JP3617166B2 - 交流電源装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、直流電力あるいは周波数や電圧が一定でない交流電力から周波数ならびに電圧が一定の交流電力を生成する交流電源装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
屋外や緊急時等に用いられる電力源として、発動機付き発電機がある。この発動機付き発電機とは、発動機エンジンの出力シャフトの駆動力によって発電機シャフトを回転駆動し、発電するものである。
【0003】
上述のような発動機付き発電機を含めて、一般的に発電機には交流発電機が用いられることが多い。
一方、発電機から電力を供給される電気機器に関しても、一般には商用電源(日本国内では100Vや200Vの電源)に合わせて、交流電源を必要とするものが多い。
【0004】
ただし上述のような電気機器では、電源の変圧器や安定化回路その他が、商用電源の周波数(例えば50Hzや60Hz)に合わせて設計されている。したがって発動機付き発電機の出力も、このような周波数に調整されていることが望ましい。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そこで一般には、交流発電機の出力を整流した後、インバータ回路によって一定周波数の交流電力を生成する。
図6は、従来技術によるインバータ回路を有する交流電源装置の構成を示す構成図である。
【0006】
図6において1は三相交流発電機であり、後述する励磁回路2から励磁電流の供給を受け、図示省略した回転子シャフトの回転数に応じた周波数の三相交流電力を出力する。
【0007】
三相交流発電機1の出力は、三相整流回路3aと三相整流回路3bとに供給される。三相整流回路3aに供給された交流電力は、整流された後、平滑コンデンサ4によって平滑されて直流電力(VDC)となる。
【0008】
一方、三相整流回路3bに供給された交流電力は、整流された後に、平滑コンデンサ4によって平滑された直流電力とともに、励磁回路2に供給される。
ここで励磁回路2は、所定の周波数(一例として1kHz)の励磁電流を、直流電圧VDCに応じた強度で三相交流発電機1が有する界磁コイル1aに供給する。これによって直流電圧VDCは、一定の電圧に保たれる。
【0009】
5は正弦波発生回路であり、商用電源と同じ周波数(例えば50Hzあるいは60Hz)の正弦波信号SSinを発生する。この正弦波信号SSinはインバータ制御回路6に入力され、これによってベースアンプ6は正弦波信号SSinに対応したPWM信号(パルス幅変調波)SPWMを出力する。
【0010】
即ち、正弦波信号SSinの瞬時値が0に近いときにはPWM信号SPWMのパルス幅を狭く(信号の1周期に対するパルスオンの時間の割合を示すデューティ比を小さく)し、正弦波信号SSinの瞬時値が大きくなるに従って、これに対応してPWM信号SPWMのパルス幅を広く(デューティ比を大きく)する。
なお一般に、このPWM信号SPWMの周波数は正弦波信号SSinの周波数の数倍〜数十倍の周波数が用いられる。
【0011】
インバータ制御回路6が出力するPWM信号SPWMは、トランジスタ等の複数のスイッチング素子を有するインバータ回路7に供給される。またこのインバータ回路7には、上述の直流電力(VDC)も供給され、この直流電力をPWM信号SPWMに基づいてスイッチング、ならびに極性反転させることにより交流電力VAC0を出力する。
この交流電力VAC0はLPF8に入力されてPWM信号成分が除去され、負荷9には交流電力VAC1が供給される。
【0012】
ところで図6に示す構成では、負荷9に供給される交流電圧VAC1の監視が行われていないため、負荷が変化すると交流電圧VAC1が変化してしまう。したがって、正確な電圧の交流電力が出力できない、あるいは出力する交流の電圧が安定しない等の問題があった。
【0013】
この発明は、このような背景の下になされたもので、負荷の大小に関わらず正確且つ安定した電圧の交流電力が出力可能である交流電源装置を提供することを目的としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するために、請求項1に記載の発明にあっては、基準発振波 ( Sin )となる正弦波信号を出力する正弦波発生手段(5)と、前記基準発振波(SSin)によりパルス幅変調されたパルス信号(SPWM1〜SPWM4)を出力するPWM波発生手段(16)と、供給された直流電力(VDC)をスイッチングする複数のスイッチング素子から構成され当該直流電力を前記パルス信号に基づいてスイッチングして交流電力(VAC0)を出力するインバータ回路(7)とからなる交流電源装置において、前記交流電力の電圧成分を検出する電圧検出手段(11)と、前記電圧検出手段により検出された前記電圧成分が増加するに従って乗数が小さくなる乗数信号(S )を出力する演算手段(14)と、前記正弦波発生手段と前記PWM波発生手段との間に設けられ、前記正弦波発生手段が出力する基準発振波 ( Sin )に前記演算回路から出力する前記乗数を乗算した正弦波信号を前記PWM波発生手段に対して出力する乗算手段(15)とをさらに備え、前記電圧成分に基づいて、前記基準発振波の振幅を決定して、安定した前記交流電力を出力するようにしたことを特徴とする。
【0017】
【作用】
この発明によれば、スイッチング素子群は供給された直流電力をパルス信号に基づいてスイッチングしてパルス波電力を出力し、電圧検出手段はパルス波電力の電圧成分を検出し、演算手段は電圧成分に基づいて基準発振波の振幅を決定し、パルス幅変調手段は基準発振波の瞬時値に基づいて一定周波数のパルスにパルス幅変調を施したパルス信号を出力する。この演算手段は、電圧成分が増加するに従って基準発振波の振幅を小とし、パルス幅変調手段は、基準発振波の瞬時値または瞬時値の絶対値が増加するに従ってスイッチング素子をオンとする時間が長くなるようにパルスの幅を変調する。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下に本発明について説明する。図1は、本発明の一実施の形態にかかる交流電源装置の電気的構成図である。なお本実施の形態では、負荷に交流100V(50Hzまたは60Hz)を供給する交流電源装置を例に挙げて説明する。
また図1において、図6に示す各部と対応する部分には同一の符号を付すとともに、特段必要がない限りその説明を省略する。
【0019】
図1において励磁回路2は、平滑コンデンサ4によって平滑された直流の電圧VDCに基づいて励磁電流を制御する信号を出力する演算回路2aと、演算回路2aが出力する信号に基づいて三相整流回路3bから界磁コイル1aに流れる電流を制御するトランジスタ2bとから構成されている。
【0020】
6aは、インバータ7に供給するPWM信号SPWM1、SPWM2、SPWM3およびSPWM4を生成するインバータ制御回路である。
インバータ回路7はトランジスタ等のスイッチング素子7a−1、7a−2、7a−3および7a−4から構成されており、供給された直流VDCをスイッチングして交流VAC0を出力する。
【0021】
交流VAC0は、インダクタ8aとコンデンサ8bとから構成されるLPF8に入力されてPWM信号成分が除去され、正弦波の交流VAC1として負荷9に供給される。
【0022】
図2は、上述のインバータ制御回路6aの内部の詳細な構成を示す構成図である。図2において11は、ダイオード11aとコンデンサ11bとから構成される電圧検出部であり、交流VAC1を整流ならびに平滑することによって電圧を検出する。
【0023】
12は分圧部、13はバッファアンプ、また14は演算部である。上述した電圧検出部11の出力は、分圧部12によって適当な電圧に分圧され、バッファアンプ13を介して演算部14に入力される。
この演算部14は、交流VAC1に応じて、後述する乗算回路15による乗数を決定し、この乗数を示す乗数信号Sを出力する。
【0024】
図3は、交流電圧VAC1と演算部14が出力する乗数信号Sとの関係の一例を示す図である。本実施の形態の交流出力電圧は、上述の通り100Vであるが、この場合には交流VAC1が80Vであるときに乗数信号Sは1であり、一方交流VAC1が135Vであるときに乗数信号Sは概ね0.25である。
また、交流VAC1が135Vを超えた場合、あるいは80V未満である場合には、回路に異常部位が存在するものと判断して、乗数信号Sを出力しない。
【0025】
図2において、正弦波発生回路5は、一例としてCR発振回路と微分回路あるいは積分回路等を組み合わせて、50Hzあるいは60Hzの正弦波信号を出力する。
【0026】
正弦波発生回路5が出力する正弦波信号SSinは乗算回路15に入力され、乗数信号Sが乗算され、正弦波信号SSin’がPWM波ジェネレータ16に入力される。
このPWM波ジェネレータ16は、掃引回路16aと比較回路16bとから構成されている。
【0027】
掃引回路16aは、正弦波信号SSinの数倍〜数十倍の周波数の鋸歯状波SSAWを出力する。比較回路16bは、この鋸歯状波SSAWと正弦波信号SSin’とを比較することによって、正弦波信号SSin’に対応したパルス幅を有するPWM波信号SPWM0を出力する。
【0028】
図4は、図2に示す各部における信号波形を示す図であり、図4(a)は正弦波信号SSin’の半周期を示し、また図4(b)は鋸歯状波SSAW、さらに図4(c)はこのとき比較回路16bから出力されるPWM波信号SPWM0の波形を示している。
【0029】
このようにPWM波信号SPWM0は、上述のように正弦波信号SSin’の瞬時値が0に近いときはパルス幅が狭く(デューティ比が小さく)、一方正弦波信号SSin’の瞬時値が大きくなるに従って、パルス幅が広く(デューティ比が大きく)なる。
【0030】
PWMはジェネレータ16が出力するPWM波信号SPWM0は、ドライバ17によって増幅された後、各々PWM波信号SPWM1〜SPWM4として出力され、上述のインバータ回路7に供給される。
【0031】
図5は、図1ならびに図2に示す各部の信号波形の一例を示す図であり、図5(a)は正弦波信号SSinの波形、図5(b)は交流電力VAC0の波形ならびに電圧、また図5(c)は交流電力VAC1の波形を示している。
【0032】
図1ならびに図2に示す構成によると、負荷9(図1参照)が小さくなって交流電力の電圧VAC1が上昇すると乗数Sの値が減少する。従ってPWM波信号SPWM0のパルス幅(デューティ比)が狭くなる。
【0033】
一方、負荷9が大きくなって交流電力の電圧VAC1が低下すると乗数Sの値が増加する。従ってPWM波信号SPWM0のパルス幅(デューティ比)が広くなる。このため、負荷9に供給される交流電力の電圧VAC1はほぼ一定の値に収束し、本実施の形態では、安定した100Vの交流出力が得られる。
【0034】
なお、上述の実施の形態では電圧100V、周波数50Hzあるいは60Hzの交流電力を出力する交流電源装置を例に挙げて説明したが、これらの値は一例であり、本発明はこれらの電圧、周波数等に限定されない。
【0035】
また、正弦波発生回路5の構成例としてCR発振回路を挙げたが、この他、例えばクロック発振器と正弦波テーブルが書き込まれたメモリ、およびD/A(デジタル/アナログ)変換器等から構成されるものであってもよい。
【0036】
さらにインバータ制御回路6aを、交流電圧VAC1を検出してデジタル化するA/D(アナログ/デジタル)変換器とCPU(中央処理装置)、および各PWM波信号SPWM1〜SPWM4を出力するI/O(入出力インターフェイス)等によって構成してもよい。
【0037】
また、本実施の形態のような三相交流発電機1を有さず、単に蓄電池等から供給される直流電力を交流電力に変換するインバータにも、本発明は適用可能である。
【0038】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、基準発振波 ( Sin )となる正弦波信号を出力する正弦波発生手段(5)と、前記基準発振波 ( Sin )によりパルス幅変調されたパルス信号(S PWM1 〜S PWM4 )を出力するPWM波発生手段(16)と、供給された直流電力(V DC )をスイッチングする複数のスイッチング素子から構成され当該直流電力を前記パルス信号に基づいてスイッチングして交流電力(V AC0 )を出力するインバータ回路(7)とからなる交流電源装置において、前記交流電力の電圧成分を検出する電圧検出手段(11)と、前記電圧検出手段により検出された前記電圧成分が増加するに従って乗数が小さくなる乗数信号(S )を出力する演算手段(14)と、前記正弦波発生手段と前記PWM波発生手段との間に設けられ、前記正弦波発生手段が出力する基準発振波 ( Sin )に前記演算回路から出力する前記乗数を乗算した正弦波信号を前記PWM波発生手段に対して出力する乗算手段(15)とをさらに備え、前記電圧成分に基づいて、前記基準発振波の振幅を決定して、安定した前記交流電力を出力するようにしたため、負荷の大小に関わらず正確且つ安定した電圧の交流電力が出力可能である交流電源装置が実現可能であるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態にかかる交流電源装置の電気的構成図である。
【図2】同実施の形態におけるインバータ制御回路6aの内部の詳細な構成を示す構成図である。
【図3】同実施の形態における交流電圧VAC1と演算部14が出力する乗数信号Sとの関係の一例を示す図である。
【図4】同実施の形態(図2)の各部における信号波形を示す図である。
【図5】同実施の形態の各部における信号波形を示す図である。
【図6】従来技術によるインバータ回路を有する交流電源装置の構成を示す構成図である。
【符号の説明】
7 インバータ回路(スイッチング素子群)
8 LPF(フィルタ)
11 電圧検出部(電圧検出手段)
14 演算回路(演算手段)
16 PWM波ジェネレータ(パルス幅変調手段)
Sin 正弦波信号(基準発振波)
PWM1〜SPWM4 PWM信号(パルス信号)
DC 直流電力
AC0 交流電力(パルス波電力)
AC1 交流電力

Claims (1)

  1. 基準発振波 ( Sin )となる正弦波信号を出力する正弦波発生手段(5)と、
    前記基準発振波(SSin)によりパルス幅変調されたパルス信号(SPWM1〜SPWM4)を出力するPWM波発生手段(16)と、
    供給された直流電力(VDC)をスイッチングする複数のスイッチング素子から構成され当該直流電力を前記パルス信号に基づいてスイッチングして交流電力(VAC0)を出力するインバータ回路(7)とからなる交流電源装置において、
    前記交流電力の電圧成分を検出する電圧検出手段(11)と、
    前記電圧検出手段により検出された前記電圧成分が増加するに従って乗数が小さくなる乗数信号(S )を出力する演算手段(14)と、
    前記正弦波発生手段と前記PWM波発生手段との間に設けられ、前記正弦波発生手段が出力する基準発振波 ( Sin )に前記演算回路から出力する前記乗数を乗算した正弦波信号を前記PWM波発生手段に対して出力する乗算手段(15)と
    をさらに備え、
    前記電圧成分に基づいて、前記基準発振波の振幅を決定して、安定した前記交流電力を出力するようにしたことを特徴とする交流電源装置。
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