JP3622260B2 - 給湯装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明はバイパスミキシング方式の給湯装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
バイパスミキシング方式の給湯装置においては、熱交換器と並列に配管されたバイパス路の途中にバイパス弁を設け、熱交換器で加熱された湯とバイパス路を通過した水とを混合して設定温度の湯を出湯している。すなわち、入水温度Tcと、熱交換器からの出湯温度Thと、熱交換器から出湯された湯とバイパス路を通過した水との混合した給湯温度(ミキシング温度)Tmとをサーミスタ等の温度検知器により検知し、給湯温度Tmが予め設定された給湯温度(設定温度)Tsと等しくなるようバイパス弁を制御して熱交換器に流れる湯量Qhとバイパス路を通過する水量Qcとの混合比率、すなわち分配率ρ=Qc/Qhを制御している。また、バイパスミキシング方式の給湯装置のタイプによっては、熱交換器を加熱するガスバーナーの燃焼量も温度検知器の出力に基づいて制御するものもある。
【0003】
このような給湯装置用の温度検知器としては、一般にサーミスタが用いられている。図1は温度検知器として用いられているサーミスタの特性を示す図であって、検出温度が高くなると、それに応じてサーミスタの抵抗値Rは減少し、この抵抗値Rを読み取ることによって検出温度を知ることができる。
【0004】
温度検知器の検知対象は給湯装置内を流れる水であるから、抵抗値Rの変化する範囲は、せいぜい検出温度0℃に対応するR0と検出温度100℃に対応するR100の間である。しかし、サーミスタに断線が生じてオープン状態となって抵抗値が非常に大きくなったり、逆に被覆の剥離等によってショート状態となって抵抗値が非常に小さくなったりすることがある。
【0005】
このため、従来にあっては、サーミスタの抵抗値Rが検出温度−21℃に対応するRopen以上(オープン検出)になったり、検出温度146℃に対応するRshort以下(ショート検出)になったりすると、異常判定部が温度検知器の異常であると判断し、安全のために燃焼停止指令を出力してガスバーナの燃焼を強制的に停止していた。
【0006】
一方、温度検知器で検出されている検出温度はそのままで各種制御、判定等に用いられておらず、図2に示すように、検出温度が0℃から100℃の間では出力温度は検出温度と等しいが、検出温度が0℃以下の領域では出力温度は0℃で一定となり、検出温度が100℃以上の領域では出力温度は100℃で一定となっている。従って、異常判定部における異常の有無の判定は加工前の検出温度に基づいて行なわれており、ガス比例弁駆動部やバイパス弁駆動部等における制御,演算等は加工された出力温度に基づいて行なわれていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
給湯装置の燃焼中に、いずれかの温度検知器に異常が検出された場合には、異常判定部からの燃焼停止指令によりガスバーナの燃焼は停止する。しかし、バイパス弁駆動部には加工された検出温度、つまり0℃または100℃というデータが入力されているので、バイパス弁はこの加工された検出温度に応じて演算された弁開度となるように制御される。その場合、給湯装置の燃焼は停止していても、出湯路のバイパス路との合流点と熱交換器との間には高温の湯が残っているので、場合によっては(例えば、出湯温度検知器が断線等によりオープン検出され、バイパス弁駆動部に加工された出湯温度0℃が入力されている場合、入水温度検知器がショート検出され、バイパス弁駆動部に加工された入水温度100℃が入力されている場合など)、異常検出と同時にバイパス弁が閉方向に駆動される結果、バイパス路側からの水があまり混合されることなく高温の残留湯が吐出されることになる。このような温度検知器の異常による誤動作が発生すると、高温の湯が出湯され、使用者に不快感を与えるおそれがあった。
【0008】
特に、給湯装置には、給湯を一時的に停止して再出湯するときの特性を良好にするために、(運転スイッチをオフにしない限りは)給湯又は燃焼停止後も少なくとも一定時間はバイパス弁が駆動されるようになったものがある。すなわち、温度検知器の検出温度に応じてバイパス弁の弁開度を変化させるようになっており、例えば停止後の後沸きに対してはバイパス弁が開方向へ開かれ、給湯装置内の湯が冷めてくるとバイパス弁を閉方向へ駆動され(但し、一定開度まで)、あるいは一定時間経過後にバイパス弁を特定の待機位置へ移動させられるようにしたものがある。このような給湯装置では、温度検知器の異常を検出して給湯器の運転を停止した後でも、バイパス弁がさらに閉じられる場合があり、高温の湯が出湯されるおそれがより高かった。
【0009】
本発明は叙上の従来例の欠点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、温度検知器に異常が発生した場合でも、高温の湯が給湯されるおそれをなくし、給湯装置の安全性を向上させることにある。
【0010】
【発明の開示】
本発明の請求項1に記載した給湯装置は、熱交換器と並列に配置されたバイパス路の、熱交換器からの出湯路と交差しない位置にバイパス弁を設け、1又は2以上の温度検知器によって検知された熱交換器の出湯温度、入水温度、熱交換器から出湯される湯とバイパス路を通過する水との混合温度等の温度データに基づいて、熱交換器から出湯する湯とバイパス路を通過する水との混合比率を決定し、熱交換器で加熱された湯とバイパス路を通過した水とを当該混合比率で混合して所定の給湯温度に調整するバイパスミキシング方式の給湯装置において、前記温度検知器の異常の有無を判定する手段と、前記異常判定手段により前記温度検知器のうち少なくとも1つの温度検知器に異常があると判定された場合には、前記バイパス弁を所定弁開度まで開く駆動手段と、を備えたことを特徴としている。
【0011】
ここで、1又は2以上の温度検知器は、熱交換器の出湯温度、入水温度、熱交換器から出湯される湯とバイパス路を通過する水との混合温度を全て検出するものである必要はない。例えば、熱交換器を加熱する加熱器やバイパス弁をフィードフォワード制御のみで制御する場合には、熱交換器から出湯される湯とバイパス路を通過する水との混合温度は必ずしも検出する必要はない。また、熱交換器を加熱する加熱器やバイパス弁をフィードバック制御のみで制御する場合には、熱交換器の出湯温度や入水温度は必ずしも検出する必要はない。
【0012】
このような温度検知器のうち少なくとも1つでも異常があると、給湯温度が誤った温度データによって演算され、設定温度と異なる温度の湯が給湯される。その場合、バイパス弁が絞られると熱交換器で加熱された湯に少量の水しか混合されず、そのため設定温度よりも高温の湯が出湯されることになり、使用者に不快感を与えるおそれがある。
【0013】
しかし、本発明の給湯装置では、温度検知器の異常を検知すると、バイパス弁を所定弁開度まで開くようにしているので、バイパス弁が絞られ過ぎて高温の湯が給湯されるのを防止することができ、温度検知器に異常が発生した場合の安全性を確保することができる。
【0014】
特に、請求項2に記載した実施態様では、温度検知器に異常が判定された時に駆動されるバイパス弁の弁開度をバイパス弁の全開位置にしているので、温度検知器の異常発生時に水の混合比率を最大にすることができる。従って、給湯温度を下げる効果が最も大きく、熱交換器側での出湯温度が高温の場合にも高温の湯が給湯されるのを防止できる。
【0015】
また、本発明の請求項3に記載した給湯装置は、熱交換器と並列に配置されたバイパス路の、熱交換器からの出湯路と交差しない位置にバイパス弁を設け、1又は2以上の温度検知器によって検知された熱交換器の出湯温度、入水温度、熱交換器から出湯される湯とバイパス路を通過する水との混合温度等の温度データに基づいて、熱交換器から出湯する湯とバイパス路を通過する水との混合比率を決定し、熱交換器で加熱された湯とバイパス路を通過した水とを当該混合比率で混合して所定の給湯温度に調整するバイパスミキシング方式の給湯装置において、前記温度検知器の異常の有無を判定する手段と、前記異常判定手段により前記温度検知器のうち少なくとも1つの温度検知器に異常があると判定された場合には、前記バイパス弁を所定時間だけ開方向へ駆動する手段と、を備えたことを特徴としている。
【0016】
この給湯装置にあっては、温度検知器の異常を検知した場合には、バイパス弁を所定時間だけ開方向へ駆動してバイパス弁の弁開度を大きくしているので、温度検知器の異常発生時には水の混合比率を大きくして高温の湯が給湯されるのを防止することができ、使用者に不快感を与えるおそれを少なくすることができる。
【0017】
また、本発明の請求項4に記載した給湯装置は、熱交換器と並列に配置されたバイパス路の、熱交換器からの出湯路と交差しない位置にバイパス弁を設け、1又は2以上の温度検知器によって検知された熱交換器の出湯温度、入水温度、熱交換器から出湯される湯とバイパス路を通過する水との混合温度等の温度データに基づいて、熱交換器から出湯する湯とバイパス路を通過する水との混合比率を決定し、熱交換器で加熱された湯とバイパス路を通過した水とを当該混合比率で混合して所定の給湯温度に調整するバイパスミキシング方式の給湯装置において、前記温度検知器の異常の有無を判定する手段と、前記異常判定手段により前記温度検知器のうち少なくとも1つの温度検知器に異常があると判定された場合には、前記バイパス弁の弁開度もしくは当該弁開度に関連する物理量を所定量だけバイパス弁の開方向へシフトさせる手段と、を備えたことを特徴としている。
【0018】
ここでバイパス弁の弁開度に関連する物理量とは、バイパス弁の弁開度を変化させるような機械量や電気量などであって、バイパス弁の弁開度以外のものをいう。例えば、バイパス弁が弁体を直線的に移動させて弁開度を変化させるタイプのものである場合には弁体の変位量、バイパス弁が弁体を回転させて弁開度を変化させるタイプのものである場合には弁体の回転角度、またバイパス弁がモータで弁体を駆動するものである場合にはモータの回転角度、バイパス弁がパルスステップモータで弁体を駆動するものである場合にはモータ駆動用パルスのパルス数などである。
【0019】
この給湯装置の場合にも、温度検知器の異常を検知した場合には、バイパス弁を開方向へ駆動してバイパス弁の弁開度を大きくしているので、温度検知器の異常発生時には水の混合比率を大きくして高温の湯が給湯されるのを防止することができ、使用者に不快感を与えるおそれを少なくすることができる。
【0020】
また、請求項5に記載の実施態様では、前記異常判定手段により前記温度検知器のうち少なくとも1つの温度検知器に異常があると判定された場合には、熱交換器による水の加熱動作もしくは給湯動作を停止させるようにしている。
【0021】
例えば、熱交換器を加熱するバーナ等の加熱器を燃焼停止させたり、熱交換器側の開閉弁を閉じたりすることができる。このように熱交換器の加熱動作もしくは給湯動作を停止させるようにすれば、温度検知器に異常が発生した場合には熱交換器側から高温の湯が出湯されるのを防止することができるが、その場合でも本発明の給湯装置によれば、給湯器側の管路内に残っている湯がバイパス路の水とほとんど混合されることなく給湯され、高温の湯が供給されるおそれを少なくすることができる。
【0022】
【実施例】
(給湯装置の構成)
図3に示すものは本発明の一実施例による給湯装置の概略構成図である。この給湯装置は、熱交換器1と、これを加熱するガスバーナ2とを有している。そして、熱交換器1の入水側には図示しない水道管等に連通された入水路3が接続され、熱交換器1の出湯側には図示しないカランやシャワー等に連通された出湯路4が接続されている。また、入水路3と出湯路4との間は、熱交換器1をバイパスするバイパス路5で短絡されている。
【0023】
入水路3には、入水温度Tcを検出する入水温度検知器6と、熱交換器1に流れる水の流量を検出する水量センサ7が設けられている。一方、出湯路4には、熱交換器1で加熱された湯の出湯温度Thを検出する出湯温度検知器8と、熱交換器1で加熱された湯とバイパス路5を通過した水とが混合された後の給湯温度(ミキシング温度)Tmを検出する給湯温度検知器9が設けられている。これら入水温度検知器6、出湯温度検知器8および給湯温度検知器9は、一般にサーミスタにより構成されている。
【0024】
ガスバーナ2に燃焼用のガスを供給するガス供給路10には、ガス供給路10を開閉するガス開閉弁11と、ガス供給路10から供給するガス量を調整してガスバーナ2の燃焼量を制御するガス比例弁12が設けられている。
【0025】
また、バイパス路5には、このバイパス路5に流れる水の流量を制御するバイパス弁13が設けられている。
【0026】
このバイパス弁13の構造を図5に示す。図示のバイパス弁13では、入水口14aと出水口14bを有するケース14内に弁軸15が軸方向に沿って出退可能に設けられており、この弁軸15の先端部分に弁体16が取り付けられている。また、ケース14の外側部にはステッピングモータ17が固定されている。ステッピングモータ17の出力軸は、回転運動を直線運動に変換するトランスデューサ18を介して弁軸15の基端部に接続されており、ステッピングモータ17が回転すると、弁軸15が直線的に出退し、これによって弁体16がケース14内の弁座19との間の弁開度を変化させるようになっている。
【0027】
(コントローラの構成)
さらに、この給湯装置は、給湯温度制御を行なうコントローラ21と、これに接続されて外部から給湯温度の設定値(設定温度)Tsを入力するための温度設定手段20とを備えている。このコントローラ21の構成を図4に示す。コントローラ21は、各温度検知器6,8,9の異常の有無を監視する異常判定部22a,23a,24a、各温度検知器6,8,9の検出温度を加工して出力する出力変換部22b,23b,24b、ガス比例弁駆動部25、バイパス弁駆動部26、目標ステップ数算出部27、補正ステップ数算出部28、および記憶部29から構成されている。
【0028】
各異常判定部22a,23a,24aは、それぞれ入水温度Tcを検出するための入水温度検知器6、熱交換器1からの出湯温度Thを検出するための出湯温度検知器8、熱交換器1で加熱された湯とバイパス路5を通過した水との混合された給湯温度Tmを検出するための給湯温度検知器9に異常が発生していないかどうか監視している。例えば、これら温度検知器6,8,9が図1に示すような特性を有するサーミスタを用いている場合には、サーミスタの抵抗値Rがオープン検出(例えば、検出温度;−21℃)に対応する抵抗値Ropen以上になったとき、あるいは、サーミスタの抵抗値Rがショート検出(例えば、検出温度;146℃)に対応する抵抗値Rshort以下になったときに、その温度検知器6,8又は9に異常が発生したと判定する。
【0029】
しかして、燃焼中に、異常判定部22a,23a,24aがいずれかの温度検知器6,8,又は9の異常を検出した場合には、バイパス弁駆動部26、ガス開閉弁11及びコントローラ等に設けられている液晶表示等の表示部(図示せず)へ異常検出信号を出力する。バイパス弁駆動部26は、異常判定部22a,23a,24aから異常検出信号を受信すると、バイパス弁13のステッピングモータ17を駆動してバイパス弁13を全開状態まで開き、バイパス弁13を全開状態で停止させる。ガス開閉弁11は、異常判定部22a,23a,24aから異常検出信号を受信すると閉成し、ガスバーナ2の燃焼を強制的に停止させる。また、異常判定部22a,23a,24aから異常検出信号が出力されると、表示部には異常発生を知らせるメッセージが表示される。
【0030】
各出力変換部22b,23b,24bは、温度検知器の検出温度、すなわち入水温度検知器6で検出された入水温度Tc、出湯温度検知器8で検出された出湯温度Th、給湯温度検知器9で検出された給湯温度Tmをそれぞれ加工し、加工された出力温度をコントローラ21内各部、例えばガス比例弁駆動部25やバイパス弁駆動部26、目標ステップ数算出部27、補正ステップ数算出部28などへ出力する。各出力変換部22b,23b,24bにおける検出温度の加工方法は、図2に示すように、検出温度が0℃から100℃の間では出力温度は検出温度と等しいが、検出温度が0℃以下の領域では出力温度は0℃で一定となり、検出温度が100℃以上の領域では出力温度は100℃で一定となっている。
【0031】
しかして、ガス比例弁駆動部25やバイパス弁駆動部26、目標ステップ数算出部27、補正ステップ数算出部28などでは、各温度検知器の検出温度を用いて演算や判断を行うのでなく、この加工された出力温度を用いて各種演算や判断等の処理を行っている。なお、以下においては、各出力変換部22b,23b,24bから出力される出力温度(加工された検出温度)Tc,Th,Tmをそれぞれ、入水温度検知器6で検出された入水温度Tc、出湯温度検知器8で検出された出湯温度Th、給湯温度検知器9で検出された給湯温度Tmという。
【0032】
記憶部29は、ROM等の不揮発性メモリで構成されており、図6に示すように、バイパス弁13の弁開度を決めるステッピングモータ17のステップ数Sと、各ステップ数Sに応じて予め求められた湯水混合の分配率ρとの関係を決めるデータを記憶している。ここに、湯水混合の分配率ρとは、バイパス路5を経由する水量Qcと、熱交換器1を経由して出湯する湯量Qhとの比であって、
ρ=Qc/Qh
と表わされる。すなわち、ステッピングモータ17がどれだけのステップ数回転した場合にどれだけの分配率ρとなるかを予め実験的に調べて決定しておき、得られたステップ数Sと分配率ρとの関係をプロットして得られるデータをテーブル化して記憶部29に予め格納している。
【0033】
目標ステップ数算出部27は、入水温度Tc、熱交換器1からの出湯温度Th、および温度設定手段20で予め設定された設定温度Tsに基づいて、制御目標となる湯水混合の分配率ρを算出し、この目標分配率ρと記憶部29のデータとに基づいて目標ステップ数SFFを算出するものである。
【0034】
補正ステップ数算出部28は、入水温度Tc、熱交換器1からの出湯温度Th、および湯水混合後の実際の給湯温度Tmに基づいて、実際の湯水混合の分配率ρ’を算出し、この実際分配率ρ’と目標ステップ数算出部27で得られる目標分配率ρとの偏差Δρ(=ρ’−ρ)に基づいて補正ステップ数SFBを算出するものである。
【0035】
バイパス弁駆動部26は、目標ステップ数SFFを補正ステップ数SFBで補正した実動ステップ数SW(=SFF+SFB)を求め、この実動ステップ数SWに基づいてステッピングモータ17を駆動するようになっている。
【0036】
(燃焼量とバイパス弁の通常制御)
このコントローラ21による給湯中の給湯温度制御方式を説明する。給湯中においては、ガスバーナ2が燃焼して熱交換器1を流れる水が加熱されているが、このときガス比例弁駆動部25は、熱交換器1の出湯温度Thが次の▲1▼及び▲2▼式に基づいて決定される所定目標の出湯温度Thoとなるように、ガスバーナ2の燃焼量をフィードフォワード制御ならびにフィードバック制御している。
【0037】
すなわち、ガス比例弁駆動部25は、入水温度検知器6からの入水温度Tc、出湯温度検知器8からの出湯温度Th、および温度設定手段20からの設定温度Tsに基づいて給湯温度Tmを設定温度Tsに等しくするための目標分配率ρoを
ρo=(Th−Ts)/(Ts−Tc)
により演算する。
そして、この目標分配率ρoが、ρmin≦ρo≦ρmaxの場合には、目標の出湯温度Thoを
Tho=Ts+α (但し、αは定数) …▲1▼
により決定し、出湯温度Thがこうして決定された出湯温度Thoとなるようにガス比例弁12を制御する。
また、目標分配率ρoが、ρo≦ρmin または ρmax≦ρo の場合には、目標の出湯温度Thoを
Tho=β・(Ts−Tc)+Ts (但し、βは定数) …▲2▼
により決定し、出湯温度Thがこうして決定された出湯温度Thoとなるようにガス比例弁12を制御する。
なお、ρmin、ρmaxは、図6に示すように、通常の分配率ρの範囲内で適宜定めた値である。
【0038】
一方、目標ステップ数算出部27は、入水温度検知器6からの入水温度Tc、出湯温度検知器8からの出湯温度Th、および使用者によって操作部で予め設定された設定温度Tsに基づいて、給湯温度Tmが設定温度Tsと等しくなるように目標となる分配率ρoを次の▲3▼式により求める。
ρo=(Qc/Qh)o=(Th−Ts)/(Ts−Tc) …▲3▼
【0039】
こうして目標分配率ρoが決定されると、目標ステップ数算出部27は、ついで、記憶部29に予め記憶されているデータに基づいて目標ステップ数SFFを求める。これは、図6において、縦軸の分配率ρを目標分配率ρoとして、これに対応する横軸の一つのステップ数Sを読み取ることにより決定される。こうして決定された目標ステップ数SFFの値がバイパス弁13に対するフィードフォワード制御量として、バイパス弁駆動部26に送出される。
【0040】
また、補正ステップ数算出部28は、入水温度Tc、出湯温度Th、および給湯温度検知器9で検出された湯水混合後の実際の給湯温度Tmに基づいて、実際の湯水混合の分配率ρ’を次の▲4▼式により求める。
ρ’=(Qc/Qh)’=(Th−Tm)/(Tm−Tc) …▲4▼
この実際分配率ρ’が得られると、補正ステップ数算出部28cは、ついで、目標ステップ数算出部27によって▲3▼式に基づいて演算された目標分配率ρoと実際分配率ρ’の偏差Δρ=ρ’−ρoを求め、次の▲5▼式によって補正ステップ数SFBを算出する。
SFB=KP・Δρ+KI・Σ(Δρ) …▲5▼
ここに、KP:比例係数
KI:積分係数
また、Σ(Δρ)は指定回数にわたる偏差Δρの和である。こうして決定された補正ステップ数SFBの値は、バイパス弁13に対するフィードバック制御量として、同じくバイパス弁駆動部26に送出される。
【0041】
バイパス弁駆動部26は、上記目標ステップ数SFFを補正ステップ数SFBで補正した実動ステップ数SWを次の▲6▼式によって求める。
SW=SFF+SFB …▲6▼
そして、この実動ステップ数SWの分だけバイパス弁13のステッピングモータ17を回転させる。
【0042】
このようにすれば、バイパス路5に設けたバイパス弁13の弁開度を調節して分配率ρを変化させるのみで、迅速かつ正確な給湯温度制御が可能になる。
【0043】
(給湯動作の全体)
つぎに、この給湯装置の給湯開始から終了までの全体としての動作を図7のフロー図に従って説明する。
【0044】
カラン等が開かれて入水路3に水が流れ始め、水量センサ7によって最低作動流量(MOQ)以上の流量が検出される(MOQ オン)と(S31)、熱交換器1の過熱安全装置や温度ヒューズ等の安全装置や、各種温度検知器6,8,9に異常がないかプリチェックされる(S32)。このとき異常が検出されると、コントローラ21の表示部に故障表示(S44)し、ガスバーナ2の燃焼を停止して安全動作する(S45)。
【0045】
プリチェックにより異常がない場合には、送風ファン(図示せず)のファンモータをオンにしてガスバーナ2へ燃焼用エアを送り(S33)、送風ファンの回転数が点火回転数に達したかどうか判定する(S34)。点火回転数に達していない場合には、一定時間(例えば、20秒)待機し(S35)、一定時間経過しても点火回転数に達しなかった場合には、故障表示して安全動作する(S44,S45)。
【0046】
一方、一定時間内に送風ファンが点火回転数に達した場合には、点火装置(イグナイタ)を作動させて点火動作し(S36)、ガスバーナ2の点火を確認するためフレームロッドによりガスバーナ2の火炎を検知する(S37)。火炎を検知できない場合には、一定時間(例えば、5秒)待機し(S38)、一定時間経過しても火炎を検知できない場合には、故障表示して安全動作する(S44,S45)。
【0047】
火炎を検知してガスバーナ2の点火が確認されると、点火装置をオフにする(S39)。
【0048】
この後、給湯装置は、各種温度検知器6,8,9に異常がないかどうかを、異常判定部22a,23a,24aにより監視する(S40)と共に、熱交換器1の過熱安全装置や温度ヒューズ等の安全装置が作動していないかどうかを判定しながら(S42)、前記のような給湯温度制御方法によりガス比例弁12やバイパス弁13を制御しながら通常制御状態で給湯動作を行なう(S41)。
【0049】
この通常制御状態で給湯動作を行なっているときに、異常判定部22a,23a,24aが、入水温度検知器6、出湯温度検知器8、給湯温度検知器9のいずれかに異常を検出した場合には、バイパス弁駆動部26によりバイパス弁13を全開状態に駆動(S43)した後、表示部に故障表示(S44)すると共にガス開閉弁11を閉じることによりガスバーナ2の燃焼を停止して安全動作する(S45)。
【0050】
同様に、安全装置が作動した場合にも、表示部に故障表示(S44)すると共にガスバーナ2の燃焼を停止して安全動作する(S45)。
【0051】
また、給湯中にカラン等が閉じられて水量センサ7で検出されている流量が最低作動流量以下(MOQオフ)になった(S46)場合には、ガスバーナ2の燃焼を停止すると共に送風ファンを停止させて運転停止状態で待機する(S47)。
【0052】
(第2の実施例)
図8に示すものは、本発明の別な実施例による給湯装置における給湯動作の一部を示す部分フロー図である。すなわち、これは、図7のフロー図のS40〜S47に相当する部分のみを示している。
【0053】
この実施例においては、異常判定部22a,23a,24aが、入水温度検知器6、出湯温度検知器8、給湯温度検知器9のいずれかに異常を検出した(S40)場合には、異常を検出してから一定時間(t秒間)の間だけ、バイパス弁駆動部26によりバイパス弁13の開方向へステッピングモータ17を回転させた(S51,S52,S53)後、表示部に故障表示(S44)すると共にガス開閉弁11を閉じることによりガスバーナ2の燃焼を停止して安全動作する(S45)。
【0054】
従って、この実施例にあっても、バイパス弁13を一定量大きく開いてバイパス路5に流れる流量Qcを増加させた後、給湯装置を停止させているので、誤動作により給湯装置から高温の湯が出湯され、使用者に不快感を与えるおそれを少なくすることができる。
【0055】
(第3の実施例)
図9に示すものは、本発明のさらに別な実施例による給湯装置における給湯動作の一部を示す部分フロー図である。このフロー図も、図7のフロー図のS40〜S47に相当する部分のみを示している。
【0056】
この実施例においては、異常判定部22a,23a,24aが、入水温度検知器6、出湯温度検知器8、給湯温度検知器9のいずれかに異常を検出した(S40)場合には、異常を検出したときの弁開度よりも一定開度だけ弁開度を大きく開いた(S54)後、表示部に故障表示(S44)すると共にガス開閉弁11を閉じることによりガスバーナ2の燃焼を停止して安全動作する(S45)。
【0057】
従って、この実施例にあっても、バイパス弁13を一定量大きく開いてバイパス路5に流れる流量Qcを増加させた後、給湯装置を停止させているので、誤動作により給湯装置から高温の湯が出湯され、使用者に不快感を与えるおそれを少なくすることができる。
【0058】
なお、この実施例では、温度検知器の異常を検出した場合には、弁開度を一定量だけ大きく開いた後、給湯装置を停止させているが、温度検知器の異常を検出したときに一定量制御する対象となる物理量は弁開度に限るものでなく、例えばバイパス弁の弁軸を一定距離だけ弁開度が大きくなる方向へ動かすようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】温度検知器として一般に用いられているサーミスタの温度特性を示す図である。
【図2】温度検知器により検出される検出温度とコントローラ内部で使用される出力温度との関係を示す図である。
【図3】本発明による給湯装置の構成を示す概略構成図である。
【図4】同上のコントローラの構成を示すブロック図である。
【図5】同上のバイパス弁の構造を示す断面図である。
【図6】バイパス弁を駆動するステッピングモータのステップ数と湯水混合の分配率との関係を表わす図である。
【図7】同上の給湯装置の給湯動作を説明するフロー図である。
【図8】本発明の別な実施例による給湯装置の給湯動作を示すフロー図である。
【図9】本発明のさらに別な実施例による給湯装置の給湯動作を示すフロー図である。
【符号の説明】
1 熱交換器
6 入水温度検知器
7 水量センサ
8 出湯温度検知器
9 給湯温度検知器
11 ガス開閉弁
12 ガス比例弁
13 バイパス弁
21 コントローラ
22a,23a,24a 異常判定部
Claims (5)
- 熱交換器と並列に配置されたバイパス路の、熱交換器からの出湯路と交差しない位置にバイパス弁を設け、1又は2以上の温度検知器によって検知された熱交換器の出湯温度、入水温度、熱交換器から出湯される湯とバイパス路を通過する水との混合温度等の温度データに基づいて、熱交換器から出湯する湯とバイパス路を通過する水との混合比率を決定し、熱交換器で加熱された湯とバイパス路を通過した水とを当該混合比率で混合して所定の給湯温度に調整するバイパスミキシング方式の給湯装置において、
前記温度検知器の異常の有無を判定する手段と、
前記異常判定手段により前記温度検知器のうち少なくとも1つの温度検知器に異常があると判定された場合には、前記バイパス弁を所定弁開度まで開く駆動手段と、
を備えた給湯装置。 - 温度検知器に異常があると判定された時に駆動されるバイパス弁の前記弁開度が、バイパス弁の全開位置であることを特徴とする、請求項1に記載の給湯装置。
- 熱交換器と並列に配置されたバイパス路の、熱交換器からの出湯路と交差しない位置にバイパス弁を設け、1又は2以上の温度検知器によって検知された熱交換器の出湯温度、入水温度、熱交換器から出湯される湯とバイパス路を通過する水との混合温度等の温度データに基づいて、熱交換器から出湯する湯とバイパス路を通過する水との混合比率を決定し、熱交換器で加熱された湯とバイパス路を通過した水とを当該混合比率で混合して所定の給湯温度に調整するバイパスミキシング方式の給湯装置において、
前記温度検知器の異常の有無を判定する手段と、
前記異常判定手段により前記温度検知器のうち少なくとも1つの温度検知器に異常があると判定された場合には、前記バイパス弁を所定時間だけ開方向へ駆動する手段と、
を備えた給湯装置。 - 熱交換器と並列に配置されたバイパス路の、熱交換器からの出湯路と交差しない位置にバイパス弁を設け、1又は2以上の温度検知器によって検知された熱交換器の出湯温度、入水温度、熱交換器から出湯される湯とバイパス路を通過する水との混合温度等の温度データに基づいて、熱交換器から出湯する湯とバイパス路を通過する水との混合比率を決定し、熱交換器で加熱された湯とバイパス路を通過した水とを当該混合比率で混合して所定の給湯温度に調整するバイパスミキシング方式の給湯装置において、
前記温度検知器の異常の有無を判定する手段と、
前記異常判定手段により前記温度検知器のうち少なくとも1つの温度検知器に異常があると判定された場合には、前記バイパス弁の弁開度もしくは当該弁開度に関連する物理量を所定量だけバイパス弁の開方向へシフトさせる手段と、
を備えた給湯装置。 - 前記異常判定手段により前記温度検知器のうち少なくとも1つの温度検知器に異常があると判定された場合には、熱交換器による水の加熱動作もしくは給湯動作を停止させるようにした、請求項1,2,3又は4に記載の給湯装置。
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