JP3620201B2 - 苗整列搬送手段を備えた自動接ぎ木装置 - Google Patents

苗整列搬送手段を備えた自動接ぎ木装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、多数の植物苗を自動的に所定の場所に一挙に供給する苗供給装置に関し、特に、該苗供給装置において植物苗の子葉を一定の方向に整列し、かつ搬送する整列搬送手段を備えた植物苗の自動接ぎ木装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の自動接ぎ木装置としては、次のような種類の半自動または自動接ぎ木装置がある。
一つは共に苗根を有して台木苗箱に収容した台木苗および穂木苗箱に収容した穂木苗が、作業者によって1本ずつ順次に、台木苗は台木苗箱から台木苗供給部へ供給されて保持され、また、穂木苗は穂木苗箱から穂木苗供給部へ供給されて保持され、これら保持された台木苗を台木接ぎ木手段で引継ぎし、挟持し、切断して台木を生産し、また保持された穂木苗を穂木接ぎ木手段で引継ぎして、挟持し、切断して穂木を生産し、得られた台木に穂木を接合させて接ぎ木を終了させる半自動接ぎ木装置である。
【0003】
また他の一つは、苗根を有して台木苗箱に収容した台木苗および苗根を有して穂木苗箱に収容した穂木苗が、それぞれの苗を1本ずつ把持する機械的把持装置および把持装置移動機構によって1本ずつ順次に、台木苗は台木苗箱から台木苗供給部へ供給されて保持され、これら保持された台木苗を台木接ぎ木手段で引継ぎし、挟持し、切断して台木を生産し、また穂木苗は穂木苗箱から穂木苗供給部へ供給されて保持され、これら保持された穂木苗を穂木接ぎ木手段で引継ぎして、挟持し、切断して穂木を生産し、台木に穂木を接合させて接ぎ木を終了させる自動接ぎ木装置である。
【0004】
さらに、苗根を有して台木苗箱に収容した台木苗および苗根を有して穂木苗箱に収容した穂木苗は、それぞれの苗箱の多数の苗を1列分ずつ把持する機械的把持装置および把持装置移動機構によって1列分の複数の苗を一斉に取り上げ、1本ずつ順次に、台木苗は台木苗箱から台木苗供給部へ供給されて保持され、又穂木苗は穂木苗箱から穂木苗供給部へ供給されて保持され、これら保持された穂木苗を穂木接ぎ木手段で引継ぎして、挟持し、切断して穂木を生産し、又台木苗を台木接ぎ木手段で引継ぎし、挟持し、切断して台木を生産し、台木に穂木を接合させて接ぎ木を終了させる自動接ぎ木装置も知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前記3番目に記載した台木苗箱に収容した台木苗および穂木苗箱に収容した穂木苗の多数の苗を1列分ずつ把持して1列分の複数の苗を一斉に取り上げる把持装置移動機構を備えた自動接ぎ木装置は、作業者の手で苗木を供給する接ぎ木装置はもちろん、1本ずつ機械的に把持、供給する半自動接ぎ木装置に比べて格段の能率の向上があるが、苗木箱に育成された苗木の子葉展開の方向は必ずしも一定の方向を向いているとは限らず、一般に一斉に取り上げた苗木の子葉展開の方向は不揃いであるから、これを一定の方向に整列させないまま接ぎ木機構に引き継ぎして接ぎ木すると、苗木の切断位置、接ぎ木位置が一定とならず、接ぎ木作業に支障を来すという欠点があった。
【0006】
搬送・整列手段の公知技術として振動コンベア(日本機械学会発行 機械工学便覧改訂第6版16編35ページ)があるが、該振動コンベアは機械部品など剛体の搬送、整列には適していても、柔弱な植物苗に損傷を与えることなく、また萎れた状態にある植物苗でも適切に搬送、整列させる手段として適用できないという問題があった。
【0007】
本発明の課題は苗箱に収容した1列分の複数の苗を把持して一斉に取り上げる把持装置移動機構によって苗供給部に供給した複数の苗を1本ずつ順次に整列し搬送して接ぎ木機構で引継ぎし、保持し、挟持し、切断して台木苗および穂木苗を生産しかつ接ぎ木して接ぎ木苗を生産する際の上記問題点(子葉展開方向を整列する、整列・搬送に際して苗に損傷を与えない、萎れた苗でも取り扱えることなど)を解決して、接ぎ木作業に支障を来たさない苗供給部の整列搬送手段及び該苗整列搬送手段を備えた自動接ぎ木装置を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記課題は次の構成によって達成される。
すなわち、複数の苗を、搬送しながら子葉の方向を整列する苗整列搬送手段を備えた自動接ぎ木装置であって、該苗整列搬送手段は苗の子葉展開基部の直径よりも大きな幅寸法を持つスリットと、子葉を搭載する平面部とからなる苗整列搬送通路と、該苗整列搬送通路に前進方向の推力と同時に上方向の推力を与える振動装置とにより構成した苗整列搬送手段を備えた自動接ぎ木装置である。
【0009】
本発明によれば、苗整列搬送通路に前進方向の推力と同時に上方向の推力を与える振動装置により、苗の子葉の方向を整列しながら、苗整列搬送通路に与える振動と苗搬送くしの運動とが協同して苗を搬送することができる。このとき、苗の胚軸を遊嵌して苗を搬送する苗搬送くしを設けることにより、苗整列搬送通路に与える振動と苗搬送くしの運動とが協同して苗の搬送をより一層確実に行うことができる。
【0010】
本発明は苗供給装置に整列搬送手段を備えた自動接ぎ木装置も含むが、本発明の苗供給装置の整列搬送手段は自動接ぎ木装置用の苗の供給に限らず、一挙に供給された子葉展開の方向が不揃いの多数の苗を整列しながら所定の場所に搬送するための装置として使用できる。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の自動接ぎ木装置の実施の形態について図面とともに説明する。
本実施例の自動接ぎ木装置の苗供給装置は主に台木苗と穂木苗の接ぎ木装置に用いられるが、その場合、該装置はすべての構成は図示しないが、次のように機能を有する。
【0012】
すなわち、苗根を有して台木苗箱に収容した台木苗及び苗根を有して穂木苗箱に収容した穂木苗を、それぞれの苗箱から取り上げて苗供給部に苗を供給する把持ハンド手段は、苗木箱の複数の苗を1列分ずつ一斉に把持すると同時に、該把持した複数の苗の胚軸の根元部を一斉に切断して根鉢部と分離してから、苗供給部の整列搬送手段に根鉢を切断した苗を搬送する。
【0013】
上記把持ハンド手段は、直線状の把持ハンドおよび直線状の切断カッタを具備して苗箱の複数の苗を1列分ずつ一斉に把持すると同時に、該把持した複数の苗の胚軸の下部を一斉に切断するので、苗木箱の複数の苗の本数や植生ピッチが異なる場合でも1個の把持ハンド手段により苗を把持し、切断して苗供給部の整列搬送手段に搬送する。
【0014】
また、本発明の実施の態様の穂木苗供給部の終端には穂木接ぎ木機構に穂木苗を引き継ぐための穂木苗引き下ろし装置が設けられ、該装置は円筒形で軟質の柔毛で構成された苗引き込みブラシと、円筒形でゴムなどの弾性体で構成された苗引き込みローラとの二つの円筒体の間に形成されるスリット部に適正な圧力で穂木苗の胚軸を挟持し、かつ当接しながら低速で回転して穂木苗を引き込み、穂木苗供給部から穂木接ぎ木機構の把持ハンドに引き継ぐ穂木苗引き下ろしに際して、胚軸Fに損傷を与えず、穂木苗引き下ろしの胚軸の軸方向の張力により胚軸の曲がりを矯正し、穂木苗整列搬送通路の苗つり下げスリットを通して苗を引き下ろして、子葉がスリットを通過する際に子葉の向きを精密に修正して整列させる。
【0015】
また、本発明の実施の態様の台木苗供給部の終端には台木接ぎ木機構に台木苗を引き継ぐための台木苗把持ハンド手段が設けられ、台木苗を把持した上で移動して、台木苗を台木整列搬送通路の終端部下部から脱出させ、台木引き込みブラシにより台木苗を引き込み、把持ハンドの上面に台木苗の子葉展開基部を当接させて台木苗の上下方向の位置決めを精密に行うようにする。
【0016】
本発明の実施の態様の台木接ぎ木機構に設けられる胚軸固定ハンドは台木苗の胚軸の曲がりを矯正し、台木苗の胚軸を直線状にかつ確実に固定するように作用する。
【0017】
【実施例】
実施例1
本実施例はウリ科の野菜の根鉢部を切断して接ぎ木する自動接ぎ木装置1であり、台木苗Aから切断された台木苗Cと、穂木苗Bから切断された穂木苗Dとを接ぎ木して接ぎ木苗Kを生産する場合について説明する。
【0018】
台木苗Aおよび穂木苗Bの胚軸部の根本部の切断は、特にウリ科の野菜では育苗期間が短いため根鉢部ができにくく、根鉢付きでの処理は不安定になりやすいが、断根することにより安定した接ぎ木処理が可能になり、又断根育苗で一定高さに揃えることにより接ぎ木後の生育差の問題も解消できる構成としている。
【0019】
自動接ぎ木装置1は、図1(平面図)および図2(仮植装置側から見た側面図)に示すように機枠2を設け、機枠2内下部には、いずれも図示しないコンプレッサ、各電磁弁などを設け、この機枠上側には、台木苗供給部3、穂木苗供給部4及び台木・穂木接ぎ木部5を設け、さらに仮植装置8を設ける構成としている。
【0020】
自動接ぎ木装置1の機枠2は台木苗供給部機枠2a、穂木苗供給部機枠(図示せず)および仮植装置機枠2cからなり、本実施例では中央に台木苗供給部機枠2aを配置し、該台木苗供給部機枠2aの左右に穂木苗供給部機枠および仮植装置機枠2cを配置した例を示した(図1)。
【0021】
台木苗供給部3の台木苗供給部機枠2aには台木苗箱搬送ベルト11aが、穂木苗供給部4の穂木苗供給部機枠には穂木苗箱搬送ベルト11bが、仮植装置8の仮植装置機枠2cには接ぎ木苗箱搬送ベルト11cが、それぞれ巻装される。台木苗供給部機枠2aには複数の台木苗供給部柱部材3dが立設され、該柱部材3dの頂部に台木苗供給部フレーム3eが設けられ、該台木苗供給部フレーム3eに台木苗供給装置3bを懸架する。
【0022】
穂木苗供給部機枠には複数の穂木苗供給部柱部材(図示せず)が立設され、該柱部材の頂部に穂木苗供給部フレーム4eが接続されて、該穂木苗供給部フレーム4eに穂木苗供給装置4bを懸架する。
【0023】
台木苗供給部フレーム3eと穂木苗供給部フレーム4eとは、ボルトなどの締結手段により分離可能に接続されるが、台木苗供給部フレーム3eと穂木苗供給部フレーム4eとを一体に構成することもできる。台木苗供給部フレーム3eおよび穂木苗供給部フレーム4eの搬送ベルト11の進行方向下流側に隣接して、台木・穂木接ぎ木部フレーム5bを設ける。該台木・穂木接ぎ木部フレーム5bは穂木苗供給部機枠、台木苗供給部機枠2aおよび仮植装置機枠2cを跨いで設けられ、かつ穂木苗供給部機枠、台木苗供給部機枠2aおよび仮植装置機枠2cのそれぞれに立設する複数の台木・穂木接ぎ木部フレーム柱部材5aの頂部に接続され、該台木・穂木接ぎ木部フレーム5bに台木・穂木接ぎ木部5を懸架する。
【0024】
台木・穂木接ぎ木部5は台木接ぎ木機構5c、穂木接ぎ木機構6cおよびクリップ供給機構(図示せず)からなり、台木・穂木接ぎ木部5で接ぎ木された接ぎ木苗Kは仮植装置8に引き継がれて仮植される。
【0025】
以下に穂木苗供給部4について説明する。図1ないし図7に示すように穂木苗供給部4は穂木苗箱供給装置(図示せず)および穂木苗供給装置4bから構成される。
【0026】
なお、図3〜図6においては穂木苗用の装置の説明をしているが、台木苗用の装置の対応する部材には30番台の番号を符してその説明は省略する。
【0027】
穂木苗供給装置4bは穂木苗供給部機枠2cおよび穂木苗供給部フレーム4eに載置および懸架され、穂木苗Bの把持ハンド41、切断カッタ42、把持ハンド移動シリンダ43、把持ハンド上下シリンダ44及び把持ハンド旋回シリンダ45および穂木整列搬送手段4cからなる。
【0028】
穂木整列搬送手段4cは穂木苗供給部機枠(図示せず)および穂木苗供給部フレーム4eに懸架され、穂木整列搬送通路46、穂木整列振動シリンダ47、穂木搬送くし48、穂木搬送くし移動モータ48a及びくし押し出しシリンダ48bからなる(図7参照)。
【0029】
穂木苗箱供給装置は穂木苗供給部機枠に設けた穂木苗箱搬送ベルト11bに穂木苗箱(ロ)を搭載して搬送し、上記穂木苗供給装置4bおよび穂木整列搬送手段4cとともに図示しない制御装置により制御される。
【0030】
本発明自動接ぎ木装置の穂木苗供給部4の作動について図面を参照しながら以下に説明する。
穂木苗箱(ロ)に収容されたセルトレイ20の複数列、複数行の交点に設けられたポット21に植え付けられた穂木苗Bは、図示しない積載装置により穂木苗箱(ロ)のまま穂木苗搬送ベルト11bに積載され、搬送されて穂木苗供給部4の苗取り位置に到着し、穂木苗搬送ベルト11bの停止とともに一旦停止する。
【0031】
図3(b)、図4及び図5(a)に示すように、把持ハンド41は把持部材41bが開放位置にあり、把持ハンド移動シリンダ43は後退位置にあるが、搬送ベルト11bの停止後、まず把持ハンド移動シリンダ43が前進して、セルトレイ20の横方向から穂木苗1列分について、把持ハンド41の開口部を穂木苗Bの子葉Hの下側に挿入する(図5(b))。
【0032】
次いで図示しないシリンダが作動して把持部材41bを把持ハンド本体41aに引き寄せて閉じると、穂木苗Bの胚軸Fの下部は把持部材41bと把持ハンド本体41a側に固着されたスポンジ状の柔軟部材41cとに挟持される。このときさらに把持部材41bを把持ハンド本体41aに引き寄せると柔軟部材41cの下部に設けた切断カッタ42(図3(b))が胚軸Fに当接し、胚軸Fを切断するので、胚軸Fの切断カッタ42よりも上部は把持部材41bと柔軟部材41cにより把持された状態のまま、穂木苗Bの根鉢部と胚軸Fとが分離可能になる。
【0033】
把持部材41b、柔軟部材41c及び切断カッタ42は穂木苗箱(ロ)のセルトレイ20の1列分の長さを持ち、一斉に作動するので、1列分の穂木苗Bの胚軸Fが一斉に把持、切断されることになる(図5(c))。
【0034】
把持ハンド上下シリンダ44(図3(a))が上昇して切断された穂木苗Dを根鉢部から分離して、把持ハンド移動シリンダ43を後退させ、把持ハンド旋回シリンダ45を90度旋回させて、把持ハンド41を穂木整列搬送手段4cに臨ませる(図6(a))。
【0035】
把持ハンド移動シリンダ43が前進して図6(b)に示すように把持ハンド41は穂木苗Dを把持したまま穂木整列搬送手段4cの穂木整列搬送通路46の下に進入する。穂木整列搬送通路46には搬送方向にスリット46c(図7(b))が設けてあり、穂木苗の胚軸Fがスリット46cに遊嵌され、穂木苗Dの子葉Hは穂木整列搬送通路46の上面よりも上側に位置するように挿入されるので、把持ハンド41を開くと、穂木苗Dは若干落下して子葉Hの裏面側が穂木整列搬送通路46の上面側に当接する位置で穂木整列搬送通路46に搭載される。
【0036】
この後、把持ハンド移動シリンダ43は後退し、上下シリンダ44が下降し、旋回シリンダ45が上記と反対方向に90度旋回して把持ハンド41を当初の位置に戻す。この間に搬送コンベア11bは穂木苗箱(ロ)をセルトレイ20のポット21の1列分だけ搬送して、つぎの1列の穂木苗Bの苗木供給に備える。
【0037】
図7は穂木整搬送列手段4cの部分詳細を示す図面であり、図7(a)は図6(a)のa−a線矢視正面図であり、図7(b)は図7(a)のb−b線矢視平面図であり、図8(a)は図7(a)のc−c線矢視側面図であり、図7(b)は図7(a)のd−d線矢視一部切り欠き平面図である。
【0038】
穂木整列搬送手段4cの穂木整列搬送通路46は切断された穂木苗Dを傷つけることなく受け入れるためのテーパー入り口部46b(図7(b))を持ち、2本の向き合ったL形の搬送板46a、46aの平行な隙間が形成するスリット46cに、上述のように把持ハンド41に把持されたセルトレイ20の1列分の複数の穂木苗Dを、ほぼポット21の間隔のまま受け入れて、切断された穂木苗Dを子葉Hの裏面側を穂木整列搬送通路46の上面側に当接させ、子葉Hに支持されて胚軸Fをスリット46cからつり下げた形で搭載する(図7(a))。穂木整列搬送通路46の搬送方向に延びるスリット46cの幅寸法は子葉展開基部Iの直径よりも大きくして、スリット46cには子葉展開基部Iを遊嵌させて穂木整列搬送通路46の上面側に子葉Hの裏面が当接する構成としている。
【0039】
穂木整列搬送通路振動シリンダ47は穂木苗Dの装填完了信号を受けたとき(図6(b)参照)及び穂木苗Dの1本の苗引き込み(穂木接ぎ木機構6cへの引き継ぎ)完了信号を受けたとき振動を開始し、次の1本の穂木苗Dが穂木整列搬送通路46の終端に到着したとき振動を停止するように制御する。
【0040】
穂木整列搬送通路振動シリンダ47の一端47aは、重りを前後に振動させて起振力を発生させ、他端は穂木整列搬送通路46の連結部材49cに連結する(図8(a)参照)。穂木整列搬送通路振動シリンダ47の軸線と穂木整列搬送通路46の搬送方向とのなす角度θは20度から45度に設定する。穂木整列搬送通路46は、つり枠49a、バネ受け49d及びバネ49eを介して穂木苗供給部フレーム4eに固着されたブラケット49fに揺動可能に支承されるので、穂木整列搬送通路振動シリンダ47を駆動すると、その振動にしたがって振動させられる。
【0041】
穂木整列搬送通路振動シリンダ47の振動方向Vは図9に示すように穂木整列搬送通路46の前進搬送方向とは角度θをなしているので、穂木整列搬送通路46には前進方向推力Vx=Vcosθおよび上方向推力Vy=sinθの振動力が作用し、穂木整列搬送通路46に搭載された穂木苗Dに前進方向推力Vxおよび上方向推力Vyの振動力が作用し、穂木苗Dを整列しながら、次に述べる穂木輸送くし48の作動と共同して穂木苗Dを穂木接ぎ木機構6c側に搬送する。
【0042】
穂木搬送くし48は、穂木苗Dが穂木把持ハンド41により穂木整列搬送通路46に装填されるときには後退位置(図8(b)矢印▲4▼)にあって、くしの歯48cが胚軸Fに干渉しないようにし、穂木苗Dの穂木整列搬送通路46への装填完了、かつ穂木整列搬送通路振動シリンダ47の振動開始とともに、まず、くし押し出しシリンダ48bを駆動して穂木搬送くし48を押し出して、くしの歯48cの間に胚軸Fを遊嵌させ(図8(b)の矢印▲1▼)、次いでくし移動モータ48aを駆動して穂木搬送くし48を穂木接ぎ木機構6c側に移動させ、くしの歯48cの間に遊嵌した胚軸Fを穂木接ぎ木機構6c側に前進搬送し(図8(b)矢印▲2▼)、くし移動モータ48aのストロークエンドで一旦くし押し出しシリンダ48bを後退(図8(b)矢印▲3▼)させ、くし移動モータ48aも後退(図8(b)矢印▲4▼)させて再び上記の動作を繰り返す。
【0043】
この間、穂木整列搬送通路振動シリンダ47の振動により、穂木苗Dの子葉Hには穂木整列搬送通路46の上で前進方向推力Vxおよび上方向推力Vyの振動力が作用し、半浮遊状態にあり整列されながら前進しようとしているので、子葉Hと穂木整列搬送通路46とが付着したり、摩擦したりすることなく、子葉Hは軽快に穂木整列搬送通路46の上面を前進移動し、穂木整列搬送通路46の終端まで搬送される。
【0044】
図示しない検出器により穂木苗Dが穂木整列搬送通路46の終端に到着したことが検出されると、穂木整列搬送通路振動シリンダ47およびくし移動モータ48aは停止し、くし押し出しシリンダ48bは後退(図8(b)矢印▲4▼)して胚軸Fとくしの歯48cとは非接触状態となり、ここで詳細を図示しない穂木接ぎ木機構6cに穂木苗Dを引き継ぐ。
【0045】
本実施例の自動接ぎ木装置によれば、その穂木苗供給部により穂木苗箱1列分の複数の苗が一斉に把持され、切断され、移送されて搭載された複数の穂木苗は搬送されながら子葉の方向を整列する穂木整列搬送手段を有するので、整列搬送手段の整列搬送通路は穂木苗の子葉展開基部の直径よりも大きな寸法を持つスリットと子葉を搭載する平面部とにより形成される。また、穂木苗整列搬路に前進方向の推力を与える振動装置は、振動の推力を上方にも与えるように構成されているので、柔弱で損傷を受けやすく、湿潤していて平面部搬送通路に付着しやすく、また子葉が萎れて平面部搬送通路との摩擦力が大である苗でも、苗を痛めたり傷つけたりすることなく、苗を半浮遊状態として、子葉の方向を整列しながら搬送できるという効果が得られる。
【0046】
実施例2
本発明の第2の課題は、穂木苗の整列搬送手段を備えた自動接ぎ木装置において、穂木苗の胚軸をスリット46cに遊嵌し、子葉を整列搬送通路に懸架して、搬送通路に与える前進方向の振動的推力を子葉を経て穂木苗に伝達することにより、穂木苗の搬送は極めて良好に行われるが、子葉展開方向の整列が必ずしも完全ではないので、この問題点を解決することである。
【0047】
上記課題を解決する本発明の実施の態様は、穂木苗をつり下げて搬送方向に案内するスリット46cを持つ整列搬送通路46と、該整列搬送通路46を振動させる振動シリンダ47と、振動する整列搬送通路上の穂木苗相互の間隔を保ち一定の速度で穂木苗を接ぎ木装置5に搬送する穂木搬送くし48とから構成された穂木苗供給装置4bに設けられる穂木整列搬送手段4cにおいて、図7(b)に示す穂木整列搬送通路46に設けられたスリット46cの幅Sを穂木苗の子葉展開基部の直径よりも大きな寸法とする構成を特徴とする。
【0048】
すなわち穂木整列搬送手段4cの搬送通路46は、穂木苗の子葉展開基部の直径よりも大きな寸法を持ったスリット46cと子葉Hを搭載する平面部46aからなり、その搬送通路46には振動シリンダ47により前進方向の振動的推力が与えられ、穂木苗は子葉展開部をスリット46cに遊嵌するので、子葉の裏面のみが搬送通路46の平面部46aに接触し、左右の子葉には前進方向の振動的推力が均等に加えられることになり、穂木苗は子葉の方向を整列されるとともに前進方向に搬送されることになる。
【0049】
本実施例によれば、穂木苗の整列搬送は穂木苗子葉に作用する整列搬送通路の前進方向の振動的推力によるので、穂木苗に過大な力を作用させることがなく、穂木苗の子葉展開方向を確実に整列し、整列搬送に際して穂木苗に損傷を与えることなく、さらに萎れた穂木苗でも取り扱えるという効果が得られる。
【0050】
また、本実施例を上記の実施例1とともに実施して整列搬送通路に上方向およびの前進方向の振動的推力を作用させ、搬送くし48を設けて搬送することによりさらに穂木苗の整列および搬送を確実にすることができる。
【0051】
実施例3
本発明の第3の課題は、穂木苗Dの整列搬送手段を備えた自動接ぎ木装置において、穂木苗Dをつり下げて搬送方向に案内するスリット46cの幅寸法を穂木苗子葉展開基部の直径よりも大にした場合に、穂木苗はスリット46cに子葉展開基部を遊嵌し、子葉Hを整列搬送通路に懸架して前進方向の振動的推力を受けるので、穂木苗Dの搬送は極めて良好に行われるが、子葉展開方向の整列は必ずしも完全ではないので、これを解決することである。
【0052】
上記課題を解決する本発明の実施の態様は、穂木苗Dをつり下げて搬送方向に案内するスリット46cを持つ整列搬送通路46と、該整列搬送通路46を振動させる振動シリンダ47と、振動する整列搬送通路上の穂木苗D相互の間隔を保ち一定の速度で穂木苗を接ぎ木装置5に搬送する穂木搬送くし48とからなる穂木整列搬送手段4cにおいて、図7(a)および図7(b)に示す穂木整列搬送通路46の通路幅寸法Wを穂木苗Dの子葉Hの幅よりも大きな寸法とする構成を特徴とする。
【0053】
すなわち穂木整列搬送手段4cの搬送通路46には、穂木苗Dの子葉Hの幅寸法よりも大きな幅寸法Wを有する平面部46aを設け、搬送通路46には振動シリンダ47により前進方向の振動的推力が与えられ、穂木苗Dは子葉Hを平面部46aに搭載して、子葉Hの裏面のみに前進方向の振動的推力が加えられるので、搬送通路幅寸法Wが小さい場合のように子葉Hの先端にも推進力が働いて子葉H裏面に作用する推進力との干渉により整列が不完全となることがなくなり、穂木苗Dの子葉Hを良好に整列させるとともに適切に搬送することができるという優れた効果がえられる。
【0054】
本実施例は上記の実施例1および実施例2と組み合わせて実施してさらに穂木苗の整列および搬送を確実にすることができる。
【0055】
実施例4
本発明の第4の課題は、穂木苗の整列搬送手段を備えた自動接ぎ木装置において、穂木苗Dの子葉Iを整列搬送通路に搭載し、前進方向の振動的推力を与えて、穂木苗Dの整列搬送を行う場合に、少数であるが整列不良のものが発生して、そのまま接ぎ木機構に引き継ぎすれば不良の接ぎ木苗を生産することになるので、整列不良を確実に解消することである。
【0056】
上記第4の課題を解決する本発明の実施の態様を図10を用いて説明する。図10は図7と同様に穂木整列搬送手段4cの部分詳細を示す図面であり、図10(a)は図6(a)のa−a線矢視正面図であり、図10(b)は図10(a)のb−b線矢視平面図であり、図10(c)は図10(a)のc−c線矢視側面図である。
【0057】
すなわち図10(a)、(b)、(c)に示すように、穂木苗Dの子葉展開基部の直径よりも大きな寸法を持ったスリット46cと子葉Hを乗せる平面部とからなる搬送通路46をもち、その搬送通路46に前進方向の推力を与える振動を加える振動シリンダ47を備えた穂木整列搬送手段4cにおいて、搬送通路46の終端に搬送通路と一体で搬送通路から立設する板状の遮蔽物46dを設けて、穂木苗Dの進行を遮蔽する構造としたことを特徴とする。
【0058】
該遮蔽物46dは搬送通路46を進行してきた穂木苗Dの子葉Hに当接する位置に設けられるので、子葉Hの整列が不完全な場合には先に到着した一方の子葉Hの先端が当接して後に到着する他方の子葉Hの先端が当接するまで一方の子葉Hの進行を停止するので、最終的には両方の子葉Hが当接して子葉Hは遮蔽物46dと平行、つまり整列されるように作用する。
【0059】
本実施例によれば、穂木整列搬送手段4cにおいて少数であるが穂木苗Dの整列不良のものが発生して、そのまま接ぎ木機構に引き継ぎすれば不良の接ぎ木苗を生産することになるのを、遮蔽物46cを設けることにより穂木苗Dの整列不良を確実に解決することができる。
【0060】
本実施例は上記実施例1ないし3と組み合わせて実施すると、さらに優れた効果を得ることができる。
【0061】
実施例5
本発明の第5の課題は、穂木苗の整列搬送手段を備えた自動接ぎ木装置において、穂木苗の子葉を整列搬送通路に搭載し、前進方向の振動的推力を与えて、穂木苗の整列搬送を行う場合に、少数であるが整列不良のものが発生して、そのままこれを接ぎ木機構に引き継ぎすれば不良の接ぎ木苗を生産することになるので、整列不良の穂木苗を排除できるようにすることである。
【0062】
上記第5の課題を解決する本発明の実施の態様を図11を用いて説明する。図11は図7と同様に穂木整列搬送手段4cの部分詳細を示す図面であり、図11(a)は図6(a)のa−a線矢視正面図であり、図11(b)は図11(a)のb−b線矢視平面図であり、図11(c)は図11(a)のc−c線矢視側面図である。
【0063】
すなわち本実施例は、図11(a)、(b)、(c)に示すように、穂木苗Dの子葉展開基部の直径よりも大きな寸法を持ったスリット46cと子葉Hを乗せる平面部とからなる搬送通路46を持ち、その搬送通路46に前進方向の推力を与える振動シリンダ47を備えた穂木整列搬送手段4cにおいて、搬送通路46の終端に開閉可能な板状の可動遮蔽物46eを設けて、常時は搬送通路から立設して穂木苗Dの進行を遮蔽して穂木苗Dの整列を行うとともに、どうしても子葉Hの方向が整列しないものが発生した場合には、該可動遮蔽物46eを上方に引き上げて開放し、整列しない苗Dを搬送通路46から放出する構成としたことを特徴とする。可動遮蔽物46eは、目視または適当なセンサーにより整列不良苗の発生を検出して、図示しない制御手段により開放操作を行う。
【0064】
本実施例では、穂木整列搬送手段4cにおいて極めて少数であるが穂木苗Dの整列不良のものが発生して、これをそのまま接ぎ木機構に引き継ぎすれば不良の接ぎ木苗を生産することになるのを、可動遮蔽物46eを設けて整列不良の穂木苗Dを搬送通路から排出して不良の接ぎ木苗の発生を防止し、接ぎ木装置全体のシステムの正常な連続運転を可能にすることができる。
【0065】
実施例6
本発明の第6の課題は、自動接ぎ木装置の台木苗の整列搬送手段が切断された台木苗Cは穂木苗Dと異なり子葉Hが展開しないために子葉Hに推進力を与えにくいことと、自動接ぎ木装置における子葉整列方向が穂木苗Dと異なることを解決して台木苗Cの整列搬送を行うことであり、これを上記実施例1ないし5とは異なる構成により達成しようというものである。
【0066】
本実施例の台木整列搬送手段3cを図1ないし図6および図12に示す。図12(a)は図6(a)のa−a線矢視立面図であり、図12(b)は図12(a)のb−b線矢視平面図であり、図12(c)は図12(a)のc−c線矢視側面図である。
【0067】
本自動接ぎ木装置の台木苗供給部3の作動は実施例1に述べた穂木苗供給部4の作動と同一であるので一部を省略して説明する。
【0068】
台木整列搬送手段3cの台木整列搬送通路36は切断された台木苗Cを傷つけることなく受け入れるためのテーパー入り口部36b(図12(b))を持ち、2本の向き合ったL形の搬送板の平面部36a、36aの平行な隙間が形成するスリット36cに、把持ハンド31に把持されたセルトレイ20の1列分の複数の台木苗Cを、ほぼポット21の間隔のまま受け入れて、切断された台木苗Cを子葉展開基部Iの近傍の子葉側面をスリット36cに当接し、子葉側面に支持されて胚軸Eをスリット36cに遊嵌して搬送通路36からつり下げた形で搭載する(図12(a)、(b)、(c))。このためスリット36cの幅寸法sは子葉展開基部Iの近傍の子葉側面中よりも大にする。
【0069】
台木整列搬送通路振動シリンダ37は台木苗Cの装填完了信号を受けたとき(図6(b)参照)及び台木苗Cの1本の苗引き込み(台木接ぎ木機構5cへの引き継ぎ)完了信号を受けたとき振動を開始し、次の1本の台木苗Cが台木整列搬送通路36の終端に到着したとき振動を停止するように制御する。
【0070】
台木整列搬送通路振動シリンダ37の構成および作動は穂木整列搬送通路振動シリンダ47の構成および作動と同一である。
【0071】
台木搬送くし38の構成および作動は穂木搬送くし48の構成および作動と同一である。
【0072】
台木苗Cは穂木苗Dの子葉Hのように展開しないため搬送通路平面部にその子葉Gは接触せず、台木整列搬送通路振動シリンダ37の振動はスリット36cに接触する台木苗Cの子葉展開基部Iの近傍の子葉側面に伝達されて、台木苗Cに前進方向推力および上方向推力の振動力が作用され、台木苗Cを半浮遊状態に踊らせながら前進させ、子葉Gの展開角近傍の苗の幅の広い方向、つまり子葉展開方向がスリット36cに沿った方向にはまり込み、苗Cの整列がなされつつ前進移動して、台木整列搬送通路36の終端まで搬送される。
【0073】
図示しない検出器により台木苗Cが台木整列搬送通路36の終端に到着したことが検出されると、台木整列搬送通路振動シリンダ37およびくし移動モータ38aは停止し、くし押し出しシリンダ38bは後退(図12(d)矢印▲4▼)して胚軸Fとくしの歯38cとは非接触状態となり、台木苗Cは台木接ぎ木機構5cに引き継ぎされる。
【0074】
本実施例によれば、自動接ぎ木装置1において台木苗箱1列分の複数の苗Cを一斉に把持し、切断し、移送する台木苗供給部により搭載された複数の台木苗Cを、搬送しながら子葉Gの方向を整列する台木整列搬送手段3cであって、整列搬送手段3cの整列搬送通路36は台木苗Cの子葉展開基部Iの近傍の子葉側面巾よりも大きな寸法を持ったスリット36cと平面部とにより形成し、かつ台木苗整列搬送通路に前進方向の推力を与える振動装置が、振動の推力を上方にも与えるように構成したので、台木苗Cは半浮遊状態で踊りながら整列され、軽快に搬送されるので、柔弱で損傷を受けやすく、湿潤していて平面部搬送通路に付着しやすく、また子葉Gが萎れて平面部搬送通路との摩擦力が大である植物苗でも、苗を痛めたり傷つけたりすることなく子葉の方向を整列、搬送できる。
【0075】
実施例7
本発明の第7の課題は、自動接ぎ木装置1の台木苗整列搬送手段3cにおいて、切断された台木苗Cの子葉展開基部Iの近傍の子葉側面をスリット36cに当接させ、胚軸Eをスリット36cに遊嵌して搬送通路36からつり下げた形で搬送方向に案内する場合に、台木苗は前進方向の振動的推力を受けるので、その搬送は極めて良好に行われるが、子葉Gの整列は必ずしも良好でないが、これを解決して子葉Gの整列が確実にすることである。
【0076】
上記第7の課題を解決する本発明の実施の態様は、図13に示す通りで、ここに図13(a)は図6(a)のa−a線矢視立面図であり、図13(b)は図13(a)のb−b線矢視平面図であり、図13(c)は図13(a)のc−c線矢視側面図である。切断された台木苗Cを子葉展開基部の近傍の子葉側面でスリット36cに当接し、胚軸Eをスリット36cに遊嵌して、台木苗Cをつり下げて搬送方向に案内する整列搬送通路36と、該整列搬送通路36を振動させる振動シリンダ37と、振動する整列搬送通路36c上の台木苗相互の間隔を保ち一定の速度で台木苗Cを接ぎ木装置5に搬送する台木搬送くし38とから構成された台木整列搬送手段3cにおいて、図13(a)、(b)、(c)に示すように台木整列搬送通路36に子葉Gとほぼ等しい幅で搬送通路36よりも一段低い溝状の搬送路溝36dを設けたことを特徴とする。
【0077】
すなわち台木整列搬送手段3cの搬送通路36は、台木苗Cの子葉Gの幅とほぼ等しい幅で平面部36aよりも一段落ち込んだ搬送路溝36dを持つので、子葉Gがこの搬送路溝36dにはまりこめば子葉Gの方向を強制的に整列されるとともに前進方向に搬送されることになる。
【0078】
本実施例によれば、台木苗Cの整列搬送は台木苗子葉側面に作用する整列搬送通路36の前進方向および上方向の振動的推力によるので、台木苗Cに過大な力を作用させることがなく、かつ子葉Gが搬送路溝36dにはまり込むことにより台木苗Cの子葉展開方向を確実に整列することができ、整列搬送に際して台木苗Cに損傷を与えることなく、さらに萎れた台木苗Cでも取り扱えるという効果が得られる。
【0079】
実施例8
自動接ぎ木装置の台木苗の整列搬送手段3cにおいて、切断された台木苗Cを子葉展開基部Iの近傍の子葉側面をスリット36cに当接し、胚軸Eをスリット36cに遊嵌して搬送通路36からつり下げた形で搬送方向に案内する場合に、台木苗Cは前進方向の振動的推力を受けるので、その搬送は極めて良好に行われ、かつ搬送通路366に搬送路溝36dを設けることにより子葉Gの整列も良好になるが、搬送路溝36dにはまり込まない子葉Gの整列は困難であり、解決を要する課題となっている。
【0080】
上記第8の課題を解決する本発明の実施の態様は、図14に示す通りで、ここに図14(a)は図6(a)のa−a線矢視立面図であり、図14(b)および(d)は図14(a)のb−b線矢視平面図であり、図14(c)は図14(a)のc−c線矢視側面図である。
【0081】
切断された台木苗Cを子葉展開基部Iの近傍の子葉裏面を台木整列搬送通路36の上面側に当接し、子葉裏面に支持されて胚軸Eをスリット36cに遊嵌して搬送通路36からつり下げた形で搭載する整列搬送通路36と、該整列搬送通路36を振動させる振動シリンダ37と、振動する整列搬送通路36上の台木苗相互の間隔を保ち一定の速度で台木苗Cを接ぎ木装置5に搬送する台木搬送くし38とから構成された台木整列搬送手段3cにおいて、図14(a)、(b)、(c)、(d)に示すように台木整列搬送通路36に子葉Gとほぼ等しいの幅の搬送路溝36dを設けるほかに、搬送通路36a終端の手前の一方の搬送路溝36dの上部にピン36eを立設したことを特徴とする。
【0082】
すなわち本実施例の搬送通路36にはピン36eが立設していて、台木苗の子葉Gが整列されないまま搬送されると、一方の子葉Gはピン36eに当接して旋回させられて搬送路溝36dにはまり込み、子葉Gの方向を強制的に整列させるとともに前進方向に搬送されることになる。
【0083】
本実施例によれば、台木苗Cの整列搬送は台木苗子葉裏面に作用する整列搬送通路36の前進方向および上方向の振動的推力によるので、台木苗Cに過大な力を作用させることがなく、かつ整列していない台木苗Cも子葉Gがピンに当接して、旋回させられて、搬送路溝36dにはまり込むので、台木苗Cの子葉G方向を確実に整列し、整列搬送に際して台木苗Cに損傷を与えることなく、さらに萎れた台木苗Cでも取り扱えるという優れた効果が得られる。
【0084】
実施例9
自動接ぎ木装置1の台木苗Cの整列搬送手段3cにおいて、切断された台木苗Cを子葉展開基部の近傍の子葉側面をスリット36cに当接し、胚軸Eをスリット36cに遊嵌して搬送通路36からつり下げた形で搬送方向に案内する場合に、台木苗は前進方向の振動的推力を受けるので、その搬送は極めて良好に行われ、かつ搬送通路に搬送路溝およびピンを設けることにより子葉の整列も良好になるが、台木苗Cの本葉が大きく成長していると本葉がピンと反対側の溝の壁に引っかかり子葉Gの方向転換が不可能となり、子葉Gが搬送路溝36dにはまりこまないために整列は困難となり、この問題点を解決を要するものが本実施例である。
【0085】
上記第9の課題を解決する本発明の実施の態様は、図15に示す通りで、ここに図15(a)は図14(b)または図14(d)と同様の平面図であり、図15(b)は図15(a)のb−b線矢視側面図である。台木整列搬送通路36と、該整列搬送通路36を振動させる振動シリンダ37と、振動する整列搬送通路36上の台木苗相互の間隔を保ち一定の速度で台木苗Cを台木接ぎ木機構5cに搬送する台木搬送くし38とから構成された台木整列搬送手段3cにおいて、図15(a)、(b)に示すように台木整列搬送通路36に子葉Gとほぼ等しい幅の搬送路溝36dを設け、搬送通路36終端の手前の一方の搬送路溝36dの上部にピン36eを立設し、かつピン36eと反対側の搬送路溝36dの垂直部の壁を切り欠いて切り欠き部36fとしたことを特徴とするものである。
【0086】
すなわち本実施例の搬送通路36にはピン36eが立設していて、台木苗の子葉Gが整列されないまま搬送されると、一方の子葉Gはピン36eに当接して旋回させられて搬送路溝36dにはまりこむ際に、切り欠き部36fを設けたので本葉Jが大きく成長していても本葉Jと搬送路溝36dと干渉することがなく、子葉Gが搬送路溝36dにはまりこみ、子葉Gの方向を強制的に整列させながら台木苗を前進方向に搬送することができる。
【0087】
本実施例によれば、台木苗Cの整列搬送は台木苗子葉裏面に作用する整列搬送通路36の前進方向および上方向の振動的推力によるので、台木苗Cに過大な力を作用させることがなく、かつ整列していない台木苗Cも子葉Gがピン36eに当接して、旋回させられ、本葉が成長していても搬送路溝36dに干渉することなく子葉Gが搬送路溝36dにはまり込むので、台木苗Cの子葉G方向を確実に整列し、整列搬送に際して台木苗Cに損傷を与えることなく、さらに萎れた台木苗Cでも取り扱えるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の自動接ぎ木装置の平面図である。
【図2】本発明の一実施例の自動接ぎ木装置の一部切り欠き側面図である。
【図3】本発明の一実施例の台木苗および穂木苗把持ハンドの側面図(図3(a))および一部切り欠き断面図(図3(b))である。
【図4】本発明の一実施例の台木苗および穂木苗把持ハンドと台木苗箱および穂木苗箱の初期位置を示す平面図である。
【図5】本発明の一実施例の台木苗供給部および穂木苗供給部の作動を示す平面図である。
【図6】本発明の一実施例の台木苗供給部および穂木苗供給部の作動を示す平面図である。
【図7】本発明の実施例1ないし3の穂木整列搬送手段の正面図(a)、平面図(b)である。
【図8】本発明の実施例1ないし3の穂木整列搬送手段の側面図(c)および一部切り欠き平面図(d)である。
【図9】本発明の一実施例の穂木整列搬送手段の振動装置の作用を示す図である。
【図10】本発明の実施例4の穂木整列搬送手段の正面図(a)、平面図(b)および側面図(c)である。
【図11】本発明の実施例5の穂木整列搬送手段の正面図(a)、平面図(b)および側面図(c)である。
【図12】本発明の実施例6の台木整列搬送手段の正面図(a)、平面図(b)、側面図(c)および一部切り欠き平面図(d)である。
【図13】本発明の実施例7の台木整列搬送手段の正面図(a)、平面図(b)および側面図(c)である。
【図14】本発明の実施例8の台木整列搬送手段の正面図(a)、平面図(b)、(d)および側面図(c)である。
【図15】本発明の実施例9の台木整列搬送手段の平面図(a)および側面図(b)である。
【符号の説明】
A 台木苗 B 穂木苗
C 切断された台木苗 D 切断された穂木苗
E 台木苗の胚軸 F 穂木苗の胚軸
G 台木苗の子葉 H 穂木苗の子葉
I 子葉展開基部 J 本葉
K 接ぎ木苗
(イ) 台木苗箱 (ロ) 穂木苗箱
(ハ) 接ぎ木苗箱
1 自動接ぎ木装置 2 機枠
2a 台木苗供給部機枠 2b 穂木苗供給部機枠
2c 仮植装置機枠 3 台木苗供給部
3b 台木苗供給装置 3c 台木整列搬送手段
3d 台木苗供給部柱部材 3e 台木苗供給部フレーム
4 穂木苗供給部
4b 穂木苗供給装置 4c 穂木整列搬送手段
4e 穂木苗供給部フレーム 5 台木・穂木接ぎ木部
5a 台木・穂木接ぎ木部フレーム柱部材
5b 台木・穂木接ぎ木部フレーム 5c 台木接ぎ木機構
6c 穂木接ぎ木機構 8 仮植装置
8a 仮植装置柱部材 8b 仮植装置フレーム
11 搬送ベルト手段 11a 台木苗箱搬送ベルト
11b 穂木苗箱搬送ベルト 11c 接ぎ木苗箱搬送ベルト
12 駆動手段 12a 台木苗箱搬送ベルト駆動手段
12b 穂木苗箱搬送ベルト駆動手段 12c 接ぎ木苗箱搬送ベルト駆動手段
20 セルトレイ 21 ポット穴
31 台木苗供給部台木苗把持ハンド 31a 把持ハンド本体
31b 把持部材 31c 柔軟部材31c
32 切断カッタ
33 把持ハンド移動シリンダ 34 把持ハンド上下シリンダ
35 把持ハンド旋回シリンダ 36 台木整列搬送通路
36a、36a 搬送通路平面部 36b テーパー入り口部
36c スリット 36d 搬送路溝
36e ピン 36f 溝切り欠き部
37 台木整列搬送通路振動シリンダ 37a 振動シリンダの一端
37b 振動シリンダの他端
38 台木搬送くし 38a くし移動モータ
38b くし押し出しシリンダ 38c くしの歯
39a つり枠 39b つり枠連結部材
39c 連結部材 39d バネ受け
39e バネ 39f ブラケット
41 穂木苗供給部穂木苗把持ハンド 41a 把持ハンド本体
41b 把持部材 41c 柔軟部材31c
42 切断カッタ
43 把持ハンド移動シリンダ 44 把持ハンド上下シリンダ
45 把持ハンド旋回シリンダ 46 穂木整列搬送通路
46a、46a 搬送通路平面部 46b テーパー入り口部
46c スリット 46d 遮蔽物
46e 可動遮蔽物
47 穂木整列搬送通路振動シリンダ 47a 振動シリンダの一端
47b 振動シリンダの他端
48 穂木搬送くし 48a くし移動モータ
48b くし押し出しシリンダ 48c くしの歯
49a つり枠 40b つり枠連結部材
49c 連結部材 49d バネ受け
49e バネ 49f ブラケット

Claims (1)

  1. 複数の苗を、搬送しながら子葉の方向を整列する苗整列搬送手段を備えた自動接ぎ木装置であって、該苗整列搬送手段は苗の子葉展開基部の直径よりも大きな幅寸法を持つスリットと、子葉を搭載する平面部とからなる苗整列搬送通路と、該苗整列搬送通路に前進方向の推力と同時に上方向の推力を与える振動装置とにより構成したことを特徴とする苗整列搬送手段を備えた自動接ぎ木装置。
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