JP3618605B2 - 船舶推進装置における翼角保持装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、船舶に設けられた旋回筒に可変ピッチプロペラを装備した旋回式の船舶推進装置において、設定した可変ピッチプロペラの翼角を保持するための装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図3は、翼角変節機装置を有する従来の船舶推進装置を示している。船舶の船底には水平面内で旋回可能となるように旋回筒1が設けられている。旋回筒1の旋回中心には垂直駆動軸2が設けられ、垂直駆動軸2に連動する水平な推進軸3が設けられている。垂直駆動軸2は船舶内の原動機駆動軸4に連動連結されている。推進軸3の端部には、羽根つば5を介してプロペラ翼6が連結されており、水中で回転する。
【0003】
この船舶推進装置には、プロペラ翼6の角度を任意に設定するための翼角変節装置が設けられている。船舶内には油圧源であるポンプ7が設けられている。ポンプ7からの油圧は、電磁弁8を介して油圧供給系である油圧配管9、10を介して旋回筒1内に導かれ、固定部から回転部への油受け渡し機構である給油筒11、12を介してプロペラ翼6の角度を変節させるアクチュエータ13に接続されている。
【0004】
アクチュエータ13は、旋回筒1に固定されたシリンダ14と、シリンダ14内に設けられて推進軸方向に直動するピストン15を有している。ピストン15には変節軸16が設けられており、シリンダ14外の変節軸16にはピストン15の直線運動をプロペラ翼6の角度設定のための回転運動に変換する運動変換機構が設けられている。運動変換機構は、変節軸16に連結されたクロスヘッド17と、クロスヘッド17の直線運動に連動して回転する羽根つば5を有している。この羽根つば5にプロペラ翼6が接続されている。
【0005】
油圧配管9、10は、推進軸3の中空部内を導かれて変節軸16内を軸方向に形成され、シリンダ14内のヘッド側とボトム側の2つの油室に接続されている。
【0006】
ポンプ7から供給された油圧は油圧配管9、10及び給油筒11、12を通ってシリンダ14内に供給され、シリンダ14から電磁弁8の間は油圧が一定に保持されている。シリンダ14に油圧を供給してピストン15を前後いずれかの方向に移動させれば、この直動がクロスヘッド17によって羽根つば5の回転となり、プロペラ翼6の角度を任意に設定できる。また、油圧配管9、10からの油漏れによってプロペラ翼6の角度が変動した場合には、角度の変動を制御系で検知して電磁弁8を作動させ、油圧を供給して設定した正規の角度が維持されるようにしていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来の船舶推進装置における翼角変節装置によれば、経年変化により給油筒11、12から油漏れが発生し、シリンダ14内の圧力が低下し、これによってプロペラ翼6の角度が動いてしまうことがあった。従来の制御系によるピストン位置の補正ではこのような角度の変動に対応することは困難であり、プロペラ翼6の角度を保持するためにシリンダ14と電磁弁8の間を常に高圧にしなければならなかった。
【0008】
本発明は、翼角変節装置を有する旋回式の船舶推進装置において、翼角変節装置の油圧系に油漏れが発生しても角度変節用のアクチュエータの圧力が保たれてプロペラ翼の角度が保持されるようにすることを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載された翼角保持装置は、水平面内で旋回可能となるように船舶に設けられた旋回筒(1)と、前記旋回筒の旋回中心に設けられて駆動される垂直駆動軸(2)と、前記旋回筒の内部に水平に設けられて前記垂直駆動軸に連動する推進軸(3)と、前記推進軸の端部に設けられて水中で回転する推進器翼(プロペラ翼6)と、船舶側から供給される油圧を前記旋回筒内に導く油圧供給系(油圧配管9、10)と前記旋回筒内に設けられて前記油圧で前記推進器翼の角度を設定するアクチュエータ(13)を備えた翼角変節装置を有する船舶推進装置に設けられ、前記油圧供給系に油圧逆止手段(パイロットチェック弁20)を設けている。
【0010】
さらに、請求項1では、前記アクチュエータ(13)がシリンダ(14)とピストン(15)からなり、前記ピストンの直線運動を前記推進器翼の角度を設定するための回転運動に変換する運動変換機構(羽根つば5、クロスヘッド17)をさらに有し、前記油圧逆止手段が、前記旋回筒内において、前記運動変換機構を構成するクロスヘッド17の内部における前記シリンダと前記油圧供給系(油圧配管9、10)の間に設けられた逆止弁(パイロットチェック弁20)であることを特徴としている。
【0011】
請求項2に記載された船舶推進装置における翼角保持装置は、請求項1記載の船舶推進装置における翼角保持装置において、前記油圧供給系(油圧配管9、10)に給油筒(11、12)が設けられており、前記油圧逆止手段(パイロットチェック弁20)が前記シリンダ(14)と前記給油筒の間に設けられていることを特徴としている。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1は、翼角変節機装置と翼角保持装置を有する本例の船舶推進装置の全体を示しており、図2は翼角変節機装置と翼角保持装置の要部を示している。
尚、図中の符号のうち従来を示す図3の符号と共通するものについては重ねての説明を省略する。
【0013】
本例では、ピストン15への油圧配管9、10の途中に油圧逆止手段としてのパイロットチェック弁20を設けることにより、パイロットチェック弁20の逆止弁としての機能により、給油筒11、12のシール部分等からの油漏れによって作動油が供給されない場合でも、シリンダ14内の圧力が保たれてピストン15の位置が保持され、プロペラ翼6の角度が変動せずに保持される。
【0014】
本例では、シリンダ14の2つの油室に作動油を供給する2つの油圧配管9、10にそれぞれパイロットチェック弁20、20を設けた。パイロットチェック弁20は、油圧配管9、10のシリンダ14に接続された部分のごく近傍であり、本例ではクロスヘッド17の内部に設けられている。
【0015】
本例によればシリンダ14とパイロットチェック弁20の間で油圧が保持されるので、油圧系統のシールや油圧機器等の状態によってプロペラ翼6の角度保持状態が左右されることがない。
【0016】
また、パイロットチェック弁20と電磁弁8の間の油圧を高く保持する必要がなく、油圧を従来よりも低くすることができるので、ポンプ7の駆動力や発熱量を低減させることが可能となる。
【0017】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、油圧式の翼角変節装置を有する船舶推進装置において、油圧供給系に油圧逆止手段を設けたので、少なくとも油圧逆止手段よりも供給源側で油漏れが起きたり油圧ポンプが故障したりしても、油圧によって作動するアクチュエータ側の油圧は保たれ、プロペラ翼の角度は保持されるという効果が得られる。
【0018】
特に、前記油圧供給系に作動油が漏れがちな給油筒が設けられている場合には、前記油圧逆止手段をアクチュエータと前記給油筒の間に設ければ、前記効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の一例を示す全体構造図である。
【図2】本発明の実施の形態の一例における要部の拡大断面図である。
【図3】従来の船舶推進装置を示す全体構造図である。
【符号の説明】
1…旋回筒、2…垂直駆動軸、3…推進軸、
5…運動偏見機構を構成する羽根つば、6…推進器翼としてのプロペラ翼、
9,10…油圧供給系としての油圧配管、11,12…給油筒、
13…アクチュエータ、14…シリンダ、15…ピストン、
17…運動変換機構としてのクロスヘッド、
20…油圧逆止手段としてのパイロットチェック弁(逆止弁)。
Claims (2)
- 水平面内で旋回可能となるように船舶に設けられた旋回筒と、前記旋回筒の旋回中心に設けられて駆動される垂直駆動軸と、前記旋回筒の内部に水平に設けられて前記垂直駆動軸に連動する推進軸と、前記推進軸の端部に設けられて水中で回転する推進器翼と、船舶側から供給される油圧を前記旋回筒内に導く油圧供給系と前記旋回筒内に設けられて前記油圧で前記推進器翼の角度を設定するアクチュエータを備えた翼角変節装置を有する船舶推進装置に設けられ、前記油圧供給系に油圧逆止手段を設けた船舶推進装置における翼角保持装置において、
前記アクチュエータがシリンダとピストンからなり、前記ピストンの直線運動を前記推進器翼の角度を設定するための回転運動に変換する運動変換機構をさらに有し、
該運動変換機構は、クロスヘッドとクロスヘッドの直線運動に連動して回転する羽根つばを有し、
前記油圧逆止手段が、前記旋回筒内において、前記運動変換機構を構成するクロスヘッドの内部における前記シリンダと前記油圧供給系の間に設けられた逆止弁であることを特徴とする船舶推進装置における翼角保持装置。 - 前記油圧供給系に給油筒が設けられており、前記油圧逆止手段が前記シリンダと前記給油筒の間に設けられている請求項1記載の船舶推進装置における翼角保持装置。
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