を形成した。この保護層は、実施例4の第2保護層を形成したのと同じ成分の各合金半田を超音波半田ごてで、それぞれに対応する温度で約0.1mm被覆した。しかし超電導体と半田とのぬれ性が悪く、保護膜に隙間ができてしまっていた。
【0041】
次に、これを実施例1と同様に50℃の水に浸して、240時間放置し、超電導体表面付近の臨界電流密度(Jc)を温度77Kで磁化法により測定した。
【0042】
保護膜処理をしなかった試料に比べてはやや劣化しにくくなっていたようであったが、表7に示すように、実施例4に比すると激しい劣化が起こっていた。
【0043】
【表7】
Figure 0003623868
(実施例5)
焼結法で作製されたBi2−X Pb(Sr1−Y CaCu系の超電導体の外側全体を覆うように、有機バインダー、有機溶剤及びAgを主成分として含む金属ペーストを塗布し、大気中900℃で焼付けを行った後、600℃まで降温し、そこから酸素を流し300℃まで1℃/時間で徐冷することによって厚さ50μm程度の第1保護層を被覆した。
【0044】
さらにこれらの試料を160℃に温められたホットプレート上に置き、超音波半田ごてで、この第1保護層の上からIn半田を約0.1mm被覆して第2保護膜を作製した。さらにこのInの上にNiを無電界メッキ法により約100μm被覆した。
【0045】
これを保護膜処理をしていない試料と共に実施例1と同様に50℃の水に浸して、240時間放置し、超電導体表面付近の臨界電流密度(Jc)を温度77Kで磁化法により測定した。
【0046】
水に浸す前後のこの試料の臨界電流密度を表8に示す。保護膜処理をした試料では水に浸した後でも、特性の劣化を抑止できた。
【0047】
【表8】
Figure 0003623868
(比較例4)
実施例5と同じ条件の焼結法で作製されたBi2−X Pb(Sr1−Y CaCu系の超電導体を、保護膜処理をせずに50℃の水に浸して、240時間放置し、超電導体表面付近の臨界電流密度(Jc)を温度77Kで磁化法により測定した。
【0048】
表9に示すように、水に浸す前のこの試料の臨界電流密度は2.3×10A/cmであったが、50℃の水に浸して、240時間放置した後では0.2×10A/cmと急激に劣化していた。
【0049】
【表9】
Figure 0003623868
(実施例6)
実施例1と同じ条件の溶融法で作製されたYBaCu7−x 相中にYBaCuO相が微細に分散したYBaCuO系の超電導体の外側全体を覆うように、有機バインダー、有機溶剤及びAgを主成分として含む金属ペーストを塗布し、大気中900℃で焼付けを行った後、600℃まで降温し、そこから酸素を流し300℃まで1℃/時間で徐冷することによって厚さ50μm程度の第1保護層を被覆した。
【0050】
さらにこれらの試料を160℃に温められたホットプレート上に置き、超音波半田ごてで、この第1保護層の上からIn半田を約0.1mm被覆して第2保護膜を作製した。
【0051】
このような保護材を被覆する前後で、この酸化物超電導体を液体窒素中で77Kに冷却し、磁石と磁気反発力特性を測定した。使用した磁石はNd系、外形39.2mm、内径16mm、厚さ49mmのリング状で、表面最大磁束密度0.53T、磁石と超電導体との距離は約0.1mmまで近づけた。
【0052】
保護材を被覆する前に得られた磁気反発力は13kg・fだったのに対し、保護材を被覆した後は微細な欠陥で発生する熱の廃熱効率が向上して、超電導特性が安定したため、16kg・fと高い磁気反発力を示した。
【0053】
(比較例5)
実施例1と同じ条件の溶融法で作製されたYBaCuO系の酸化物超電導体を保護膜処理をせずに、50℃の水に浸して240時間放置した後、液体窒素中で77Kに冷却し、磁石と磁気反発力特性を測定した。使用した測定条件は実施例6と同じとした。磁気反発力は9kg・fと低下した。
【0054】
(実施例7)
実施例1と同じ条件の溶融法で作製されたYBaCu7−X 相中にYBaCuO相が微細に分散したYBaCuO系の超電導体(外径φ45mm、厚さ18mm)の外側全体を覆うように銀ペーストを塗布し、その上から厚さ50μmの銀箔を全体に貼り付けた。これを900℃で焼き付けを行ない、厚さ50μmの中間層を被覆した。
【0055】
次に酸素を1L/minの割合で流しながら、600℃から300℃まで1℃/時間徐冷することによってアニールを行なった。さらに、この試料を260℃に温められた鋳型(内径φ46mm、厚さ19mm)に入れ、成分がPb21.6%Sn37.2%Ag1.2%In40%である合金を流し込むことによって、この合金を約0.5mm被覆して保護膜を作製した。
【0056】
次に、実施例1と同様に50℃の水に浸して、240時間放置し、超電導体表面付近の臨界電流密度(Jc)を温度77Kで磁化法により測定した。この試料の臨界電流密度は3.2×10A/cmであった。
【0057】
実施例7のように保護膜処理をして50℃の水に240時間放置した試料の臨界電流密度は放置する以前の試料と同程度の値を示しており、保護膜処理をすることによって特性の劣化を抑止できた。
【0058】
【発明の効果】
本発明によれば、酸化物超電導体が、耐湿性及び耐気密性を示す金属系保護層の被覆を少なくとも2層以上有するので、保護槽内にある酸化物超電導体やその粒界中に存在する未反応物の分解を防ぎ、酸化物超電導体の経年変化を効果的に防止することができる。また、高い熱伝導性をも示す金属系保護層を用いると、廃熱効率が向上し、超電導体の安定性を高めることができる。
【0059】
また、酸化物超電導体の表面を金属と合金の2層の保護膜で被覆するようにしたので、酸化物超電導体の空孔やマイクロクラックを覆う保護膜を低コストで製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1の保護処理を行った高耐久性酸化物超電導体の断面図である。
【符号の説明】
1 酸化物超電導体
2 第1保護層
3 第2保護層

Claims (6)

  1. 耐湿性及び耐気密性を示す金属系保護層の被覆を少なくとも2層以上有する高耐久性酸化物超電導体であって、
    酸化物超電導体と接する第1保護層は酸化物超電導体と密着強度が強く第2保護層とのぬれ性の高い金属であり、
    第1保護層の上に被覆される第2保護層は、上記酸化物超電導体の特性を酸化又は還元反応により変化させてしまう温度である300℃よりも低い融点を有する金属である高耐久性酸化物超電導体。
  2. 請求項1に記載の酸化物超電導体において、該酸化物超電導体と接する第1保護層の金属はTi、V、Mn、Ni、Cu、Zn、Al、Zr、Nb、Ru、Rh、Pd、Ag、Sn、Ta、W、Re、Ir、Pt、Au、Pbのいずれか1種もしくは2種以上の金属である高耐久性酸化物超電導体。
  3. 請求項1または2に記載の酸化物超電導体において、該酸化物超電導体と接する第1保護層の金属の上に被覆する第2保護層の金属はPb、Sn、Ag、Ga、In、Cdのいずれか1種もしくは2種以上の金属を主成分とした合金である高耐久性酸化物超電導体。
  4. 請求項1ないし3のいずれかに記載の酸化物超電導体において、さらに耐腐食性を示す保護層の外部被覆を有する高耐久性酸化物超電導体。
  5. 酸化物超電導体の表面に第1保護層としてTi、V、Mn、Ni、Cu、Zn、Al、Zr、Nb、Ru、Rh、Pd、Ag、Sn、Ta、W、Re、Ir、Pt、Au、Pbのいずれか1種もしくは2種以上の金属を蒸着法、スパッタ法、CVD法、金属箔または金属ペーストによる焼付け法により形成し、この上に第2保護層としてPb、Sn、Ag、Ga、In、Cdのいずれか1種もしくは2種以上の金属を主成分とした合金を300℃以下の温度で鋳型に流し込むか、ろう付けする高耐久性酸化物超電導体の製造方法。
  6. 請求項5に記載の高耐久性酸化物超電導体の製造方法において、第2保護層の上にさらに耐腐食性を示す保護層を被覆する高耐久性酸化物超電導体の製造方法。
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