JP3620831B2 - 乳酸菌シャトルベクター - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、乳酸菌シャトルベクター及びその用途、特に、選択マーカーとしての非抗生物質耐性遺伝子を特徴とする乳酸菌シャトルベクターに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、ネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)やリステリア菌(Listeria monocytegene)等といった細菌の摂取によって、多くのDNAワクチンが哺乳動物に投与されている(Dietrich G.ら、1998, Nature Biotech., 16:181〜185; Lowrie, D.B., 1998, Nature Med., 4:147〜148)。その長所は、DNAワクチンを免疫細胞に直接投与することが可能であり、あるいはDNAワクチンで免疫システムを刺激することにより免疫反応を高めることが可能なことである。通常、このような細菌の投与により生じる効果は、ワクチンとしてDNAのみを用いることにより生じる効果よりも優れている。しかしながら、この種の弱毒化細菌は治療される哺乳動物にとって有害であり、あるいはこれらの細菌の突然変異誘発により病原性細菌になりうる。
【0003】
遺伝子工学において、プラスミドは、プラスミドを含む細胞(例:細菌)を選択する選択マーカーを有していなければならない。一般に、大部分の商品化したプラスミドは、アンピシリン耐性遺伝子やカナマイシン耐性遺伝子などの抗生物質耐性遺伝子を選択マーカーとして有している。これらのプラスミドは殆どが実験室で用いられるため、安全性が重要視されていない。しかしながら、生物中に存在する細菌株のうち、自然界の形質導入作用によって抗生物質耐性遺伝子を含み得るものもある。これらのプラスミドを薬学的ワクチン組成物または食品添加物として用いた場合、プラスミド又はその派生物で治療する生物を害する可能性がある。また、精製したDNA内に抗生物質が残留すると、治療される生物にアレルギー反応が生じうるため、抗生物質の使用には問題がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
以上により、本発明は、抗生物質耐性遺伝子を含まないベクターを構築し、生物中の異種遺伝子を発現する無害の宿主細胞をDNAワクチン又は健康食品として用いることにより、安全性及び免疫反応を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
DNAワクチンに用いられる従来の弱毒化細菌は病原性を生じうるため、上述の目的を達成するために、本発明ではワクチン媒体として乳酸菌を選んだ。乳酸菌は病原性のないグラム陽性菌であり、乳製品や食品産業において大量に使用される。また、乳酸菌は消化管に存在する正常な細菌叢である(Bomba A.ら、1994, Vet. Med. (praha), 39:701−710; Nemcova R.ら、1998, DTW Dtsch tierarztl wochenscher, 105:199−200)。さらに、乳酸菌の細胞壁中のある化学組成物はヒトの免疫反応を刺激しうる(Vilma M.A.ら、1996, Chem. Pharm. Bull., 44(12):2263−2267)。異種遺伝子を生じるよう、あるいはDNAワクチンとして用いるために乳酸菌株を改変した場合、このような改変された乳酸菌を摂取した生物の免疫又は健康を改善することが可能である。また、組換え型のプラスミド又はベクターが遺伝子工学によって調製されることにより、食品産業において有用な、より価値のある乳酸菌株を得ることができる。
【0006】
本発明は、(a)プラスミド複製数を調節し、大腸菌複製起点配列を含む領域と;(b)真核細胞遺伝子の転写プロモーター配列、異種遺伝子が挿入されるマルチクローニングサイト、及び転写終結配列を含む真核細胞遺伝子発現カセットと;(c)複製のプラス起点と、乳酸菌プラスミドの複製に関連するタンパク質をコードする核酸配列とを含む乳酸菌プラスミド配列と;(d)非抗生物質耐性選択遺伝子及びそのプロモーター配列とを有する乳酸菌シャトルベクターを提供する。
【0007】
また、本発明は、異種遺伝子の発現に用いるキットを提供する。そのうち、異種遺伝子が組込まれる上述の乳酸菌シャトルベクターは、適当なシステムに導入されて異種タンパク質を発現する。
【0008】
さらに、本発明は、遺伝子ワクチンキャリアを提供する。そのうち、病原体または癌から得られる抗原遺伝子は、上述の乳酸菌シャトルベクターに組込まれる。
【0009】
またさらに、本発明は、(i)宿主細胞に前述の乳酸菌シャトルベクターを導入する工程と(そのうち、前記宿主細胞の内因性β−ガラクトシダーゼ遺伝子は正常な酵素機能を生じることができない)、(ii)ラクトースが唯一の炭素源である条件下で、工程(i)で形質転換した前記宿主細胞を培養する工程とを含む、ベクターを含有する宿主細胞の選択方法を提供する。
【0010】
本発明に係るベクターにおいては、(1)(a)プラスミド複製数を調節し、大腸菌複製起源配列を含む領域と、
(b)真核細胞遺伝子の転写プロモーター配列、異種遺伝子が挿入されるマルチクローニングサイト、及び転写終結配列を含む真核細胞遺伝子発現カセットと、
(c)複製のプラス起点と、乳酸菌プラスミドの複製に関連するタンパク質をコード化する核酸配列とを含む乳酸菌プラスミド配列と、
(d)非抗生物質耐性選択遺伝子及びそのプロモーター配列
とを有する乳酸菌シャトルベクターであることを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係るベクターにおいては、(2)前記真核細胞遺伝子の転写プロモーターは、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーターである、上記(1)に記載の乳酸菌シャトルベクターであることを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係るベクターにおいては、(3)前記乳酸菌プラスミド配列は、ラクトバチルスプランタルムから単離した2.1kbのプラスミドである、上記(1)に記載の乳酸菌シャトルベクターであることを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係るベクターにおいては、(4)前記乳酸菌プラスミドの複製に関連する前記タンパク質は、317のアミノ酸を含むRepAタンパク質である、上記(3)に記載の乳酸菌シャトルベクターであることを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係るベクターにおいては、(5)前記非抗生物質耐性選択遺伝子はβ−ガラクトシダーゼ遺伝子である、上記(1)に記載の乳酸菌シャトルベクターであることを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係るベクターにおいては、(6)前記β−ガラクトシダーゼ遺伝子の前記プロモーターは、エリスロマイシン耐性遺伝子プロモーターである、上記(5)に記載の乳酸菌シャトルベクターであることを特徴とする。
【0016】
また、本発明に係るベクターにおいては、(7)配列番号:1で示される前記ヌクレオチド配列もしくはそれに相補的なヌクレオチド配列又はその縮退変異体を含む、上記(1)に記載の乳酸菌シャトルベクターであることを特徴とする。
【0017】
また、本発明に係るベクターにおいては、(8)配列番号:2で示される前記ヌクレオチド配列もしくはそれに相補的なヌクレオチド配列又はその縮退変異体を含む、上記(1)に記載の乳酸菌シャトルベクターであることを特徴とする。
【0018】
また、本発明に係るベクターにおいては、(9)(a)pCLP7(図3における制限酵素部位の配位を有する。ATCC受入番号PTA−2661)と、
(b)pCLP8(図3における制限酵素部位の配位を有する。ATCC受入番号PTA−2663)とからなる群より選ばれる、上記(1)に記載の乳酸菌シャトルベクターであることを特徴とする。
【0019】
また、本発明に係るベクターにおいては、(10)形質転換する宿主細胞がグラム陽性菌であり、前記宿主細胞の内因性β−ガラクトシダーゼ遺伝子が正常な酵素機能を生じることができない、上記(1)に記載の乳酸菌シャトルベクターであることを特徴とする。
【0020】
また、本発明に係るベクターにおいては、(11)前記宿主細胞が、Ana−1(Lac−突然変異体)(ATCC受入番号PTA−2662)と称するラクトバチルスカゼイ(亜種カゼイ)の突然変異体である、上記(10)に記載の乳酸菌シャトルベクターであることを特徴とする。
【0021】
また、本発明に係るキットにおいては、(12)(a)上記(1)に記載の乳酸菌シャトルベクターと、
(b)内因性β−ガラクトシダーゼ遺伝子が正常な酵素機能を生じることができない宿主細胞と、
(c)真核細胞遺伝子
とを含む、異種遺伝子発現用キットであることを特徴とする。
【0022】
また、本発明に係るキャリアにおいては、(13)上記(1)に記載の乳酸菌シャトルベクターを含むDNAワクチンキャリアであることを特徴とする。
【0023】
また、本発明に係る方法においては、(14)(i)前記宿主細胞に、上記(1)に記載の乳酸菌シャトルベクターを導入する工程と(そのうち、前記宿主細胞の内因性β−ガラクトシダーゼ遺伝子は正常な酵素機能を生じることができない)、
(ii)工程(i)で形質転換した前記宿主細胞を、ラクトースが唯一の炭素源である条件下で培養する工程とを含む、ベクターを含有する宿主細胞の選択方法であることを特徴とする。
【0024】
【発明の実施の形態】
本発明の以下の説明および添付の図面を参照することにより、本発明がさらに理解され、さらなる利点が明らかになると考えられる。
【0025】
本明細書で用いられる「乳酸菌シャトルベクター」という用語は、大腸菌及びラクトバチルスの両方のプラスミド複製起点が存在するベクターを表しており、このベクターが大腸菌及び乳酸菌の両方において複製し増殖可能であることにより、細菌種間の障壁を打ち破る。
【0026】
上述の目的及び後に続く操作の便宜のため、本発明の乳酸菌シャトルベクターは、大腸菌内におけるベクターの複製に必要な複製起点Col E1を含む。
【0027】
真核細胞内の異種タンパク質を発現する、あるいはDNAワクチンキャリアとして用いるため、本発明の乳酸菌シャトルベクターは、少なくとも1つの真核細胞遺伝子転写プロモータ配列、マルチクローニングサイト、及び転写終結配列を有する真核細胞遺伝子発現カセットを含む。そのうち、所望の異種遺伝子がベクター内のマルチクローニングサイトに挿入される。上述のベクターに用いることのできる要素は限定されないことが当業者には理解されると思われる。例えば、本発明に適した真核細胞遺伝子転写プロモーター配列には、CMV(サイトメガロウイルス)プロモーター、SV40(シミアンウイルス40)初期プロモーター、RSV(ラウス肉腫ウイルス)プロモーター等が含まれる。
【0028】
本明細書で用いられる「ベクター」という用語は、結合した他の核酸を移送することが可能な核酸分子を意味する。好ましいベクターの一つはエピソーム、すなわち、染色体外複製が可能な核酸である。好ましいベクターは、自律複製及び結合している核酸の発現が可能なベクターである。作動的に結合された遺伝子の発現を指向できるベクターは、本明細書では「発現ベクター」と称する。一般的に、組換えDNA技術において有用な発現ベクターは、環状二本鎖DNAループを表す「プラスミド」の形となっている(但し、ベクターの形は染色体に限定されない)。
【0029】
本明細書で用いられる「調節」又は「調節する」などという用語は、反応又は作用の制御に関連する配列を意味することが理解されると思われる。これには、遺伝子の発現の調節、制御、作用、あるいはプラスミドの複製、選択、維持に関係した配列が含まれる。例えば、アティニュエーター、オペレーター、プロモーターなどが含まれる。
【0030】
本明細書で用いられる「複製起点」という用語は、核酸配列を複製するためのDNA合成を開始するヌクレオチド配列を表す。これは、一般にori部位と呼ばれる。通常、バクテリアは単一のori部位を有しているのに対し、真核細胞の染色体はそれぞれ多くのori部位を有している。この用語には、DNA複製の間、自律単位として作用する遺伝因子を表すレプリコンが含まれる。細菌のうち、染色体は単一レプリコンとして機能するのに対し、真核細胞の染色体は一連のレプリコンを数百個含む。
【0031】
本明細書で用いられる「抗生物質耐性」という用語は、事前に薬剤によって不利に作用する微生物により、特定の抗生物質に対する耐性を得たことを意味する。通常、このような耐性は、突然変異、あるいは微生物を形質転換する耐性遺伝子を含むプラスミドによる耐性の獲得により生じる。
【0032】
本発明の好ましい態様において、真核細胞遺伝子の転写プロモーター配列はCMVプロモーター(以下pCMVと称する)であり、転写終結配列は、mRNA(メッセンジャーRNA)の合成を終了し安定させるBGHポリA(ウシ成長ホルモンポリアデニル酸)領域である。
【0033】
ラクトバチルス菌株には多くの天然プラスミドが含まれており、複製起点及び必須タンパク質をコードする遺伝子は、本発明に係るベクターの構築に適している。ラクトバチルスプランタルム(ATCC 8014、CCRC 10357)に含まれる天然プラスミドには3種類あり、それぞれ2.1kb、10.5kb、38.8kbである(Yan T−Rら、1996, Chinese Agri. Chem. Soc., 34:723−731)。便利性と安定性の要件により、3つのプラスミドのうち最小のものが本発明のベクターに選ばれる。2.1kbのプラスミドは、複製のプラス起点、転写解読枠、及び13回反復した17ヌクレオチドの配列群を備えた複製調節領域を含む。そのうち、転写解読枠は317のアミノ酸からなり、プラスミドの複製に関連した機能を有するタンパク質(Rep Aタンパク質)を翻訳する(Bouia A.ら、1989, Plasmid, 22:185−192; Bringel F.ら、1989, Plasmid, 22:193−202)。本発明は、上述した2つの重要な因子が破壊されない条件の下、プラスミドを線形化するBclIのような適当な制限酵素を選択することにより、線状プラスミドを本発明のベクターに組込むのを容易にする。
【0034】
抗生物質耐性遺伝子の代わりに選択マーカー遺伝子として、ラクトバチルスデルブレッキイ(亜種ブルガリクス)のゲノムにおけるβ−ガラクトシダーゼ遺伝子が選ばれる。β−ガラクトシダーゼ遺伝子の生成物は、ラクトースをグルコースとガラクトースとに加水分解する代謝酵素である(Schmidt B.F.ら、1989, J. Bacteriol., 171:625−635)。このため、細菌が酵素を欠き(例:大腸菌JM109菌株)、ラクトースが唯一の炭素源である条件下で増殖させた場合、細菌はプラスミドに存在する遺伝子にコードされるβ−ガラクトシダーゼを用いてラクトースを代謝させ、増殖に必要なグルコースを得る(Hashida H., 1992, Biosci. Biotech. Biochem., 56:190−194)。
【0035】
本発明のベクターに選ばれたβ−ガラクトシダーゼ遺伝子は、プロモーターによる制御の下で発現される。プロモーターは、遺伝子生成物を過度に発現する強力な転写プロモーターであるのが好ましい(Hashida H., 1992, Biosci. Biotech. Biochem., 56:190−194)。本発明の好ましい態様の1つにおいて、プロモーターはエリスロマイシン耐性遺伝子プロモーター(以下EmrPと称する)である。
【0036】
β−ガラクトシダーゼ遺伝子を選択マーカーとして用いることは、抗生物質耐性遺伝子に代替できるだけでなく、薬剤及び食品の安全性の要件に応えることができる。
【0037】
本発明の構成によると、宿主細胞(すなわち、内因性β−ガラクトシダーゼ)自体の遺伝子にコードされたβ−ガラクトシダーゼの機能は破壊されなければならない(すなわち、宿主細胞は正常な酵素活性を有するβ−ガラクトシダーゼを発現することができない)ため、宿主細胞は生存のために本発明の組換えベクターに頼らなければならない。本発明は、N−メチル−N’−ニトロ−N−ニトロソグアニジン(MNNG)を用いて対数増殖期にある宿主細菌を処理する。MNNGは、グアニン及びチミンを活性化し易くしてDNAの突然変異を生じさせるアルキル化剤である。したがって、欠陥性β−ガラクトシダーゼ遺伝子を有する細菌株が選ばれる。
【0038】
本発明での使用に適している宿主細菌株にはラクトバチルスカゼイ(亜種カゼイ)が含まれる(但しこれに限定されない)。この菌株を用いる長所としては、(1)この細菌株は食品の安全性要件を満たしたチーズを製造するのに用いられる菌株の1つであること、(2)この細菌株は腸内に付着してコロニーを形成できること、(3)本発明のシャトルベクターが乳酸菌プラスミドの複製プラス起点を含んでいることにより、ベクターは乳酸菌宿主菌株において複製できるとともに着実に隔離できることが挙げられる(Leer R.ら、1992, Mol. Gen. Genet., 234:265−274; Posno M.ら、1991, Appl. Environmental Microbiol. 57:1822−1828)。乳酸菌株はグラム陽性菌の1つであり、本発明のシャトルベクターは大腸菌及びラクトバチルスの両方の複製起点を有していることを理解されたい。したがって、乳酸菌に類似した遺伝子的特徴を有するグラム陽性菌も、本発明において宿主細胞として使用できることが、当業者には理解されると思われる。つまり、突然変異して欠陥性β−ガラクトシダーゼ遺伝子を得るいかなる適当な細菌株も、あるいは内因性β−ガラクトシダーゼ遺伝子が正常な酵素活性を有していない適当な細菌株も、本発明で用いることができる。好ましい態様において、ラクトバチルスカゼイ(亜種カゼイ)はMNNGで処理された後、X−gal及び選択培地でスクリーニングされて、Lac−突然変異体(Ana−1と命名する)を得る。Ana−1は、2000年11月10日にATCC(American Type Culture Collection, 10801 University Boulevard, Manassas, VA 20110, USA)に寄託され、ATCC受入番号PTA−2662が付与されている。
【0039】
本発明の乳酸菌シャトルベクターのマルチクローニングサイトに、病原体又は癌から派生する適当な抗原遺伝子を挿入することにより、遺伝子ワクチンキャリアを得る。そして、この遺伝子ワクチンキャリアは、欠陥性β−ガラクトシダーゼ遺伝子を有する細菌株に形質転換した後、経口又は注射(例:静脈注射、動脈注射、皮下注射、腹腔内注射、頭蓋内注射、または筋肉内注射等)により生物に投与される。このため、遺伝子ワクチンキャリアはエンドサイトーシス又は食作用により生物の細胞に組込まれる。また、真核細胞遺伝子の転写プロモーター配列(例:pCMV)の構築により、マルチクローニングサイト中の抗原遺伝子が即座に発現しうる。
【0040】
遺伝子ワクチンとして欠陥性β−ガラクトシダーゼ遺伝子を有する宿主細胞と結合する乳酸菌シャトルベクターを使用することには、以下の長所がある:(1)乳酸菌は毒性でも病原性でもない;(2)乳酸菌の細胞壁内のある化学組成物は、哺乳類の免疫反応を刺激し増強することができる;(3)遺伝子ワクチンとして用いられる乳酸菌シャトルベクターの用量はDNAワクチンの直接注射の用量よりはるかに少なく、前者が約1mg/用量未満であるのに対して、後者は約100mg/用量であり、注射部位は、例えば体表付近の部位等に限られている;および(4)乳酸菌シャトルベクターは、ウイルスベクター(viral vector)を使用するよりも安全性がはるかに高い。
【0041】
また、本発明の乳酸菌シャトルベクターのマルチクローニングサイトに異種遺伝子を挿入して、組換え発現ベクターを得る。これにより、興味深い異種タンパク質が体内又は体外で、ベクターの真核細胞遺伝子の転写プロモーターによって、適当な真核細胞において過度に発現する。真核細胞遺伝子の転写プロモーターを適当な原核細胞遺伝子の転写プロモーターで置き換えることにより、この興味深い異種タンパク質を適当な原核細胞中で過剰発現させられることが当業者には理解されると思われる。
【0042】
当業者によって知られている多様なメカニズムにより、ベクターの細胞への形質転換を達成することができる。例えば、形質転換(二価カチオン、DMSO、還元剤、塩化ヘキサミンコバルトなどによる処理を含む)、エレクトロポレーション、または粒子の衝撃などである。
【0043】
以下、実施例を挙げて本発明について詳しく説明するが、この実施例はいかなる様式においても本発明を限定するものではない。
【0044】
【実施例】
以下の実施例で用いられる上述の細菌株にはラクトバチルスデルブレッキイ(亜種ブルガリクス)(CCRC14008)、ラクトバチルスプランタルム(CCRC10357)、及びラクトバチルスカゼイ(亜種カゼイ)(CCRC10697)が含まれ、これらは台湾・新竹のCCRC(Culture Collection and Research Center)で入手できる。この3種類の細菌全てをラクトバチルスMRSブイヨン(Lactobacilli MRS broth)(プロテオースペプトンNo.3 10g/L、牛肉エキス10g/L、酵母エキス5g/L、20g/Lデキストロース、Tween−80 1g/L、クエン酸アンモニウム2g/L、CH3COONa 5g/L、MgSO4・7H2O 0.1g/L、MnSO4・H2O 0.05g/L、K2HPO4 2g/Lを含み、pH6.2〜6.5である)中で、37℃で増殖させた。
【0045】
実施例1.
Lac − 突然変異宿主菌株( Ana−1 )の調製
一夜培養したラクトバチルスカゼイ(亜種カゼイ)20μlをMRSブイヨン1mlに接種して、37℃で4時間インキュベートした。スピンダウンによりペレットを得て、PBS緩衝液(50mMリン酸カリウム、150mM NaCl、ph7.2)で2度洗浄した。この細菌ペレットをPBS緩衝液0.9ml中で再懸濁し、MNNG(N−メチル−N’−ニトロ−N−ニトロソグアニジン; 0.05M酢酸中に5mg/ml)0.1mlで処理した。37℃で1時間ゆっくり回転させた後、細菌を遠心分離して沈殿させ、PBS緩衝液で3度洗浄してから、MRSブイヨン0.1ml中に再懸濁した。MRSブイヨンで10倍の連続希釈を行い、各希釈度のMRS中の細菌0.1mlを、40μlのX−gal(20mg/ml)を塗布した直径100mmの寒天平板に接種した。これらの平板を37℃で1〜3日培養した。ラクトバチルスカゼイ(亜種カゼイ)のLac−突然変異体(Ana−1)として白色コロニーを選択した。
【0046】
実施例2.
1. ラクトバチルスプランタルムプラスミドの単離
一夜培養したMRSブイヨン15mlからラクトバチルスプランタルムを収集し、この細菌を4.755mlの溶液I(ショ糖6.7%、pH7.6の50mM Tris−HCl、pH8.0の1mM EDTA、リソチーム100μl)を用いて37℃で20分間溶解した。溶液II(pH7.6の50mM Tris−HCl、0.25M EDTA)482μl及び溶液III(SDS20%、pH7.6の50mM Tris−HCl、20mM EDTA)276μlを加えた後、この混合液を37℃で20分間インキュベートして30秒間激しく振った。それから、3N NaOH 1.276mlを加えて10分間回転し、2M Tris496μlを加えてさらに10分間回転した。細菌のタンパク質を抽出するために、5M NaCl 717μl及び3%のNaClで飽和したフェノール700μlに細菌溶菌液を加えた。遠心分離した後、液相を等容量のクロロホルムイソアミルアルコール(24:1)で抽出した。混合、遠心分離した後、等容量のイソプロパノールを用いて液相を0℃で1時間沈殿させてから、5分間遠心分離してDNAペレットを得た。このDNAペレットを自然乾燥させてH2O 20μl中に溶かした。プラスミドDNAの質及び量は、1%のアガロース電気泳動法及び臭化エチジウム染色により評価した。
【0047】
2. ラクトバチルスプランタルム 2.1kb プラスミドのクローニング
ラクトバチルスプランタルムから単離したプラスミドを、1%のアガロースゲルを用いた電気泳動法によって分別し、GENECLEANIIIキット(Bio 101, La Jollia, CA)で精製した。プラスミドpCLP1及びpCLP2を生成するため、プラスミド2.1kbを制限酵素BclIで消化し、CMVプロモーター、BGHポリA配列、Col E1複製起点、及びAmpR転写解読枠を含有するpCLP0(図1参照)のBglII部位に連結した。
【0048】
実施例3.
1. ラクトバチルスデルブレッキイ(亜種ブルガリクス)染色体 DNA の単離
一晩培養したMRSブイヨン20mlからラクトバチルスデルブレッキイ(亜種ブルガリクス)を収集し、細菌ペレットをTES緩衝液(100mM Tris、20mM EDTA、ショ糖20%、リソチーム1mg/ml)1ml中に、37℃で30分間再懸濁した。それから細胞に、ドライアイス−エタノールのバス中で凍結させ37℃の水浴で融解する、凍結融解サイクルを5回施した。体積が1/2である1%のドデシル硫酸ナトリウム(SDS)溶液を加えて細胞を溶解した。3度フェノール抽出を行うことにより、染色体DNAを精製した。最後にDNAをエタノールで沈殿し、風乾させてから、H2O中に溶かした。
【0049】
2. β − ガラクトシダーゼ遺伝子のクローニング
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により、ラクトバチルスデルブレッキイ(亜種ブルガリクス)の染色体DNAからβ−ガラクトシダーゼ遺伝子を増幅した。PCR増幅は、0.075ユニットのPfu Turbo(商標) DNAポリメラーゼ(STRATAGENE(登録商標), La Jolla, CA)と、それぞれ1μMのフォワードプライマー(5’−aagctcatgaTTGGCAGCCAGTCTCCGGGC−3’(配列番号:3))及びリバースプライマー(5’−gacctcatgaACCGTCGCTAGCGACACGCC−3’(配列番号:4))とからなる。PCRは、(i)95℃を5分間、(ii)94℃を30秒間、54℃を30秒間、72℃を3分間、を30回繰り返す、(iii)72℃を10分間、(iv)4℃に維持する、の4段階で行った。増幅したDNA生成物を0.8%アガロース電気泳動法及び臭化エチジウム染色により評価した後、GENECLEANIIIキット(Bio 101, La Jolla, CA)により精製した。精製したβ−ガラクトシダーゼDNAの断片3kbをpcDNA3ベクター(INVITROGENE)のEcoRV部位に連結した。そして、ライゲーション混合物を大腸菌DH5α菌株に形質導入した。β−ガラクトシダーゼ遺伝子を有するプラスミドを含む青色のクローンをX−gal/Amp LB寒天平板から選択した。
【0050】
実施例4.
エリスロマイシン r Enh/ プロモーター( Em r P ) DNA 断片のクローニング及び Em r p− β − ガラクトシダーゼ DNA 断片
CCRC(台湾、新竹)より入手したプラスミドpVA838をPCRによる(EmrP)DNA断片のクローニング用の鋳型として使用した。PCR増幅は、0.075ユニットのPfu Turbo(商標) DNAポリメラーゼ(STRATAGENE(登録商標), La Jolla, CA)と、それぞれ1μMのフォワードプライマー(5’−TTAACGATCGTTAGAAGCAAACTTAAGAGTG−3’(配列番号:5))及びリバースプライマー(5’−TTAACGATCGATGTAATCACTCCTTCT−3’(配列番号:6))とからなる。PCRは、(i)95℃を5分間、(ii)94℃を30秒間、50℃を30秒間、72℃を3分間、を30回繰り返す、(iii)72℃を10分間、(iv)4℃に維持する、の4段階で行った。増幅したDNA生成物を1%アガロース電気泳動法及び臭化エチジウム染色により評価した後、フェノール/クロロホルム抽出による精製及びエタノール沈殿を行った。精製した120bpのEmrP DNA断片をpCRIIベクター(INVITROGENE)に連結した。pCRII/EmrPプラスミドを有するこれらのクローンを、X−gal/Amp LB寒天平板から白色コロニーとして選択し、さらにPCR及び制限酵素解析により調べた。
【0051】
pCRII/EmrPプラスミドはGFXマイクロプラスミドプレップキット(GFX micro plasmid Prep kit)(Amersham Pharmacia Biotech)で精製し、BamHIで線形化してT4 DNAポリメラーゼを用いて末端を平滑化した。プラスミドpCRII/EmrP−β−ガラクトシダーゼを構築するために、β−ガラクトシダーゼDNA断片をPCRによってpcDNA3/β−ガラクトシダーゼプラスミドから増幅し、線形化したpcRII/EmrPの平滑末端に連結した。pcRII/EmrP−β−ガラクトシダーゼプラスミドを有するこれらのクローンを、X−gal/Amp LB寒天平板から青色コロニーとして選択し、さらにPCR及び制限酵素解析により調べた(図2参照)。
【0052】
実施例5.
乳酸菌シャトルベクターのクローニング
PCRによって増幅したEmrP−β−ガラクトシダーゼDNA断片の5’末端をリン酸化した後、DNA断片をGENECLEANIIIキット(Bio 101, La Jolla, CA)により精製し、プラスミドpCLP1及びpCLP2のNruI部位に連結してプラスミドpCLP3−6(図3参照)を得た。このライゲーション混合物をエレクトロポレーションにより大腸菌JM109菌株に形質導入した。EmrP−β−ガラクトシダーゼ遺伝子を含むプラスミドを有するこれらのクローンを、X−gal/Amp LB寒天平板から青色コロニーとして選択し、さらにPCR及び制限酵素解析により調べた。
【0053】
シャトルベクターpCLP3及びpCLP5からアンピシリン耐性遺伝子を削除するために、この2つのプラスミドをBspHIで消化した。大きいDNA断片のゲル溶出によってアンピシリン耐性遺伝子を含むDNA断片1kbを除去した。精製されたDNA断片をさらにライゲーションし、大腸菌JM109菌株に形質導入した。プラスミドを有するこれらのクローンを、Amp/LB寒天平板ではなく、L−M9寒天平板(Na2HPO4 6g/L、KH2PO4 3g/L、NaCl 5g/L、NH4Cl 1g/L、2mM MgSO4、ラクトース0.1%、0.1mM CaCl2、2mM プロリン、及び50μM チアミンを含む)上で増殖させることにより選択し、さらにPCR及び制限酵素解析により調べた(図4参照)。
【0054】
実施例6.
Ana−1 コンピテント細胞の調製
エレクトロポレーションに用いるコンピテント細胞を調製するため、ラクトバチルスカゼイ(亜種カゼイ)(実施例1)からの一夜培養したLac−突然変異体宿主菌株1mlを、グリシン1.25%を含むMRSブイヨン50mlに接種し、37℃で3時間インキュベートした。この細胞を遠心分離して沈殿させ、氷冷したポレーション(poration)/貯蔵緩衝液(スクロース0.5M及びグリセロール10%)で4回洗浄し、氷冷したポレーション/貯蔵緩衝液0.5ml中に再懸濁した。このプラスミドDNAをQIAプレップ・ミニプレア・キット(QIAprep miniprer Kit)(QIAGEN)で精製した。使い捨てキュベット(STRATAGENE(登録商標);電極間距離0.2cm)中でプラスミドDNA1μgとコンピテント細胞100μlとを混合した。2500V(600Ω、25μF)の単一パルスをこのDNA細胞混合液に与えた。パルスに従って、細胞懸濁液を直接MRSブイヨン0.4mlで希釈し、37℃で1.5時間インキュベートすることにより、β−ガラクトシダーゼ遺伝子を発現させた。L−MRS寒天平板上に細胞懸濁液の希釈液100μlをプレーティングすることにより、形質転換体を選択した。形質転換体の化学式は、デキストロースがラクトース2%に代替すること以外は、MRSと同一である。
【0055】
図1を参照すると、BclI及びBglIIの消化により形成された5’−突出末端の配列は同一であるため、線形化乳酸菌プラスミド(LP)はpCLP0に2方向に挿入される。その結果、PCR増幅及び制限酵素解析により異なるプラスミドが得られる。そのうち、RepA遺伝子とCMVプロモーターとの方向が同じプラスミドをpCLP1と称する。これに対して、RepA遺伝子とCMVプロモーターとの方向が異なるプラスミドをpCLP2と称する。pCLP1とpCLP2とは共に大腸菌中で何代も複製することができ、その制限酵素地図は変わらないため、乳酸菌プラスミドが大腸菌プラスミド(pCLP0)に挿入された後、大腸菌内の組換えシャトルベクターの複製数及び安定性に影響しない。
【0056】
欠陥β−ガラクトシダーゼ遺伝子を有するプラスミドが、染色体中に欠陥性β−ガラクトシダーゼ遺伝子を有する細菌へ形質転換される場合、選択培地(唯一の炭素源としてグルコースではなくラクトースを含む)上で生存し、複製するために、細菌はβ−ガラクトシダーゼ等の選択マーカー遺伝子の生成物を過度に発現し、必要な元素を代謝する必要がある。このため、強力な転写プロモーターであるEmrPが本発明のシャトルベクター内で用いられる。図3を参照すると、EmrP−β−ガラクトシダーゼの構築後、DNA断片をプラスミドpCLP1及びpCLP2に挿入する。平滑末端のライゲーションにより、EmrP−β−ガラクトシダーゼのDNA断片が2方向に挿入される。PCR増幅及び制限酵素解析により4種の異なるプラスミドが得られ、それぞれpCLP3、pCLP4、pCLP5、pCLP6と称する。それから、これらのプラスミドの継代培養が何代も行われる。そのうち、pCLP4及びpCLP6の複製数、及びこの2つのプラスミドにより形質転換された宿主細胞の増殖は有意に減少する。このことにより、プラスミドpCLP4及びpCLP6が構造的に不安定であるのに対し、pCLP3及びpCLP5は比較的安定していると推測される。
【0057】
次に、選択マーカーとして非抗生物質耐性遺伝子を有するプラスミドを構築するため、pCLP3及びpCLP5のアンピシリン耐性遺伝子を欠失させ、プラスミドpCLP7及びpCLP8を得る(図4参照)。細菌は、大腸菌に形質転換した後、ラクトースが唯一の炭素源である培地で十分に増殖することができる。また、制限酵素地図解析によると、継代培養の後、pCLP7及びpCLP8の構造が安定していることが示されている。このため、シャトルベクターpCLP7及びpCLP8の安定性により、それらを遺伝子操作の際に適用することができる。pCLP7のヌクレオチド配列は図5〜11(配列番号:1)に示されており、pCLP8のヌクレオチド配列は図12〜18(配列番号:2)に示されている。さらに、原ベクターであるpCLP7及びpCLP8の制限酵素地図は図19Aに示されており、そのうち、レーン1はDNAマーカー(Gene Ruler(商標) 1kb Ladder, MBI)であり、レーン2、3は未処理のベクターであり、それぞれレーン3、7はXbaIで、レーン4、8はEcoRIで、レーン5、9はHindIIIで処理したベクターであり、レーン10は別のDNAマーカー(Gene Ruler(商標) 100bp Ladder, MBI)である。レーン2〜5はベクターpCLP7であり、レーン6〜9はベクターpCLP8である。
【0058】
本発明の乳酸菌シャトルベクターpCLP7及びpCLP8がLac−突然変異株Ana−1(欠陥性β−ガラクトシダーゼ遺伝子を有する)へと形質転換されると、細菌株は選択培地中で十分増殖する。さらに、制限酵素地図解析もまた、pCLP7及びpCLP8の構造は、100代の継代培養後、安定していることを示している。図19Bは、100代の継代培養後のベクターの制限酵素地図を示しており、そのうちレーン1はDNAマーカー(Gene Ruler(商標) 100bp Ladder, MBI)であり、レーン2は別のDNAマーカー(Gene Ruler(商標) 1kb Ladder, MBI)であり、レーン3、7は未処理のベクターであり、それぞれレーン4、8はXbaIで、レーン5、9はEcoRIで、レーン6、10はHindIIIで処理したベクターである。レーン3〜6はベクターpCLP7であり、レーン7〜10はベクターpCLP8である。
【0059】
本発明を、その好ましい態様を参照して具体的に示し説明してきたが、様々な変更がその形式および詳細において可能であり、それらは本発明の精神および範囲を逸脱しないことが当業者には理解されると思われる。
【0060】
【発明の効果】
本発明により、(a)プラスミド複製数を調節し、大腸菌複製起源配列を含む領域と、(b)少なくとも一つの真核細胞遺伝子の転写プロモーター配列、異種遺伝子が挿入されるマルチクローニングサイト、及び転写終結配列を含む真核細胞遺伝子発現カセットと、(c)複製のプラス起点と、乳酸菌プラスミドの複製に関連するタンパク質をコードする核酸配列とを含む乳酸菌プラスミド配列と、(d)非抗生物質耐性選択遺伝子及びそのプロモーター配列とを少なくとも含有する、乳酸菌シャトルベクターが提供される。この乳酸菌シャトルベクターは選択マーカーとしての非抗生物質耐性遺伝子を特徴とし、薬剤や食品に利用することができる。
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】pCLP1及びpCLP2の構築を示す図である。
【図2】pCRII/EmrP−β−ガラクトシダーゼの構築を示す図である。
【図3】pCLP3、pCLP4、pCLP5、及びpCLP6の構築を示す図である。
【図4】pCLP7及びpCLP8の構築を示す図である。
【図5】図5〜11は、乳酸菌シャトルベクターpCLP7(配列番号:1)のヌクレオチド配列を示す図であり、図5はそのうち1位〜1200位までを示す図である。
【図6】図5の続きであり、乳酸菌シャトルベクターpCLP7(配列番号:1)のヌクレオチド配列の1201位〜2400位までを示す図である。
【図7】図5および6の続きであり、乳酸菌シャトルベクターpCLP7(配列番号:1)のヌクレオチド配列の2401位〜3600位までを示す図である。
【図8】図5〜7の続きであり、乳酸菌シャトルベクターpCLP7(配列番号:1)のヌクレオチド配列の3601位〜4800位までを示す図である。
【図9】図5〜8の続きであり、乳酸菌シャトルベクターpCLP7(配列番号:1)のヌクレオチド配列の4801位〜6000位までを示す図である。
【図10】図5〜9の続きであり、乳酸菌シャトルベクターpCLP7(配列番号:1)のヌクレオチド配列の6001位〜7200位までを示す図である。
【図11】図5〜10の続きであり、乳酸菌シャトルベクターpCLP7(配列番号:1)のヌクレオチド配列の7201位〜8115位までを示す図である。
【図12】図12〜18は、乳酸菌シャトルベクターpCLP8(配列番号:2)のヌクレオチド配列を示す図であり、図12はそのうち1位〜1200位までを示す図である。
【図13】図12の続きであり、乳酸菌シャトルベクターpCLP8(配列番号:2)のヌクレオチド配列の1201位〜2400位までを示す図である。
【図14】図12および13の続きであり、乳酸菌シャトルベクターpCLP8(配列番号:2)のヌクレオチド配列の2401位〜3600位までを示す図である。
【図15】図12〜14の続きであり、乳酸菌シャトルベクターpCLP8(配列番号:2)のヌクレオチド配列の3601位〜4800位までを示す図である。
【図16】図12〜15の続きであり、乳酸菌シャトルベクターpCLP8(配列番号:2)のヌクレオチド配列の4801位〜6000位までを示す図である。
【図17】図12〜16の続きであり、乳酸菌シャトルベクターpCLP8(配列番号:2)のヌクレオチド配列の6001位〜7200位までを示す図である。
【図18】図12〜17の続きであり、乳酸菌シャトルベクターpCLP8(配列番号:2)のヌクレオチド配列の7201位〜8115位までを示す図である。
【図19】ベクターpCLP7及びpCLP8の安定性テストを示す図である。
Claims (6)
- 配列番号:1で示されるヌクレオチド配列もしくはそれに相補的なヌクレオチド配列又はその縮退変異体を含む、乳酸菌シャトルベクター。
- 配列番号:2で示されるヌクレオチド配列もしくはそれに相補的なヌクレオチド配列又はその縮退変異体を含む、乳酸菌シャトルベクター。
- (a)pCLP7(図4における制限酵素部位の配位を有する。ATCC受入番号PTA-2661)と、
(b)pCLP8(図4における制限酵素部位の配位を有する。ATCC受入番号PTA-2663)とからなる群より選ばれる、乳酸菌シャトルベクター。 - (a)請求項1〜 3 のいずれかに記載の乳酸菌シャトルベクターと、
(b)内因性β-ガラクトシダーゼ遺伝子が正常な酵素機能を生じることができない宿主細胞と、
(c)真核細胞遺伝子
とを含む、異種遺伝子発現用キット。 - 請求項1〜 3 のいずれかに記載の乳酸菌シャトルベクターを含むDNAワクチンキャリア。
- (i)宿主細胞に、請求項1〜 3 のいずれかに記載の乳酸菌シャトルベクターを導入する工程と(前記宿主細胞の内因性β-ガラクトシダーゼ遺伝子は正常な酵素機能を生じることができない)、
(ii)工程(i)で形質転換した前記宿主細胞を、ラクトースが唯一の炭素源である条件下で培養する工程
とを含む、ベクターを含有する宿主細胞の選択方法。
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