JP3618720B2 - サプライチェーン製品管理での流れ管理に基づく管理方法 - Google Patents
サプライチェーン製品管理での流れ管理に基づく管理方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、サプライチェーンによる製品管理での受注、資材発注、製造、外注、配送等の一連のチェーンにおける流れ管理において大規模なデータを取り扱うとき、受注や工程等の状態が変化しても高速の計算方法で動的に対応し得る実用的な管理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
「サプライチェーン」とは、資材供給会社からの資材の供給から、工場での品物の製造、顧客への製品の納入に至るまでの製品供給の流れのチェーン(連鎖)のことをいう。サプライチェーンには、材料や部品等の資材の供給、品物の製造、製品の卸・小売・販売などの上流から下流に至る複数の業種が含まれる。また「サプライチェーン・マネジメント」とは、上記サプライチェーンの全体をネットワークで結びつけ、製造、在庫、資材発注や外注(購買)、販売、物流などのすべての情報をコンピュータシステム(スケジューラ等)上で記録・管理し、これらのすべての情報をリアルタイムで交換することにより、サプライチェーン全体の効率を向上させる管理手法である。
【0003】
従来のサプライチェーン・マネジメントでは在庫管理が重視されていた。ここで「在庫管理」とは、資材供給から製品出荷に至る一連のサプライチェーンにおける時間的な流れを特定の時点で止めて「何が、どこに、どれだけあるか」ということを確認する管理手法である。在庫管理という手法は、それ自体が、時間を止めて特定時期の在庫状態を確認することから静的な管理手法を性質を有するものであった。また在庫管理という静的な管理手法は、在庫の量を適正な量に保つ(在庫量をできる限り削減することも含む)という管理手法であった。
【0004】
従来のサプライチェーン・マネジメントによる在庫管理によれば、具体的に、将来の受注(またはこれに対応する出荷)に対する引当てとして所要量の製品を在庫として有し(中間段階の部品の場合は「仕掛かり在庫」)、受注に応じて在庫から製品が出荷されたとき、在庫量から出荷量を減じる処理を行っていた。つまり、実際にコンピュータシステムにおける管理上の状態の変化(受注に対する出荷、在庫量からの出荷量の減算等)が生じた場合に、例えば1日における所定時点でのバッチ処理に基づいて在庫量の管理がなされており、当該バッチ処理の後に在庫量を確認することができた。さらに製造管理では、在庫管理に対して、在庫の量を見ながら製造を行うようにしていた。反対に上記バッチ処理を行わない限り、在庫量を正確に把握できず、製造管理を行うことができず、新たな受注に対する出荷可否を即時に判断することができなかった。以上のごとく、従来のサプライチェーン・マネージメントによれば、本来的に静的な在庫管理によって、受注や工程等の変化・変更に対して、動的にかつ迅速に対応することができなかった。
【0005】
そこで、本発明者は、先に、在庫管理に基づく上記の従来の一般的なサプライチェーン・マネージメントに対して、バッチ処理による在庫管理ではなく、受注や工程の状態変化に対して動的性質を有する流れ管理を行える新しい管理手法に基づくサプライチェーン・マネージメントを提案した(特願平10−284052号の「サプラインチェーンの製品管理方法」(特開2000−113080号))。このサプライチェーン・マネージメントによれば、コンピュータシステムによる管理の上で、生産の計画立案から顧客への配送に至るまでのチェーンにおいて、製造が計画される製品(中間部品を含む)に関してロットを任意に定め、製品のロットごとにこれを特定するロットIDを付与し、例えば任意の複数の受注に対して複数の製品ロットとの間でロットIDに基づいて「対応関係(ひも付け)」を作り、サプライ管理を当該対応関係に基づいて行うように構成されている。上記の対応関係では、例えば任意の個数nの製品ロットのそれぞれと任意の数mの受注のそれぞれとを対応させて関係を作り、管理することができるようになっている。この対応関係の生成は、サプライチェーンにおける上流から下流に至る各段階の工程で行われる。さらに上記対応関係は、例えば受注の状態が変更されると、ひも付けに基づき即座に追跡でき、最適な状態になるように迅速に変更することができる。
【0006】
さらに詳しく説明する。上記サプライチェーン・マネージメントは、サプライチェーンにおける各段階(計画、資材発注や外注(購買)、受注、初期製造や中間製造、仕掛かり在庫、最終製造、製品在庫、出荷、配送等)において、関係する管理オブジェクト(管理対象物)の流れ(製造工程の手順、個数の推移、管理対象物の状態の変化、日時)に着目し、管理オブジェクトに対して管理上のサイズとして「粒度」(管理オブジェクトの一塊の個数)という概念を導入し、フェーズ(各種の段階)に応じて管理オブジェクトごとに「粒度」を定め、粒度で定義された管理オブジェクトを単位として上流から下流の各製造工程で対応関係を作るという考えに基づいている。上記の「管理オブジェクト」は生産計画における計画立案の際に決められる「ロット」である。このロットが流れ管理の単位であり、各ロットでは個数の規模として上記の粒度が定義される。また上記の「対応関係」は部品表および工程表における対応関係である。この対応関係は、別名として「ひも付け」あるいは「ペギング」と呼ばれる。この対応関係は、コンピュータシステムの記憶装置上に記憶され、管理される。コンピュータシステム上で、上記対応関係は、受注状態の変化や工程状態の変化に応じて迅速に変化させられる。コンピュータシステムの表示装置上に提示される上記対応関係に基づく「流れ」に係る動的な管理情報に従って、ユーザは、受注受けの可否、出荷の可否等を短時間に判断することができる。以上の内容によって、本願発明者が先に提案した上記サプライチェーン・マネージメントにおいて流れの管理に基づく動的管理を可能している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本願発明者が先に提案した、動的な流れ管理を行うための上記サプライチェーン・マネージメントでは、サプライチェーンのシステム規模が大きくなり、当該サプライチューンで扱われるデータ量が大規模となる場合には、コンピュータ上での計算負荷が非常に大きくなる。従って、実用的な面を考慮すると、サプライチェーンによる製品管理での流れ管理において大規模なデータを取り扱う場合であって受注や工程等の状態が変化したときに、高速の計算方法によって迅速に対応できることが望まれる。
【0008】
本発明の目的は、上記課題に鑑み、動的な流れ管理が可能なサプライチェーンによる製品管理での各段階の管理において大規模なデータを取り扱うとき、受注や工程等の状態が変化しても動的にかつ迅速に対応し得る実用的な管理方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段および作用】
本発明に係るサプライチェーン製品管理での流れ管理の管理方法は、上記目的を達成するために、次の通り構成される。
【0010】
第1の管理方法(請求項1に対応)は、実際および見込みの複数の受注に基づいて製品の製造計画を行う段階と、定められた手順に基づく複数の下位製造工程(中間部品や完成品の製造工程)を経由して製品を製造する段階と、製造された製品を複数の受注に対応する複数の顧客に配送する段階を含む全体工程を管理する管理方法である。この管理方法では、製品の製造計画を行う段階で、複数の受注の各々、複数の下位製造工程における複数の製造対象物(部品、完成品)の各々、下位製造工程に関連する外部との間の複数の手続き(資材発注や外注等)の各々、複数の配送の各々を管理オブジェクトとして取り扱い、これらの管理オブジェクトの各々にロットを定めるステップと、複数のロットの各々にロットID番号と品目と数量と納期を含むID管理データを付与するステップと、複数のロットに関する複数のID管理データを用いて、複数のロットに関して、関係付けが形成される2つのロットの間で、当該2つのロットに係るロットID番号と関係付けに基づき供給される数量を含む対応関係データを作って引当てを行うステップと、を含む。さらに製品を製造する段階に対応して、受注の変化が生じたとき、この変化に応じて、複数のロットにおける2つのロットに関する複数の対応関係データに基づく引当ての関係を変更するステップを含む。
【0011】
上記の構成によれば、実際の受注等の変化に応じて引当ての関係を即座に最適に変更することができ、納期についての回答をリアルタイムで即座に行うことが可能である。また製造工程や配送工程に関係する製造計画のすべての管理対象を管理オブジェクトとして同一のレベルで扱うことができ、中間部品や、製造工程に関連する外部との間の資材発注や外注等の手続きに関しても引当て処理を迅速に行うことができ、納期回答を即座に行うことができる。
【0012】
第2の管理方法(請求項2に対応)は、上記の第1の管理方法において、好ましくは、任意の個数mの受注に係るロットと、受注以外の任意の個数nの管理オブジェクトに係るロットとがm:nの対応関係で引き当てられることで特徴づけられる。
【0013】
第3の管理方法(請求項3に対応)は、上記の第1の管理方法において、好ましくは、任意の個数mの上流側の下位製造工程に係るロットと、任意の個数nの下流側の下位製造工程に係るロットとがm:nの対応関係で引き当てられることで特徴づけられる。
【0014】
第4の管理方法(請求項4に対応)は、複数の受注に基づいて製品の製造計画を行う段階と、定められた手順に基づく複数の下位製造工程を経由して製品を製造する段階と、下位製造工程に関連する外部との複数の手続きの段階から成る工程をコンピュータシステムで管理する管理方法である。この管理方法では、コンピュータシステムに入力する段階で、複数の受注の各々、複数の下位製造工程における複数の製造対象物(部品、完成品)の各々、下位製造工程に関連する外部との間の複数の手続きの各々を管理オブジェクトとして取扱い、複数の管理オブジェクトにロットを定めるステップと、複数のロットの各々にロットID番号と品目と数量と納期を含むID管理データを付与するステップと、複数の下位製造工程の各々の間における部品間の必要数量関係を表す部品表および工程表を作るステップとを含む。さらに、コンピュータシステムでのデータ生成・記憶および出力の段階で、複数のロットに関する複数のID管理データと部品表と工程表を用いて、複数のロットに関して、関係付けが形成される2つのロットの間で、当該2つのロットに係るロットID番号と関係付けに基づき供給される数量を含む対応関係データを作って引当てを行うステップと、少なくとも受注に変化が生じたとき、この変化に応じて、複数のロットにおける2つのロットに関する複数の対応関係データに基づく引当ての関係を変更するステップとを含む。
【0015】
上記の構成によれば、流れの制御に基づいて動的な製造計画を立てることができ、在庫管理のような静的な管理ではなく、実際の受注の変化に応じて高速な引当て処理を行うことが可能である。
【0016】
第5の管理方法(請求項5に対応)は、上記の第4の管理方法において、引当ての関係を変更するステップで、複数のロットに関して、複数の製造対象物に係る複数のロットのID管理データと複数の手続きに係る複数のロットのID管理データとを品目ごとに分類してデータグループを作成し、複数の受注に係る複数のロットのID管理データを納期の早い順に取り出し、取り出した各ID管理データについて、(1)当該ID管理データに対してそれが要求する品目で最も仕上がり日が遅いものをデータグループから検索して必要な量引き当て、(2)引き当てられたID管理データに対しても、最上流の管理オブジェクトたどりつくまで、再帰的に上記(1)のステップを実行し、(3)すべての受注のID管理データが取り出されるまで上記(1)と(2)のステップを繰り返すことで特徴づけられる。
【0017】
上記の構成によれば、対応関係データを作成するに当たり、ID管理データを品目ごとに分類してデータグループを作成し、受注ロットに係るID管理データをその納期の早い順に取り出して引当て処理、すなわち対応関係データを作成するので、引当ての検索処理のための対象が少なくなり、引当ての演算を迅速に行うことができ、納期回答を短縮化することが可能となる。
【0018】
第6の管理方法(請求項6に対応)は、上記の第4の管理方法において、引当ての関係を変更するステップで、複数のロットに関して、複数の製造対象物に係る複数のロットのID管理データと複数の手順に係る複数のロットのID管理データとを品目ごとに分類してデータグループを作成し、複数の受注に係る複数のロットのID管理データを優先度の高い順に取り出し、取り出したID管理データについて、(1)当該ID管理データに対してそれが要求する品目で最も仕上がり日が遅いものをデータグループから検索して必要な量引き当て、(2)引き当てられたID管理データに対しても、最上流の管理オブジェクトにたどりつくまで、再帰的に上記(1)のステップを実行し、(3)すべての受注のID管理データが取り出されるまで上記(1)と(2)のステップを繰り返すことで特徴づけられる。
【0019】
上記の構成によれば、対応関係データを作成するに当たり、ID管理データを品目ごとに分類してデータグループを作成し、受注ロットに係るID管理データをその優先度順に取り出して引当て処理、すなわち対応関係データを作成するので、引当ての検索処理のための対象が少なくなり、引当ての演算を迅速に行うことができ、納期回答を短縮化することが可能となる。
【0020】
第7の管理方法(請求項7に対応)は、上記の第5または第6の管理方法において、上記データグループで、各品目で、複数の製造対象物に係る複数のロットのID管理データと、複数の手続きに係る複数のロットのID管理データは、納期順に並べられることで特徴づけられる。この構成によれば、各品目でさらに納期順で並べられているので、計算の速度がさらに速くなり、管理が容易となり、システム性能を高めることができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の好適な実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0022】
実施形態で説明される構成、規模の大きさ、および配置関係については本発明が理解・実施できる程度に概略的に示したものにすぎず、また数値および各構成要素の組成については例示にすぎない。従って本発明は、以下に説明される実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示される技術的思想の範囲を逸脱しない限り様々な形態に変更することができる。
【0023】
図1は本発明に係る「流れ」に基づくサプライチェーンの管理モデルを示す。この管理モデルは流れ管理である。始点11から終点12に至る全体工程13がサプライチェーンを表している。始点11は製造計画開始時点を意味し、終点12は顧客への製品納入時点を意味する。始点11から終点12までの全体工程は、時間の経過に従って概略的に示すと、計画工程21、製造工程22、配送工程23等の複数の部分的な段階から構成されている。図1において、計画工程21は計画立案作業31と立案された計画32で表されている。実際、計画工程21は、細かく見ると、大日程計画、製造計画、資材計画等から成る。製造工程21は、概略的に製造作業33,34と中間的な仕掛かり在庫35および最終的な製品在庫36とで表されている。この製造工程22では、複数の中間部品を製造する複数の部品製造工程と完成品(製品)を製造する最終製造工程、資材発注・調達(資材の購買)、外注およびその管理等が含まれる。部品製造工程と最終製造工程は製造工程22の下位製造工程を形作る。配送工程23は出荷準備作業37と配送行為38、その他仮倉庫での保管等で表されている。
【0024】
以上のごとく、時間の経過に伴って流れとして表された全体工程13に対して後述するコンピュータによる生産管理が適用され、「流れ(ストリーム)」に基づくサプライチェーンの管理モデル(ストリーム管理モデル)、すなわち流れ管理(ストリーム管理)による管理システムが実現される。管理システムは、管理用コンピュータシステムで構成される。始点11から終点12に至るコンピュータ管理を「縦管理」と呼ぶことにする。
【0025】
上記の「流れ(ストリーム)」に基づくサプライチェーンの管理システムを実現するため、コンピュータシステム上では、計画工程21から配送工程23に至る全体工程13において、受注、各部品製造工程で作られる部品等、外部との間の手続きである資材発注や外注、購買等の各種手続き等のすべてを総括的に管理オブジェクトという概念で取り扱い、管理オブジェクトごとに「ロット」という概念が導入される。このロットは、最初の計画工程21における計画立案の際に決められるものである。当該ロットは、サプライチェーンである全体工程13を形成する複数の段階(フェーズ)のそれぞれにおいて、関係する管理オブジェクトとして定義される。
【0026】
具体的に、ロットは、受注、最終的に完成される製品、当該製品を構成する複数の部品のそれぞれ、製造工程に関連する外部との間の各種関係に基づく外注や購買等である。管理用のコンピュータシステム上でロットはそれぞれの内容に応じて品目として把握される。さらにロットについては管理上のサイズとして「粒度」(一塊の個数)という概念が導入される。ロットに関して、各段階に応じてロットごとに「粒度」を定められる。粒度で定義されたロットを単位として、上流である始点11から下流の終点12に至る各工程において、部品に係るロットと受注・資材・資源(機械)等の各々との間の「対応関係」(一次的関係性)、および或る部品に係るロットと他の部品に係るロットの間の「対応関係」(二次的関係性)が作られる。上記「ロット」は、本実施形態に係る管理用コンピュータシステムでは流れ管理の単位となっている。また上記の「対応関係」について、前者の対応関係は工程表間の対応関係であり、後者の対応関係は部品表間の対応関係(各部品間の対応関係)である。上記2つの対応関係のそれぞれは前述した管理用コンピュータシステムで管理される。この管理を「横管理(アソシエーション)」と呼ぶ。
【0027】
前述したサプライチェーンの管理システムにおける上記「流れ」の管理に関する手法は、前述のごとく、計画工程21の段階において、製造工程22における受注に対応した見込工程である各段階での多数のロットを定義し、多数のロットの各々にロットごとで粒度を定め、複数の製造工程ロットと受注等との間、複数の製造工程ロット同士の間で「対応関係(ひも付けまたはベギング)」を作る手法である。
【0028】
図2は、製造工程22における上流から下流への複数の部品製造工程等に関する管理オブジェクトと、複数の部品製造工程等に関連する管理オブジェクトを概略的に説明する図である。図2によって、前述した対応関係に基づく管理(ひも付け管理)が明確にされる。複数の楕円図形のそれぞれは管理オブジェクトに該当しており、前述した「ロット」の概念をイメージ的に表現したものである。
【0029】
図2における区間41は上記製造工程22に対応している。製造工程22では、前述した通り、複数の部品を製造する複数の部品製造工程等、外部との間の手続きである資材発注や外注、最終的に完成した製品の配送等が存在する。これらの要素は、見込みまたは実際の受注に対応して決められている。図2では、例えば3つの受注ロット42,43,44が示されている。製造工程に係る区間41では、例えば2種類の製品に係る2つの製造ルートが描かれ、かつ各製造ルートで部品製造工程および最終製造工程として上流側(図中左側)から下流側(図中右側)へ向かって一例として見込初工程ロット45,46、見込第m工程ロット47,48、見込第n工程ロット49,50の3つの下位製造工程に係るロットが示されている。部品製造工程等では、図2中、矢印51,52に示すごとく左から右に向かって製造の流れが形成されている。実際、製造工程では多数の部品製造工程等が存在するが、図2では本実施形態を理解しやすくするため、便宜的に3つの見込初工程ロット、見込第m工程ロット(mは任意の自然数)、見込第n工程ロット(nは任意の自然数)が示されている。なお、これらの工程ロットは、実際には当該工程で製造される部品や完成品(製造対象物)に関するロットである。さらに外部との間の関係として、例えば、資材発注ロット53,54と、外注ロット55,56が示される。資材発注ロット53,54のそれぞれは見込初工程ロット45,46と関係付けられ、外注ロット55,56のそれぞれは見込第m工程ロット47,48と関係付けられている。さらに一例として配送ロット57が示されている。
【0030】
上記のごとき多数のロットの間において、一例として多数の矢印58で示されるごとく、特定の2つのロット間同士で「関係付け」が形成されている。この関係付けは、サプライチェーンにおける製造工程22の段階等で必然的に発生するものである。2つのロット同士の間の「関係付け」は前述した「対応関係」に相当する。図2では多数の対応関係が示されているが、大きく分けると、受注ロット42〜44と工程ロット49,50との間の対応関係、工程ロット同士の間の対応関係、工程ロットと資材発注ロット53,54または外注ロット55,56との間の対応関係に分けることができる。ロット間の対応関係は1:1ではなく、受注ロットと製造に係る工程ロットとの間、あるいは工程ロットと工程ロットとの間では、一般的にm:nの対応関係が形成される。
【0031】
次に上記「ロット」について詳述する。前述した多数のロットの各々は、管理用コンピュータシステム上、ID管理データが付与されている。図3にID管理データのデータ構造を示す。ID管理データ60は、好ましくは、ロットID番号61と品目62と数量63と納期64の4つの管理項目に係る各データによって構成されている。ロットID番号60は、計画工程21の段階で製造計画を立てる時において、管理用コンピュータシステムでロットを定めるとき、すべてのロットの各々に1対1に対応するように決められる。ロットID番号61は、計画工程21の段階で導入され、そこから製品引渡しまで、あるいはその後のアフターサービスに至るまで変更されない。流れ管理では、管理上、ロットID番号61を含むID管理データ60が重要である。すべてのロットに対して付与されたID管理データ60に基づいて、流れ管理の要素であるすべてのロットを管理し、製造工程22等を管理する。数量63はロットの管理サイズである製造対象物の数(粒度)を決めるものである。各ロットの管理サイズは製造の条件・状況に応じて任意に定めることができる。図2において、ロットを表す楕円図形の中に記載された数字はロットの数量、すなわちロットの管理サイズ(粒度)を示している。納期64は、対応するロットに係る受注、部品や完成品の製造工程、資材発注、外注、購買等の納品期日や部品や完成品の仕上り期日等である。
【0032】
図4に管理用コンピュータシステムのブロック構成を示す。管理用コンピュータシステム70は、コンピュータ本体71と、入力部72と、表示部73と、データ記憶部(データベース等)74と、他の出力部75から構成されている。前述のごとく計画工程21の段階において製造工程22と配送工程23で必要とされるすべてのロットのそれぞれを決め、各ロットにID管理データを付与する場合において、管理用コンピュータシステム70の入力部72を介して各ロットに関してID管理データ60に係る情報が入力される。入力されたすべてのID管理データ60に係る情報は管理用コンピュータシステムのデータ記憶部74にレコード形式で記憶される。
【0033】
上記の管理用コンピュータシステム70へ入力の際、さらに、「各品目を1つ作るときにはどの部品が何個必要か」という表(部品表および工程表)も同時に作成され、入力される。当該部品表および工程表に関するデータもデータ記憶部74に記憶される。
【0034】
管理用コンピュータシステム70上、多数のロットの各々に付与された結果生じた多数のID管理データは、図2で説明したごとく「関係付け」(矢印58)が形成される2つのロットの間の対応関係に基づいて、当該2つのロットの各々に対応する2つのID管理データの間で下記のような対応関係データが作られる。このような対応関係データが作られることにより、引当てが行われる。
【0035】
上記の各処理を実行するため、コンピュータ本体71内の主記憶部76には、ロット決定プログラム76A、ID管理データ作成プログラム76B、部品表・工程表作成プログラム76C、対応関係データを作成することにより引当て処理を行う引当てプログラム76Dが格納されている。なおコンピュータ本体71内には製造工程管理に必要なスケジューラや納期回答プログラム等が備えられている。
【0036】
図5に対応関係データのデータ構造を示す。対応関係データ80は、第1のロットID番号81と第2のロットID番号82と数量83の項目に係るデータを含む。この対応関係データ80は、「第1のロットID番号81に対応する第1ロットから第2のロットID番号82に対応する第2ロットへ数量83のデータで表される量を引き当てる」ということを意味している。このとき、第1ロットと第2ロットに関しては、前述した「関係付け」が形成された2つのロットが割り当てられる。このように、例えば、受注ロットに係る複数のID管理データ60のうちどのID管理データのどのくらいの数量を、製造工程ロットに係る複数のID管理データ60のうちのどのID管理データに引き当てるか、あるいは、製造工程ロットに係る複数のID管理データ60のうちのどのID管理データのどのくらいの数量を、他のどの製造工程ロットまたはどの資材発注や外注等のロットに係るID管理データに引き当てるか、ということが作成される。以上のごとく作成される多数の対応関係データ80は、本実施形態に係る引当てプログラム76Dにより自動的に作成され、データ記憶部74にレコード形式で記憶され、必要に応じて表示部73等に出力される。
【0037】
なお、上記の引当てプログラムに基づく対応関係データ80の自動作成では、製造工程等の条件に基づき制約を受ける。制約の例を挙げると、代表的には、例えば、第1ロットと第2ロットの間で引き当てる数量に関して工程全体で過不足がないこと、納期の時間的な前後関係が正しいこと、優先度の低いもの引当てが行われかつ優先度の高いものの引当てが行われないということがないこと等である。このような制約条件は引当てプログラムの中に組み込まれている。
【0038】
図6に、前述したロット間の引当てのイメージが、工程の流れおよび時間の経過と関連付けて具体的に示される。図6では、一例として、受注、完成品β1の製造工程、部品α1の製造工程、購買や外注等の間の引当てが示されている。図6で複数の矩形ブロックの各々はロットを示している。各ロットに係る矩形ブロックでは、仮的に、その右上隅にロットID番号1〜9が示され、右中段に数量が示され、右下隅に期限月日(納期)が示されている。図6で上から下に向かって時間軸(時間の経過)が示され、製造工程に関し左から右に向かって工程の流れが示されている。
【0039】
ロットID番号(8)の受注ロット91は1000個の完成品β1を7月3日までに納品する受注である。図6に示すごとく、受注ロット91は製造工程ロット92に対応関係データ80−1で関係付けられている。同様にして、製造工程ロット92は、下流側の少なくとも製造工程ロット93,94のそれぞれと対応関係データ80−2,80−3で関係付けられている。さらに同様にして製造工程ロット93は購買ロット95と対応関係データ80−4で関係付けられている。上記の関係付けによれば、対応関係データ80−1〜80−4によって、受注ロット91は製造工程ロット92に引き当てられ、製造工程ロット92は製造工程ロット93,94に引き当てられ、製造工程ロット93は購買ロット95に引き当てられていることになる。これらの引当て関係において、時間的な流れ、すなわち納期の早い・遅いの順序が正常に保持されるように関係付け(引当て)が行われる。受注ロット91によりも時間的に遅い受注ロット96、その他の製造工程ロット97,98,99等についても対応関係データによって同様な引当てが行われている。対応関係データの集合の部分101,102,103によって製造工程間の対応、すなわち工程表間の対応が作られる。これらの対応関係データは前述のデータ記憶部74に記憶される。
【0040】
なお上記完成品β1は、通常、上記の部品α1以外にも、他のいくつかの部品と組み合せて製造される。従って製造工程92は、図示されない他の部品に係るロットとの間にも、対応関係データによって関係付けられている。完成品β1と複数の部品のそれぞれとの間のロット同士間の関係付け(ひも付け)は、完成品β1と複数の部品との関係を示した部品表を参照して、かつ各ロットの納期の前後関係を配慮して自動的に作られる。
【0041】
以上の対応関係データの作成、すなわち引当て処理は、計画工程21の段階で、管理オブジェクトとして多数のロットを定め、各ロットにID管理データを付与し、実際または見込みの受注に係るロットを与えると、上記引当てプログラム76Dに基づいて対応関係データ80が自動的に作成されることにより、自動的に行われる。引当て処理の条件として、管理オブジェクトとして多数のロットを定めるステップ、および多数のロットの各々にID管理データ60が付与されるステップが実行されていることが必要である。
【0042】
上記の場合、対応関係データ80の作成では納期の早い順という原則が適用されている。すべてのロットに関して対応関係データ80に基づき関係付けが作られると、それらのデータはデータ記憶部74に記憶される。
【0043】
次に、上記の状態において、製造工程22の段階で、例えば新たな受注ロット104が生じたとする。この受注ロット104は、ロットID番号がn、個数が1000、納期が6月30日である。受注ロット104に係るID管理データを、入力部72を介して管理用コンピュータシステム70に入力すると、受注ロット104を含めた状態で、引当てプログラムに基づき前述と同様に対応関係データが変更され、再度、引当てが行われる。
【0044】
上記の計画工程21における行われる引当て、あるいは、その後の製造工程22における例えば受注ロット104の追加に伴う受注の変更に応じた引当てのし直しにおいて、引当て処理のための割当てが行えない場合には、エラーメッセージを出される。このときには、引当てを行わず、割当てができないロット(ID管理データ60)をユーザに知らせる。この処理によって引当てプログラム76Dによる引当て処理では最適性が保証される。
【0045】
図7は、上記引当てプログラムの代表的なフローチャートを示す。図7を参照して引当てプログラム76Dを説明する。図7において、前述した管理オブジェクトとしてのすべてのロットに係るID管理データ60をデータ記憶部74から読み出し(ステップS11)、品目ごとに分類する(ステップS12)。次に分類された複数の品目の各々で、ID管理データ60に関してその納期64のデータを用いて納期順に並べる(ステップS13)。これを「品目ごと納期順データグループ」とする。次に、受注ロットに係るID管理データを納期の早い順に取り出す(ステップS14)。取り出した一番納期の早い受注ロットに係るID管理データについて、ステップS15,S16を実行する。
【0046】
ステップS15は、取り出した受注ロットに係るID管理データに関して、当該ID管理データ、部品表に係るデータ、工程表に係るデータに基づいて、要求される品目で最も仕上がりが遅いもの(工程の流れの上で最も下流側のもの)を前述の「品目ごと納期順データグループ」から検索し、必要量を割り当てる(最初の割当て処理)。これによって取り出した受注ロットと製造工程ロットの間で最初の対応関係データ80が作成され、最初の引当てが作られる。ステップS16では、次に、引き当てられたID管理データに対しても、再帰的に上記ステップS15が実行される。すなわち、受注ロットに引き当てられた製造工程に係るID管理データに、当該ID管理データ、部品表に係るデータ、工程表に係るデータに基づいて、要求される品目で最も仕上がりが遅いものを前述の「品目ごと納期順データグループ」から検索し、必要量を割り当てる。これによって最初に引き当てられた製造工程ロットのID管理データに関して、次の上流側の製造工程等のロットの間で対応関係データ80が作成され、引当てが作られる。こうしてステップS16が繰り返される。ステップS16は、購買ロットに係るID管理データのごとく検索終端に位置する管理オブジェクトにたどりつくと終了し(判断ステップS17)、次段の判断ステップS18に移る。換言すれば、最上流の管理オブジェクトにたどりつくまで引当てが継続される。ステップS15,S16,S17によって引当て処理ブロック110が形成される。これにより最初に取り出された納期の一番早い受注ロットについて原則的にすべての対応関係データが作成され、引当てが完了する。判断ステップS18では、すべての受注ロットに係るID管理データに対する処理が終了したか否かが判断される。判断ステップS18でYESのときにはステップS19,S20が実行されて終了し、NOのときには上記のステップS14に戻る。ステップS14に戻ると、次に早い納期の受注ロットに係るID管理データが取り出され、ステップS15〜S17が同様に繰り返される。こうしてすべての受注ロットについて引当てが行われる。ステップS19では、すべての受注ロットに対して作成されたすべての対応関係データ80は、再び、データ記憶部74に記憶される。またステップS20では、必要な対応関係データ等が表示部73や他の出力部75において出力される。ステップS20については必ず必要というステップではなく、任意的なものである。
【0047】
上記の引当てプログラムによれば、第1に受注ロットに関して引当てを行うとき、引当ての対象になる複数のロットに係るID管理データを、品目で分類し、さらに品目ごとに納期順で並べるようにしたので、ロットの間の引当てに要する検索時間、すなわちID管理データの間の引当てに係る対応関係データの作成に要する検索時間および演算時間を短くすることができる。これによって高速に引当て処理を行うことができ、流れ制御を実用的に実行することができる。
【0048】
次に、上記の引当てプログラムでは、受注ロットに関する引当てにおいて納期の順で受注ロットに係るID管理データを取り出して引当て処理を行うようにしたが、納期順ではなく優先度の順序で引当て行うように構成することもできる。この場合には、すべての受注ロットに係るID管理データには優先度の管理項目が追加されることが必要である。上記のステップS14では受注ロットに係るID管理データを納期の早い順に取り出すようにしたが、この場合には、代わりに受注ロットに係るID管理データを優先度の高い順に取り出すステップS21が設けられる。その他のステップは図7に示した引当てプログラムの場合と同じである。受注ロットの優先度に基づく引当てプログラムのフローチャートを図8に示す。優先度の高い順に対応管理データ80を作成する場合には、優先度の高い受注を必ず優先させることができる。
【0049】
なお、上記の引当てプログラムにおいて、受注ロットの優先度順に引当てを行い、その後に受注ロットの納期の早い順に引当てを行うように構成することも可能である。このように構成された引当てプログラムによれば、第1に優先度を考慮し、第2に納期の早さを考慮した引当てを行うことができる。反対に、引当てプログラムにおいて、受注ロットの納期の早さ順に引当てを行い、その後に受注ロットの優先度順に引当てを行うように構成することも可能である。このように構成された引当てプログラムによれば、第1に納期の早さを考慮し、第2に優先度を考慮した引当てを行うことができる。
【0050】
前述の実施形態では、製造工程の段階でにおいて実際の受注の変化に応じて引当てを再度をし直した例を説明したが、製造工程の変化に応じても同様に引当て処理を行うことができる。
【0051】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように本発明によれば、動的な流れ管理が可能なサプライチェーンによる製品管理での各段階の管理において、大規模なデータを取り扱うとき、引当て処理のための割当てを行うため、管理オブジェクトに係るID管理データを品目で分類し、分類した品目ごとで納期順に並べるようにしたので、割当てのためのID管理データを短時間で検索することができ、受注や工程等の状態が変化しても動的にかつ迅速に対応し得る実用的な流れ管理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る流れ管理の管理システムが適用される「流れ」に基づくサプライチェーンの管理モデルを示す説明図である。
【図2】製造工程における複数の部品製造工程に関する管理オブジェクトと、これに関連する管理オブジェクトと、対応関係を概念的に示す図である。
【図3】ID管理データのデータ構造(管理項目)を示す図である。
【図4】管理用コンピュータシステムのブロック構成図である。
【図5】対応関係データのデータ構造を示す図である。
【図6】受注、完成品β1の製造工程、部品α1の製造工程、購買や外注等の間の引当て関係の一例を示す関係図である。
【図7】受注ロットの納期の早い順に引当て処理を行う引当てプログラムのフローチャートである。
【図8】受注ロットの優先度順に引当て処理を行う引当てプログラムのフローチャートである。
【符号の説明】
21 計画工程
22 製造工程
23 配送工程
42,43,44 受注ロット
60 ID管理データ
70 管理用コンピュータシステム
71 コンピュータ本体
74 データ記憶部
76D 引当てプログラム
80 対応関係データ
Claims (7)
- コンピュータシステム(70)の上で実行される管理方法であって、入力部(72)を介して、少なくとも、実際および見込みの複数の受注に係る情報、予め定められた手順に係る情報を入力する段階と、実際および見込みの複数の受注に係る前記情報に基づいて製品の製造計画を行う段階(21)と、定められた前記手順に基づく複数の下位製造工程を経由して前記製品を製造する段階(22)と、製造された前記製品を前記複数の受注に対応する複数の顧客に配送する段階(23)を含む全体工程(13)を管理する前記管理方法であり、
前記製品の製造計画を行う段階(21)で、
前記入力部(72)を介して入力される前記複数の受注の各々の情報、前記複数の下位製造工程における複数の製造対象物の各々の情報、前記下位製造工程に関連する外部との間の複数の手続きの各々の情報、前記複数の配送の各々の情報をデータ記憶部(74)に記憶するステップと、
前記データ記憶部(74)に情報として記憶された前記複数の受注の各々、前記複数の下位製造工程における複数の製造対象物の各々、前記下位製造工程に関連する外部との間の複数の手続きの各々、前記複数の配送の各々を管理オブジェクトとして取り扱い、これらの管理オブジェクトの各々にロットを定めるステップと、
複数の前記ロットの各々にロットID番号(61)と品目(62)と数量(63)と納期(64)を含むID管理データ(60)を付与するステップと、
複数の前記ロットに関する複数の前記ID管理データ(60)を用いて、複数の前記ロットに関して、関係付けが形成される2つのロットの間で、当該2つのロットに係るロットID番号(81,82)と前記関係付けに基づき供給される数量(83)を含む対応関係データ(80)を作って引当てを行うステップと、
前記対応関係データ(80)を前記データ記憶部(74)に記憶するステップと、を含み、
前記製品を製造する段階(22)に対応して、
前記引当てを行う前記ステップは、前記データ記憶部(74)に記憶される前記受注のデータに変化が生じたとき、この変化に応じて、前記データ記憶部(74)に記憶される複数の前記ロットにおける2つのロットに関する複数の前記対応関係データ(80)に基づく前記引当ての関係を変更するステップを含む、
ことを特徴とするサプライチェーン製品管理での流れ管理に基づく管理方法。 - 前記引当てを行う前記ステップでは、任意の個数mの前記受注に係るロットと、受注以外の任意の個数nの前記管理オブジェクトに係るロットとがm:nの対応関係で引き当てられることを特徴とする請求項1記載のサプライチェーン製品管理での流れ管理に基づく管理方法。
- 前記引当てを行う前記ステップでは、任意の個数mの上流側の前記下位製造工程に係るロットと、任意の個数nの下流側の前記下位製造工程に係るロットとがm:nの対応関係で引き当てられることを特徴とする請求項1記載のサプライチェーン製品管理での流れ管理に基づく管理方法。
- 複数の受注に基づいて製品の製造計画を行う段階と、定められた手順に基づく複数の下位製造工程を経由して前記製品を製造する段階と、前記下位製造工程に関連する外部との複数の手続きの段階から成る工程をコンピュータシステム(70)で管理する管理方法であり、
入力部(72)を介して前記コンピュータシステム(70)に入力する段階で、
前記入力部(72)を介して入力される前記複数の受注の各々の情報、前記複数の下位製造工程における複数の製造対象物の各々の情報、前記下位製造工程に関連する外部との間の複数の手続きの各々の情報をデータ記憶部(74)に記憶するステップと、
前記データ記憶部(74)に情報として記憶された前記複数の受注の各々、前記複数の下位製造工程における複数の製造対象物の各々、前記下位製造工程に関連する外部との間の前記複数の手続きの各々を管理オブジェクトとして取扱い、複数の管理オブジェクトにロットを定めるステップと、
複数の前記ロットの各々にロットID番号(61)と品目(62)と数量(63)と納期(64)を含むID管理データ(60)を付与するステップと、
前記複数の下位製造工程の各々の間における部品間の必要数量関係を表す部品表および工程表を作るステップと、
前記ID管理データ(60)と前記部品表および前記工程表とを前記データ記憶部(74)に記憶するステップと、を含み、
前記コンピュータシステム(70)でのデータ生成・記憶および出力の段階で、
前記データ記憶部(7)に記憶された複数の前記ロットに関する複数の前記ID管理データ(60)と前記部品表と前記工程表を用いて、複数の前記ロットに関して、関係付けが形成される2つのロットの間で、当該2つのロットに係るロットID番号(81)と前記関係付けに基づき供給される数量(83)を含む対応関係データ(80)を作って引当てを行うステップと、
前記データ記憶部(74)に記憶される前記受注のデータに少なくとも前記受注に変化が生じたとき、この変化に応じて、複数の前記ロットにおける2つのロットに関する複数の前記対応関係データに基づく前記引当ての関係を変更するステップと、を含む、
ことを特徴とするサプライチェーン製品管理での流れ管理に基づく管理方法。 - 引当ての関係を変更する前記ステップで、
前記データ記憶部(74)に記憶されたID管理データ(60)を読出し(ステップS11)、
前記複数のロットに関して、前記複数の製造対象物に係る複数のロットの前記ID管理データと前記複数の手続きに係る複数のロットの前記ID管理データとを品目ごとに分類し(ステップS12)、
データグループを作成し(ステップS13)、
前記複数の受注に係る複数のロットの前記ID管理データを納期の早い順に取り出し(ステップS14)、
前記取り出した各ID管理データについて、(1)当該ID管理データに対してそれが要求する品目で最も仕上がり日が遅いものを前記データグループから検索して必要な量引き当て、(2)引き当てられたID管理データに対しても、最上流の管理オブジェクトにたどりつくまで、再帰的に前記(1)のステップを実行し、(3)すべての前記受注の前記ID管理データが取り出されるまで前記(1)と(2)のステップを繰り返し(ステップS15〜S18)、
納期順に基づく引当て処理で得られたデータをデータ記憶部(74)に記憶する(ステップS19)、
ことを特徴とする請求項4記載のサプライチェーン製品管理での流れ管理に基づく管理方法。 - 引当ての関係を変更する前記ステップで、
前記データ記憶部(74)に記憶されたID管理データ(60)を読出し(ステップS11)、
前記複数のロットに関して、前記複数の製造対象物に係る複数のロットの前記ID管理データと前記複数の手続きに係る複数のロットの前記ID管理データとを品目ごとに分類し(ステップS12)、
データグループを作成し(ステップS13)、
前記複数の受注に係る複数のロットの前記ID管理データを優先度の高い順に取り出し(ステップS21)、
取り出した前記ID管理データについて、(1)当該ID管理データに対してそれが要求する品目で最も仕上がり日が遅いものを前記データグループから検索して必要な量引き当て、(2)引き当てられたID管理データに対しても、最上流の管理オブジェクトにたどりつくまで、再帰的に前記(1)のステップを実行し、(3)すべての前記受注の前記ID管理データが取り出されるまで前記(1)と(2)のステップを繰り返し(ステップ S15〜S18)、
優先度順に基づく引当て処理で得られたデータをデータ記憶部(74)に記憶する(ステップS19)、
ことを特徴とする請求項4記載のサプライチェーン製品管理での流れ管理に基づく管理方法。 - 前記データグループで、前記各品目で、前記複数の製造対象物に係る複数のロットの前記ID管理データと、前記複数の手続きに係る複数のロットの前記ID管理データは納期順に並べられることを特徴とする請求項5または6記載のサプライチェーン製品管理での流れ管理に基づく管理方法。
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