JP3616724B2 - 半導体装置の製造方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、薄膜トランジスタ(TFT)基板や半導体集積装置などの半導体装置とその製造方法に係わり、詳しくは、絶縁不良の発生がない、特性の良好な半導体装置とその製造方法、特に、半導体装置に備えられる導電層がアルミニウムまたはアルミニウム合金から構成されている場合には、該導電層にヒロックが発生するのを低減できる半導体装置とその製造方法、導電層が銅または銅合金から構成されている場合には、該導電層と下地膜との密着性を向上でき、しかもレジスト剥離液耐性を向上できる半導体装置とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、導電層を有する半導体装置としては、薄膜トランジスタ(TFT)基板や、半導体集積装置などが知られている。
図1は、一般的なTFT基板の要部を示す断面図である。このTFT基板は、ガラス基体1上に、ゲート電極2、窒化ケイ素からなるゲート絶縁層3、a(アモルファス)−Siからなる半導体層4、n型a−Siからなる層5が設けられ、さらにこの層5上にソース電極6、ドレイン電極7が設けられ、さらにこれらの上に窒化ケイ素からなるパッシベーション膜(図示略)が設けられることにより概略構成されている。
上記ゲート電極2、ソース電極6、ドレイン電極7は、アルミニウムまたはアルミニウム合金などからなる導電層である。
【0003】
従来、この種のTFT基板を製造する方法としては、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなるターゲットを用い、該ターゲットに直流電力か交流電力の少なくともどちらか一方を印加する通常のスパッタ法などの薄膜形成手段によりガラス基体1上にゲート電極2を形成した後、CVD法などの薄膜形成手段によりゲート絶縁層3、半導体層4を形成し、ついでこれらの上に上述のスパッタ法などによりn型a−Si層5、ソース電極6およびドレイン電極7を形成し、ついで形成したソース電極6およびドレイン電極7をマスクして、n型a−Si層5の一部を除去してn型a−Si層5を分割した後、CVD法などによりパッシベーション膜(図示略)を形成することにより、TFT基板が得られる。
【0004】
図2は、半導体集積装置を構成する一般的なMOSトランジスタを示す斜視図である。
このMOSトランジスタは、p型シリコン基体41上に、窒化ケイ素またはSiO2からなるゲート絶縁層43を介してn型の不純物(例えばリン)をドープした多結晶シリコンからなるゲート電極42が設けられ、該ゲート電極42の両側の素子分離絶縁層43aにそれぞれコンタクト孔44が形成され、さらにこれらコンタクト孔44の下方に位置するp型シリコン基体41にソース拡散領域45、ドレイン拡散領域46が設けられ、上記ゲート電極42上に絶縁層43bが設けられ、上記コンタクト孔44内および素子分離絶縁層43a上にソース電極47、ドレイン電極48が設けられ、さらにこれらの上にパッシベーション膜(図示略)が設けられることにより概略構成されている。
【0005】
従来、この種の半導体集積装置を製造する方法としては、p型シリコン基体41の表面の酸化膜をエッチングして穴を開けてから、n型の不純物をイオン打ち込み後、熱処理してソース拡散領域45とドレイン拡散領域46を形成し、ついでCVD法などにより窒化ケイ素またはSiO2を堆積してゲート絶縁層43と 素子分離絶縁層43aを形成し、ついで多結晶シリコン層を堆積させた後、リソグラフィ法によりゲート形成位置以外の場所の多結晶シリコン層を除去してゲート電極42を形成し、さらに該ゲート電極42およびゲート絶縁層43上にCVD法などにより窒化ケイ素またはSiO2を堆積して絶縁層43bを形成した後 、リソグラフィ法により素子分離絶縁層43aにコンタクト孔44を形成し、ついでスパッタ法などによりアルミニウムまたはアルミニウム合金を蒸着し、リソグラフィ法により蒸着膜の不要部分を除去してソース電極47およびドレイン電極48を形成した後、CVD法などによりパッシベーション膜を形成することにより、半導体集積装置が得られる。
ところで、近年、半導体装置の高集積化や高速化に伴い、導電層の抵抗による信号伝達の遅延の問題が顕在化されており、このような問題を解決するために導電層を構成する材料としてアルミニウムまたはアルミニウム合金より低抵抗の銅または銅合金が使用されるようになってきている。銅又は銅合金からなる導電層の形成方法は、導電層をアルミニウムまたはアルミニウム合金から構成する場合と同様に通常のスパッタ法により形成されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら従来の半導体装置の製造方法においては、直流電力か交流電力の少なくともどちらか一方をターゲットのみに印加する通常のスパッタ法により、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる導電層を形成する場合、導電層に結晶の異常成長による針状突起、いわゆるヒロックが多数生じてしまうため、この導電層上に絶縁層を形成すると、上記ヒロックに起因して絶縁層に破れが生じ、絶縁不良が起こるという問題があった。
また、銅または銅合金からなる導電層を形成する場合、導電層はエッチング工程で使用されるレジスト剥離液により損傷を受け易く、損傷を受けた導電層上に絶縁層を形成すると、良好な絶縁層が形成されず、絶縁耐圧不良が生じるという問題があった。さらに、銅又は銅合金からなる導電層は、ガラス基板などの下地膜との密着性が不十分で、剥離が生じることがあった。
【0007】
本発明は上記課題を解決するためになされたもので、絶縁不良の発生がない、特性の良好な半導体装置とその製造方法を提供することを目的とする。また、特に、導電層をアルミニウムまたはアルミニウム合金から構成する場合には、該導電層にヒロックが発生するのを低減できる半導体装置とその製造方法を提供することを目的とする。また、導電層を銅または銅合金から構成する場合には、該導電層と下地膜との密着性を向上でき、しかもレジスト剥離液耐性を向上できる半導体装置とその製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる導電層にヒロックの発生を低減すべく、種々の検討及び実験を重ねた結果、上記導電層中にSiを特定の範囲の含有率で含有させることにより、ヒロックを低減できることを究明した。導電層中にSiを含有させる手段としては、アルミニウムまたはアルミニウム合金中にケイ素を添加したターゲットが備えられたスパッタ装置を用いて成膜する方法が考えられるが、Al−Si系ターゲットを組成を制御して作製するのは困難であるため、この方法は適用できない。
そこで、本発明者らは、さらに、種々の検討及び実験を重ねた結果、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなるターゲットを用い、該ターゲットに直流電力か第1の交流電力の少なくともどちらか一方を印加するとともに、該ターゲットに対し対向配置された基体に第2の交流電力を印加するスパッタ成膜法により成膜を行うことにより、ターゲットのみならず、基体側にもスパッタリング作用が生じ、基体に印加された第2の交流電力によりケイ素を含有する基体中のケイ素がスパッタされてアルミニウムまたはアルミニウム合金膜中に入るため、該ケイ素によりアルミニウムまたはアルミニウム合金の結晶粒度が制御されて、ヒロックを制御できることを究明し、本発明を完成したのである。
【0009】
また、本発明者は、銅または銅合金からなる導電層の剥離や、レジスト剥離液等により損傷を受けるのを防止すべく、種々の検討及び実験を重ねた結果、上記導電層中にSiを特定の範囲の含有率で含有させることにより、下地膜との密着性の向上ならびにレジスト剥離液耐性を向上できることを究明した。 導電層中にSiを含有させる手段としては、銅または銅合金からなるターゲットを用い、該ターゲットに直流電力か第1の交流電力の少なくともどちらか一方を印加するとともに、該ターゲットに対し対向配置された基体に第2の交流電力を印加するスパッタ成膜法により成膜を行うことにより、ターゲットのみならず、基体側にもスパッタリング作用が生じ、基体に印加された第2の交流電力によりケイ素を含有する基体中のケイ素がスパッタされて銅または銅合金膜中に入るため、下地膜との密着性の向上ならびにレジスト剥離液耐性を向上できることを究明し、本発明を完成したのである。
【0010】
すなわち、本発明は、ケイ素を含有する基体上に、アルミニウムまたはアルミニウム合金中にケイ素を0.01原子%以上1原子%以下の含有率で含有してなる導電層を有することを特徴とする半導体装置を上記課題の解決手段とした。
上記半導体装置において、上記導電層中のケイ素の含有率が0.01原子%未満であると、ヒロックの発生防止効果が小さくなってしまい、この導電層上に形成される絶縁層に破れが生じてしまい、一方、ケイ素の含有率が1原子%を超えると、ヒロックの発生防止効果の増大は期待できず、また、抵抗が大きくなり、導電性が悪くなってしまう。
上述のような構成の本発明の半導体装置においては、上記導電層中のケイ素の含有率が、ヒロックの発生数および大きさをより小さくでき、しかも、良好な導電性が得られる点で、0.02原子%以上0.2原子%以下の範囲とされることが好ましい。
本発明の半導体装置によれば、導電層をなすアルミニウムまたはアルミニウム合金膜中にケイ素が0.01原子%以上1原子%以下含有されたことにより、導電層の導電性を良好にしたままで該導電層にヒロックが発生するのを低減でき、上記導電層上に形成される絶縁層にヒロックに起因する破れが生じることを防止できるので、絶縁不良の発生がない、特性の良好な半導体装置を提供できる。
【0011】
本発明は、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなるターゲットを用い、該ターゲットに直流電力か第1の交流電力の少なくともどちらか一方を印加するとともに、該ターゲットに対し対向配置された基体に第2の交流電力を印加するスパッタ成膜法によりケイ素を含有した基体上にアルミニウムまたはアルミニウム合金膜を成膜することによって上記導電層を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法を上記課題の解決手段とした。
このような構成の本発明の半導体装置の製造方法においては、上記基体に印加する電力を0.5kW/m2ないし10kW/m2とすることが好ましい。上記基体に印加する電力が0.5kW/m2未満であると、得られる導電層中のSiの含有率が少なくなりすぎて、ヒロックの発生防止効果が小さくなってしまい、一方、印加する電力が10kW/m2を超えると、ヒロックの発生防止効果の増大は期待できず、また、得られる導電層中のSiの含有率が多くなりすぎて、電気抵抗が大きくなり、導電性が悪くなってしまうからである。
【0012】
本発明の半導体装置の製造方法にあっては、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなるターゲットに直流電力か第1の交流電力の少なくともどちらか一方を印加するとともに、ターゲットに対し対向配置されたケイ素を含有する基体に第2の交流電力を印加することにより、上記ケイ素を含有した基体上にアルミニウムまたはアルミニウム合金膜を成膜すると、上記基体に印加された第2の交流電力により該基体中のケイ素がスパッタされてアルミニウムまたはアルミニウム合金膜中に入るため、該ケイ素によりアルミニウムまたはアルミニウム合金の結晶粒度が制御されて、ヒロックを制御できる。
【0013】
また、本発明は、ケイ素を含有する基体上に、銅または銅合金中にケイ素を0.01原子%以上1原子%以下の含有率で含有してなる導電層を有することを特徴とする半導体装置を上記課題の解決手段とした。
上記半導体装置において、上記導電層中のケイ素の含有率が0.01原子%未満であると、導電層のレジスト剥離液耐性が低下したり、絶縁耐圧不良が生じてしまい、また、下地膜との密着性が低下してしまう。
一方、ケイ素の含有率が1原子%を超えると、導電層のレジスト剥離液耐性が低下し、絶縁耐圧不良が生じてしまい、また、得られる導電層中のSiの含有率が多くなり、これに伴って電気抵抗が大きくなり、低抵抗の銅又は銅合金からなる導電層を用いることによる動作速度の向上は期待できない。
上述のような構成の本発明の半導体装置においては、上記導電層中のケイ素の含有率が、0.02原子%以上0.2原子%以下の範囲とされることが下地膜との密着性を向上でき、しかも、レジスト剥離液耐性を向上でき、さらに電気抵抗が大きくならない点で好ましい。
本発明の半導体装置によれば、導電層をなす銅または銅合金膜中にケイ素が0.01原子%以上1原子%以下含有されたことにより、導電層と下地膜との密着性を向上でき、しかもレジスト剥離液耐性を向上でき、また、導電層をアルミニウムまたはアルミニウム合金から構成した場合よりも動作速度を向上でき、従って断線不良や絶縁耐圧不良の発生がない、特性の良好な半導体装置を提供できる。
【0014】
また、本発明は、銅または銅合金からなるターゲットを用い、該ターゲットに直流電力か第1の交流電力の少なくともどちらか一方を印加するとともに、該ターゲットに対し対向配置された基体に第2の交流電力を印加するスパッタ成膜法によりケイ素を含有した基体上に銅または銅合金膜を成膜することによって前記導電層を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法を上記課題の解決手段とした。
このような構成の本発明の半導体装置の製造方法においては、上記基体に印加する電力を0.5kW/m2ないし10kW /m2とすることが好ましい。
上記基体に印加する電力が0.5kW/m2未満であると、得られる導電層中のSiの含有率が少なくなりすぎて、下地膜との密着性が低下したり、導電層のレジスト剥離液耐性が低下したりして、断線不良や絶縁耐圧不良が生じてしまう。一方、印加する電力が10kW/m2を超えると、導電層のレジスト剥離液耐性が低下し、絶縁耐圧不良が生じてしまい、また、得られる導電層中のSiの含有率が多くなり、これに伴って電気抵抗が大きくなり、低抵抗の銅又は銅合金からなる導電層を用いることによる動作速度の向上は期待できないからである。
【0015】
本発明の半導体装置の製造方法にあっては、銅または銅合金からなるターゲットに直流電力か第1の交流電力の少なくともどちらか一方を印加するとともに、ターゲットに対し対向配置されたケイ素を含有する基体に第2の交流電力を印加することにより、上記ケイ素を含有した基体上に銅または銅合金膜を成膜すると、上記基体に印加された第2の交流電力により該基体中のケイ素がスパッタされて銅または銅合金膜中に入るため、導電層と下地膜との密着性を向上でき、しかもレジスト剥離液耐性を向上でき、また、導電層をアルミニウムまたはアルミニウム合金から構成した場合よりも動作速度を向上でき、従って断線不良や絶縁耐圧不良の発生がない、特性の良好な半導体装置を製造できる。
本発明においては、上記半導体装置が薄膜トランジスタ基板であることを特徴とするものであってもよい。
本発明においては、上記半導体装置が半導体集積装置であることを特徴とするものであってもよい。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の半導体装置およびその製造方法の一実施形態について説明する。
図3は、本発明の半導体装置の製造方法に好適に用いられる薄膜の製造装置の成膜室を示す概略構成図であり、図4は、薄膜の製造装置の全体構成を示す平面図であり、図5は、図4に示す薄膜の製造装置の一部を拡大した側面図である。
図3は、減圧可能な成膜室10を示し、この成膜室10は、図4に示すように搬送室11の側部にゲートバルブ12を介して接続されている。上記搬送室11の周囲には成膜室10の他に、ロータ゛ー室13とアンロータ゛ー室14とストッカーチャンバ15がそれぞれ搬送室11を囲むように接続され、搬送室11とその周囲の各室との間にはそれぞれゲートバルブ16、17、18が設けられている。以上の説明のように、成膜室10と搬送室11とロータ゛室13とアンロータ゛ー室14とストッカーチャンバ15により薄膜の製造装置A’が構成されている。
【0017】
上記成膜室10は、図3に示すように、その上部に第1の電極20が設けられ、第1の電極20の底面にターゲット21が着脱自在に装着されているとともに、成膜室10の底部には第2の電極22が設けられ、第2の電極22の上面にケイ素を含有する基体23が着脱自在に装着されている。
上記ターゲット21をなす材料としては、ゲート電極などの導電層を形成する場合、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金のうちから選択される材料が用いられ、n型a−Si層を形成する場合、n型a−Si生成用のPドープSiが用いられる。
上記基体23としては、薄膜トランジスタ基板を製造する場合にはガラス基体1を好適に用いることができ、半導体集積装置を製造する場合にはシリコン基体41を好適に用いることができる。なお、上記ターゲット21の装着には静電チャックなどの通常知られたターゲット装着機構を用いることができる。
上記第1の電極20は、導電性材料からなる母体20aとこの母体20aの表面に形成された保護層20bとから構成されている。この保護層20bは、塩素系などの腐食性ガスのプラズマに曝されても腐食しずらいような酸化膜、窒化膜あるいはフッ化膜などからなり、具体的には、SiO2、Si3N4、Al2O3、 Cr2O3、AlNなどからなる。
【0018】
そして、上記第1の電極20には第1の交流電源25が接続されるとともに、第1の電極20と第1の交流電源25との間には整合回路26が組み込まれていて、この整合回路26は高周波電力の反射波をゼロにする作用を奏する。また、第1の電極20には、インピーダンス調整用のローパスフィルタなどのバンドパスフィルタ27を介して直流電源28が接続されている。このバンドパスフィルタ27は、直流電源28に高周波が乗らないように回路のインピーダンスを無限大に調整するものである。
更に、上記第2の電極22にも第2の交流電源30が接続されるとともに、第2の電極22と第2の交流電源30の間には上記整合回路26と同様の作用を奏する整合回路31が組み込まれている。
なお、上記成膜室10には、真空引き用およびガス排気用の排気ユニット10a、成膜室10内への反応ガス供給機構10b等を含んでいるが図3では説明の簡略化のためにこれらを簡略化して記載した。
【0019】
次に、上記搬送室11には、リンク式の搬送機構(マジックハンド)33が設けられ、この搬送機構33は搬送室11の中心部に立設された支軸34を支点として回動自在に設けられ、ストッカーチャンバ15に配置されているカセット35からターゲット21を取り出して必要に応じて成膜室10に搬送し、成膜室10の第1の電極20にターゲット21を装着できるようになっている。
なお、上記カセット35にはダミーターゲット37も収納されていて、必要に応じてダミーターゲット37も成膜室10に搬送できるようになっている。
【0020】
次に、本発明の半導体装置の製造方法を図1に示したようなTFT基板の製造方法に適用した一実施形態について説明する。
図3乃至図5に示す薄膜の製造装置は、1つの成膜室10で1つ以上の薄膜(例えば、ゲート電極をなす導電層と、ゲート絶縁層と、a−Si層と、n型a−Si層、ソース電極をなす導電層と、ドレイン電極をなす導電層)を連続成膜することができる装置である。
即ち、成膜室10において、CVD成膜(ゲート絶縁層・a−Si層)とスパッタ成膜(n型a−Si層・ゲート電極・ソース電極・ドレイン電極の成膜)を電源を切り替えることにより行なうことができる。
まず、成膜室10と搬送室11とストッカーチャンバ15を減圧したならば、ゲートバルブ12と18を開放して搬送機構33によりダミーターゲット37を成膜室10の第1の電極20に、ガラス基体23を第2の電極22に装着する。この状態からゲートバルブ12を閉じたならば、以下の工程に準じて基体23上にゲート電極2などの薄膜を順次形成する。
【0021】
▲1▼基体23のクリーニング工程
ガラス基体23の表面や成膜室10の内壁面の異物や不純物あるいは酸化被膜などを除去する目的で成膜室10をAr+H2混合ガス雰囲気とし、第1の電極 20にSi、SiO2などからなるダミーターゲット37を上記の如く装着し、 第2の電極22にガラス基体23を装着し、第1の交流電源25から第1の電極20に周波数200MHz程度の高周波を供給し、第1の電極20の負荷電位をフローティングしてプラズマクリーニングを行なう。このプラズマクリーニングの場合は、第1の電極20に装着されたダミーターゲット37をスパッタしないように、供給する周波数を大きく設定し、ダミーターゲット37にかかるイオンエネルギーを小さくする。例えば、ガラス基体23にかかるイオンエネルギーを10〜20eVになるように第2の電極22にかかる電力を調整する。
【0022】
▲2▼ゲート電極(アルミニウム若しくはアルミニウム合金または銅若しくは銅合金膜)2のスパッタ成膜工程
成膜室10をArガス雰囲気とし、第1の電極20にアルミニウム若しくはアルミニウム合金または銅若しくは銅合金からなるターゲット21を装着し、直流電源28か第1の交流電源25の少なくともどちらか一方を作動させて第1の電力(直流電力と交流電力のうち少なくともどちらか一方)をターゲット21に印加するとともに第2の交流電源30を作動させて第2の交流電力をガラス基体23に印加するスパッタ法により、導電層のスパッタ成膜を行なう。この工程では、第一のターゲット21に印加する電力を10kW/m2〜30kW/m2程度とする。また、ガラス基体23に印加する電力を0.5kW/m2ないし10kW/m2とすることが好ましい。
ターゲット21としてアルミニウム若しくはアルミニウム合金からなるものを用いた場合、ガラス基体23に印加する電力が0.5kW/m2未満であると、得られるゲート電極2中のSiの含有率が少なくなりすぎて、ヒロックの発生防止効果が小さくなってしまい、一方、印加する電力が10kW/m2を超えると、ヒロックの発生防止効果の増大は期待できず、また、得られるゲート電極2中のSiの含有率が多くなりすぎて、抵抗が大きくなり、導電性が悪くなってしまうからである。
【0023】
ターゲット21として銅若しくは銅合金からなるものを用いた場合、ガラス基体23に印加する電力が0.5kW/m2未満であると、下地膜のガラス基体23との密着性が低下したり、得られるゲート電極2中のSiの含有率が少なくなりすぎて、ゲート電極2のレジスト剥離液耐性が低下したり、断線不良や絶縁耐圧不良が生じてしまう。一方、印加する電力が10kW/m2を超えると、ゲート電極2のレジスト剥離液耐性が低下し、絶縁耐圧不良が生じてしまい、また、得られるゲート電極2中のSiの含有率が多くなり、これに伴って電気抵抗が大きくなり、低抵抗の銅又は銅合金からなるゲート電極2を用いることによる動作速度の向上は期待できないからである。
【0024】
このようにして得られたゲート電極2が、従来の通常のスパッタ法により得られたものと異なるところは、アルミニウム若しくはアルミニウム合金または銅若しくは銅合金膜中にケイ素が0.01原子%以上1原子%以下含有されている点である。
ゲート電極2がアルミニウム若しくはアルミニウム合金からなる場合のゲート電極2中のケイ素の含有率が0.01原子%未満であると、ヒロックの発生防止効果が小さくなってしまい、後工程においてこのゲート電極2上に形成されるゲート絶縁層3に破れが生じてしまう。ゲート電極2中のケイ素の含有率が1原子%を超えると、ヒロックの発生防止効果の増大は期待できず、また、抵抗が大きくなり、導電性が低下してしまう。アルミニウム若しくはアルミニウム合金からなるゲート電極2中のケイ素の含有率は、ヒロックの発生数および大きさを小さくでき、しかも、導電性がさほど劣化しない点で、0.02原子%以上0.2原子%以下の範囲とすることが好ましい。
【0025】
ゲート電極2が銅若しくは銅合金からなる場合のゲート電極2中のケイ素の含有率が0.01原子%未満であると、ゲート電極2のレジスト剥離液耐性が低下したり、絶縁耐圧不良が生じてしまい、また、ガラス基体23との密着性が低下してしまう。一方、ケイ素の含有率が1原子%を超えると、ゲート電極2のレジスト剥離液耐性が低下し、絶縁耐圧不良が生じてしまい、また、得られるゲート電極2中のSiの含有率が多くなり、これに伴って電気抵抗が大きくなり、低抵抗の銅又は銅合金からなるゲート電極2を用いることによる動作速度の向上は期待できない。
銅若しくは銅合金からなるゲート電極2中のケイ素の含有率は、0.02原子%以上0.2原子%以下の範囲とされることがガラス基体23との密着性を向上でき、しかも、レジスト剥離液耐性を向上でき、さらには、導電性がさほど劣化しない点で好ましい。
【0026】
▲3▼ゲート絶縁層(窒化ケイ素膜)3のCVD成膜工程
成膜室10をSiH4+NH3+N2混合ガス雰囲気とし、第1の電極20にダ ミーターゲット37を装着し、第1の交流電源25から第1の電極20に周波数200MHzの高周波を供給し、負荷電位をフローティングしてプラズマを発生させて窒化ケイ素膜を基体23上に堆積させるCVD成膜を行なう。このCVD成膜の場合は、第1の電極20に装着されたダミーターゲット37をスパッタしないように供給する周波数を大きく設定し、第1の電極20にかかるイオンエネルギーを小さくするとともに、第2の電極22に高周波電力を供給し、基体23にかかるイオンエネルギーを制御する。
【0027】
▲4▼基体クリーニング工程
成膜室10をAr+H2混合ガス雰囲気とし、ダミーターゲット37はそのま まとして、第1の交流電源25から第1の電極20に周波数200MHz程度の高周波を供給し、負荷電位をフローティングすることにより、ゲート絶縁層3が形成された第1の基体23のプラズマクリーニングを行なう。このプラズマクリーニングの場合は、電極20に装着されたダミーターゲット37をスパッタしないように供給する周波数を大きく設定し、第1の電極20にかかるイオンエネルギーを小さくする。
【0028】
▲5▼半導体層(a−Si層)4のCVD成膜工程
成膜室10をSiH4+H2混合ガス雰囲気とし、第1の電極20にダミーターゲット37を装着したままで第1の交流電源25から第1の電極20に周波数200MHz程度の高周波を供給し、更に、第2の交流電源30から第2の電極22に高周波電力を供給し、ガラス基体23にかかるイオンエネルギーを制御してa−Si層の成膜を行なう。
【0029】
▲6▼n型a−Si層5のスパッタ成膜工程
成膜室10をArガス雰囲気とし、第1の電極20にn型a−Si生成用のPドープSiからなるターゲット21を装着し、第1の交流電源25から第1の電極20に周波数13.6MHz程度の高周波を供給し、更に直流電源28から負荷す る負荷電位を−200Vにしてスパッタリングを行ない、n型a−Si膜の成膜を行なう。この工程では、ターゲット36にかかるイオンエネルギーを大きくする必要がある。このため、供給する高周波の周波数を13.56MHz程度とす る。
【0030】
▲7▼ソース電極6及びドレイン電極7(アルミニウム若しくはアルミニウム合金又は銅若しくは銅合金膜)のスパッタ成膜工程
成膜室10をArガス雰囲気とし、第1の電極20にアルミニウム若しくはアルミニウム合金又は銅若しくは銅合金からなるターゲット21を装着し、直流電源28か第1の交流電源25の少なくともどちらか一方を作動させて第1の電力をターゲット21に印加するとともに第2の交流電源30を作動させて第2の交流電力をガラス基体23に印加するスパッタ法により、アルミニウム若しくはアルミニウム合金又は銅若しくは銅合金膜のスパッタ成膜を行なう。この工程では、第一のターゲット21に印加する電力を10kW/m2〜30kW/m2程度とする。
また、ガラス基体23に印加する電力は、上述のゲート電極2を成膜する場合とほぼ同様の理由から0.5kW/m2ないし10kW/m2とすることが好ましい。
【0031】
このようにして得られたソース電極6およびドレイン電極7が、従来の通常のスパッタ法により得られたものと異なるところは、アルミニウム若しくはアルミニウム合金又は銅若しくは銅合金膜中にケイ素が0.01原子%以上1原子%以下含有されている点である。
ソース電極6およびドレイン電極7がアルミニウム若しくはアルミニウム合金からなる場合の電極中のケイ素の含有率が0.01原子%未満であると、ヒロックの発生防止効果が小さくなってしまい、後工程においてこれらの上に形成されるパッシベーション膜に破れが生じてしまう。ソース電極6並びにドレイン電極7中のケイ素の含有率がそれぞれ1原子%を超えると、ヒロックの発生防止効果の増大は期待できず、また、抵抗が大きくなり、導電性が低下してまう。アルミニウム若しくはアルミニウム合金からなるソース電極6並びにドレイン電極7中のケイ素の含有率は、ヒロックの発生数および大きさをより小さくでき、しかも、導電性がさほど劣化しない点で、それぞれ0.02原子%以上0.2原子%以下の範囲とすることが好ましい。
【0032】
ソース電極6及びドレイン電極7が銅若しくは銅合金からなる場合の電極中のケイ素の含有率が0.01原子%未満であると、ソース電極6やドレイン電極7のレジスト剥離液耐性が低下したり、絶縁耐圧不良が生じてしまい、また、下地膜との密着性が低下してしまう。一方、ケイ素の含有率が1原子%を超えると、ソース電極6やドレイン電極7のレジスト剥離液耐性が低下し、絶縁耐圧不良が生じてしまい、また、得られるソース電極6やドレイン電極7中のSiの含有率が多くなり、これに伴って電気抵抗が大きくなり、低抵抗の銅又は銅合金からなるソース電極6及びドレイン電極7を用いることによる動作速度の向上は期待できない。
銅若しくは銅合金からなるソース電極6及びドレイン電極7中のケイ素の含有率は、それぞれ0.02原子%以上0.2原子%以下の範囲とされることが下地膜との密着性を向上でき、しかも、レジスト剥離液耐性を向上でき、さらには導電性がさほど劣化しない点で好ましい。
【0033】
なお、上述のスパッタ成膜時には、ターゲット21のスパッタリング効率を上げる目的で直流電源28から−100V以下の電位をかけることが好ましい。これに対して上記のCVD成膜においては、ダミーターゲット37をスパッタする必要はないので、−100V以下の電位を負荷する必要はない。
【0034】
ついで、形成したソース電極6およびドレイン電極7をマスクして、n型a−Si層5の一部を除去してn型a−Si層5を分割した後、CVD法などにより窒化ケイ素からなるパッシベーション膜(図示略)を形成することにより、図1と同様のTFT基板が得られる。
【0035】
実施形態のTFT基板において、導電層であるゲート電極2とソース電極6とドレイン電極7のそれぞれをなすアルミニウム若しくはアルミニウム合金膜中にケイ素が0.01原子%以上1原子%以下含有された場合にあっては、導電層の導電性を良好にしたままでゲート電極2とソース電極6とドレイン電極7にヒロックが発生するのを低減でき、これら電極上に形成されたゲート絶縁層3やパッシベーション膜などの絶縁層にヒロックに起因する破れが生じることを防止できるので、絶縁不良の発生がない、特性の良好なものである。
また、導電層であるゲート電極2とソース電極6とドレイン電極7のそれぞれをなす銅若しくは銅合金膜中にケイ素が0.01原子%以上1原子%以下含有された場合にあっては、導電層と下地膜との密着性を向上でき、しかもレジスト剥離液耐性を向上でき、また、導電層をアルミニウムまたはアルミニウム合金から構成した場合よりも動作速度を向上でき、従って断線不良や絶縁耐圧不良の発生がない、特性の優れた半導体装置を提供できる。
【0036】
上記実施形態においては、本発明の半導体装置およびその製造方法をTFT基板およびその製造方法に適用した場合について説明したが、アルミニウム若しくはアルミニウム合金又は銅若しくは銅合金からなる導電層を有する半導体集積装置やその製造方法に適用することができる。
例えば、図2に示すようなMOSトランジスタにおいては、ソース電極47、ドレイン電極48をなすアルミニウム若しくはアルミニウム合金又は銅若しくは銅合金膜中にそれぞれケイ素を0.01原子%以上1原子%以下の含有率で含有されるようにしてもよい。これらのソース電極47、ドレイン電極48などの導電層は、ガラス基板に代えてシリコン基板を用いる以外は上述のスパッタ成膜法と同様にして形成することができる。
このようなMOSトランジスタを備えた半導体集積装置において、導電層であるソース電極47、ドレイン電極48をなすアルミニウムまたはアルミニウム合金膜中にそれぞれケイ素が0.01原子%以上1原子%以下含有された場合にあっては、導電層の導電性を良好にしたままでソース電極47、ドレイン電極48にヒロックが発生するのを低減でき、これら電極上に形成されたゲート絶縁層43やパッシベーション膜などの絶縁層にヒロックに起因する破れが生じることを防止できるので、絶縁不良の発生がない、特性の良好なものである。
【0037】
また、上記のMOSトランジスタを備えた半導体集積装置において、導電層であるソース電極47、ドレイン電極48をなす銅または銅合金膜中にそれぞれケイ素が0.01原子%以上1原子%以下含有された場合にあっては、ソース電極47やドレイン電極48と、下地膜との密着性を向上でき、しかもレジスト剥離液耐性を向上でき、また、導電層をアルミニウムまたはアルミニウム合金から構成した場合よりも動作速度を向上でき、従って断線不良や絶縁耐圧不良の発生がない、特性の良好な半導体装置を提供できる。
【0038】
【実施例】
(実施例1)
図3ないし図5に示した薄膜の製造装置を用い、純度が99.9999%のアルミニウムからなるターゲット21に直流電力か第1の交流電力の少なくともどちらか一方を印加するとともに、該ターゲット21に対し対向配置されたガラス基体23に第2の交流電力を印加するスパッタ成膜法によりガラス基体23上に1000オングストロームのアルミニウム膜を成膜することにより、導電層を形成した。ここでの成膜条件は、直径314mmの円形のターゲット21に印加する電力を20kW/m2、1辺が6インチの正方形状のガラス基体23に印加する電力を1.25kW/m2に設定した。ここでターゲット21、ガラス基体23に印加する電力は、電力密度で規定したものであり、それぞれ、第1の電極20の面積0.1m2、第2の電極22の面積0.04m2でそれぞれの印加電力(W)を割ったものである。
【0039】
(比較例1)
図3ないし図5に示した薄膜の製造装置を用い、純度が99.9999%のアルミニウムからなるターゲット21に直流電力を印加する通常のDCスパッタ成膜法により、1辺6インチのガラス基体23上にアルミニウム膜を成膜することにより、導電層を形成した。
ここでの成膜条件は、ターゲット21に印加する電力を20kW/m2に設定 した。
【0040】
図6に、実施例1で得られたアルミニウム膜中の成分についてSIMS分析法(二次イオン質量分析法)により調べた結果を示す。また、図7に比較例1で得られたアルミニウム膜中の成分についてSIMS分析法により調べた結果を示す。
なお、図6、図7中、28Si+、30Si+、40Ar+Ca、56Fe+Si2、54Al2+、42Ca+SiSi2、58Ni+Si2、62Ni+SiO2 、36Ar+は、検出される二次イオンとその質量数を表す。なお、SIMS分析による28Si+(質量数28のSi+)の強度(濃度)が1×102以下の範囲は、28Si+が含有されていないものとみなされる(グラウンドレベル)。
図6〜図7に示した結果から明らかなように比較例1で得られたアルミニウム膜中の28Si+の濃度はノイズレベルの1×102程度であり、アルミニウム膜 中にSiが殆ど含有されていないことがわかる。これに対して実施例1で得られたアルミニウム膜中の28Si+の濃度は5×102程度であり、アルミニウム膜 中に明らかにSiが含有されていることがわかる。
【0041】
基体にかける電力を変更する以外は実施例1と同様にしてガラス基体23上にアルミニウム膜を成膜したときの、アルミニウム膜中のSiの含有率と、ヒロックの発生数と、抵抗値と、アルミニウムの結晶の粒度のガラス基体にかける電力依存性を調べた結果を図8に示す。
図8に示した結果から明らかなようにガラス基体にかける電力を大きくするにつれてアルミニウムの結晶の粒度が小さくなっており、また、アルミニウム膜の抵抗値も大きくなっており、アルミニウム膜中のSiの含有率も多くなっていることがわかる。また、ガラス基体にかける電力が30W(0.75kW/m2)〜200W(5.0kW/m2)の範囲では、Siの含有率が0.02at%〜0.2at%となって おり、また、このときのヒロックの発生数は2×105個/cm2以下と少なくなっており、抵抗値も導電性に殆ど影響のない3.6Ω・cm以下であることがわかる。
【0042】
(実施例2)
ターゲット21として銅からなるものを用いた以外は、実施例1と同様にしてガラス基体23上にCu膜を成膜することにより導電層を形成し、試料とした。ここでの成膜条件は、直径314mmの円形のターゲット21に印加する電力を20kW/m2、1辺6インチの正方形状のガラス基体23に印加する電力を5.0kW/m2に設定した。ついで、導電層の表面にフォトレジストを塗布した後、有機アミン系レジスト剥離液(東京応化工業株式会社製の剥離液#106に5分間浸漬し、これらを剥離液から取り出し、リンス洗浄、乾燥させた。
レジスト剥離液浸漬前と浸漬後の実施例2の導電層の状態を原子力間顕微鏡(AFM)により観察した。その結果を図9から図10に示す。図9は、レジスト剥離液浸漬前の実施例2の導電層表面の金属組織を示す写真であり、図10はレジスト剥離液浸漬後の実施例2の導電層表面の金属組織を示す写真である。
【0043】
(比較例2)
ターゲット21としてCuからなるものを用いた以外は、比較例1と同様にしてガラス基体23上にCu膜を成膜することにより、導電層を形成した。
ここでの成膜条件は、ターゲット21に印加する電力を20kW/m2に設定 した。ついで、導電層の表面にフォトレジストを塗布した後、有機アミン系レジスト剥離液(東京応化工業株式会社製の剥離液#106に5分間浸漬し、これらを剥離液から取り出し、リンス洗浄、乾燥させた。
【0044】
レジスト剥離液浸漬前後の比較例2の導電層表面の状態を原子力間顕微鏡(AFM)により観察した。その結果を図11から図12に示す。図11は、レジスト剥離液浸漬前の比較例2の導電層表面の金属組織を示す写真であり、図12はレジスト剥離液浸漬後の比較例2の導電層表面の金属組織を示す写真である。
図9乃至図12に示した結果から明らかなように比較例2のものは、レジスト剥離液浸漬前後の導電層表面の状態が大きく変化しており、レジスト剥離液により大きなダメージを受けていることがわかる。これに対して実施例2のものは、レジスト剥離液浸漬前後の導電層表面の状態があまり変化しておらず、比較例2のものに比べてレジスト剥離液耐性が優れていることがわかる。
【0045】
(実験例)
ターゲット21として銅からなるものを用いた以外は、実施例1と同様にしてガラス基体23上にCu膜を成膜することにより導電層を形成し、試料とした。ここでの成膜条件は、厚さ1000オングストローム、直径314mmの円形のターゲット21に印加する電力を20kW/m2と一定とし、また、1辺6インチの正方形状のガラス基体23に印加する電力は0〜15kW/m2の範囲で変更した。
図13に、ガラス基体に印加する電力と、試料のCu膜中のSi濃度との関係をSIMS分析法(二次イオン質量分析法)により調べた結果を示す。
図13に示した結果から明らかなようにガラス基体23に印加する電力を0kW/m2とした場合は、Cu膜(比較例3)中のSi濃度はノイズレベルの1018cm−3程度であり、Cu膜中にSiが殆ど含有されていないことがわかる。これに対してガラス基体23に印加する電力を1.25〜5.0kW/m2とした場合は、Cu膜(実施例3〜4)中のSi濃度は約4×1018cm−3以上であり、Cu膜中に明らかにSiが含有されており、また、印加電力を大きくすることにより、Cu膜中のSi濃度が大きいことが分かる。
【0046】
また、得られた試料のレジスト剥離液に対するレジスト剥離液耐性と、絶縁耐圧と、Cu膜の下地との密着性について評価した。
ここでのレジスト剥離液耐性は、試料のCu膜の表面にフォトレジストを塗布した後、有機アミン系レジスト剥離液(東京応化工業株式会社製の剥離液#106に5分間浸漬し、ついで、試料を剥離液から取り出し、リンス洗浄、乾燥した後のCu膜表面を原子力間顕微鏡(AFM)により観察した。その結果を下記表1に示す。表1のレジスト剥離液耐性の欄の◎は、剥離液によりダメージを受けなかったもの、○は配線幅(5μm)の範囲内での小さなダメージを受けたもの、×は配線幅(5μm)を超える大きいダメージを受けたものを表す。
また、絶縁耐圧については、上述の方法と同様にして作製した1000オングストロームのCu膜上に3000オングストロームのSiNxからなる絶縁層をCVD法により形成したものを試料(1mm角)とし、該試料の絶縁層上に電極を配置し、該電極と上記Cu膜間に電圧を印加し、絶縁破壊したときの電圧を層間絶縁膜(SiNxからなる絶縁層)の耐圧値した。その結果を下記表1に合わせて示す。表1の絶縁耐圧の欄の○は、耐圧値が200V以上であり、絶縁耐圧が良好であるもの、×は耐圧値が150V未満であり、絶縁耐圧が不良であるものを表す。
また、Cu膜の下地との密着性は、Cu膜と下地のガラス基体との密着性について調べた。その結果を表1に合わせて示す。表1の下地との密着性の欄の○は、Cu膜とガラス基体との密着性が良好であり、実用上問題のなかったもの、×はCu膜とガラス基体との密着性が不良であり、実用上問題のあったものを示す。
なお、ガラス基体23に印加する電圧を0〜15kW/m2の範囲で変化させたときのCu膜中のSi含有量(原子%)と、Cu膜の比抵抗を表1に合わせて示す。
【0047】
【表1】
【0048】
表1に示した結果からガラス基体に印加する電圧が0.00kW/m2とするとCu膜中にSiが殆ど含まれておらず、レジスト剥離耐性および絶縁耐圧が不良であることがわかる。また、ガラス基体に印加する電圧が15kW/m2とするとCu膜中のSiが3.0原子%と多く含まれており、レジスト剥離耐性および絶縁耐性が不良であることがわかる。
これに対してガラス基体に印加する電圧が0.05から10kW/m2とすると、Cu膜中にSiが0.01から1原子%含有されており、レジスト剥離液耐性および絶縁耐圧が良好であり、特にガラス基体に印加する電圧が0.75から5.00kW/m2とすると、レジスト剥離液耐性が優れていることがわかる。
【0049】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の半導体装置にあっては、導電層をなすアルミニウム若しくはアルミニウム合金又はCu若しくはCu合金中にケイ素が0.01原子%以上1原子%以下含有されたことにより、絶縁不良の発生がない、特性の良好な半導体装置を提供できるという利点がある。
また、特に、導電層をなすアルミニウム若しくはアルミニウム合金中にケイ素が0.01原子%以上1原子%以下含有された場合にあっては、導電層の導電性を良好にしたままで該導電層にヒロックが発生するのを低減でき、上記導電層上に形成される絶縁層にヒロックに起因する破れが生じることを防止できるので、絶縁不良の発生がない、特性の良好な半導体装置を提供できるという利点がある。
また、特に、導電層をなす銅若しくは銅合金膜中にケイ素が0.01原子%以上1原子%以下含有された場合にあっては、導電層と下地膜との密着性を向上でき、しかもレジスト剥離液耐性を向上でき、また、導電層をアルミニウムまたはアルミニウム合金から構成した場合よりも動作速度を向上でき、従って断線不良や絶縁耐圧不良の発生がない、特性の優れた半導体装置を提供できる。
【0050】
本発明の半導体装置の製造方法にあっては、アルミニウム若しくはアルミニウム合金又はCu若しくはCu合金からなるターゲットに直流電力か第1の交流電力の少なくともいずれか一方を印加するとともに、ターゲットに対し対向配置されたケイ素を含有する基体に第2の交流電力を印加して、上記ケイ素を含有する基体上にアルミニウム若しくはアルミニウム合金膜又はCu若しくはCu合金膜を成膜すると、上記ケイ素を含有する基体に印加された第2の交流電力により該基体中のケイ素がスパッタされてアルミニウム若しくはアルミニウム合金又はCu若しくはCu合金膜中に入る。従って、ケイ素を含有する基体上にアルミニウム若しくはアルミニウム合金膜を成膜した場合には、該膜に入ったケイ素によりアルミニウム若しくはアルミニウム合金の結晶粒度が制御されて、ヒロックを制御できる。また、ケイ素を含有する基体上にCu若しくはCu合金膜を成膜した場合には、導電層と下地膜との密着性を向上でき、しかもレジスト剥離液耐性を向上でき、また、導電層をアルミニウムまたはアルミニウム合金から構成した場合よりも動作速度を向上でき、従って断線不良や絶縁耐圧不良の発生がない、特性の良好な半導体装置を製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の半導体装置が適用される薄膜トランジスタ基板の要部を示す断面図である。
【図2】本発明の半導体装置が適用される半導体集積装置を構成するMOSトランジスタの断面を含む要部を示す斜視図である。
【図3】本発明の半導体装置の製造方法に好適に用いられる薄膜の製造装置の成膜室を示す構成図である。
【図4】本発明の半導体装置の製造方法に好適に用いられる薄膜の製造装置の全体構成を示す平面図である。
【図5】図4に示す薄膜の製造装置の一部を拡大した側面図である。
【図6】実施例1で得られたアルミニウム膜中の成分についてSIMS分析法により調べた結果を示すグラフである。
【図7】比較例1で得られたアルミニウム膜中の成分についてSIMS分析法により調べた結果を示すグラフである。
【図8】アルミニウム膜中のSiの含有率と、ヒロックの発生数と、抵抗値と、アルミニウムの結晶の粒度のガラス基体にかける電力依存性を示すグラフである。
【図9】レジスト剥離液浸漬前の実施例2の導電層表面の金属組織を示す写真である。
【図10】レジスト剥離液浸漬後の実施例2の導電層表面の金属組織を示す写真である。
【図11】レジスト剥離液浸漬前の比較例2の導電層表面の金属組織を示す写真である。
【図12】レジスト剥離液浸漬後の比較例2の導電層表面の金属組織を示す写真である。
【図13】ガラス基体に印加する電力と、試料のCu膜中のSi濃度との関係をSIMS分析法(二次イオン質量分析法)により調べた結果を示すグラフである。
【符号の説明】
1・・・ガラス基体(ケイ素を含有する基体)、2・・・ゲート電極(導電層)、6・・・ソース電極(導電層)、7・・・ドレイン電極(導電層)、20・・・第1の電 極、21・・・ターゲット、22・・・第2の電極、23・・・ケイ素を含有する基体、 25・・・第1の交流電源、30・・・第2の交流電源、41・・・シリコン基体(ケイ素を含有 する基体)、42・・・ゲート電極(導電層)、47・・・ソース電極(導電層)、48・・・ドレイン電極(導電層)。
【発明の属する技術分野】
本発明は、薄膜トランジスタ(TFT)基板や半導体集積装置などの半導体装置とその製造方法に係わり、詳しくは、絶縁不良の発生がない、特性の良好な半導体装置とその製造方法、特に、半導体装置に備えられる導電層がアルミニウムまたはアルミニウム合金から構成されている場合には、該導電層にヒロックが発生するのを低減できる半導体装置とその製造方法、導電層が銅または銅合金から構成されている場合には、該導電層と下地膜との密着性を向上でき、しかもレジスト剥離液耐性を向上できる半導体装置とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、導電層を有する半導体装置としては、薄膜トランジスタ(TFT)基板や、半導体集積装置などが知られている。
図1は、一般的なTFT基板の要部を示す断面図である。このTFT基板は、ガラス基体1上に、ゲート電極2、窒化ケイ素からなるゲート絶縁層3、a(アモルファス)−Siからなる半導体層4、n型a−Siからなる層5が設けられ、さらにこの層5上にソース電極6、ドレイン電極7が設けられ、さらにこれらの上に窒化ケイ素からなるパッシベーション膜(図示略)が設けられることにより概略構成されている。
上記ゲート電極2、ソース電極6、ドレイン電極7は、アルミニウムまたはアルミニウム合金などからなる導電層である。
【0003】
従来、この種のTFT基板を製造する方法としては、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなるターゲットを用い、該ターゲットに直流電力か交流電力の少なくともどちらか一方を印加する通常のスパッタ法などの薄膜形成手段によりガラス基体1上にゲート電極2を形成した後、CVD法などの薄膜形成手段によりゲート絶縁層3、半導体層4を形成し、ついでこれらの上に上述のスパッタ法などによりn型a−Si層5、ソース電極6およびドレイン電極7を形成し、ついで形成したソース電極6およびドレイン電極7をマスクして、n型a−Si層5の一部を除去してn型a−Si層5を分割した後、CVD法などによりパッシベーション膜(図示略)を形成することにより、TFT基板が得られる。
【0004】
図2は、半導体集積装置を構成する一般的なMOSトランジスタを示す斜視図である。
このMOSトランジスタは、p型シリコン基体41上に、窒化ケイ素またはSiO2からなるゲート絶縁層43を介してn型の不純物(例えばリン)をドープした多結晶シリコンからなるゲート電極42が設けられ、該ゲート電極42の両側の素子分離絶縁層43aにそれぞれコンタクト孔44が形成され、さらにこれらコンタクト孔44の下方に位置するp型シリコン基体41にソース拡散領域45、ドレイン拡散領域46が設けられ、上記ゲート電極42上に絶縁層43bが設けられ、上記コンタクト孔44内および素子分離絶縁層43a上にソース電極47、ドレイン電極48が設けられ、さらにこれらの上にパッシベーション膜(図示略)が設けられることにより概略構成されている。
【0005】
従来、この種の半導体集積装置を製造する方法としては、p型シリコン基体41の表面の酸化膜をエッチングして穴を開けてから、n型の不純物をイオン打ち込み後、熱処理してソース拡散領域45とドレイン拡散領域46を形成し、ついでCVD法などにより窒化ケイ素またはSiO2を堆積してゲート絶縁層43と 素子分離絶縁層43aを形成し、ついで多結晶シリコン層を堆積させた後、リソグラフィ法によりゲート形成位置以外の場所の多結晶シリコン層を除去してゲート電極42を形成し、さらに該ゲート電極42およびゲート絶縁層43上にCVD法などにより窒化ケイ素またはSiO2を堆積して絶縁層43bを形成した後 、リソグラフィ法により素子分離絶縁層43aにコンタクト孔44を形成し、ついでスパッタ法などによりアルミニウムまたはアルミニウム合金を蒸着し、リソグラフィ法により蒸着膜の不要部分を除去してソース電極47およびドレイン電極48を形成した後、CVD法などによりパッシベーション膜を形成することにより、半導体集積装置が得られる。
ところで、近年、半導体装置の高集積化や高速化に伴い、導電層の抵抗による信号伝達の遅延の問題が顕在化されており、このような問題を解決するために導電層を構成する材料としてアルミニウムまたはアルミニウム合金より低抵抗の銅または銅合金が使用されるようになってきている。銅又は銅合金からなる導電層の形成方法は、導電層をアルミニウムまたはアルミニウム合金から構成する場合と同様に通常のスパッタ法により形成されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら従来の半導体装置の製造方法においては、直流電力か交流電力の少なくともどちらか一方をターゲットのみに印加する通常のスパッタ法により、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる導電層を形成する場合、導電層に結晶の異常成長による針状突起、いわゆるヒロックが多数生じてしまうため、この導電層上に絶縁層を形成すると、上記ヒロックに起因して絶縁層に破れが生じ、絶縁不良が起こるという問題があった。
また、銅または銅合金からなる導電層を形成する場合、導電層はエッチング工程で使用されるレジスト剥離液により損傷を受け易く、損傷を受けた導電層上に絶縁層を形成すると、良好な絶縁層が形成されず、絶縁耐圧不良が生じるという問題があった。さらに、銅又は銅合金からなる導電層は、ガラス基板などの下地膜との密着性が不十分で、剥離が生じることがあった。
【0007】
本発明は上記課題を解決するためになされたもので、絶縁不良の発生がない、特性の良好な半導体装置とその製造方法を提供することを目的とする。また、特に、導電層をアルミニウムまたはアルミニウム合金から構成する場合には、該導電層にヒロックが発生するのを低減できる半導体装置とその製造方法を提供することを目的とする。また、導電層を銅または銅合金から構成する場合には、該導電層と下地膜との密着性を向上でき、しかもレジスト剥離液耐性を向上できる半導体装置とその製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる導電層にヒロックの発生を低減すべく、種々の検討及び実験を重ねた結果、上記導電層中にSiを特定の範囲の含有率で含有させることにより、ヒロックを低減できることを究明した。導電層中にSiを含有させる手段としては、アルミニウムまたはアルミニウム合金中にケイ素を添加したターゲットが備えられたスパッタ装置を用いて成膜する方法が考えられるが、Al−Si系ターゲットを組成を制御して作製するのは困難であるため、この方法は適用できない。
そこで、本発明者らは、さらに、種々の検討及び実験を重ねた結果、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなるターゲットを用い、該ターゲットに直流電力か第1の交流電力の少なくともどちらか一方を印加するとともに、該ターゲットに対し対向配置された基体に第2の交流電力を印加するスパッタ成膜法により成膜を行うことにより、ターゲットのみならず、基体側にもスパッタリング作用が生じ、基体に印加された第2の交流電力によりケイ素を含有する基体中のケイ素がスパッタされてアルミニウムまたはアルミニウム合金膜中に入るため、該ケイ素によりアルミニウムまたはアルミニウム合金の結晶粒度が制御されて、ヒロックを制御できることを究明し、本発明を完成したのである。
【0009】
また、本発明者は、銅または銅合金からなる導電層の剥離や、レジスト剥離液等により損傷を受けるのを防止すべく、種々の検討及び実験を重ねた結果、上記導電層中にSiを特定の範囲の含有率で含有させることにより、下地膜との密着性の向上ならびにレジスト剥離液耐性を向上できることを究明した。 導電層中にSiを含有させる手段としては、銅または銅合金からなるターゲットを用い、該ターゲットに直流電力か第1の交流電力の少なくともどちらか一方を印加するとともに、該ターゲットに対し対向配置された基体に第2の交流電力を印加するスパッタ成膜法により成膜を行うことにより、ターゲットのみならず、基体側にもスパッタリング作用が生じ、基体に印加された第2の交流電力によりケイ素を含有する基体中のケイ素がスパッタされて銅または銅合金膜中に入るため、下地膜との密着性の向上ならびにレジスト剥離液耐性を向上できることを究明し、本発明を完成したのである。
【0010】
すなわち、本発明は、ケイ素を含有する基体上に、アルミニウムまたはアルミニウム合金中にケイ素を0.01原子%以上1原子%以下の含有率で含有してなる導電層を有することを特徴とする半導体装置を上記課題の解決手段とした。
上記半導体装置において、上記導電層中のケイ素の含有率が0.01原子%未満であると、ヒロックの発生防止効果が小さくなってしまい、この導電層上に形成される絶縁層に破れが生じてしまい、一方、ケイ素の含有率が1原子%を超えると、ヒロックの発生防止効果の増大は期待できず、また、抵抗が大きくなり、導電性が悪くなってしまう。
上述のような構成の本発明の半導体装置においては、上記導電層中のケイ素の含有率が、ヒロックの発生数および大きさをより小さくでき、しかも、良好な導電性が得られる点で、0.02原子%以上0.2原子%以下の範囲とされることが好ましい。
本発明の半導体装置によれば、導電層をなすアルミニウムまたはアルミニウム合金膜中にケイ素が0.01原子%以上1原子%以下含有されたことにより、導電層の導電性を良好にしたままで該導電層にヒロックが発生するのを低減でき、上記導電層上に形成される絶縁層にヒロックに起因する破れが生じることを防止できるので、絶縁不良の発生がない、特性の良好な半導体装置を提供できる。
【0011】
本発明は、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなるターゲットを用い、該ターゲットに直流電力か第1の交流電力の少なくともどちらか一方を印加するとともに、該ターゲットに対し対向配置された基体に第2の交流電力を印加するスパッタ成膜法によりケイ素を含有した基体上にアルミニウムまたはアルミニウム合金膜を成膜することによって上記導電層を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法を上記課題の解決手段とした。
このような構成の本発明の半導体装置の製造方法においては、上記基体に印加する電力を0.5kW/m2ないし10kW/m2とすることが好ましい。上記基体に印加する電力が0.5kW/m2未満であると、得られる導電層中のSiの含有率が少なくなりすぎて、ヒロックの発生防止効果が小さくなってしまい、一方、印加する電力が10kW/m2を超えると、ヒロックの発生防止効果の増大は期待できず、また、得られる導電層中のSiの含有率が多くなりすぎて、電気抵抗が大きくなり、導電性が悪くなってしまうからである。
【0012】
本発明の半導体装置の製造方法にあっては、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなるターゲットに直流電力か第1の交流電力の少なくともどちらか一方を印加するとともに、ターゲットに対し対向配置されたケイ素を含有する基体に第2の交流電力を印加することにより、上記ケイ素を含有した基体上にアルミニウムまたはアルミニウム合金膜を成膜すると、上記基体に印加された第2の交流電力により該基体中のケイ素がスパッタされてアルミニウムまたはアルミニウム合金膜中に入るため、該ケイ素によりアルミニウムまたはアルミニウム合金の結晶粒度が制御されて、ヒロックを制御できる。
【0013】
また、本発明は、ケイ素を含有する基体上に、銅または銅合金中にケイ素を0.01原子%以上1原子%以下の含有率で含有してなる導電層を有することを特徴とする半導体装置を上記課題の解決手段とした。
上記半導体装置において、上記導電層中のケイ素の含有率が0.01原子%未満であると、導電層のレジスト剥離液耐性が低下したり、絶縁耐圧不良が生じてしまい、また、下地膜との密着性が低下してしまう。
一方、ケイ素の含有率が1原子%を超えると、導電層のレジスト剥離液耐性が低下し、絶縁耐圧不良が生じてしまい、また、得られる導電層中のSiの含有率が多くなり、これに伴って電気抵抗が大きくなり、低抵抗の銅又は銅合金からなる導電層を用いることによる動作速度の向上は期待できない。
上述のような構成の本発明の半導体装置においては、上記導電層中のケイ素の含有率が、0.02原子%以上0.2原子%以下の範囲とされることが下地膜との密着性を向上でき、しかも、レジスト剥離液耐性を向上でき、さらに電気抵抗が大きくならない点で好ましい。
本発明の半導体装置によれば、導電層をなす銅または銅合金膜中にケイ素が0.01原子%以上1原子%以下含有されたことにより、導電層と下地膜との密着性を向上でき、しかもレジスト剥離液耐性を向上でき、また、導電層をアルミニウムまたはアルミニウム合金から構成した場合よりも動作速度を向上でき、従って断線不良や絶縁耐圧不良の発生がない、特性の良好な半導体装置を提供できる。
【0014】
また、本発明は、銅または銅合金からなるターゲットを用い、該ターゲットに直流電力か第1の交流電力の少なくともどちらか一方を印加するとともに、該ターゲットに対し対向配置された基体に第2の交流電力を印加するスパッタ成膜法によりケイ素を含有した基体上に銅または銅合金膜を成膜することによって前記導電層を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法を上記課題の解決手段とした。
このような構成の本発明の半導体装置の製造方法においては、上記基体に印加する電力を0.5kW/m2ないし10kW /m2とすることが好ましい。
上記基体に印加する電力が0.5kW/m2未満であると、得られる導電層中のSiの含有率が少なくなりすぎて、下地膜との密着性が低下したり、導電層のレジスト剥離液耐性が低下したりして、断線不良や絶縁耐圧不良が生じてしまう。一方、印加する電力が10kW/m2を超えると、導電層のレジスト剥離液耐性が低下し、絶縁耐圧不良が生じてしまい、また、得られる導電層中のSiの含有率が多くなり、これに伴って電気抵抗が大きくなり、低抵抗の銅又は銅合金からなる導電層を用いることによる動作速度の向上は期待できないからである。
【0015】
本発明の半導体装置の製造方法にあっては、銅または銅合金からなるターゲットに直流電力か第1の交流電力の少なくともどちらか一方を印加するとともに、ターゲットに対し対向配置されたケイ素を含有する基体に第2の交流電力を印加することにより、上記ケイ素を含有した基体上に銅または銅合金膜を成膜すると、上記基体に印加された第2の交流電力により該基体中のケイ素がスパッタされて銅または銅合金膜中に入るため、導電層と下地膜との密着性を向上でき、しかもレジスト剥離液耐性を向上でき、また、導電層をアルミニウムまたはアルミニウム合金から構成した場合よりも動作速度を向上でき、従って断線不良や絶縁耐圧不良の発生がない、特性の良好な半導体装置を製造できる。
本発明においては、上記半導体装置が薄膜トランジスタ基板であることを特徴とするものであってもよい。
本発明においては、上記半導体装置が半導体集積装置であることを特徴とするものであってもよい。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の半導体装置およびその製造方法の一実施形態について説明する。
図3は、本発明の半導体装置の製造方法に好適に用いられる薄膜の製造装置の成膜室を示す概略構成図であり、図4は、薄膜の製造装置の全体構成を示す平面図であり、図5は、図4に示す薄膜の製造装置の一部を拡大した側面図である。
図3は、減圧可能な成膜室10を示し、この成膜室10は、図4に示すように搬送室11の側部にゲートバルブ12を介して接続されている。上記搬送室11の周囲には成膜室10の他に、ロータ゛ー室13とアンロータ゛ー室14とストッカーチャンバ15がそれぞれ搬送室11を囲むように接続され、搬送室11とその周囲の各室との間にはそれぞれゲートバルブ16、17、18が設けられている。以上の説明のように、成膜室10と搬送室11とロータ゛室13とアンロータ゛ー室14とストッカーチャンバ15により薄膜の製造装置A’が構成されている。
【0017】
上記成膜室10は、図3に示すように、その上部に第1の電極20が設けられ、第1の電極20の底面にターゲット21が着脱自在に装着されているとともに、成膜室10の底部には第2の電極22が設けられ、第2の電極22の上面にケイ素を含有する基体23が着脱自在に装着されている。
上記ターゲット21をなす材料としては、ゲート電極などの導電層を形成する場合、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金のうちから選択される材料が用いられ、n型a−Si層を形成する場合、n型a−Si生成用のPドープSiが用いられる。
上記基体23としては、薄膜トランジスタ基板を製造する場合にはガラス基体1を好適に用いることができ、半導体集積装置を製造する場合にはシリコン基体41を好適に用いることができる。なお、上記ターゲット21の装着には静電チャックなどの通常知られたターゲット装着機構を用いることができる。
上記第1の電極20は、導電性材料からなる母体20aとこの母体20aの表面に形成された保護層20bとから構成されている。この保護層20bは、塩素系などの腐食性ガスのプラズマに曝されても腐食しずらいような酸化膜、窒化膜あるいはフッ化膜などからなり、具体的には、SiO2、Si3N4、Al2O3、 Cr2O3、AlNなどからなる。
【0018】
そして、上記第1の電極20には第1の交流電源25が接続されるとともに、第1の電極20と第1の交流電源25との間には整合回路26が組み込まれていて、この整合回路26は高周波電力の反射波をゼロにする作用を奏する。また、第1の電極20には、インピーダンス調整用のローパスフィルタなどのバンドパスフィルタ27を介して直流電源28が接続されている。このバンドパスフィルタ27は、直流電源28に高周波が乗らないように回路のインピーダンスを無限大に調整するものである。
更に、上記第2の電極22にも第2の交流電源30が接続されるとともに、第2の電極22と第2の交流電源30の間には上記整合回路26と同様の作用を奏する整合回路31が組み込まれている。
なお、上記成膜室10には、真空引き用およびガス排気用の排気ユニット10a、成膜室10内への反応ガス供給機構10b等を含んでいるが図3では説明の簡略化のためにこれらを簡略化して記載した。
【0019】
次に、上記搬送室11には、リンク式の搬送機構(マジックハンド)33が設けられ、この搬送機構33は搬送室11の中心部に立設された支軸34を支点として回動自在に設けられ、ストッカーチャンバ15に配置されているカセット35からターゲット21を取り出して必要に応じて成膜室10に搬送し、成膜室10の第1の電極20にターゲット21を装着できるようになっている。
なお、上記カセット35にはダミーターゲット37も収納されていて、必要に応じてダミーターゲット37も成膜室10に搬送できるようになっている。
【0020】
次に、本発明の半導体装置の製造方法を図1に示したようなTFT基板の製造方法に適用した一実施形態について説明する。
図3乃至図5に示す薄膜の製造装置は、1つの成膜室10で1つ以上の薄膜(例えば、ゲート電極をなす導電層と、ゲート絶縁層と、a−Si層と、n型a−Si層、ソース電極をなす導電層と、ドレイン電極をなす導電層)を連続成膜することができる装置である。
即ち、成膜室10において、CVD成膜(ゲート絶縁層・a−Si層)とスパッタ成膜(n型a−Si層・ゲート電極・ソース電極・ドレイン電極の成膜)を電源を切り替えることにより行なうことができる。
まず、成膜室10と搬送室11とストッカーチャンバ15を減圧したならば、ゲートバルブ12と18を開放して搬送機構33によりダミーターゲット37を成膜室10の第1の電極20に、ガラス基体23を第2の電極22に装着する。この状態からゲートバルブ12を閉じたならば、以下の工程に準じて基体23上にゲート電極2などの薄膜を順次形成する。
【0021】
▲1▼基体23のクリーニング工程
ガラス基体23の表面や成膜室10の内壁面の異物や不純物あるいは酸化被膜などを除去する目的で成膜室10をAr+H2混合ガス雰囲気とし、第1の電極 20にSi、SiO2などからなるダミーターゲット37を上記の如く装着し、 第2の電極22にガラス基体23を装着し、第1の交流電源25から第1の電極20に周波数200MHz程度の高周波を供給し、第1の電極20の負荷電位をフローティングしてプラズマクリーニングを行なう。このプラズマクリーニングの場合は、第1の電極20に装着されたダミーターゲット37をスパッタしないように、供給する周波数を大きく設定し、ダミーターゲット37にかかるイオンエネルギーを小さくする。例えば、ガラス基体23にかかるイオンエネルギーを10〜20eVになるように第2の電極22にかかる電力を調整する。
【0022】
▲2▼ゲート電極(アルミニウム若しくはアルミニウム合金または銅若しくは銅合金膜)2のスパッタ成膜工程
成膜室10をArガス雰囲気とし、第1の電極20にアルミニウム若しくはアルミニウム合金または銅若しくは銅合金からなるターゲット21を装着し、直流電源28か第1の交流電源25の少なくともどちらか一方を作動させて第1の電力(直流電力と交流電力のうち少なくともどちらか一方)をターゲット21に印加するとともに第2の交流電源30を作動させて第2の交流電力をガラス基体23に印加するスパッタ法により、導電層のスパッタ成膜を行なう。この工程では、第一のターゲット21に印加する電力を10kW/m2〜30kW/m2程度とする。また、ガラス基体23に印加する電力を0.5kW/m2ないし10kW/m2とすることが好ましい。
ターゲット21としてアルミニウム若しくはアルミニウム合金からなるものを用いた場合、ガラス基体23に印加する電力が0.5kW/m2未満であると、得られるゲート電極2中のSiの含有率が少なくなりすぎて、ヒロックの発生防止効果が小さくなってしまい、一方、印加する電力が10kW/m2を超えると、ヒロックの発生防止効果の増大は期待できず、また、得られるゲート電極2中のSiの含有率が多くなりすぎて、抵抗が大きくなり、導電性が悪くなってしまうからである。
【0023】
ターゲット21として銅若しくは銅合金からなるものを用いた場合、ガラス基体23に印加する電力が0.5kW/m2未満であると、下地膜のガラス基体23との密着性が低下したり、得られるゲート電極2中のSiの含有率が少なくなりすぎて、ゲート電極2のレジスト剥離液耐性が低下したり、断線不良や絶縁耐圧不良が生じてしまう。一方、印加する電力が10kW/m2を超えると、ゲート電極2のレジスト剥離液耐性が低下し、絶縁耐圧不良が生じてしまい、また、得られるゲート電極2中のSiの含有率が多くなり、これに伴って電気抵抗が大きくなり、低抵抗の銅又は銅合金からなるゲート電極2を用いることによる動作速度の向上は期待できないからである。
【0024】
このようにして得られたゲート電極2が、従来の通常のスパッタ法により得られたものと異なるところは、アルミニウム若しくはアルミニウム合金または銅若しくは銅合金膜中にケイ素が0.01原子%以上1原子%以下含有されている点である。
ゲート電極2がアルミニウム若しくはアルミニウム合金からなる場合のゲート電極2中のケイ素の含有率が0.01原子%未満であると、ヒロックの発生防止効果が小さくなってしまい、後工程においてこのゲート電極2上に形成されるゲート絶縁層3に破れが生じてしまう。ゲート電極2中のケイ素の含有率が1原子%を超えると、ヒロックの発生防止効果の増大は期待できず、また、抵抗が大きくなり、導電性が低下してしまう。アルミニウム若しくはアルミニウム合金からなるゲート電極2中のケイ素の含有率は、ヒロックの発生数および大きさを小さくでき、しかも、導電性がさほど劣化しない点で、0.02原子%以上0.2原子%以下の範囲とすることが好ましい。
【0025】
ゲート電極2が銅若しくは銅合金からなる場合のゲート電極2中のケイ素の含有率が0.01原子%未満であると、ゲート電極2のレジスト剥離液耐性が低下したり、絶縁耐圧不良が生じてしまい、また、ガラス基体23との密着性が低下してしまう。一方、ケイ素の含有率が1原子%を超えると、ゲート電極2のレジスト剥離液耐性が低下し、絶縁耐圧不良が生じてしまい、また、得られるゲート電極2中のSiの含有率が多くなり、これに伴って電気抵抗が大きくなり、低抵抗の銅又は銅合金からなるゲート電極2を用いることによる動作速度の向上は期待できない。
銅若しくは銅合金からなるゲート電極2中のケイ素の含有率は、0.02原子%以上0.2原子%以下の範囲とされることがガラス基体23との密着性を向上でき、しかも、レジスト剥離液耐性を向上でき、さらには、導電性がさほど劣化しない点で好ましい。
【0026】
▲3▼ゲート絶縁層(窒化ケイ素膜)3のCVD成膜工程
成膜室10をSiH4+NH3+N2混合ガス雰囲気とし、第1の電極20にダ ミーターゲット37を装着し、第1の交流電源25から第1の電極20に周波数200MHzの高周波を供給し、負荷電位をフローティングしてプラズマを発生させて窒化ケイ素膜を基体23上に堆積させるCVD成膜を行なう。このCVD成膜の場合は、第1の電極20に装着されたダミーターゲット37をスパッタしないように供給する周波数を大きく設定し、第1の電極20にかかるイオンエネルギーを小さくするとともに、第2の電極22に高周波電力を供給し、基体23にかかるイオンエネルギーを制御する。
【0027】
▲4▼基体クリーニング工程
成膜室10をAr+H2混合ガス雰囲気とし、ダミーターゲット37はそのま まとして、第1の交流電源25から第1の電極20に周波数200MHz程度の高周波を供給し、負荷電位をフローティングすることにより、ゲート絶縁層3が形成された第1の基体23のプラズマクリーニングを行なう。このプラズマクリーニングの場合は、電極20に装着されたダミーターゲット37をスパッタしないように供給する周波数を大きく設定し、第1の電極20にかかるイオンエネルギーを小さくする。
【0028】
▲5▼半導体層(a−Si層)4のCVD成膜工程
成膜室10をSiH4+H2混合ガス雰囲気とし、第1の電極20にダミーターゲット37を装着したままで第1の交流電源25から第1の電極20に周波数200MHz程度の高周波を供給し、更に、第2の交流電源30から第2の電極22に高周波電力を供給し、ガラス基体23にかかるイオンエネルギーを制御してa−Si層の成膜を行なう。
【0029】
▲6▼n型a−Si層5のスパッタ成膜工程
成膜室10をArガス雰囲気とし、第1の電極20にn型a−Si生成用のPドープSiからなるターゲット21を装着し、第1の交流電源25から第1の電極20に周波数13.6MHz程度の高周波を供給し、更に直流電源28から負荷す る負荷電位を−200Vにしてスパッタリングを行ない、n型a−Si膜の成膜を行なう。この工程では、ターゲット36にかかるイオンエネルギーを大きくする必要がある。このため、供給する高周波の周波数を13.56MHz程度とす る。
【0030】
▲7▼ソース電極6及びドレイン電極7(アルミニウム若しくはアルミニウム合金又は銅若しくは銅合金膜)のスパッタ成膜工程
成膜室10をArガス雰囲気とし、第1の電極20にアルミニウム若しくはアルミニウム合金又は銅若しくは銅合金からなるターゲット21を装着し、直流電源28か第1の交流電源25の少なくともどちらか一方を作動させて第1の電力をターゲット21に印加するとともに第2の交流電源30を作動させて第2の交流電力をガラス基体23に印加するスパッタ法により、アルミニウム若しくはアルミニウム合金又は銅若しくは銅合金膜のスパッタ成膜を行なう。この工程では、第一のターゲット21に印加する電力を10kW/m2〜30kW/m2程度とする。
また、ガラス基体23に印加する電力は、上述のゲート電極2を成膜する場合とほぼ同様の理由から0.5kW/m2ないし10kW/m2とすることが好ましい。
【0031】
このようにして得られたソース電極6およびドレイン電極7が、従来の通常のスパッタ法により得られたものと異なるところは、アルミニウム若しくはアルミニウム合金又は銅若しくは銅合金膜中にケイ素が0.01原子%以上1原子%以下含有されている点である。
ソース電極6およびドレイン電極7がアルミニウム若しくはアルミニウム合金からなる場合の電極中のケイ素の含有率が0.01原子%未満であると、ヒロックの発生防止効果が小さくなってしまい、後工程においてこれらの上に形成されるパッシベーション膜に破れが生じてしまう。ソース電極6並びにドレイン電極7中のケイ素の含有率がそれぞれ1原子%を超えると、ヒロックの発生防止効果の増大は期待できず、また、抵抗が大きくなり、導電性が低下してまう。アルミニウム若しくはアルミニウム合金からなるソース電極6並びにドレイン電極7中のケイ素の含有率は、ヒロックの発生数および大きさをより小さくでき、しかも、導電性がさほど劣化しない点で、それぞれ0.02原子%以上0.2原子%以下の範囲とすることが好ましい。
【0032】
ソース電極6及びドレイン電極7が銅若しくは銅合金からなる場合の電極中のケイ素の含有率が0.01原子%未満であると、ソース電極6やドレイン電極7のレジスト剥離液耐性が低下したり、絶縁耐圧不良が生じてしまい、また、下地膜との密着性が低下してしまう。一方、ケイ素の含有率が1原子%を超えると、ソース電極6やドレイン電極7のレジスト剥離液耐性が低下し、絶縁耐圧不良が生じてしまい、また、得られるソース電極6やドレイン電極7中のSiの含有率が多くなり、これに伴って電気抵抗が大きくなり、低抵抗の銅又は銅合金からなるソース電極6及びドレイン電極7を用いることによる動作速度の向上は期待できない。
銅若しくは銅合金からなるソース電極6及びドレイン電極7中のケイ素の含有率は、それぞれ0.02原子%以上0.2原子%以下の範囲とされることが下地膜との密着性を向上でき、しかも、レジスト剥離液耐性を向上でき、さらには導電性がさほど劣化しない点で好ましい。
【0033】
なお、上述のスパッタ成膜時には、ターゲット21のスパッタリング効率を上げる目的で直流電源28から−100V以下の電位をかけることが好ましい。これに対して上記のCVD成膜においては、ダミーターゲット37をスパッタする必要はないので、−100V以下の電位を負荷する必要はない。
【0034】
ついで、形成したソース電極6およびドレイン電極7をマスクして、n型a−Si層5の一部を除去してn型a−Si層5を分割した後、CVD法などにより窒化ケイ素からなるパッシベーション膜(図示略)を形成することにより、図1と同様のTFT基板が得られる。
【0035】
実施形態のTFT基板において、導電層であるゲート電極2とソース電極6とドレイン電極7のそれぞれをなすアルミニウム若しくはアルミニウム合金膜中にケイ素が0.01原子%以上1原子%以下含有された場合にあっては、導電層の導電性を良好にしたままでゲート電極2とソース電極6とドレイン電極7にヒロックが発生するのを低減でき、これら電極上に形成されたゲート絶縁層3やパッシベーション膜などの絶縁層にヒロックに起因する破れが生じることを防止できるので、絶縁不良の発生がない、特性の良好なものである。
また、導電層であるゲート電極2とソース電極6とドレイン電極7のそれぞれをなす銅若しくは銅合金膜中にケイ素が0.01原子%以上1原子%以下含有された場合にあっては、導電層と下地膜との密着性を向上でき、しかもレジスト剥離液耐性を向上でき、また、導電層をアルミニウムまたはアルミニウム合金から構成した場合よりも動作速度を向上でき、従って断線不良や絶縁耐圧不良の発生がない、特性の優れた半導体装置を提供できる。
【0036】
上記実施形態においては、本発明の半導体装置およびその製造方法をTFT基板およびその製造方法に適用した場合について説明したが、アルミニウム若しくはアルミニウム合金又は銅若しくは銅合金からなる導電層を有する半導体集積装置やその製造方法に適用することができる。
例えば、図2に示すようなMOSトランジスタにおいては、ソース電極47、ドレイン電極48をなすアルミニウム若しくはアルミニウム合金又は銅若しくは銅合金膜中にそれぞれケイ素を0.01原子%以上1原子%以下の含有率で含有されるようにしてもよい。これらのソース電極47、ドレイン電極48などの導電層は、ガラス基板に代えてシリコン基板を用いる以外は上述のスパッタ成膜法と同様にして形成することができる。
このようなMOSトランジスタを備えた半導体集積装置において、導電層であるソース電極47、ドレイン電極48をなすアルミニウムまたはアルミニウム合金膜中にそれぞれケイ素が0.01原子%以上1原子%以下含有された場合にあっては、導電層の導電性を良好にしたままでソース電極47、ドレイン電極48にヒロックが発生するのを低減でき、これら電極上に形成されたゲート絶縁層43やパッシベーション膜などの絶縁層にヒロックに起因する破れが生じることを防止できるので、絶縁不良の発生がない、特性の良好なものである。
【0037】
また、上記のMOSトランジスタを備えた半導体集積装置において、導電層であるソース電極47、ドレイン電極48をなす銅または銅合金膜中にそれぞれケイ素が0.01原子%以上1原子%以下含有された場合にあっては、ソース電極47やドレイン電極48と、下地膜との密着性を向上でき、しかもレジスト剥離液耐性を向上でき、また、導電層をアルミニウムまたはアルミニウム合金から構成した場合よりも動作速度を向上でき、従って断線不良や絶縁耐圧不良の発生がない、特性の良好な半導体装置を提供できる。
【0038】
【実施例】
(実施例1)
図3ないし図5に示した薄膜の製造装置を用い、純度が99.9999%のアルミニウムからなるターゲット21に直流電力か第1の交流電力の少なくともどちらか一方を印加するとともに、該ターゲット21に対し対向配置されたガラス基体23に第2の交流電力を印加するスパッタ成膜法によりガラス基体23上に1000オングストロームのアルミニウム膜を成膜することにより、導電層を形成した。ここでの成膜条件は、直径314mmの円形のターゲット21に印加する電力を20kW/m2、1辺が6インチの正方形状のガラス基体23に印加する電力を1.25kW/m2に設定した。ここでターゲット21、ガラス基体23に印加する電力は、電力密度で規定したものであり、それぞれ、第1の電極20の面積0.1m2、第2の電極22の面積0.04m2でそれぞれの印加電力(W)を割ったものである。
【0039】
(比較例1)
図3ないし図5に示した薄膜の製造装置を用い、純度が99.9999%のアルミニウムからなるターゲット21に直流電力を印加する通常のDCスパッタ成膜法により、1辺6インチのガラス基体23上にアルミニウム膜を成膜することにより、導電層を形成した。
ここでの成膜条件は、ターゲット21に印加する電力を20kW/m2に設定 した。
【0040】
図6に、実施例1で得られたアルミニウム膜中の成分についてSIMS分析法(二次イオン質量分析法)により調べた結果を示す。また、図7に比較例1で得られたアルミニウム膜中の成分についてSIMS分析法により調べた結果を示す。
なお、図6、図7中、28Si+、30Si+、40Ar+Ca、56Fe+Si2、54Al2+、42Ca+SiSi2、58Ni+Si2、62Ni+SiO2 、36Ar+は、検出される二次イオンとその質量数を表す。なお、SIMS分析による28Si+(質量数28のSi+)の強度(濃度)が1×102以下の範囲は、28Si+が含有されていないものとみなされる(グラウンドレベル)。
図6〜図7に示した結果から明らかなように比較例1で得られたアルミニウム膜中の28Si+の濃度はノイズレベルの1×102程度であり、アルミニウム膜 中にSiが殆ど含有されていないことがわかる。これに対して実施例1で得られたアルミニウム膜中の28Si+の濃度は5×102程度であり、アルミニウム膜 中に明らかにSiが含有されていることがわかる。
【0041】
基体にかける電力を変更する以外は実施例1と同様にしてガラス基体23上にアルミニウム膜を成膜したときの、アルミニウム膜中のSiの含有率と、ヒロックの発生数と、抵抗値と、アルミニウムの結晶の粒度のガラス基体にかける電力依存性を調べた結果を図8に示す。
図8に示した結果から明らかなようにガラス基体にかける電力を大きくするにつれてアルミニウムの結晶の粒度が小さくなっており、また、アルミニウム膜の抵抗値も大きくなっており、アルミニウム膜中のSiの含有率も多くなっていることがわかる。また、ガラス基体にかける電力が30W(0.75kW/m2)〜200W(5.0kW/m2)の範囲では、Siの含有率が0.02at%〜0.2at%となって おり、また、このときのヒロックの発生数は2×105個/cm2以下と少なくなっており、抵抗値も導電性に殆ど影響のない3.6Ω・cm以下であることがわかる。
【0042】
(実施例2)
ターゲット21として銅からなるものを用いた以外は、実施例1と同様にしてガラス基体23上にCu膜を成膜することにより導電層を形成し、試料とした。ここでの成膜条件は、直径314mmの円形のターゲット21に印加する電力を20kW/m2、1辺6インチの正方形状のガラス基体23に印加する電力を5.0kW/m2に設定した。ついで、導電層の表面にフォトレジストを塗布した後、有機アミン系レジスト剥離液(東京応化工業株式会社製の剥離液#106に5分間浸漬し、これらを剥離液から取り出し、リンス洗浄、乾燥させた。
レジスト剥離液浸漬前と浸漬後の実施例2の導電層の状態を原子力間顕微鏡(AFM)により観察した。その結果を図9から図10に示す。図9は、レジスト剥離液浸漬前の実施例2の導電層表面の金属組織を示す写真であり、図10はレジスト剥離液浸漬後の実施例2の導電層表面の金属組織を示す写真である。
【0043】
(比較例2)
ターゲット21としてCuからなるものを用いた以外は、比較例1と同様にしてガラス基体23上にCu膜を成膜することにより、導電層を形成した。
ここでの成膜条件は、ターゲット21に印加する電力を20kW/m2に設定 した。ついで、導電層の表面にフォトレジストを塗布した後、有機アミン系レジスト剥離液(東京応化工業株式会社製の剥離液#106に5分間浸漬し、これらを剥離液から取り出し、リンス洗浄、乾燥させた。
【0044】
レジスト剥離液浸漬前後の比較例2の導電層表面の状態を原子力間顕微鏡(AFM)により観察した。その結果を図11から図12に示す。図11は、レジスト剥離液浸漬前の比較例2の導電層表面の金属組織を示す写真であり、図12はレジスト剥離液浸漬後の比較例2の導電層表面の金属組織を示す写真である。
図9乃至図12に示した結果から明らかなように比較例2のものは、レジスト剥離液浸漬前後の導電層表面の状態が大きく変化しており、レジスト剥離液により大きなダメージを受けていることがわかる。これに対して実施例2のものは、レジスト剥離液浸漬前後の導電層表面の状態があまり変化しておらず、比較例2のものに比べてレジスト剥離液耐性が優れていることがわかる。
【0045】
(実験例)
ターゲット21として銅からなるものを用いた以外は、実施例1と同様にしてガラス基体23上にCu膜を成膜することにより導電層を形成し、試料とした。ここでの成膜条件は、厚さ1000オングストローム、直径314mmの円形のターゲット21に印加する電力を20kW/m2と一定とし、また、1辺6インチの正方形状のガラス基体23に印加する電力は0〜15kW/m2の範囲で変更した。
図13に、ガラス基体に印加する電力と、試料のCu膜中のSi濃度との関係をSIMS分析法(二次イオン質量分析法)により調べた結果を示す。
図13に示した結果から明らかなようにガラス基体23に印加する電力を0kW/m2とした場合は、Cu膜(比較例3)中のSi濃度はノイズレベルの1018cm−3程度であり、Cu膜中にSiが殆ど含有されていないことがわかる。これに対してガラス基体23に印加する電力を1.25〜5.0kW/m2とした場合は、Cu膜(実施例3〜4)中のSi濃度は約4×1018cm−3以上であり、Cu膜中に明らかにSiが含有されており、また、印加電力を大きくすることにより、Cu膜中のSi濃度が大きいことが分かる。
【0046】
また、得られた試料のレジスト剥離液に対するレジスト剥離液耐性と、絶縁耐圧と、Cu膜の下地との密着性について評価した。
ここでのレジスト剥離液耐性は、試料のCu膜の表面にフォトレジストを塗布した後、有機アミン系レジスト剥離液(東京応化工業株式会社製の剥離液#106に5分間浸漬し、ついで、試料を剥離液から取り出し、リンス洗浄、乾燥した後のCu膜表面を原子力間顕微鏡(AFM)により観察した。その結果を下記表1に示す。表1のレジスト剥離液耐性の欄の◎は、剥離液によりダメージを受けなかったもの、○は配線幅(5μm)の範囲内での小さなダメージを受けたもの、×は配線幅(5μm)を超える大きいダメージを受けたものを表す。
また、絶縁耐圧については、上述の方法と同様にして作製した1000オングストロームのCu膜上に3000オングストロームのSiNxからなる絶縁層をCVD法により形成したものを試料(1mm角)とし、該試料の絶縁層上に電極を配置し、該電極と上記Cu膜間に電圧を印加し、絶縁破壊したときの電圧を層間絶縁膜(SiNxからなる絶縁層)の耐圧値した。その結果を下記表1に合わせて示す。表1の絶縁耐圧の欄の○は、耐圧値が200V以上であり、絶縁耐圧が良好であるもの、×は耐圧値が150V未満であり、絶縁耐圧が不良であるものを表す。
また、Cu膜の下地との密着性は、Cu膜と下地のガラス基体との密着性について調べた。その結果を表1に合わせて示す。表1の下地との密着性の欄の○は、Cu膜とガラス基体との密着性が良好であり、実用上問題のなかったもの、×はCu膜とガラス基体との密着性が不良であり、実用上問題のあったものを示す。
なお、ガラス基体23に印加する電圧を0〜15kW/m2の範囲で変化させたときのCu膜中のSi含有量(原子%)と、Cu膜の比抵抗を表1に合わせて示す。
【0047】
【表1】
【0048】
表1に示した結果からガラス基体に印加する電圧が0.00kW/m2とするとCu膜中にSiが殆ど含まれておらず、レジスト剥離耐性および絶縁耐圧が不良であることがわかる。また、ガラス基体に印加する電圧が15kW/m2とするとCu膜中のSiが3.0原子%と多く含まれており、レジスト剥離耐性および絶縁耐性が不良であることがわかる。
これに対してガラス基体に印加する電圧が0.05から10kW/m2とすると、Cu膜中にSiが0.01から1原子%含有されており、レジスト剥離液耐性および絶縁耐圧が良好であり、特にガラス基体に印加する電圧が0.75から5.00kW/m2とすると、レジスト剥離液耐性が優れていることがわかる。
【0049】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の半導体装置にあっては、導電層をなすアルミニウム若しくはアルミニウム合金又はCu若しくはCu合金中にケイ素が0.01原子%以上1原子%以下含有されたことにより、絶縁不良の発生がない、特性の良好な半導体装置を提供できるという利点がある。
また、特に、導電層をなすアルミニウム若しくはアルミニウム合金中にケイ素が0.01原子%以上1原子%以下含有された場合にあっては、導電層の導電性を良好にしたままで該導電層にヒロックが発生するのを低減でき、上記導電層上に形成される絶縁層にヒロックに起因する破れが生じることを防止できるので、絶縁不良の発生がない、特性の良好な半導体装置を提供できるという利点がある。
また、特に、導電層をなす銅若しくは銅合金膜中にケイ素が0.01原子%以上1原子%以下含有された場合にあっては、導電層と下地膜との密着性を向上でき、しかもレジスト剥離液耐性を向上でき、また、導電層をアルミニウムまたはアルミニウム合金から構成した場合よりも動作速度を向上でき、従って断線不良や絶縁耐圧不良の発生がない、特性の優れた半導体装置を提供できる。
【0050】
本発明の半導体装置の製造方法にあっては、アルミニウム若しくはアルミニウム合金又はCu若しくはCu合金からなるターゲットに直流電力か第1の交流電力の少なくともいずれか一方を印加するとともに、ターゲットに対し対向配置されたケイ素を含有する基体に第2の交流電力を印加して、上記ケイ素を含有する基体上にアルミニウム若しくはアルミニウム合金膜又はCu若しくはCu合金膜を成膜すると、上記ケイ素を含有する基体に印加された第2の交流電力により該基体中のケイ素がスパッタされてアルミニウム若しくはアルミニウム合金又はCu若しくはCu合金膜中に入る。従って、ケイ素を含有する基体上にアルミニウム若しくはアルミニウム合金膜を成膜した場合には、該膜に入ったケイ素によりアルミニウム若しくはアルミニウム合金の結晶粒度が制御されて、ヒロックを制御できる。また、ケイ素を含有する基体上にCu若しくはCu合金膜を成膜した場合には、導電層と下地膜との密着性を向上でき、しかもレジスト剥離液耐性を向上でき、また、導電層をアルミニウムまたはアルミニウム合金から構成した場合よりも動作速度を向上でき、従って断線不良や絶縁耐圧不良の発生がない、特性の良好な半導体装置を製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の半導体装置が適用される薄膜トランジスタ基板の要部を示す断面図である。
【図2】本発明の半導体装置が適用される半導体集積装置を構成するMOSトランジスタの断面を含む要部を示す斜視図である。
【図3】本発明の半導体装置の製造方法に好適に用いられる薄膜の製造装置の成膜室を示す構成図である。
【図4】本発明の半導体装置の製造方法に好適に用いられる薄膜の製造装置の全体構成を示す平面図である。
【図5】図4に示す薄膜の製造装置の一部を拡大した側面図である。
【図6】実施例1で得られたアルミニウム膜中の成分についてSIMS分析法により調べた結果を示すグラフである。
【図7】比較例1で得られたアルミニウム膜中の成分についてSIMS分析法により調べた結果を示すグラフである。
【図8】アルミニウム膜中のSiの含有率と、ヒロックの発生数と、抵抗値と、アルミニウムの結晶の粒度のガラス基体にかける電力依存性を示すグラフである。
【図9】レジスト剥離液浸漬前の実施例2の導電層表面の金属組織を示す写真である。
【図10】レジスト剥離液浸漬後の実施例2の導電層表面の金属組織を示す写真である。
【図11】レジスト剥離液浸漬前の比較例2の導電層表面の金属組織を示す写真である。
【図12】レジスト剥離液浸漬後の比較例2の導電層表面の金属組織を示す写真である。
【図13】ガラス基体に印加する電力と、試料のCu膜中のSi濃度との関係をSIMS分析法(二次イオン質量分析法)により調べた結果を示すグラフである。
【符号の説明】
1・・・ガラス基体(ケイ素を含有する基体)、2・・・ゲート電極(導電層)、6・・・ソース電極(導電層)、7・・・ドレイン電極(導電層)、20・・・第1の電 極、21・・・ターゲット、22・・・第2の電極、23・・・ケイ素を含有する基体、 25・・・第1の交流電源、30・・・第2の交流電源、41・・・シリコン基体(ケイ素を含有 する基体)、42・・・ゲート電極(導電層)、47・・・ソース電極(導電層)、48・・・ドレイン電極(導電層)。
Claims (7)
- ケイ素を含有する基体上に、アルミニウムまたはアルミニウム合金中にケイ素を0.01原子%以上1原子%以下の含有率で含有してなる導電層を有する半導体装置の製造方法であって、
アルミニウムまたはアルミニウム合金からなるターゲットを用い、該ターゲットに直流電力か第1の交流電力の少なくともどちらか一方を印加するとともに、該ターゲットに対し対向配置された基体に第2の交流電力として0.5kW/m 2 ないし10kW /m 2 の交流電力を印加するスパッタ成膜法によりケイ素を含有した基体上にアルミニウムまたはアルミニウム合金膜を成膜することによって前記導電層を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。 - ケイ素を含有する基体上に、銅または銅合金中にケイ素を0.01原子%以上1原子%以下の含有率で含有してなる導電層を有する半導体装置の製造方法であって、
銅または銅合金からなるターゲットを用い、該ターゲットに直流電流か第1の交流電力の少なくともどちらか一方を印加するとともに、該ターゲットに対し対向配置された基体に第2の交流電力として0.5kW/m 2 ないし10kW /m 2 の交流電力を印加するスパッタ成膜法によりケイ素を含有した基体上に銅または銅合金膜を成膜することによって前記導電層を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。 - 前記導電層中のケイ素の含有率が0.02原子%以上0.2原子%以下の範囲であることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置の製造方法。
- 前記ターゲットは、純度が99.9999%のアルミニウムからなるものである請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
- 前記ターゲットに印加する電力を10kW/m 2 〜30kW /m 2 にする請求項1又は2に記載の半導体装置の製造方法。
- 前記半導体装置が薄膜トランジスタ基板であることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置の製造方法。
- 前記半導体装置が半導体集積装置であることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置の製造方法。
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