JP3616569B2 - 一つ又はそれ以上の電気接点を持つ細長い可撓性部材 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、全体として医療装置の分野に関し、更に詳細には、本発明は、一つ又はそれ以上の電気接点を持つ医療用ガイドワイヤやカテーテル等の細長い可撓性部材に関する。
【０００２】
【従来の技術】
医療の用途で使用される、電気装置（例えば圧力センサ、超音波トランスジューサ、圧力−流れ計測装置、等）を備えたガイドワイヤやカテーテル等の細長い可撓性部材に、一つ又はそれ以上の電気接点を、代表的には部材の基端と近接して設ける必要がある。電気接点により、細長い可撓性部材に設けられた電気装置、例えば圧力センサを、外部監視装置に相互接続できる。
【０００３】
現在、０．４５７４ｍｍ（０．０１８インチ）程度又はそれ以下の直径を持つガイドワイヤ等の細長い可撓性部材上で小さな電気接点を製造するのには或る程度の困難がある。図１には、圧力センサ１１０の形態の電気装置が先端の近くに配置された従来技術のガイドワイヤ１００が示してある。圧力ガイドワイヤ１００は、絶縁体バンド（スペーサ）１１６によって分離された複数の電気接点１０４を含み、前記絶縁体バンドは、圧力ガイドワイヤ１００の基端１０２の近くに配置された円筒形コネクタを形成するのを補助する。これらの電気接点１０４は圧力センサ１１０に電気的に相互接続されており、圧力センサを外部監視装置に接続できる。
【０００４】
圧力ガイドワイヤ１００は、代表的にはステンレス鋼製のハイポチューブ（皮下チューブ）１０６とも呼ばれるシャフト、圧力センサ１１０の一方の側部に配置された可撓性コイル部材１０８、圧力センサ１１０の他方の側部に配置された放射線不透過性コイル１１２、及びチップ１１４を更に含む。圧力センサ１１０は、可撓性コイル１０８及びシャフト１０６の内側を通って延びる複数の電気導体（図示せず）を介して接点１０４に電気的に相互接続されている。
【０００５】
接点１０４が形成する円筒形ガイドワイヤコネクタは、図２に示す雌コネクタ２００に相互接続されている。圧力ワイヤ１００の基端１０２を、接点１０４がスイベルヘッド２０４の内側に配置された対応する接点に電気的に接続されるように、コネクタ２００のノーズ区分２０６に挿入する。コネクタ２００の他端には、適当な監視装置、この場合には圧力モニター（図示せず）に相互接続するピンプラグ２０２が設けられている。使用に当たっては、検査が行われる脈管に沿った特定の位置で圧力を計測するため、圧力ワイヤ１００の先端を患者の脈管（例えば動脈）に挿入する。
【０００６】
圧力ガイドワイヤ１００の一つの問題点は、個々の電気接点１０４をガイドワイヤと一体化させるのが非常に困難であり、費用がかかるということである。接点１０４は、非導電性スペーサ１１６によって離間された個々の金属製バンドである。製造中、圧力センサ１１０に取り付けられた適当な電気導体（図示せず、例えば電気ワイヤ）に個々の接点１０４の各々をはんだ付けしなければならない 適当な電気導体を対応する接点１０４にはんだ付けし又は溶接した後、個々の接点の各々をガイドワイヤ１００の残りに接着剤で結合しなければならない。更に、スペーサ１１６を隣接した接点１０４に個々に挿入して結合しなければならない。スペーサ１１６及び接点１０４を結合することにより、これらを互いに結合する接着剤が接合部間からしみ出て、ガイドワイヤ１００の基端の外部分から除去しなければならないという別の問題点が生じる。小径のガイドワイヤ１００を提供する場合、これらの時間のかかる工程の全てを組み立て工員が顕微鏡を使用して行わなければならない。これは、製造上の過誤が生じる可能性を更に大きくする。
【０００７】
特定の接点１０４又はスペーサ１１６の結合不良により、接点１０４又はスペーサ１１６がアッセンブリが残りから分離してしまうという問題点が生じる場合がある。製造上の別の問題点は、圧力センサ１１０からの電気導体を個々の接点１０４に相互接続するはんだ付け部で生じる。電気導体を接点１０４の内側面にはんだ付けしなければならない場合、接点をはんだ付け工具ではんだ付けする空間が非常に小さく、かくして、製造中に不良なはんだ付け接合部が形成されてしまう。
【０００８】
【発明が解決しようとする課題】
かくして、当該技術分野において、上述の従来技術と関連した問題点を解決できる接点アッセンブリが必要とされている。
【０００９】
【発明の実施の形態】
次に、添付図面のうち特に図３を参照すると、この図には、基材３０２及び三つの導電性バンド３０４、３０６、及び３０８を含む実質的に円筒形の電気コネクタ３００等の回路担体（基材）が示してある。電気コネクタ３００は、好ましい実施例では、「可撓性」回路すなわち可撓性回路基板３０２から形成され、これは、好ましくはデュポン社が製造しているカプトン（カプトン（ＫＡＰＴＯＮ）は登録商標である）等のポリイミド又は当該技術分野で使用されている他の可撓性材料から製造されている。基材３０２は、比較的小さな曲率半径で再成形できるような厚さを備えていなければならない。可撓性回路の厚さは、例えば、２５μｍ程度又はそれ以下であるのがよい。
【００１０】
回路基板３０２は、好ましくは延長部分３１０を含み、バンド３０４、３０６、及び３０８に相互連結される平行なランナー３１２、３１４、及び３１６用の末端箇所を提供する。ランナー３１２、３１４、及び３１６のピッチは、０．０５０８ｍｍ乃至０．１０１６ｍｍ（０．００２インチ乃至０．００４インチ）程度である。このピッチは、細長い可撓性部材の長さに沿って電気装置（例えば圧力センサ等）まで延びる電気ワイヤ群に回路を連結（ｉｎｔｅｒｆａｃｅ）するために必要とされる。ガイドワイヤが小さな断面径を有するため、ワイヤは細くなければならず、及び従って互いに近接している。理想的には、ランナー３１２、３１４、及び３１６のピッチはワイヤのピッチと一致し、そのため、ワイヤを可撓性回路に結合するとき、ワイヤを拡げる必要がなく、アッセンブリは細長い可撓性部材の輪郭内に収まる。ワイヤから絶縁体を除去し、はんだ付けや溶接等の従来の手段で取り付ける。
【００１１】
図４には可撓性回路基板３００がトリフィラー（ｔｒｉｆｉｌａｒ）としても周知のケーブルの形態の三つの電気導体４０２に取り付けられた状態で示してある。バンドの各々は、はんだ付け、溶接、又は別の周知の取り付け技術によって取り付けられた対応する電気導体を有する。
【００１２】
図５には、実質的に円筒形をなすように折畳んだ図４のアッセンブリが示してある。この状態では、可撓性回路基板３００の端部がランナー３１２、３１４、及び３１６上を通るように僅かに重なっている。重なりにより、バンド３０４、３０６、及び３０８を整合状態に維持する。次いで、電気コネクタ３００が実質的に円筒形の状態のままであるようにするため、多くの従来の接着剤のうちの任意の接着剤を使用して可撓性回路基板の端部を結合する。メタライゼーションバンド３０４、３０６、及び３０８は、結合時に、コネクタ３００の周囲に亘って延びる三つの平行な円筒形バンドを形成する。代わりに、他の設計では、バンド３０４、３０６、及び３０８は、コネクタ３００の全周に亘って延びていなくてもよい。
【００１３】
図６では、電気コネクタ３００及びケーブル４０２がコアワイヤ６０２（一部だけを示す）に取り付けられた状態で示してある。コアワイヤは、圧力ガイドワイヤ１００用のバックボーンを形成する。電気コネクタ３００は、コアワイヤ６０２の基端６０６から所定距離６０４のところに取り付けられる。可撓性回路３００は、電気コネクタ３００を固定し且つ硬く（ｓｔｉｆｆｅｎ）するため、コアワイヤ６０２と可撓性回路基板３００の内面との間が接着剤で充填される。
【００１４】
図７には、図６の部分ガイドワイヤアッセンブリが、電気コネクタ３００に取り付けられたシャフト即ちハイポチューブ７０４（シャフト１０６と同様）とともに示してある。電気コネクタ３００は、ポリウレタン及びオリゴマーの混合物等の多くの接着剤のうちの一つを使用してハイポチューブ７０４に取り付けることができる。ハイポチューブ７０４には任意の窓７０２が設けられており、この窓により、ハイポチューブ及び電気コネクタ３００を嵌着した後、絶縁された電気導体４０２のはんだ付けを行うことができる。任意の窓７０２が使用される場合、窓を基材３０２の延長部分３１０と整合させる（実質的に位置合わせするとも言う）。ひとたび電気導体４０２を電気コネクタ３００にはんだ付けした後、窓７０２をエポキシ等の絶縁性「充填」接着剤で覆う。図７のＡ−Ａ線に沿った断面図を図８に示す。電気コネクタ３００は、エポキシ８０２等の非導電性接着剤を使用してコアワイヤ６０２に取り付けられている。エポキシは、可撓性回路基板をコアワイヤ６０２に取り付けるのに役立つばかりでなく、この実施例で使用された可撓性回路基板を補強するのを補助する裏打ち材料を提供する。コアワイヤ６０２と電気コネクタ３００の内面との間の領域は、電気コネクタ３００を補強するため、好ましくは、接着剤又は他の充填剤で充填される。
【００１５】
本発明の電気コネクタの変形例を図９に示す。図５に示すように可撓性基材３０２の端部を重ねる代わりに、可撓性基材３０２の端部分９０１及び９０２を接着剤を使用して互いに実質的に面一に結合する。この実施例では、図５に示す片側タイプの実施例と比較すると、可撓性基材の端部を重ねる必要はない。これは、この実施例では、可撓性基材３０２が両側タイプの回路基板設計であるためである。導電性バンド９１４が第１表面上に配置されており、対応するランナー９０６が第２表面９１２上に配置されている。バンド９１４及びランナー９０６は、通過バイアス９０４を使用して相互連結されている。
【００１６】
図１０には、本発明による圧力ガイドワイヤ１０００が示してある。圧力ガイドワイヤ１０００は、幾つかの個々の導電性バンド１０４及び絶縁性スペーサ１１６を使用する代わりに、本発明の電気コネクタ３００を使用する。本発明の電気コネクタ３００を使用することによって、圧力ガイドワイヤ１０００の製造に要する時間が減少する。更に、個々のバンド１０４及びスペーサ１１６が圧力ガイドワイヤアッセンブリの残りから外れてしまうという、従来技術のガイドワイヤ１００で見られたような問題点がなくなる。
【００１７】
本発明の変形例では、図３に示す平らな可撓性基材３０２の代わりにチューブ状部材又は基材１１００を開始点として使用する。好ましくは、チューブ状部材１１００は、延長部分３１０と同様の延長部分１１０２を含む。図１２では、スパッタリング等の従来のメタライゼーション技術を使用して円筒形バンド１２０２、１２０４、１２０６、及びランナー１２０８、１２１０、及び１２１２を追加する。電気コネクタ１２００の外側面にメタライゼーションを施すために他の周知のメタライゼーション技術を使用できる。
【００１８】
チューブ状部材の長さに沿って非メタライズド領域１２１４が残してある。非メタライズド領域は、チューブ状部材をその全長に沿って切断する領域である。ひとたび切断した後、三つのランナー１２０８、１２１０、及び１２１２を覆うようにチューブ状部材の端部を重ねる。ひとたび図１３に示すように重ねると、可撓性コネクタの外側面は、実質的に円筒形の三つの金属バンド１２０２、１２０４、及び１２０６を備える。重なった端部を互いに結合し、重なった状態を固定する。
【００１９】
電気コネクタケーブル１３０２が延長部１１０２のところでランナー１２０８、１２１０、及び１２１２に取り付けられる。チューブ状部材１１００は、メタライゼーションを施し易くできるポリイミドチューブ等の多くの材料から形成できる。図３に示す実施例は、開始点が平らな基材であるため、可撓性回路基材を必要とするけれども、チューブ状部材１１００は、所望である場合には、半剛性材料又は剛性材料から形成できる。これは、部材の外面にメタライゼーションを施す前に部材が既に実質的に円筒形の状態であるためである。
【００２０】
本発明は、心血管ガイドワイヤ１０００等の細長い可撓性部材上に電気コネクタを形成する完全に新しい方法を提供する。本発明は、多くの接続必要条件を満たす単一の部材でこれを行う。更に、設計が簡単であるため、組み立てを迅速に且つ効果的に行うことができ、機械で行うことができる自動プロセスに適合できる。更に従来技術と比較して部品価格も減少する。
【００２１】
単基材設計は、平らな基材３０２を使用する場合には標準的な光リソグラフ技術、チューブ状基材１１００を開始点として使用する場合にはスパッタリング等の標準的なメタライゼーション技術を使用して大量生産できる。本発明は、更に、従来の複雑な組み立て工程の多くをなくす。更に、本発明により、ガイドワイヤ１０００の完成前に、電気装置（例えば圧力センサ、流れセンサ、等）及び電気導体３００を取り付けることができ且つ試験できる。
【００２２】
本発明を特定の実施例と関連して説明したが、多くの変更、変形、入れ換え、及び変化は、以上の説明から当業者に明らかである。例えば、本発明では、好ましい実施例を圧力ガイドワイヤとして説明したが、冠状脈管領域の診断及び治療に使用されているような他の細長い可撓性部材でも本発明の利点を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】従来技術の圧力ガイドワイヤの図である。
【図２】図１のガイドワイヤをモニター装置に相互連結する従来技術のコネクタの図である。
【図３】ロール状に巻いて実質的に円筒形形状にする前の本発明の好ましい実施例による電気コネクタの図である。
【図４】本発明に従って複数の電気導体に相互連結された図３の電気コネクタの図である。
【図５】ロール状に巻いた形態の図４のアッセンブリの図である。
【図６】コアワイヤの一部に取り付けた図５のロール状に巻いたアッセンブリを示す図である。
【図７】本発明に従ってシャフトを電気コネクタに取り付けた図６のアッセンブリの図である。
【図８】図７の断面図である。
【図９】電気コネクタの変形例の図である。
【図１０】本発明による圧力ガイドワイヤの図である。
【図１１】チューブ状基材を使用して電気コネクタを形成した変形例の図である。
【図１２】外面にメタライゼーションを施した後の図１１のチューブ状部材の図である。
【図１３】切断して重ねた後の図１２のチューブ状部材の図である。
【符号の説明】
３００ 電気コネクタ
３０２ 基材
３０４、３０６、３０８ 導電性バンド
３１２、３１４、３１６ ランナー
４０２ 電気導体

Claims (16)

1. 人間や動物に挿入するための細長い可撓性部材において、
   電気装置、
   電気導体、及び
   実質的に平らな可撓性基材を折り曲げて、実質的に円筒形のコネクタに形成され、少なくとも一つの導電性バンドが外面に設けられた回路担体であって、前記導電性バンドは前記電気装置の外部モニター装置に電気的に接続され、少なくとも一つのランナーが前記少なくとも一つの導電性バンドに電気的に接続された、前記回路担体、を備え、
   前記電気導体は前記電気装置を前記少なくとも一つのランナーに電気的に接続し、前記電気装置を前記少なくとも一つの実質的に円筒形の導電性バンドに電気的に接続する、細長い可撓性部材。
2. 請求項１に記載の細長い可撓性部材において、 前記電気装置は圧力センサであり、前記細長い可撓性部材は圧力ガイドワイヤを形成する、細長い可撓性部材。
3. 請求項１に記載の細長い可撓性部材において、 前記電気装置は流れセンサであり、前記細長い可撓性部材は流れガイドワイヤを形成する、細長い可撓性部材。
4. 請求項１に記載の細長い可撓性部材において、 前記電気装置は超音波トランスジューサであり、前記細長い可撓性部材は血管内超音波ガイドワイヤである、細長い可撓性部材。
5. 請求項１に記載の細長い可撓性部材において、 前記回路担体は実質的に平らな可撓性基材から形成されており、この基材は実質的に円筒形形状に形成される、細長い可撓性部材。
6. 請求項１に記載の細長い可撓性部材において、 前記回路担体はチューブ状部材から形成されており、前記チューブ状部材にメタライズを施して少なくとも一つの実質的に円筒形の導電性バンドを形成する、細長い可撓性部材。
7. 請求項１に記載の細長い可撓性部材において、 前記回路担体は、前記電気導体を受け入れる延長部分を更に含む、細長い可撓性部材。
8. 心血管ガイドワイヤにおいて、
   基端及び先端を持つコアワイヤ、
   前記コアワイヤの先端と近接して配置された電気装置、
   実質的に平らな可撓性基材を折り曲げて、実質的に円筒形のコネクタに形成され、前記コアワイヤの前記基端の近くで前記コアワイヤの周囲に取り付けられた実質的に円筒形の電気コネクタであって、前記電気装置の外部モニター装置に電気的に接続された少なくとも一つの導電性バンドと、前記少なくとも一つの導電性バンドに電気的に接続された少なくとも一つのランナーとを有する、前記電気コネクタ、
   前記電気装置を前記少なくとも一つのランナーに電気的に接続して、前記電気装置を前記少なくとも一つの実質的に円筒形の導電性バンドに電気的に接続する電気導体、を備える、心血管ガイドワイヤ。
9. 請求項８に記載の心血管ガイドワイヤにおいて、 前記電気コネクタに連結されたハイポチューブを更に含み、前記電気導体は前記ハイポチューブの内側を延びる、心血管ガイドワイヤ。
10. 請求項８に記載の心血管ガイドワイヤにおいて、 前記実質的に円筒形の電気コネクタは実質的に平らな可撓性基材から形成され、この基材を折り曲げて重ね、実質的に円筒形のコネクタを形成する、心血管ガイドワイヤ。
11. 請求項８に記載の心血管ガイドワイヤにおいて、 前記実質的に円筒形のコネクタは、第１及び第２の端部分を持つ実質的に平らな可撓性基材から形成され、実質的に円筒形のコネクタを形成するため、前記実質的に平らな可撓性基材を折り曲げ、その第１及び第２の端部分を互いに面一に結合する、心血管ガイドワイヤ。
12. 請求項８に記載の心血管ガイドワイヤにおいて、 前記実質的に円筒形のコネクタは、少なくとも一つの導電性バンドを形成するために外面にメタライゼーションを施した円筒形部材から形成される、心血管ガイドワイヤ。
13. 請求項８に記載の心血管ガイドワイヤにおいて、 前記電気装置は圧力センサである、心血管ガイドワイヤ。
14. 請求項８に記載の心血管ガイドワイヤにおいて、前記電気装置は血流センサである、心血管ガイドワイヤ。
15. 請求項８に記載の心血管ガイドワイヤにおいて、前記電気装置は超音波トランスジューサである、心血管ガイドワイヤ。
16. 請求項９に記載の心血管ガイドワイヤにおいて、 前記ハイポチューブは窓を有し、前記実質的に円筒形のコネクタは、前記窓と実質的に整合した延長部分を含み、前記電気導体は前記延長部分に取り付けられる、心血管ガイドワイヤ。

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