JP3617905B2 - コロナ放電装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、プリンタ等の電子写真装置に用いられる放電ワイヤを備えたコロナ放電装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図6は、従来の一般的なコロナ放電装置の構成を示す図である。金属製のケース1の両端に樹脂製のケース2、3が取り付けられており、一方の樹脂ケースには電圧を印加するために金属製の端子4が入れられている。放電ワイヤ5の両端に、丸端子6が取り付けられており、放電ワイヤ5をV字溝Vの下端に接触させた状態で、一端を樹脂ケース3の突起3aに、他端を放電ワイヤ5にテンションを与えるためのスプリング7の一端にかけてある。スプリング7の他端は端子4にかけられ、コロナ放電装置となっている。なお、このコロナ放電装置では、金属製のケース1と樹脂ケース2,3とを一体的に結合したものである。
【0003】
また、コロナ放電装置の放電ワイヤをケースに固定する機構としては、『コロナ放電器の放電ワイヤ固定構造』(実公昭6−48520号)にみられるように、固定部材をケースに圧入することによって固定をするものや、『コロナ放電装置』(特開平4−212182号)にみられるように、樹脂製のケースに設けられたピンに放電ワイヤを巻き付け、そのピンを溶かすことによって固定を行うものなどが知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の一般的なコロナ放電装置では、放電ワイヤ5の両端に丸端子6を設けるという構成のため、コストが高くなり、且つ、丸端子6の輪を突起3aおよびスプリング7にひっかけることによって組み付けられるため、自動化が難しく、また人手による組み付けでも難作業となる。
【0005】
実公昭6−48520号の『コロナ放電器のワイヤ固定構造』の圧入して放電ワイヤを固定する機構においては、圧入する部材と圧入される側との寸法交差を厳しくしないと、ワイヤ固定力に大きなバラツキが生じて品質が安定せず、また、寸法公差を厳しくすると、コストが高くなるという問題がある。
【0006】
特開平4−212182号の『コロナ放電装置』の樹脂製ケースにピンを設け、そのピンに放電ワイヤを巻き付けてピンを溶融して固定するという機構においては、放電ワイヤに所定のテンションを与えるために、張装時に放電ワイヤにテンションをかけておくと、ピンを溶かした時にテンションによって放電ワイヤが引っ張られるので、図7に示すように、放電ワイヤ5がピン28にもぐりこみ(溶け込み)、所定のテンションを得られないといった問題がある。
【0007】
そこで、本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、コストが安く、放電ワイヤのテンションを確実に得ることができる放電ワイヤの固定機構を備えたコロナ放電装置を提供することを目的とする。
また、本発明の他の目的は、上記の目的を達成するとともに、自動組立の容易なコロナ放電装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1のコロナ放電装置では、両端部が固定されて樹脂ケースに張装された放電ワイヤを備え、該放電ワイヤの少なくとも一端が前記樹脂ケースに溶着により固定されているコロナ放電装置において、前記放電ワイヤが巻回される軸部と、該軸部に嵌装され、前記樹脂ケースに接触する接触面のみが選択的に溶着されて前記放電ワイヤを固定する環状部材とを備えていることを特徴としている。この構成では、放電ワイヤを巻き付ける軸部を溶融することなく、環状部材と樹脂ケースとの接触面のみを溶融するので、放電ワイヤにテンションをかけて巻き付けても、放電ワイヤが軸部にもぐり込むことがない。したがって所定のテンションを確実に得ることが出来る。
【0009】
また、請求項2のコロナ放電装置では、請求項1に記載のコロナ放電装置において、前記軸部は樹脂ケースに一体的に取り付けられていることを特徴としている。この構成では、請求項4の作用に加えて、軸部が樹脂ケースに一体的に取り付けられているので、放電ワイヤおよび環状部材の取付が容易である。
【0010】
また、請求項3のコロナ放電装置では、両端部が固定されて樹脂ケースに張装された放電ワイヤを備え、該放電ワイヤの少なくとも一端が前記樹脂ケースに溶着により固定されているコロナ放電装置において、前記放電ワイヤが掛止される溝部が一端に形成されている軸部と、該軸部に溝部側から嵌装され、前記樹脂ケースに接触する接触面のみが選択的に溶着されて前記放電ワイヤを固定する環状部材とを備えていることを特徴としている。この構成では、放電ワイヤを軸部に巻き付けずに固定することにより、組み付けに費やす時間を減少させることができるとともに、より簡単に自動化することができる。
【0011】
また、請求項4のコロナ放電装置では、請求項3に記載のコロナ放電装置において、前記軸部は樹脂ケースに一体的に取り付けられていることを特徴としている。この構成では、請求項3の作用に加えて、軸部が樹脂ケースに一体的に取り付けられているので、放電ワイヤおよび環状部材の取付が容易である。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。なお、共通する部分には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
図1は、本発明の第1実施形態に係わるコロナ放電装置の要部を示す図であり、他の部分は図6の従来例と同様である
【0013】
コロナ放電装置の放電ワイヤの固定部である樹脂ケース2,3に放電ワイヤ巻き付け用の軸部であるピン8が、例えば一体成形により設けられている。なお、ピン8を樹脂ケース2,3に接着等により一体的に取り付けてもよい。丸端子6の付いていない放電ワイヤ5をテンションを与えながら、樹脂ケース2,3のピン8に巻き付ける。その上から、図2に示すように、穴9aのあいた樹脂等の被溶融部材である環状部材9をかぶせ、超音波溶着やその他の溶着手段を用いて樹脂ケース2,3との接触面17を選択的に溶融し、その後温度が低下して溶融部分が固まることによって、放電ワイヤ5の固定が行われる。なお、固定された放電ワイヤ5は図示しない金属製の端子に接続され、この端子に図示しない高圧電源からのリード線が接続される。
【0014】
例えば、超音波溶着の場合には、溶着しようとする環状部材9と樹脂ケース2、3との一方に(図2では、環状部材9に)、超音波振動を与えられたホーンhを触れさせると、ホーンhの先端から環状部材9に伝達された超音波振動エネルギーが接触面17で機械的振動(鎚打ち効果)に変化し、接触面17全面にわたって摩擦熱が発生して、接触面17が溶融し、接触面17の全面が瞬間的に溶着される。
【0015】
超音波溶着することにより、溶剤や接着剤を用いる必要がなく、接合部をきれいに仕上げることが出来る。さらに、乾燥の必要がなく溶着時間も極めて短いので、タクトタイムを大幅に短縮することができ、量産に好適である。
【0016】
この第1実施形態では、放電ワイヤ5を巻き付けるピン8を溶融することなく、環状部材9と樹脂ケース2、3との接触面17のみを溶融するので、放電ワイヤ5にテンションをかけて巻き付けても、放電ワイヤ5がピン8にもぐり込むことがない。したがって所定のテンションを確実に得ることが出来る。
【0017】
図3は、本発明の第2実施形態に係わるコロナ放電装置の要部を示す図である。
被溶融部材であり、頭部である円盤状部材19に放電ワイヤ巻き付け用の軸部であるピン8が、例えば一体成形により設けられている。なお、頭部は角板、ブロック等の円盤以外の形状であってもよい。丸端子6の付いていない放電ワイヤ5をテンションを与えながら、円盤状部材19のピン8に巻き付ける。そして、ピン8を樹脂ケース2、3に設けられた位置決め用の穴10にセットし、超音波溶着やその他の溶着手段を用いて樹脂ケース2,3と円盤状部材19との接触面を超音波溶着等により選択的に溶融し、その後温度が低下して溶融部分が固まることによって放電ワイヤの固定が行われる。
【0018】
例えば、超音波溶着の場合には、溶着しようとする円盤状部材19と樹脂ケース2、3との一方に、例えば円盤状部材19に、超音波振動を与えられたホーンhを触れさせると、ホーンhの先端から円盤状部材19に伝達された超音波振動エネルギーが樹脂ケース2、3と円盤状部材19との接触面で機械的振動(鎚打ち効果)に変化し、接触面全面にわたって摩擦熱が発生して、接触面が溶融し、接触面の全面が瞬間的に溶着される。
【0019】
この第2実施形態では、放電ワイヤ5を巻き付けるピン8を溶融することなく、円盤状部材19と樹脂ケース2、3との接触面のみを溶融するので、放電ワイヤ5にテンションをかけて巻き付けても、放電ワイヤ5がピン8にもぐり込むことがない。したがって所定のテンションを確実に得ることが出来る。
【0020】
図4は、本発明の第3実施形態に係わるコロナ放電装置の要部を示す図である。
樹脂ケース2,3の底面上に、上端面にVまたはU字状の溝部11の設けられたピン12が設けられている。溝部11は放電ワイヤ5を張る方向と平行若しくはそれに近い角度となっている。このように溝部11を配置することによりワイヤの装着が容易となる。丸端子6の付いていない放電ワイヤ5をテンションを与えながら樹脂ケース2、3の底面上に突出するピン12の溝部11内に挿入する。ピン12の上から、穴9aのあいた環状部材9をかぶせ、上述した第1実施形態と同様に、超音波溶着やその他の溶着手段を用いて樹脂ケース2,3との接触面を、選択的に溶融し、その後温度が低下して溶融部分が固まることによって、放電ワイヤの固定が行われる。
【0021】
この第3の実施形態では、第1の実施形態の作用効果に加えて、放電ワイヤ5をピン12に巻き付けずに固定することにより、組み付けに費やす時間を減少させることができるとともに、より簡単に自動化することができる。
【0022】
図5は、本発明の第4実施形態に係わるコロナ放電装置の要部を示す図である。
円盤状部材19に、下端面にVまたはU字状の溝部11の設けられた軸部材であるピン13が、例えば一体成形により設けられている。丸端子6の付いていない放電ワイヤ5を樹脂ケース2,3に設けられた位置決め用穴14の上を通るように配置し、放電ワイヤ5にテンションを与えながらピン13の溝部11に放電ワイヤ5が通るようにピン13を位置決め用穴14にセットし、上述した第2実施形態と同様に、超音波溶着やその他の溶着手段を用いて樹脂ケース2,3との接触面を、選択的に溶融しその後温度が低下して固まることによって、放電ワイヤの固定が行われる。
【0023】
この第4の実施形態では、第2の実施形態の作用効果に加えて、放電ワイヤ5をピン13に巻き付けずに固定することにより、組み付けに費やす時間を減少させることができるとともに、より簡単に自動化することができる。
【0024】
【発明の効果】
以上の説明から明らかな如く本発明の請求項1のコロナ放電装置によれば、両端部が固定されて樹脂ケースに張装された放電ワイヤを備え、該放電ワイヤの少なくとも一端が前記樹脂ケースに溶着により固定されているコロナ放電装置において、前記放電ワイヤが巻回される軸部と、該軸部に嵌装され、前記樹脂ケースに接触する接触面のみが選択的に溶着されて前記放電ワイヤを固定する環状部材とを備えているので、放電ワイヤを巻き付ける軸部を溶融することがなく、放電ワイヤにテンションをかけて巻き付けても、放電ワイヤが軸部にもぐり込むことがない。したがって所定のテンションを確実に得ることが出来る。
【0025】
また、請求項2のコロナ放電装置によれば、請求項1に記載のコロナ放電装置において、前記軸部は樹脂ケースに一体的に取り付けられているので、請求項1の効果に加えて、放電ワイヤおよび環状部材の取付が容易である。
【0026】
また、請求項3のコロナ放電装置によれば、両端部が固定されて樹脂ケースに張装された放電ワイヤを備え、該放電ワイヤの少なくとも一端が前記樹脂ケースに溶着により固定されているコロナ放電装置において、前記放電ワイヤが掛止される溝部が一端に形成されている軸部と、該軸部に溝部側から嵌装され、前記樹脂ケースに接触する接触面のみが選択的に溶着されて前記放電ワイヤを固定する環状部材とを備えているので、放電ワイヤを軸部に巻き付けずに固定することにより、組み付けに費やす時間を減少させることができるとともに、より簡単に自動化することができる。
【0027】
また、請求項4のコロナ放電装置によれば、請求項3に記載のコロナ放電装置において、前記軸部は樹脂ケースに一体的に取り付けられているので、請求項3の効果に加えて、放電ワイヤおよび環状部材の取付が容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係わるコロナ放電装置の要部を示す図である。
【図2】同断面図である。
【図3】本発明の第2実施形態に係わるコロナ放電装置の要部を示す図である。
【図4】本発明の第3実施形態に係わるコロナ放電装置の要部を示す図である。
【図5】本発明の第4実施形態に係わるコロナ放電装置の要部を示す図である。
【図6】従来の一般的なコロナ放電装置の構成を示す図である。
【図7】放電ワイヤがピンに溶け込む様子を示す図であり、(A)は溶け込む前の状態を示し、(B)は溶け込んだ後の状態を示す。
【符号の説明】
2 樹脂ケース
3 樹脂ケース
8 ピン
5 放電ワイヤ
9 環状部材
17 接触面
Claims (4)
- 両端部が固定されて樹脂ケースに張装された放電ワイヤを備え、該放電ワイヤの少なくとも一端が前記樹脂ケースに溶着により固定されているコロナ放電装置において、
前記放電ワイヤが巻回される軸部と、該軸部に嵌装され、前記樹脂ケースに接触する接触面のみが選択的に溶着されて前記放電ワイヤを固定する環状部材とを備えていることを特徴とするコロナ放電装置。 - 前記軸部は樹脂ケースに一体的に取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載のコロナ放電装置。
- 両端部が固定されて樹脂ケースに張装された放電ワイヤを備え、該放電ワイヤの少なくとも一端が前記樹脂ケースに溶着により固定されているコロナ放電装置において、
前記放電ワイヤが掛止される溝部が一端に形成されている軸部と、該軸部に溝部側から嵌装され、前記樹脂ケースに接触する接触面のみが選択的に溶着されて前記放電ワイヤを固定する環状部材とを備えていることを特徴とするコロナ放電装置。 - 前記軸部は樹脂ケースに一体的に取り付けられていることを特徴とする請求項3に記載のコロナ放電装置。
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