JP3620948B2 - ガス供給システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガス供給システムに関し、さらに詳しくは、既設配管が使用できない場合や配管の気密試験時などに簡易的にガスを供給できるガス供給システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
地中に埋設されているガス管等の配管は、例えば、地震等の災害による外力によって損傷し、使用できなくなる場合がある。
従来、ガスの供給先の種類によって配管の一部を交換あるいは補修するような場合、次の方法が採用されている。
地中に埋設されている導管からサービスチーを介して分岐され、一戸建ての住宅等のような民地内に引き込まれている供内管の一部を交換する場合には、住宅へのガス供給を一時的に停止し、交換工事が終了してから配管中での気密試験を行った上でガス漏洩がないことを確認してからガスの再供給を開始する。
一方、一戸建ての住宅と違ってガスの使用形態が一様でない複数の住宅を対象として設置されているいるような場合の配管を交換や補修をする際には、導管から引き込まれている供給管の管路中に設置されているバルブよりもガスの流動方向下流側の一部と導管との間にバイパス路を仮設し、バイパス路を介してガスの供給を維持しながら、バイパス路と並行する供給管側のバルブを閉じて供給管の交換あるいは補修作業を行う。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
配管の一部を交換する際にガスの供給を停止する場合には、ガスの使用者に対してガスの使用停止を要請しなければならないが、そのための事前通知等のPRを徹底させる必要がある。しかし、事前通知が行き届いたと判断しても、不在宅等もあり、交換作業に取り掛かる前の管理が困難な場合がある。しかも、不在宅がある場合には、交換作業後のガス器具の点火試験を行うまでの間の待機時間が増加することがあり、集合住宅の場合などでは、ガスの再供給までに不便をかけることもある。
さらに、バイパス路を設置する場合には、配管の交換作業以外にバイパス路の敷設工事や撤去工事等の交換作業本来の作業とは異なる作業が必要となることから、交換作業に要する作業時間が増加する事になり、交換およびガスの再供給までの時間が長大化してしまうことになる。
また、配管の交換や補修の際に、供給先にガスを供給する必要がある場合には、交換や補修対象となる管路からのガスの漏洩等が起こり得るので、供給する側で火気や熱を発生させないようにする等の安全対策を充分に行わなければならず、交換や補修作業に慎重な作業が要求される。
一方、上述した既設配管が使用できない場合とは別に、簡易的なガスの供給が望まれる場合として、ビル等の商業需要先での配管の気密試験がある。従来、多数の配管を備えたビルなどで配管の気密試験を行う際には、商業需要先へのガス供給に用いられる中圧導管からのガスの流れを遮断し、代わりに空気を流し込んで配管での気密試験を行っている。しかし、このような方法では、気密試験終了後に配管中に残留している空気を排除する作業、所謂、パージ作業が必要となるために、試験終了後に即座にガスの供給を開始することができない。
【0004】
さらに、上述したような方式により新たな供給源からガスを送る場合には、当然のことではあるが、供給先の使用圧力に調整することが必要となる。
しかし、供給先での使用圧力よりも高い圧力を減圧する場合には、断熱膨張による温度低下が発生し、このため、減圧されたガスが流れる配管路やガス機器を損傷する場合があり、新たな供給源からの臨時的なガス供給による事故の発生を引き起こす虞がある。
そこで、減圧後、配管路を流れるガスを加熱して温度を上昇させることも考えられるが、この場合の設備が大掛かりとなるばかりでなく、加熱源が引火の原因となる虞が新たに生じる。
【0005】
本発明の目的は、上記従来のガス供給システムにおける問題に鑑み、地中の管路が使用できない場合やガスの簡易的な供給が要望されている場合にガスの供給を維持できるようにするとともに、供給時での安全も充分に確保することができるガス供給システムを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために、請求項1記載の発明は、ガスを充填された高圧容器を入力側に位置させ、出力側にガス供給先との接続部を位置させたガス供給経路において、上記入力側には上記高圧容器を複数配置し、それら複数の高圧容器の中から選択された一つの高圧容器内のガスを取り込み、上記高圧容器から取り込まれたガスの圧力を複数段の減圧部によって上記ガス供給先で使用される最終圧力に減圧し、上記減圧部間を通過するガスをそのガスの流路が雰囲気接触可能な熱交換部に導入して温度の更正処理を行い、上記出力側に至るガスの圧力が所定の最終圧力よりも高い場合には大気放出するようにし、上記熱交換部からのガス吐出圧が所定の圧力以上のときに上記複数段の減圧部へのガス供給を遮断可能な緊急遮断部を設けたことを特徴としている。
【0007】
請求項2記載の発明は、ガスを充填された高圧容器を入力側に位置させ、出力側にガス供給先との接続部を位置させたガス供給経路において、上記入力側と上記出力側との間に配置された一次側減圧部および二次側減圧部を備え、上記一次側減圧部と上記二次側減圧部の間には熱交換部を配置し、上記熱交換部からのガス吐出圧が所定の圧力以上のときに上記一次側減圧部へのガス供給を遮断可能な緊急遮断部を設け、上記二次側減圧部のガス吐出部には、非常時に上記接続部側へのガスの供給を遮断するヒューズ栓を設けてなるガス供給制御部を備え、上記熱交換部は、上記一次側減圧部から上記二次側減圧部に至る途中に配置されている少なくとも1回の折り返しがなされたガス流路と、そのガス流路の外表面においてその延長方向に沿って多数並設されたコイル状のフィンとで構成され、ガス流路を流れる減圧後のガスに対して雰囲気接触による温度更正処理を施すことを特徴としている。
【0008】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載のガス供給システムにおいて、上記入力側に配置されている高圧容器は、上記減圧部のうちの初段の減圧部に至る管路が纏められ、纏められる前の管路には、開閉弁が配置されて高圧容器からのガスの取り込み路を選択できるようにされていることを特徴としている。
【0009】
請求項4記載の発明は、請求項1または2記載のガス供給システムにおいて、上記緊急遮断部は、所定の圧力以上のガスにより作動される圧力作動弁で構成されていることを特徴としている。
【0010】
請求項5記載の発明は、請求項1または2記載のガス供給システムにおいて、上記高圧容器、接続部およびガス供給制御部は、台車に搭載されて供給先へ運搬可能であることを特徴としている。
【0011】
請求項6記載の発明は、請求項1または2記載のガス供給システムにおいて、上記高圧容器は台車に複数搭載可能であり、各高圧容器からの配管に逆止弁がそれぞれ配置されて供給済の容器へのガスの逆流が防止されていることを特徴としている。
【0012】
請求項7記載の発明は、請求項1または2記載のガス供給システムにおいて、上記出力側に位置するガス供給先との接続部に至る管路には、最終圧力に減圧されたガスの圧力を検知する手段が配置されていることを特徴としている。
【0013】
請求項8記載の発明は、請求項1または2記載のガス供給システムにおいて、上記最終圧力に減圧する減圧部に至る前の管路には、その管路を流れるガスの圧力が所定圧力以上である場合にガスを大気放出する手段が配置されていることを特徴としている。
【0014】
請求項9記載の発明は、請求項2記載のガス供給システムにおいて、上記二次側減圧部のガス吐出部には、非常時に上記接続部側へのガスの供給を遮断するヒューズ栓に加えて開閉弁が設けられていることを特徴としている。
【0015】
請求項10記載の発明は、請求項9記載のガス供給システムにおいて、上記二次側減圧部のガス吐出部には、上記ヒューズ栓、開閉弁に加えてガス吐出部に至るガスの圧力が所定圧力以上である場合にガスを大気放出するリリーフ弁が設けられていることを特徴としている。
【0016】
【作用】
請求項1および2記載の発明では、複数の高圧容器のうちから一つを選択してガスの取り込みを行い、取り込まれたガスが複数段の減圧部によりガス供給先での圧力に相当する最終圧力に減圧されて供給されることになるが、減圧過程において断熱膨張による温度低下が発生しても、熱交換部のガス流路を流れる間に雰囲気接触することで温度の更正処理が行われて使用許容温度のガスを供給することができる。これにより、特別な加熱源を準備することなく減圧後のガスの温度低下による配管路あるいはガス機器の熱的損傷を防止することができる。
【0017】
請求項3乃至6記載の発明では、ガス供給に必要な供給量を確保するために複数の高圧容器を台車に搭載して運搬できるようにした場合、適宜、高圧容器の選択が行えるとともに、選択された高圧容器からのガス供給状態、つまり、減圧状態に異常が生じた場合のガス漏れなどの事故を未然に防止できるので、台車に搭載された高圧容器を、如何様な条件の供給箇所へも運搬することができるとともに、その供給箇所で安全に使用することができる。
【0018】
請求項7乃至10記載の発明では、供給先でのガスの供給圧力の監視とともに、その圧力が所定圧力以上に達すると、自動的に供給先へのガスの供給が停止されるので、供給先での異常高圧のガスが無為に漏洩するのをなくして発火などの不具合を抑止することができる。
【0019】
【実施例】
以下、図示実施例により本発明の詳細を説明する。
図1は、本発明実施例によるガス供給システムの概念を説明するための模式図である。
図1において、本発明のガス供給システムは、地中に埋設されている本支管1の補修や交換作業に拘わりなく、供給先のガス管(供内管)2に対して都市ガスを充填された高圧容器3からの簡易的にガスの供給を行う。
高圧容器3からのガス供給に際しては、民地内に引き込まれているガス管2に連続してガスメータ4が取り付けられているメータ立て管5の一部を開口し、その開口に、後述するガス供給装置7の出力側に設けられているカプラを連結する。
【0020】
上述したガス供給装置7は、図2に示すように、台車8に搭載されたガス供給制御部9と都市ガスを充填された高圧容器3に相当するボンベ10を含むガス供給部11とを備えている。
台車8は、ボンベ10を複数本、本実施例では2本搭載できる搭載部8Aを有し、この搭載部8Aに隣り合わせてガス供給制御部9が装備されている。
【0021】
図3は、上記したガス供給制御部9およびガス供給部11の関係構成を説明するためのブロック図であり、同図においてガス供給部11には、本実施例の場合、200Kg/cm2の圧力下で50L(リットル)の容器に10Nm3/本の都市ガスが充填されたボンベと200Kg/cm2の圧力下で10L(リットル)の容器に2Nm3/本の都市ガスが充填されたボンベとが用いられる2系統が設定されている(図3では、複数のボンベを対象としてそれらボンベの容量を意味する数字である50Lおよび10Lが付されている。)。なお、ボンベの容量は、上記した容量に限られるものではなく、供給先での仕様にあわせて選定できること勿論可能である。
各系統からの配管は、適宜箇所にて纏められて一次側減圧部12に向け接続されている。各系統の配管には、逆止弁11aが配置され、供給済のボンベに未使用のボンベ10からガスが逆流するのを防止している。また、各系統でのガス圧は圧力計11bによって監視できるようになっており、ボンベ中のガスが供給され終わる時点での新たなボンベ10との交換作業や異常検出が行えるようになっている。ボンベ10の交換時には、交換を要するボンベ10が配置されている系統のガスを遮断する必要があるので、系統には、手動操作可能な開閉弁11cが設置されている。
【0022】
図3においてガス供給部11から供給されるガスの供給経路には、ガス供給部11側を入力側とし、供給先の配管との接続部をなすカプラ50を出力側とした場合、その間に複数段の減圧部、本実施例では、一次側減圧部12および二次側減圧部13がガスの供給方向に沿って設置されている。
一次側および二次側の減圧部12、13は、いずれもレギュレータ弁12a、13aが用いられており、一次側減圧部12では、ボンベ10に充填されている都市ガスの充填圧である200Kg/cm2を5.0Kg/cm2に減圧する整圧特性が設定され、二次側減圧部13では、一次側減圧部12で減圧されたガス圧を一般家庭等の供給先での供給圧力である240mmAqに減圧する整圧特性が設定されている。なお、図3において、一次側および二次側の減圧部12、13に付してある数字および後述する弁に付してある数字は、入力圧力および出力(減圧)圧力をそれぞれ示している。
【0023】
一次側減圧部12には、減圧されたガスの圧力が所定圧力以上に達した場合のリリーフ機構が設けられている。リリーフ機構は、一次側減圧部12の出力側に配置されているアングル弁で構成されたリリーフ弁12bが用いられ、このリリーフ弁12bは、一次減圧部12にて減圧される圧力である5Kg/cm2よりも高い8Kg/cm2の圧力に達した場合に過剰圧力のガスを大気放出することができるようになっている。
【0024】
一次側減圧部12により所定圧(5Kg/cm2)に減圧されたガスが供給される側には二次側減圧部13が配置されているが、この二次側減圧部13の手前には、熱交換部14が配置されている。
熱交換部14は、図4に示すように、雰囲気との接触が可能なフィン14aが外表面でコイル状に一体化されたガス流路をなすチューブ14bが用いられている。チューブ14bの延長方向各端部は、折返し流路が内部に形成されているマニホールドブロック14cに接続され、チューブ14bを含めて熱交換ブロックとしてのフィン付きチューブ(便宜上、符号14’という)を構成している。
フィン付きチューブ14’は、ガス流路の総延長距離として、次の条件を満たすように設定されている。
つまり、一次側減圧部12において減圧されたガスの温度によって供給先でのガス機器およびその供給先に至るまでの管路で低温脆性などの熱的損傷が発生するのを防止できる温度が得られる長さとされている。
本実施例では、図3に示すヒューズ栓22から流れ出す際に上記した熱的損傷が発生しない温度と看なすことのできる−5゜Cの温度設定が可能な受熱距離とされている。なお、ヒューズ栓22から流れ出るガスの温度は、熱交換部14からヒューズ栓22に至る管路での受熱による温度上昇も含まれているので、熱交換部14から流れ出るガスの温度は上記温度よりも多少低い温度となる。しかし、熱交換部14から吐出されるガスの温度は、ヒューズ栓22に流れる過程での受熱により上記の温度に容易に達することができる温度とされていることはいうまでもない。
一方、上記のような理由により、単にチューブ14bのみを延長したのでは、その延長距離が極端に長くなる場合もあるが、本実施例では、そのチューブ14bに対してフィン14aを設けることで実際の延長距離を短くすると共に、さらに、そのチューブ14bを折り返すことにより、本実施例では、5回の折返し部を設けてチューブ14bの折返し部間での占有スペース、いわゆる、丈を小さくしてこの熱交換部14が収容されるガス供給装置7の大型化を抑制している。この熱交換部14に関する特性については後で説明する。
【0025】
熱交換部14におけるガス吐出部には、緊急遮断部15が接続されている。
緊急遮断部15は、熱交換部14におけるガス吐出部に連通する管路に配置された逆止弁16、バランス弁17および遮断弁18を備えている。
バランス弁17は、一次側減圧部12により減圧されて熱交換部14から吐出されるガスの圧力が規定値以上に達した際にその圧力のガスそのものを遮断弁18に作用させて遮断弁18に有する管路開閉部材(図示されず)を作動させ、管路を閉じさせることができるものであり、通常、一次側減圧部12によって減圧されたガス圧である5Kg/cm2が負荷されている時には遮断弁18の管路開閉部材を作動させない状態を維持し、規定圧として一次側減圧部12でのガス吐出圧よりも高い7Kg/cm2が作用した場合にその圧力のガスを遮断弁18に供給して管路開閉部材を作動させる特性とされている。
バランス弁17に設定されている規定圧は、一次側減圧部12のガス出力部(吐出部)から熱交換部14を介して二次側減圧部13のガス入力部に至る管路での耐圧(9.9K/cm2)を考慮したものであり、熱交換部14を構成しているフィン付きチューブの破壊も含めて一次側減圧部12のガス吐出部(出力側)から二次側減圧部13のガス入力部までの間の管路の破損を防止するためである。遮断弁18は、一次側減圧部12の上流側の管路に配置され、内部に管路開閉部材(図示されず)を備えた開閉弁で構成されており、バランス弁17に作用する二次側減圧部13のガス入力側でのガス圧力が規定値以上に達した場合に管路開閉部材を作動させて一次側減圧部12へのガス供給路を閉じてガスを遮断する。
【0026】
緊急遮断部15には、遮断弁18に至る配管の一部が分岐され、その分岐した管路に警告部材19および大気放出部20が連結されている。
警告部材19は、詳細を図示しないが、本実施例の場合、管路末端に設けられた窓部を有し、その窓部の内部に警告表示体が嵌合させてある構成を備えている。警告表示体は、通常、つまり、二次側減圧部13に入力されるガスの圧力が規定圧力以下の場合には白色膜を窓部から外部に露呈させ、二次側減圧部13に入力されるガスの圧力が規定圧力以上に達した際には、その圧力を有するガスによって白色膜から赤色の球体を突出させて窓部から露呈させるようになっている。
【0027】
大気放出部20は、開閉弁で構成され、一次側減圧部12の入力側へのガス供給が遮断された後、一次側減圧部12へのガス遮断状態を解除する際に開放されてバランス弁17および遮断弁18に作用しているガスを大気放出する。
【0028】
一方、熱交換部14から吐出されるガスの配管は、上記した緊急遮断部15に向かう経路に加えて二次側減圧部13に向かう経路とに分岐されている。
二次側減圧部13は、一次側減圧部12により減圧された所定圧力(5Kg/cm2)を規定圧として開放状態になっている。
二次側減圧部13は、一次側減圧部12によって減圧されたガスの圧力を一般家庭等の供給先での供給圧に減圧するために設けられおり、減圧されたガスを吐出する側には、過剰圧力の際に大気放散するためのリリーフ弁21が配置されている。
リリーフ弁21は、二次側減圧部13にて減圧されたガスの吐出圧力が所定の減圧圧力である240mmAqよりも高い圧力(350mmAq)に達すると、過剰ガスを大気放出し、さらにその値以上の圧力およびこれとは逆に150mmAq以下の圧力に達するとガスを遮断する機能を備えている。リリーフ弁21が有する大気放出、二次側減圧部13が損傷した場合に減圧機能が得られなくなり、これによってガスの圧力が異常に高くなるのを防止するため、およびボンベ10内の圧力の異常な低下や供給経路の管路中での異常事態が発生した際の供給を停止するための遮断機能を有している。
【0029】
二次側減圧部13のガス吐出部には、ヒューズ栓22が連結されている。
ヒューズ栓22は、接続部の抜け出し、所謂、外れたりした場合の非常時に生ガスがそのまま噴出した場合に二次災害が起こるのを防止するために設けられた開閉弁を備えており、二次側減圧部13から吐出されるガスの流量が6m3/hに達した時点でガスの出口側管路を遮断できるようになっている。ヒューズ栓22には、出口弁に相当する開閉弁22aが付設されており、この開閉弁22aは、ヒューズ栓22により出力側の管路が閉じられた際に閉鎖され、出力側に至る供給経路内の大気放出部でガスが大気放出された後に再度閉じられる。さらに、ヒューズ栓22の近傍には、この管路での圧力を検知するための圧力計23が連結されている。
【0030】
本実施例は以上のような構成であるから、ガス供給制御部9が台車8に搭載される一方、必要な圧力を以て必要量の都市ガスが充填されたボンベ10がガス供給部11にセットされ、ガス供給制御部9における入力側に位置するホースをボンベ10に接続する。
ガス供給制御部9およびボンベ10が搭載された台車8は、図1に示すように、交換あるいは補修区間に該当している本支管1あるいは供内管2が埋設されている供給先に運搬される。
【0031】
供給先に運搬された台車8は、ガス供給制御部9における供給経路の出力側に位置する接続部をなすカプラ50が、例えばメータ立て管(図1中、符号5で示す部材)に接続される。
ガス供給制御部9における供給経路の入力側がボンベ10に接続され、出力側がメータ立て管に接続されると、ガスの供給が開始される。
【0032】
ガスを供給するに際し、ガス供給制御部9では、ガス供給部11に有する圧力計11bによりボンベ10内の圧力が確認され、使用可能な圧力である場合、開閉弁11cの一方が開放され、さらに図3において符号22aで示した出口弁に相当している開閉弁が開放される。
開閉弁11cが開放されると、選択された側のボンベ10からガス供給制御部9の入力側にガスが供給される。
【0033】
ガス供給制御部9では、ボンベ10から吐出されるガスが一次側減圧部12に供給され、ボンベ10内での圧力である200Kg/cm2から5Kg/cm2に減圧される。減圧されたガスは、減圧時に生じる断熱膨張によって温度低下しているが、熱交換部14を通過することにより使用環境雰囲気温度に更正され、二次側減圧部13に向け供給される。
【0034】
熱交換部14での温度更正効果に関し、本発明者が実験したところ、図5に示す結果を得た。
図5は、図3および図4に示すように、5回の折り返しがなされたフィン付きチューブを対象とし、その折り返し部間のチューブ長さを500mmとした場合を例示しており、一次側減圧部12(図では、一段目レギュレータと表示)の表面温度(T01)および出口温度(T02)、そして、図3中、符号T1乃至T7およびT8で示す箇所での温度を線図で表したものである。また、図5中、線図中の枠内にて表示してある数字のうちで同じ行の左側の数字は雰囲気温度、中央の数字は流量、右側の数字は高圧ボンベの容量をそれぞれ意味している。
図5から明らかなように、一次側減圧部12に導入されて断熱膨張したガスの温度は、熱交換部14のフィン付きチューブ14’(図4参照)を通過していく課程で雰囲気からの受熱によって温度上昇し、ヒューズ栓22に達した時点では、概ね使用許容温度である−5°C近傍あるいはそれ以上の温度に更正されている。このように、熱交換部14では、温度低下しているガスの温度を上昇させるための電源や熱源を要しない雰囲気接触構造が用いられているので、供給されるガスに引火する要因を備えないですみ、これによって、ガス取り扱い上での安全を確保することができる。
熱交換部14を通過するガスは、温度を更正されることにより断熱膨張により降下した温度のままで管路を通過しないようにされ、これによって、低温ガスとの接触による管路やガス機器の熱的損傷が防止される。
【0035】
一方、一次側減圧部12によって減圧されたガスの圧力が5Kg/cm2よりも高くなり、7Kg/cm2に達すると、緊急遮断部15によって一次側減圧部12に接続されている入力側の管路が閉じられてガスが遮断される。
緊急遮断部15では、バランス弁17において、規定圧以上のガス圧が作用すると、それまでの平衡状態がくずれて遮断弁18の管路開閉部材が作動されることにより一次側減圧部12に対するガスの入力側管路が閉じられる。
さらに、このとき、警告部材19において警告表示体が赤色の球体を窓部から露呈させるので、緊急遮断部15が作動していることを外部から容易に確認することができる。このように、一次側減圧部12から吐出されたガスが二次側減圧部13に入力されるまでの間の管路において、その管路の構成部材の耐圧に影響する圧力が発生した場合には、その管路でガスの供給が遮断されるので、一次側減圧部から二次側減圧部に至る管路の破損が未然に回避され、しかも、その状態が外部から容易に確認できる。
【0036】
一次減圧部12において所定圧力である5Kg/cm2に減圧されたガスは、規定の減圧圧力である場合に限って二次側減圧部13に供給され、供給先での使用圧力である240mmAqに減圧される。
二次側減圧部13では、入力されるガス圧が5Kg/cm2よりも高くなると、その圧力のガスが緊急遮断部15に作用し、また、二次側減圧部13で減圧されたガスの圧力が350mmAqに達すると、過剰圧力がリリーフ弁21を介して大気放出される。さらに、減圧されたガスの圧力がその圧力よりも高い圧力の場合およびこれとは逆に150mmAqよりも低くなる場合には遮断される。これにより、減圧されたガスは、その減圧圧力が規定の減圧圧力に維持されている場合に限ってヒューズ栓22に供給されることになる。またこの時の圧力は圧力計23により検知されるので、外部から監視することができる。
【0037】
二次側減圧部13により最終的な供給先での圧力に設定されたガスは、ヒューズ栓22を介して供給先に供給される。
二次側減圧部13により減圧されたガスの流量が所定値(6m3/h)以上に達している場合には、ヒューズ栓22によってガスの出口側管路が閉じられてガスの供給が遮断される。これにより、接続部の抜け出し等の非常時には、二次側減圧部13から供給される生ガスが噴出するのを防がれて生ガスが噴出する場合に発生の虞がある二次災害を招かないようにされる。
【0038】
以上のような本実施例によれば、一次側減圧部12のガス吐出部か二次側減圧部13のガス入力部までの間でガスの圧力が異常な圧力になったことを確認できる警告部材19を設けているので、一次側減圧部12から二次側減圧部13までの間での異常な圧力発生による管路の破損を防止でき、しかも、警告部材19による警告が外部から確認できるようになっているので、異常な圧力が発生している状態であることを知らないでいつまでも放置しておくようなことをなくすことができ、原因究明および対策を迅速化することが可能になる。
【0039】
さらに本実施例によれば、ガス供給部11において、複数のボンベを交互に選択できるようにするとともに、交換する際に供給済のボンベに未使用ボンベからガスが逆流するのを防止することができるので、未使用ボンベからのガスの供給を中断することなくボンベの切り換えが行える。
【0040】
上記実施例では、既設配管が使用できない場合を対象として説明したが、本発明はこの実施例に限るものでなく、例えば、従来技術において説明したように、ビルなどの商業需要先での配管の気密試験を対象として用いることも可能である。この場合には、気密試験に必要な圧力およびボンベの容量を設定し、ガス供給制御部9における供給経路の出力側に位置する接続部をなすカプラ50からガスの供給を行う。このような場合には、気密試験が終了すると、配管中には、本来供給されるガスと同じガスが残留しているだけであるので、従来実行されていたパージ作業を要することなく、ガスの供給を再開することができるので、本来のガス供給までの復旧時間が短くなるという作用効果が得られる。
【0041】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、請求項1および2記載の発明によれば、複数の高圧容器のうちから一つを選択してガスの取り込みを行い、取り込まれたガスが複数段の減圧部によりガス供給先での圧力に相当する最終圧力に減圧されて供給されることになるが、減圧過程において断熱膨張による温度低下が発生しても、熱交換部のガス流路を流れる間に雰囲気接触することで温度の更正が行われてガスの使用許容温度に更正されて供給できる。これにより、減圧後のガスの温度低下による管路あるいはガス機器の熱的損傷を防止することができる。しかも、温度更正処理に用いられる構成として、少なくとも1回の折り返しが施されて外表面にコイル状のフィンを備えたチューブで構成してあるので、チューブ内を流れるガスに引火等の事故を起こしやすい加熱源や電源等の付帯設備を要することなく温度更正が行える。さらには、チューブを折り返す構成とすることで、上気した付帯設備を要する場合に比べて温度更正部の構造が小型化することが可能になる。
【0042】
請求項3乃至6記載の発明によれば、ガス供給に必要な供給量を確保するために複数の高圧容器を台車に搭載して運搬できるようにした場合、適宜、高圧容器の選択が行えるとともに、選択された高圧容器からのガス供給状態、つまり、減圧状態に異常が生じた場合のガス漏れなどの事故を未然に防止できるので、台車に搭載された高圧容器を、いかような条件の供給箇所へも運搬することができるとともに、その供給箇所で安全に使用することができる。これにより、簡易的なガス供給を行う際の安全性を確保することが可能になる。
【0043】
請求項7乃至10記載の発明によれば、供給先でのガスの供給圧力の監視とともに、その圧力が所定圧力以上に達すると、自動的に供給先へのガスの供給が停止されるので、供給先での異常高圧のガスが無為に漏洩するのをなくして発火などの不具合を抑止することができる。これにより、高圧容器から供給先までのガス供給部での安全対策を確保することができるので、如何様な箇所においても安全に簡易的なガス供給を可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る可搬型ガス供給システムの概念を説明するための模式図である。
【図2】図1に示したシステムにおけるガス供給装置の外観図である。
【図3】図2に示したガス供給装置に有するガス供給制御部の構成を説明するためのブロック図である。
【図4】図3に示したガス供給制御部も用いられる放熱部の構成を説明するための斜視図である。
【図5】図3に示したガス供給制御部に用いられる熱交換部の特性を説明するための線図である。
【符号の説明】
1 本支管
2 供内管
7 ガス供給装置
9 ガス供給制御部
10 高圧容器をなすボンベ
12 一次側減圧部
13 二次側減圧部
14 熱交換部
14’ フィン付きチューブ
14a フィン
14b ガス流路をなすチューブ
15 緊急遮断部
17 バランス弁
18 遮断弁
19 警告部材
22 ヒューズ栓
23 最終減圧された圧力を検知する圧力計
Claims (10)
- ガスを充填された高圧容器を入力側に位置させ、出力側にガス供給先との接続部を位置させたガス供給経路において、
上記入力側には上記高圧容器を複数配置し、それら複数の高圧容器の中から選択された一つの高圧容器内のガスを取り込み、
上記高圧容器から取り込まれたガスの圧力を複数段の減圧部によって上記ガス供給先で使用される最終圧力に減圧し、
上記減圧部間を通過するガスをそのガスの流路が雰囲気接触可能な熱交換部に導入して温度の更正処理を行い、
上記出力側に至るガスの圧力が所定の最終圧力よりも高い場合には大気放出するようにし、
上記熱交換部からのガス吐出圧が所定の圧力以上のときに上記複数段の減圧部へのガス供給を遮断可能な緊急遮断部を設けたことを特徴とするガス供給システム。 - ガスを充填された高圧容器を入力側に位置させ、出力側にガス供給先との接続部を位置させたガス供給経路において、
上記入力側と上記出力側との間に配置された一次側減圧部および二次側減圧部を備え、
上記一次側減圧部と上記二次側減圧部の間には熱交換部を配置し、
上記熱交換部からのガス吐出圧が所定の圧力以上のときに上記一次側減圧部へのガス供給を遮断可能な緊急遮断部を設け、
上記二次側減圧部のガス吐出部には、非常時に上記接続部側へのガスの供給を遮断するヒューズ栓を設けてなるガス供給制御部を備え、
上記熱交換部は、上記一次側減圧部から上記二次側減圧部に至る途中に配置されている少なくとも1回の折り返しがなされたガス流路と、そのガス流路の外表面においてその延長方向に沿って多数並設されたコイル状のフィンとで構成され、ガス流路を流れる減圧後のガスに対して雰囲気接触による温度更正処理を施すことを特徴とするガス供給システム。 - 請求項1または2記載のガス供給システムにおいて、上記入力側に配置されている高圧容器は、上記減圧部のうちの初段の減圧部に至る管路が纏められ、纏められる前の管路には、開閉弁が配置されて高圧容器からのガスの取り込み路を選択できるようにされていることを特徴とするガス供給システム。
- 請求項1または2記載のガス供給システムにおいて、上記緊急遮断部は、所定の圧力以上のガスにより作動される圧力作動弁で構成されていることを特徴とするガス供給システム。
- 請求項1または2記載のガス供給システムにおいて、上記高圧容器、接続部およびガス供給制御部は、台車に搭載されて供給先へ運搬可能であることを特徴とするガス供給システム。
- 請求項1または2記載のガス供給システムにおいて、上記高圧容器は台車に複数搭載可能であり、各高圧容器からの配管に逆止弁がそれぞれ配置されて供給済の容器へのガスの逆流が防止されていることを特徴とするガス供給システム。
- 請求項1または2記載のガス供給システムにおいて、上記出力側に位置するガス供給先との接続部に至る管路には、最終圧力に減圧されたガスの圧力を検知する手段が配置されていることを特徴とするガス供給システム。
- 請求項1または2記載のガス供給システムにおいて、上記最終圧力に減圧する減圧部に至る前の管路には、その管路を流れるガスの圧力が所定圧力以上である場合にガスを大気放出する手段が配置されていることを特徴とするガス供給システム。
- 請求項2記載のガス供給システムにおいて、上記二次側減圧部のガス吐出部には、非常時に上記接続部側へのガスの供給を遮断するヒューズ栓に加えて開閉弁が設けられていることを特徴とするガス供給システム。
- 請求項9記載のガス供給システムにおいて、上記二次側減圧部のガス吐出部には、上記ヒューズ栓、開閉弁に加えてガス吐出部に至るガスの圧力が所定圧力以上である場合にガスを大気放出するリリーフ弁が設けられていることを特徴とするガス供給システム。
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