JP3616464B2 - 元素分析装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば金属やセラミックスなどの試料中に含まれる炭素や硫黄などの元素を分析する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、鉄鋼やセラミックスなどの試料中に含まれる炭素や硫黄などの元素濃度(量)を分析する装置の一つに、炭素・硫黄分析装置がある。この炭素・硫黄分析装置は、高周波誘導加熱により分析試料を燃焼させて酸化(燃焼)ガスを発生させ、この酸化ガスを赤外線吸収法によって分析するものである。
【0003】
そして、この炭素・硫黄分析装置の一つに、装置本体の前面側に、分析試料を収容した磁製るつぼ(以下、単にるつぼという)を複数個保持するターンテーブルと、このターンテーブルに保持されたるつぼを分析に際して燃焼炉内に搬入し、分析終了時にるつぼを燃焼炉から搬出する例えばマジックハンドよりなる搬送ロボットと、るつぼを収容し、これに通電を行ってるつぼ内の試料を燃焼させる燃焼炉とをこの順に設けるとともに、前記ターンテーブルと搬送ロボットの前面にこれらをそれぞれ覆う主カバーと補助カバーとを開閉自在に設けたものがある。
【0004】
上記構成の炭素・硫黄分析装置においては、ターンテーブルおよび搬送ロボットがそれぞれ主カバーおよび補助カバーによって覆われるので、ターンテーブルに付着したり、ターンテーブルに保持されたるつぼ内に塵埃などの異物が入るのが防止され、また、搬送ロボットの特に挟持部近傍に前記異物が付着し、これが挟持されたるつぼ内に入るのが防止される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記両カバーは、保護カバーとしての意味合いが大きく、互いにその動作が関連付けられてないため、補助カバーを開けても搬送ロボットの動作を停止させるようにはなってなく、したがって、補助カバーを開けて、試料をいれたるつぼを追加するような場合でも搬送ロボットが動いていた。
【0006】
この発明は、上述の事柄に留意してなされたもので、その目的は、試料の追加を安全確実に行うことができる安全性に優れた元素分析装置を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、この発明では、装置本体の前面側に、試料を収容したるつぼを複数個保持するターンテーブルと、このターンテーブルに保持されたるつぼを分析に際して燃焼炉内に搬入し、分析終了時にるつぼを燃焼炉から搬出する搬送ロボットと、るつぼを収容し、このるつぼ内の試料を燃焼させる燃焼炉とをこの順に設けるとともに、前記ターンテーブルと搬送ロボットの前面にこれらを覆うように開閉自在に設けられた主カバーと補助カバー、さらに燃焼炉に対応するように設けられた燃焼炉カバーを備え、前記補助カバーを開方向に動かせても主カバーは閉止状態を維持するとともに、補助カバーの開方向への動きを検知したことに基づいてターンテーブルの駆動を停止するように構成し、また、主カバーの開方向への動きに伴って、補助カバーが開方向に動くように、かつ、搬送ロボットの駆動が停止するように構成し、さらに、前記燃焼炉カバーを開けると前記搬送ロボットの駆動が停止し、試料を入れたるつぼを前記燃焼炉に直接セットしてこのるつぼの試料について割り込み的に分析を行えるように構成している。
【0008】
このように構成することにより、元素分析装置の自動操作時において、ターンテーブルを経ないで、いきなり、るつぼを燃焼炉にセットして分析に供したいような場合に大変有利である。また、次の分析のために、ターンテーブル上に新たなるつぼを載せるようなとき、主カバーを開けるという一つの動作で補助カバーをも同時に開けることができ、主カバーおよび補助カバーの開操作を合理的かつ簡単に行うことができる。また、主カバーが開方向へ動かされると、搬送ロボットの駆動が停止されるので、オペレータなどが搬送ロボット方向に手を差し入れるなどしても安全が十分に確保される。
【0009】
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の好ましい実施例を、図を参照しながら説明する。
【0011】
図1は、この発明に係る元素分析装置としての炭素・硫黄分析装置の全体を示すものであり、図2は、この炭素・硫黄分析装置の要部を示すものである。これらの図において、1は装置本体で、その前面側には、前処理部2、自動化操作部3、ターンテーブル4、搬送ロボット5、燃焼炉6がこの順に配置されている。また、この装置本体1には、図示してないが、例えば非分散型赤外線ガス分析計(NDIR)が搭載されている。なお、この装置本体は、図示してない制御装置と信号ケーブル(図示してない)を介して接続されている。
【0012】
前記前処理部2は、燃焼炉6で発生した酸化ガス(燃焼ガス)を前処理するもので、ここを経た酸化ガスがNDIRに送られる。また、自動化操作部3は、自動分析を行うときの操作ボタン7が複数設けられている。
【0013】
そして、前記ターンテーブル4は、例えばステッピングモータ8に直結された軸9の上端に固着され、例えば時計方向に回動して、分析に供せられる試料と助燃剤とを収容したるつぼ10を挿入保持するための保持孔11が円周に沿って複数個(例えば20個)設けられている。12はテーブル割り出し機構で、前記軸9に固着され、保持孔11に対応する位置に溝13を形成したディスク14とフォトセンサ15とよりなる。16はるつぼ10を押し上げるためのるつぼ押上機構で、例えばエアーシリンダ17とプランジャ部材18よりなり、ターンテーブル4の下方であって回転方向下流側の適宜位置に設けられている。
【0014】
前記搬送ロボット5は、例えばマジックハンドよりなり、先端部にるつぼ10を挟持する挟持部19を備え、駆動機構20によって上下方向、回転方向に動作することにより、ターンテーブル4に保持されたるつぼ10を分析に際して燃焼炉6内に搬入し、分析終了時にるつぼ10を燃焼炉6から搬出するように構成されている。そして、21は分析後のるつぼ10を廃棄するためのダクトで、その下方には廃棄ボックス22が設けられている。また、23は搬送ロボット5がるつぼ10の廃棄位置に到来したか否かを検出するためのセンサである。
【0015】
前記燃焼炉6は、高周波電を印加する上部フランジ24とるつぼ10を保持する下部フランジ25とからなり、下部フランジ25はエアーシリンダ26によって上下方向に移動できるように構成されている。そして、搬送ロボット5によって搬入される試料入りのるつぼ10を下部フランジ25のるつぼ台25aにセットした状態で、下部フランジ25を上昇させ、るつぼ10を上部フランジ24のコイル24a内に挿入し、その状態でコイル24aに高周波電圧を印加することにより、るつぼ10内の試料が発熱し、燃焼する。この燃焼によって生じたガスは適宜のキャリアガスによってガス流路(図示してない)を流れて前処理部2に導かれ、ここで適宜の処理を受けた後、NDIRに導かれ、ガス分析に供せられる。27はるつぼ10がるつぼ台25a上にあるか否かを検出するセンサである。なお、図示は省略しているが、この燃焼炉6には、内部を外気と完全に遮断するためのシャッタが設けられている。
【0016】
ここまでの構成は、従来の炭素・硫黄分析装置と変わるところがない。この発明の大きな特徴的構成について、以下、図3〜図7をも参照しながら詳細に説明する。
【0017】
図1および図2において、28,29,30は第1,第2、第3のカバーで、第1カバー28は、言わば主カバーとでもいうべきもので、搬送ロボット5の全部とターンテーブル4の一部を覆うように設けられ、そして、第2カバー29は、言わば試料を追加するための補助カバーとでもいうべきものであり、ターンテーブル4のほとんどの部分を覆うように設けられ、また、第3カバー30は、燃焼炉カバーとでもいうべきものであり、燃焼炉6に対応するように設けられている。これらのカバー28,29,30は、比較的丈夫でしかも透明な素材、例えばアクリル、ポリカーボネートなどの樹脂よりなる。
【0018】
まず、第1カバー(主カバー)28の構成およびその近傍の構成について説明すると、この第1カバー28は、図1〜図4および図6に示すように、水平な天板部31と、これの前端部から下方にほぼ直角に折れ曲った前板部32と、第2カバー29の天板部47(後述する)の下方においてターンテーブル4側に突出し、正面断面視クランク状(図3参照)、平面視台形状(図6参照)の突出部33とからなり、後方、下方および燃焼炉6側は開放されている。33aは突出部33の天板、33bは側壁である。34は前板部32の下端を内側に水平に折り曲げた後、下方に直角に折り曲げ、さらに、内側に水平に折り曲げた折曲部で、この折曲部34の下側の水平部35には適宜径の孔36が開設されている。この第1カバー28は、天板部31の端部に設けられたヒンジ37により、左右方向に横設された軸38に枢支され、図1および図4において両矢印39で示すように上下方向に揺動する。
【0019】
そして、図3、図4および図6において、40は第1カバー28の閉止状態を保持するカバーロック機構で、前記孔36を挿通するピン41とこれを上下動させるためのソレノイド42よりなり、装置本体1の前板43の裏面側に設けられている。このカバーロック機構40は、搬送ロボット5が燃焼炉6に近い所定の位置にあるときにのみ、そのロック状態が解除されるように制御される。
【0020】
また、図3、図4および図6において、44は第1カバー28の開方向への動きを検知するための例えばリミットスイッチで、45はそのアクチュエータである。そして、このリミットスイッチ44は次のように動作する。すなわち、第1カバー28が図4において実線で示すように閉状態であるときには、第1カバー28のヒンジ37側に設けられた押圧片46によってアクチュエータ45が押圧されて、リミットスイッチ44がオン状態となり、搬送ロボット5の駆動用電源はオンになる。また、第1カバー28が前記閉状態からの開方向(上方)へ動くことにより、アクチュエータ45に対する押圧片46の押圧が解除されると、リミットスイッチ44がオフ状態となり、これによって、搬送ロボット5の駆動が停止する。なお、この場合、前記駆動用電源はオフになるようにしてもよい。
【0021】
次に、第2カバー(補助カバー)29の構成およびその近傍の構成について説明すると、この第2カバー29は、図1〜図3、図5および図6に示すように、水平な天板部47と、これの前端部から下方にほぼ直角に折れ曲った前板部48と、ターンテーブル4から遠い側に垂下する側板49とからなり、後方、下方およびターンテーブル4側は開放されている。50は前板部48の下端を内側に水平に折り曲げた後、下方に直角に折り曲げ、さらに、内側に水平に折り曲げた折曲部である。この第2カバー29は、天板部47の端部に設けられたヒンジ51により、左右方向に横設された軸52に枢支され、図5において両矢印53で示すように揺動する。
【0022】
そして、図3、図5および図6において、54は第2カバー29の開方向への動きを検知するための例えばリミットスイッチで、55はそのアクチュエータである。そして、このリミットスイッチ54は次のように動作する。すなわち、第2カバー29が図5において実線で示すように閉状態であるときには、第2カバー29のヒンジ側に設けられた押圧片56によってアクチュエータ55が押圧されて、リミットスイッチ54がオン状態となり、ターンテーブル4の駆動用電源はオンになる。また、第2カバー29が前記閉状態からの開方向へ動くことにより、アクチュエータ55に対する押圧片56の押圧が解除されると、リミットスイッチ54がオフ状態となり、これによって、ターンテーブル4の駆動が停止する。なおこの場合、前記駆動用電源はオフになるようにしてもよい。
【0023】
また、図3に示すように、第2カバー29の天板部47の下方に第1カバー28の突出部33が張り出しているため、第1カバー28および第2カバー29がともに閉状態であるとき、第1カバー28を開方向に動かすと、この動きに伴って第2カバー29も開方向に動くが、第2カバー29を開方向に動かしても、第1カバー28は開方向に動くことはない。
【0024】
さらに、第3カバー(燃焼炉カバー)30の構成およびその近傍の構成について説明すると、この第3カバー30は、図1〜図3、図6および図7に示すように、前板部57と、これに連なりこれに対して直角方向に折れ曲がった側板部58と、平面視L字状の天板部59および平面視L字状の底板60とからなる。61は前板部57の第1カバー28側の端部を後方に直角に折り曲げた押圧部としての折曲部である。この第3カバー30は、側板部58の端部に上下方向に設けられたヒンジ62を介して装置本体1に着脱自在に取り付けられ、図1および図7において両矢印63で示すように、垂直な軸を中心にして左右方向に揺動する。
【0025】
そして、図2、図3、図6および図7において、64は第3カバー30の開方向への動きを検知するための例えばリミットスイッチで、65はそのアクチュエータである。そして、このリミットスイッチ64は次のように動作する。すなわち、第3カバー30が図7において実線で示すように閉状態であるときには、第3カバー30の前板部57の遊端側の押圧部61によってアクチュエータ65が押圧されて、リミットスイッチ64がオン状態となり、搬送ロボット5の駆動用電源はオンになる。また、第3カバー30が前記閉状態からの開方向へ動くことにより、アクチュエータ65に対する押圧部61の押圧が解除されると、リミットスイッチ64がオフ状態となり、これによって、搬送ロボット5の駆動が停止する。なお、この場合、前記駆動用電源はオフになるようにしてもよい。
【0026】
また、66は第3カバー30が閉状態にあるとき、これを保持するための手動のロック機構で、左右方向にスライドし、つまみ67を有するスライド部材68とそのスライドガイド69とからなり、底板60の下面に設けられており、スライド部材68の一端側が装置本体1の前面に形成された適宜の孔(図示してない)に挿入して、第3カバー30の閉状態をロックするように構成されている。
【0027】
上述のように構成された炭素・硫黄分析装置の動作について、図8をも参照しながら説明する。図8に示すように、この炭素・硫黄分析装置の動作は、試験員などオペレータが行うオペレータ操作(S1〜S5)と、オペレータが自動スイッチを押すことによって装置が自動的に各種の動作を行う装置動作(S6〜S10)とからなる。
【0028】
まず、オペレータ操作(S1〜S5)について説明すると、予め脱ガス処理を施したるつぼ10を複数個用意する。そして、試料を秤量して(ステップS1)るつぼ10内に入れ、適宜の助燃剤をるつぼ10内に入れる(ステップS2)。試料と助燃剤を入れたるつぼ10をターンテーブル4の保持孔11に順次挿入してるつぼ10のターンテーブル4へのセットを行い(ステップS3)、所定数のるつぼ10のセットが完了する(ステップS4)と、各カバー28〜30をそれぞれ閉止状態とし、自動化操作部3の適宜の自動スイッチをオンする(ステップS5)。そして、手動ロック機構66を操作して第3カバー30の閉状態をロックする。
【0029】
ここで、自動化操作部3におけるカバー閉スイッチをオンすると、ソレノイド42が動作してピン41が上方に動き、このピン41が第1カバー28の前板部32の折曲部34に形成された孔36を挿通するので、第1カバー28は、その閉止状態がロックされる(ステップS6)。
【0030】
第1カバー28の閉止がロックされると、ホームポジションに待機していた搬送ロボット5がターンテーブル4方向に回動する。ターンテーブル4においては、その回転方向最下流に保持されているるつぼ10がるつぼ押上機構16によって上方に押し上げられており、搬送ロボット5がその挟持部19によって前記るつぼ10を挟持する。そして、搬送ロボット5は、燃焼炉6方向に回動してるつぼ10を搬送し(ステップS7)、これをるつぼ台25aの所定の位置に載置すると、ホームポジションに戻る。
【0031】
シリンダ26を動作させて下部フランジ25を上昇させることにより、前記るつぼ10が上部フランジ24のコイル24a内に所定の状態で挿入され(ステップS8)、シャッタ(図示してない)によって燃焼炉6は外部に対して密閉状態となる。
【0032】
コイル24a内にるつぼ10を収容した状態で、コイル24aに高周波電圧を印加することにより、るつぼ10内の試料が発熱し、燃焼する。この燃焼によって生じたガスは適宜のキャリアガスによって前処理部2に導かれ、ここで適宜の処理を受けた後、NDIRに導かれることにより、所定のガス分析が行われる(ステップS9)。
【0033】
上述のようにして、一つのるつぼ10における試料ついて分析が終了すると、下部フランジ25が下降し、使用済みのるつぼ10がるつぼ台25aに保持された状態で現れる。そして、ホームポジションに待機していた搬送ロボット5が燃焼炉6方向に回動して、その挟持部19によって前記るつぼ10を挟持し、ターンテーブル4方向にやや回動し、るつぼ10の廃棄位置に到来すると、るつぼ10をリリースし、再びホームポジションに戻る。前記リリースされた使用済みのるつぼ10は、ダクト21を経て廃棄ボックス22に収容される(ステップS10)。
【0034】
そして、ステップS7〜ステップS10までの操作を段階的に行うことにより、ターンテーブル4に保持されている全てのるつぼ10についてその試料の分析を行うことができる。全てのるつぼ10について分析が終了すると、自動化操作部3の適宜の自動スイッチをオンして、自動化操作を解除すると、搬送ロボット5が燃焼炉6側の所定の位置に戻り、カバーロック機構40がそのロック状態を解除する。したがって、この状態においては、第1カバー28を自由に開閉することができる。
【0035】
上述の説明から理解されるように、自動搬送時においては、可動物である搬送ロボット5に対して主として設けられる第1カバー28がカバーロック機構40によってその閉止状態が保持されるので、不用意に開けられることがない。
【0036】
そして、カバーロック機構40は、搬送ロボット5が燃焼炉6に近い所定の位置にあるときにのみ、そのロック状態が解除されるように制御されるため、第1カバー28を開けたとき、搬送ロボット5が所定の収納状態にあり、オペレータの手による作業の邪魔にならないとともに、オペレータの安全が十分に確保される。
【0037】
また、この第1カバー28が閉状態にあるとき、これを無理に開けようとして開方向へ動かされるようなことがあった場合、この動きによって第1カバー28のヒンジ37側に設けられている押圧片46のアクチュエータ45に対する押圧が解除されるため、リミットスイッチ44がオフ状態となり、これによって、搬送ロボット5の駆動が停止することにより、搬送ロボット5の動作が直ちに停止されるので、オペレータなどが搬送ロボット5方向に手を差し入れるなどしても安全が十分に確保される。
【0038】
さらに、カバーロック機構40がロック解除になっている状態において、第1カバー28を開方向に動かすと、第2カバー29も開方向に動く。したがって、次の分析のために、ターンテーブル4上に新たなるつぼ10を載せるようなとき、第1カバー28を開けるといった一つの動作で第2カバー29をも同時に開けることができ、第1カバー28および第2カバー29の開操作を合理的かつ簡単に行うことができる。
【0039】
ところで、上記炭素・硫黄分析装置においては、その自動操作時において、試料をターンテーブル4に追加し、これを分析に供したい場合がある。すなわち、ターンテーブル4に対して所定数のるつぼ10を載置し、自動操作ボタンをオンして、自動操作を行っている際に、図6に示すように、新たに試料を入れたるつぼ10Aをターンテーブル4に載置してこのるつぼ10Aの試料についても分析を行うような場合が生ずる。
【0040】
この場合、搬送ロボット5は動いているが、これに対する第1カバー28は、上述したように、カバーロック機構40によってその閉状態をロックされているので、これが開くことはなく、オペレータがるつぼ10Aをターンテーブル4に載置するため、装置本体4内に手を挿入しても、可動部分である搬送ロボット5に触れることがなく、安全性が確保されているが、ターンテーブル4は回動している。
【0041】
しかしながら、上記状態において、第2カバー29を開方向に移動させると、そのヒンジ51側に設けられてる押圧片56によるアクチュエータ55に対する押圧が解除されるため、リミットスイッチ54がオフ状態となり、これによって、ターンテーブル4の駆動が停止するので、ターンテーブル4が直ちに停止する。したがって、オペレータは前記るつぼ10Aを確実にしかも安全な状態でターンテーブル4の所定の位置にセットすることができる。この追加されたるつぼ10Aは、所定の順番にしたがって燃焼炉6に搬入され、分析に供される。
【0042】
前記るつぼ10Aの追加操作中においても、搬送ロボット5が所定の動作を継続し、また、燃焼炉6においても所定の動作が継続されており、なんら他の操作および動作に支障が生ずることがないのはいうまでもない。
【0043】
また、上記炭素・硫黄分析装置においては、その自動操作時において、試料をターンテーブル4を経ないで、いきなり、るつぼを燃焼炉6にセットして、これを分析に供したいような場合がある。すなわち、ターンテーブル4に対して所定数のるつぼ10を載置し、自動操作ボタンをオンして、自動操作を行っている際に、図7に示すように、新たに試料を入れたるつぼ10Bを適宜の保持具70を用いて燃焼炉6に直接セットしてこのるつぼ10Bの試料について分析を割り込み的に分析を行う、つまり、手動分析を行うような場合がある。
【0044】
上述のような手動分析を行う場合、燃焼炉6に対して設けられている第3カバー30を開けなければならない。すなわち、手動のロック機構66を解除して、第3カバー30を手前に引くようにして開ける。この開動作により、第3カバー30の遊端側に設けられている押圧部61によるアクチュエータ65に対する押圧が解除されるので、リミットスイッチ64がオフ状態となり、これによって、搬送ロボット5の駆動が停止し、搬送ロボット5の動作が直ちに停止するので、オペレータなどが燃焼炉6の下部フランジ25方向に手を差し入れるなどしても、可動部分である搬送ロボット5が停止しているので、安全が十分に確保される。
【0045】
なお、第3カバー30は、装置本体1に対して着脱自在であり、この第3カバー30を外した状態でも分析を行うことができる。
【0046】
この発明は、上述の炭素・硫黄分析装置に限られるものではなく、他の元素分析装置にも同様に適用することができる。
【0047】
【発明の効果】
この発明においては、元素分析装置の自動操作時において、ターンテーブルを経ないで、いきなり、るつぼを燃焼炉にセットして分析に供したいような場合に大変有利である。また、主カバーが開方向へ動かされると、搬送ロボットの駆動が停止されるので、オペレータなどが搬送ロボット方向に手を差し入れるなどしても安全が十分に確保される。
【0048】
また、主カバーの開方向への動作に伴って、補助カバーが開方向に動くので、主カバーと補助カバーとを同時に開けることができ、主カバーおよび補助カバーの開操作を合理的かつ簡単に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る元素分析装置としての炭素・硫黄分析装置の全体を示す斜視図である。
【図2】前記炭素・硫黄分析装置の要部を示す斜視図である。
【図3】前記要部の正面断面図である。
【図4】搬送ロボットと主カバーの一例を示す側面断面図である。
【図5】ターンテーブルと補助カバーの一例を示す側面断面図である。
【図6】主カバーおよび補助カバーの動作を説明するための要部の横断面図である。
【図7】燃焼炉カバーの動作を説明するための要部の横断面図である。
【図8】前記炭素・硫黄分析装置において行われる分析の手順の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1…装置本体、4…ターンテーブル、5…搬送ロボット、6…燃焼炉、10,10A,10B…るつぼ、28…主カバー、29…補助カバー、30…燃焼炉カバー

Claims (1)

  1. 装置本体の前面側に、試料を収容したるつぼを複数個保持するターンテーブルと、このターンテーブルに保持されたるつぼを分析に際して燃焼炉内に搬入し、分析終了時にるつぼを燃焼炉から搬出する搬送ロボットと、るつぼを収容し、このるつぼ内の試料を燃焼させる燃焼炉とをこの順に設けるとともに、前記ターンテーブルと搬送ロボットの前面にこれらを覆うように開閉自在に設けられた主カバーと補助カバー、さらに燃焼炉に対応するように設けられた燃焼炉カバーを備え、前記補助カバーを開方向に動かせても主カバーは閉止状態を維持するとともに、補助カバーの開方向への動きを検知したことに基づいてターンテーブルの駆動を停止するように構成し、また、主カバーの開方向への動きに伴って、補助カバーが開方向に動くように、かつ、搬送ロボットの駆動が停止するように構成し、さらに、前記燃焼炉カバーを開けると前記搬送ロボットの駆動が停止し、試料を入れたるつぼを前記燃焼炉に直接セットしてこのるつぼの試料について割り込み的に分析を行えるように構成したことを特徴とする元素分析装置。
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