JP3616495B2 - 非晶質シリコン膜及びそれを用いた太陽電池 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光学的バンドギャップが広いワイドギャップの非晶質シリコン膜及びこの膜を光入射面側ドープ層(窓層)又は発電層に用いた太陽電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、非晶質シリコン(a−Si)を用いた太陽電池にあっては、その特性を向上するため、光入射面側に位置するドープ層(窓層)での光吸収を極力低減する必要がある。
【0003】
また、pin層を積層して特性の向上を図るようにした積層型太陽電池にあっては、最も光入射面側に位置するpin層(トップセル)の発電層により、短波長の光を極力吸収して発電することが要求される。
【0004】
そして、これらの要求に応じるため、近年、光学的バンドギャップ(Eopt3)の広い材料(素子)を開発することが種々試みられている。
【0005】
ところで、光学的バンドギャップ(Eopt3)とは、応用物理学会誌 30(1991)1008.〔Y.Hishikawa et al,Jpn.J.Appl.Phy. 30(1991)1008.〕に記載の(αhν)1/3vs.hνプロットから外挿した値である。
【0006】
そして、積層型太陽電池のトップセルの発電層としては、1.7eV以上の光学的バンドギャップ(Eopt3)が必要である。
【0007】
また、前記の窓層は光学的バンドギャップ(Eopt3)が広い程好ましく、実用上からは1.7eV以上であることが望ましい。
【0008】
したがって、光学的バンドギャップ(Eopt3)の広い材料として、実用上は、光学的バンドギャップ(Eopt3)が1.7eV以上のものが必要である。
【0009】
そして、この広い光学的バンドギャップ(Eopt3)が得られる材料として、従来、a−Siにワイドギャップ化添加元素(炭素(C),窒素(N),酸素(O))を積極的に添加したa−SiC,a−SiN,a−SiOの非晶質膜がある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来のa−SiC,a−SiN,a−SiOの非晶質膜にあっては、十分な光学的バンドギャップ(Eopt3)を得ようとすると、添加元素(C,N,O)の濃度が高くなり、これらの元素の添加に起因した膜中の欠陥密度が大きくなって膜質が劣化し、光導電率が低下する等の問題点がある。
【0011】
そして、これらの非晶質膜を太陽電池の窓層や発電層に用いても、特性の優れた太陽電池を得ることはできない。
本発明は、光学的バンドギャップ(Eopt3)が高く膜質の優れたa−Si膜及びこの膜を用いた太陽電池を提供することを課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前記の課題を解決するために、請求項1記載の本発明のa−Si膜は、光学的バンドギャップが1.7eV以上、水素濃度が30%以上、Si−H2 結合量が50%以下であって、ワイドギャップ化添加元素が含まれない原料ガスを用いて形成することにより、前記ワイドギャップ化添加元素の濃度が1%未満とされたことを特徴とするものである。
【0013】
この場合、ワイドギャップ化添加元素をほとんど含まないため、その添加に起因した膜中欠陥の発生が従来のa−SiC,a−SiN,a−SiOの非晶質膜より著しく抑制されて少なく、しかも、Si−H2 結合量が50%以下であるため、光導電率は高く、暗導電率は低く、光学的バンドギャップ(Eopt3)が1.7eV以上で膜中の欠陥密度が小さく、膜質の優れたa−Si膜を提供でき、かつ、ワイドギャップ化添加元素が含まれない原料ガスを用いて形成するため、ワイドギャップ化添加元素を用いて形成した膜に比べ、ワイドギャップでも膜質の優れた非晶質シリコン膜を提供することが可能となるものである。
【0014】
つぎに、請求項2記載の本発明の太陽電池は、請求項1記載の非晶質シリコン膜を光入射面側ドープ層としたことを特徴とするものである。
【0015】
したがって、窓層(光入射面側ドープ層)は光学的バンドギャップ(Eopt3)が1.7eV以上になり、しかも、その光導電率等が優れ、窓層での光吸収が極めて少ない特性の優れた太陽電池を提供できる。
【0016】
つぎに、請求項3記載の本発明の太陽電池は、請求項1記載の非晶質シリコン膜を発電層としたことを特徴とするものである。
【0017】
したがって、とくに積層型太陽電池にあっては、トップセルの発電層の光学的バンドギャップ(Eopt3)を1.7eV以上にし、短波長の光を極力吸収して発電することができ、特性の優れた積層型太陽電池を提供できる。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態につき、図1ないし図6を参照して説明する。
(第1の形態)
まず、本発明のa−Si膜について、図1,図2を参照して説明する。
この形態にあっては、プラズマCVD法によりつぎの表1の条件でa−Si膜を形成した。
【0019】
【表1】
【0020】
この表1は、シランガス(SiH4 )と水素ガス(H2 )を原料ガスとする本発明のa−Si膜の形成条件と、比較のために原料ガスをSiH4 のみにした従来例膜としての100%SiH4 のa−Si膜の形成条件とを示したものである。
【0021】
そして、表1から明らかなように、本発明のa−Si膜は、基板温度を低温(100〜200℃)とし、高RFパワー(500mW/cm2 以上),高圧力(1Torr以上)の条件下、水素希釈率(H2 /SiH4 )を高くして形成される。
【0022】
この結果、本発明のa−Si膜は光学的バンドギャップ(Eopt3)に対して、膜中水素量(水素濃度)(CH ),Si−H2 結合量(CSi−H2 /CH )が図1の(a),(b)の■に示すようになり、光導電率(σph),暗導電率(σd)が同図の(c)の□,■に示すようになった。
【0023】
なお、図1の(a),(b)の○は100%SiH4 を用いて従来の低RFパワー条件(50mW/cm2 以下)、低圧力(0.4Torr以下)の条件で形成したa−Si膜の膜中水素量(CH ),Si−H2 結合量(CSi−H2 /CH )を示し、同図の(c)の○,●は100%SiH4 のa−Si膜の光導電率(σph),暗導電率(σd)を示す。
【0024】
そして、本発明のa−Si膜は、光学的バンドギャップ(Eopt3)が1.6eV以上かつ膜中水素量(CH )が30%以上において、膜中のSi−H2 結合量(CSi−H2 /CH )を水素量(CH )の50%以下にすることで、高い光導電率(σph)が得られ、しかも、暗導電率(σd)がほぼ10−11 (S/cm)以下に低く抑えられ、その比(σph/σd)が105 以上(5桁以上)になり、積層型太陽電池のトップセルの発電層としても好適である。
【0025】
つぎに、前記表1の条件で形成した本発明のa−Si膜は原料ガスにワイドギャップ化添加元素(C,N,O)が含まれず、この添加元素が1%未満である。
【0026】
そして、ワイドギャップ化添加元素の影響を調べるため、本発明のa−Si膜と、プラズマCVD法によりつぎの表2の条件で形成したa−SiC膜とにつき、光学的バンドギャップ(Eopt3)に対する光導電率(σph),暗導電率(σd)を測定したところ、図2の結果が得られた。
【0027】
【表2】
【0028】
図2において、■,●は本発明のa−Si膜の光導電率(σph),暗導電率(σd)を示し、実線イ,ロはa−SiC膜の光導電率(σph),暗導電率(σd)を示す。
【0029】
そして、図2からも明らかなように、従来のa−SiC膜は光学的バンドギャップ(Eopt3)を1.7eV以上にすると、ワイドギャップ化添加元素(C,N,O)が多く含まれて膜中欠陥が多く、光導電率(σph)が著しく低下して比(σph/σd)も著しく小さくなる。
【0030】
なお、a−SiCはa−SiC,a−SiN,a−SiOのうちで最も欠陥が少なく膜質が良好であることから、a−SiN膜,a−SiO膜の場合、光学的バンドギャップ(Eopt3)を1.7eV以上にすると、a−SiC膜よりさらに特性は劣化する。
【0031】
一方、本発明のa−Si膜はワイドギャップ化添加元素(C,N,O)が1%未満でほとんど含まないため、光学的バンドギャップ(Eopt3)が1.7eV以上であってもその元素の添加に起因した膜中欠陥の発生が少なく、前記したように、光導電率(σph)が高く、暗導電率(σd)がほぼ10−11 S/cm以下に低く抑えられ、比(σph/σd)が5桁以上に大きくなる。
【0032】
ところで、本発明のa−Si膜にあっても、図2に示したように、光学的バンドギャップ(Eopt3)が1.95eVを超えると、光導電率(σph),比(σph/σd)が急激に低下することから、光学的バンドギャップ(Eopt3)は1.95eV以下にすることが望ましい。
【0033】
そして、本発明のa−Si膜を形成する際、原料ガスにメタンガス(CH4 )を添加し、膜中に故意に炭素(C)を混入したところ、光学的バンドギャップ(Eopt3)が1.95eV以下で膜中の炭素濃度(Cc)が1%以上になると、光導電率(σph),比(σph/σd)が急激に低下することが確かめられた。
【0034】
そのため、本発明のa−Si膜にあっては、ワイドギャップ化添加元素(C,N,O)を1%未満に抑えることが望ましく、実用上は、光学的バンドギャップ(Eopt3)が1.7eV〜1.95eVであって、ワイドギャップ化添加元素(C,N,O)が1%未満であることが好ましい。
【0035】
そして、本発明のa−Si膜は、光学的バンドギャップ(Eopt3)が1.7eV以上、水素濃度(CH )が30%以上、Si−H2 結合量が50%以下であって、ワイドギャップ化添加元素(C,N,O)の濃度が1%未満であることから、光学的バンドギャップ(Eopt3)が広く、しかも、前記添加元素(C,N,O)の添加に起因した膜中の欠陥の発生が極めて少なく、従来のa−SiC膜,a−SiN膜,a−SiO膜より著しく膜質が優れ、光導電率(σph)が高く、暗導電率(σd)が低く、電気的特性の優れた膜となり、かつ、ワイドギャップ化添加元素が含まれない原料ガスを用いて形成するため、ワイドギャップ化添加元素を用いて形成した膜に比べ、ワイドギャップでも膜質の優れた非晶質シリコン膜を提供することが可能となるものである。
【0036】
(第2の形態)
つぎに、請求項2の太陽電池についての実施の形態につき、図3,図4を参照して説明する。
図3はガラス等の透光性基板側から光が入射する順タイプのa−Si太陽電池を示す。
【0037】
この太陽電池は、ガラス等の透光性基板1上にSnO2 等の透明導電膜(TCO)2をスパッタ法等により5000〜8000Å堆積し、さらに、光入射面側ドープ層(p層)を形成するp−a−Si膜3,発電層(i層)を形成するi−a−Si膜4,裏面側ドープ層(n層)を形成するn−a−Si膜5をプラズマCVD法により順に100Å,2000Å,100Å程度堆積し、その上に、Al,Ag等の金属を真空加熱蒸着法等により裏面電極6として1μm程度蒸着等して形成したものである。
【0038】
そして、p−a−Si膜3,i−a−Si膜4,n−a−Si膜5は、p,i,nの水素化アモルファスシリコン(p−a−Si:H,i−a−Si:H,n−a−Si:H)からなり、つぎの表3に示す条件で形成されている。
【0039】
【表3】
【0040】
そして、太陽電池のいわゆる窓層を形成するp−a−Si膜3は、SiH4 とH2 とを原料ガスとし、ドーピングガスに1%のB2 H6 /H2 を使用し、表1の本発明のa−Si膜と同様、基板温度を低温(180℃)とし、高RFパワー(750mW/cm2 ),高圧力(1.3Torr)の条件下、水素希釈率(H2 /SiH4 )を高くして形成され、光学的バンドギャップ(Eopt3)が1.82eV,水素濃度(CH )が30%以上、ワイドギャップ化添加元素(C,N,O)が1%未満である。
【0041】
また、i−a−Si膜4,n−a−Si膜5はSiH4 が原料ガスであり、n−a−Si膜5のドーパントガスは1%のPH3 /H2 である。
【0042】
一方、比較のための従来例電池として、図4に示す光入射面側のドーピング層(窓層)を水素化アモルファスシリコンカーバイド(p−a−SiC:H)のp−a−SiC膜3’とする太陽電池を、つぎの表4の条件で形成した。
【0043】
【表4】
【0044】
なお、p−a−SiC膜3’はSiH4 ,H2 及びメタン(CH4 )を原料ガスとして形成され、その光学的バンドギャップ(Eopt3)は、比較し易いように、図3のp−a−Si膜3と同じ1.82eVである。
【0045】
そして、図3の太陽電池(本発明電池)と図4の太陽電池(従来例電池)との特性(太陽電池特性)を比較したところ、つぎの表5の結果が得られた。
【0046】
【表5】
【0047】
この表5からも明らかなように、窓層をp−a−Si膜3で形成した図3の太陽電池は、図4の従来例電池に比し、曲線因子(F.F.)が増大し、変換効率(η)が向上し、著しく優れた特性を備える。
【0048】
これは、p−a−Si膜3により形成された窓層の膜質がp−a−SiC膜3’により形成された場合より向上し、窓層(p層)の直列抵抗による損失が低減されたことによるものと考えられる。
【0049】
(第3の形態)
つぎに、請求項3の太陽電池についての実施の形態につき、図5,図6を参照して説明する。
前記したように本発明のa−Si膜は光学的バンドギャップ(Eopt3)が非常に広く、そのため、短波長領域に吸収のピークがあり、タンデムセル,3スタックセル等の積層型太陽電池のトップセルの発電層にも適している。
【0050】
図5は本形態の順タイプの積層型a−Si太陽電池のトップセルの構造を示し、図3の裏面電極6の代わりに透明導電膜7を設け、光入射面側の透明導電膜2と裏面側の透明導電膜7との間に、光入射面側から順に、p層を形成するp−a−SiC:Hのp−a−SiC膜8,発電層(i層)を形成するi−a−Si:Hのi−a−Si膜9,n層を形成するn−a−Si:Hのn−a−Si膜10を設けて形成されている。
【0051】
すなわち、図5のトップセルは、透光性基板1上に透明導電膜2をスパッタ法等により5000〜8000Å堆積し、さらに、p−a−SiC膜8,i−a−Si膜9,n−a−Si膜10を、プラズマCVD法により堆積し、その上に、裏面電極として、透明導電膜7をスパッタ法等により1000Å程度堆積して形成したものである。
【0052】
ところで、積層型太陽電池にあっては、各ユニットセル(タンデムの場合はトップセルとボトムセル,3スタックの場合はトップセルとミドルセルとボトムセル)が直列接続されるため、それらの電流密度をそろえる必要があり、とくに、トップセルについては、トップセルと,ボトムセル又はミドルセルとの界面に裏面電極として金属膜を形成しないため、発電層の膜厚設定に注意が必要である。
【0053】
そして、この実施の形態にあっては、各ユニットセルで7mA/cm2 を発電させることとし、i−a−Si膜9のi層膜厚を1200Åとし、p−a−SiC膜8のp層,n−a−Si膜10のn層の膜厚はそれぞれ100Åとし、つぎの表6の条件で各層を形成している。
【0054】
【表6】
【0055】
そして、発電層(i層)を形成するi−a−Si膜9は、SiH4 とH2 とを原料ガスとし、基板温度を低温(180℃)とし、高RFパワー(750mW/cm2 ),高圧力(1.3Torr)の条件下、水素希釈率(H2 /SiH4 )を高くして形成され、光学的バンドギャップ(Eopt3)が1.82eV,水素濃度(CH )が30%以上、Si−H2 結合量が50%以下であって、ワイドギャップ化添加元素(C,N,O)が1%未満である。
【0056】
また、p−a−SiC膜8はSiH4 ,H2 ,CH4 を原料ガスとして形成され、n−a−Si膜10はSiH4 を原料ガスとして形成されている。
【0057】
一方、比較のための従来例電池を、図6に示す発電層(i層)をi−a−SiC:Hのi−a−SiC膜9’とするトップセル構造の積層型太陽電池とし、この太陽電池のトップセルを、つぎの表7の条件で作成した。
【0058】
【表7】
【0059】
この従来例電池のトップセルのi−a−SiC膜9’は、SiH4 ,H2 ,CH4 を原料ガスとして形成され、その光学的バンドギャップ(Eopt3)は、比較し易いように、図5のi−a−Si膜9と同じ1.82eVである。
【0060】
そして、図5のトップセル(本発明電池のセル)と図6のトップセル(従来例電池のセル)との太陽電池特性を比較したところ、つぎの表8の結果が得られた。
【0061】
【表8】
【0062】
この表8からも明らかなように、発電層をi−a−Si膜8とした図5の本発明電池のセルは、図6の従来例電池のセルに比し、開放電圧(Voc),短絡電流(Isc),曲線因子(F.F.)のいずれもが増大し、変換効率(η)が向上している。
【0063】
これは、図6の従来例電池のセルでは発電層(i層)の膜質が悪く、リークが発生して太陽電池特性が極めて低いものとなるが、図5の本発明電池のセルでは発電層(i層)の膜質が良好でリークの発生等が生じないからである。
【0064】
したがって、図5のトップセル構造の積層型太陽電池は、トップセルの発電層が、光学的バンドギャップが極めて広く、短波長の光を極力吸収して発電する膜質の優れたワイドギャップのa−Si膜からなり、特性が著しく改善されて向上する。
【0065】
ところで、前記第2,第3の形態においては、順タイプの太陽電池の光入射面側ドープ層としてのp層,発電層としてのi層それぞれを本発明のa−Si膜とした場合について説明したが、p層,i層を共に本発明のa−Si膜としてもよく、具体的には、例えば図3の太陽電池において、p層は同図のp−a−Si膜3とし、i層は図5のi−a−Si膜9としてもよい。
【0066】
また、前記第2,第3の形態にあっては、ガラス基板等の透光性基板側から光が入射する順タイプの太陽電池に適用して説明したが、膜面側(基板の反対側)から光が入射する逆タイプの太陽電池の光入射面側ドープ層(p層),逆タイプの積層型太陽電池のトップセルの発電層(i層)等にも、同様に適用できるのは勿論である。
【0067】
なお、逆タイプの太陽電池は、絶縁性基板上に金属電極、n層としてのn−a−Si膜,i層としてのi−a−Si膜,p層としてのp−a−Si膜を順に堆積し、その上に、ITO,SnO2 ,ZnO等の透明導電膜,Ag等の集電極を設けて形成される。
【0068】
さらに、前記第2,第3の形態において、n層のドーピングガスは、B2 H6 /H6 でなく、B(CH3 )3 /H2 であってもよい。
【0069】
そして、本発明の太陽電池は、前記第2,第3の形態のa−Si太陽電池でなくてもよく、例えば非晶質膜を結晶系シリコンとの接合形成に用いるいわゆるHIT(Hetero−junction with Intrinsic Thin−Iayer )接合太陽電池であってもよく、その光入射面側ドープ層(p層),発電層(i層)に本発明のa−Si膜を用いることにより、同様の効果が得られる。
【0070】
【発明の効果】
本発明は、以下に記載する効果を奏する。
まず、請求項1の非晶質シリコン膜(a−Si膜)の場合、光学的バンドギャップが1.7eV以上、水素濃度が30%以上、Si−H2 結合量が50%以下であって、ワイドギャップ化添加元素の濃度が1%未満であるため、ワイドギャップ化添加元素をほとんど含まず、その添加に起因した膜中欠陥の発生が従来のa−SiC,a−SiN,a−SiOの非晶質膜より著しく抑制されて減少し、しかも、Si−H2 結合量が50%以下であることから、光導電率が高く、暗導電率が低くなる。
【0071】
したがって、光学的バンドギャップ(Eopt3)が1.7eV以上で膜中の欠陥密度が小さく膜質の優れた非晶質シリコン膜を提供することができ、かつ、ワイドギャップ化添加元素が含まれない原料ガスを用いて形成するため、ワイドギャップ化添加元素を用いて形成した膜に比べ、ワイドギャップでも膜質の優れた非晶質シリコン膜を提供することが可能となるものである。
【0072】
つぎに、請求項2の太陽電池は、請求項1記載の非晶質シリコン膜を光入射面側ドープ層としたため、窓層(光入射面側ドープ層)の光学的バンドギャップ(Eopt3)が1.7eV以上になり、しかも、その光導電率等が優れ、窓層での光吸収が少ない特性の優れた太陽電池を提供することができる。
【0073】
つぎに、請求項3の太陽電池は、請求項1記載の非晶質シリコン膜を発電層としたため、とくに積層型の太陽電池の場合、トップセルの発電層の光学的バンドギャップを1.7eV以上にし、短波長の光を極力吸収して発電することができ、特性の優れた積層型の太陽電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a),(b),(c)は本発明の実施の第1の形態の非晶質シリコン膜の光学的バンドギャップと,膜中水素量,Si−H2 結合量,光・暗導電率それぞれとの関係説明図である。
【図2】本発明の実施の1形態の非晶質シリコン膜及び従来例膜の光学的バンドギャップと光・暗導電率との関係説明図である。
【図3】本発明の実施の第2の形態の太陽電池の断面図である。
【図4】図3の太陽電池との比較のための従来例電池の断面図である。
【図5】本発明の実施の第3の形態の積層型太陽電池のトップセルの断面図である。
【図6】図5の太陽電池との比較のための従来例電池のトップセルの断面図である。
【符号の説明】
3 光入射面側ドープ層としてのp−a−Si膜
9 発電層としてのi−a−Si膜
Claims (3)
- 光学的バンドギャップが1.7eV以上、水素濃度が30%以上、Si−H2 結合量が50%以下であって、ワイドギャップ化添加元素が含まれない原料ガスを用いて形成することにより、前記ワイドギャップ化添加元素の濃度が1%未満とされたことを特徴とする非晶質シリコン膜。
- 請求項1記載の非晶質シリコン膜を光入射面側ドープ層としたことを特徴とする太陽電池。
- 請求項1記載の非晶質シリコン膜を発電層としたことを特徴とする太陽電池。
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JP7200089B2 (ja) | 2016-07-13 | 2023-01-06 | シャンハイ パシフィック ハット マニュファクチャリング カンパニー リミテッド | キャップ及びキャップを製造する方法 |
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- 1998-03-26 JP JP10057498A patent/JP3616495B2/ja not_active Expired - Lifetime
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