JP3619305B2 - 加工性に優れたフェライト系ステンレス熱延鋼帯の製造方法 - Google Patents
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【発明の利用する技術分野】
本発明は、自動車排気系材料や石油燃焼装置用材料などとして使用される、比較的安価で加工性に優れたフェライト系ステンレス熱延鋼帯を熱延板焼鈍を省略して高効率に製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
フェライト系ステンレス鋼帯は、一般に、熱延後、熱延板焼鈍、酸洗、冷延、焼鈍、酸洗の工程を経て製造されている。高い生産性をもって安価にステンレス鋼帯を製造するために、従来より、様々な工夫が凝らされているが、加工性を損なうことなく製造工程を簡略化するために、熱延板焼鈍を省略することに努力が払われている。熱延板焼鈍を箱焼鈍で行った場合、昇温、保持、冷却に数日間を要するため、生産能率が低いという欠点があった。熱延板焼鈍を連続焼鈍で行う方法も採用されているが、この場合でも、熱延板焼鈍を省略することで、生産性向上、コスト低減が行える。
【0003】
熱延板焼鈍を省略する方法として、熱延後鋼帯を高温で巻き取る方法が既に開示されている(特開昭52−95527号公報)。本従来方法によれば、熱延板焼鈍を省略することが可能となるが、良好な加工性を得るために、引き続いて冷延、焼鈍が必要である。従来方法によって熱延板焼鈍を省略した熱延鋼帯の金属組織は、熱間圧延での加工歪の残存したいわゆる未再結晶組織であるため、冷延・焼鈍して得られた再結晶組織ほど軟質化しておらず、その結果、引張試験の伸びに代表される延性が低下する。従って、熱延ままで冷延焼鈍材と同等の加工性を得るためには、熱延板の焼鈍が依然として必要となる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、熱延板焼鈍を行うことなく熱延ままで、冷延焼鈍材と同等の加工性を得るため、熱延巻取ままで充分に再結晶した組織とすることができる、成分、熱間圧延に関する条件を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の骨子は、フェライト系ステンレス鋼帯の熱延に際し、素材のCおよびN添加量を限定した上、熱延の仕上温度、捲取温度を設定することにより、熱延ままで充分に再結晶した金属組織を得て、熱延板焼鈍なしで、良好な加工性を得るものである。すなわち、本発明の要旨とするところは、重量%で、
C :0.01%以下、 Si:0.8%以下、
Mn:0.8%以下、 Cr:10〜13%、
Al:0.01〜0.1%、 Ti:10(C+N)〜0.2%、
N :0.01%以下を含み、C+N≦0.015%を満足し、
残部がFeおよび不可避的不純物からなるフェライト系ステンレス鋼帯を熱間圧延するに際し、圧延仕上げ温度:900℃以上、捲取温度:800℃以上として、熱延板焼鈍なしで加工性に優れたフェライト系ステンレス熱延鋼帯の製造方法にある。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明者らは、熱延巻取後の再結晶の進行と成分の関係を検討した。その結果、重量%で、11Cr−0.5Si−0.4Mn−0.05Al−0.1Tiをベースにした場合、図1に示すように、侵入型固溶元素のC,Nの低減が再結晶の進行を促進するという知見を得た。図1は、C,Nを種々変化した鋼を実験室で溶解し、厚さ110mmのインゴットを作製し、これを1150℃に加熱後、熱間圧延を行い、950℃で仕上げ厚さ4mmの鋼板とし、巻取を模擬して熱延後直ちに、850℃の電気炉に挿入し、1時間保持後炉冷した鋼板の金属組織中の再結晶率とC+N量の関係を示したものである。図1に示した検討の結果、C+N量を0.015%以下にすれば、ほぼ充分な再結晶組織となることが判明した。さらに、本発明者らは、上記のようにして充分な再結晶組織とした場合、熱延巻取ままでも、熱延後引き続き冷延・焼鈍した場合と同等の伸び値が得られることも確認し、本発明の完成に至った。
【0007】
次に、本発明の成分限定理由を述べる。
Cは、加工性を表す指標の一つであるr値を低下させる。また、耐食性を低下させる。特に、溶接熱影響によりCrの炭化物を形成し、粒界腐食感受性が高くなる鋭敏化の原因となる。従って、Cは低いほど望ましい。さらに、本発明においては、熱延巻取ままで再結晶組織を得る目的からCはNとともに低い方が望ましく、前述のようにC+N≦0.015%に低減することが必要である。Cの低減は、一般にVODなどの二次精錬で行うが、極端にCを下げることはいたずらに精錬コストを上昇させるだけなので、本発明ではCの上限を0.01%とする。
【0008】
Siは耐酸化性を高めるために有効な元素であり、望ましくは0.5%程度の添加が効果的であるが、過度に添加すると靱性を低下するので、上限を0.8%とする。
Mnは脱酸元素として用いるだけでなく、強度を高めるために添加するが、多量に添加すると加工性を損なうために、上限を0.8とする。
【0009】
Crは耐熱性、耐酸化性、耐食性を得るために必須の元素である。本発明では、比較的安価な自動車排気系材料や石油燃焼装置用材料として必要とされる耐熱性、および加工性を勘案して、10〜13%とする。
Alは脱酸生成物が残存したものであり、脱酸の目的で0.01%以上添加するが、過剰に添加すると、鋼の清浄度を低下し、加工性に悪影響をもたらすので上限を0.1%とする。
【0010】
Tiは溶接熱影響部の耐食性低下を防止する目的で、10(C+N)%以上添加する。しかし、多量に添加すると、固溶Tiにより靱性が低下するので上限を0.2%とする。
NはCと同じ理由で低いほど望ましいが、熱延巻取後の再結晶挙動に及ぼす影響および精錬コストを勘案して、上限を0.01%とする。
【0011】
次に、本発明における、熱延仕上げ温度、巻取温度の限定理由を述べる。
本発明では、熱延仕上げおよび巻取後の顕熱を利用して、充分な再結晶組織を得るために、熱延を高温で仕上げさらにできるだけ温度が低下しないうちに鋼帯を巻き取る必要がある。本発明に関わる成分を有する鋼では、熱間加工温度域においてオーステナイトが形成されるが、オーステナイトが存在する温度域で熱延を終了することにより、オーステナイトが熱延で変形を受けたフェライトの再結晶核として働き、再結晶を促進する。従って、本発明ではオーステナイトが熱延終了時に残存するように仕上げ温度を900℃以上とする。さらに、巻取温度は、巻取後の徐冷で再結晶が完了するように充分な温度として800℃以上とする。
【0012】
【実施例】
表1に示す成分の鋼を実験室で溶製し、50kgのインゴットを作製した。1150℃に加熱後、タンデム式の熱間圧延機で熱延を行い、直ちに巻取を再現するための電気炉に挿入後巻取温度に1時間保持後炉冷した。得られた鋼板の金属組織を光学顕微鏡で観察し再結晶率を判定した。また、JIS13B号引張試験片を作製後引張試験を行い、伸びを測定した。25%以上の伸びを有する場合、良好な加工性を有すると判断した。表2に示すように、本発明の条件に従う場合、熱延巻取ままで、再結晶組織となり伸びが良好である。しかし、比較例1,2では熱延仕上げ温度および巻取温度が、比較例3ではC+N量がそれぞれ本発明の範囲をそれぞれ逸脱するため、良好な伸びが得られない。
【0013】
【表1】
【0014】
【表2】
【0015】
【発明の効果】
本発明により、自動車排気系や石油燃焼装置用材料などとして使用されるフェライト系ステンレス熱延鋼帯が熱延板焼鈍を省略して安価に高効率に製造できるため工業的効果は非常に大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】11Cr−0.5Si−0.4Mn−0.05Al−0.1Ti鋼を1150℃に加熱後、熱間圧延を行い、950℃で仕上げ厚さ4mmの鋼板とし、巻取を模擬して熱延後直ちに、850℃の電気炉に挿入し、1時間保持後炉冷した鋼板の金属組織中の再結晶率に及ぼす鋼板のC+N量の影響を示す図である。
Claims (1)
- 重量%で、
C :0.01%以下、
Si:0.8%以下、
Mn:0.8%以下、
Cr:10〜13%、
Al:0.01〜0.1%、
Ti:10(C+N)〜0.2%、
N :0.01%以下を含み、
C+N≦0.015%を満足し、
残部がFeおよび不可避的不純物からなるフェライト系ステンレス鋼帯を熱間圧延するに際し、圧延仕上げ温度:900℃以上、捲取温度:800℃以上とし、その後、熱延板焼鈍を行わないことを特徴とする加工性に優れたフェライト系ステンレス熱延鋼帯の製造方法。
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- 1995-11-17 JP JP30030295A patent/JP3619305B2/ja not_active Expired - Fee Related
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