JP3620321B2 - 自動伴奏装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、予め記憶しておいた伴奏パターンを順次繰り返し読み出して自動的に伴奏する装置に関し、特に、演奏操作をおろそかにすることなく伴奏形態を変更することができる自動伴奏装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
周知のように、自動伴奏装置には、例えば、「ロック」、「ポップス」あるいは「ディスコ」といった複数の伴奏スタイル毎に、複数の伴奏パターンが予め記憶されている。伴奏パターンとは、演奏すべき各音の音高や発音タイミング等を表わすデータから構成されるものであって、その種類としては、所定小節分の楽曲を表わすノーマルパターンの他、このノーマルパターンの序奏部に相当するイントロパターン、ノーマルパターンの途中に介挿されるフィルインパターン、ノーマルパターンの終結部に付加されるエンディングパターン等がある。
そして、これら各種伴奏パターンを記憶する自動伴奏装置では、通常、スタート/ストップスイッチを操作してノーマルパターンによる自動伴奏を進行させておき、例えば、フィルインパターンに変更したいタイミングで、フィルインスイッチを操作してノーマルパターンからフィルインパターンに変更する等、スイッチ操作により再生する伴奏パターンの種類を選択するようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、従来の自動伴奏装置では、例えば、両手を使った演奏操作を行っている最中に、フィルインパターンによる伴奏を選択する場合、片方の手がその為のスイッチ操作にとられてしまい、両手を使った演奏を行うことができないという不都合が出てくる。つまり、従来の自動伴奏装置では、伴奏形態を変更させようとすると、その時点で必要なスイッチ操作に手を取られてしまい、肝心の演奏操作がおろそかになってしまう、という欠点がある。
そこで本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、演奏操作をおろそかにすることなく伴奏形態を変更することができる自動伴奏装置を提供することを目的としている。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、伴奏鍵域におけるコードを表わす複数の押鍵操作に応じて第1の伴奏パターンによる自動伴奏を進行させる第1の伴奏制御手段と、前記第1の伴奏パターンによる自動伴奏進行中に、前記伴奏鍵域にて時間差を持って複数の離鍵操作がなされた場合、当該離鍵の時間差が所定時間以内なら、前記第1の伴奏制御手段に伴奏停止を指示する一方、前記離鍵の時間差に対応させた種類の伴奏パターンによる自動伴奏を進行させる第2の伴奏制御手段とを具備することを特徴とする。
【0005】
請求項2に記載の発明では、伴奏鍵域の押鍵操作されたコードに応じて第1の伴奏パターンによる自動伴奏を進行させる第1の伴奏制御手段と、前記第1の伴奏パターンによる自動伴奏進行中に、前記伴奏鍵域にてコードの離鍵操作がなされたら、前回押鍵されて離鍵操作されたコードと今回押鍵されて離鍵操作されたコードとが予め指定したコード進行に合致する場合にのみ、前記第1の伴奏制御手段に伴奏停止を指示する一方、合致したコード進行に対応させた種類の伴奏パターンによる自動伴奏を進行させる第2の伴奏制御手段とを具備することを特徴とする。
【0009】
本発明では、伴奏鍵域での押離鍵操作や離鍵操作の仕方、あるいは伴奏鍵域にて指定されるコード種およびコード進行に応じて自動伴奏形態を変更するので、鍵盤から手を離さずに所望のタイミングで伴奏パターンの変更を指示でき、従って演奏操作をおろそかにすることなく伴奏形態を変更することが可能になる。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明による自動伴奏装置は、周知の電子楽器の他、パーソナルコンピュータを用いたDTM(デクトップミュージック)装置やシーケンサ等に適用され得る。以下では、本発明の実施の一形態による電子楽器を実施例とし、これについて図面を参照して説明する。
【0011】
A.第1実施例
(1)構成
図1は、本発明による第1実施例の構成を示すブロック図である。この図において、1はコンソールパネル上に配設される各種スイッチから構成されるパネルスイッチであり、各スイッチ操作に対応したイベントを発生する。このイベントは後述するCPU3のキースキャンにより取込まれる。パネルスイッチ1に配設されるスイッチ種類としては、図示されていない電源スイッチや伴奏パターンを選択するパターン選択スイッチの他、自動伴奏の開始/停止を指示するスタート/ストップスイッチ1a(図示略)がある。
【0012】
2は押離鍵操作に応じたキーオン/キーオフ信号、キーコードおよび押鍵速度(強度)に対応したタッチデータからなる演奏情報を発生する鍵盤である。この鍵盤2は、所定鍵(あるいは指定した鍵)より低音側をコード指定鍵域2a、高音側をメロディー演奏鍵域2bとに鍵域分割されており、コード指定鍵域2aにて伴奏コードを指定し、メロディー演奏鍵域2bにてメロディー演奏するようになっている。
CPU3はROM4にストアされる各種制御プログラムを実行し、キースキャンにより取込んだパネルスイッチ1の各スイッチ操作(スイッチイベント)に応じて装置各部を制御する。特に、自動伴奏時にはコード指定鍵域2aにて押鍵されるコード(和音)のコード種およびルート(根音)を判定し、判定したコード種およびルート(根音)に応じて伴奏パターンを形成する各音について音高変換して発音指示する。なお、自動伴奏にかかわるCPU3の特徴的な動作については追って述べる。
【0013】
ROM4はCPU3にロードされる各種制御プログラムやコード判定用のテーブルの他、テンポクロックに対応してコード音およびベース音の発音タイミングを制御する所定小節分の伴奏パターンデータを複数種記憶している。この伴奏パターンデータは、上述したパターン選択スイッチの操作に応じて選択される。伴奏パターンは、主パターン(例えばノーマルパターン)と、この主パターンに付随して再生される副パターンとに大別でき、副パターンとしては、主パターンの序奏部として用いられるイントロパターン、主パターンの途中に介挿されるフィルインパターン、主パターンの終結部として用いられるエンディングパターン等がある。
【0014】
これら伴奏パターンのデータ態様としては、図2(ロ)に図示するように、発音タイミングを表わす時間データTIMEと、その発音内容を表わす実行データ(イベント)EVENTとが伴奏進行に沿った時系列のアドレス順に記憶されている。そして、このようなデータ態様をなす伴奏パターンは、所定の音符長を最小単位とする分解能で記憶されており、これらは読み出しアドレスの歩進によって、指定小節分、順次繰り返し読出しされる。
【0015】
5はCPU3の処理に用いる各種レジスタ/フラグデータを一時記憶するRAMである。このRAM5に一時記憶される代表的なレジスタとしては、図2(イ)に図示するように、正副パターン用レジスタ5a,5bが設けられており、これら各レジスタは対応するパターンが再生中である否か示す再生フラグ、パターン読み出しアドレスをカウントする再生カウンタおよびテンポクロックTMPを累算するマスタカウンタから構成される。6はCPU3の制御の下に、自動伴奏時の再生テンポを指定するテンポクロックTMPを発生するテンポクロック発生回路である。
【0016】
7は周知の波形メモリ読み出し方式で構成される音源であり、通常のメロディ演奏に応じた楽音を発生するノーマル音源の他、伴奏音源を備えている。伴奏音源は、テンポクロックTMPに同期してROM4から順次読み出される伴奏パターンデータを、コード指定鍵域2aにて指定されるコードのコード種およびルート(根音)に応じて音高変換してなる伴奏音を生成する。8は音源7の出力をD/A変換した後に増幅してスピーカSPより楽音として発音させるサウンドシステムである。
【0017】
(2)第1実施例の動作
次に、図3〜図7を参照して上記構成による第1実施例の動作について説明する。以下では、説明の簡略化を図るため、図3に図示するケースで鍵操作される場合、つまり、コード指定鍵域2aの押鍵操作と同時に正パターンによる自動伴奏(以下、再生と称す)が進行し、この正パターンの再生進行が例えば、3小節演奏し終わったところで離鍵操作されると、正パターンの再生進行に替えて、予め選択しておいた副パターン(例えばフィルインパターン)による再生進行に自動的に切換わる場合の動作について述べる。
【0018】
▲1▼スタートスイッチオン処理
自動伴奏の開始/停止を指示するスタート/ストップスイッチ1aをオン操作する前に、パターン選択スイッチの操作により演奏すべき正パターンとこの正パターンから切換える副パターンとを予め選択しておく。そして、スタート/ストップスイッチ1aがオン操作されると、CPU3は図4に示すスタートスイッチオン処理ルーチンを実行し、ステップSA1に処理を進め、前述した正パターン用レジスタ5aにおける正再生フラグをオン設定し、正再生カウンタをリセットすると共に、正マスタカウンタをリセットする。
【0019】
▲2▼正パターン再生処理
一方、CPU3では一定周期毎に図5に示す正パターン再生処理ルーチンを割込み実行しており、ステップSB1にて正再生フラグの状態を判別する。なお、ここで言う一定周期とはテンポクロックTMPの周期に比して十分短いものである。
そして、このステップSB1にて正再生フラグがオフ状態にあると判断されれば、何も処理せずに本ルーチンを完了させるが、上記スタートスイッチオン処理により正再生フラグがオン設定されていれば、ステップSB1の判断を経てステップSB2に処理を進める。
【0020】
ステップSB2では、正再生カウンタの示す読み出しアドレスに従ってROM4から正パターンの時間データTIME(含む実行データEVENT)を読み込む。次いで、ステップSB3では、この時間データTIMEに基づき発音タイミングに達したか否かを判断し、発音タイミングに達した時にはコード指定鍵域2aが押鍵されているかどうかを判断する。
そして、発音タイミング下にあり、かつコード指定鍵域2aが押鍵されていると判断結果が「YES」となり、次のステップSB4に処理を進める。一方、それ以外の場合は判断結果が「NO」となり、正パターンによる自動伴奏は進行せずに、一旦、本ルーチンを完了させる。
【0021】
さて、発音タイミング下にあり、かつコード指定鍵域2aの押鍵に応じてステップSB4に処理を進めると、CPU3は正パターンの時間データTIMEと共に読み出した実行データEVENTに基づき、対応する楽音を再生する一方、正パターン用レジスタ5aの正再生カウンタをインクリメントして歩進させる。
次いで、ステップSB5では、歩進させた正再生カウンタの値、つまり、読み出しアドレスが正パターンの終端アドレスに達したかどうかを判断する。ここで、終端アドレスに達していなければ、判断結果は「NO」となり、本ルーチンを完了させるが、終端アドレスに達した場合にはステップSB6にて正パターン用レジスタ5aにおける正再生カウンタおよび正マスタカウンタをリセットして本ルーチンを完了させる。
【0022】
このように、正パターン再生処理では、スタート/ストップスイッチ1aのオン操作により正再生フラグがオンとなっていると、テンポクロックTMPの周期に比して十分短い周期毎に、正再生カウンタの示す読み出しアドレスに従ってROM4から正パターンの時間データTIME(含む実行データEVENT)を読み出し、発音タイミング下でコード指定鍵域2aが押鍵操作されていると、正パターンの自動伴奏を進めるようになっている。
【0023】
▲3▼伴奏鍵盤オフ処理
上述した正パターン再生処理により正パターンの自動伴奏が進行している時、例えば、図3に図示したように、正パターンの再生が3小節演奏し終わったところでコード指定鍵域2aを離鍵操作したとする。そうすると、図6に示す伴奏鍵盤オフ処理ルーチンが実行され、CPU3はステップSC1に処理を進め、正再生フラグの状態を判別する。ここで、正パターンの再生が進行していなければ、何も処理せずに本ルーチンを完了させるが、図3の一例の場合、正パターンの再生が進行しているので、次のステップSC2に処理を進め、前述した副パターン用レジスタ5bにおける副再生フラグをオン設定し、副再生カウンタをリセットすると共に、副マスタカウンタをリセットして本ルーチンを完了する。
【0024】
▲4▼副パターン再生処理
CPU3では、上述した正パターン再生処理と同様、テンポクロックTMPの周期に比して十分短い周期毎に、図7に示す副パターン再生処理ルーチンを割込み実行しており、ステップSD1にて副再生フラグの状態を判別する。そして、このステップSD1にて副再生フラグがオフ状態にあると判断されれば何も処理せずに本ルーチンを完了させるが、上記伴奏鍵盤オフ処理により副再生フラグがオン設定されると、ステップSD1の判断を経てステップSD2に処理を進める。
【0025】
ステップSD2では、副再生カウンタの示す読み出しアドレスに従ってROM4から副パターン(フィルインパターン)の時間データTIME(含む実行データEVENT)を読み込む。次いで、ステップSD3では、この時間データTIMEに基づき発音タイミングに達したか否かを判断する。そして、発音タイミング下にあると判断結果は「YES」となり、次のステップSD4に処理を進めるが、発音タイミング下にない場合には判断結果が「NO」となり、副パターンの再生は進行せずに、一旦、本ルーチンを完了させる。
【0026】
さて、発音タイミングに応じてステップSD4に処理を進めると、CPU3は副パターンの時間データTIMEと共に読み出した実行データEVENTに基づき、対応する楽音を再生する一方、副パターン用レジスタ5bの副再生カウンタをインクリメントして歩進させる。
次いで、ステップSD5では、歩進させた副再生カウンタの値、つまり、読み出しアドレスが副パターンの終端アドレスに達したかどうかを判断する。ここで、終端アドレスに達していなければ、判断結果は「NO」となり、一旦、本ルーチンを完了させるが、終端アドレスに達した場合にはステップSD6にて副再生フラグをオフ設定し、正再生フラグをオン設定して本ルーチンを完了させる。
【0027】
このように、副パターン再生処理では、伴奏鍵盤オフ処理により副再生フラグがオン設定されると、テンポクロックTMPの周期に比して十分短い周期毎に、正再生カウンタの示す読み出しアドレスに従ってROM4から副パターンの時間データTIME(含む実行データEVENT)を読み出し、発音タイミングに同期して副パターンの自動伴奏を一通りだけ進める。つまり、ROM4に記憶される副パターンが1小節分だけならば、主パターンの繰り返し自動伴奏から1小節分の副パターンによる自動伴奏に切換わることになる。
そして、1小節分の副パターンによる自動伴奏が終了すると、上記ステップSD6にて正再生フラグがオン設定されている為、再び図5に図示した正パターン再生処理ルーチンが実行されて主パターンの繰り返し自動伴奏が再開する。
【0028】
以上説明したように、第1実施例によれば、コード指定鍵域2aにて押鍵操作されると、主パターンによる自動伴奏が順次繰り返し進行していき、その最中にコード指定鍵域2aで離鍵操作すると、主パターンによる自動伴奏から副パターンによる自動伴奏に自動的に切換わる為、演奏操作をおろそかにすることなく伴奏形態を変更することが可能になる訳である。
なお、この第1実施例では、コード指定鍵域2aの離鍵操作に応じて主パターンによる自動伴奏から副パターンの自動伴奏に切換える態様について述べたが、この態様はリズムパターンを用いたコードシーケンサにも同様に適用可能である。
また、本実施例では、説明の簡略化を図る為、主パターンと副パターンとを同一のテンポクロックTMPに同期して再生する態様としたが、これに限らず、主パターンと副パターンとで再生テンポを異ならすことも勿論可能である。
【0029】
B.第2実施例
第1実施例では、コード指定鍵域2aの離鍵操作に応じて、主パターンから副パターンの自動伴奏に切換える態様について述べたが、第2実施例ではコード指定鍵域2aにて離鍵操作してから再び押鍵操作される迄、副パターンの自動伴奏を進行させるものである。以下、第2実施例の動作について図8〜図10を参照して説明する。
【0030】
まず、図8は第2実施例の動作概略を説明するための図である。この図に示すように、第2実施例では、上述の第1実施例と同様、コード指定鍵域2aの押鍵操作と共に、主パターンの自動伴奏を開始させ、例えば主パターンの自動伴奏が2小節分終わった時点でコード指定鍵域2aにて離鍵操作されたら、副パターンによる自動伴奏に切換え、コード指定鍵域2aが再び押鍵操作される迄の間、この副パターンによる自動伴奏を進行させ、コード指定鍵域2aが再び押鍵操作された時点で主パターンの自動伴奏に戻すようにしている。
【0031】
▲1▼副パターン再生処理
前述した第1実施例と同様、スタート/ストップスイッチ1aのオン操作により正再生フラグがオン設定され、これにより正パターン再生処理がテンポクロックTMPの周期に比して十分短い周期毎に、正再生カウンタの示す読み出しアドレスに従ってROM4から正パターンの時間データTIME(含む実行データEVENT)を読み出して正パターンの自動伴奏を進めているものとする。
この時、CPU3では、テンポクロックTMPの周期に比して十分短い周期毎に、図9に示す第2実施例による副パターン再生処理ルーチンを割込み実行しており、ステップSE1にて副再生フラグの状態を判別する。そして、このステップSE1にて副再生フラグがオフ状態にあると判断されれば何も処理せずに本ルーチンを完了させるが、前述した第1実施例と同様に、コード指定鍵域2aでの離鍵操作により伴奏鍵盤オフ処理(図6参照)が副再生フラグをオン設定すると、ステップSE1の判断を経てステップSE2に処理を進める。
【0032】
ステップSE2では、副再生カウンタの示す読み出しアドレスに従ってROM4から副パターン(フィルインパターン)の時間データTIME(含む実行データEVENT)を読み込む。次いで、ステップSE3では、この時間データTIMEに基づき発音タイミングに達したか否かを判断する。そして、発音タイミング下にない場合には判断結果が「NO」となり、一旦、本ルーチンを完了させるが、発音タイミング下にあれば、判断結果は「YES」となり、次のステップSE4に処理を進め、副パターンの時間データTIMEと共に読み出した実行データEVENTに基づき、対応する楽音を再生する一方、副パターン用レジスタ5bの再生カウンタをインクリメントして歩進させて本ルーチンを完了させる。
したがって、コード指定鍵域2aで離鍵操作されると、主パターンから副パターンへの自動伴奏に自動的に切換わり、副パターンが繰り返し自動伴奏されて行くことになる。
【0033】
▲2▼伴奏鍵盤オン処理
こうして、副パターンが繰り返し自動伴奏されている時、例えば、図8に図示したように、副パターンの再生が3小節演奏し終わったところでコード指定鍵域2aにて再び押鍵操作したとする。そうすると、図10に示す伴奏鍵盤オン処理ルーチンが実行され、CPU3はステップSF1に処理を進め、副再生フラグの状態を判別する。ここで、副パターンの再生が進行していなければ、何も処理せずに本ルーチンを完了させるが、図8の一例の場合、副パターンの再生が進行しているので、次のステップSF2に処理を進め、前述した副パターン用レジスタ5bにおける副再生フラグをオフ設定する一方、主パターン用レジスタ5aにおける正再生フラグをオン設定して本ルーチンを完了する。
【0034】
このようにして、副再生フラグがオフ設定されると、図9に示す副パターン再生処理ルーチンは副パターンを再生する自動伴奏を停止し、一方、正再生フラグのオン設定に応じて第1実施例にて示した正パターン再生処理ルーチン(図5参照)が再び実行されて主パターンによる自動伴奏が進行し始める。
以上のように、第2実施例によれば、コード指定鍵域2aの押鍵操作と共に、主パターンの自動伴奏を進行させ、コード指定鍵域2aで離鍵操作された時点で、副パターンによる自動伴奏に切換え、コード指定鍵域2aで再び押鍵操作されたら、この副パターンによる自動伴奏を止めて主パターンによる自動伴奏に戻すので、鍵盤から手を離さずに伴奏パターンを変更できる結果、演奏操作をおろそかにすることなく伴奏形態を変更し得る。
【0035】
C.第3実施例
次に、第3実施例について説明する。上述した第1および第2実施例では、コード指定鍵域2aでの離鍵操作をきっかけに主パターンから副パターンへの切換えを行うようにしたが、第3実施例ではこれに替えて、コード指定鍵域2aでの離鍵の仕方で伴奏形態を変化させるようにしている。
具体的には、コード指定鍵域2aではコード指定する為に所望にコード構成音(例えば、Cコードであれば「C(ド)」、「E(ミ)」および「G(ソ)」の3音を同時に押鍵し、離鍵する際にこれらコード構成音の各々の離鍵時間差に応じて副パターンへの切換えを行うか否かを制御しようとするものである。
【0036】
こうした制御を実現させる為、第3実施例では、前述した第1実施例におけるRAM5に離鍵データレジスタRDを設ける。この離鍵データレジスタRDは、図11に図示するように、レジスタRT,TR1〜TR3から形成される。レジスタRTには前回離鍵された時刻が、レジスタTR1〜TR3には複数押鍵されるコード構成音を離鍵する際の時間差(ばらつき具合)が過去3回分履歴として保持される。つまり、離鍵操作が行わされる毎に、その時の時間差(ばらつき具合)が随時更新登録されて行き、常時過去3回分が履歴として残るようになっている。
【0037】
次に、上記離鍵データレジスタRDの内容を用いて副パターンへの切換え制御を実行する伴奏鍵盤オフ処理ルーチンの動作について図12を参照して説明する。
まず、前述した第1実施例と同様、スタート/ストップスイッチ1aのオン操作により正再生フラグがオン設定され、これにより正パターン再生処理がテンポクロックTMPの周期に比して十分短い周期毎に、正再生カウンタの示す読み出しアドレスに従ってROM4から正パターンの時間データTIME(含む実行データEVENT)を読み出して正パターンによる自動伴奏を進めているものとする。
【0038】
このような状況において、コード指定鍵域2aで離鍵操作がなされると、図12に示す伴奏鍵盤オフ処理ルーチンが実行され、CPU3はステップSG1に処理を進め、正再生フラグの状態を判別する。ここで、正パターンの再生が進行していなければ、何も処理せずに本ルーチンを完了させるが、正パターンの再生が進行していると、次のステップSG2に処理を進め、離鍵データレジスタRDの内容を更新し、続くステップSG3では更新登録された過去3回分の離鍵時間差の平均を算出し、その平均値が50msec以内であるかどうかを判断する。ここで、平均値が50msec以内でない場合には、同時離鍵でないと見做して何も処理せずに本ルーチンを完了するが、平均値が50msec以内であると、同時離鍵されたと見做してステップSG4に処理を進め、副パターン用レジスタ5bにおける副再生フラグをオン設定し、副再生カウンタをリセットすると共に、副マスタカウンタをリセットして本ルーチンを完了する。
【0039】
こうして副再生フラグがオン設定されると、前述した第1実施例と同様、副パターン再生処理が、テンポクロックTMPの周期に比して十分短い周期毎に、正再生カウンタの示す読み出しアドレスに従ってROM4から副パターンの時間データTIME(含む実行データEVENT)を読み出し、発音タイミングに同期して副パターンの自動伴奏が進行し始める。
以上のように、第3実施例によれば、コード指定鍵域2aでの離鍵操作の仕方に応じて主パターンから副パターンに切換わるので、演奏操作をおろそかにすることなく伴奏形態を変更し得るようになっている。
【0040】
D.第4実施例
次に、図13を参照して第4実施例について説明する。上述した第3実施例では、コード指定鍵域2aでの離鍵の仕方(離鍵時間差)で伴奏形態を変化させたが、第4実施例では、コード指定鍵域2aで離鍵された場合、それまでに押鍵されていたコードのコード種に応じて伴奏形態を変化させるようにしたものである。以下、これについて説明する。
まず、スタート/ストップスイッチ1aのオン操作により正再生フラグがオン設定され、これにより正パターンの自動伴奏が進行している時、コード指定鍵域2aで離鍵操作がなされると、図13に示す伴奏鍵盤オフ処理ルーチンが実行され、ステップSH1に処理を進めて正再生フラグの状態を判別する。
【0041】
ここで、正パターンの再生が進行していると、正再生フラグはオン状態にあるから、次のステップSH2に処理を進め、コード種がマイナーであるか否かを判断する。なお、このステップSH2の判断は、コード指定鍵域2aにて押鍵されたコードのコード種およびルートを判定した結果を保持するコード判定レジスタ(図示略)を参照して行われる。
このコード判定レジスタを参照したコード種判定の結果、マイナーでないと判断された場合には、何も処理せずに本ルーチンを完了するが、コード種がマイナーであると、判断結果が「YES」となり、ステップSH3に処理を進め、副パターン用レジスタ5bにおける副再生フラグをオン設定し、副再生カウンタをリセットすると共に、副マスタカウンタをリセットして本ルーチンを完了する。
【0042】
そして、副再生フラグがオン設定されると、前述した第1実施例と同様、副パターン再生処理が、テンポクロックTMPの周期に比して十分短い周期毎に、正再生カウンタの示す読み出しアドレスに従ってROM4から副パターンの時間データTIME(含む実行データEVENT)を読み出し、発音タイミングに同期して副パターンの自動伴奏が進行し始める。
このように、第4実施例によれば、コード指定鍵域2aで離鍵されたコード種に応じて主パターンから副パターンに切換わるようにしたので、演奏操作をおろそかにすることなく伴奏形態を変更することが可能になっている。
【0043】
E.変形例
さらに、図14に示す伴奏鍵盤オフ処理ルーチンは、上記第4実施例の変形例であり、所定のコード進行となるようコード指定鍵域2aにて押離鍵操作された場合に主パターンから副パターンに切換わるようにしたものである。
したがって、この変形例では、コード指定鍵域2aにて押鍵されたコードのコード種およびルートを判定した結果を保持するコード判定レジスタに、少なくとも現在のコード種と、その前に判定したコード種とを履歴として格納し、コード進行を識別し得るように構成しておく。
そして、正パターンの自動伴奏が進行している時、コード指定鍵域2aで離鍵操作がなされると、図14に示す伴奏鍵盤オフ処理ルーチンを実行し、CPU3はステップSJ1に処理を進め、正再生フラグの状態を判別する。この場合、正パターンの再生が進行しているから、正再生フラグはオン状態にあり、ステップSJ2,SJ3を介してコード進行が「II−V進行」であるかどうかを判断する。
【0044】
例えば、現在演奏している曲のキーがC(ハ調)で、ひとつ前のコード種が「Dm」で、現在のコード種が「G7」の場合、コード進行は「II−V進行」となり、上記ステップSJ2,SJ3の各判断結果が「YES」となり、ステップSJ4に処理を進め、副パターン用レジスタ5bにおける副再生フラグをオン設定し、副再生カウンタをリセットすると共に、副マスタカウンタをリセットして本ルーチンを完了する。
こうして副再生フラグがオン設定されると、前述した第1実施例と同様、副パターン再生処理が、テンポクロックTMPの周期に比して十分短い周期毎に、正再生カウンタの示す読み出しアドレスに従ってROM4から副パターンの時間データTIME(含む実行データEVENT)を読み出し、発音タイミングに同期して副パターンの自動伴奏が進行し始める。
このように、変形例によれば、予め指定しておいたコード進行に合致するようコード指定鍵域2aが押離鍵操作された場合に主パターンから副パターンに切換わるようにしたので、演奏操作をおろそかにすることなく伴奏形態を変更することが可能になっている。
【0045】
なお、この変形例では、説明の簡略化を図るため、予め設定される一つのコード進行となった場合にのみ、主パターンから副パターンに切換わる態様を例示したが、これに替えて、各種コード進行パターン毎に変更すべき伴奏形態を予め対応させておけば、コード進行パターンに応じて様々に伴奏形態を変更させることができる。
【0046】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明によれば、第1の伴奏パターンによる自動伴奏進行中に、伴奏鍵域にて時間差を持って複数の離鍵操作がなされ、その時間差が所定時間内なら、第1の伴奏パターンによる自動伴奏を停止させ、その離鍵操作の時間差に対応させた種類の伴奏パターンによる自動伴奏を進行させるので、鍵盤から手を離さずに所望の伴奏パターンに変更指示でき、従って演奏操作をおろそかにすることなく伴奏形態を変更することができる。請求項2に記載の発明によれば、第1の伴奏パターンによる自動伴奏進行中に、伴奏鍵域にて離鍵操作されたら、前回押鍵され離鍵操作されたコードと今回押鍵され離鍵操作されたコードとが予め指定したコード進行に合致する場合にのみ、第1の伴奏パターンによる自動伴奏を停止させ、合致したコード進行に対応させた種類の伴奏パターンによる自動伴奏を進行させるので、鍵盤から手を離さずに所望の伴奏パターンに変更指示でき、従って演奏操作をおろそかにすることなく伴奏形態を変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による第1実施例の構成を示すブロック図である。
【図2】レジスタ5a,5bの構成および伴奏パターンデータの構成を説明するための図である。
【図3】第1実施例による動作の一例を示す図である。
【図4】第1実施例によるスタートスイッチオン処理ルーチンの動作を示すフローチャートである。
【図5】第1実施例による正パターン再生処理ルーチンの動作を示すフローチャートである。
【図6】第1実施例による伴奏鍵盤オフ処理ルーチンの動作を示すフローチャートである。
【図7】第1実施例による副パターン再生処理ルーチンの動作を示すフローチャートである。
【図8】第2実施例による動作の一例を示す図である。
【図9】第2実施例による副パターン再生処理ルーチンの動作を示すフローチャートである。
【図10】第2実施例による伴奏鍵盤オン処理ルーチンの動作を示すフローチャートである。
【図11】離鍵データレジスタRDの構成を示す図である。
【図12】第3実施例による伴奏鍵盤オフ処理ルーチンの動作を示すフローチャートである。
【図13】第4実施例による伴奏鍵盤オフ処理ルーチンの動作を示すフローチャートである。
【図14】第4実施例の変形例による伴奏鍵盤オフ処理ルーチンの動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 パネルスイッチ
2 鍵盤
3 CPU
4 ROM
5 RAM
6 テンポクロック発生回路
7 音源
8 サウンドシテム
Claims (2)
- 伴奏鍵域におけるコードを表わす複数の押鍵操作に応じて第1の伴奏パターンによる自動伴奏を進行させる第1の伴奏制御手段と、
前記第1の伴奏パターンによる自動伴奏進行中に、前記伴奏鍵域にて時間差を持って複数の離鍵操作がなされた場合、当該離鍵の時間差が所定時間以内なら、前記第1の伴奏制御手段に伴奏停止を指示する一方、前記離鍵の時間差に対応させた種類の伴奏パターンによる自動伴奏を進行させる第2の伴奏制御手段と
を具備することを特徴とする自動伴奏装置。 - 伴奏鍵域の押鍵操作されたコードに応じて第1の伴奏パターンによる自動伴奏を進行させる第1の伴奏制御手段と、
前記第1の伴奏パターンによる自動伴奏進行中に、前記伴奏鍵域にてコードの離鍵操作がなされたら、前回押鍵されて離鍵操作されたコードと今回押鍵されて離鍵操作されたコードとが予め指定したコード進行に合致する場合にのみ、前記第1の伴奏制御手段に伴奏停止を指示する一方、合致したコード進行に対応させた種類の伴奏パターンによる自動伴奏を進行させる第2の伴奏制御手段と
を具備することを特徴とする自動伴奏装置。
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JP37185098A JP3620321B2 (ja) | 1998-12-28 | 1998-12-28 | 自動伴奏装置 |
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JP37185098A JP3620321B2 (ja) | 1998-12-28 | 1998-12-28 | 自動伴奏装置 |
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