JP3622918B2 - 表示板の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は例えば自動車などの計器に用いられる表示板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
自動車などの計器に用いられる表示板を例に説明すると、図8における第1従来例は無色透明な基板1の表面側に目盛・文字・数字などの表示部2を形成するための白色の表示層3を設け、表示部2を除いて黒色の不透過層4を印刷形成する。そして表示部2および不透過層4を覆って透明な保護層5を設ける。この保護層5は表示板の印刷面を保護すると共に、表示板を視認した際、外光による反射を押さえるために設けるものであって、保護層5内には例えばシリカ系の艶消し剤が混入してある。この様な表示板は黒色の地に表示部2が白色で視認される。
【0003】
また、表示部2の裏面側にランプを設け、このランプが点灯した時のみ表示部2が視認可能となる第2従来例について説明すると、図9において無色透明な基板1の表面側には文字・記号などの表示部2を除いて黒色の不透過層4を印刷形成する。また、この不透過層4の下方の表示部2と対応する箇所には黒色の半透過性着色層6を設ける。そして半透過性着色層6および不透過層4を覆って透明な保護層5を設ける。この保護層5は前記第1従来例と同じである。また、表示部2と対応する基板1裏面には赤色の着色透過層7が印刷してある。
【0004】
この第2従来例における表示板は表示部2の裏面側に設けたランプが点灯した時のみ文字・記号などの表示部2が赤色で透過表示され、ランプ不灯時には表示部2および表示部2以外(不透過層4を設けた箇所)が共に黒色であるため、表示部2の存在を認め難い。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記第1従来例における表示板は前述した如く、外光による反射を抑制するために、例えばシリカ系の艶消し剤を保護層5内に混入してあるが、この手の艶消し剤は隠蔽力を有するため保護層5を設けた後は透明度が多少落ち、表示板の表面はわずかに白っぽくなってしまう。そのため、高級感に欠けてしまう。また、表示部2の周囲に印刷による段差Hが現れてデザイン的に見苦しい面があった。この印刷による段差Hは、表示板の表面側に設けた表示層3や不透過層4が溶剤性インクの場合と紫外線硬化性のインクの場合とでは、紫外線硬化性のインクの方が目立ちやすい。これは、溶剤性インクの場合には印刷後乾燥させることによってインク中の溶剤が蒸発して、結果的にインクの膜厚が薄くなって紫外線硬化性のインクに比べて段差が目立ちにくいものである。
【0006】
また前記第2従来例の場合も、前記第1従来例と同様な課題を有するとともに、表示部2がウォーニング表示の場合には、印刷による段差Hによってその箇所に何かの存在を予感させ、ウォーニング表示としての注意喚起効果を薄れさせてしまうということがあった。この様な点を改善した第3従来例として、図10に示す様に基板1の裏面側に赤色の着色透過層7を設け、文字・記号などの表示部2を除いて黒色の不透過層4を印刷形成する。また、基板1の表面側には黒色の半透過性着色層6を設けるとともに、半透過性着色層6を覆って透明な保護層5を設ける。
【0007】
この様に構成した第3従来例の表示板は、前記第2従来例と同様にランプが点灯した時のみ文字・記号などの表示部2が赤色で透過表示され、ランプ不灯時には表示部2および表示部2以外が平らであり、かつ共に黒色の半透過性着色層6で覆われているため、表示部2の存在が認められない。この様に、基板1の表面側には印刷による段差が現れず、デザイン的に見苦しくなく、かつウォーニング表示としての注意喚起効果もある。しかしながら、表示部2の形成箇所が基板1の裏面側のため、基板1の厚みがあることにより表示部2の輪郭がぼけて表示部2がクッキリと透過表示しない。この現象は基板1が厚い程顕著である。
【0008】
本発明はこの様な点に鑑みなされたもので、高級感があり、印刷による段差を目立ちにくくし、かつ透過照明時における表示部の表示がクッキリして視認性が良好な表示板の製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は前記目的を達成するため、基板の表面側または裏面側に表示部を形成するための表示層を設け、前記表示部を除いて地色層を設け、前記基板の表面側に粒子径が2〜14ミクロンの透明な樹脂ビーズを含有してなる透明な保護層を設け、この保護層を設けた後に表示板を40〜100℃で加熱して前記保護層の表面側に前記樹脂ビーズを配向させるものである。
【0010】
また、光透過性の基板の表面側に表示部を除いて不透過層を設け、少なくとも前記表示部と対応する前記基板の表面側または裏面側に、前記不透過層と同色または近似色である半透過性着色層を設け、前記表示部および不透過層より上方に粒子径が2〜14ミクロンの透明な樹脂ビーズを含有してなる保護層を設け、この保護層を設けた後に透過照明式表示板を40〜100℃で加熱して前記保護層の表面側に前記樹脂ビーズを配向させるものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明を各実施例に基づいて説明する。図1は本発明の第1実施例を示すもので、光透過性の基板1の表面側に目盛・文字・数字などの表示部2を形成するための白色の表示層3を設け、表示部2を除いて黒色の不透過層4を印刷形成する。そして、表示部2と不透過層4を覆って透明な保護層5Aを設ける。この保護層5A内の表面側には無色透明なビーズが配向されている。このビーズは樹脂製で、粒子径は2〜14ミクロンである。そのため、表示板の表面が微細な凹凸状態となっている。
【0012】
この様な表示板は従来例と同様に、黒色の地に表示部2が白色で視認される。そして、表示板の表面が微細な凹凸状態であるため、外光を乱反射してより艶消し状態になるとともに、樹脂ビーズが透明なために下地色が鮮明に再現されて高級感が得られる。それとともに、表示部2が基板1の表面側に設けてあっても印刷段差が目立ちにくくなり、デザイン的な見苦しさが薄れ高級感が増す。
【0013】
なお、表示層3および不透過層4を基板1の表面側に設けたが、裏面側でも良い。また、基板1を光透過性としたが不透過性でも良い。その場合、黒色の不透過層4上に白色の表示層3を設けて表示部2としても良い(この場合は印刷段差が出ない)。
【0014】
次に、前記表示板の製造方法について説明する。光透過性の基板1の表面側に目盛・文字・数字などの表示部2を形成するための白色の表示層3と、表示部2を除いて黒色の不透過層4を印刷形成する。そして、表示部2と不透過層4を覆って無色透明なビーズを含有してなる保護層5Aを印刷形成する。これら各層の印刷インクは紫外線硬化性とし、各層を印刷する毎に紫外線照射するものとする。なお、ビーズを含有してなる保護層5Aを印刷した後のみ、紫外線照射を行う前に表示板を40〜100℃で加熱する。この加熱を行うことにより、透明な樹脂ビーズが保護層5Aの表面側に集まって(配向して)表示板の表面が微細な凹凸状態となる。
【0015】
ここで、表面が微細な凹凸状態となる保護層5Aの形成について図2にて説明すると、透明な樹脂ビーズRは球形の径が2〜14ミクロンからなる透明な樹脂からなり、この樹脂ビーズRを混入したインクを印刷し、この保護層5Aを40〜100℃で加熱することにより、保護層5A内の樹脂ビーズRが表面側に集まり(配向し)、表面に配向した樹脂ビーズRによる微細な凹凸表面が形成されることが実験的に確認された。これは、加熱によって保護層5Aのインクに対流が生じ、樹脂ビーズRが表面側に集まってくるものと考えられる。
【0016】
この様に、無色透明なビーズを含有してなる保護層5Aを設けた後に表示板を加熱するだけの簡単な方法で、透明な樹脂ビーズを保護層5Aの表面側に配向させることが出来る。また、膜厚の厚い紫外線硬化性のインクを使っても、前述した如く、印刷段差を目立たなくすることが出来ると共に、紫外線硬化性のインクは速乾性があり表面硬度も高いため、印刷作業性が良く、傷も付きにくく、保護層としての効果がある。
【0017】
図3および図4は本発明の第2実施例を示すもので、光透過性の基板1の表面側には表示部であるエンジンオイル記号8と対応する箇所に黒色の半透過性着色層6を印刷によって設けるとともに、エンジンオイル記号8を除いて黒色の不透過層4を設ける。そして、この不透過層4と半透過性着色層6を覆って透明な保護層5Aを設ける。この保護層5Aは前記第1実施例と同じである。また、エンジンオイル記号8と対応する基板1の裏面には赤色の着色透過層7を設ける。
【0018】
この様な表示板は前記第2従来例と同様に、表示板の裏面側に設けたランプが点灯した時のみ表示部であるエンジンオイル記号8が赤色で透過表示され、ランプ不灯時にはエンジンオイル記号8およびエンジンオイル記号8以外が共に黒色であるため、エンジンオイル記号8の存在を認めにくい。また、表示板の表面が微細な凹凸状態であるため、外光を乱反射してより艶消し状態になるとともに、エンジンオイル記号8が基板1の表面側に設けてあっても印刷による段差Hが目立ちにくくなり、デザイン的な見苦しさが薄れ、ウォーニング表示としての注意喚起効果もある。また、エンジンオイル記号8を基板1の表面側に設けているため、従来例の如く、エンジンオイル記号8の輪郭がぼけてしまうということが無く、エンジンオイル記号8がクッキリと透過表示して、視認性の良好な表示板が得られる。また、樹脂ビーズが透明なために下地色が鮮明に再現されて高級感が得られる。更に、エンジンオイル記号8と対応する基板1の裏面に赤色の着色透過層7を設けたことにより、通常黒色である表示板面に突如としてエンジンオイル記号8が明度の高い赤色で透過表示し、車両のエンジンオイルが低下したことを警告するウォーニング表示としての注意喚起効果がより向上する。
【0019】
なお、黒色の半透過性着色層4を基板1の表面側に設けたが、基板1裏面の着色透過層7の上方に設けても良い。また、赤色の着色透過層7を基板1の裏面側に設けたが、基板1表面の半透過性着色層6の下方に設けても良い。あるいは、表示板の裏面側に発光色が赤色のLEDを設けることによって、赤色の着色透過層7を廃止しても良い。
【0020】
次に、前記表示板の製造方法について説明する。光透過性の基板1の表面側および裏面側には前述した黒色の半透過性着色層6,黒色の不透過層4を印刷形成し、この不透過層4と半透過性着色層6を覆って無色透明なビーズを含有してなる保護層5Aを印刷形成する。そして、エンジンオイル記号8と対応する基板1の裏面には赤色の着色透過層7を印刷する。これら各層の印刷インクは紫外線硬化性とし、各層を印刷する毎に紫外線照射するものとする。なお、ビーズを含有してなる保護層5Aを印刷した後のみ、前述した製造方法と同様に、紫外線照射を行う前に表示板を40〜100℃で加熱する。この加熱を行うことにより、透明な樹脂ビーズが保護層5Aの表面側に集まって(配向して)表示板の表面が微細な凹凸状態となり、前述した製造方法と同様な効果を得る。
【0021】
図5は本発明の第3実施例を示すもので、前記第2実施例ではエンジンオイル記号8と対応する基板1の表面に黒色の半透過性着色層6を設けた後黒色の不透過層4を設けたが、本実施例ではエンジンオイル記号8を除いて黒色の不透過層4を設けた後に黒色の半透過性着色層6を設けたものであり、他は前記第2実施例と同一である。この様に構成したことにより、前記第2実施例と同様の効果を得ることが出来るが、エンジンオイル記号8および不透過層4を覆った半透過性着色層6のみに、表面側に配向された無色透明なビーズを含有してなる保護層5Aを設けることとなり、前記第2実施例に比べてエンジンオイル記号8と不透過層4との艶の違いもなくなって、ランプ不灯時におけるエンジンオイル記号8の存在がより分かり難くなる。
【0022】
図6および図7は本発明の第4実施例を示すもので、光透過性の基板1の表面側に表示部となるビーム記号9を設けた透過領域Sを除いて黒色の不透過層4を設けるとともに、ビーム記号9を黒色で不透過層4と同一工程で設ける。そしてビーム記号9を設けた透過領域Sおよび不透過層4を覆って黒色の半透過性着色層6と、この半透過性着色層6を覆って表面側に配向された無色透明なビーズを含有してなる保護層5Aをそれぞれ設ける。また、透過領域Sと対応する基板1の裏面には青色の着色透過層7を設ける。
【0023】
この様な表示板は表示部の裏面側に設けたランプが点灯した時のみビーム記号9以外の透過領域Sが青色で透過されて、青色の背景にビーム記号9が黒色で浮かび上がる。ランプ不灯時には透過領域S全体および不透過層4が黒色の半透過性着色層6で覆われているためにビーム記号9の存在を認めにくい。この様にして、前記各実施例と同様な効果を得ることが出来る。
【0024】
なお、本発明における各印刷層の色調は実施例に限定するものではない。また、保護層5A内には例えばシリカ系の艶消し剤は全く入っていなくとも良いし、多少含まれていても良い。また、印刷インクは紫外線硬化性に限らず溶剤性でも良い。
【0025】
【発明の効果】
本発明における効果としては、無色透明なビーズを含有してなる保護層を設けた後に表示板を加熱するだけの簡単な方法で、透明な樹脂ビーズを保護層の表面側に配向させることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例を示す表示板の部分断面図。
【図2】本発明の保護層の形成に関する説明図。
【図3】エンジンオイル記号を示す正面図。
【図4】本発明の第2実施例を示す表示板の部分断面図。
【図5】本発明の第3実施例を示す表示板の部分断面図。
【図6】本発明の第4実施例のビーム記号を示す正面図。
【図7】同実施例を示す表示板の部分断面図。
【図8】第1従来例を示す表示板の部分断面図。
【図9】第2従来例を示す表示板の部分断面図。
【図10】第3従来例を示す表示板の部分断面図。
【符号の説明】
1 基板
2 表示部
3 表示層
4 不透過層
5,5A 保護層
R 樹脂ビーズ
6 半透過性着色層
7 着色透過層
H 段差
8 エンジンオイル記号(表示部)
S 透過領域(表示部)
9 ビーム記号
Claims (2)
- 基板の表面側または裏面側に表示部を形成するための表示層を設け、前記表示部を除いて地色層を設け、前記基板の表面側に粒子径が2〜14ミクロンの透明な樹脂ビーズを含有してなる透明な保護層を設け、この保護層を設けた後に表示板を40〜100℃で加熱して前記保護層の表面側に前記樹脂ビーズを配向させることを特徴とする表示板の製造方法。
- 光透過性の基板の表面側に表示部を除いて不透過層を設け、少なくとも前記表示部と対応する前記基板の表面側または裏面側に前記不透過層と同色または近似色である半透過性着色層を設け、前記表示部および不透過層より上方に粒子径が2〜14ミクロンの透明な樹脂ビーズを含有してなる透明な保護層を設け、この保護層を設けた後に表示板を40〜100℃で加熱して前記保護層の表面側に前記樹脂ビーズを配向させることを特徴とする表示板の製造方法。
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