JP3618434B2 - プラズマアーク加工装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する利用分野】
本発明は、プラズマアーク加工装置の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図9は、プラズマアーク加工装置の従来の例を示した接続図である。図9において、1ないし3は1次入力線、4は主電極側ケーブル、5は主電極、6はチップ電極、7は被加工物、8は被加工物側ケーブル、9はチップ電極側ケーブル、TS1は起動スイッチである。また、10は切断電源、DR11は1次整流回路、C11は平滑コンデンサ、TR11はインバータ回路、T21はインバータトランス、DR21は2次整流回路、CT21は出力電流検出器、L21はリアクトル、CR1はリレー接点であり、起動スイッチTS1が押されて制御回路CTL11がインバータ回路TR11に起動指令を発したときから、出力検出器CT21が出力電流を検出して主アークの発生を検出するまでの間閉じるスイッチ手段である。R21は抵抗器、OSは高周波発生器、CCは高周波カップリングコイル、C21とC22は高周波バイパスコンデンサ、CTL11は制御回路、RV1は出力調整器、Tm1は主電極側出力端子、Tm2は被加工物側出力端子、Tm3はチップ電極側出力端子である。なお、高周波バイパスコンデンサC22は被加工物7側に漏れた高周波が被加工物側出力端子Tm2から侵入しても内部の他の回路に流れ込まないようにするためのものである。
【0003】
図9の装置において、加工の開始に当り作業者は主電極5とチップ電極6からなるトーチを持ち、被加工物7に接近させ、起動スイッチTS1を押す。制御回路CTL11は起動スイッチTS1からの起動信号を受けて、インバータ回路TR11に起動信号を送ってこれを起動し、リレー接点CR1に閉信号を送る。インバータ回路TR11の起動によってインバータトランスT21の1次側には数10kHzの電圧が加わり、2次側でプラズマアーク加工に必要な電圧値に変換され、2次整流回路DR21によって直流に変換されてリアクトルL21、リレー接点CR1および抵抗器R21の回路に加えられる。
【0004】
一方インバータ回路TR11の起動にともなって高周波発生器OSも制御回路CTL11からの起動信号を受けて高周波高電圧を発生する。高周波高電圧は高周波カップリングコイルCCの1次巻線に加わり、2次巻線に数kvの高周波高電圧を発生する。この高周波高電圧は、一方は主電極側出力端子Tm1と主電極側ケーブル4を経て、他方は高周波バイパスコンデンサC21、チップ電極側出力端子Tm3、チップ電極側ケーブル9を経て、主電極5とチップ電極6との間に加わる。この高周波高電圧によって主電極5とチップ電極6との間の絶縁が破壊され、抵抗器R21を介して供給されている2次整流回路DR21の出力によって小電流のアークが発生する。通常この小電流アークは加工用の主アークを誘発させるために点弧されるものであるので、パイロットアークと呼ばれている。このパイロットアークが発生した状態では、同時にプラズマ生成用のガスが図示を省略したガス供給手段によって主電極5とチップ電極6との間に供給されているので、パイロットアークによって電離されたガスがチップ電極6の先端のノズル部から噴出している。この状態でトーチを被加工物に近づけるとパイロットアークによって電離されたガス流によって主電極5と被加工物7との間の絶縁が低下して加工用主アークが誘発される。
【0005】
この主アークは供給されるガス流がチップ電極6の先端のノズル部で細く絞られて強く収縮し、高エネルギー密度のプラズマジェットとなって被加工物7に向かって発生し、被加工物7を溶融させる。主アークが発生すると、電流検出器CT21によってこれを検出して、リレー接点CR1を閉から開として、加工用主アーク発生中はチップ電極への電流の流入を禁止する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
前述したように、パイロットアークを被加工物7に近づけることによって、パイロットアークが主電極5と被加工物7との間の加工用主アークに移行して加工が行われる。しかし、パイロットアーク電流は加工用主アーク電流より小さい。そのためパイロットアークを安定に維持するためには、2次整流回路DR21の出力電圧を大きくしなければならない。このためには、図9において、インバータトランスTR21の2次巻線の出力電圧を高くすればよいが、それでは、2次整流回路DR21として高耐圧でかつ加工用主電流を流すことができるだけの大電流容量のものが必要となり、かつインバータトランスTR21の容量も大きくなってしまう。そこで従来は、2次整流回路DR21の出力電圧は、加工用主アークの安定には十分な値であるが、パイロットアークの安定のためには低い値に選択されていた。このために、パイロットアークが消滅しやすくなり、消滅すればパイロットアークの再点弧のために再び高周波高電圧を印加することを繰り返すことになり、ノイズ源となる高周波高電圧のレベルを大きし、かつ、発生の機会までも増大させてしまう。さらにまたこのことは、加工装置自身に対しても高いレベルの耐ノイズ性を確保する必要性を生じ、同時に高耐圧も備えることが必要であった。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記従来装置の問題点を解決するために、主アーク用電源の出力に加算する補助電源を設け、両電源の出力の和をパイロットアーク用電源とすることによって、上記従来装置の有する課題を解決したものである。
【0008】
【実施の形態】
以下、本発明を図示の実施例によって説明する。
【0009】
図1は本発明の実施例を示す接続図である。図1において、T22はインバータトランス、T22(1/2)はインバータトランスT22の2次巻線、T22(2/2)はインバータトランスT22の補助巻線、DR22は補助整流回路であり、2次整流回路DR21とは出力電圧が加算される極性に直列接続されている。その他は図9の従来装置と同じ機能の部品またはアセンブリのものに同一の符号を付して説明を省略する。
【0010】
図1の装置においては2次整流回路DR21と補助整流回路DR22の出力電圧との和がリアクトルL21、カップリングコイルCCの2次巻線、主電極側出力端子Tm1、主電極側ケーブル4およびリレー接点CR1、チップ電極側出力端子Tm3、チップ電極側ケーブル9の回路を通して主電極5とチップ電極6との間に印加され、主アーク発生時はリレー接点CR1が開路となるので2次巻線T22(1/2)の出力を整流した2次整流回路DR21の出力のみが主電極5と被加工物7との間に供給される。図1の装置において、パイロットアーク電流は電流検出器CT22によってフィードバックされて定電流制御される。このパイロットアークを被加工物7に近づけることによって、パイロットアークが主電極5と被加工物7間の加工用主アークに移行して加工が行われる。
【0011】
図1の装置においては、補助整流回路DR22がパイロットアークの安定までに必要な電圧を補うのでパイロットアークが一旦出れば消滅しないので、加工用主アークの移行に至るまでに再度高周波高電圧を発生させる必要がなくなる。
【0012】
一方、補助整流回路DR22からは大きな加工用主アーク電流を供給する必要はない。したがって、補助整流回路DR22はパイロットアーク電流程度の小電流のものでよく、2次巻線TR22s2は小電流のパイロットアーク電流を供給すればよいので、インバータトランスTR22の容量は図9の従来装置に比べて著しく増加することはない。
【0013】
図2は本発明の別の実施例を示す接続図である。図2において、L22はリアクトルであり、共通の鉄心に2つの巻線L22(1/2) とL22(2/2) が分割して巻かれている。両巻線は、回路に流れる電流によって共有する鉄心に同方向の磁束を発生する極性にその巻方向が図中に・印で示すように決定されている。その他は図9および図1に示した装置と同じ機能の部品またはアセンブリのものに同一の符号を付して説明を省略する。
【0014】
図2の装置において、パイロットアークが発生するまでは図1と同じである。図2においては、パイロットアーク発生後パイロットアークを被加工物7に近づけることによって、パイロットアークが主電極5と被加工物7間の加工用主アークに移行しようとする。このパイロットアークから加工用主アークに移行しようとするとき、リレー接点CR1を開とすると、それまでのパイロットアーク電流によってリアクトルL22(2/2) に貯えられた磁気エネルギーがリアクトルL22(2/2) に流れていた電流を維持しようとする向きに起電力を発生し、共通鉄心によって磁気結合されているリアクトルL22(1/2) にはリアクトルL22(2/2) との巻数比に対応した起電力が発生する。この両巻線の起電力が相互に加わった状態で主電極5と被加工物7間に印加されて加工用主アークへの移行を容易にさせる。図2に示した実施例の場合も図1に示した実施例と同様に、補助整流回路DR22はパイロットアークの安定に必要な電圧を補うので、パイロットアークが一旦発生すると消滅することはなく、加工用主アークの移行に至るまでに再度高周波高電圧を発生させる必要がなくなる。また、補助整流回路DR22はパイロットアーク電流程度の小電流のものでよいので、インバータトランスTR22の容量とともに従来の装置よりも著しく増加する必要はない。
【0015】
図3は本発明の別の実施例を示す接続図である。図3の装置においては、図2に示した実施例のリアクトルL22(1/2) が被加工物側の回路に挿入されているところが図2と異なるのみで、その動作は図2に示した実施例と同様である。
【0016】
図4は、さらに別の実施例を示す接続図である。図4において、DR24、およびDR25はダイオードである。その他は図3に示した実施例と同じ機能の部品またはアセンブリのものに同一の符号を付して説明を省略する。前述の図1ないし図3に示した実施例においては、補助整流回路DR22の出力があってまだパイロットアークが発生していないとき、被加工物7とチップ電極6との間に補助整流回路DR22の出力電圧が現れるので、この電圧によって作業者が感電するおそれがある。そこで、図4はパイロットアークがまだ発生しないときには、補助整流回路DR22の出力電圧が被加工物7とチップ電極6との間に現れないように改善したものである。
【0017】
図4の装置において、リアクトルL22(1/2) およびリアクトルL22(2/2) の一方の端子はそれぞれ被加工物側出力端子Tm2、チップ電極側出力端子Tm3に接続されている。リアクトルL22(1/2) の他方の端子は、ダイオードDR24とダイオードDR25のカソードに接続されている。リアクトルL22(2/2) の他方の端子は、ダイオードDR25とダイオードDR24の直列回路を経て2次整流回路DR21と補助整流回路DR22との接続点と、リレー接点CR1を経て補助整流回路DR22の正の出力端子に接続されている。ダイオードDR24とダイオードDR25の直列回路ではカソード同志が接続されている。
【0018】
図4の装置において、起動スイッチTS1が押された後、補助整流回路DR22の出力電圧はリレー接点CR1およびダイオードDR25を経てダイオードDR24を逆バイアスし、その結果ダイオードDR24は非導通状態を保つ。このときダイオードDR25は順バイアスとなっている。主電極5とチップ電極6との間には、2次整流回路DR21と補助整流回路DR22の出力電圧の和の電圧がカップリングコイルCCの2次巻線、主電極側出力端子Tm1、主電極側ケーブル4およびリレー接点CR1、リアクトルL22(2/2) 、チップ電極側出力端子Tm3、チップ電極側ケーブル9を経て加わる。この結果、パイロット電流が流れていない場合でも、ダイオードDR24が逆バイアスされ、ダイオードDR25が順バイアスされているので、被加工物7とチップ電極6との間には、ダイオードDR25の順バイアス電圧が印加されるのみであり、整流回路DR22の高い出力電圧は印加されない。
【0019】
一方これと同時にカップリングコイルCCの2次巻線に現れる高周波高電圧は、主電極側出力端子Tm1、主電極側ケーブル4および高周波バイパスコンデンサC21、チップ電極側出力端子Tm3を経て主電極5とチップ電極6との間に印加される。この高周波高電圧によって主電極5とチップ電極6との間の絶縁が破られると、パイロットアークの電流は、補助整流回路DR22の正の出力端子から出力電流検出器CT22、リレー接点CR1、リアクトルL22(2/2) 、チップ電極側出力端子Tm3、チップ電極側ケーブル9、チップ電極6、主電極5、主電極側ケーブル4、主電極側出力端子Tm1、カップリングコイルCCの2次巻線、2次整流回路DR21の負の出力端子へと流れる。パイロットアーク電流が流れている場合も、ダイオードDR24が逆バイアスされ、ダイオードDR25が順バイアスされているので、被加工物7とチップ電極6との間には、ダイオードDR25の順バイアス電圧が印加されるのみであり、補助整流回路DR22の高い出力電圧は印加されない。
【0020】
図4の装置においても、パイロットアーク電流は電流検出器CT22によって検出され、この検出信号は制御回路CTL11にフィードバックされてパイロットアーク電流が定電流制御される。パイロットアークが発生した後、パイロットアークを被加工物7に近づけることによって、パイロットアークが主電極5と被加工物7間の加工用主アークに移行して加工が行われる。主アーク電流が流れ出した時にこれを検出してリレー接点CR1を開としてパイロットアークを消滅させようとするとき、それまでリアクトルL22(2/2) に貯えられていた磁気エネルギーが、被加工物側の回路にあるリアクトルL22(1/2) に電磁誘導によって移行して主電極5と被加工物7間に供給され、加工用主アークの確立を容易にすることができる。
【0021】
図5は、本発明を実施する装置の別の例を示す接続図である。図5において、R21は抵抗器である。図5の実施例は、図4に示した実施例のリレー接点CR1と電流検出器CT22との回路にかえて、抵抗器R21を接続し、リレー接点CR1をリアクトルL22(2/2) に直列に接続したものである。その他は図4に示した実施例と同じ機能の部品またはアセンブリのものに同一の符号を付して説明を省略する。
【0022】
図5の実施例においては、パイロットアークの発生については図1ないし図4に示した実施例と同じである。パイロットアーク発生時の電流は抵抗器R21によって制限される。パイロットアーク発生後、パイロットアークを被加工物7に近づけることによって、パイロットアークが主電極5と被加工物7間の加工用主アークに移行して加工が行われる。また、別に起動から主アーク発生までの間閉じる別のリレー接点を抵抗器21に直列に接続しておくと、インバータトランスの補助巻線T22(2/2)、補助整流器DR22、抵抗器21、ダイオードDR25には、パイロットアークが発生している間のみ電流が流れるだけとなるのでこれらの電流容量を小さいものすることがにできる。
【0023】
図6は、被加工物7とチップ電極6との間に補助整流回路DR22の出力電圧がかからないようにした別の実施例をしめす接続図である。図6は図5に示した実施例のダイオードDR25を短絡したものに相当する。
【0024】
図6の装置においては、被加工物7とチップ電極6との間はアクトルL22(1/2) とリアクトルL22(2/2) で短絡されているので補助整流回路DR22の出力電圧がこれらの間に印加されることはない。
【0025】
ここで図5に示した実施例と異なる点について説明する。図6の実施例においては、パイロットアークがまだ発生していないとき、抵抗器R21、リレー接点CR1、リアクトルL22(2/2) 、チップ電極側出力端子Tm3、チップ電極側ケーブル9を経てチップ電極6に正の電圧がかかり、カップリングコイルCC、主電極側出力端子Tm1、主電極側ケーブル4を経て主電極5に負の電圧がかかる。このときダイオードDR24は逆バイアスされ、電流は流れていない。ここまでは、図5に示した実施例と同じである。チップ電極6と主電極5との間の絶縁が破れたとき、はじめは、ダイオードDR24は逆バイアスのままで、補助整流回路DR22の正出力側が抵抗器R21を経てパイロットアーク電流が供給される。パイロットアークが安定してパイロットアーク電圧が2次整流回路DR21の出力電圧より低くなると、2次整流回路DR21からもダイオードDR24を通してパイロットアーク電流が供給されるようになる。
【0026】
なお、図6の実施例の場合も図5の実施例の場合と同様に、主アークの発生中はチップ電極6には電流を流す必要はないので、リレー接点CR1は開としておく。さらに、別にリレー接点を抵抗器21に直列に接続してこの電流を断つようにすると、インバータトランスの補助巻線T22(2/2)、補助整流器DR22、抵抗器21の容量を小さいものにできる。
【0027】
図7は、図6の実施例にさらに改善を加え、特別に電流を遮断する手段を設けなくとも、インバータトランスの補助巻線T22(2/2)、補助整流器DR22、抵抗器21の熱容量を小さくできるようにしたものである。図7において、C23はコンデンサ、R22は抵抗器である。その他は図6に示した実施例と同じ機能の部品またはアセンブリのものに同一の符号を付して説明を省略する。
【0028】
図6の場合からわかるように、一旦パイロットアークが発生して安定すれば低い電圧の2次整流回路DR21からパイロットアーク電流を供給しても安定なパイロットアークが持続する。
【0029】
そこで図7の装置においては、パイロットアークの起動時のみに比較的大きな電流を供給してこれを確立し、以後は小さな容量の電源から電流を供給するものである。同図の装置において、起動スイッチT(1/2)を押すと制御回路CTL11はインバータ回路TR11を起動し、インバータトランスT22は2次巻線T22(1/2)および補助巻線T22(2/2)に出力電圧を発生する。補助巻線T22(2/2)の出力電圧は、補助整流回路DR22によって整流されて直流となり、この直流出力によって抵抗器R22を通してコンデンサC23が充電される。一方、制御回路CTL11は、インバータ回路TR11への起動指令と同時に、または所定の時間遅れの後に高周波発生器OSを起動し、またリレー接点CR1を閉路する。この結果、主電極5とチップ電極6との間には2次整流回路DR21の出力と補助整流回路DR22の出力との和の電圧が印加されて、同時にカップリングコイルCCを介して高周波高電圧が印加されることによって両者間の絶縁が破壊されてパイロットアークが起動する。このパイロットアークに対しては補助整流回路DR22の出力と共にコンデンサC23からも電力が供給されることになる。そこで、抵抗器R21をパイロットアークの確立に十分な電流が流れる程度の比較的低い抵抗値のものとし、抵抗器R22をこれよりも十分に高い抵抗値のものにしておくと、パイロットアークはコンデンサC23の充電電荷により安定になるまで電力が供給されて確立されることになり、パイロットアークが確立された後は高い抵抗値の抵抗器R22を介してパイロットアークの維持に必要な電流が供給されることになるので補助整流回路DR22の出力電流が小さな値に制限されることになる。この結果、補助整流回路DR22は小容量のものでよいことになる。
【0030】
図8は、本発明の別の実施例を示す接続図である。同図は、加工用主アーク発生中については、とくにスイッチを設けなくとも、補助整流器DR22が電流を供給しなくてもよいように改善したものである。図8において、DR26はダイオードである。その他は図7に示した実施例と同じ機能の部品またはアセンブリのものに同一の符号を付して説明を省略する。
【0031】
図8の装置において、加工用主アーク発生中はリレー接点CR1が開となる。加工用主アーク電流はダイオードDR24を流れるがダイオードDR26には流れない。したがって、補助整流回路DR22は加工用主アーク発生中にはダイオードDR26が逆バイアスされるので電流を供給することはない。
【0032】
上記各実施例においては、パイロットアーク電流は電流検出器CT22によって検出したパイロットアーク電流をフィードバック制御して決定するようにしたが、パイロットアーク電流の制御方法はこれに限るものではなく、例えば図5および図6の装置においては抵抗器R21によって、また図7および図8の装置においては抵抗器R22によって制限されるのでフィードバック制御しなくてもよい。
【0033】
また、前記いずれの実施例においても、加工電源はインバータ制御式を用いて説明したが、本発明の実施にあたっては、加工電源の主回路方式はインバータ制御式に限られるものではなく、公知の各種の回路方式の電源回路を用いることができる。またアークの起動装置は高周波高電圧方式を用いて説明したが、これに限られるものではない。すなわち直流高電圧方式であっても、高電圧インパルス方式であってもよい。
【0034】
さらに、主アークの発生後にパイロットアーク電流を遮断するためにリレー接点CR1を用いたが、スイッチ手段であればなんでも良く、例えばリレー接点の代りに半導体スイッチング素子などでも良い。
【0035】
【発明の効果】
本発明はパイロットアークの発生を確実にし、かつ発生したパイロットアークを安定に維持することによって、それ自身がノイズ源でもあるパイロットアーク起動用の高周波高電圧のレベルを抑え、発生の頻度を減らすことができるので、他の機器へのノイズ障害を低減できる。さらに、加工装置自身に要求される耐ノイズ性および加工トーチに対して要求される高周波高電圧に対する耐久性が、著しく緩和される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示す接続図。
【図2】本発明の別の実施例を示す接続図。
【図3】本発明のさらに別の実施例を示す接続図。
【図4】本発明のさらに別の実施例を示す接続図。
【図5】本発明のさらに別の実施例を示す接続図。
【図6】本発明のさらに別の実施例を示す接続図。
【図7】本発明のさらに別の実施例を示す接続図。
【図8】本発明のさらに別の実施例を示す接続図。
【図9】従来のプラズマアーク加工装置の例を示す接続図。
【符号の説明】
1ないし3 1次入力線
5 主電極
6 チップ電極
7 被加工物
10 加工電源
C11 平滑コンデンサ
TR11 インバータ回路
T21 インバータトランス
DR11 1次整流回路
DR21 2次整流回路
DR22 補助整流回路
DR24ないしDR26 ダイオード
CT21、CT22 出力電流検出器
L21 リアクトル
L22 リアクトル
L22(1/2) 、L22(2/2) リアクトルL22の巻線
CR1 リレー接点
R21、R22 抵抗器
OS 高周波発生器
CC 高周波カップリングコイル
RV1 出力調整器
T(1/2) 起動スイッチ
T22 インバータトランス
T22(1/2) インバータトランスT22の2次巻線
T22(2/2) インバータトランスT22の補助巻線
C23 コンデンサ
CTL11 制御回路
【発明の属する利用分野】
本発明は、プラズマアーク加工装置の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図9は、プラズマアーク加工装置の従来の例を示した接続図である。図9において、1ないし3は1次入力線、4は主電極側ケーブル、5は主電極、6はチップ電極、7は被加工物、8は被加工物側ケーブル、9はチップ電極側ケーブル、TS1は起動スイッチである。また、10は切断電源、DR11は1次整流回路、C11は平滑コンデンサ、TR11はインバータ回路、T21はインバータトランス、DR21は2次整流回路、CT21は出力電流検出器、L21はリアクトル、CR1はリレー接点であり、起動スイッチTS1が押されて制御回路CTL11がインバータ回路TR11に起動指令を発したときから、出力検出器CT21が出力電流を検出して主アークの発生を検出するまでの間閉じるスイッチ手段である。R21は抵抗器、OSは高周波発生器、CCは高周波カップリングコイル、C21とC22は高周波バイパスコンデンサ、CTL11は制御回路、RV1は出力調整器、Tm1は主電極側出力端子、Tm2は被加工物側出力端子、Tm3はチップ電極側出力端子である。なお、高周波バイパスコンデンサC22は被加工物7側に漏れた高周波が被加工物側出力端子Tm2から侵入しても内部の他の回路に流れ込まないようにするためのものである。
【0003】
図9の装置において、加工の開始に当り作業者は主電極5とチップ電極6からなるトーチを持ち、被加工物7に接近させ、起動スイッチTS1を押す。制御回路CTL11は起動スイッチTS1からの起動信号を受けて、インバータ回路TR11に起動信号を送ってこれを起動し、リレー接点CR1に閉信号を送る。インバータ回路TR11の起動によってインバータトランスT21の1次側には数10kHzの電圧が加わり、2次側でプラズマアーク加工に必要な電圧値に変換され、2次整流回路DR21によって直流に変換されてリアクトルL21、リレー接点CR1および抵抗器R21の回路に加えられる。
【0004】
一方インバータ回路TR11の起動にともなって高周波発生器OSも制御回路CTL11からの起動信号を受けて高周波高電圧を発生する。高周波高電圧は高周波カップリングコイルCCの1次巻線に加わり、2次巻線に数kvの高周波高電圧を発生する。この高周波高電圧は、一方は主電極側出力端子Tm1と主電極側ケーブル4を経て、他方は高周波バイパスコンデンサC21、チップ電極側出力端子Tm3、チップ電極側ケーブル9を経て、主電極5とチップ電極6との間に加わる。この高周波高電圧によって主電極5とチップ電極6との間の絶縁が破壊され、抵抗器R21を介して供給されている2次整流回路DR21の出力によって小電流のアークが発生する。通常この小電流アークは加工用の主アークを誘発させるために点弧されるものであるので、パイロットアークと呼ばれている。このパイロットアークが発生した状態では、同時にプラズマ生成用のガスが図示を省略したガス供給手段によって主電極5とチップ電極6との間に供給されているので、パイロットアークによって電離されたガスがチップ電極6の先端のノズル部から噴出している。この状態でトーチを被加工物に近づけるとパイロットアークによって電離されたガス流によって主電極5と被加工物7との間の絶縁が低下して加工用主アークが誘発される。
【0005】
この主アークは供給されるガス流がチップ電極6の先端のノズル部で細く絞られて強く収縮し、高エネルギー密度のプラズマジェットとなって被加工物7に向かって発生し、被加工物7を溶融させる。主アークが発生すると、電流検出器CT21によってこれを検出して、リレー接点CR1を閉から開として、加工用主アーク発生中はチップ電極への電流の流入を禁止する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
前述したように、パイロットアークを被加工物7に近づけることによって、パイロットアークが主電極5と被加工物7との間の加工用主アークに移行して加工が行われる。しかし、パイロットアーク電流は加工用主アーク電流より小さい。そのためパイロットアークを安定に維持するためには、2次整流回路DR21の出力電圧を大きくしなければならない。このためには、図9において、インバータトランスTR21の2次巻線の出力電圧を高くすればよいが、それでは、2次整流回路DR21として高耐圧でかつ加工用主電流を流すことができるだけの大電流容量のものが必要となり、かつインバータトランスTR21の容量も大きくなってしまう。そこで従来は、2次整流回路DR21の出力電圧は、加工用主アークの安定には十分な値であるが、パイロットアークの安定のためには低い値に選択されていた。このために、パイロットアークが消滅しやすくなり、消滅すればパイロットアークの再点弧のために再び高周波高電圧を印加することを繰り返すことになり、ノイズ源となる高周波高電圧のレベルを大きし、かつ、発生の機会までも増大させてしまう。さらにまたこのことは、加工装置自身に対しても高いレベルの耐ノイズ性を確保する必要性を生じ、同時に高耐圧も備えることが必要であった。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記従来装置の問題点を解決するために、主アーク用電源の出力に加算する補助電源を設け、両電源の出力の和をパイロットアーク用電源とすることによって、上記従来装置の有する課題を解決したものである。
【0008】
【実施の形態】
以下、本発明を図示の実施例によって説明する。
【0009】
図1は本発明の実施例を示す接続図である。図1において、T22はインバータトランス、T22(1/2)はインバータトランスT22の2次巻線、T22(2/2)はインバータトランスT22の補助巻線、DR22は補助整流回路であり、2次整流回路DR21とは出力電圧が加算される極性に直列接続されている。その他は図9の従来装置と同じ機能の部品またはアセンブリのものに同一の符号を付して説明を省略する。
【0010】
図1の装置においては2次整流回路DR21と補助整流回路DR22の出力電圧との和がリアクトルL21、カップリングコイルCCの2次巻線、主電極側出力端子Tm1、主電極側ケーブル4およびリレー接点CR1、チップ電極側出力端子Tm3、チップ電極側ケーブル9の回路を通して主電極5とチップ電極6との間に印加され、主アーク発生時はリレー接点CR1が開路となるので2次巻線T22(1/2)の出力を整流した2次整流回路DR21の出力のみが主電極5と被加工物7との間に供給される。図1の装置において、パイロットアーク電流は電流検出器CT22によってフィードバックされて定電流制御される。このパイロットアークを被加工物7に近づけることによって、パイロットアークが主電極5と被加工物7間の加工用主アークに移行して加工が行われる。
【0011】
図1の装置においては、補助整流回路DR22がパイロットアークの安定までに必要な電圧を補うのでパイロットアークが一旦出れば消滅しないので、加工用主アークの移行に至るまでに再度高周波高電圧を発生させる必要がなくなる。
【0012】
一方、補助整流回路DR22からは大きな加工用主アーク電流を供給する必要はない。したがって、補助整流回路DR22はパイロットアーク電流程度の小電流のものでよく、2次巻線TR22s2は小電流のパイロットアーク電流を供給すればよいので、インバータトランスTR22の容量は図9の従来装置に比べて著しく増加することはない。
【0013】
図2は本発明の別の実施例を示す接続図である。図2において、L22はリアクトルであり、共通の鉄心に2つの巻線L22(1/2) とL22(2/2) が分割して巻かれている。両巻線は、回路に流れる電流によって共有する鉄心に同方向の磁束を発生する極性にその巻方向が図中に・印で示すように決定されている。その他は図9および図1に示した装置と同じ機能の部品またはアセンブリのものに同一の符号を付して説明を省略する。
【0014】
図2の装置において、パイロットアークが発生するまでは図1と同じである。図2においては、パイロットアーク発生後パイロットアークを被加工物7に近づけることによって、パイロットアークが主電極5と被加工物7間の加工用主アークに移行しようとする。このパイロットアークから加工用主アークに移行しようとするとき、リレー接点CR1を開とすると、それまでのパイロットアーク電流によってリアクトルL22(2/2) に貯えられた磁気エネルギーがリアクトルL22(2/2) に流れていた電流を維持しようとする向きに起電力を発生し、共通鉄心によって磁気結合されているリアクトルL22(1/2) にはリアクトルL22(2/2) との巻数比に対応した起電力が発生する。この両巻線の起電力が相互に加わった状態で主電極5と被加工物7間に印加されて加工用主アークへの移行を容易にさせる。図2に示した実施例の場合も図1に示した実施例と同様に、補助整流回路DR22はパイロットアークの安定に必要な電圧を補うので、パイロットアークが一旦発生すると消滅することはなく、加工用主アークの移行に至るまでに再度高周波高電圧を発生させる必要がなくなる。また、補助整流回路DR22はパイロットアーク電流程度の小電流のものでよいので、インバータトランスTR22の容量とともに従来の装置よりも著しく増加する必要はない。
【0015】
図3は本発明の別の実施例を示す接続図である。図3の装置においては、図2に示した実施例のリアクトルL22(1/2) が被加工物側の回路に挿入されているところが図2と異なるのみで、その動作は図2に示した実施例と同様である。
【0016】
図4は、さらに別の実施例を示す接続図である。図4において、DR24、およびDR25はダイオードである。その他は図3に示した実施例と同じ機能の部品またはアセンブリのものに同一の符号を付して説明を省略する。前述の図1ないし図3に示した実施例においては、補助整流回路DR22の出力があってまだパイロットアークが発生していないとき、被加工物7とチップ電極6との間に補助整流回路DR22の出力電圧が現れるので、この電圧によって作業者が感電するおそれがある。そこで、図4はパイロットアークがまだ発生しないときには、補助整流回路DR22の出力電圧が被加工物7とチップ電極6との間に現れないように改善したものである。
【0017】
図4の装置において、リアクトルL22(1/2) およびリアクトルL22(2/2) の一方の端子はそれぞれ被加工物側出力端子Tm2、チップ電極側出力端子Tm3に接続されている。リアクトルL22(1/2) の他方の端子は、ダイオードDR24とダイオードDR25のカソードに接続されている。リアクトルL22(2/2) の他方の端子は、ダイオードDR25とダイオードDR24の直列回路を経て2次整流回路DR21と補助整流回路DR22との接続点と、リレー接点CR1を経て補助整流回路DR22の正の出力端子に接続されている。ダイオードDR24とダイオードDR25の直列回路ではカソード同志が接続されている。
【0018】
図4の装置において、起動スイッチTS1が押された後、補助整流回路DR22の出力電圧はリレー接点CR1およびダイオードDR25を経てダイオードDR24を逆バイアスし、その結果ダイオードDR24は非導通状態を保つ。このときダイオードDR25は順バイアスとなっている。主電極5とチップ電極6との間には、2次整流回路DR21と補助整流回路DR22の出力電圧の和の電圧がカップリングコイルCCの2次巻線、主電極側出力端子Tm1、主電極側ケーブル4およびリレー接点CR1、リアクトルL22(2/2) 、チップ電極側出力端子Tm3、チップ電極側ケーブル9を経て加わる。この結果、パイロット電流が流れていない場合でも、ダイオードDR24が逆バイアスされ、ダイオードDR25が順バイアスされているので、被加工物7とチップ電極6との間には、ダイオードDR25の順バイアス電圧が印加されるのみであり、整流回路DR22の高い出力電圧は印加されない。
【0019】
一方これと同時にカップリングコイルCCの2次巻線に現れる高周波高電圧は、主電極側出力端子Tm1、主電極側ケーブル4および高周波バイパスコンデンサC21、チップ電極側出力端子Tm3を経て主電極5とチップ電極6との間に印加される。この高周波高電圧によって主電極5とチップ電極6との間の絶縁が破られると、パイロットアークの電流は、補助整流回路DR22の正の出力端子から出力電流検出器CT22、リレー接点CR1、リアクトルL22(2/2) 、チップ電極側出力端子Tm3、チップ電極側ケーブル9、チップ電極6、主電極5、主電極側ケーブル4、主電極側出力端子Tm1、カップリングコイルCCの2次巻線、2次整流回路DR21の負の出力端子へと流れる。パイロットアーク電流が流れている場合も、ダイオードDR24が逆バイアスされ、ダイオードDR25が順バイアスされているので、被加工物7とチップ電極6との間には、ダイオードDR25の順バイアス電圧が印加されるのみであり、補助整流回路DR22の高い出力電圧は印加されない。
【0020】
図4の装置においても、パイロットアーク電流は電流検出器CT22によって検出され、この検出信号は制御回路CTL11にフィードバックされてパイロットアーク電流が定電流制御される。パイロットアークが発生した後、パイロットアークを被加工物7に近づけることによって、パイロットアークが主電極5と被加工物7間の加工用主アークに移行して加工が行われる。主アーク電流が流れ出した時にこれを検出してリレー接点CR1を開としてパイロットアークを消滅させようとするとき、それまでリアクトルL22(2/2) に貯えられていた磁気エネルギーが、被加工物側の回路にあるリアクトルL22(1/2) に電磁誘導によって移行して主電極5と被加工物7間に供給され、加工用主アークの確立を容易にすることができる。
【0021】
図5は、本発明を実施する装置の別の例を示す接続図である。図5において、R21は抵抗器である。図5の実施例は、図4に示した実施例のリレー接点CR1と電流検出器CT22との回路にかえて、抵抗器R21を接続し、リレー接点CR1をリアクトルL22(2/2) に直列に接続したものである。その他は図4に示した実施例と同じ機能の部品またはアセンブリのものに同一の符号を付して説明を省略する。
【0022】
図5の実施例においては、パイロットアークの発生については図1ないし図4に示した実施例と同じである。パイロットアーク発生時の電流は抵抗器R21によって制限される。パイロットアーク発生後、パイロットアークを被加工物7に近づけることによって、パイロットアークが主電極5と被加工物7間の加工用主アークに移行して加工が行われる。また、別に起動から主アーク発生までの間閉じる別のリレー接点を抵抗器21に直列に接続しておくと、インバータトランスの補助巻線T22(2/2)、補助整流器DR22、抵抗器21、ダイオードDR25には、パイロットアークが発生している間のみ電流が流れるだけとなるのでこれらの電流容量を小さいものすることがにできる。
【0023】
図6は、被加工物7とチップ電極6との間に補助整流回路DR22の出力電圧がかからないようにした別の実施例をしめす接続図である。図6は図5に示した実施例のダイオードDR25を短絡したものに相当する。
【0024】
図6の装置においては、被加工物7とチップ電極6との間はアクトルL22(1/2) とリアクトルL22(2/2) で短絡されているので補助整流回路DR22の出力電圧がこれらの間に印加されることはない。
【0025】
ここで図5に示した実施例と異なる点について説明する。図6の実施例においては、パイロットアークがまだ発生していないとき、抵抗器R21、リレー接点CR1、リアクトルL22(2/2) 、チップ電極側出力端子Tm3、チップ電極側ケーブル9を経てチップ電極6に正の電圧がかかり、カップリングコイルCC、主電極側出力端子Tm1、主電極側ケーブル4を経て主電極5に負の電圧がかかる。このときダイオードDR24は逆バイアスされ、電流は流れていない。ここまでは、図5に示した実施例と同じである。チップ電極6と主電極5との間の絶縁が破れたとき、はじめは、ダイオードDR24は逆バイアスのままで、補助整流回路DR22の正出力側が抵抗器R21を経てパイロットアーク電流が供給される。パイロットアークが安定してパイロットアーク電圧が2次整流回路DR21の出力電圧より低くなると、2次整流回路DR21からもダイオードDR24を通してパイロットアーク電流が供給されるようになる。
【0026】
なお、図6の実施例の場合も図5の実施例の場合と同様に、主アークの発生中はチップ電極6には電流を流す必要はないので、リレー接点CR1は開としておく。さらに、別にリレー接点を抵抗器21に直列に接続してこの電流を断つようにすると、インバータトランスの補助巻線T22(2/2)、補助整流器DR22、抵抗器21の容量を小さいものにできる。
【0027】
図7は、図6の実施例にさらに改善を加え、特別に電流を遮断する手段を設けなくとも、インバータトランスの補助巻線T22(2/2)、補助整流器DR22、抵抗器21の熱容量を小さくできるようにしたものである。図7において、C23はコンデンサ、R22は抵抗器である。その他は図6に示した実施例と同じ機能の部品またはアセンブリのものに同一の符号を付して説明を省略する。
【0028】
図6の場合からわかるように、一旦パイロットアークが発生して安定すれば低い電圧の2次整流回路DR21からパイロットアーク電流を供給しても安定なパイロットアークが持続する。
【0029】
そこで図7の装置においては、パイロットアークの起動時のみに比較的大きな電流を供給してこれを確立し、以後は小さな容量の電源から電流を供給するものである。同図の装置において、起動スイッチT(1/2)を押すと制御回路CTL11はインバータ回路TR11を起動し、インバータトランスT22は2次巻線T22(1/2)および補助巻線T22(2/2)に出力電圧を発生する。補助巻線T22(2/2)の出力電圧は、補助整流回路DR22によって整流されて直流となり、この直流出力によって抵抗器R22を通してコンデンサC23が充電される。一方、制御回路CTL11は、インバータ回路TR11への起動指令と同時に、または所定の時間遅れの後に高周波発生器OSを起動し、またリレー接点CR1を閉路する。この結果、主電極5とチップ電極6との間には2次整流回路DR21の出力と補助整流回路DR22の出力との和の電圧が印加されて、同時にカップリングコイルCCを介して高周波高電圧が印加されることによって両者間の絶縁が破壊されてパイロットアークが起動する。このパイロットアークに対しては補助整流回路DR22の出力と共にコンデンサC23からも電力が供給されることになる。そこで、抵抗器R21をパイロットアークの確立に十分な電流が流れる程度の比較的低い抵抗値のものとし、抵抗器R22をこれよりも十分に高い抵抗値のものにしておくと、パイロットアークはコンデンサC23の充電電荷により安定になるまで電力が供給されて確立されることになり、パイロットアークが確立された後は高い抵抗値の抵抗器R22を介してパイロットアークの維持に必要な電流が供給されることになるので補助整流回路DR22の出力電流が小さな値に制限されることになる。この結果、補助整流回路DR22は小容量のものでよいことになる。
【0030】
図8は、本発明の別の実施例を示す接続図である。同図は、加工用主アーク発生中については、とくにスイッチを設けなくとも、補助整流器DR22が電流を供給しなくてもよいように改善したものである。図8において、DR26はダイオードである。その他は図7に示した実施例と同じ機能の部品またはアセンブリのものに同一の符号を付して説明を省略する。
【0031】
図8の装置において、加工用主アーク発生中はリレー接点CR1が開となる。加工用主アーク電流はダイオードDR24を流れるがダイオードDR26には流れない。したがって、補助整流回路DR22は加工用主アーク発生中にはダイオードDR26が逆バイアスされるので電流を供給することはない。
【0032】
上記各実施例においては、パイロットアーク電流は電流検出器CT22によって検出したパイロットアーク電流をフィードバック制御して決定するようにしたが、パイロットアーク電流の制御方法はこれに限るものではなく、例えば図5および図6の装置においては抵抗器R21によって、また図7および図8の装置においては抵抗器R22によって制限されるのでフィードバック制御しなくてもよい。
【0033】
また、前記いずれの実施例においても、加工電源はインバータ制御式を用いて説明したが、本発明の実施にあたっては、加工電源の主回路方式はインバータ制御式に限られるものではなく、公知の各種の回路方式の電源回路を用いることができる。またアークの起動装置は高周波高電圧方式を用いて説明したが、これに限られるものではない。すなわち直流高電圧方式であっても、高電圧インパルス方式であってもよい。
【0034】
さらに、主アークの発生後にパイロットアーク電流を遮断するためにリレー接点CR1を用いたが、スイッチ手段であればなんでも良く、例えばリレー接点の代りに半導体スイッチング素子などでも良い。
【0035】
【発明の効果】
本発明はパイロットアークの発生を確実にし、かつ発生したパイロットアークを安定に維持することによって、それ自身がノイズ源でもあるパイロットアーク起動用の高周波高電圧のレベルを抑え、発生の頻度を減らすことができるので、他の機器へのノイズ障害を低減できる。さらに、加工装置自身に要求される耐ノイズ性および加工トーチに対して要求される高周波高電圧に対する耐久性が、著しく緩和される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示す接続図。
【図2】本発明の別の実施例を示す接続図。
【図3】本発明のさらに別の実施例を示す接続図。
【図4】本発明のさらに別の実施例を示す接続図。
【図5】本発明のさらに別の実施例を示す接続図。
【図6】本発明のさらに別の実施例を示す接続図。
【図7】本発明のさらに別の実施例を示す接続図。
【図8】本発明のさらに別の実施例を示す接続図。
【図9】従来のプラズマアーク加工装置の例を示す接続図。
【符号の説明】
1ないし3 1次入力線
5 主電極
6 チップ電極
7 被加工物
10 加工電源
C11 平滑コンデンサ
TR11 インバータ回路
T21 インバータトランス
DR11 1次整流回路
DR21 2次整流回路
DR22 補助整流回路
DR24ないしDR26 ダイオード
CT21、CT22 出力電流検出器
L21 リアクトル
L22 リアクトル
L22(1/2) 、L22(2/2) リアクトルL22の巻線
CR1 リレー接点
R21、R22 抵抗器
OS 高周波発生器
CC 高周波カップリングコイル
RV1 出力調整器
T(1/2) 起動スイッチ
T22 インバータトランス
T22(1/2) インバータトランスT22の2次巻線
T22(2/2) インバータトランスT22の補助巻線
C23 コンデンサ
CTL11 制御回路
Claims (5)
- チップ電極と主電極との間にあらかじめパイロットアークを発生させ、前記パイロットアークによって前記主電極と被加工物との間に加工用主アークを誘発させるプラズマアーク加工装置において、前記主電極と前記被加工物との間に加工用電力を供給するための第1の電源と、前記第1の電源に直列接続された第2の電源と、前記加工用主アークの発生を検出する主アーク発生検出回路と、前記第1の電源と前記第2の電源との直列出力を加工開始指令から前記主アーク発生検出回路が主アークの発生を検出するまでの間前記主電極と前記チップ電極との間に供給するスイッチ手段とを具備したプラズマアーク加工装置。
- チップ電極と主電極との間にあらかじめパイロットアークを発生させ、前記パイロットアークによって前記主電極と被加工物との間に加工用主アークを誘発させるプラズマアーク加工装置において、前記主電極と前記被加工物との間に加工用電力を供給するための第1の直流電源と、前記第1の直流電源の正出力端子に負出力端子が直列接続された第2の直流電源と、前記加工用主アークの発生を検出する主アーク発生検出回路と、前記第1および第2の直流電源の直列接続点にアノード側が接続された第1のダイオードと、前記第1のダイオードのカソード側にカソードが接続された第2のダイオードと、前記第2の直流電源の正出力側端子と前記第2のダイオードのアノードとの間に接続された加工開始指令から前記主アーク発生検出回路が主アークの発生を検出するまでの間閉路するスイッチ手段とを具備し、前記第1の直流電源の負出力を前記主電極に、前記第1および第2のダイオードの直列接続点を前記被加工物に接続し、また前記第2のダイオードと前記スッチ手段との共通接続点を前記チップ電極に接続したプラズマアーク加工装置。
- チップ電極と主電極との間にあらかじめパイロットアークを発生させ、前記パイロットアークによって前記主電極と被加工物との間に加工用主アークを誘発させるプラズマアーク加工装置において、前記主電極と前記被加工物との間に加工用電力を供給するための第1の直流電源と、前記第1の直流電源の正出力端子に負出力端子が直列接続された第2の直流電源と、前記加工用主アークの発生を検出する主アーク発生検出回路と、前記第1および第2の直流電源の直列接続点にアノード側が接続された第1のダイオードと、前記第1のダイオードのカソード側にカソードが接続された第2のダイオードと、前記第2の直流電源の正出力側端子と前記第2のダイオードのアノードとの間に接続された電流制限用抵抗器と、前記第2のダイオードと前記抵抗器との接続点と前記チップ電極との間に接続された加工起動指令から前記主アーク発生検出回路が主アークの発生を検出するまでの間閉路するスイッチ手段とを具備し、前記第1の直流電源の負出力を前記主電極に接続し、前記第1および第2のダイオードの共通接続点を前記被加工物に接続したプラズマアーク加工装置。
- チップ電極と主電極との間にあらかじめパイロットアークを発生させ、前記パイロットアークによって前記主電極と被加工物との間に加工用主アークを誘発させるプラズマアーク加工装置において、前記主電極と前記被加工物との間に加工用電力を供給するための第1の直流電源と、前記第1の直流電源の正出力端子に負出力端子が直列接続された第2の直流電源と、前記加工用主アークの発生を検出する主アーク発生検出回路と、前記第1および第2の直流電源の直列接続点にアノード側が接続されたダイオードと、前記第2の直流電源の正出力側端子と前記ダイオードのカソードとの間に接続された電流制限用抵抗器と、前記ダイオードと前記抵抗器との接続点と前記チップ電極との間に接続された加工起動指令から前記主アーク発生検出回路が主アークの発生を検出するまでの間閉路するスイッチ手段とを具備し、前記第1の直流電源の負出力を前記主電極に接続し、前記ダイオードと前記電流制限用抵抗器および前記スッチ手段との共通接続点を前記被加工物にそれぞれ接続したプラズマアーク加工装置。
- チップ電極と主電極との間にあらかじめパイロットアークを発生させ、前記パイロットアークによって前記主電極と被加工物との間に加工用主アークを誘発させるプラズマアーク加工装置において、前記主電極と前記被加工物との間に加工用電力を供給するための第1の直流電源と、前記第1の直流電源の正出力端子に負出力端子が直列接続された第2の直流電源と、前記加工用主アークの発生を検出する主アーク発生検出回路と、前記第1および第2の直流電源の直列接続点にアノード側が接続されたダイオードと、前記第2の直流電源の正出力側端子と前記ダイオードのカソードとの間に接続された電流制限用の第1の抵抗器と第2の抵抗器とからなる直列回路と、前記第1および第2の抵抗器の直列接続点と前記第2の直流電源の負出力側端子との間に接続されたコンデンサと、前記ダイオードのカソード側と前記第2の抵抗器との接続点と前記チップ電極との間に接続された加工起動指令から前記主アーク発生検出回路が主アークの発生を検出するまでの間閉路するスイッチ手段とを具備し、前記第1の直流電源の負出力を前記主電極に接続し、前記ダイオードおよび前記第2の抵抗器および前記スイッチ手段の共通接続点を前記被加工物にそれぞれ接続したプラズマアーク加工装置。
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