JP3622706B2 - 無線通信システム、基地局及び端末局 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば路車間などの、移動体に搭載された端末局と移動体の移動経路に沿って設置された基地局との間においてデータ伝送が可能な無線通信技術に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来より、DSRC(Dedicated Short Range Communication)と呼ばれる通信方式をデータ通信に使用することが検討されている。DSRCは携帯電話に比べ、通信速度が大きいことと、通信料が安価になることが期待されており、車両と路側通信機の通信方式として広がることが期待されている。
【0003】
DSRC通信システムは、車載器と路上通信機間の通信で行われる。路上側から車両にデータを送る場合と車両から路上側へデータを送る場合があるが、いずれにしろ通信データが大きくなると、データが相手機器に送られるには時間がかかるようになる。DSRC通信では通信エリアが大きくないため(数mから数10m)、通信データの大きさを調整して、通信データの大きさが決定されている。通常は車両が走行する最大速度でも、通信時間が確保できるように、通信データの大きさが定められる。そのため、大きなデータを定められたエリア内で通信を完了するには、特別な方法が必要になる。
【0004】
しかし、DSRCの応用分野を考えると、通信データの大きさは種々の場合があると考えられる。例えば、現在DSRC通信の応用には、▲1▼ETC(Electronic Toll Collection)のように、高速で走行している車両と路上通信機の通信によって短時間で料金を徴収するアプリケーションと、▲2▼コンビニエンスストアや駐車場出入り口で停止、あるいは徐行程度のゆっくりと走行する車両に時間をかけてアンテナからデータを送るというアプリケーションが考えられている。
【0005】
▲1▼のように高速で走行している車両との通信では、速度表示をしても、通信が間に合わない。そのため、高速では10〜100msですべての通信が終わるようにデータ量が設定してある。ETCでは基本の通信1サイクルが1ms程度で設定してある。通常の路車間通信では、周波数検知も含めると20〜30サイクルで通信が完了するように設定されている。つまり30ミリ秒という一瞬の時間である。ここで、路上器が車載器を認識する(周波数検知に要する)時間は数サイクル(数ms)必要になる。
【0006】
一方、上記▲2▼の場合には、車両が徐行程度の速度になるということが前提になる。徐行程度の速度であれば、表示を見ることも可能であり、表示にしたがって速度を変更することも可能である。また、一旦車両が止まっても、秒単位なら運転者が待ち時間というイライラも感じること無しに待つことができる。
【0007】
そこで、この▲2▼のようなアプリケーションを前提とし、通信データ量に応じた適切な移動速度を実現して通信データを確実に伝達できるようにすることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するためになされた請求項1の無線通信システムによれば、端末局と基地局との間の通信データ量を把握し、その把握した通信データ量に基づきデータ送受信に必要な通信時間を算出し、その算出した通信時間に基づきデータ送受信に適した移動体の速度を算出する。そして、その算出された移動体速度に基づいて移動体自体の移動速度を制御するか、又は移動体が人によって運転されている場合には運転者に対して移動速度を報知する。移動速度制御の場合には自動的に適切な移動速度が実現でき、一方、報知の場合には、運転者がこの報知された移動体速度となるように移動体を運転することで適切な移動速度が実現できる。このように、通信データ量に応じた適切な移動速度が実現され、基地局と端末局との間で通信データを確実に伝達できる。
【0009】
なお、通信データ量把握手段、通信時間算出手段、移動体速度算出手段、速度制御手段、報知手段については、基地局側又は端末局側のいずれに設けられていても良い。但し、移動体としては例えば自動車等が考えられ、その場合には、移動体に搭載された端末局側に速度制御手段が設けられることが一般的である。つまり、自動車の有するエンジンやブレーキを制御して走行速度を制御するのである。
【0010】
ここで基地局と端末局との通信が全二重通信であれば、端末局から基地局への通信(アップリンク)と基地局から端末局への通信(ダウンリンク)が並列で行えるため、端末局側で、基地局側から送られるデータと端末局側から送るデータの大きさを比較し、大きい方のデータから通信時間を算定して移動速度を決定する。一方、半二重通信で通信を行う場合、アップリンクとダウンリンクは異なる時間で行われるため、アップリンクデータ量とダウンリンクデータ量を加えた値を基に移動速度が決定される。
【0011】
また、報知手段に関しては、端末局側又は基地局側の少なくともいずれか一方に設けられていればよいが、当然ながら両方に共に設けられていても良い。これは運転者に報知するものであるため、例えば移動体が車両の場合に車両内部に報知のための表示器やスピーカなどがあってもよいし、車両外部に報知のための表示器やスピーカなどがあってもよい。
【0012】
本発明では、通信データ量に応じた適切な移動速度が実現され、基地局と端末局との間で通信データを確実に伝達できることを想定しているが、例えばノイズなどによる通信障害、あるいは移動速度の調整を運転者に委ねた場合に適切な移動速度にならなかったなどの理由により、予定していたデータ送受信が完了しないことも考えられる。その場合、基地局は別の基地局でのデータ補填を行うよう端末局へ通知してもよいし、移動体が人によって運転されている場合には運転者に対してその旨を報知してもよい(請求項4)。このようにすれば、データ送受信が未完であることが端末局側で分かり、必要な対処を取ることができる。
【0013】
その一例として、請求項5のように、移動体用の電話回線を介して不足分のデータをデータ管理センタから端末局へ送信してデータ補填を行うことが考えられる。この場合、データ送受信が完了しなかったことを端末局が判断し、端末局からデータ管理センタへアクセスしてデータ補填を行ってもよいし(請求項6)、基地局が判断してその旨をデータ管理センタへ通知し、当該通知を受けたデータ管理センタが該当する端末局へアクセスしてデータ補填を行ってもよい(請求項7)。
【0014】
ところで、実際のシステム運用を考えた場合、端末局は一つではなく、複数の端末局が随時基地局との間でデータ通信を行うのが一般的である。そのため、例えば移動体として自動車を考えると、複数の自動車が接近する状況が想定される。このような状況においては、例えば請求項8に示すように、複数の移動体に搭載された端末局間で、前方移動体から後続移動体に対して前方移動体の走行挙動を伝達できるようにすることが有効な対策となる。つまり、後続移動体に搭載された端末局が前方移動体の走行挙動に基づき自局の搭載された移動体の走行挙動を制御すれば、前方移動体と所定の間隔を確保できる。又、前方移動体の走行挙動に基づく自移動体の取り得べき走行挙動を報知すれば、運転者がそれに応じて適切な間隔を確保するよう運転できる。したがって、安全に走行(移動)でき、且つ上述した確実なデータ通信が実現できる。
【0015】
複数の移動体に搭載された端末局間同士でのデータ通信については、基地局を介して行うこともできるが、端末局間同士で直接データ通信を行うことが好ましい(請求項9)。データ通信については、例えばブルートゥースなどの無線通信方式を採用することが考えられる。
【0016】
なお、後続移動体に搭載された端末局が自移動体の取り得べき走行挙動を報知する点は述べたが、請求項10に示すように、その報知に代えて、あるいはその報知と共に、基地局が移動体の取り得べき走行挙動を報知してもよい。例えば移動体が車両であれば、車両内部の表示器やスピーカなどを介して報知することもできるし、車両外部に報知のための表示器やスピーカなどがあってもよいからである。
【0017】
また、請求項11に示すように運転者に対してデータ通信の進捗状況を報知すれば、どの程度待てばよいか分かり、いわゆるイライラ感を解消あるいは緩和できる。
また、上述したシステムに好適に用いられる基地局としては請求項12に示すもの、端末局としては請求項13に示すものが挙げられる。これらの効果については、上述しているので繰り返さない。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明が適用された実施例について図面を用いて説明する。なお、本発明の実施の形態は、下記の実施例に何ら限定されることなく、本発明の技術的範囲に属する限り、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
【0019】
[第1実施例]
図1(a)は、上述した発明が適用された第1実施例としての路車間通信システムの概略構成を表す説明図である。
本システムは、車両の走行路近傍に配置された基地局Kと、走行路を走行する車両に搭載された端末局Tとから成る。
【0020】
この内、端末局Tは、車両の例えばダッシュボード上その他の部位に設置されたアンテナ(端末局アンテナ)ATtと、その端末局アンテナATtを介して無線通信を行う端末局本体1とを備えている。
一方、基地局Kは、走行路上方に設けられたアンテナ(基地局アンテナ)ATkと、その基地局アンテナATkを介して無線送受を行う基地局本体10とを備えている。この基地局本体10は、ネットワークNWを介してデータ管理センタ50と接続されている。そして基地局Kは、基地局アンテナATkから搬送波ビームを放射して所定の通信エリアを形成し、その通信エリア内に進入した端末局Tとの間で無線通信を行う。つまり、車両に搭載された端末局Tが車両の移動に伴って間欠的に通信エリアに入出し、その通信エリアに滞在中の端末局Tが基地局Kとの間でデータ通信を行う。
【0021】
本実施例は、端末局T側において車両速度を決定し運転者に知らせるシステム構成である。端末局Tは基地局Kとの通信の初期段階で、基地局Kが全二重通信を行うか半二重通信を行うかのデータと、基地局K側からの通信データ量(基地局側データ量)を受信する。端末局Tは、自局から送信する通信データ量(端末局側データ量)と基地局側データ量、及び通信方式に基づいて、基地局Kと端末局Tとの間でのデータ送受信に必要な時間(つまりデータ送受信が完了するまでに要する時間)を算定する。そして、その結果から、データ送受信に適した車両走行速度を算出し、その算出結果を即時にディスプレイ2に表示する。例えば「速度20km/h以下」というような表示がされることにより、それを見た運転者は、車両走行速度を調節する。
【0022】
図1(b)には、走行路上にどのように通信エリアを形成するかを示した例である。基地局アンテナATkは走行路の上方に設置し、通信エリアと停止線を路上にペイントした例を示す。車両が通信エリアに進入すると1ms程度で通信が開始され、車載のディスプレイ2に走行速度が表示される。通信データ量が多い場合は走行速度0、すなわち停止を促す表示もなされる。通信エリアは、ユーザが確実に認識できるように路上に明確に表示される。また、停止線も路上に描かれる。運転者はそれを見て、車両の運転を調節できる。特に、ガソリンスタンドやドライブスルー等で指定位置に車両を止めるためには有用である。そのため、通信データ量に応じた適切な車両の走行速度が実現され、通信データを確実に伝達できるようになる。
【0023】
なお、路上のペイントに限らず、運転者が見てわかるような簡易的なマーキングあるいは看板等であってもよい。
次に、端末局T及び基地局Kにて実行されるデータ通信に係る処理を、両者間のデータのやりとりも含め、図2のフローチャートを参照して説明する。
【0024】
端末局Tでは、通信エリア内か外かを判定し(S11)、通信エリア外であれば(S11:NO)、引き続きエリア内外を判定する(S11)。通信エリアの内部であることを判定すると(S11:YES)、基地局信号を検知したか否かを判定する(S12)。そして、端末局Tは基地局信号を受信すると(S12:YES)、基地局Kに応答信号を返す(S13)。基地局信号には基地局IDが含まれているので、その基地局IDに対応する基地局Kに対して応答信号を送信する。応答信号中には、端末局IDと端末局Tから送信を予定している通信データ量が含まれる。
【0025】
一方、基地局Kにおいては、ポーリング信号を送信し(S101)、応答信号の有無を判断しており(S102)、端末局Tからのデータを受信すると(S102:YES)、基地局Kから端末局Tに対して命令(データ送信ならデータ送信命令)を出す(S103)。その中には通信方式(全二重、半二重)や基地局Kから送信を予定している通信データ量が含まれている。
【0026】
端末局Tでは、基地局Kからの命令を受信すると(S14:YES)、受信した命令に応じた動作を行うために命令応答信号を基地局Kに対して送信する(S15)。そして、通信に必要な時間を算定し(S16)、走行速度を計算し(S17)、ディスプレイ2(図1参照)に走行速度を表示する(S18)。
【0027】
端末局Tからの命令応答信号を受信した基地局Kはデータ送信を開始し、端末局Tと基地局Kとの間でデータ通信がなされる(S105)。半二重では路上側と車載側が例えば交互に通信し、全二重であれば平行して通信が行われる。
端末局Tでは、エリア内か否かを判定しており(S19)、エリア内に存在している場合には(S19:YES)、データ通信・応答を行う(S20)。端末局Tと基地局Kの通信が完了するまで、データ通信が行われ(S20,S105)、どちらかが先に通信を完了した場合は相手に通信完了信号が送られる(S22)。端末局Tではディスプレイ2に通信完了表示を行う(S23)。また、基地局Kでは、通信完了を受信することで、内部メモリに通信完了を記録しておく(S109)。
【0028】
もし、端末局T側でデータ通信エリアを出てしまった場合は、端末局Tにて当該エリアから出たことを判定し(S19:NO)、通信が未完であることを内部メモリに記録する(S24)。一方、基地局Kにおいても、端末局Tからの通信完了信号を受信しない状態で(S108:NO)、端末局Tからの応答がなくなったことを判定すると(S107:NO)、やはり通信が未完であることを内部メモリに記録する(S110)。
【0029】
なお、本第1実施例は、端末局Tが、通信データ量把握手段、通信時間算出手段、移動体速度算出手段、報知手段を備える例であり、具体的には端末局本体1がこれら各手段に相当する。また、上述した図2のフローチャート中、S13〜S15、S16、S17、S18が各々通信データ量把握手段、通信時間算出手段、移動体速度算出手段、報知手段としての処理の実行内容を示している。なお、報知手段は、ディスプレイ2及びそのディスプレイ2への表示処理(S18)を実行する端末局本体1が相当する。
【0030】
[第2実施例]
図3(a)は、第2実施例の路車間通信システムの概略構成を表す説明図である。第2実施例は、第1実施例を発展させた形である。つまり、第1実施例では取り得べき車両走行速度をディスプレイ2に表示することで、それを見た運転者が自分自身で車両を運転してその走行速度に調整した。しかし、運転ミスにより通信エリアを通過してしまい、データを取り損ねる可能性も考えられる。それを防止するために、第2実施例では、DSRC通信エリア内で車両の走行速度を自動的に制御するようにした。
【0031】
具体的には、端末局Tが算定した速度データを走行制御システム5に伝達し、走行制御システム5が実際に走行速度を制御する。端末局Tには走行制御システム5との間で通信を行うための外部インターフェイス3を持ち、走行制御システム5に対して車内LANを用いてデータを伝達する。これにより運転者が自らの判断でアンテナ位置における速度調節を行わなくても、適切なデータ通信を行える。なお、この場合、端末局Tが通信エリア内に存在するときだけ、走行制御システム5による走行制御が行われる。
【0032】
ここで、走行制御システム5について図3(b)を参照して説明する。走行制御システム5は、複数のセンサ信号を入力し、それらの信号をもとにアクチュエータを制御するものである。アクチュエータの動作はセンサにて検出され制御器に戻される。このような動作(フィードバック制御等)により、車両の走行系は最適動作するよう制御される。運転者の動作も種々のセンサにより検知され、運転者が意図する動作や、運転者が制御しきれない多くの運転動作が走行制御系によって補助されている。たとえばABS(自動ブレーキ制御)では、人では制御しきれないブレーキの詳細な制御を行っている。
【0033】
なお、複数のセンサとは、例えば車輪速センサ、ステアリング角センサ、アクセル開度センサ、ブレーキ押圧センサ、ブレーキ押速度センサ、Gセンサ、ヨーレートセンサ、シフトポジションセンサ等であり、アクチュエータとは、例えばブレーキシステム(油圧回路等)、モータ(スロットルバルブモータ等)、電動ステアリング等である。
【0034】
また、本実施例の走行制御システム5では、従来のような車両に搭載されたセンサの情報をもとにアクチュエータの動作を制御する機能に加え、外部から通信にて送られてきた情報の内、対応できる制御系を持ち、外部からの指示にしたがって車両を走行させることが可能になっている。そのために、走行制御システム5は外部と通信を行うための通信I/Fを持つ。
【0035】
ここで、端末局Tが、基地局K側から車載の走行制御システム5に関する情報を受信する場合を説明する。端末局Tは、基地局Kより受信したデータをゲートウェーGWに送る。ゲートウェーGWは、外部から信号を受信し、その信号を走行制御システム5に転送しても良いかを判定する機能を持つ。ゲートウェーGWは、走行制御システム5につけられるハード(あるいは機能ID)が正しいことと、その機能において使える命令(メッセージセット)やデータIDが対応する機器(走行制御システム5)のデータ辞書に含まれるかを判定して、走行制御システム5へデータを送ってよいかをチェックする。ここで、走行制御システム5に含まれていない命令(メッセージ)やデータがゲートウェーGWに来た場合は、そのデータを走行制御システム5に悪影響を及ぼすおそれがあるため、ゲートウェーGWにてエラーと判定される。ゲートウェーGWは、走行制御系に、そのエラーデータを送らないようにする。
【0036】
また、ゲートウェーGWは受信したデータがどの機器から送られてきたものかを受信データのヘッダに含まれる機器IDで判定する。上記の例ではゲートウェーGWはデータがDSRCの基地局Kから送られてきたことを判定できる。これらの通信履歴はゲートウェーGWで記録される。機器IDとしてインターネットアドレスを用いてもよい。データが正常な場合、ゲートウェーGWはデータを走行制御システム5へ送る。走行制御システム5はそのデータを受け取って、命令通りの動作を行う。車両速度を10km/hに設定するには、例えば次のようにする。
【0037】
・アプリ名:DSRCエリア内走行制御(ID=15 この値は適当)
・いつ:車両がエリアに入ったとき
・どこで:通信エリア内
・対応機器:車両走行制御ECU:
・どのように:一定速度走行:10km/h:
・その他条件:ブレーキ制御・近接時ブレーキ作動:ブレーキ作動5m以内近接
車両はこれらのデータから自動走行(一定走行)のパラメータをセットして、一定速度走行を行う。
【0038】
このようなデータを送るためにTLV方式(tag/Length/Value)の形式を用いることが望ましい。この形にはASN.1と呼ばれるものやXMLと呼ばれるデータの形がある。
上記のアプリ名としてDSRCエリア走行制御としたが、他にいくつかの制御モードを設定し、基地局Kから、車両をいくつかの走行パターンで走行させることが可能になっている。駐車場への縦列駐車や、渋滞時隊列走行などが、アプリIDにより区別されている。
【0039】
次に、走行制御システム5における制御内容を図4のフローチャートを参照して説明する。
走行制御システム5は、外部機器からの信号を定期的に受信し、外部からの信号がなければ(S51:NO)、通常の速度制御モードへ移行する(S57)。一方、外部からの信号があれば(S51:YES)、端末局Tからの信号であるか否かを判断し(S52)、端末局Tからの信号であれば(S52:YES)、信号の内容を読み、それに基づいた制御を行う(S53)。速度制御の場合は、スロットルとブレーキ制御また必要に応じてエンジン(モータ)回転数制御が用いられる(S55)。一方、端末局Tからの信号でない場合は(S52:NO)、他の制御モードへ移行する(S58)。この他の制御モードとは、例えば上述例で言えば、駐車場への縦列駐車や、渋滞時隊列走行などのアプリケーションに対応するモードである。
【0040】
なお、本実施例では走行制御システム5が速度制御手段に相当する。
[第3実施例]
図5は、第3実施例の路車間通信システムの概略構成を表す説明図である。実際のシステム運用を考えた場合、端末局Tは一つではなく、複数の端末局Tが随時基地局Kとの間でデータ通信を行うのが一般的であるため、複数の車両が接近する状況が想定される。運転者が前方車両の動作を見誤った時には、前方車両に非常に接近してしまうおそれがある。それを防止するために、本実施例では、車両の動作(減速するか、停止するか、あるいは速度を維持するか、加速するか等)を後続車両へ伝達する後方通信機7bと、前方車両との通信を行うために、車両の前方に前方通信機7aをもつ。走行制御システム5は、前方車両からのデータと端末局Tからのデータを比較判定し、前方と後方の両方の車両と車間距離を保ちながら、安全に走行でき、DSRC通信エリア内でデータ通信が確実に行えるようにする。
【0041】
前方通信機7aが備えるアンテナ(前方アンテナ)は、主に受信を行い、前方車両の後方に設置してある後方アンテナとの距離が設定値以下になると、前方車両から送られて来る近接警報信号を受信できるように、待ち受け状態にある。通信にはDSRC(限られたエリアにある通信機と通信を行う方式)が用いられる。一方、後方通信機7bが備えるアンテナ(後方アンテナ)は、主に送信を行い、後方車両の前方に設置された前方アンテナとの距離が設定以下になると、後方車両と通信が可能になる。
【0042】
この制御は端末局Tのデータ制御器8が主体となって実行するが、データ制御器8がDSRC通信機4を介して基地局Kからの設定速度走行命令を受信している場合、後方通信機7bを用いて後続車両に近接警報信号と走行速度情報を送信する。また、前方通信機7aは、前方車両から近接警報信号と走行速度情報、そして緊急停止のような急激な車両速度の変化を受信すると、その情報を走行制御システム5へ送る。走行制御システム5は、その情報から前方車両の急激な速度変化を把握し、当該速度変化に追随して速度を変化させる。
【0043】
前方通信機7a及び後方通信機7bについては、例えば電子ナンバープレートとして構成することが考えられる。前方と後方の車車間通信を行うための機能をナンバープレートに内蔵したものである。図6に示すように、電子ナンバープレートには車両の登録IDが記憶されている。アンテナとして平面アンテナあるいはコイルアンテナが形成され、アンテナ通信回路への入力パワー、アンテナ指向性、位相等を調節することで通信可能距離を制御できるようにされている。通常10mW程度のパワーで通信距離を数m程度とすることが可能なDSRC機能を持つ。DSRCのデータ通信において、徐行程度の速度で前方車両が後続車両への近接警告を与えるには、距離数mは妥当な距離である。もっと車両が高速に走行する場合は、出力を調節して到達距離を30m程度にすることが可能である。この距離であれば一般道の走行における近接警報を出すことも可能である。
【0044】
次に、データ制御器8の実行する制御内容について図7のフローチャートを参照して説明する。
まず、データ制御器8は、前方車両からの信号があるかを、前方通信機7aの状態を見てチェックする(S71)。もし受信があれば(S71:YES)、それが車両からの近接信号か否かをチェックする(S72)。その信号が近接信号ではなく、他の信号(別のアプリID)であれば(S72:NO)、それに応じた動作を行う(S73)。
【0045】
また、前方通信機7aが受信した信号が近接信号の場合には(S72:YES)、その中に緊急信号が含まれていないかをチェックする(S74)。そして、緊急信号が含まれる場合には(S74:YES)、走行制御システム5に緊急処理データを送る(S75)。それに対して緊急処理信号が含まれていない場合は(S74:NO)、走行制御システム5に通常の処理を行わせる(S75)。
【0046】
一方、前方通信機7aに受信が無い場合には(S71:NO)、DSRC通信機4が端末局用のデータを受信したか否かをチェックする(S77)。端末局用受信データがある場合は(S77:YES)、設定されたパケットが全部読まれるまで(S78:YES)処理を続ける。そして、受信したパケットに走行制御データがある場合は(S79:YES)、後方通信機7bが用いるデータを、DSRC通信機4が受信したデータから作成する(S80)。これは、例えば「10km/hの一定速度走行」を示すデータなどである。そして、その作成したデータを後方通信機7bへ転送する(S81)。続いて、パケットに含まれたデータを読み出し、基地局Kへの応答が必要であれば、応答データを作成する(S82)。DSRC通信機4からのデータ受信を完了すると、受信完了信号をDSRC通信機4へ返す(S83)。その後、送受信データを内部メモリに記憶する(S84)。
【0047】
これに対して、前方通信機7a、DSRC通信機4からの受信データがなかった場合(S77:NO)、後方通信機7bが送信するためのデータを作成し(S85)、後方通信機7bへ転送する(S86)。
なお、これらの処理中に運転者が緊急にブレーキを踏むような危険行為を行った場合は、走行制御システム5よりそのデータを受信して、後方通信機用データを作成し、後方通信機7bへ転送する。あるいは、走行制御システム5から直接後方通信機7bへ直接データを送るようにしてもよい。
【0048】
[第4実施例]
図8は、第4実施例の路車間通信システムの概略構成を表す説明図である。以上説明した各実施例においては、通信データ量に応じた適切な車両走行速度が実現され、基地局Kと端末局Tとの間で通信データを確実に伝達できることを想定しているが、例えばノイズなどによる通信障害、あるいは車両走行速度の調整を運転者に委ねた場合に適切な走行速度にならなかったなどの理由により、予定していたデータ送受信が完了しないことも考えられる。その場合の対策を加味したのが本実施例である。具体的には、図8に示すように、DSRC通信でデータ送受信が完了しなかった場合の不足データを電話回線でバックアップするシステム構成である。端末局Tに携帯電話6が接続され、DSRC通信で完了しなかったデータを、携帯電話基地局40及びネットワークNWを介してデータ管理センタ50からダウンロードする。
【0049】
この際、データ通信が未完であることを端末局Tが判定して、端末局T側からデータ管理センタ50へアクセスする方法と、データ通信が未完であることを基地局K側が判定し、基地局Kがデータ管理センタ50へアクセスし、データ管理センタ50から、端末局T側へ電話をかける方法が考えられる。なお、携帯電話6の代わりに自動車電話などの移動体電話を用いても良い。
【0050】
[第5実施例]
路車間通信システムの具体的なアプリケーションとして、コンビニエンスストアの駐車場で音楽配信や料金振込みを行うことが検討されている。音楽配信では、1曲あたりのデータ量が数メガバイトと考えられており、通信速度が4Mbps(メガビット毎秒)=500Kバイト/秒の場合、最短でも10秒程度がデータダウンロード時間として必要である。また、料金支払いにおいても、金融機関の認証処理には秒単位の時間が必要になる。このようなアプリケーションではコンビニの駐車場では車両を停止させてデータのダウンロードを行うため、表示器には「車両停止」とか、「ダウンロード中」というようにエリアから出ないようにする表示が有効である。将来は、データのダウンロードステーション(ドライブスルータイプ)が設けられると思われる。車両は列をなして、車両走行路を設定速度で走行することになる。この場合、人が低速運転を制御するよりは、自動運転(路上から運転制御)が車両の追突事故を防止するために有利である。
【0051】
また、現在タクシーや物流の分野では、車両が一日どのようなところをどのように走行したかを事務所で管理することが検討されている。データを事務所にアップロードするような場合、車両は自分自身でどの程度のデータを事務所に送るかがわかっているため、車両走行速度を自車で制御して通信処理を行う必要がある。このときも、複数の車両が通信処理のために順番待ちをする状況が考えられ、その際、前方車両と後続車両へ自車がどのように走行するかを通信で送ることにより、通信中の車両の衝突を防止できる。
【0052】
図9(a)には、タクシーが事務所との間でデータのダウンロードとアップロードをする様子をあらわす。事務所の敷地内にデータ通信用の走行路が準備されており、手前側にアンテナ▲1▼、奥側にアンテナ▲2▼が配置されている。そして、アンテナ▲1▼及びアンテナ▲2▼にそれぞれ対応する位置に、表示機▲1▼及び表示機▲2▼が配置されている。そして、徐行速度で走行する車両に搭載された端末局Tがアンテナ▲1▼あるいは2を介して基地局K側と通信を行い、事務所との間でデータのダウンロードとアップロードを行う。データが多い場合には、これら2つの通信エリアにデータを分割して送るような制御も考えられる。なお、端末局T側の構成は、図1(a)に示した第1実施例あるいは図3(a)に示した第2実施例の場合と同様である。
【0053】
図9(b)には、2つの走行パターンにおける表示例を示す。走行パターン1ではアンテナ▲1▼を介したデータ通信では予定していたデータ通信が完了しない場合を示し、走行パターン2ではアンテナ▲1▼を介したデータ通信で予定していたデータ通信が完了する場合を示す。
【0054】
車両がアンテナ▲1▼による通信エリアに入る前に、表示機▲1▼に進入速度5km/hが表示される。その表示を見た運転者がその指示に従い車両を減速させる。車両が通信エリアに入ると、表示機▲1▼と同じ内容の速度制御信号が車両に送信され、端末局T側のディスプレイ2にも表示される。車両に図3(b)に示すような走行制御システム5がある場合は、設定速度に車両速度を変える。また、車両側からデータを送る場合、車両が通信エリアに入るとすぐにアンテナ▲1▼に車両から車両の持つデータ量が伝達される。
【0055】
走行パターン2の場合、アンテナ制御器は、データ量と車両速度からアンテナ▲1▼で通信が完了すると判定すると、車両設定速度を表示機▲1▼に表示し、また端末局T側にも走行速度を通知する。
一方、走行パターン1の場合、アンテナ制御器は、データ量と車両速度からアンテナ▲1▼では通信が完了しないと判定すると、車両設定速度を表示機▲1▼に表示し、また端末局T側にも走行速度を通知する。この場合、アンテナ▲2▼による通信エリアに他の車両が滞留していない場合、アンテナ制御器は2つの通信エリアで通信を完了するように車両速度を計算し、表示機▲1▼及び表示機▲2▼に表示する。それに対してアンテナ▲2▼による通信エリアに他の車両が滞留している場合、アンテナ制御器はアンテナ▲1▼による通信エリアで通信を完了するように、車両がアンテナ▲1▼による通信エリア内で停止するよう表示機▲1▼に表示する。
【0056】
なお、アンテナ▲2▼による通信エリアに車両が停止してデータ通信を行っていない場合、アンテナ制御器は2つのアンテナで車両と通信しようとする。アンテナ制御器は通常アンテナ▲1▼とアンテナ▲2▼でのデータ量を通信時間が最も短くなるように配分する。そのため、アンテナ制御器は、表示機▲2▼の表示に表示機▲1▼と同等の速度設定表示を行い、通信が完了した時点で、通信完了に表示を切り替える。その後はたとえば前方車両に注意して加速というような表示を行い、車両の走行速度を上げさせる。このようにして、なるべく、車両の停止がないように表示を行い速度制御を行う。もちろん、表示によって運転者に報知する手法ではなく、車両側に走行制御システム5がある場合には、自動速度制御運転を行うようにしてもよい。
【0057】
[第6実施例]
本実施例は、第5実施例を発展させた形であり、特に複数のアンテナを用いて、車両の滞留が無いようにする点に主眼を置いたシステムである。図10(a)には本システムの概略、図10(b)には基地局K側のブロック図を示す。
【0058】
走行路上には少なくとも2台のアンテナがアンテナ制御器に接続されている。ここでは2台とする。アンテナ▲1▼及びアンテナ▲2▼に対してアンテナ制御器がどのようなデータを割り振るかを、アンテナ制御用PCの命令で実行する。アンテナ制御用PCは、外部からネットワーク等で送られてきたデータを保持し、アンテナの通信エリアに送信相手が通過した時に、該当するデータを送信する。アンテナ制御用PCが受信したデータには、そのデータをどの車両に送るかのあて先アドレス(インターネットアドレスや車両IDなど、車両をユニークに識別できるものであればよい。)が付けられている。また、アンテナ制御PCには2台の表示機が有線または無線で接続されており、車両に走行速度を示したり、自動制御速度を教えたりする。無線で通信する構成とする場合はブルートゥースや無線LAN等を用いるようにするとよい。また、車両がマニュアル走行をする場合で、車両の加速する必要が生じた場合には、運転者に対して車両の加速を促す表示を出す。なお、表示機は端末局T(車内)に接続するようにしてもよいし、車両内外の両方に設けても良い。
【0059】
次に、基地局K側にて実行される処理を図11のフローチャートを参照して説明する。
アンテナ▲1▼による通信エリア内に車両が存在するか否かを検知し(S151)、車両の存在を検知した場合には(S151:YES)、端末局Tから端末局TIDを読み出す(S152)。そして、アンテナ▲1▼を介して、車両が自動速度制御機構を持つ場合には端末局Tに10km/h走行命令を出し、自動速度制御機構を持たない車両に対しては表示機▲1▼による表示にて10km/h走行命令を運転者に報知する(S153)。もちろん、端末局T側のディスプレイ2においても同様の表示をおこなってもよい。
【0060】
次に、端末局Tに対し、第1アンテナを介して端末局Tから基地局K側へ送信するデータ量(アップリンクデータ量)を問い合わせ(S154)、端末局Tから送信されたアップリンクデータ量を受信する(S155)。なお、アンテナを介して受信したデータ処理はアンテナ制御PC(図10参照)が行っているが、例えばこの機能をアンテナ制御器に内蔵してもよい。
【0061】
アンテナ制御PCは、基地局K側から端末局Tへ送信するデータ量(ダウンリンクデータ量)を算定し(S156)、上述したアップリンクデータ量とダウンリンクデータ量の合計データ量を計算して、通信に必要な時間を算定する(S157)。なお、アップリンクの通信速度とダウンリンクの通信速度が異なる場合は、それぞれから通信に要する時間を計算し、加算する。
【0062】
次に、算定した時間が1つのアンテナを10km/hで通過するのに要する時間よりも小さいか否かをチェックする(S158)。その結果、算定時間が通過に要する時間よりも十分小さい場合は(S158:YES)、アンテナ▲1▼だけで通信が行えると判定される(S159)。その場合、アンテナ▲1▼での通信が完了すると(S160)、アンテナ▲2▼で通信を行う必要がない。したがって、車両の前方に車両が無いことをアンテナ制御器のデータをもとにアンテナ制御PCが判定すると(S161:NO)、車両の速度を10km/hよりも加速するように端末局T側に命令を出す(S163)。一方、前方に車両が存在する場合は(S161:YES)、車両速度10km/hを維持するように端末局T側へ命令を出す(S162)。
【0063】
これに対して、S157で算定した時間が1つのアンテナを10km/hで通過するのに要する時間よりも小さいかをチェックした結果(S158)、通過時間が設定値よりも大きくなる場合は(S158:NO)、アンテナ▲1▼とアンテナ▲2▼の両方を使って通信を行うようにする(S164)。具体的には、アンテナ制御PCは、通信データをアンテナ▲1▼用とアンテナ▲2▼用に分割する(S165)。アンテナ▲1▼で通信を完了した後(S166)、引き続きアンテナ▲2▼で通信を行う(S167,S168)。アンテナ▲2▼による通信が完了すると(S169)、S161へ移行する。以後は、前記と同様にして車両の前方に車両が無いことをアンテナ制御器のデータをもとにアンテナ制御PCが判定すると(S161:NO)、車両の速度を10km/hよりも加速するように端末局T側に命令を出す(S163)。一方、前方に車両が存在する場合は(S161:YES)、車両速度10km/hを維持するように端末局T側へ命令を出す(S162)。
【0064】
なお、端末局Tにおける表示例を図12(a)に示す。アップリンクとダウンリンクを区別し、それぞれがどこまで通信できたかを表示する。図12(a)はアップリンクとダウンリンクを1本の棒状で表したが、それぞれを別の棒状で表してもよい。そのとき、進捗に応じて、棒が増えていく表示をすると、乗務員が直感的に通信があとどの程度で完了するかを把握することができ、待つイライラを低減できる。アップリンクデータがあればその通信を先に行い、ダウンリンクを後に行う方がよい。なぜなら、アップリンク情報は車両の業務結果デーが含まれ、業務を行う上で優先度が高いからである。
【0065】
また、図12(b)には通信データの構成を示す。図12(b)は時間に応じてどのようなデータが送られるかを示した図である。アンテナ制御器は、時分割で複数の車両と通信が行えるようになっている。これは、現状のETCと同様のプロトコルを用いて、複数台の車両と通信が行えることを意味している。
【0066】
[その他の実施例]
(1)以上説明した第1〜第6実施例は、端末局Tにて通信データ量などを算出する実施例であったが、基地局Kにて通信データ量その他を算出するようにしてもよい。
【0067】
▲1▼例えば図13(a)は、第1実施例に対応するものであり、基地局K側でデータ量を判定し、さらに車両速度を算定して端末局Tに送信するシステムの一例を示す。端末局Tが通信エリアに入ると、端末局Tが送信を予定している通信データ量を基地局Kが受信する。そして、基地局Kは、基地局Kが送信を予定している通信データ量と端末局Tからの通信データ量とから、通信時間、走行速度を算定し、走行速度を端末局Tに送信する。端末局Tでは、その送られた走行速度をディスプレイ2に表示する。また、基地局K側に速度表示器12を設け、運転者に走行速度を報知してもよい。
【0068】
なお、基地局Kで走行速度を算定する場合のフローチャートは、図2のS103で命令を出した後に、図2のS16,S17で示すような端末局Tにて実行しているのと同様の通信時間算定処理、走行速度算定処理を実行し、その算定した走行速度を端末局Tに送信する。その他の処理は同様の内容となる。
【0069】
▲2▼また、図13(b)は第2実施例に対応するものであり、端末局T側に走行制御システム5を設け、DSRC通信エリア内で車両の走行速度を自動的に制御するようにしてもよい。この内容については、第2実施例で詳述したので繰り返さない。なお、このように車両の走行速度を自動的に制御する場合であっても、基地局K側に設けた速度表示器12によって運転者に走行速度を報知することは存置してよい。この報知があれば、例えば車両が自動的に減速したり、停止した場合に、その理由が分かるからである。もちろん、端末局T側のディスプレイ2にも同様の走行速度表示をしてもよい。
【0070】
▲3▼また、図14に示すシステム例は、上述した第3実施例に対応するものである。つまり、車両の動作(減速するか、停止するか、あるいは速度を維持するか、加速するか等)を後続車両へ伝達する後方通信機7bと、前方車両との通信を行うために、車両の前方に前方通信機7aをもつ。走行制御システム5は、前方車両からのデータと端末局Tからのデータを比較判定し、前方と後方の両方の車両と車間距離を保ちながら、安全に走行でき、DSRC通信エリア内でデータ通信が確実に行えるようにする。このような前提において、基地局Kで、通信データ量に基づき通信時間、走行速度を算定し、走行速度を端末局Tに送信するのである。この場合も、基地局K側に設けた速度表示器12に走行速度を報知してもよいし、しなくてもよい。
【0071】
▲4▼その他、第4〜第6の実施例に対応するシステム構成を採用しても良い。
なお、これら▲1▼〜▲4▼の実施例の場合は、基地局Kが、通信データ量把握手段、通信時間算出手段、移動体速度算出手段、報知手段を備える例であり、具体的には基地局本体10がこれら各手段に相当する。なお、報知手段は、速度表示器12及びその速度表示器12への表示処理を実行する基地局本体10が相当する。
【0072】
(2)通信データ量を把握し、その通信データ量れに基づいて通信時間を算出し、その算出した通信時間に基づいて適切な走行速度を算定するという、3つの処理に関しては、一連の処理として、端末局T側、基地局K側のいずれか一方で全てを行うのが一般的ではあるが、例えば一部を端末局Tで行い、残りを基地局Kで行うようにしてもよい。
【0073】
(3)上記実施例では、運転者への報知を、ディスプレイ2あるいは速度表示器12への表示で実現したが、例えばスピーカを介して音声にて実現してもよい。また、音声と表示の両方にて実現してもよい。
(4)移動体として自動車等の車両の例を挙げたが、その他の移動体であっても適用は可能である。例えば移動体が人であっても適用は可能である。この場合に「移動体に搭載される端末局」は「人に携帯される端末局」の意味となる。このように人が携帯する端末局に情報を送る場合には、以下のような構成となる。
【0074】
つまり、人が通行する通路の天井や壁等に基地局を設置しておき、通路に通信エリアを形成する。人がその通信エリア内に入ると、端末局は基地局と通信を開始する(図2参照)。図2のS17において端末局が通信時間を算定すると、人にその時間を表示あるいは音声等によって報知する。人はその情報をを見て(あるいは聞いて)、通信エリア内にとどまるようにする。通信が完了すると、その結果が人に表示あるいは音声等で報知され、人はその表示を確認して通信エリアを出る。なお、通路の通信エリアを明示するために、通信エリアが明確に分かるような色分けを廊下や壁に施しておくとよい。
【0075】
また、図2の例では基地局からのポーリング信号を端末局で検知した場合に初めて応答信号を返すようにしているが、例えば通信エリア内に入った人が端末局を操作し、端末局から基地局へ命令を出すようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は第1実施例の路車間通信システムの概要説明図、(b)は走行路上にどのように通信エリアを形成するかを示す説明図である。
【図2】第1実施例のシステムにおける端末局及び基地局にて実行されるデータ通信に係る処理を示すフローチャートである。
【図3】(a)は第2実施例の路車間通信システムの概要説明図、(b)は走行制御システムの説明図である。
【図4】第2実施例の端末局側の走行制御システムにて実行される処理を示すフローチャートである。
【図5】第3実施例の路車間通信システムの概要説明図、(b)は走行制御システムの説明図である。
【図6】第3実施例の端末局側の前方通信機及び後方通信機を電子ナンバープレートとして構成した場合の説明図である。
【図7】第3実施例の端末局側のデータ制御器にて実行される処理を示すフローチャートである。
【図8】第4実施例の路車間通信システムの概要説明図である。
【図9】第5実施例の路車間通信システムの概要説明図である。
【図10】第6実施例の路車間通信システムの概要説明図である。
【図11】第6実施例の基地局側にて実行される処理を示すフローチャートである。
【図12】(a)は第6実施例の端末局における表示例の説明図、(b)は通信データの構成説明図である。
【図13】別実施例の路車間通信システムの概要説明図である。
【図14】別実施例の路車間通信システムの概要説明図である。
【符号の説明】
K…基地局、T…端末局、ATk…基地局アンテナ、ATt…端末局アンテナ、NW…ネットワーク、GW…ゲートウェー、1…端末局本体、2…ディスプレイ、3…外部インターフェイス、4…DSRC通信機、5…走行制御システム、6…携帯電話、7a…前方通信機、7b…後方通信機、8…データ制御器、10…基地局本体、12…速度表示器、40…携帯電話基地局、50…データ管理センタ
Claims (13)
- 端末局を搭載した移動体の移動経路に沿って配置され、限られた通信エリアを有する基地局と、その基地局の通信エリアに進入した端末局との間で無線通信を行う無線通信システムであって、
前記端末局と前記基地局との間の通信データ量を把握する通信データ量把握手段と、
該通信データ量把握手段によって把握した通信データ量に基づき、データ送受信に必要な通信時間を算出する通信時間算出手段と、
該通信時間算出手段にて算出した通信時間に基づき、前記データ送受信に適した前記移動体の速度を算出する移動体速度算出手段と、
前記移動体速度算出手段によって算出された移動体速度に基づき、前記移動体自体の移動速度を制御する速度制御手段、又は前記移動体が人によって運転されている場合には当該運転者に対して前記移動体速度を報知する報知手段の少なくともいずれか一方と
を備えている無線通信システム。 - 請求項1記載の無線通信システムにおいて、
前記速度制御手段は、前記端末局側が備えていることを特徴とする無線通信システム。 - 請求項1又は2記載の無線通信システムにおいて、
前記報知手段は、前記端末局側又は前記基地局側の少なくともいずれか一方に設けられていることを特徴とする無線通信システム。 - 請求項1〜3のいずれか記載の無線通信システムにおいて、
前記基地局は、前記データ送受信が完了しなかった場合に、別の基地局でのデータ補填を行うよう前記端末局へ通知するか、又は前記移動体が人によって運転されている場合には当該運転者に対してその旨を報知することを特徴とする無線通信システム。 - 請求項1〜3のいずれか記載の無線通信システムにおいて、
所定のデータ管理センタが、移動体用の電話回線を介して前記端末局とデータ通信可能にされており、
前記端末局と前記基地局との間での前記データ送受信が完了しなかった場合には、不足分のデータを前記データ管理センタから前記端末局へ送信してデータ補填を行うようにしたことを特徴とする無線通信システム。 - 請求項5記載の無線通信システムにおいて、
前記端末局と前記基地局との間での前記データ送受信が完了しなかったことを前記端末局が判断し、端末局から前記データ管理センタへアクセスして前記データ補填を行うことを特徴とする無線通信システム。 - 請求項5記載の無線通信システムにおいて、
前記端末局と前記基地局との間での前記データ送受信が完了しなかったことを前記基地局が判断してその旨を前記データ管理センタへ通知し、当該通知を受けたデータ管理センタが該当する前記端末局へアクセスして前記データ補填を行うことを特徴とする無線通信システム。 - 請求項1〜7のいずれか記載の無線通信システムにおいて、
複数の移動体に搭載された端末局間で、前方移動体から後続移動体に対して前方移動体の走行挙動を伝達する手段を備えており、
前記後続移動体に搭載された端末局は、前記伝達された前方移動体の走行挙動に基づき前記前方移動体と所定の間隔を確保できるように自局の搭載された移動体の走行挙動を制御するか、又は前記移動体が人によって運転されている場合には当該運転者に対して前記伝達された前方移動体の走行挙動に基づく自移動体の取り得べき走行挙動を報知することの少なくともいずれか一方を行うことを特徴とする無線通信システム。 - 請求項8記載の無線通信システムにおいて、
複数の移動体に搭載された端末局間同士で直接データ通信が可能にされていることを特徴とする無線通信システム。 - 請求項8又は9記載の無線通信システムにおいて、
前記後続移動体に搭載された端末局が前記自移動体の取り得べき走行挙動を報知することに加えて、又は当該報知に代えて、前記基地局が当該移動体の取り得べき走行挙動を報知することを特徴とする無線通信システム。 - 請求項1〜10のいずれか記載の無線通信システムにおいて、
前記移動体が人によって運転されており、当該運転者に対して前記端末局と前記基地局との間のデータ通信の進捗状況を報知することを特徴とする無線通信システム。 - 請求項1〜11のいずれかにおいて基地局に関して記載された構成を有することを特徴とする基地局。
- 請求項1〜11のいずれかにおいて端末局に関して記載された構成を有することを特徴とする端末局。
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