JP3623596B2 - におい源探知コンパス - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、におい源探知コンパスに係り、特にカイコガを模倣した、におい源コンパスに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
生物の多くは、においをたどることによって、餌や仲間、異性の場所を発見することができる。このような能力を持つ工学的システムが実現できれば、危険ガスのガス漏れ場所の探索、火災発生箇所の早期発見などに有効である。
【0003】
しかし、においをたどって発生源を探すことは容易ではない。においは風に運ばれ、煙突からたなびく煙のように広がる。このため、風と平行な方向の濃度勾配が非常に小さい。また、風には必ず乱れがあるため、においの分布は、むらのある非常に複雑な形状になり、その上、不規則に変動する。
【0004】
したがって、局所的、瞬間的な濃度勾配は、必ずしもにおい源の方向を指さない。このため、におい源の方向を推定する方法が課題となる。
【0005】
本願発明者等は、濃度勾配に加えて風向きを用いることによって、この問題を解決し、ガスセンサと風速センサを用いた、自走型におい源探知システムを開発した(特願平6−55383号)。
【0006】
また、Russellらも同様のガス漏れ探知ロボットを開発した。しかし、室内の微風速を検出可能な風向きセンサが少なく、風向き検出のために特殊な構造のセンサを必要とするなどの欠点がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本願発明者等は、新たなにおい源探知システムを開発するため、生物のメカニズムを模倣することが重要であると考え、カイコガの行動観察を行った。雄のカイコガは性フェロモンのにおいを頼りに歩行して雌を探すが、このとき必ず翅を激しく羽ばたく。前方に雌がいる場合には、羽ばたきによって生じた風がフェロモンを引き寄せる。
【0008】
逆に、後方に雌がいる時はフェロモンを遠ざける。このため、触角で受容するフェロモン濃度は雌の方向を向いた時に最高となり、逆向きで最低となる。
【0009】
本願発明者等は、カイコガの触角と翅の代わりにガスセンサ1つと小型ファンを用い、におい源の方向を判定する能動サンプリング型プローブを開発した(特願平7−66199号)。
【0010】
上記したプローブを用いると、風向きの情報を用いずに、におい源の方向を得ることができる。しかしながら、それによれば、プローブを1回転した後に方向を判定するため、判定に長時間を要するという欠点があった。
【0011】
本発明は、上記問題点を除去し、2次元又は3次元のにおい源の探知の判定を迅速・かつ的確に行うことができる、におい源探知コンパスを提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために、
〔1〕におい源探知コンパスにおいて、支持板上に固定される複数のガスセンサと、この複数のガスセンサと一体的に設けられるとともに前記複数のガスセンサを隔てる仕切板と、前記支持板と一体的に設けられるとともに前記複数のガスセンサに対応して配置される小型ファンと、前記支持板を回転可能な駆動源とを備え、前記小型ファンで吸引する空気を前記複数のガスセンサに当てることにより、におい源の方向に対応するセンサ応答差を得て、この応答差を利用してにおい源を探知可能にするようにしたものである。
【0013】
〔2〕上記〔1〕記載のにおい源探知コンパスにおいて、前記ガスセンサは2個のガスセンサである。
【0014】
〔3〕におい源探知コンパスにおいて、基台に支柱を介して固定される第1の駆動源と、この第1の駆動源の回転により駆動されるL字型アームと、このL字型アームの先端に固定される第2の駆動源と、この第2の駆動源の回転によって駆動される支持台と、この支持台上に固定される複数のガスセンサと、この複数のガスセンサを隔てる仕切板と、前記支持台と一体的に設けられるとともに前記複数のガスセンサに対応して配置される小型ファンとを備え、前記小型ファンで吸引する空気を前記複数のガスセンサに当てることにより、におい源の方向に対応するセンサ応答差を得て、この応答差を利用してにおい源を探索可能にするようにしたものである。
【0015】
〔4〕上記〔3〕記載のにおい源探知コンパスにおいて、前記ガスセンサは4個のガスセンサを備え、これらのガスセンサを個別に隔てる仕切板を配置するようにしたものである。
【0016】
ところで、カイコガは片方の触角に強いフェロモン刺激を受けると、その方向へ体の向きを回転する。上記した本発明のにおい源探知コンパスは、この行動メカニズムを模倣し、複数のガスセンサを用い、その複数のガスセンサのセンサ応答を比較しながら回転することによって、におい源の方向を方位磁針のように指すことができる。
【0017】
その結果、2次元的ににおい源を探知するコンパスを得ることができる。
【0018】
更に、3次元におい源探知コンパスを得ることができ、3次元的な方向判定も可能である。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0020】
図1は本発明の第1実施例を示す2次元におい源探知コンパスの概略構成図である。
【0021】
この図において、1は基台であり、この基台1に駆動源であるステッピングモータ2が固定され、このステッピングモータ2によって駆動される支持板3が配置され、この支持板3上に支柱4,5が設けられ、この支柱4,5上に半導体ガスセンサ(TGS822,Figaro技研製)6,7が、支柱4,5間に固定される仕切板8を挟んで左右に1対配置されている。また、支持板3上に支柱9を介して固定されるとともに、その仕切板8の側方に小型ファン(RE140,マブチモータ)10が配置されている。
【0022】
このように、この実施例の、におい源探知コンパスには、カイコガの触角に対応させて、左右に1対の半導体ガスセンサ(TGS822,Figaro技研製)6,7を3.6cmの間隔で取り付けた。
【0023】
ここでは、ガス中でのセンサ抵抗Rgasと清浄空気中でのセンサ抵抗Rairの比S=Rgas/Rairをセンサ応答と定義した。このセンサ応答Sは、においやガスの濃度が低いときには、濃度の増加に対して線形的に減少するが、その傾きはセンサ毎に異なる。
【0024】
におい源探知コンパスでは微少なセンサ応答差を検出する必要があるため、この線形性を用いて実験前にセンサ応答の校正を行い、センサ感度を揃える。
【0025】
また、におい源探知コンパスでは、カイコガの翅の代わりに小型ファン10を用いた。小型ファン10を回転すると、図1中の矢印のような風が生じ、小型ファン10が右から吸引する空気が右側の半導体ガスセンサ6に、小型ファン10が左から吸引する空気が左側の半導体ガスセンサ7に当たる。このため、左右の半導体ガスセンサ6,7の応答を比較すれば、においが漂ってくる方向を判定することができる。
【0026】
小型ファン10による風の流れを整えるため、2つの半導体ガスセンサ6,7の間に、高さ10cm、長さ8cmのアクリル板を仕切板8として取り付けた。
【0027】
小型ファン10により生じる風の速さは、小型ファン10の後方30cmの地点で2.87m/sであった。これはこの実験を行った室内の風速(約10〜30cm/s)に比べて十分に大きい。このため、においの分布は小型ファン10の起こす風により能動的に変更される。
【0028】
ここでは、ガス漏れ探知を想定し、クリーンルーム内で実験を行った。
【0029】
そして、1/4インチステンレスチューブのノズルを用い、バブリングによって得たエタノール飽和蒸気を流量75ml/minで噴出した。以降、このノズルの先端をにおい源と呼ぶ。
【0030】
まず、小型ファンと仕切板の効果を確かめる実験を行った。
【0031】
図2は本発明の実施例の小型ファンと仕切板の効果を示す図である。
【0032】
この図に示すように、噴出したエタノールガス(におい源)は風に運ばれて広がり、におい源11から風下に向けて雲状にたなびく。この雲はプルームと呼ばれる。ここでは、におい源11から90cm風下のプルーム中心部に、におい源探知コンパスを設置し、図中に示した方向に向けた。
【0033】
まず、小型ファンを停止し、仕切板を取り外した場合は、図2(a)の左のグラフに示すように左右のセンサ応答にほとんど差がなかった。これは、風と平行な方向の濃度勾配が小さいためである。センサ応答の変動は、風の乱れによりプルームが蛇行し、ガスの濃度分布が不規則に揺らぐために生じたものである。
【0034】
次に、小型ファンを停止したまま仕切板を取り付けた。この場合、左側のセンサにガスが到達するのを仕切板が妨げる。このため、図2(b)の左のグラフに示すようにセンサ応答に差が生じたが、その大きさは小さい。しかし、小型ファンを回転させることにより、右から高濃度のガスを吸引し、図2(b)の右のグラフに示すように大きな応答差が得られた。
【0035】
したがって、小型ファン10で起こした風には、センサ応答差を拡大する効果があることが分かる。
【0036】
また、図2(a)の右のグラフに示すように、仕切板がない場合は、小型ファンを回転しても応答差が得られなかった。これは、小型ファンの回転に伴い、空気が渦を巻きながら吸引されるためである。この渦のために、右前方から吸引した空気が左右のセンサに均等に当たってしまい、応答差が生じない。
【0037】
したがって、仕切板を用いて風の流れを整えることが必要であることが分かった。
【0038】
次に、図2と同一の地点でコンパスを360°回転させ、センサ応答の差を測定した。この結果を図3に示す。
【0039】
図3では、コンパスが、におい源を向いた時の方向をθ=0°とし、左回りの角度を正とした。センサ応答差は、ΔS=Sr −Sl と定義した。ただし、Sr 、Sl はそれぞれ右側のセンサ、左側のセンサの応答を表す。
【0040】
このように角度をとると、0°<θ<180°の時には、におい源がコンパスの右側に位置する。このため、左側のセンサの応答値が小さくなり、図3ではΔS<0となっている。逆に、180°<θ<360°の時には、ΔS>0となる。従来の能動サンプリング型プローブは、ガスセンサ1つのみを用いていたため、プローブを1回転しないと、におい源の方向を判定できなかった。
【0041】
これに対して、本発明のにおい源探知コンパスでは、図3に示す応答差を利用してにおい源が左右どちらにあるか瞬間的に判定できる。
【0042】
したがって、ΔS<0の時は右回り、ΔS>0の時は左回りにコンパスを回転すれば、ΔS=0かつdΔS/dθ<0となるθ=0°にコンパスの方向を収束させることができる。におい源と逆向きのθ=180°でもΔS=0となるが、この近傍では、dΔS/dθ>0となる。このため、コンパスは180°の方向に停留せずに、この方向から離れる向きに回転する。
【0043】
しかし、回転速度を増すとセンサ応答に図3に示すような遅れが生じ、センサ応答差が正しく検出できなくなる。半導体ガスセンサの応答は、濃度が高い方へ変化するときは秒オーダで追従するが、濃度が低い方へ変化するときの時定数は2分程度と非常に遅い。そこで、この応答特性を考慮し、以降の実験ではコンパスの回転速度を2°/sに固定した。
【0044】
〔におい源の方向推定結果〕
クリーンルームに設置したにおい源の方向を、ΔS=0かつ、dΔS/dθ<0の条件の下に推定した。このクリーンルームの天井には、2つの給気口が、図4の右下と左下の位置に取り付けられており、ここから風が吹き下ろす。におい源は、図4の右下隅に設置し、床からの高さは23.5cmとした。図中に示したプルームの包絡線は、この高さにおいてガスセンサ応答の平均値(5分間)が0.8となった等濃度線を表す。しかし、におい源付近では風が上から吹き下ろすため、プルームは床面に近い高さ12cm付近を中心に二次元的に広がった。
【0045】
図4(a)は、この高さ12cmにコンパスを置き、方向を推定した結果を示す。
【0046】
各測定点において、毎秒ガスセンサ応答を比較し、濃度の高い方向へ2°/sでコンパスを回転した。x軸の正の方向を0°として左回りに角度をとり、コンパスが指した方向θを10分間測定した。コンパスの初期方向はθ0 =180°とした。図4中の矢印は後半5分間におけるθの平均値θavを示し、扇形はその間のθの最大変位を表す。矢印が示すように、プルーム外ではプルームに向かう方向、プルーム内ではにおい源の方向が得られた。扇形の角度は広いが、繰り返し判定を行ってプローブを移動させれば、方向の瞬時値を用いても、におい源に到達することが可能である。
【0047】
図4(a)のA、B点におけるガスセンサの応答とコンパスの動作を、図5に示す。
【0048】
A点はプルーム内、B点はプルーム外の点である。図5より、コンパスの方向θが数分でθav付近に収束し、その後およそ±60°の範囲で変動していることが分かる。収束に要した時間は、A点では、図5(a)に示すように、約1分であった。この実験ではコンパスの初期方向θ0 を、におい源と逆向きの180°としたために、収束に長時間を必要とした。しかし、実際ににおい源の探索を行う際は、初めに一度だけ数分間、収束を待てばよい。その後、コンパスを少し動かして方向判定を行う作業を繰り返せば、コンパスの指す方向が少しずつしか変化しないので短い時間で方向が収束できる。
【0049】
また、図5(b)に示すように、B点でコンパスの角度が収束するのに要した時間は約3分であり、A点の場合よりもさらに長い時間を要した。B点では、図5(b)に示すように、ガス濃度が低く、センサ応答の差が小さいことが分かる。このため方向判定を誤り易く、t=120s付近では、収束方向θavから離れる向きに回転してしまった。しかし、風の乱れによりt=150s付近でB点までプルームが蛇行してきた結果、大きなセンサ応答のディップが観測された。この時のセンサ応答差により、コンパスは正しい方向へ向いた。
【0050】
このように、ガス濃度が低い場所では方向判定が困難になる。実際に、B点よりも更にプルームから離れたC点〔図4(a)参照〕では、ガスがほとんど検出されなかったため、図4(a)に示すように、におい源の方向が誤って判定された。実際に使うときには、センサ応答がない場合に方向判定不能である旨を表示する必要がある。
【0051】
さらに、図4(b)に示すD点のようにプルームと異なる高さにコンパスを置いた場合も、におい源の方向が推定できなかった。このような場合には、三次元的に方向を推定する必要があることが分かる。
【0052】
このように、現実の環境ではガスが3次元的に広がるため、3次元的なにおい源探知が必要になることがある。そこで、第1実施例の2次元的におい源探知コンパスを発展させ、三次元におい源探知コンパスを作製した。
【0053】
図6は本発明の第2実施例を示す3次元におい源探知コンパスの概略構成図である。
【0054】
この図において、21は基台であり、この基台21上に支柱22が設けられ、この支柱22上に第1の駆動源である第1のステッピングモータ23が配置され、この第1のステッピングモータ23の回転駆動により、L字形状のアーム24がX軸の回りに回転可能に構成されている。このL字形状のアーム24の先端には第2の駆動源である第2のステッピングモータ25が配置され、この第2のステッピングモータ25の回転駆動により、支持板26がY軸の回りで回転可能に構成されている。
【0055】
その支持板26には支柱27,28が設けられ、これらの支柱27,28によって仕切板29,30が固定されている。これらの仕切板29,30間に個別的に第1の半導体ガスセンサ31、第2の半導体ガスセンサ32、第3の半導体ガスセンサ33、第4の半導体ガスセンサ34が隔てて配置されている。
【0056】
更に、支持板26には支柱35が設けられ、その支柱35上に小型ファン36が固定されるとともに、第1の半導体ガスセンサ31、第2の半導体ガスセンサ32、第3の半導体ガスセンサ33、第4の半導体ガスセンサ34に対応して配置されている。
【0057】
このように、4つの半導体ガスセンサが取り付けられており、隣接する半導体ガスセンサの間隔は3cmである。また、第1実施例の2次元コンパスと同じ大きさの仕切板29,30を2枚取り付けた。
【0058】
この3次元におい源探知コンパスでは、半導体ガスセンサの応答差からガス濃度勾配を検出し、この方向に2つのステッピングモータを用いてコンパスを三次元的に回転可能にしている。すなわち、
まず、基台21の支柱22に固定された第1のステッピングモータ23により、コンパスと第2のステッピングモータ25を一緒に仰角方向に回転する。さらに、第2のステッピングモータ25を回転することにより、コンパスを三次元の任意の方向へ向けることができる。
【0059】
ここでは、コンパス先端に固定された座標系(xc 、yc )におけるガス濃度勾配ベクトルvg を、
【0060】
【数1】
と定義した。以下の実験では、1秒毎にガス濃度勾配ベクトルvg を測定し、その方向にコンパスを2°/sで回転することによって、におい源の方向判定を行った。
【0061】
〔におい源の方向推定結果〕
3次元におい源探知については、におい源を図4の座標系(x,y)=(100,20)に置き実験を行った。この位置では、図4(a)に示すように、2つの給気口から吹き出した風が衝突するため、噴出したガスは上方へ舞い上がる。このため、z軸を床から垂直上向きにとり、yz平面上に図4と同様に、プルームの包絡線を描くと、図7に示すようになる。
【0062】
この図7に示すように、プルームが上方に延びるため、2次元におい源探知コンパスを用いて床面付近を移動しても、におい源を発見できなかった。また、従来のガスセンサと風速センサを用いた、におい源探知システムでも、におい源探知に失敗した。
【0063】
図7の実験環境で3次元的にプローブの位置を変え、におい源の方向推定を行った結果を図8に示す。この図8内の枠線は座標系を表すもので、実験に枠が存在するわけではない。図8中の矢印は図4と同様に測定の後半5分におけるコンパスの方向の平均値を指し示している。コンパスの初期方向はx軸の正の向きとした。図8に示すように三次元コンパスを用いた場合には、左隅から上方に向かうベクトルが得られた。この方向は図7に示すプルームの方向に一致する。
【0064】
一方、このプルームの中では、におい源付近で下降するベクトル列が得られた。したがって、このベクトル列をたどることによって、におい源に到達することができる。
【0065】
典型的な動作例として、図8中のE点におけるコンパスの動作とセンサ応答を図9に示す。図中のΔθは、コンパスの瞬間的な方向と、図8に示した矢印の方向のなす角度を表す。図9では約4分でコンパスの方向が収束しており、コンパスの方向の変動は、図5に示した二次元の場合と同じく±60°程度であった。
【0066】
従来の能動サンプリングプローブで3次元方向推定を行う場合には、プローブを水平方向と垂直方向に2回転する必要があった。これに対し、3次元コンパスの場合には、濃度勾配を検出して直接におい源の方向へコンパスが回転するので、2次元の場合と同程度の時間で方向を推定することができた。
【0067】
なお、上記実施例においては、ガスセンサとしては、半導体ガスセンサについて述べたが、これに限定されるものではなく、弾性波デバイス、導電性高分子、電気化学電極などからなるガスセンサがあり、これらのガスセンサを用いるようにしてもよい。
【0068】
また、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
【0069】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明によれば、以下のような効果を奏することができる。
【0070】
カイコガの行動を模倣し、におい源探知コンパスを開発した。複数のガスセンサを仕切板で隔て、そこに小型ファンで吸引した空気を当てることにより、におい源の方向に対応するセンサ応答差が得られた。におい源探知コンパスは、この応答差を利用してにおい源の方向を指し示す。
【0071】
カイコガと同様に二次元的に動作するコンパスと、三次元的に回転するコンパスの2種類を製作した結果、どちらのコンパスを用いた場合でも、クリーンルーム内のにおい源の方向を推定することができた。コンパスを人間が持って移動するか、あるいは移動ロボットに取り付けることにより、におい源を発見することができる。特に、三次元的にガスが広がる場合に、その発生源を探知することは従来困難であったが、本発明の三次元コンパスにより三次元的な方向判定が可能となり、探知能力の向上を図ることができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例を示す2次元におい源探知コンパスの概略構成図である。
【図2】本発明の実施例の小型ファンと仕切板の効果を示す図である。
【図3】本発明の第1実施例を示す図2と同一の地点でコンパスを360°回転し、センサ応答の差を測定した結果を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施例を示すにおい源の方向推定結果を示す図である。
【図5】図4に示すA、B点におけるガスセンサの応答とコンパスの動作を示す図である。
【図6】本発明の第2実施例を示す3次元におい源探知コンパスの概略構成図である。
【図7】本発明の第2実施例を示すプルームの包絡線を示す図である。
【図8】本発明の第2実施例を示す実験環境で3次元的にプローブの位置を変え、におい源の方向推定を行った結果を示す図である。
【図9】図8中のE点におけるコンパスの動作とセンサ応答を示す図である。
【符号の説明】
1,21 基台
2 ステッピングモータ
3,26 支持板
4,5,9,22,27,28,35 支柱
6,7 半導体ガスセンサ
8,29,30 仕切板
10,36 小型ファン
11 におい源
23 第1のステッピングモータ(第1の駆動源)
24 L字形状のアーム
25 第2のステッピングモータ(第2の駆動源)
31 第1の半導体ガスセンサ
32 第2の半導体ガスセンサ
33 第3の半導体ガスセンサ
34 第4の半導体ガスセンサ
Claims (4)
- (a)支持板上に固定される複数のガスセンサと、
(b)該複数のガスセンサと一体的に設けられるとともに前記複数のガスセンサを隔てる仕切板と、
(c)前記支持板と一体的に設けられるとともに前記複数のガスセンサに対応して配置される小型ファンと、
(d)前記支持板を回転可能な駆動源とを備え、
(e)前記小型ファンで吸引する空気を前記複数のガスセンサに当てることにより、におい源の方向に対応するセンサ応答差を得て、該応答差を利用してにおい源を探知可能にすることを特徴とするにおい源探知コンパス。 - 請求項1記載のにおい源探知コンパスにおいて、前記ガスセンサは2個のガスセンサであることを特徴とするにおい源探知コンパス。
- (a)基台に支柱を介して固定される第1の駆動源と、
(b)該第1の駆動源の回転により駆動されるL字型アームと、
(c)該L字型アームの先端に固定される第2の駆動源と、
(d)該第2の駆動源の回転によって駆動される支持台と、
(e)該支持台上に固定される複数のガスセンサと、
(f)該複数のガスセンサを隔てる仕切板と、
(g)前記支持台と一体的に設けられるとともに前記複数のガスセンサに対応して配置される小型ファンとを備え、
(h)前記小型ファンで吸引する空気を前記複数のガスセンサに当てることにより、におい源の方向に対応するセンサ応答差を得て、該応答差を利用してにおい源を探索可能にすることを特徴とするにおい源探知コンパス。 - 請求項3記載のにおい源探知コンパスにおいて、前記ガスセンサは4個のガスセンサを備え、これらのガスセンサを個別に隔てる仕切板を配置するようにしたことを特徴とするにおい源探知コンパス。
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