JP3622188B2 - 冷間加工性に優れた非調質鋼とその製造方法ならびに非調質鋼鍛造部材の製造方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は冷間加工性に優れる非調質鋼および当該鋼材の製造方法さらには当該鋼材を用いた鍛造部材の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
中炭素鋼にVを添加した非調質鋼は熱間鍛造ままで焼入焼戻し材に匹敵する強度を確保できることから,機械構造部材に使用されている。一方,寸法精度や重量精度が問題となる部品に対しては重量精度の良い予備成形体を熱間で閉そく鍛造することがあるが,Vを添加した非調質鋼は素材硬度が高く,冷間加工で予備成形体を製造できないため,切削加工により予備成形体を製造している。
【0003】
【発明が解決しようとする問題点】
閉そく鍛造に限らず,予備成形により重量精度の向上を図る場合,予備成形を切削加工から冷間加工に変更することは製造コストを低減するために有効である。このためには,冷間加工前の鋼材の硬さを十分に低下させておくことが必要であるが,従来のV添加非調質鋼においては軟化熱処理の効果が肌焼鋼や炭素鋼に比べて小さく,十分な冷間加工性が得られないという問題があった。
【0004】
【問題点を解決するための手段】
本発明者はV添加非調質鋼の化学成分と各種軟化熱処理後の冷間加工性および熱間鍛造後の強度の関係を調査した結果,以下のようなことを見出した。
【0005】
熱間鍛造後の強度を確保しつつ冷間加工素材の硬さを低下させるためには,軟化熱処理前のパーライト量を低減することが有効である。パーライト量はCの含有量との相関が強いため,Cの含有量を低下させることが最も効果的であるが,冷間加工に続く熱間加工後の強度を低下させるので,この強度低下を補うことが必要である。この強度低下を補う方法としてはフェライト相を強化するSi,Mn,Vなどの増量が考えられるが,Si,Mnなどの固溶強化元素の増量は冷間加工前の硬さを増大させるので好ましくない。一方,Vはその炭窒化物がフェライトに整合歪みを与えることで強化する元素であり,この炭窒化物を成長させフェライトとの整合性を失わせる熱処理を行うとフェライトの硬さを大幅に低下させることができる。この効果はフェライト相が多いほど大きく,C含有量の低減とV含有量の増大を組み合わせることにより,軟化熱処理後の硬さが十分に低くすなわち冷間加工による予備成形が容易で,かつ,熱間加工後の強度が十分に高い,理想的な材料が得られる。
【0006】
フェライト硬度を効果的に低下させるには,A3点付近に保持後マルテンサイト変態やベイナイト変態しない冷却速度で冷却することが必要であり,したがって好ましくは通常の焼ならしでマルテンサイト変態やベイナイト変態を起こさない組成の鋼であることが望まれる。また,この軟化熱処理は鋼材の熱間圧延において熱加工履歴を制御することすなわち制御圧延により省略することが可能であり,この場合は熱間圧延の最終加工を軟化熱処理と同じ温度域で行うことが有効である。
【0007】
冷間加工後の予備成形体を最終形状に鍛造するには鍛造温度を1000℃以上にすることが必要である。これは,軟化熱処理または制御圧延により格子整合性を失ったV炭窒化物を再固溶および再析出させるためであり,これにより熱間鍛造後の強度を確保することができる。
【0008】
本発明は,重量で,C:0.10〜0.30%,Si:0.05〜0.60%,Mn:0.95〜1.25%,Cr:0.10〜0.60%,V:0.20〜0.40%を基本成分とし,P:0.030%以下,O:0.0030%以下に制限し,これにさらに,S:0.005〜0.100%,Te:0.005〜0.040%,Pb:0.03〜0.30%,Bi:0.03〜0.20%,Ca:0.0005〜0.0050%から選んだ1種または2種以上を含有し,フェライト相の体積率が40%以上であり,硬さが90HRB以下である冷間加工性に優れた非調質鋼を第1の発明とし,化学成分が第1の発明に相当する鋼を最終加工温度が800〜950℃となるように熱間圧延後直ちに毎分120℃以下の冷却速度でA1点以下の温度まで連続冷却することにより冷間加工性に優れた非調質鋼を製造する方法を第2の発明とし,化学成分が第1の発明に相当する鋼材または鋼材に塑性加工や機械加工を施した中間素材を800〜950℃に10分間以上加熱したのち空気中で放冷することにより,フェライト相の体積率が40%以上であり,硬さが90HRB以下の冷間加工性に優れた非調質鋼を製造する方法を第3の発明とし,第1の発明に相当する鋼材に冷間加工または600℃以下の温度で温間加工を施して予備成形体を製造し,この予備成形体を1000℃以上1250℃以下の温度で熱間鍛造した後,空気中に放冷することにより,20〜35HRCの硬さの鍛造部材を製造する方法を第4の発明とする4つの発明よりなるものである。
【0009】
本発明の請求範囲の限定理由について以下に説明する。
【0010】
C:0.10〜0.30%
Cは鋼の強度を向上する元素であり,含有量が0.10%未満では熱間鍛造後の強度が不足する。一方,Cはパーライトを生成し冷間加工性を劣化させるとともに軟化熱処理性を阻害する元素であり,0.30%を越えるとその影響が顕著になる。よって,Cの含有量は0.10〜0.30%とする。
【0011】
Si:0.05〜0.60%
Siは固溶強化によりフェライト相を強化する元素であり,熱間鍛造後の鋼の強度を向上する効果を有するが,含有量が0.05%未満では効果が小さく,また,0.60%を越えるとフェライトの延性を低下させ冷間加工性が劣化する。よって,Siの含有量は0.05〜0.60%とする。
【0012】
Mn:0.95〜1.25%
Mnは固溶強化によりフェライト相を強化するとともにパーライトの靭性を向上することにより熱間鍛造後の鋼の疲労強度および靭性を向上する元素であるが,含有量が0.95%未満では効果が小さく,また,1.25%を越えるとフェライトの加工硬化を助長するため冷間加工性が劣化する。よって,Mnの含有量は0.95〜1.25%とする。
【0013】
Cr:0.10〜0.60%
Crはパーライトの靭性を向上することにより熱間鍛造後の鋼の疲労強度および靭性を向上するとともに,冷間加工における変形能を向上する元素であるが,含有量が0.10%未満では効果が小さく,また,0.60%を越えるとパーライト量を増加させ冷間加工における変形抵抗を上昇させる。よって,Crの含有量は0.10〜0.60%とする。
【0014】
V:0.20〜0.40%
Vは析出硬化によりフェライト相の強度を向上することにより熱間鍛造後の鋼の強度を向上する元素であるが,本発明の鋼材は軟化熱処理後の冷間加工性を向上するためにCの含有量を0.30%以下とし,また,フェライト量を40%以上としているため,Vの含有量が0.20%未満では熱間鍛造後の強度が不足する。また,Vの含有量が0.40%を越えると軟化熱処理や制御圧延後の硬さが十分に低下しないため,冷間加工性が劣化する。よって,Vの含有量は0.20〜0.40%とする。
【0015】
P:0.030%以下
Pは冷間加工における変形能を低下させる元素であり,含有量が0.030%を越えると冷間加工における割れ発生頻度が増大する。よって,Pの含有量は0.030%以下とする。
【0016】
O:0.0030%以下
O(酸素)は鋼中で酸化物系介在物を形成する元素であり,その含有量が0.0030%を越えると酸化物の最大寸法および数が増大し,冷間加工における割れの発生頻度を増大させる。よって,Oの含有量は0.0030%以下とする。
【0017】
S:0.005〜0.100%
Sは被削性を改善する元素であり,必要に応じて添加されるが,0.005%未満では効果が小さく,0.100%を越えると冷間加工性および疲労強度が劣化する。よって,Sの含有量は0.005〜0.100%とする。
【0018】
Te:0.005〜0.040%
Teは硫化物を球状化することにより被削性および冷間加工性を改善する元素であり,必要に応じて添加されるが,0.005%未満では効果が小さく,0.040%を越えると熱間加工性を害する。よってTeの含有量は0.005〜0.040%とする。
【0019】
Pb:0.03〜0.30%
Pbは鋼の被削性を改善する元素であり,必要に応じて添加されるが,0.03%未満では効果小さく,また,0.30%を越えると疲労強度が劣化する。よって,Pbの含有量は0.03〜0.30%とする。
【0020】
Bi:0.03〜0.20%
Biは切削加工時の切屑破砕性を向上する元素であり,必要に応じて添加されるが,0.03%未満では効果が小さく,また,0.20%を越えると熱間加工性が劣化する。よって,Biの含有量は0.03〜0.20%とする。
【0021】
Ca:0.0005〜0.0050%
Caは酸化物の組成を制御することにより被削性を改善する元素であり,必要に応じて添加されるが,0.0005%未満では効果が小さく,また,0.0050%を越えると硬質のCaSが生成して被削性が劣化する。よって,Caの含有量は0.0005〜0.0050%とする。
【0022】
フェライト相の体積率:40%以上
フェライト相の体積率は軟化熱処理や熱間鍛造の前後でほとんど変化しないが,40%未満では軟化熱処理や制御圧延により冷間加工前の硬さを十分に低下させることができない。よって,フェライト相の体積率は40%以上とする。
【0023】
冷間加工前の硬さ:90HRB以下
冷間加工前の硬さは冷間加工における変形抵抗や変形能に影響し,90HRBを越えると冷間加工性が劣化する。よって,冷間加工前の硬さは90HRB以下とする。
【0024】
熱間圧延の最終加工温度:800〜950℃
熱間圧延後の冷却速度:毎分120℃以下(A1点以下の温度まで)
冷間加工性に優れた鋼材を得るためには800〜950℃においてVの炭窒化物を十分に成長させる必要がある。したがって,冷間加工性に優れた鋼材を圧延ままで得るためには,この温度域を徐冷することが必要であり,また,V炭窒化物の析出を促進するためには加工歪みを導入することが有効である。熱間圧延の最終加工温度が800℃未満ではVの炭窒化物の析出および成長が最終加工以前に行われるため十分な制御ができず安定した硬さが得られない。また,950℃を越えるとV炭窒化物が十分成長するまでに長時間の制御冷却を行う必要があり経済的でない。よって,熱間圧延の最終加工温度は800〜950℃とし,圧延後の冷却速度は毎分120℃以下とする。
【0025】
軟化熱処理における保持温度:800〜950℃
軟化熱処理における保持時間:10分間以上
V炭窒化物により析出硬化しているかまたは冷間加工によって加工硬化している鋼材または中間素材を再加熱することにより軟化することが可能であるが,800℃未満の温度では効果がなく,また,950℃を越えるとVの再固溶および再析出により十分な軟化が得られない。また,保持時間が10分間未満では安定した軟化が得られない。よって,軟化熱処理における保持温度は800〜950℃とし,保持時間は10分間以上とする。
【0026】
予備成形の温度:600℃以下
予備成形は冷間で行うことが望ましいが,変形抵抗が高く加工機の能力が不足する場合は温間加工でも行うことが可能である。この場合,加工温度が600℃を越えると加工精度が低下するとともに型寿命が劣化する。よって,予備成形時の加熱温度は600℃以下とする。
【0027】
熱間鍛造の加熱温度:1000〜1250℃
熱間鍛造の加熱温度は部材の最終的な強度に影響を与える。熱間鍛造時の加熱温度が1000℃未満では,Vの炭窒化物の再固溶が不十分となり熱間鍛造後の強度が不足する。また,1250℃を越えると表面肌が荒れ,寸法精度が劣化する。よって,熱間鍛造時の加熱温度は1000〜1250℃とする。
【0028】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を説明する。表1に示す化学組成の鋼をアーク炉で溶製後,熱間圧延により直径40mmの丸棒を製造した。表1においてD1およびD2は本発明に関わる鋼種である。R3はJIS−S40VC相当の非調質鋼に被削性を向上する元素であるS,PbおよびCaを複合添加した汎用非調質快削鋼であり,比較のために使用した。
【0029】
【表1】
【0030】
熱間圧延においては最終加工温度およびその後の冷却速度を本発明の請求項第2項の請求範囲内に制御したものと,この範囲外にあるものを同一鋳片より製造し,後者の一部については軟化熱処理を追加した。いずれの場合も直径38mm長さ40mmに機械加工し,無潤滑で軸方向に75%の圧縮率の冷間鍛造を行った。この冷間鍛造材をさらに軸方向に50%の熱間鍛造を行い,直径105mm厚さ5mmの円盤形状とし,空気中で放置冷却した。圧延条件,軟化熱処理条件および熱間鍛造条件は表2に示すように変化させた。
【0031】
【表2】
【0032】
表2において,実施例1および実施例2はD1鋼の熱間圧延材に本発明の請求項第3項に該当する方法により軟化熱処理を行い,冷間鍛造後に本発明の請求項第4項に該当する方法で熱間鍛造を行ったものであり,実施例3はD2鋼の熱間圧延材に本発明の請求項第3項に該当する方法により軟化熱処理を行い,冷間鍛造後に本発明の請求項第4項に該当する方法で熱間鍛造を行ったものである。また,実施例4はD1鋼を本発明の請求項第2項に該当する方法で熱間圧延し,冷間鍛造後に本発明の請求項第4項に該当する方法で熱間鍛造を行ったものであり,実施例5および実施例6はD2鋼を本発明の請求項第2項に該当する方法で熱間圧延し,冷間鍛造後に本発明の請求項第4項に該当する方法で熱間鍛造を行ったものである。また,表2において,比較例A〜Dは汎用非調質快削鋼であるR3鋼を使用した。このうち比較例Aは最終加工温度が本発明の請求項第2項の請求範囲より高い通常の熱間圧延材である。比較例Bは熱間圧延材に本発明の請求項第3項の請求範囲に該当する温度で軟化熱処理を行ったものである。比較例Cは本発明の請求項第3項の請求範囲より低い温度で軟化熱処理を行ったものであり,この処理は一般に低温焼なましと呼ばれている熱処理である。比較例Dは本発明の請求項第2項に該当する方法で熱間圧延時の最終加工温度およびその後の冷却速度を制御したものである。比較例E〜JはD1鋼またはD2鋼を使用しているものの製造条件が本発明の請求項第2項,第3項または第4項の請求範囲を逸脱するものである。このうち比較例EおよびFは熱間圧延時の最終加工温度および冷却速度が本発明の請求範囲外にあり,比較例GおよびHは軟化熱処理温度が本発明の請求範囲外にあり,さらに,比較例IおよびJは熱間鍛造温度が本発明の請求範囲外にある。
【0033】
以上のような実施例および比較例について,冷間加工性および熱間鍛造後の強度を評価した。すなわち冷間鍛造前の硬さおよびフェライト面積率を測定し,冷間鍛造時の最大荷重を測定するとともに冷間鍛造後の割れの発生率を調べた。さらに円盤形状の熱間鍛造材の中心部より直径方向を軸とする引張試験片および引張圧縮試験片を採取した。冷間鍛造前の硬さ,フェライト面積率,冷間鍛造時の変形抵抗,割れ発生率,熱間鍛造材の硬さ,引張強さおよび引張圧縮疲れ限度を表3に示す。変形抵抗は冷間鍛造時の最大荷重を鍛造後の面積で除した値である。
【0034】
【表3】
【0035】
表3において発明例1〜6の冷間鍛造前の硬さはいずれも85HRB以下であり,また,フェライト面積率は50%以上であり,いずれも本発明の請求範囲に該当する。これに対し,比較例A〜Hの冷間鍛造前の硬さはいずれも93HRB以上である。冷間鍛造時の変形抵抗においても硬さと同様の傾向にあり,比較例A〜Hの変形抵抗がいずれも1000MPa以上であるのに対し,発明例の変形抵抗はいずれも1000MPa未満である。また,冷間鍛造時の割れ発生率も比較例A〜Hがいずれも80%以上であるのに対し,発明例1〜6はいずれも5%以下である。比較例B,CおよびDはR3鋼にそれぞれ,本発明の請求項第3項に該当する軟化熱処理,一般的な低温焼なまし処理,本発明の請求項第2項に該当する制御圧延を行ったものであるが,冷間鍛造前の硬さが顕著に低下しないため,発明例に比べて変形抵抗が大きく,割れ発生率も高い。また,比較例E〜HはD1鋼またはD2鋼を使用しているが,圧延条件および軟化熱処理条件においてそれぞれ本発明の請求項第2項および第3項の請求範囲を逸脱しているため,硬さが本発明の請求範囲より高く,十分な冷間加工性が得られていない。以上の実施例および比較例はいずれも,本発明の請求項第4項に該当する温度で熱間鍛造されているため,熱間鍛造後の硬さも同項に規定する範囲内であり,発明例の引張強さおよび疲れ限度も汎用非調質鋼であるR3鋼を使用した比較例A〜Eと同等以上である。これに対し,比較例IおよびJは鋼材の化学成分,熱間圧延条件および軟化熱処理条件は本発明の請求範囲に該当するものの,熱間鍛造温度が本発明の請求項第4項の請求範囲より低く,Vの再固溶が不十分なため,硬さ,引張強さおよび疲れ限度が汎用非調質鋼を使用した比較例に対して低い。
【0036】
すなわち,本発明の目的であるところの冷間加工性と熱間鍛造後の強度の両立を実現するためには,本発明の請求項第2項または第3項に該当する方法により,本発明の請求項第1項を満足する鋼材を製造し,この鋼材を本発明の請求項第4項に該当する方法で冷間加工および熱間鍛造することが必要である。
【0037】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば,従来の非調質鋼において困難であった冷間加工性と熱間鍛造後の強度の両立が可能である。これにより,冷間加工により熱間閉塞鍛造の予備成形体を製造することが可能となり,産業上の利点は極めて大きい。
Claims (4)
- 重量で,C:0.10〜0.30%,Si:0.05〜0.60%,Mn:0.95〜1.25%,Cr:0.10〜0.60%,V:0.20〜0.40%を基本成分とし,P:0.030%以下,O:0.0030%以下に制限し,さらに,S:0.005〜0.100%,Te:0.005〜0.040%,Pb:0.03〜0.30%,Bi:0.03〜0.20%,Ca:0.0005〜0.0050%から選んだ1種または2種以上を含有し,残部Feからなり,フェライト相の体積率が40%以上であり,硬さが90HRB以下であることを特徴とする冷間加工性に優れた非調質鋼。
- 重量で,C:0.10〜0.30%,Si:0.05〜0.60%,Mn:0.95〜1.25%,Cr:0.10〜0.60%,V:0.20〜0.40%を基本成分とし,P:0.030%以下,O:0.0030%以下に制限し,さらに,S:0.005〜0.100%,Te:0.005〜0.040%,Pb:0.03〜0.30%,Bi:0.03〜0.20%,Ca:0.0005〜0.0050%から選んだ1種または2種以上を含有し,残部Feからなる鋼を,最終加工温度が800〜950℃となるように熱間圧延し,直ちに毎分120℃以下の冷却速度でA1点以下の温度まで連続冷却することにより,フェライト相の体積率が40%以上であり,硬さが90HRB以下の冷間加工性に優れた非調質鋼を製造する方法。
- 重量で,C:0.10〜0.30%,Si:0.05〜0.60%,Mn:0.95〜1.25%,Cr:0.10〜0.60%,V:0.20〜0.40%を基本成分とし,P:0.030%以下,O:0.0030%以下に制限し,さらに,S:0.005〜0.100%,Te:0.005〜0.040%,Pb:0.03〜0.30%,Bi:0.03〜0.20%,Ca:0.0005〜0.0050%から選んだ1種または2種以上を含有し,残部Feからなる鋼材もしくは鋼材に塑性加工や機械加工を施した中間素材を800〜950℃に10分間以上加熱したのち空気中に放置冷却することにより,フェライト相の体積率が40%以上であり,硬さが90HRB以下の冷間加工性に優れた非調質鋼の製造方法。
- 重量で,C:0.10〜0.30%,Si:0.05〜0.60%,Mn:0.95〜1.25%,Cr:0.10〜0.60%,V:0.20〜0.40%を基本成分とし,P:0.030%以下,O:0.0030%以下に制限し,さらに,S:0.005〜0.100%,Te:0.005〜0.040%,Pb:0.03〜0.30%,Bi:0.03〜0.20%,Ca:0.0005〜0.0050%から選んだ1種または2種以上を含有し,残部Feからなり,フェライト相の体積率が40%以上であり,硬さが90HRB以下であることを特徴とする鋼材に冷間加工または600℃以下の温度で温間加工を施して予備成形体を製造し,さらにこの予備成形体を1000℃以上1250℃以下の温度で熱間鍛造した後,空気中に放置冷却することにより,20〜35HRCの硬さの非調質鋼鍛造部材の製造方法。
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