JP3622283B2 - 電極接続装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アーク炉の電気式溶融炉において、電極把持装置により垂直に保持された電極が操業によって消耗するに従いその旧電極の上端に新電極をねじ込むことにより継足する電極接続装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
アーク炉にて使用される人造黒鉛製の電極は使用により消耗するため、使用中の電極の上端部に新電極を継足す作業が必要であり、そのための電極接続装置としては、例えば特公昭56−24358号公報,実開平3−130196号公報,特公平6−54713号公報等により知られている。
【0003】
ところで一般に電極を接続するに当たっては、旧電極の軸芯に新電極の軸芯を完全に一致させて新電極をねじ込むようにしないと、ねじ山がつぶれ接続不良を起こすおそれがある。このため従来の電極接続装置ではクレーンに吊下した新電極の下端を旧電極の上端にぴつたりと一致させ新電極を下降せねばならず、そのためにクレーン操縦者とは別にアーク炉上に作業員がいて新電極をガイドしなければならず、危険を伴う状況であった。
【0004】
また、従来の電極接続装置には、それ自体の廻り止めのために装置本体の外周にテレスコープ状に多段に伸びる伸縮筒を備え、該伸縮筒を下方に伸ばしてその下端を電極把持装置に係合させるか、或いはその伸縮筒をクレーンに固定することにより該伸縮筒に上記回転トルクを負荷させるようにしたものもあったが、そのようなものでは装置本体が大型化し大重量になるので製作コストが高くなると共に、吊上に大型のクレーンを要するなどの問題があった。
【0005】
また、電極のねじピッチに合わせて新電極を下降(螺進)させる同期型電極接続装置において、従来ではその装置に設けられている螺進用の台形ねじのピッチが電極のねじピッチと完全に一致していないとその台形ねじまたは電極のねじに無理がかかりねじ山を損傷させるおそれがあった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記従来の問題点を解決し、新電極を容易に継足し得る電極接続装置を提供しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
そのために本発明は、電極把持装置により垂直に保持された旧電極の上端のねじ孔に新電極の下端の接続ねじをねじ込むための電極接続装置であって、クレーンにより吊下される吊フレーム内に雌ねじ体を設け該雌ねじ体にねじ軸を螺合し、該ねじ軸の下端に回転を伝達し軸方向には伸縮可能なる回転伝達継手を介して新電極ホルダを垂下し該新電極ホルダ中に前記新電極を保持させ該新電極ホルダを前記ねじ軸のピッチに従い下方に螺進させるようにしたことを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
次に本発明に係る電極接続装置の実施の形態を図面と共に説明する。図1にこの電極接続装置の側面図、図2に縦断面図、図3〜図8に図2のA−A断面乃至G−G断面を示した。図において、1はアーク炉に設けられた電極把持装置、2は該電極把持装置1により垂直に保持された旧電極で、該旧電極2の上端にはテーパ状のねじ孔3が形成されている。4は該ねじ孔3に下端の接続ねじ5を螺合し接続せんとする新電極である。
【0009】
6はクレーン(図示せず)のロープ7に上端の係合部8を保留して吊下された筒状の吊フレームで、該吊フレーム6内中心に雌ねじ体9がボルト10により固設され、該雌ねじ体9の内周には台形ねじが刻設されこれにねじ軸11が螺合されている。なお該ねじ軸11と雌ねじ体9を螺合させている台形ねじのピッチは前記接続ねじ5のピッチと同一ピッチとしている。
【0010】
ねじ軸11の下端には回転を伝達し軸方向には伸縮可能な回転伝達継手60を介して新電極ホルダ12を垂下している。即ち、該回転伝達継手60は、ねじ軸11の下端に固設されたフランジ61にボルト62によって抱持体63を固着し、該抱持体63の底壁に開設された四角形の開口64に図3に示したように四角柱状の伝動軸65を遊挿し該伝動軸65の上端に下面が球状に形成された球状部材66を一体に形成し該球状部材66は抱持体63中にて上方に間隙67が存するように偏平に形成すると共に、該伝動軸65の下端部を新電極ホルダ12の上端部中心に固設された軸受筒68に貫挿し、キー69により回り止めをすると共に、該伝動軸65の下方突出端にナット70,71を螺締して連結してなる。このため抱持体63の回転は四角形の開口64を介して伝動軸65に伝達するが、抱持体63中に間隙67が存するために軸方向には伸縮可能となる。
【0011】
19は該新電極ホルダ12を軸心回りに回転させる回転駆動部で、吊フレーム6の一側部に軸受15,16によりモータ18にて回転するピニオン17を支持すると共に新電極ホルダ12の外周に設けた大径歯車14に該ピニオン17を噛合させ、該モータ18の駆動により新電極ホルダ12が軸心回りに回転動することで該新電極ホルダ12がねじ軸11,雌ねじ体9の螺子ピッチに従い螺進するように構成している。
【0012】
20は新電極ホルダ12を吊フレーム6に対して同心状に保つために図4に示したように吊フレーム6に新電極ホルダ12を囲むように複数設けられたローラである。21は該新電極ホルダ12内に挿入された新電極4の外周を把持する上部クランプで、該上部クランプ21は図5に示したように新電極ホルダ12に支持された一対の支軸22に夫々リンク23が枢支され、該リンク23の先端部に新電極ホルダ12の内周面に位置するシュー24を連結すると共に、基端部にシリンダ25を設け該シリンダ25が伸長することによりシュー24が新電極4の外周面に圧着し該新電極4を把持し得るように構成されている。
【0013】
30は吊フレーム6より垂下された4本の垂下軸31により支持した環状フレームで、該環状フレーム30には新電極4の抜脱を防止するためと軸心一致のために対称位置に一対のストッパ32が出没可能に設けられる。即ち、図7に示したように環状フレーム30に固植されたピン33にストッパ32を水平面内で旋回可能に軸支し、バネ34の弾性により該ストッパ32を該環状フレーム30の中心に向けて付勢している。そしてシリンダ35のピストンロッド36を該バネ34の基端部に対向させて設け、該ピストンロッド36が伸長したときはストッパ32をバネ34の弾性に抗して旋回させ該ストツパ32が環状フレーム30内から没するように構成している。なお、ストッパ32の上面には図10に示したように円弧状片37が一体に突出形成され、該円弧状片37の内側には斜面状のガイド面38が形成されている。
【0014】
また、前記環状フレーム30の外周部よりワイヤー40を吊下し該環状フレーム30の下に環状の旧電極ホルダ41を水平に吊下している。なお42は該ワイヤー40を結び付けるための突片である。そして旧電極ホルダ41には図9に示したような下部クランプ43が設けられる。該下部クランプ43は前記上部クランプ21と略々同じように、該旧電極ホルダ41に支持された一対の支軸44に夫々リンク45が支持され、該リンク45の先端部にシュー46を連結すると共に、基端部にシリンダ47を設け該シリンダ47が伸長することによりシュー46が旧電極2の外周面に圧着し該旧電極2を把持し得るように構成している。
【0015】
また、旧電極ホルダ41と環状フレーム30との対向面には雌雄ガイド48が設けられる。即ち、旧電極ホルダ41の上面に3つの雄形突起49を固設すると共に、環状フレーム30の下面に該各雄形突起49の先端部が少しだけ嵌まっている筒状の雌形ガイド50を固設する。
【0016】
なお、51は旧電極ホルダ41の内周面に複数個設けられたボールキャスター、52は該ボールキャスター51の上方で旧電極ホルダ41の内周面を延長する筒状に形成された環状案内板で、これらが旧電極挿入ガイドとなる。
【0017】
このように構成した電極接続装置では、新電極ホルダ12内に新電極4を挿入して上部クランプ21により把持すると共にストッパ32によりその抜脱を防ぎ、該新電極4の下端面外周縁が該ストッパ32のガイド面38に当接し該ストッパ32がバネ34の弾性により内向に付勢されることで該新電極4の軸心を新電極ホルダ12乃至吊フレーム6の軸心に一致するようにする。そして該吊フレーム6をロープ7により垂直に吊下しクレーンの移動により旧電極2の真上に位置させる。そして、ボールキャスター51のガイドにより旧電極2の上端を旧電極ホルダー41内に挿入し環状案内板52の内周に該旧電極2の外周面を当接させると共に、下部クランプ43を作動させシュー46により該旧電極2の外周面を把持する。そしてその状態で吊フレーム6をさらに少し(10センチ程)だけ下降させ、図11に示したように旧電極ホルダ41と環状フレーム30とを相対的に接近させ雌形ガイド50中に雄形突起49を嵌合させる。この嵌合により旧電極ホルダ41と吊フレーム6とは相対的回転が不能なるように連結されると同時に旧電極2の軸心に吊フレーム6乃至新電極ホルダ12,新電極4の軸心を一致させることができる。そしてシリンダ35を作動させストッパ32を離脱させた後、回転駆動部19を作動させ新電極ホルダ12を回転する。新電極ホルダ12の回転は伝動軸65,抱持体63を介してねじ軸11に伝達されるので新電極4は該ねじ軸11のピッチに従い下方に螺進する。これにより接続ねじ5がねじ孔3にねじ込まれ旧電極2に新電極4を接合することができる。こうして接合できたら上部クランプ21,下部クランプ43を解除しロープ7により装置全体を上方に引き上げることにより接合が完了できる。
【0018】
なおねじ軸11のピッチは接続ねじ5のピッチと同一であることから新電極4は接続ねじ5のピッチに従い下方に螺進するが、この場合回転伝達継手60が介在されていて球状部材66は抱持体63内で間隙67の範囲で伸縮可能であるため、上記ピッチが完全に同一でなくてもねじ軸11または接続ねじ5に無理な力が加わることなく螺合がスムースに行なわれる。
【0019】
【発明の効果】
このように本発明の電極接続装置は、回転伝達継手を介在させたことにより、装置のねじピッチが電極のねじピッチとたとえ完全に同一でなくてもそのねじ山等に無理な力が掛かってつぶれて接続不良を起こすようなおそれがなく、常に確実に電極を接合できるようになる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電極接続装置の一実施形態を示した側面図。
【図2】図1の電極接続装置の縦断面図。
【図3】図2のA−A線断面図。
【図4】図2のB−B線断面図。
【図5】図2のC−C線断面図。
【図6】図2のD−D線断面図。
【図7】図2のE−E線断面図。
【図8】図2のF−F線断面図。
【図9】図2のG−G線断面図。
【図10】ストッパの拡大斜視図。
【図11】図2の作動状態図。
【符号の説明】
1 電極把持装置
2 旧電極
3 ねじ孔
4 新電極
5 接続ねじ
6 吊フレーム
7 ロープ
9 雌ねじ体
11 ねじ軸
12 新電極ホルダ
14 大径歯車
17 ピニオン
18 モータ
19 回転駆動部
20 ローラ
21 上部クランプ
30 環状フレーム
31 垂下軸
32 ストッパ
34 バネ
35 シリンダ
36 ピストンロッド
37 円弧状片
38 ガイド面
40 ワイヤー
41 旧電極ホルダ
42 下部クランプ
48 雌雄ガイド
49 雄形突起
50 雌形ガイド
60 回転伝達継手
63 抱持体
64 開口
65 伝動軸
66 球状部材
67 間隙

Claims (1)

  1. 電極把持装置により垂直に保持された旧電極の上端のねじ孔に新電極の下端の接続ねじをねじ込むための電極接続装置であって、クレーンにより吊下される吊フレーム内に雌ねじ体を設け該雌ねじ体にねじ軸を螺合し、該ねじ軸の下端に回転を伝達し軸方向には伸縮可能なる回転伝達継手を介して新電極ホルダを垂下し該新電極ホルダ中に前記新電極を保持させ該新電極ホルダを前記ねじ軸のピッチに従い下方に螺進させるようにしたことを特徴とする電極接続装置。
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