JP3621450B2 - 部品認識方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、ラインセンサを用いて部品の認識を行う部品認識方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、プリント基板にトランジスタ等の電子部品を装着する実装機において、部品装着位置の補正等のため、部品装着用ヘッドに吸着された部品を撮像し、その画像に基づいて部品の認識を行うようにした装置は知られている。
【0003】
すなわち、上記実装機に装備される認識装置は、上記部品装着用ヘッドに吸着された部品を撮像するCCDカメラ等の撮像手段を有するとともに、この撮像手段により撮像された部品の画像を取り込んでこれを処理する画像処理手段を備えており、この画像処理手段により部品の位置及び傾きが求められ、これに基づいてプリント基板に対する部品装着位置の補正等が行われるようになっている。
【0004】
上記画像処理手段による部品認識の方法としては、画像座標上に部品の画像を表してその画像の走査及び演算等の処理を行い、例えば、画像座標上の種々の位置に設定したライン上で濃度値の変化を調べ、それによって部品の側辺やエッジ点等を調べ、これに基づいて部品の位置及び傾きを演算するものであり、その具体的方法は従来において種々考えられている(例えば特開平4−332199号公報参照)。
【0005】
この種の部品認識のために部品を撮像する方法としては、エリアセンサを用い、このエリアセンサに対応する位置に部品装着用ヘッドを位置させた状態で、部品装着用ヘッドに吸着された部品を一度に撮像する方法と、CCD素子等を線状に配列したラインセンサを用い、このラインセンサに対して部品装着用ヘッドを相対的に一定の走査方向に移動させ、その移動の間にラインセンサから部品の画像を取り込む方法とがあり、とくにラインセンサを用いれば撮像部のコンパクト化及びコストダウン等に有利となる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように撮像手段にラインセンサを用いて部品認識を行う場合、ラインセンサに対して部品装着用ヘッドを相対的に移動させる走査方向とラインセンサの方向とが直交するように設定されることにより、正しい部品画像が得られ、上記走査方向と直交する方向に対してラインセンサが傾くと画像に歪みが生じる。このため、従来ではラインセンサを正しく上記走査方向と直交させるべくセッティングに注意を払っているが、部品認識装置においては高精度の部品認識が要求されることから、それに見合うように精度良くラインセンサをセッティングすることは非常に難しく、組付け誤差等で多少の傾きが生じることは往々にしてある。そして、このようにラインセンサの傾きが生じた場合に、従来では、画像に歪みが生じることに伴い、その画像に基づいて求められる部品の位置や傾きに誤差が生じ、実装精度の低下を招くことになる。
【0007】
本発明は、上記の事情に鑑み、ラインセンサが走査方向と直交する方向に対して傾いている場合でも、部品の認識を精度良く行うことができる部品認識方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、実装機の部品装着用ヘッドに部品を吸着させた後、撮像部に設けたラインセンサと上記部品装着用ヘッドとを相対応させた状態で上記部品装着用ヘッドをラインセンサに対して相対的に一定の走査方向に移動させつつ、上記部品装着用ヘッドに吸着された部品の画像を上記ラインセンサから取り込み、その画像に基づいて所定の画像処理により部品の認識を行う方法であって、上記走査方向と直交する方向に対する上記ラインセンサの傾き角度を検出し、この角度から実座標系の点とこれに対応する画像座標系の点との関係を示す座標変換式を求め、この座標変換式に基づいて実座標系と画像座標系とでの直線の勾配の関係、及び実座標系で直交する2直線の画像座標系での勾配の関係をそれぞれ示す関係式を求め、これらの式を用いて画像処理の中で補正を行うものである。
【0009】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る部品認識方法において、上記ラインセンサの傾き角度を検出するためのテスト認識処理として、ラインセンサを備えた撮像部に対して部品装着用ヘッドを相対的に一定の走査方向に移動させつつ上記部品装着用ヘッドに吸着された部品の画像を上記ラインセンサから取り込んでその画像に基づき部品を認識する処理を、少なくとも2回行い、その1回目の処理と2回目の処理とでラインセンサに対する部品装着用ヘッドの位置を所定量だけオフセットさせ、そのオフセット量と上記1回目及び2回目の各処理でそれぞれ求めた部品位置とから、上記ラインセンサの傾き角度を求めるものである。
【0010】
【作用】
上記請求項1に係る発明の部品認識方法によると、ラインセンサから取り込まれた画像に基づいて所定の画像処理により部品の認識が行われるときに、ラインセンサの傾き角度に応じた補正が加味されることにより、ラインセンサの傾きに起因して画像座標系による部品画像に歪みが生じている場合でも、その影響が是正される。
【0011】
具体的には、実座標系の点とこれに対応する画像座標系の点との間の座標変換式に基づいて実座標系と画像座標系とでの直線の勾配の関係、及び実座標系で直交する2直線の画像座標系での勾配の関係をそれぞれ示す関係式を求め、これらの式に基づいて補正を行うことにより、ラインセンサから取り込まれた画像に基づく画像処理の中で、或る直線に対して直交関係にあるべき直線を求める際や、画像座標上の部品中心線の勾配から部品の傾きを求める際等に、ラインセンサの傾きに起因した部品画像に歪みの影響が是正される。
【0012】
また、この方法において、上記請求項2のように少なくとも2回のテスト認識処理を行い、その1回目と2回目とで部品装着用ヘッドの位置を所定量だけオフセットさせると、そのオフセット量と1回目及び2回目の各処理でそれぞれ求めた部品位置とからラインセンサの傾きが演算により求められる。
【0013】
【実施例】
本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【0014】
図1は部品認識装置の一実施例を示している。この図において、1は実装機に装備された部品装着用ヘッドであって、図外の部品供給部及びプリント基板に対して相対的に移動可能となっており、この部品装着用ヘッド1には吸着ノズル1aが昇降及び回転可能に設けられている。そして、上記吸着ノズル1aにより部品供給部から部品2を吸着した後、上記部品装着用ヘッド1がプリント基板上に移動し、プリント基板の所定装着位置に部品2を装着するようになっている。
【0015】
3は撮像部であり、CCD素子を直線状に配列したラインセンサ4(図2参照)を備えている。この撮像部3は実装機の所定位置に設置されており、その上方を部品装着用ヘッド1が移動し得るようになっている。また、撮像のための照明装置が撮像部3等に装備されており、図に示す例では、反射光での撮像と透過光での撮像とを選択的に行うことができるように、撮像部3の両側に反射光用照明装置6が設けられるとともに、撮像部3の上方もしくは部品装着用ヘッド1に透過光用照明装置7が設けられている。
【0016】
また、実装機には、実装機コントローラ(駆動制御手段)8が設けられるとともに、上記撮像部3から取り込まれる部品の画像を処理する画像処理ユニット10が設けられている。上記実装機コントローラ8は、上記部品装着用ヘッド1の駆動手段等を制御することにより、部品供給部からの部品の吸着、撮像部3上へのヘッド1の移動、部品認識のためのヘッド1の動作、プリント基板上へのヘッド1の移動及び部品装着を順次行わせるようになっており、上記部品認識のための動作としては、撮像部3のラインセンサ4に対してヘッド1を相対的に一定の走査方向に移動させるようになっている。また、この実装機コントローラ8には、上記部品装着用ヘッド1に吸着される部品2についての各種データを記憶する部品データ記憶部9が設けられている。
【0017】
上記画像処理ユニット10は、上記ラインセンサ4からの信号をアナログ・デジタル変換して取り込むA/D変換部11と、このA/D変換部11を経た画像を記憶する画像メモリ12と、この画像メモリ12から読み出した画像を処理して部品の位置及び傾きを演算する部品位置演算処理手段13と、この部品位置演算処理手段13と上記実装機コントローラ10との間で情報の受け渡しを行うデュアルポートメモリ14とを有している。さらに画像処理ユニット10は、ラインセンサ傾き演算手段15と、座標変換手段16とを有している。
【0018】
上記ラインセンサ傾き演算手段15は、例えば後述のテスト認識処理に基づき、ラインセンサの傾き角度を演算により求めるようになっている。また、上記座標変換手段16は、上記ラインセンサ4の傾き角度に応じてラインセンサ4による画像座標系と実座標系との間の座標変換式及びそれに基づく直線の勾配の関係式を求め、これらを記憶している。
【0019】
また、上記部品位置演算処理手段13は、上記画像メモリ12から読み出した部品画像に基づき、種々の画像走査及び演算処理を行って部品の位置及び傾きを求めるが、この場合に、上記座標変換手段16で求められた式を用いて画像走査方向や演算値等の補正を行う。
【0020】
上記部品位置演算処理手段13により求められた部品の重心位置及び傾きのデータは、デュアルポートメモリ14を介して上記実装機コントローラ5に送られ、実装機コントローラ5により、部品重心位置のノズル中心に対するずれ及び部品の傾きに応じ、プリント基板に対する部品の装着位置及び角度が補正されるようになっている。
【0021】
上記の部品認識装置によって行われる部品認識方法を、以下に具体的に説明する。
【0022】
先ず、ラインセンサの傾きに応じた座標変換の方法を、図2〜図4を参照しつつ説明する。
【0023】
図2に示すように、正規のラインセンサ配置方向をX方向とすると、部品認識時に部品装着用ヘッド1が移動する走査方向(図2中の矢印方向)は、上記X方向と直交するY方向に設定され、上記ヘッド1がラインセンサ4上を移動する間に、上記ヘッド1に吸着された部品の画像がY方向に順次取り込まれて、ラインセンサ4上を部品が完全に通過することにより部品全体の画像が得られる。この場合に、図2中に示すようにラインセンサ4が組付け誤差等によりX方向に対して傾いた状態に配置されていると、取り込まれた画像に歪みが生じる。例えば部品2が図2中に示すように平面視で長方形である場合、ラインセンサが正規の方向に配置されていれば図3(a)のように実物に対応した長方形の部品画像が得られるが、ラインセンサが傾いて配置されていると、図3(b)のようにX方向の辺が傾いた状態に歪んだ画像となる。
【0024】
そして、ラインセンサの傾き角度をθとし、図4に示すように点Pの実座標系(実際の座標系Xr,Yr)での座標を(xr,yr)、画像座標系(ラインセンサで取り込まれた画像の座標系Xv,Yv)での座標を(xv,yv)とすると、実座標系と画像座標系との間の関係は、次の(1)式のような座標変換式で表されることとなる。ただし、実座標系と画像座標系とで原点は一致するようにキャリブレートされているものとする。
【0025】
【数1】
【0026】
また、上記座標変換式の応用例として、直線の勾配についての次の(2)〜(4)の関係式が得られる。
【0027】
すなわち、画像座標系でy=ax+bで示される直線の実座標系での勾配αは、(2)式のようになる。
【0028】
【数2】
α=tan-1[{a×sy/sx+sinθ}/cosθ] …(2)
また、画像座標系でy=ax+bで示される直線に実座標系で直交する画像座標系の直線x=cy+dの勾配は、(3)式のようになる。
【0029】
【数3】
c=−{a×sy/sx+sinθ}/(cosθ×sy/sx) …(3)
また、画像座標系でx=cy+dで示される直線に実座標系で直交する画像座標系の直線y=ax+bの勾配は、(4)式のようになる。
【0030】
【数4】
a=−{c×(sx/sy)×cosθ+sinθ}×sx/sy …(4)
なお、|a|<1、|c|<1である。
【0031】
ところで、上記ラインセンサ4の傾き角度θは予め検出され、例えば、次のようなテスト認識処理とそれに基づく演算により求められる。
【0032】
テスト認識処理も、通常の認識処理と同様に、ラインセンサ4上で部品装着用ヘッド1を走査方向に移動させて、部品の画像を取り込み、その画像に基づいて画像走査及び演算などの処理により部品位置を求めるが、このようなテスト認識処理を少なくとも2回行ない、かつ、2回目は1回目に対して部品装着用ヘッドを所定量だけオフセットさせた状態で行なう。なお、テスト認識処理の際に、ラインセンサの傾き角度θは未知であるが、0°付近の値であると思われるので、仮の値を0°としておく。そして、例えば後述の部品位置演算処理の具体例に示すような方法で、画像座標系で部品位置(部品の重心の位置)を求める。
【0033】
このようにして求めた1回目のテスト認識処理による画像座標系での部品位置を(xv1,yv1)、2回目のテスト認識処理による画像座標系での部品位置を(xv2,yv2)とし(図5参照)、また1回目及び2回目の実座標系での部品位置を(xr1,yr1)及び(xr2,yr2)とすると、前記の座標変換式(1)より、
【0034】
【数5】
xr1=sx・xv1・cosθ
yr1=sx・xv1・sinθ+sy・yv1
xr2=sx・xv2・cosθ
yr2=sx・xv2・sinθ+sy・yv2
となる。これらの式より、ラインセンサの傾き角度θは、
【0035】
【数6】
θ=tan-1[[(yr1−yr2)−sy・(yv1−yv2)]/(xr1−xr2)]
となる。この式において、yv1、yv2はテスト認識処理により求められた値であり、sy は予め知られている値である。また、xr1、yr1、xr2、yr2の個々は未知の値であるが(xr1−xr2、)及び(yr1−yr2)は上記部品装着用ヘッドのオフセット量であって、設定された値である。従って、1回目及び2回目の各テスト認識処理による画像座標系での部品位置と上記オフセット量とから、ラインセンサの傾き角度θが求められることとなる。
【0036】
なお、上記の方法を数回繰返し行ない、その平均をとることにより、精度を高めるようにすることが好ましい。
【0037】
このようなラインセンサ4の傾き角度θの演算が上記ラインセンサ傾き演算手段15によって行われ、上記座標変換手段16において上記(1)〜(4)式に傾き角度θの演算値が当てはめられることにより、(1)式による実座標と画像座標との関係、(2)式による勾配a,αの関係、(3)式による勾配a,cの関係、及び(4)式による勾配c,aの関係がそれぞれ具体的に特定される。
【0038】
そして、部品位置演算処理手段13による部品位置演算処理の中で、上記のように特定された座標変換式や関係式が用いられて、ラインセンサの傾き角度に応じた補正が行われる。なお、上記部品位置演算処理手段13は、具体的には後述する各種の部品位置演算処理の方法(第1例乃至第3例)のプログラムを有し、認識対象となる部品2の種類に応じていずれかの方法のプログラムを選択し、その方法を実行するようになっている。
【0039】
認識対象となる部品としては、例えば図6〜図9に示すようなものがある。すなわち、図6(a)(b)はチップ抵抗2A及びその画像を示し、このチップ抵抗2Aは両側辺部に電極21を有する角ブロック状のものである。図7はアルミコンデンサ2Bの画像を示し、このアルミコンデンサ2Bは底部の中央部両側に電極23を有している。図8(a)(b)はミニトランジスタ2C及びその画像を示し、このミニトランジスタ2Cは両側辺部に複数個ずつ(図では2個ずつ)のピン24を有している。図9はパワートランジスタ2Dの画像を示し、このパワートランジスタ2Dは一側辺部に3個のピン25、他側辺部に1個のピン26を有している。なお、これらの図に示す部品のほかにも、QFP、SOP、PLCC、BGA等の部品を認識対象とすることができる。
【0040】
上記各部品の画像を示す図6(b)、図7、図8(b)、図9の各図の中で、実線部分は反射照明による場合の画像、実線と破線とを含めた部分は透過照明による画像である。
【0041】
次に、上記部品位置演算手段による部品位置演算処理の各種具体例(第1例〜第3例)を説明する。
【0042】
なお、以下の説明の中で、濃度値に関しては反射照明を用いるものとして述べるが、透過照明を用いる場合は、濃度値の大小(明暗)を逆に考えればよい。
【0043】
(1) 部品位置演算処理の第1例
図10は部品位置演算処理の第1例をフローチャートで示している。本例は、上記チップ抵抗2A、アルミコンデンサ2B、カラー抵抗等の、画像が長方形もしくはこれに準じる形状となる部品を認識対象とする場合に適するものであり、本例の処理を、図11〜図13を参照しつつ説明する。
【0044】
先ずステップS1では、部品の画像を表した処理ウインド内を数画素おきに走査して、処理ウインド内の複数個所の濃度値を調べ、それに基づいてコーナー検出のための閾値を設定し、例えば調べた濃度値の中の最大値と最小値との中間値を閾値とする。
【0045】
次にステップS2で、X軸,Y軸に対して45°傾斜した走査線Lsによる画像走査で部品2の各コーナー部を検出する。すなわち、図11に示すように、斜め45°に設定した走査線を処理ウインドの隅部から中央部へ向けて順次平行移動させつつ、走査線上の画素の濃度値と上記閾値との比較を行うことにより、走査線が部品のコーナー部を横切ったときにこれを検出し、その走査線上においてコーナー部の頂点を挾む2辺の点(以下、コーナー候補点と呼ぶ)を求める。このような処理を左上、左下、右上、右下の各コーナー部について順次行い、各コーナー部について2点ずつのコーナー候補点NW1,NW2,SW1,SW2,NE1,NE2,SE1,SE2を求める。
【0046】
このようにコーナー部を検出しているのは、後述のように側辺部に沿ったプロフィール測定ライン上の濃度値のプロフィールを調べるような場合にプロフィール測定ラインを容易に、かつ適正に設定することができるようにするためである。
【0047】
このコーナー部の検出が終わると、実装機コントローラ5の部品データ記憶部6から読み出されるデータに基づき、部品2の電極が左右に配置されているか上下に配置されているかを判定し(ステップS3)、電極が左右に配置されている場合はステップS4〜S16の各処理を行ない、電極が上下に配置されている場合はステップS17〜S29の各処理を行なう。
【0048】
[電極左右配置の場合の処理]
ステップS4では、左側電極部分(左側辺部)のプロフィールを調べる。具体的には、図12(a)中に示すように、左側電極部分において、上下両側コーナー部の各コーナー候補点のうちの2点(上辺側及び下辺側)NW1,SW2を通るプロフィール測定ラインLA1を設定し、上記2点NW1,SW2からそれぞれ所定距離だけ離れた位置を始点ST及び終点ENとして、始点STから終点ENまでのラインLA1上の各位置の濃度値を調べ、濃度値のプロフィール(位置と濃度値との対応図)をとる。
【0049】
続いてステップS5では、上記プロフィールから、図12(b)中に示すような左側電極部分の上下方向の中心点b1の位置を計算する。具体的には、例えば上記プロフィールの中での濃度値の最大値と最小値とから両者の中間値を閾値とし、上記プロフィールの濃度値を始点側から順に見ていって最初に閾値を越える点を調べて、上側エッジ点a1のY座標を補間演算によりサブピクセル単位で求め、これと同様の手法で下側エッジ点a2のY座標もサブピクセル単位で求める。そして、上側エッジ点a1のY座標と下側エッジ点a2のY座標の真中の値を左側電極部分の上下方向中心点b1のY座標とし、上記プロフィール測定ラインLA1の方程式から上記Y座標に対応する上記中心点b1のX座標を求める。
【0050】
次にステップS6,S7では、ステップS4,S5と同様の処理を右側電極部分(右側辺部)について行なう。つまり、上下両側のコーナー候補点NE2,SE1を通るプロフィール測定ラインLA2を設定してその始点及び終点を定め、上記始点から終点までの濃度値のプロフィールをとり、このプロフィールに基づき、上側エッジ点a4のY座標と下側エッジ点a3のY座標とを補間演算によりサブピクセル単位で求め、右側電極部分の上下方向中心点b2のY座標及びX座標を求める(図12(b)参照)。
【0051】
さらに精度向上のため、ステップS8〜S13で、左右各電極部分についてそれぞれプロフィール測定ラインを修正して、再度上下方向中心点を算出する処理を行なう(図12(b)及び同(c)参照)。
【0052】
すなわち、上記ステップS5及びステップS7で求めた両側電極部分の中心点b1,b2を暫定中心点と呼ぶと、ステップS8では、上記両暫定中心点b1,b2を通る直線LBの勾配を算出する。次にステップS9では、この直線LBに直交して左側電極部分の暫定中心点b1を通る直線LC1の方程式と、直線LBに直交して右側電極部分の暫定中心点b2を通る直線LC2の方程式とを求め、これらの直線LC1,LC2を新たなプロフィール測定ラインとする。この場合、正確にいえば直線LBと直線LC1,LC2とが実座標系に変換したときに直交する関係となるように、前記(3)式を用いて直線LBの勾配から直線LC1,LC2の勾配を求める。
【0053】
そして、ステップS10では左側電極部分において上記直線LC1上で所定範囲にわたって濃度値のプロフィールをとり、ステップS11ではステップS5と同様の手法で左側電極の上下方向の中心点c1を算出する。さらに、ステップS12では、右側電極部分において上記直線LC2上で所定範囲にわたって濃度値のプロフィールをとり、ステップS13ではステップS7と同様の手法で右側電極の上下方向の中心点c2を算出する。
【0054】
次に、ステップS14では、図11(c)に示すような上記両側電極部分の中心点c1,c2を通る直線(中心線)LDの方程式を求め、ステップS15では、上記直線LD上で所定範囲にわたって濃度値のプロフィールをとる。
【0055】
続いてステップS16では、部品の重心位置及び傾きを算出する。具体的には、上記直線LD上のプロフィールの中で濃度値の最大値及び最小値を求め、これらの値の中間値を閾値とし、前記のステップS5で行ったエッジ点のY座標の算出と同様の手法により、上記直線LD上の左側エッジ点d1のX座標及び右側エッジ点d2のX座標をサブピクセル単位で算出する。そして、これらのエッジ点d1,d2のX座標から両者の中点のX座標を算出し、このX座標と上記直線LDの方程式とからこの中点のY座標を算出し、この中点を画像座標上の部品重心位置wとし、前記(1)式を用いて座標変換することにより実座標上の部品重心位置を求める。また、上記直線LDの方程式からその勾配を算出して、この勾配を前記(2)式を用いて変換することにより、部品の傾きδを求める。
【0056】
[電極上下配置の場合の処理]
ステップS17では上側左右のコーナー候補点NW2,NE1を通るプロフィール測定ラインLA1(図13参照)を設定してこのラインLA1に沿った上側電極部分の濃度値のプロフィールをとり、ステップS18ではこのプロフィールから上側電極部分の左右方向の中心を計算する。ステップS19では下側左右のコーナー候補点SW1,SE2を通るプロフィール測定ラインLA2(図13参照)を設定してこのラインLA2に沿った下側電極部分の濃度値のプロフィールをとり、ステップS20ではこのプロフィールから下側電極部分の左右方向の中心を計算する。
【0057】
続いて、ステップS21では上下両側電極部分の中心点(暫定中心点)を通る直線の勾配を算出し、ステップS22では、上記直線に直交して上側電極部分の暫定中心点及び下側電極部分の暫定中心点をそれぞれ通る2つの直線(新たなプロフィール測定ライン)の方程式を計算する。そして、ステップS23では上側電極部分の濃度値のプロフィールをとり、ステップS24では上側電極の左右方向の中心点を計算し、ステップS25では下側電極部分の濃度値のプロフィールをとり、ステップS26では下側電極の左右方向の中心点を計算する。さらに、ステップS27では上下両側電極部分の中心点を通る直線の方程式を算出し、ステップS28では上下両側電極間の濃度値のプロフィールをとり、ステップS29では部品の重心位置及び傾きを算出する。
【0058】
これらステップS17〜S29の処理は、前述のステップS8〜S16の処理とほぼ同様である。ただし、電極上下配置の場合は、電極左右配置の場合の処理における左辺を上辺に、右辺を下辺に置き換えるとともに、上記ステップS22では、ステップS21で算出した直線の勾配から、この直線と直交する直線(正確には実座標系で直交する関係となる直線)の勾配を、前記(4)式を用いて求める。また、ステップS29では、上下両側電極間のプロフィールに基づいて求めた画像座標上の部品重心位置を前記(1)式を用いて変換することにより実座標上の部品重心位置を求めるとともに、上下両側電極部分の中心点を通る直線と直交する直線(正確には実座標系で直交する関係となる直線)の勾配を、前記(4)式を用いて求め、さらに前記(2)式を用いて変換することにより、部品の傾きを求める。
【0059】
以上のような部品位置演算処理の第1例によると、画像が長方形もしくはこれに準じる形状となる部品の重心位置及び傾きが精度良く求められる。
【0060】
とくにこの第1例の処理の中で、左右(もしくは上下)の側辺部における暫定中心点b1,b2が求められた後にその側辺部の中心点を修正すべく改めてプロフィール測定ラインが設定される際にラインセンサ4の傾き角度に応じた補正が行われ、また、最終的に部品重心位置w及び傾きが算出されるときにもラインセンサ4の傾き角度に応じた補正が行われることにより、精度が向上される。
【0061】
すなわち、ステップS9(またはステップS22)では、側辺部に沿ったプロフィール測定ラインが得られるように、直線LBと直交して暫定中心線b1,b2を通る直線LC1,LC2の方程式が計算されるが、この際、直線LBの勾配から(3)式(または(4)式)を用いて直線LC1,LC2の勾配が求められることにより、ラインセンサ4の傾き角度によって部品画像に歪みが生じている場合でも、プロフィール測定ラインとなる直線LC1,LC2が部品画像における部品側辺部に沿った方向となり、従って部品側辺部に沿った方向の濃度値のプロフィールに基づいて中心点c1,c2を求める処理が適正に行われる。
【0062】
また、ステップS16(またはステップS29)で部品の重心位置w及び傾きを算出する際、画像座標系での部品の重心位置及び傾きが求められた上で、(1)式を用いた部品重心位置の座標変換及び(2)式(または(3)式と(2)式)を用いた傾きの変換が行われることにより、ラインセンサ4の傾き角度によって部品画像に歪みが生じている場合でも、実際の部品の重心位置及び傾きが正しく求められることとなる。
【0063】
(2) 部品位置演算処理の第2例
図14は部品位置演算処理の第2例をフローチャートで示している。本例は、上記ミニトランジスタ2C等の、両側辺部(左右側辺部もしくは上下側辺部)に複数本ずつのリードピンが配設されている部品を認識対象とする場合に適するものであり、本例の処理を、図15を参照しつつ説明する。
【0064】
先ずステップS101ではコーナー部検出のための閾値を設定し、次にステップS102では、図15(a)に示すように、X軸,Y軸に対して45°傾斜した走査線Lsによる走査で、部品2Cの両側のピン列においてそれぞれ各両端のピンの外側コーナー部を検出し、これらのコーナー部について2点ずつ、都合8点のコーナー候補点NW1,NW2,SW1,SW2,NE1,NE2,SE1,SE2を求める。これらの処理は上記第1例におけるステップS1,S2の処理とほぼ同様である。
【0065】
コーナー部の検出が終わると、実装機コントローラ5の部品データ記憶部6から読み出されるデータに基づき、部品の電極が左右に配置されているか上下に配置されているかを判定し(ステップS103)、電極が左右に配置されている場合はステップS104〜S114の各処理を行ない、電極が上下に配置されている場合はステップS115〜S125の各処理を行なう。
【0066】
[電極左右配置の場合の処理]
ステップS104では、左辺側の上下のコーナー候補点NW1,SW2を通るプロフィール測定ラインLA1を設定してその始点ST及び終点ENを定め(図15(a)参照)、このラインLA1に沿った濃度値のプロフィールをとる。
【0067】
次にステップS105では、上記プロフィールに基づいて、左辺の各ピンの中心を計算する。具体的には、上記プロフィールにおける濃度値の最大値と最小値との間の適当な値を閾値とし、この閾値と濃度値との比較に基づき、上記各ピンについてそれぞれ上下両エッジ点を補間演算によりサブピクセル単位で算出し、その中点の座標を各ピンの中心点e1,e2の位置として求める(図15(b)参照)。
【0068】
ステップS106では、上記プロフィール測定ラインLA1と直交し、かつ上記中心点e1,e2を通る直線LE1,LE2の方程式を求める。この場合、正確にいえばプロフィール測定ラインLA1と直線LE1,LE2とが実座標系に変換したときに直交する関係となるように、前記(4)式を用いてプロフィール測定ラインLA1の勾配から直線LE1,LE2の勾配を求める。
【0069】
そして、ステップS107では、上記各直線LE1,LE2上でそれぞれ所定範囲にわたって濃度値のプロフィールをとり、このプロフィールにおける濃度値の最大値と最小値との間の適当な値を閾値とし、この閾値と濃度値との比較に基づき、上記各ピンの左側エッジ点f1,f2の座標を、補間演算によりサブピクセル単位で求める。
【0070】
ステップS108では、上記各ピンの左側エッジ点f1,f2の座標からこれらの中心点g1の座標を求める。
【0071】
また、ステップS109〜S113では、ステップS104〜S108と同様の処理により、右辺側の上下のコーナー候補点NE2,SE1を通るプロフィール測定ラインLA2に沿った濃度値のプロフィールをとり、このプロフィールから右辺各ピンの中心点e3,e4を計算し、上記プロフィール測定ラインLA2と直交し、かつ上記中心点e3,e4を通る直線LE3,LE4の方程式を前記(4)式を用いて求め、右辺各ピンの右側エッジ点f3,f4を検出し、これらのエッジ点f3,f4に基づいて右辺ピン列の中心点g2を計算する。
【0072】
ステップS114では、部品重心位置w及び傾きを算出する。具体的には、左辺ピン列の中心点g1と右辺ピン列の中心点g2とからこれらの中点を求めるとともに、両ピン列の中心点g1,g2を通る直線LGの方程式からその勾配を求める。そして、上記中点の平均値を画像座標上の部品重心位置wの位置とし、前記(1)を用いた座標変換により実座標上の重心wの位置を求めるとともに、上記直線LGの勾配を前記(2)式を用いて変換することにより、部品の傾きを求める。
【0073】
[電極上下配置の場合の処理]
ステップS115では上辺側の左右のコーナー候補点を通るプロフィール測定ラインに沿った濃度値のプロフィールをとり、ステップS116では上記プロフィールから上辺各ピンの中心点を計算し、ステップS117では上辺側のプロフィール測定ラインと直交し、かつ上辺各ピンの中心点を通る直線の方程式を演算し、ステップS118では上辺各ピンの上側エッジ点を検出し、ステップS119ではこれらのエッジ点に基づいて上辺ピン列の中心点を計算する。また、ステップS120では下辺側の左右のコーナー候補点を通るプロフィール測定ラインに沿った濃度値のプロフィールをとり、ステップS121では上記プロフィールから下辺各ピンの中心点を計算し、ステップS122では下辺側のプロフィール測定ラインと直交し、かつ下辺各ピンの中心点を通る直線の方程式を演算し、ステップS123では下辺各ピンの下側エッジ点を検出し、ステップS124ではこれらのエッジ点に基づいて下辺ピン列の中心点を計算する。
【0074】
これらステップS115〜S124の処理は、上記ステップS104〜S113の処理とほぼ同様である。ただし、電極上下配置の場合は、電極左右配置の場合の処理における左辺を上辺に、右辺を下辺に置き換えるとともに、ステップS117及びステップS122では上辺側(下辺側)のプロフィール測定ラインと直交する直線(正確には実座標系で直交する関係となる直線)の勾配を、前記(3)式を用いて求める。
【0075】
そして、ステップS125では、上辺ピン列の中心点と下辺ピン列の中心点との中点を求め、前記(1)を用いて座標変換することにより実座標上の部品重心位置wを求めるとともに、上辺ピン列の中心点と下辺ピン列の中心点とを通る直線と直交する直線(正確には実座標系で直交する関係となる直線)の勾配を、前記(4)式を用いて求め、さらに前記(2)式を用いて変換することにより、部品の傾きを求める。
【0076】
以上のような部品位置演算処理の第2例によると、ミニトランジスタ2C等の部品の重心位置及び傾きが精度良く求められる。
【0077】
とくにこの第2例の処理の中で、左右(または上下)のプロフィール測定ライン上の各ピンの中心点e1,e2,e3,e4が求められた後に、この中心点の外方のエッジ点f1,f2,f3,f4を検出すべく、ステップS106及びステップS111(またはステップS117及びステップS122)で上記プロフィール測定ラインと直交してピン中心点を通る直線LE1,LE2,LE3,LE4の方程式が計算されるが、この際、前記(4)式(または前記(3)式)を用いて直線の勾配が求められることにより、ラインセンサ4の傾き角度に応じた補正が行われる。また、ステップS114(またはステップS125)で部品の重心位置w及び傾きを求める際、前記(1)式を用いた重心位置の座標変換及び前記(2)式(または前記(4)式と(2)式)を用いた傾きの変換により、ラインセンサ4の傾き角度に応じた補正が行われる。
【0078】
従って、ラインセンサ4の傾きによって部品画像に歪みが生じている場合でも、部品の重心位置及び傾きが正しく求められることとなる。
【0079】
(3) 部品位置演算処理の第3例
図16及び図17は部品位置演算処理の第3例をフローチャートで示している。本例は、少なくとも一側辺部に複数のピンを有する部品を認識対象とし、とくに上記パワートランジスタ2E等の、片側の側辺部と反対側の側辺部とでピンの個数、配置が異なる部品を認識対象とする場合に適するものであり、本例の処理を、図18を参照しつつ説明する。
【0080】
先ずステップS201ではコーナー部検出のための閾値を設定する。次に、電極が左右に配置されているか上下に配置されているかを判定し(ステップS202)、電極が左右に配置されている場合は左右両辺うちのいずれの側のピン数が多いかを判定し(ステップS203)、電極が上下に配置されている場合は上下両辺うちのいずれの側のピン数が多いかを判定する(ステップS204)。そして、電極が左右配置で左辺側のピン数が多い場合にはステップS205〜S214の各処理を行い、電極が左右配置で右辺側のピン数が多い場合にはステップS215〜S224の各処理を行う。また、電極が上下配置で上辺側のピン数が多い場合にはステップS225〜S234の各処理を行い、電極が上下配置で下辺側のピン数が多い場合にはステップS235〜S244の各処理を行う。
【0081】
[電極左右配置で左辺側のピン数が多い場合の処理]
ステップS205では、コーナー部検出の処理として、図18(a)に示すように、X軸,Y軸に対して45°傾斜した走査線Lsによる走査で、左辺のピン列の上下両端のピンの外側コーナー部を検出し、これらのコーナー部の各コーナー候補点NW1,NW2,SW1,SW2を求める。次にステップS206では、左辺側の上下のコーナー候補点NW1,SW2を通るプロフィール測定ラインLAを設定してその始点ST及び終点ENを定め(図18(a)参照)、このラインLAに沿った濃度値のプロフィールをとる。
【0082】
ステップS207では、上記プロフィールに基づいて、左辺の各ピンの中心点h1,h2,h3の位置を計算する。具体的には、上記プロフィールにおける濃度値の最大値と最小値との間の適当の値を閾値とし、この閾値と濃度値との比較に基づき、上記各ピンについてそれぞれ上下両エッジを補間演算によりサブピクセル単位で求め、その中点の座標を各ピンの中心点h1,h2,h3の位置として求める(図18(b)参照)。
【0083】
ステップS208では、上記プロフィール測定ラインLAと直交し、かつ上記中心点h1,h2,h3を通る直線LH1,LH2,LH3の方程式を求める。この場合、正確にいえばプロフィール測定ラインLAと直線LH1,LH2,LH3とが実座標系に変換したときに直交する関係となるように、前記(4)式を用いてプロフィール測定ラインLAの勾配から直線LH1,LH2,LH3の勾配を求める。そして、ステップS209では、上記各直線LH1,LH2,LH3上でそれぞれ所定範囲にわたって濃度値のプロフィールをとり、このプロフィールにおける濃度値の最大値と最小値との間の適当な値を閾値とし、この閾値と濃度値との比較に基づき、上記各ピンの左側エッジ点i1,i2,i3を、補間演算によりサブピクセル単位で算出する。
【0084】
ステップS210では、上記各ピンの左側エッジ点i1,i2,i3の配置に基づき、部品の傾きを算出する。具体的には、上記各エッジ点i1,i2,i3のうちの2点の組合せの全て(図18に示す例ではi1とi2、i1とi3、i2とi3の各組合せ)についてそれぞれ、2点を通る直線の勾配を求めて、その直線に直交する直線(正確には実座標系に変換したときに直交する関係となる直線)の勾配を前記(4)を用いて計算し、その平均値を求める。さらにステップS211では、ステップS210で求めた勾配の平均値を、前記(2)を用いて変換することにより、部品の傾きを算出する。
【0085】
さらにステップS212では、上記各左側エッジ点i1,i2,i3に基づいて左辺ピン列の中心点j1を計算し、つまり、これらのエッジ点i1,i2,i3の座標の中心(平均値)をピン列の中心点j1の座標とする(図18(c)参照)。
【0086】
続いてステップS213では、中心線上の濃度値のプロフィールから右側エッジ点j2を検出する。具体的には、左辺のピン列の中心点j1を通り、かつ勾配が上記ステップS210で求めた勾配の平均値と等しい直線(中心線)LJの方程式を求め、その中心線LJ上で所定の始点STから終点ENまでにわたる範囲の濃度値のプロフィールをとる。そして、このプロフィールにおける濃度値の最大値と最小値との間の適当な値を閾値とし、この閾値と濃度値との比較に基づき、上記直線上における右辺ピンの右側エッジ点j2を補間演算によりサブピクセル単位で求める。
【0087】
ステップS214では、上記の左辺ピン列の中心点j1と右辺ピンの右側エッジ点j2との中点を求め、これを画像座標上の部品の重心位置wとし、前記(1)式を用いて座標変換することにより実座標上の部品の重心位置を算出する。
【0088】
[電極左右配置で右辺側のピン数が多い場合の処理]
ステップS215では、斜め45°の走査で、右辺のピン列の上下両端のピンの外側コーナー部を検出し、ステップS216では上記コーナー部検出に基づきプロフィール測定ラインを設定して右辺側の濃度値のプロフィールをとり、ステップS217では上記プロフィールから右辺各ピンの中心点の位置を計算する。続いてステップS218では、前記(4)式を用いて、上記プロフィール測定ラインと直交して各ピンの中心点を通る直線の方程式を求め、ステップS219では右辺各ピンの右側エッジ点の位置を検出する。さらに、ステップS220では、右辺各ピンの右側エッジ点のうちの2点を通る直線に直交する直線の勾配を前記(4)式を用いて求めて、その平均値を算出し、ステップS221では、前記(2)式を用いて、部品の傾きを算出する。ステップS222では上記各右側エッジ点から右辺ピン列の中心点の位置を計算し、ステップS223では左辺のピンの左側エッジ点を検出する。そして、ステップS224では上記右辺ピン列の中心点と左辺のピンの左側エッジ点とから部品の重心の位置を算出し、前記(1)式を用いた座標変換を行う。
【0089】
これらステップS215〜S224の処理は、左辺側のピン数が多い場合の処理における左辺、右辺を置き換えれば、前述のステップS205〜S214と同様である。
【0090】
[電極上下配置で上辺側のピン数が多い場合の処理]
ステップS225では、斜め45°の走査で、上辺のピン列の左右両端のピンの外側コーナー部を検出し、ステップS226では上記コーナー部検出に基づきプロフィール測定ラインを設定して上辺側の濃度値のプロフィールをとり、ステップS227では上記プロフィールから上辺各ピンの中心点の位置を計算する。続いてステップS228では、前記(3)式を用いて、上記プロフィール測定ラインと直交して各ピンの中心点を通る直線の方程式を求め、ステップS229では上記各中心点に対応した各ピンの上側エッジ点の位置を検出する。これらステップS225〜S229の処理は、電極左右配置で左辺側のピン数が多い場合の処理における左辺を上辺に、右辺を下辺に置き換えれば、前述のステップS205〜S209と同様である。
【0091】
続いてステップS230では、上辺各ピンの上側エッジ点のうちの2点を通る直線の勾配の平均値を算出し、ステップS231では、上記直線の勾配を前記(2)式を用いて変換することにより、部品の傾きを算出する。
【0092】
さらに、ステップS232では、上記各上側エッジ点から上辺ピン列の中心点の位置を計算し、ステップS233では、上記上辺ピン列中心点を通る縦方向の中心線を求め、その中心線上の濃度値のプロフィールから、下辺ピンの下側エッジ点の位置を検出する。この際、上記縦方向の中心線の勾配は、ステップS230で計算した直線の勾配の平均値から、前記(3)式を用いて求める。
【0093】
そして、ステップS234では上記上辺ピン列の中心点と下辺のピンの下側エッジ点とから部品の重心の位置を算出し、前記(1)式を用いた座標変換を行う。
【0094】
[電極上下配置で下辺側のピン数が多い場合の処理]
ステップS235では、斜め45°の走査で、下辺のピン列の左右両端のピンの外側コーナー部を検出し、ステップS236では上記コーナー部検出に基づきプロフィール測定ラインを設定して下辺側の濃度値のプロフィールをとり、ステップS237では上記プロフィールから下辺各ピンの中心点の位置を計算する。続いてステップS238では、前記(3)式を用いて、上記プロフィール測定ラインと直交して各ピンの中心点を通る直線の方程式を求め、ステップS239では下辺各ピンの下側エッジ点の位置を検出する。さらに、ステップS240では、下辺各ピンの下側エッジ点のうちの2点を通る直線の勾配の平均値を計算し、ステップS241では、前記(2)式を用いて、部品の傾きを算出する。ステップS242では上記各下側エッジ点から下辺ピン列の中心点の位置を計算し、ステップS243では、下辺ピン列の中心点を通る縦方向の中心線を上記(3)を用いて求めて、その中心線上の濃度値のプロフィールから上辺のピンの上側エッジ点の位置を検出する。そして、ステップS244では上記下辺ピン列の中心点と上辺のピンの上側エッジ点とから部品の重心の位置を算出し、前記(1)式を用いた座標変換を行う。
【0095】
これらステップS235〜S244の処理は、上辺側のピン数が多い場合の処理における上辺、下辺を置き換えれば、前述のステップS225〜S234と同様である。
【0096】
以上のような部品位置演算処理の第3例によると、パワートランジスタ2D等の部品の重心位置及び傾きが精度良く求められる。
【0097】
とくにこの第3例の処理の中で、電極左右配置の場合はステップS208またはステップS218(電極上下配置の場合はステップS228またはステップS238)で、左辺側または右辺側(上辺側または下辺側)のプロフィール測定ラインLAと直交してピン中心点h1,h2,h3を通る直線LH1,LH2,LH3の方程式が計算されるが、この際、前記(4)式(または前記(3)式)を用いて直線LH1,LH2,LH3の勾配が求められることにより、ラインセンサ4の傾き角度に応じた補正が行われる。さらに、電極左右配置の場合はステップS210またはステップS220で、左辺または右辺の各ピンのエッジ点i1,i2,i3のうちの2点を通る直線に直交する直線の勾配が計算され、電極上下配置の場合はステップS233またはステップS243で、ステップS230またはステップS240で計算された直線と直交する縦方向の中心線の方程式が計算されるが、これらの計算の際にも、前記(4)式(または前記(3)式)を用いて直線の勾配が求められることにより、ラインセンサ4の傾き角度に応じた補正が行われる。
【0098】
また、部品の傾きを求める際(ステップS231,S241,S251,S261)には前記(2)を用いた変換が行われ、部品重心位置を求める際(ステップS234,S244,S254,S264)には前記(1)式を用いた座標変換が行われることにより、ラインセンサの傾き角度に応じた補正が行われる。
【0099】
従って、ラインセンサの傾きによって部品画像に歪みが生じている場合でも、部品の重心位置及び傾きが正しく求められることとなる。
【0100】
なお、上記各実施例では、部品位置演算処理の中で、或る直線に直交する直線の勾配を求める際、及び部品の傾きを求める際に、前記(2)〜(4)式を用いてラインセンサの傾き角度に応じた補正を行うとともに、部品重心位置を求める際に前記(1)を用いて座標変換を行っているが、部品重心位置の座標変換を部品位置演算処理の中で行わず、その代りに、画像座標上の部品重心位置とノズル中心位置とに基づいて部品吸着位置のずれ量(装着位置補正量)を求める際に、座標変換式に基づいて求めた補正係数を用いて補正を行うようにしてもよい。
【0101】
このほかにも、部品位置演算処理等の具体的方法は本発明の要旨を逸脱しない範囲で変更して差し支えない。
【0102】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は、ラインセンサから取り込んだ画像に基づいて部品の認識を行う方法において、ラインセンサの傾き角度を検出し、この傾き角度から座標変換式を求め、これに基づき上記画像処理において補正を行うようにしているため、ラインセンサの傾きに起因して画像座標系による部品画像に歪みが生じている場合でも、その影響を是正して、画像認識処理を精度良く行うことができる。
【0103】
とくに、実座標系の点とこれに対応する画像座標系の点との間の座標変換式を求め,これに基づいて実座標系と画像座標系とでの直線の勾配の関係、及び実座標系で直交する2直線の画像座標系での勾配の関係をそれぞれ示す関係式を求め、これらの式に基づいて補正を行うようにしているため、ラインセンサから取り込まれた画像に基づく画像処理の中で、或る直線に対して直交関係にあるべき直線を求める際や、部品の傾きを計算する際等に、ラインセンサの傾き角度に応じた補正を適切に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の部品認識装置の一実施例を示す概略図である。
【図2】ラインセンサの配置及び部品装着用ヘッドの移動方向を示す説明図である。
【図3】(a)はラインセンサが正規の方向に配置されている場合の部品の画像、(b)ラインセンサが傾いて配置されている場合の部品の画像を示す図である。
【図4】実座標系と画像座標系との関係を示す図である。
【図5】テスト認識処理を示す説明図である。
【図6】(a)は電子部品の具体例としてのチップ抵抗の斜視図であり、(b)はこのチップ抵抗の画像を示す図である。
【図7】電子部品の具体例としてのアルミコンデンサの画像を示す図である。
【図8】(a)は電子部品の具体例としてのミニトランジスタの斜視図であり、(b)はこのミニトランジスタの画像を示す図である。
【図9】電子部品の具体例としてのパワートランジスタの画像を示す図である。
【図10】部品位置演算処理の第1例を示すフローチャートである。
【図11】部品画像のコーナー部を検出するための画像走査を示す説明図である。
【図12】(a)(b)(c)は上記部品位置演算処理の第1例で順次行われる処理を示す説明図である。
【図13】上記部品位置演算処理の第1例において電極上下配置の場合のプロフィール測定ラインを示す説明図である。
【図14】部品位置演算処理の第2例を示すフローチャートである。
【図15】(a)(b)は上記部品位置演算処理の第2例で順次行われる処理を示す説明図である。
【図16】部品位置演算処理の第3例を示すフローチャートの一部分である。
【図17】部品位置演算処理の第3例を示すフローチャートの他の部分である。
【図18】(a)(b)(c)は上記部品位置演算処理の第3例で順次行われる処理を示す説明図である。
【符号の説明】
1 部品装着用ヘッド
2 部品
3 撮像部
4 ラインセンサ
8 実装機コントローラ
10 画像処理ユニット
12 画像メモリ
13 部品位置演算処理処理手段
15 ラインセンサ傾き演算手段
16 座標変換手段
Claims (2)
- 実装機の部品装着用ヘッドに部品を吸着させた後、撮像部に設けたラインセンサと上記部品装着用ヘッドとを相対応させた状態で上記部品装着用ヘッドをラインセンサに対して相対的に一定の走査方向に移動させつつ、上記部品装着用ヘッドに吸着された部品の画像を上記ラインセンサから取り込み、その画像に基づいて所定の画像処理により部品の認識を行う方法であって、上記走査方向と直交する方向に対する上記ラインセンサの傾き角度を検出し、この角度から実座標系の点とこれに対応する画像座標系の点との関係を示す座標変換式を求め、この座標変換式に基づいて実座標系と画像座標系とでの直線の勾配の関係、及び実座標系で直交する2直線の画像座標系での勾配の関係をそれぞれ示す関係式を求め、これらの式を用いて画像処理の中で補正を行うことを特徴とする部品認識方法。
- 上記ラインセンサの傾き角度を検出するためのテスト認識処理として、ラインセンサを備えた撮像部に対して部品装着用ヘッドを相対的に一定の走査方向に移動させつつ上記部品装着用ヘッドに吸着された部品の画像を上記ラインセンサから取り込んでその画像に基づき部品を認識する処理を、少なくとも2回行い、その1回目の処理と2回目の処理とでラインセンサに対する部品装着用ヘッドの位置を所定量だけオフセットさせ、そのオフセット量と上記1回目及び2回目の各処理でそれぞれ求めた部品位置とから、上記ラインセンサの傾き角度を求めることを特徴とする請求項1記載の部品認識方法。
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