JP3616038B2 - 成型加工食品の真空凍結乾燥方法および成型加工食品の真空凍結乾燥装置 - Google Patents
成型加工食品の真空凍結乾燥方法および成型加工食品の真空凍結乾燥装置 Download PDFInfo
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Description
【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、お粥やスープ類等の調理済みの食品が、凍結乾燥により一食分づつ固形の成型品に成形されて、熱湯により即席に戻して一人分の食事として使用される成型加工食品を成型加工する真空凍結乾燥手段およびこれに用いる真空乾燥装置と容器についての改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
上述の成型加工食品を真空凍結乾燥装置を用いて生産する手段は、従前にあっては、例えば、調理した卵スープを真空凍結乾燥により成型加工食品の製品に加工する手段について、図1に示す模式図に従い具体的に説明すれば、まず、卵白・卵黄をとき卵様にといたスープに、ネギ・エビ・ホウレン草等の具を加えて調理した卵スープである液材料Mを作り、これを、図2に示しているように、アルミニューム等の金属材よりなるトレイB内に落し込んで装入しておくプラスチック材で成形した容器a…に、一人分の分量となる所定量づつ分注する。
【0003】
このプラスチック材の容器a…は、シート状の樹脂材により、多数の容器a…が縦・横に整列して成形されて、全体が前述の金属材よりなるトレイB内に落し込める大きさ・形状のトレイ状に形成してある。
【0004】
次に、この液材料Mを分注した容器a…を、それら容器a…がトレイB内に装填されている状態において、そのトレイBごと、トロリーCに上下に並列してある支持枠11…に支架する。
【0005】
トロリーCは、図3に示しているように、フレーム1の上面側に、施設の建物内および予備凍結庫Dの内部の天井部ならびに凍結乾燥庫Eの内部の天井部に装設してあるモノレールFに対し懸架せしめる車輪10…が軸支してある台車であり、それのフレーム1の左右の側面には、アングル状の支持枠11を前後に一対に対向させて、上下に多段に並列するように装設してある。
【0006】
前述の液材料Mを分注した容器a…が装入してあるトレイB…は、それを、トロリーCの左右の両側から、各支持枠11…に挿し込むようにしてそれに支架させる。
【0007】
次に、この状態において、トロリーCを押して、トロリーCごと予備凍結庫D内に装入し、ここで、マイナス30℃程度に冷却されたエアーブラストにより容器a…内の液材料M…を凍結させ、外形が容器aの内面形状に倣う成型凍結体に形成する。
【0008】
次に、この予備凍結を終えて成型凍結体となった容器a…内の液材料Mを、容器a…を収容するトレイBが支架されているトロリーCごと引き出して、そのトロリーCごと凍結乾燥庫E内に装入する。
【0009】
このとき、トロリーCの各支持枠11…に支架してあるトレイB…は、そのトロリーCの各支持枠11…に対応させて凍結乾燥庫E内に棚設してある加熱棚2…の棚間隔内に、図4に示している状態となって凍結乾燥庫E内に装入される。
【0010】
そして、この図4にある状態において、真空下に保持されて加熱棚2・3から供給される昇華熱により、液材料Mの材料内水分が昇華して凍結乾燥されるようになる。
【0011】
これにより液材料Mの乾燥が終えたところで、凍結乾燥庫Eを開いて、トロリーCごと容器a内において乾燥した液材料Mの乾燥品を搬出し、それを、プラスチックの容器a…から取り出して、包装装置により個別包装して成型加工食品の製品とする、という工程によって行われている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
上述の従前の成型加工食品を凍結乾燥により生産する手段は、乾燥時間が著しく長く、得られる凍結乾燥製品のコストが増大するという重大な欠点がある。
【0013】
本発明は、従来手段に生じているこの乾燥時間が長い問題を解消せしめるためになされたものであって、液材料を容器内に分注して予備凍結庫において成型凍結体に凍結させ、それを凍結乾燥庫内において、真空下で材料内水分を昇華させることで行う凍結乾燥により、ポーションタイプの成型加工食品に製造する際の、凍結乾燥庫内における成型凍結体の乾燥時間を大巾に短縮して、それの凍結乾燥による成型加工食品の製造コストを低減せしめる新たな手段を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
そして本発明手段は、上述の目的を達成するために、乾燥庫内において成型加工食品が凍結乾燥されていく工程について、種々の検討を加えて得られた知見に基づいて完成したものである。
【0015】
金属製のトレイB内に装填したプラスチックの容器a…に分注された液材料Mの乾燥は、図4において、Eは凍結乾燥庫、Bはその凍結乾燥庫E内に装入したトレイ、aはそのトレイB内に収容してある容器、Mは容器a内に分注された液材料、2はトレイBの上方に位置する凍結乾燥庫E内の上部の加熱棚、3はトレイBの下方に位置する下部の加熱棚、40はその下部の加熱棚3から液材料Mに対し供給される熱流、41は上部の加熱棚2から液材料Mに対し供給される熱流、Lは液材料Mの液厚、42は液材料Mの自由表面、43は液材料Mに生成してくる既乾燥層、lはその既乾燥層43の厚さ、44はその既乾燥層43の下面側に形成される昇華面、45はトレイBの底面、46は容器aの底面、50は水蒸気流をそれぞれ示しているとすると、液材料Mは、トレイBの上方および下方に位置する上部の加熱棚2と下部の加熱棚3から供給される昇華熱により、材料内水分が昇華して乾燥していくが、このときの水蒸気の脱出面は、液材料Mがプラスチックの容器aの内面に密着して凍結していることで、自由表面42の側の一面だけとなり、従って、両面輻射加熱・片面昇華の形態で乾燥が進行していくようになっている。
【0016】
そして、このように、液材料Mをプラスチックの容器a内に分注後に凍結させることで、液材料Mが、プラスチックの容器aの内面に密着して凍結し、それの昇華面44と昇華した水蒸気の脱出面が、凍結液材料Mの自由表面42側の一面となり、トレイBの底面45側には昇華面が形成されないことから、両面輻射加熱・片面昇華となって乾燥が進行し、そのときの、下部の加熱棚からトレイBの底面45とプラスチックの容器aの底面46を経て昇華面44へ伝わる熱流40は、液材料Mの厚さLから既乾燥層43の厚さを引いた厚さL−lの凍結層(昇華工程中の平均厚L/2)を通過していき、また、上部の加熱棚2から自由表面42を経て昇華面に伝わる熱流41は、厚さlの既乾燥層(昇華工程中の平均厚L/2)を通過するようになり、さらに両熱流40・41により昇華面44から発生する水蒸気流50は、厚さlの既乾燥層(平均層L/2)を通過して、自由表面42側からだけ凍結乾燥庫E内の自由空間に脱出することになることで、乾燥の進行の効率が著しく悪くなっていることによるものであることが判ってきた。
【0017】
また、プラスチック容器aは面積をAsとすれば、昇華水蒸気流の脱出流路面積もAsであり、アルミトレイB底面とプラスチック容器aの底面との間に接触伝熱抵抗があることも乾燥時間を長くする原因となっている。
【0018】
さらに、水蒸気流が昇華面から多孔体の既乾燥層を通過するとき、圧力差△Pが生じる。△Pは水蒸気流量と既乾燥層の水蒸気移動抵抗Rに比例する。また、水蒸気移動抵抗Rは既乾燥層厚に比例して乾燥層面積に反比例する。凍結乾燥中で昇華面の許容圧力Psは、凍結体の固体化が弛緩する限界温度Tfの平衡蒸気圧Pf*以下にする必要があり、昇華速度(水蒸気流量)の既乾燥層の最大水蒸気圧力差△Pは(Pf*−PO)以下であり、この昇華速度しか許されない。
【0019】
また、既乾燥層を通過する熱流についても同様の関係であるから、凍結乾燥中に既乾燥層表面の温度tdが許容温度を超えない限度で可能な既乾燥層内の熱流量となる。
【0020】
また、凍結層内を通して昇華面へ伝わる熱流40により既乾燥層内熱流を補充できるけれども熱流が凍結層を通して昇華面へ伝わるとき、熱流量と凍結層厚に比例する伝熱温度差が生じる。その温度差だけプラスチックトレイ底面温度は昇華面温度よりさらに上昇する。従って、乾燥速度の制約が既乾表面の加熱である場合は、プラスチックトレイ内凍結材料の昇華速度が低下することにより緩和するが、乾燥速度の制約が凍結固化の弛緩であれば、凍結層内の熱流は、かえって昇華速度を引き下げることになる。
【0021】
加熱棚2、3は単純に熱媒体または加熱ヒーターで同一温度制御で一般的に実施している。この場合、加熱棚2からの熱流41を既乾燥層表面が許容温度以下にするべく制御するか、加熱棚3から熱流40を液材料Mの凍結部が許容温度以下にするべきか、どちらかの条件で決まる。加熱棚は多段に積層される為に加熱棚の上面への熱流と下面への熱流のどちらかの一方の許容温度で制限される。
【0022】
このように、プラスチック容器a内で凍結した液材料Mの凍結乾燥が長時間を要する主な原因が、昇華水蒸気の脱出面が片面(自由表面)に限られ、熱流および水蒸気流の通過厚さが倍加し、昇華面積が半減するためであることが、判ってきた。
【0023】
そこで、プラスチックの容器a…内に分注して予備凍結庫Dにおいて凍結させた液材料M…を、容器a…から剥離させて取り出し裸の凍結した液材料Mとし、これを、別に形成した底面を多孔板または網体としたトレイB内に移して、そのトレイBを、トロリーCの支持枠11に支架し、これを、凍結乾燥庫E内に装入して凍結乾燥する試みを行った。
【0024】
図5は、これを、前述の図4に示している手段と同様に模式的に表した図で、同図5において、Eは凍結乾燥庫、2はその凍結乾燥庫E内に棚設せる加熱棚、3はそれの下位に棚設せる加熱棚、Cはトロリー、Bは底面を網体に形成したトレイ、M…は、金属材よりなる通常のトレイB内に装填したプラスチックの容器a…内に分注して予備凍結庫D内において凍結させた後に、その容器a内から剥離して取り出し前述の底面が網体のトレイB内に移した裸の凍結した液材料を示す。
【0025】
そして、60はこの容器aの内腔形状に倣う形状に成形された裸の凍結した液材料Mの上表面側である上部の自由表面、61はその凍結した液材料Mの下部の自由表面、62はそれの上部の昇華面、63はそれの下部の昇華面、64は上部の昇華面62からの水蒸気流、65は下部の昇華面63からの水蒸気流、66は凍結した液材料Mの上部側に形成されていく上部の既乾燥層、67はそれの下部側に形成されていく下部の既乾燥層、68は上部の加熱棚2から上部の自由表面60に伝わる熱流、69は下部の加熱棚3から下部の自由表面61に伝わる熱流、Lは凍結した液材料の厚さ、lは既乾燥層66・67の厚さを示している。
【0026】
この底面を網状としたトレイBに移した裸の液材料Mの成型凍結体の凍結乾燥について見れば、上部および下部の加熱棚2・3から、上部および下部の自由表面60・61へ伝わる熱流68・69は、凍結している液材料Mの表裏から水蒸気が脱出できるために、既乾燥層厚66・67を通過して昇華面62・63に達することにより、ほぼ上下対称となるため、通過する既乾燥層66・67の厚さは0からL/2まで変化し、昇華工程中の平均厚はそれぞれL/4である。同様に両昇華面62・63から発生する水蒸気流を通過する既乾燥層の平均厚は、それぞれL/4であり、昇華水蒸気流の流路面積は2Asである。即ち、両面輻射加熱・両面昇華となる。
【0027】
また、昇華速度(水蒸気流量)の既乾燥層の最大水蒸気圧力差△Pは、図4に示した従来の金属製のトレイB内に入れるプラスチック容器a内の液材料Mの場合に比して1/4となり、従って、昇華速度は、図4の従来手段に比して4倍の昇華速度となる。
【0028】
上下両面輻射加熱・両面昇華は上下共に中心部を中心に対称である為、加熱棚2・3は同一温度制御でする合理的設計となる。
【0029】
また、既乾燥層を通過する熱流についても同様の関係であるから、凍結乾燥中に既乾燥層表面の温度tdが許容温度を超えない限度で可能な既乾燥層内の熱流量も前述の図4に示す従来手段に比し、4倍となる。
【0030】
即ち、このプラスチックの容器a内で凍結させた液材料Mを、その容器aから剥離させて取り出し、裸の状態として底面を網状または多孔状としたトレイB内に移して凍結乾燥庫Eにおいて凍結乾燥させるときは、従来手段に比して乾燥速度を著しく早めるようになることが判り、そして、実際にも、プラスチックの容器a…内に固形分20%の卵スープを液材料として分注し凍結させて、1個46gr、厚さ20mmの成型された液材料Mの成型凍結体を形成し、それを凍結乾燥庫Eにおいて凍結乾燥させたところ、乾燥時間が約3分の1短縮される結果が得られている。
【0031】
そして、このことから、本発明手段においては、前述の目的を達成するための手段として、請求項1に記載した、お粥やスープ類等の調理済みの加工食品たる液材料を、所定の形状・容量の容器内に一食分づつの量として分注し、それを予備凍結庫内において凍結させて形成した固形の凍結体を容器内から剥離させて取り出し裸の成型凍結体とし、その液材料の裸の成型凍結体を、底面を網体または多孔板としたトレイ内に投入して、そのトレイごと、凍結乾燥庫内に上下に並列するよう棚設せる加熱棚と加熱棚との中間位置に装入し、その凍結乾燥庫により両面輻射加熱・両面昇華の条件下において凍結乾燥させることを特徴とする成型加工食品の真空凍結乾燥方法を提起するものである。
【0032】
また、この請求項1の手段を実施するための凍結乾燥装置として、請求項2・請求項3・請求項4・請求項5・請求項6に記載した調理済みの加工食品の液材料を一食分づつの固形の成型凍結体に凍結させる予備凍結庫と、凍結させた成型凍結体を支承するトレイと、そのトレイを支持枠に支架するトロリーと、そのトロリーの装入によりそれの支持枠に支架せるトレイの上位および下位に位置するように棚設された加熱棚を具備する凍結乾燥庫とからなる成型加工食品の真空凍結乾燥装置において、トレイを、金属材によりそれの底面が網体または多孔板とした形態に形成しておくことを特徴とする成型加工食品の真空凍結乾燥装置。
および、調理済みの加工食品の液材料を一食分づつの固形の成型凍結体に凍結させる予備凍結庫と、凍結させた成型凍結体を支承するトレイと、そのトレイを支持枠に支架するトロリーと、そのトロリーの装入によりそれの支持枠に支架せるトレイの上位および下位に位置するように棚設された加熱棚を具備する凍結乾燥庫とからなる成型加工食品の真空凍結乾燥装置において、トレイを、金属材により底面が盲の底板となるように形成して、それの内部に、金属材よりなる網体または多孔板を、底面から所定の間隔寸法をおいて浮き上がる高さ位置に棚設しておくことを特徴とする成型加工食品の真空凍結乾燥装置。
および、調理済みの加工食品としたお粥やスープ類等の液材料を、一食分づつの量として分注するプラスチックの容器と、その容器を複数個整列させた状態で収容する金属材よりなるトレイを、そのトレイを支持枠に支架するトロリーと、そのトロリーの支持枠に支架したトレイ内のプラスチック容器に分注した液材料を凍結させる予備凍結庫と、そのトロリーの装入によりそれの支持枠に支架せるトレイの上位および下位に位置するよう棚設された加熱棚を具備する凍結乾燥庫とからなる成型加工食品の真空凍結乾燥装置において、一食分づつの量の液材料を分注するプラスチックの容器を、それの底面に開放口が開口する形状に形成して、その開放口を液材料の凍結後に剥離し得るシートまたは装脱自在の蓋により閉塞しておくことを特徴とする成型加工食品の真空凍結乾燥装置。
および、調理済みの加工食品としたお粥やスープ類等の液材料を、一食分づつの量として分注するプラスチックの容器と、その容器を複数個整列させた状態で収容する金属材よりなるトレイを、そのトレイを支持枠に支架するトロリーと、そのトロリーの支持枠に支架したトレイ内のプラスチック容器に分注した液材料を凍結させる予備凍結庫と、そのトロリーの装入によりそれの支持枠に支架せるトレイの上位および下位に位置するよう棚設された加熱棚を具備する凍結乾燥庫とからなる成型加工食品の真空凍結乾燥装置において、一食分づつの量の液材料を分注するプラスチック容器を、それの底面に開放口が開口する形状に形成して、その開放口を液材料の凍結後に剥離し得るシートまたは装脱自在の蓋により閉塞しておき、かつ、180度反転させた状態においてトレイ内に装填し得る形状に形成しておくことを特徴とする成型加工食品の真空凍結乾燥装置。
ならびに、プラスチック容器には、それの上面側の開放口の口縁に、それに分注した液材料を凍結させた状態においてトレイ内で180度反転させたときに、凍結した液材料の表面よりも下方に突出して、その液材料の表面を、トレイの底面から浮かせてその液材料の表面を自由空間に連通させる支脚となる突出壁を設けておくことを特徴とする請求項5記載の成型加工食品の真空凍結乾燥装置を提起するものである。
【0033】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に係る発明の実施には、液材料を、所定形状・大きさで裸の状態の成型凍結体に形成するための予備凍結装置が必要である。
【0034】
この予備凍結装置としては、裸の状態の液材料Mの成型凍結体が形成できるものであればよく適宜に構成してよいものであるが、効率よく裸の状態の液材料の成型凍結体が形成し得るようにするため、例えば、図6にあるように、一対に対向するローラ80・80に、エンドレスに金属板よりなるベルト81をかけまわして、同図において矢印方向に回動するよう駆動し、そのベルト81の外周に、プラスチック材により多数の容器a…を成形してベルト状に連続させたプラスチックのベルト82を巻き付け装着し、これの上方の回動側の回動方向における始端側の上方に、回動してくるプラスチックの容器a…内に液材料を所定量づつ分注する分注ヘッド83を設け、液材料が分注された容器a…が回動してくる途中に、冷却されたエアーを吹き出す冷凍機84・84を配設し、これらにより構成するベルトフリーザーの形態の凍結機8を用い、これを、庫内を冷凍温度に保持し得る冷凍庫85内に設置して予備凍結庫Dとし、これの前記凍結機8のエンドレスに回動する金属ベルト81の搬送方向の終端側の回動端部の下方に、そこに回動してきて反転する各容器a…から裸の成型凍結体として放出される凍結した液材料Mを、回収して集積させる回収部86を設けて、ここに、その凍結した液材料M…を搬出する搬出手段と取出口87とを設けるように構成してよい。
【0035】
そして、このベルトフリーザーの形態に構成した予備凍結庫Dの取出口87から取り出される裸の成型凍結体である凍結した液材料Mを、トレイBに投入するようにするが、そのトレイBは、底面を網体90または多孔板とした形態のトレイBに構成しておき、それの底面の網体90または多孔板の上に凍結した液材料Mの成型凍結体を裸のまま投入していくようにする。
【0036】
このとき、この形態のトレイBは、従前手段において使用されているトロリーCの支持枠11…に支架される形状・寸法のものに構成しておいてよく、そのようにすることで、トレイB…をトロリーCに支架した状態で、トロリーCごと従前形態の凍結乾燥庫E内に装入していくことにより両面輻射加熱・両面昇華の形態で凍結乾燥していけるようになる。
【0037】
このように構成して用いるトレイBは、容器a…内に所定形状の成型凍結体として凍結させた液材料Mを、容器aから取り出して裸の成型凍結体の状態としてこのトレイB内に投入し、それの底面の網体90または多孔板の上に敷き並べ、その状態でトレイBを凍結乾燥庫E内に装入して加熱棚2と加熱棚3との中間に位置させて、凍結乾燥することで、凍結した液材料Mの成型凍結体を両面から輻射加熱し、水蒸気が両面から昇華する状態として乾燥していけるようにするためであり、凍結乾燥庫E内の加熱棚2と加熱棚3との中間位置に配置することで、両面輻射加熱で両面昇華の態様で凍結し液材料の裸の成型凍結体の乾燥が行えるようになればよく、上述の構成に限定されるものではない。例えば、図7に示しているように、トレイBは金属板により従前のトレイBと同様に形成しておいて、それの内腔の底部に網状体91または多孔板を、トレイBの底壁の上面から所定の距離だけ浮き上がる高さ位置に、棚板状に落し込み、この網状体91または多孔板が、トレイB内に投入する凍結した液材料Mの成型凍結体を支承するトレイBの底面となるようにして、その網状体91または多孔板の上に並列させる凍結した液材料Mよりなる裸の成型凍結体が、その網状体91または多孔板とトレイBの底壁上面との間に形成される空間を介して凍結乾燥庫E内の自由空間に対し連通するようにする場合、また、トレイB自体を網状体または多孔板で成形しておく場合など適宜に構成してよい。
【0038】
また、トレイB内に投入する凍結させた液材料Mを、容器aから取り出して裸の成型凍結体とするのは、それの上下の両面側に、自由空間に接する自由表面60・61が形成されるようにして、両面輻射加熱・両面昇華の態様で凍結乾燥が行われるようにするためであり、凍結させた液材料Mの成型凍結体を容器aから剥離して裸の状態とすることは、必ずしも必要がない。
【0039】
凍結した液材料Mの成型凍結体を形成する予備凍結庫Dに、前述した図6に示す実施例において、ベルトフリーザーの形態の予備凍結庫Dを用いているのは、凍結した液材料Mの成型凍結体を効率よく得られるようにするためである。
【0040】
従前のトロリーCに支架せるトレイBにプラスチックの容器a…を装填し、これら容器a…内に液材料Mを分注し、トロリーCごと予備凍結庫D内に装入して、凍結させることで、成型凍結体とし、これを、容器aから剥離反転させて、底面を網体90または多孔板としたトレイB内に放出させるようにするようにしてよいことは勿論である。
【0041】
このとき、液材料Mを分注して成型凍結体に成形するプラスチックの容器aを特殊な形態に構成しておくことで、その容器a内に液材料Mを分注して凍結させた成型凍結体に成形したときに、その成型凍結体を容器aから剥離させて取り出すことなく、その成型凍結体を容器a内面に凍結して密着・結合している状態としたまま、両面輻射加熱・両面昇華の状態として凍結乾燥していくことは可能である。
【0042】
これには、例えば、トレイBは、それの底面を網体90または多孔板とした形態のものを用い、このトレイB内に装填しておくプラスチックの容器aを、図8にあるように、それの底面に開口92が開放し、その開口92が剥離可能なシール93で閉塞された構造のものとするか、図9にあるように装脱自在の蓋94により閉塞した構造のものとしておく。
【0043】
そして、このトレイB内に装填したプラスチックの容器a…内に液材料Mを分注し、トロリーCに支架して予備凍結庫D内に装入して、液材料Mを凍結させたときに、トレイBから容器a…を持ち上げて、底面のシール93または蓋94を取り除いて、その底面の開口92を開放し、その状態で容器a…をトレイB内に戻すようにする。
【0044】
これにより、容器a内に分注して凍結させた液材料Mは、図10・図11に示しているように、容器aの内面形状に倣う所定形状の成型凍結体として凍結して容器aに密着・結合した状態で、上下の両面が自由表面となり、かつ、容器aを支承するトレイBの底面が網体90または多孔板としていることで、そのトレイBをトロリーCの支持枠11に支架してトロリーCを凍結乾燥庫E内に装入して凍結乾燥するときに、容器a内に凍結させた液材料Mの成型凍結体に、図5の模式図にあるように上下の両面側に既乾燥層66・67が形成されて、両面昇華により乾燥されていくようになる。
【0045】
また、このように、プラスチックにより成形する容器aを、それの底面に、開口92を開設しておき、それを剥離可能のシール93または装脱自在の蓋94により閉塞した形態のものとして形成しておく手段は、液材料Mを凍結させた容器a…を、底面を網体90または多孔板としたトレイB内で、図12にあるように反転させた状態とし、この状態において、容器a…の底面に開設しておいた開口92…から、蓋94…またはシール93…を取り外すことで各容器a…内に凍結している液材料Mの成型凍結体の上下の両面が自由表面となるから、この状態でトレイBを凍結乾燥庫Eの加熱棚2・3…の棚間隔内に装入して凍結乾燥することにより両面輻射加熱、両面昇華により乾燥させていけるようになる。
【0046】
また、この容器aの底面に開口92を開放して、それを、蓋94またはシール93により閉塞しておく手段は、その容器aの上面側の開放口の口縁部に、図13・14にあるように、その容器a内に分注して凍結させる液材料Mの上表面よりも高く立ち上がる立上壁95を、それの上端側に切欠部を形成するか、孔隙を形成して形設するか、または、前後・左右の一対に対向する側に形設しておくことで、この容器aを反転させてトレイBの底面に支承させたときに、図15にあるよう、立上壁95が支脚となって、容器a内に凍結してその容器a内面に密着・結合している液材料Mの成型凍結体の、下面側となった反転前の上面側を、トレイBの底面から浮き上がらせて、支脚となる立上壁95に設けた切欠部または孔隙または欠除部を介して凍結乾燥庫E内の自由空間に対し連通する状態とし得るようになる。
【0047】
従って、このように容器aの形状を形成しておくときは、分注した液材料Mの予備凍結を終えたときに、容器aをトレイB上において反転させて、底面側に設けておいたシール93または蓋94を外すことで、容器a内の凍結した液材料Mを容器aから剥離させず、容器a内面に密着・結合している状態において、両面輻射加熱・両面昇華により乾燥していけるようになる。
【0048】
そして、この手段においては、トレイBは、それの底面が、盲板であってもよく、そのため、図15にあるよう従前の金属製の在来トレイBを用いても、両面加熱・両面昇華により凍結乾燥していけるようになる。
【発明の効果】
以上説明したように、本発明による成型加工食品の真空凍結乾燥手段は、お粥やスープ類の調理済みの加工食品である液材料を、所定の形状・容量の容器内に、一食分づつの分量として分注し、予備凍結庫において凍結し、それを、トレイに支架して凍結乾燥庫の加熱棚の棚間隔内に装入して凍結乾燥させることで、ポーションタイプの成型加工食品を生産するのに、容器内で凍結させた液材料を、容器から剥離させて取出し、裸の成型凍結体として、これを、底面を網体または多孔板としたトレイ内に投入して、凍結乾燥庫の加熱棚の棚間隔内に装入することで、両面輻射加熱・両面昇華により凍結乾燥させるようにしているのだから、成型凍結体の乾燥時間が大巾に短縮されて、成型加工食品の製造コストを著しく低減し得るようになる。
また、液材料を一食分づつの成型凍結体に凍結させるプラスチックの容器を、それの底面に、蓋またはシールにより閉塞される開口を具備する形態に作っておくことで、容器内に凍結させて液材料の成型凍結体を、容器から剥離させずに、容器に密着・結合している状態のままで、両面輻射加熱・両面昇華により凍結乾燥していけるようになり、乾燥時間の大巾の短縮と製造コストの低減が得られるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】真空凍結乾燥による成型加工食品の製造工程の説明図である。
【図2】真空凍結乾燥装置により成型加工食品を製造する際に用いられるトレイとそれに装填したプラスチックで成形される容器の一部破断した斜視図である。
【図3】同上のトレイを指示棚に支架して搬送するトロリーの斜視図である。
【図4】同上のトレイ内に装填したプラスチックの容器内に分注して凍結させた液材料の成型凍結体の、凍結乾燥庫内における乾燥工程の説明図である。
【図5】本発明手段による液材料の成型凍結体の、凍結乾燥庫内における乾燥工程の説明図である。
【図6】本発明手段の実施に用いる予備凍結庫の縦断側面図である。
【図7】本発明手段の実施に用いるトレイの縦断面図である。
【図8】本発明手段の実施に用いるプラスチックの容器の縦断面図である。
【図9】同上容器の別の実施例の縦断面図である。
【図10】同上の図8の実施例の容器のトレイ内に装填した状態の縦断面図である。
【図11】同上の図9の実施例の容器のトレイ内に装填した状態の縦断面図である。
【図12】同上の図8および図9に示す実施例の容器の別の使用態様の縦断面図である。
【図13】同上の容器のさらに別の実施例の斜視図である。
【図14】同上実施例の容器のトレイに装填した状態の縦断面図である。
【図15】同上実施例の容器の、反転させてトレイ内に収容させた状態の縦断面図である。
【符号の説明】
B…トレイ、C…トロリー、D…予備凍結庫、E…凍結乾燥庫、F…モノレール、L・l…厚さ、M…液材料、Pf…平衡蒸気圧、Ps…許容圧力、R…水蒸気移動抵抗、Ts…限界温度、td…温度、a…容器、1…フレーム、10…車輪、11…支持枠、2…加熱棚、3…加熱棚、40・41…熱流、42…トレイの底面、42…自由表面、43…既乾燥層、44…昇華面、45…トレイの底面、46…プラスチック容器の底面、50…水蒸気流、60・61…自由表面、62・63…昇華面、64・65…水蒸気流、66・67…既乾燥層、68・69…熱流、8…連結器、80…ローラ、81・82…ベルト、83…分注ヘッド、84…冷凍機、85…冷凍庫、86…回収部、87…取出口、90…網体、91…網状体、92…開口、93…シール、94…蓋、95…立上壁。
【発明が属する技術分野】
本発明は、お粥やスープ類等の調理済みの食品が、凍結乾燥により一食分づつ固形の成型品に成形されて、熱湯により即席に戻して一人分の食事として使用される成型加工食品を成型加工する真空凍結乾燥手段およびこれに用いる真空乾燥装置と容器についての改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
上述の成型加工食品を真空凍結乾燥装置を用いて生産する手段は、従前にあっては、例えば、調理した卵スープを真空凍結乾燥により成型加工食品の製品に加工する手段について、図1に示す模式図に従い具体的に説明すれば、まず、卵白・卵黄をとき卵様にといたスープに、ネギ・エビ・ホウレン草等の具を加えて調理した卵スープである液材料Mを作り、これを、図2に示しているように、アルミニューム等の金属材よりなるトレイB内に落し込んで装入しておくプラスチック材で成形した容器a…に、一人分の分量となる所定量づつ分注する。
【0003】
このプラスチック材の容器a…は、シート状の樹脂材により、多数の容器a…が縦・横に整列して成形されて、全体が前述の金属材よりなるトレイB内に落し込める大きさ・形状のトレイ状に形成してある。
【0004】
次に、この液材料Mを分注した容器a…を、それら容器a…がトレイB内に装填されている状態において、そのトレイBごと、トロリーCに上下に並列してある支持枠11…に支架する。
【0005】
トロリーCは、図3に示しているように、フレーム1の上面側に、施設の建物内および予備凍結庫Dの内部の天井部ならびに凍結乾燥庫Eの内部の天井部に装設してあるモノレールFに対し懸架せしめる車輪10…が軸支してある台車であり、それのフレーム1の左右の側面には、アングル状の支持枠11を前後に一対に対向させて、上下に多段に並列するように装設してある。
【0006】
前述の液材料Mを分注した容器a…が装入してあるトレイB…は、それを、トロリーCの左右の両側から、各支持枠11…に挿し込むようにしてそれに支架させる。
【0007】
次に、この状態において、トロリーCを押して、トロリーCごと予備凍結庫D内に装入し、ここで、マイナス30℃程度に冷却されたエアーブラストにより容器a…内の液材料M…を凍結させ、外形が容器aの内面形状に倣う成型凍結体に形成する。
【0008】
次に、この予備凍結を終えて成型凍結体となった容器a…内の液材料Mを、容器a…を収容するトレイBが支架されているトロリーCごと引き出して、そのトロリーCごと凍結乾燥庫E内に装入する。
【0009】
このとき、トロリーCの各支持枠11…に支架してあるトレイB…は、そのトロリーCの各支持枠11…に対応させて凍結乾燥庫E内に棚設してある加熱棚2…の棚間隔内に、図4に示している状態となって凍結乾燥庫E内に装入される。
【0010】
そして、この図4にある状態において、真空下に保持されて加熱棚2・3から供給される昇華熱により、液材料Mの材料内水分が昇華して凍結乾燥されるようになる。
【0011】
これにより液材料Mの乾燥が終えたところで、凍結乾燥庫Eを開いて、トロリーCごと容器a内において乾燥した液材料Mの乾燥品を搬出し、それを、プラスチックの容器a…から取り出して、包装装置により個別包装して成型加工食品の製品とする、という工程によって行われている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
上述の従前の成型加工食品を凍結乾燥により生産する手段は、乾燥時間が著しく長く、得られる凍結乾燥製品のコストが増大するという重大な欠点がある。
【0013】
本発明は、従来手段に生じているこの乾燥時間が長い問題を解消せしめるためになされたものであって、液材料を容器内に分注して予備凍結庫において成型凍結体に凍結させ、それを凍結乾燥庫内において、真空下で材料内水分を昇華させることで行う凍結乾燥により、ポーションタイプの成型加工食品に製造する際の、凍結乾燥庫内における成型凍結体の乾燥時間を大巾に短縮して、それの凍結乾燥による成型加工食品の製造コストを低減せしめる新たな手段を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
そして本発明手段は、上述の目的を達成するために、乾燥庫内において成型加工食品が凍結乾燥されていく工程について、種々の検討を加えて得られた知見に基づいて完成したものである。
【0015】
金属製のトレイB内に装填したプラスチックの容器a…に分注された液材料Mの乾燥は、図4において、Eは凍結乾燥庫、Bはその凍結乾燥庫E内に装入したトレイ、aはそのトレイB内に収容してある容器、Mは容器a内に分注された液材料、2はトレイBの上方に位置する凍結乾燥庫E内の上部の加熱棚、3はトレイBの下方に位置する下部の加熱棚、40はその下部の加熱棚3から液材料Mに対し供給される熱流、41は上部の加熱棚2から液材料Mに対し供給される熱流、Lは液材料Mの液厚、42は液材料Mの自由表面、43は液材料Mに生成してくる既乾燥層、lはその既乾燥層43の厚さ、44はその既乾燥層43の下面側に形成される昇華面、45はトレイBの底面、46は容器aの底面、50は水蒸気流をそれぞれ示しているとすると、液材料Mは、トレイBの上方および下方に位置する上部の加熱棚2と下部の加熱棚3から供給される昇華熱により、材料内水分が昇華して乾燥していくが、このときの水蒸気の脱出面は、液材料Mがプラスチックの容器aの内面に密着して凍結していることで、自由表面42の側の一面だけとなり、従って、両面輻射加熱・片面昇華の形態で乾燥が進行していくようになっている。
【0016】
そして、このように、液材料Mをプラスチックの容器a内に分注後に凍結させることで、液材料Mが、プラスチックの容器aの内面に密着して凍結し、それの昇華面44と昇華した水蒸気の脱出面が、凍結液材料Mの自由表面42側の一面となり、トレイBの底面45側には昇華面が形成されないことから、両面輻射加熱・片面昇華となって乾燥が進行し、そのときの、下部の加熱棚からトレイBの底面45とプラスチックの容器aの底面46を経て昇華面44へ伝わる熱流40は、液材料Mの厚さLから既乾燥層43の厚さを引いた厚さL−lの凍結層(昇華工程中の平均厚L/2)を通過していき、また、上部の加熱棚2から自由表面42を経て昇華面に伝わる熱流41は、厚さlの既乾燥層(昇華工程中の平均厚L/2)を通過するようになり、さらに両熱流40・41により昇華面44から発生する水蒸気流50は、厚さlの既乾燥層(平均層L/2)を通過して、自由表面42側からだけ凍結乾燥庫E内の自由空間に脱出することになることで、乾燥の進行の効率が著しく悪くなっていることによるものであることが判ってきた。
【0017】
また、プラスチック容器aは面積をAsとすれば、昇華水蒸気流の脱出流路面積もAsであり、アルミトレイB底面とプラスチック容器aの底面との間に接触伝熱抵抗があることも乾燥時間を長くする原因となっている。
【0018】
さらに、水蒸気流が昇華面から多孔体の既乾燥層を通過するとき、圧力差△Pが生じる。△Pは水蒸気流量と既乾燥層の水蒸気移動抵抗Rに比例する。また、水蒸気移動抵抗Rは既乾燥層厚に比例して乾燥層面積に反比例する。凍結乾燥中で昇華面の許容圧力Psは、凍結体の固体化が弛緩する限界温度Tfの平衡蒸気圧Pf*以下にする必要があり、昇華速度(水蒸気流量)の既乾燥層の最大水蒸気圧力差△Pは(Pf*−PO)以下であり、この昇華速度しか許されない。
【0019】
また、既乾燥層を通過する熱流についても同様の関係であるから、凍結乾燥中に既乾燥層表面の温度tdが許容温度を超えない限度で可能な既乾燥層内の熱流量となる。
【0020】
また、凍結層内を通して昇華面へ伝わる熱流40により既乾燥層内熱流を補充できるけれども熱流が凍結層を通して昇華面へ伝わるとき、熱流量と凍結層厚に比例する伝熱温度差が生じる。その温度差だけプラスチックトレイ底面温度は昇華面温度よりさらに上昇する。従って、乾燥速度の制約が既乾表面の加熱である場合は、プラスチックトレイ内凍結材料の昇華速度が低下することにより緩和するが、乾燥速度の制約が凍結固化の弛緩であれば、凍結層内の熱流は、かえって昇華速度を引き下げることになる。
【0021】
加熱棚2、3は単純に熱媒体または加熱ヒーターで同一温度制御で一般的に実施している。この場合、加熱棚2からの熱流41を既乾燥層表面が許容温度以下にするべく制御するか、加熱棚3から熱流40を液材料Mの凍結部が許容温度以下にするべきか、どちらかの条件で決まる。加熱棚は多段に積層される為に加熱棚の上面への熱流と下面への熱流のどちらかの一方の許容温度で制限される。
【0022】
このように、プラスチック容器a内で凍結した液材料Mの凍結乾燥が長時間を要する主な原因が、昇華水蒸気の脱出面が片面(自由表面)に限られ、熱流および水蒸気流の通過厚さが倍加し、昇華面積が半減するためであることが、判ってきた。
【0023】
そこで、プラスチックの容器a…内に分注して予備凍結庫Dにおいて凍結させた液材料M…を、容器a…から剥離させて取り出し裸の凍結した液材料Mとし、これを、別に形成した底面を多孔板または網体としたトレイB内に移して、そのトレイBを、トロリーCの支持枠11に支架し、これを、凍結乾燥庫E内に装入して凍結乾燥する試みを行った。
【0024】
図5は、これを、前述の図4に示している手段と同様に模式的に表した図で、同図5において、Eは凍結乾燥庫、2はその凍結乾燥庫E内に棚設せる加熱棚、3はそれの下位に棚設せる加熱棚、Cはトロリー、Bは底面を網体に形成したトレイ、M…は、金属材よりなる通常のトレイB内に装填したプラスチックの容器a…内に分注して予備凍結庫D内において凍結させた後に、その容器a内から剥離して取り出し前述の底面が網体のトレイB内に移した裸の凍結した液材料を示す。
【0025】
そして、60はこの容器aの内腔形状に倣う形状に成形された裸の凍結した液材料Mの上表面側である上部の自由表面、61はその凍結した液材料Mの下部の自由表面、62はそれの上部の昇華面、63はそれの下部の昇華面、64は上部の昇華面62からの水蒸気流、65は下部の昇華面63からの水蒸気流、66は凍結した液材料Mの上部側に形成されていく上部の既乾燥層、67はそれの下部側に形成されていく下部の既乾燥層、68は上部の加熱棚2から上部の自由表面60に伝わる熱流、69は下部の加熱棚3から下部の自由表面61に伝わる熱流、Lは凍結した液材料の厚さ、lは既乾燥層66・67の厚さを示している。
【0026】
この底面を網状としたトレイBに移した裸の液材料Mの成型凍結体の凍結乾燥について見れば、上部および下部の加熱棚2・3から、上部および下部の自由表面60・61へ伝わる熱流68・69は、凍結している液材料Mの表裏から水蒸気が脱出できるために、既乾燥層厚66・67を通過して昇華面62・63に達することにより、ほぼ上下対称となるため、通過する既乾燥層66・67の厚さは0からL/2まで変化し、昇華工程中の平均厚はそれぞれL/4である。同様に両昇華面62・63から発生する水蒸気流を通過する既乾燥層の平均厚は、それぞれL/4であり、昇華水蒸気流の流路面積は2Asである。即ち、両面輻射加熱・両面昇華となる。
【0027】
また、昇華速度(水蒸気流量)の既乾燥層の最大水蒸気圧力差△Pは、図4に示した従来の金属製のトレイB内に入れるプラスチック容器a内の液材料Mの場合に比して1/4となり、従って、昇華速度は、図4の従来手段に比して4倍の昇華速度となる。
【0028】
上下両面輻射加熱・両面昇華は上下共に中心部を中心に対称である為、加熱棚2・3は同一温度制御でする合理的設計となる。
【0029】
また、既乾燥層を通過する熱流についても同様の関係であるから、凍結乾燥中に既乾燥層表面の温度tdが許容温度を超えない限度で可能な既乾燥層内の熱流量も前述の図4に示す従来手段に比し、4倍となる。
【0030】
即ち、このプラスチックの容器a内で凍結させた液材料Mを、その容器aから剥離させて取り出し、裸の状態として底面を網状または多孔状としたトレイB内に移して凍結乾燥庫Eにおいて凍結乾燥させるときは、従来手段に比して乾燥速度を著しく早めるようになることが判り、そして、実際にも、プラスチックの容器a…内に固形分20%の卵スープを液材料として分注し凍結させて、1個46gr、厚さ20mmの成型された液材料Mの成型凍結体を形成し、それを凍結乾燥庫Eにおいて凍結乾燥させたところ、乾燥時間が約3分の1短縮される結果が得られている。
【0031】
そして、このことから、本発明手段においては、前述の目的を達成するための手段として、請求項1に記載した、お粥やスープ類等の調理済みの加工食品たる液材料を、所定の形状・容量の容器内に一食分づつの量として分注し、それを予備凍結庫内において凍結させて形成した固形の凍結体を容器内から剥離させて取り出し裸の成型凍結体とし、その液材料の裸の成型凍結体を、底面を網体または多孔板としたトレイ内に投入して、そのトレイごと、凍結乾燥庫内に上下に並列するよう棚設せる加熱棚と加熱棚との中間位置に装入し、その凍結乾燥庫により両面輻射加熱・両面昇華の条件下において凍結乾燥させることを特徴とする成型加工食品の真空凍結乾燥方法を提起するものである。
【0032】
また、この請求項1の手段を実施するための凍結乾燥装置として、請求項2・請求項3・請求項4・請求項5・請求項6に記載した調理済みの加工食品の液材料を一食分づつの固形の成型凍結体に凍結させる予備凍結庫と、凍結させた成型凍結体を支承するトレイと、そのトレイを支持枠に支架するトロリーと、そのトロリーの装入によりそれの支持枠に支架せるトレイの上位および下位に位置するように棚設された加熱棚を具備する凍結乾燥庫とからなる成型加工食品の真空凍結乾燥装置において、トレイを、金属材によりそれの底面が網体または多孔板とした形態に形成しておくことを特徴とする成型加工食品の真空凍結乾燥装置。
および、調理済みの加工食品の液材料を一食分づつの固形の成型凍結体に凍結させる予備凍結庫と、凍結させた成型凍結体を支承するトレイと、そのトレイを支持枠に支架するトロリーと、そのトロリーの装入によりそれの支持枠に支架せるトレイの上位および下位に位置するように棚設された加熱棚を具備する凍結乾燥庫とからなる成型加工食品の真空凍結乾燥装置において、トレイを、金属材により底面が盲の底板となるように形成して、それの内部に、金属材よりなる網体または多孔板を、底面から所定の間隔寸法をおいて浮き上がる高さ位置に棚設しておくことを特徴とする成型加工食品の真空凍結乾燥装置。
および、調理済みの加工食品としたお粥やスープ類等の液材料を、一食分づつの量として分注するプラスチックの容器と、その容器を複数個整列させた状態で収容する金属材よりなるトレイを、そのトレイを支持枠に支架するトロリーと、そのトロリーの支持枠に支架したトレイ内のプラスチック容器に分注した液材料を凍結させる予備凍結庫と、そのトロリーの装入によりそれの支持枠に支架せるトレイの上位および下位に位置するよう棚設された加熱棚を具備する凍結乾燥庫とからなる成型加工食品の真空凍結乾燥装置において、一食分づつの量の液材料を分注するプラスチックの容器を、それの底面に開放口が開口する形状に形成して、その開放口を液材料の凍結後に剥離し得るシートまたは装脱自在の蓋により閉塞しておくことを特徴とする成型加工食品の真空凍結乾燥装置。
および、調理済みの加工食品としたお粥やスープ類等の液材料を、一食分づつの量として分注するプラスチックの容器と、その容器を複数個整列させた状態で収容する金属材よりなるトレイを、そのトレイを支持枠に支架するトロリーと、そのトロリーの支持枠に支架したトレイ内のプラスチック容器に分注した液材料を凍結させる予備凍結庫と、そのトロリーの装入によりそれの支持枠に支架せるトレイの上位および下位に位置するよう棚設された加熱棚を具備する凍結乾燥庫とからなる成型加工食品の真空凍結乾燥装置において、一食分づつの量の液材料を分注するプラスチック容器を、それの底面に開放口が開口する形状に形成して、その開放口を液材料の凍結後に剥離し得るシートまたは装脱自在の蓋により閉塞しておき、かつ、180度反転させた状態においてトレイ内に装填し得る形状に形成しておくことを特徴とする成型加工食品の真空凍結乾燥装置。
ならびに、プラスチック容器には、それの上面側の開放口の口縁に、それに分注した液材料を凍結させた状態においてトレイ内で180度反転させたときに、凍結した液材料の表面よりも下方に突出して、その液材料の表面を、トレイの底面から浮かせてその液材料の表面を自由空間に連通させる支脚となる突出壁を設けておくことを特徴とする請求項5記載の成型加工食品の真空凍結乾燥装置を提起するものである。
【0033】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に係る発明の実施には、液材料を、所定形状・大きさで裸の状態の成型凍結体に形成するための予備凍結装置が必要である。
【0034】
この予備凍結装置としては、裸の状態の液材料Mの成型凍結体が形成できるものであればよく適宜に構成してよいものであるが、効率よく裸の状態の液材料の成型凍結体が形成し得るようにするため、例えば、図6にあるように、一対に対向するローラ80・80に、エンドレスに金属板よりなるベルト81をかけまわして、同図において矢印方向に回動するよう駆動し、そのベルト81の外周に、プラスチック材により多数の容器a…を成形してベルト状に連続させたプラスチックのベルト82を巻き付け装着し、これの上方の回動側の回動方向における始端側の上方に、回動してくるプラスチックの容器a…内に液材料を所定量づつ分注する分注ヘッド83を設け、液材料が分注された容器a…が回動してくる途中に、冷却されたエアーを吹き出す冷凍機84・84を配設し、これらにより構成するベルトフリーザーの形態の凍結機8を用い、これを、庫内を冷凍温度に保持し得る冷凍庫85内に設置して予備凍結庫Dとし、これの前記凍結機8のエンドレスに回動する金属ベルト81の搬送方向の終端側の回動端部の下方に、そこに回動してきて反転する各容器a…から裸の成型凍結体として放出される凍結した液材料Mを、回収して集積させる回収部86を設けて、ここに、その凍結した液材料M…を搬出する搬出手段と取出口87とを設けるように構成してよい。
【0035】
そして、このベルトフリーザーの形態に構成した予備凍結庫Dの取出口87から取り出される裸の成型凍結体である凍結した液材料Mを、トレイBに投入するようにするが、そのトレイBは、底面を網体90または多孔板とした形態のトレイBに構成しておき、それの底面の網体90または多孔板の上に凍結した液材料Mの成型凍結体を裸のまま投入していくようにする。
【0036】
このとき、この形態のトレイBは、従前手段において使用されているトロリーCの支持枠11…に支架される形状・寸法のものに構成しておいてよく、そのようにすることで、トレイB…をトロリーCに支架した状態で、トロリーCごと従前形態の凍結乾燥庫E内に装入していくことにより両面輻射加熱・両面昇華の形態で凍結乾燥していけるようになる。
【0037】
このように構成して用いるトレイBは、容器a…内に所定形状の成型凍結体として凍結させた液材料Mを、容器aから取り出して裸の成型凍結体の状態としてこのトレイB内に投入し、それの底面の網体90または多孔板の上に敷き並べ、その状態でトレイBを凍結乾燥庫E内に装入して加熱棚2と加熱棚3との中間に位置させて、凍結乾燥することで、凍結した液材料Mの成型凍結体を両面から輻射加熱し、水蒸気が両面から昇華する状態として乾燥していけるようにするためであり、凍結乾燥庫E内の加熱棚2と加熱棚3との中間位置に配置することで、両面輻射加熱で両面昇華の態様で凍結し液材料の裸の成型凍結体の乾燥が行えるようになればよく、上述の構成に限定されるものではない。例えば、図7に示しているように、トレイBは金属板により従前のトレイBと同様に形成しておいて、それの内腔の底部に網状体91または多孔板を、トレイBの底壁の上面から所定の距離だけ浮き上がる高さ位置に、棚板状に落し込み、この網状体91または多孔板が、トレイB内に投入する凍結した液材料Mの成型凍結体を支承するトレイBの底面となるようにして、その網状体91または多孔板の上に並列させる凍結した液材料Mよりなる裸の成型凍結体が、その網状体91または多孔板とトレイBの底壁上面との間に形成される空間を介して凍結乾燥庫E内の自由空間に対し連通するようにする場合、また、トレイB自体を網状体または多孔板で成形しておく場合など適宜に構成してよい。
【0038】
また、トレイB内に投入する凍結させた液材料Mを、容器aから取り出して裸の成型凍結体とするのは、それの上下の両面側に、自由空間に接する自由表面60・61が形成されるようにして、両面輻射加熱・両面昇華の態様で凍結乾燥が行われるようにするためであり、凍結させた液材料Mの成型凍結体を容器aから剥離して裸の状態とすることは、必ずしも必要がない。
【0039】
凍結した液材料Mの成型凍結体を形成する予備凍結庫Dに、前述した図6に示す実施例において、ベルトフリーザーの形態の予備凍結庫Dを用いているのは、凍結した液材料Mの成型凍結体を効率よく得られるようにするためである。
【0040】
従前のトロリーCに支架せるトレイBにプラスチックの容器a…を装填し、これら容器a…内に液材料Mを分注し、トロリーCごと予備凍結庫D内に装入して、凍結させることで、成型凍結体とし、これを、容器aから剥離反転させて、底面を網体90または多孔板としたトレイB内に放出させるようにするようにしてよいことは勿論である。
【0041】
このとき、液材料Mを分注して成型凍結体に成形するプラスチックの容器aを特殊な形態に構成しておくことで、その容器a内に液材料Mを分注して凍結させた成型凍結体に成形したときに、その成型凍結体を容器aから剥離させて取り出すことなく、その成型凍結体を容器a内面に凍結して密着・結合している状態としたまま、両面輻射加熱・両面昇華の状態として凍結乾燥していくことは可能である。
【0042】
これには、例えば、トレイBは、それの底面を網体90または多孔板とした形態のものを用い、このトレイB内に装填しておくプラスチックの容器aを、図8にあるように、それの底面に開口92が開放し、その開口92が剥離可能なシール93で閉塞された構造のものとするか、図9にあるように装脱自在の蓋94により閉塞した構造のものとしておく。
【0043】
そして、このトレイB内に装填したプラスチックの容器a…内に液材料Mを分注し、トロリーCに支架して予備凍結庫D内に装入して、液材料Mを凍結させたときに、トレイBから容器a…を持ち上げて、底面のシール93または蓋94を取り除いて、その底面の開口92を開放し、その状態で容器a…をトレイB内に戻すようにする。
【0044】
これにより、容器a内に分注して凍結させた液材料Mは、図10・図11に示しているように、容器aの内面形状に倣う所定形状の成型凍結体として凍結して容器aに密着・結合した状態で、上下の両面が自由表面となり、かつ、容器aを支承するトレイBの底面が網体90または多孔板としていることで、そのトレイBをトロリーCの支持枠11に支架してトロリーCを凍結乾燥庫E内に装入して凍結乾燥するときに、容器a内に凍結させた液材料Mの成型凍結体に、図5の模式図にあるように上下の両面側に既乾燥層66・67が形成されて、両面昇華により乾燥されていくようになる。
【0045】
また、このように、プラスチックにより成形する容器aを、それの底面に、開口92を開設しておき、それを剥離可能のシール93または装脱自在の蓋94により閉塞した形態のものとして形成しておく手段は、液材料Mを凍結させた容器a…を、底面を網体90または多孔板としたトレイB内で、図12にあるように反転させた状態とし、この状態において、容器a…の底面に開設しておいた開口92…から、蓋94…またはシール93…を取り外すことで各容器a…内に凍結している液材料Mの成型凍結体の上下の両面が自由表面となるから、この状態でトレイBを凍結乾燥庫Eの加熱棚2・3…の棚間隔内に装入して凍結乾燥することにより両面輻射加熱、両面昇華により乾燥させていけるようになる。
【0046】
また、この容器aの底面に開口92を開放して、それを、蓋94またはシール93により閉塞しておく手段は、その容器aの上面側の開放口の口縁部に、図13・14にあるように、その容器a内に分注して凍結させる液材料Mの上表面よりも高く立ち上がる立上壁95を、それの上端側に切欠部を形成するか、孔隙を形成して形設するか、または、前後・左右の一対に対向する側に形設しておくことで、この容器aを反転させてトレイBの底面に支承させたときに、図15にあるよう、立上壁95が支脚となって、容器a内に凍結してその容器a内面に密着・結合している液材料Mの成型凍結体の、下面側となった反転前の上面側を、トレイBの底面から浮き上がらせて、支脚となる立上壁95に設けた切欠部または孔隙または欠除部を介して凍結乾燥庫E内の自由空間に対し連通する状態とし得るようになる。
【0047】
従って、このように容器aの形状を形成しておくときは、分注した液材料Mの予備凍結を終えたときに、容器aをトレイB上において反転させて、底面側に設けておいたシール93または蓋94を外すことで、容器a内の凍結した液材料Mを容器aから剥離させず、容器a内面に密着・結合している状態において、両面輻射加熱・両面昇華により乾燥していけるようになる。
【0048】
そして、この手段においては、トレイBは、それの底面が、盲板であってもよく、そのため、図15にあるよう従前の金属製の在来トレイBを用いても、両面加熱・両面昇華により凍結乾燥していけるようになる。
【発明の効果】
以上説明したように、本発明による成型加工食品の真空凍結乾燥手段は、お粥やスープ類の調理済みの加工食品である液材料を、所定の形状・容量の容器内に、一食分づつの分量として分注し、予備凍結庫において凍結し、それを、トレイに支架して凍結乾燥庫の加熱棚の棚間隔内に装入して凍結乾燥させることで、ポーションタイプの成型加工食品を生産するのに、容器内で凍結させた液材料を、容器から剥離させて取出し、裸の成型凍結体として、これを、底面を網体または多孔板としたトレイ内に投入して、凍結乾燥庫の加熱棚の棚間隔内に装入することで、両面輻射加熱・両面昇華により凍結乾燥させるようにしているのだから、成型凍結体の乾燥時間が大巾に短縮されて、成型加工食品の製造コストを著しく低減し得るようになる。
また、液材料を一食分づつの成型凍結体に凍結させるプラスチックの容器を、それの底面に、蓋またはシールにより閉塞される開口を具備する形態に作っておくことで、容器内に凍結させて液材料の成型凍結体を、容器から剥離させずに、容器に密着・結合している状態のままで、両面輻射加熱・両面昇華により凍結乾燥していけるようになり、乾燥時間の大巾の短縮と製造コストの低減が得られるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】真空凍結乾燥による成型加工食品の製造工程の説明図である。
【図2】真空凍結乾燥装置により成型加工食品を製造する際に用いられるトレイとそれに装填したプラスチックで成形される容器の一部破断した斜視図である。
【図3】同上のトレイを指示棚に支架して搬送するトロリーの斜視図である。
【図4】同上のトレイ内に装填したプラスチックの容器内に分注して凍結させた液材料の成型凍結体の、凍結乾燥庫内における乾燥工程の説明図である。
【図5】本発明手段による液材料の成型凍結体の、凍結乾燥庫内における乾燥工程の説明図である。
【図6】本発明手段の実施に用いる予備凍結庫の縦断側面図である。
【図7】本発明手段の実施に用いるトレイの縦断面図である。
【図8】本発明手段の実施に用いるプラスチックの容器の縦断面図である。
【図9】同上容器の別の実施例の縦断面図である。
【図10】同上の図8の実施例の容器のトレイ内に装填した状態の縦断面図である。
【図11】同上の図9の実施例の容器のトレイ内に装填した状態の縦断面図である。
【図12】同上の図8および図9に示す実施例の容器の別の使用態様の縦断面図である。
【図13】同上の容器のさらに別の実施例の斜視図である。
【図14】同上実施例の容器のトレイに装填した状態の縦断面図である。
【図15】同上実施例の容器の、反転させてトレイ内に収容させた状態の縦断面図である。
【符号の説明】
B…トレイ、C…トロリー、D…予備凍結庫、E…凍結乾燥庫、F…モノレール、L・l…厚さ、M…液材料、Pf…平衡蒸気圧、Ps…許容圧力、R…水蒸気移動抵抗、Ts…限界温度、td…温度、a…容器、1…フレーム、10…車輪、11…支持枠、2…加熱棚、3…加熱棚、40・41…熱流、42…トレイの底面、42…自由表面、43…既乾燥層、44…昇華面、45…トレイの底面、46…プラスチック容器の底面、50…水蒸気流、60・61…自由表面、62・63…昇華面、64・65…水蒸気流、66・67…既乾燥層、68・69…熱流、8…連結器、80…ローラ、81・82…ベルト、83…分注ヘッド、84…冷凍機、85…冷凍庫、86…回収部、87…取出口、90…網体、91…網状体、92…開口、93…シール、94…蓋、95…立上壁。
Claims (6)
- お粥やスープ類等の調理済みの加工食品たる液材料を、所定の形状・容量の容器内に一食分づつの量として分注し、それを予備凍結庫内において凍結させて形成した固形の凍結体を容器内から剥離させて取り出し裸の成型凍結体とし、その液材料の裸の成型凍結体を、底面を網体または多孔板としたトレイ内に投入して、そのトレイごと、凍結乾燥庫内に上下に並列するよう棚設せる加熱棚と加熱棚との中間位置に装入し、その凍結乾燥庫により両面輻射加熱・両面昇華の条件下において凍結乾燥させることを特徴とする成型加工食品の真空凍結乾燥方法。
- 調理済みの加工食品の液材料を一食分づつの固形の成型凍結体に凍結させる予備凍結庫と、凍結させた成型凍結体を支承するトレイと、そのトレイを支持棚に支架するトロリーと、そのトロリーの装入によりそれの支持枠に支架せるトレイの上位および下位に位置するように棚設された加熱棚を具備する凍結乾燥庫とからなる成型加工食品の真空凍結乾燥装置において、トレイを、金属材によりそれの底面が網体または多孔板とした形態に形成しておくことを特徴とする成型加工食品の真空凍結乾燥装置。
- 調理済みの加工食品の液材料を一食分づつの固形の成型凍結体に凍結させる予備凍結庫と、凍結させた成型凍結体を支承するトレイと、そのトレイを支持枠に支架するトロリーと、そのトロリーの装入によりそれの支持枠に支架せるトレイの上位および下位に位置するように棚設された加熱棚を具備する凍結乾燥庫とからなる成型加工食品の真空凍結乾燥装置において、トレイを、金属材により底面が盲の底板となるように形成して、それの内部に、金属材よりなる網体または多孔板を、底面から所定の間隔寸法をおいて浮き上がる高さ位置に棚設しておくことを特徴とする成型加工食品の真空凍結乾燥装置。
- 調理済みの加工食品としたお粥やスープ類等の液材料を、一食分づつの量として分注するプラスチックの容器と、その容器を複数個整列させた状態で収容する金属材よりなるトレイを、そのトレイを支持枠に支架するトロリーと、そのトロリーの支持枠に支架したトレイ内のプラスチック容器に分注した液材料を凍結させる予備凍結庫と、そのトロリーの装入によりそれの支持枠に支架せるトレイの上位および下位に位置するよう棚設された加熱棚を具備する凍結乾燥庫とからなる成型加工食品の真空凍結乾燥装置において、一食分づつの量の液材料を分注するプラスチックの容器を、それの底面に開放口が開口する形状に形成して、その開放口を液材料の凍結後に剥離し得るシートまたは装脱自在の蓋により閉塞しておくことを特徴とする成型加工食品の真空凍結乾燥装置。
- 調理済みの加工食品としたお粥やスープ類等の液材料を、一食分づつの量として分注するプラスチックの容器と、その容器を複数個整列させた状態で収容する金属材よりなるトレイを、そのトレイを支持枠に支架するトロリーと、そのトロリーの支持枠に支架したトレイ内のプラスチック容器に分注した液材料を凍結させる予備凍結庫と、そのトロリーの装入によりそれの支持枠に支架せるトレイの上位および下位に位置するよう棚設された加熱棚を具備する凍結乾燥庫とからなる成型加工食品の真空凍結乾燥装置において、一食分づつの量の液材料を分注するプラスチック容器を、それの底面に開放口が開口する形状に形成して、その開放口を液材料の凍結後に剥離し得るシートまたは装脱自在の蓋により閉塞しておき、かつ、180度反転させた状態においてトレイ内に装填し得る形状に形成しておくことを特徴とする成型加工食品の真空凍結乾燥装置。
- プラスチック容器には、それの上面側の開放口の口縁に、それに分注した液材料を凍結させた状態においてトレイ内で180度反転させたときに、凍結した液材料の表面よりも下方に突出して、その液材料の表面を、トレイの底面から浮かせてその液材料の表面を自由空間に連通させる支脚となる突出壁を設けておくことを特徴とする請求項5記載の成型加工食品の真空凍結乾燥装置。
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