JP3615624B2 - 発泡積層体 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、発泡積層体に関する。
【0002】
【従来の技術】
特開昭62−13441号公報に開示されている再膨張性プラスチックチップのように、独立気泡樹脂発泡体からなる原料発泡体が、一旦収縮状態になっていて、この原料発泡体を構成する樹脂の弾性回復力と、気泡膜(セル膜)を通しての外部から独立気泡(セル)内への空気の透過とによって徐々に形状が回復するようになっている遅延された形状回復性を有する形状回復発泡体(以下、「形状回復発泡体」とのみ記す)が、既に提案されている。
【0003】
すなわち、この形状回復発泡体は、上述のように、当初収縮状態になっていて、徐々に形状が、収縮前の元の原料発泡体の厚みまでほぼ回復するようになっているため、収縮状態時であれば、嵩張らず搬送や施工性に優れている。しかも、形状回復によってシール性や断熱性も備えたものとなり、断熱材やシール材等として有望視されている。
【0004】
しかし、上記形状回復発泡体は、チップ状であるために、完全に隙間を充填することは不可能で、シール性、気密性に劣る上、施工性も悪いと言う問題がある。
そこで、本発明の発明者らは、所望長さのシート状等の長尺の形状回復発泡体を既に提案している(特願平7−299654号参照)。
【0005】
すなわち、このシート状の形状回復発泡体の場合、必要な大きさに切取って所定の場所に施工することができるため、シール性や気密性を確実に確保することができるとともに、施工性にも優れている。
しかし、この形状回復発泡体は、空気中に放置しておくと上述のように元の形状まで自然に形状回復してしまう。
【0006】
したがって、たとえば、建材の組立施工時間の短縮や施工の信頼性を向上させようとしてこの形状回復発泡体を建材の一部にシール材等として一体化しておいたりしても、長期間保存した場合、形状回復発泡体の形状回復が進み、施工時に施工できないと言う問題が発生する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような事情に鑑みて、被着材の所定部分に自由に貼り付けすることができ、しかも、形状回復発泡体の形状回復開始時間をコントロールすることができる発泡積層体を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するために、請求項1の発明にかかる発泡積層体(以下、「請求項1の積層体」と記す)は、独立気泡を有し厚み方向に遅延した形状回復性を有する形状回復発泡体と、この形状回復発泡体の厚み方向の一方の面に積層された接着剤層または粘着剤層と、形状回復発泡体の他方の面の全面を剥離自在に覆うガスバリア層とを備えている構成とした。
【0009】
上記構成において、形状回復発泡体とは、たとえば、以下のようなものを言う。
【0010】
▲1▼ 炭酸ガスや液化ガス等のガス透過係数Pagent が空気のガス透過係数Pair より大きく、常温でガスもしくは常温で液化するガスを発泡ガスとして用いたものであって、気泡内のガス置換による体積収縮により自然収縮を起こし、収縮後樹脂の弾性回復力とガス透過により気泡の内外圧力と釣り合いながら徐々にもとの厚さに回復してゆくもの。すなわち、Pagent >Pair となるガスを発泡剤として用いた場合、セル膜を通して独立気泡(セル)内から外界(大気中)へ逃げる(透過)ガス量の方が、外界から独立気泡内へ入るガス量よりも多くなり、独立気泡内圧<外界圧(大気圧)となる。この時、発泡体には外界圧で圧縮される力F1 とそれに抵抗する樹脂の弾性力F2 がかかり、F1 とF2 が釣り合う状態まで発泡体が収縮する。収縮が進行するにしたがって独立気泡内から外界へ逃げるガス量が次第に減少し、しばらくすると独立気泡内から外界へ逃げるガス量と外界から独立気泡内に入るガス量が平衡に達し収縮は停止する。この後、形状回復発泡体は膨張を開始する。
【0011】
▲2▼ ▲1▼の発泡ガス以外のガスを発泡ガスとして用いたものであって、原料となる独立気泡発泡体に圧縮歪み(樹脂の弾性領域内の歪みが好ましい)を所定時間以上与えて圧縮され、圧縮を解除すると樹脂の弾性回復力により気泡の内外圧力と釣り合いながら徐々にもとの厚さに回復してゆく性質を持つもの。
【0012】
すなわち、原料となる独立気泡発泡体に圧縮歪みを与えた場合、発泡体を構成する独立気泡の内圧が上昇し、直後に外力を取り除けば発泡体は瞬時に元の形状に回復するが、所定時間以上その歪みを保持させれば、樹脂のガス透過性により気泡内のガスが気泡膜から徐々にぬけてゆき内圧と外圧とが釣り合い、外力を取り除いても瞬間的な形状回復は起こらず、圧縮を解除すると樹脂の弾性回復力により気泡の内外圧力と釣り合いながら徐々にもとの厚さに回復してゆく。
【0013】
▲3▼ ▲1▼の発泡ガス以外のガスを発泡ガスとして用いたものであって、減圧下で発泡することにより気泡中のガス圧力は大気圧以下となった状態で冷却固定した後大気中に取り出した時、形成された発泡体が大気圧により一旦圧縮され、樹脂の弾性回復力により気泡の内外圧力と釣り合いながら徐々にもとの厚さに回復してゆくもの。
【0014】
▲4▼ 冷却すると液化し沸点が成形温度以下の発泡剤を使用して発泡体を製造したもの。すなわち、沸点が樹脂の成形温度以下である発泡剤を用いた場合、発泡体を発泡剤の沸点まで冷却すると、独立気泡内の発泡剤も冷却されて気体から液体になる。このとき発泡剤の体積収縮によって独立気泡内圧<外界圧(大気圧)となり発泡体が収縮する。その後樹脂の弾性回復力により気泡の内外圧力と釣り合いながら徐々にもとの厚さに回復してゆく。
【0015】
なお、上記▲2▼の独立気泡樹脂発泡体を圧縮する場合、圧縮時の温度は、独立気泡樹脂発泡体を構成する樹脂の軟化点(非晶性樹脂についてはガラス転移点、結晶性樹脂については融点を軟化点とする)以下である。すなわち、軟化点以上の温度で圧縮を行った場合、抜重後の形状回復発泡体の形状回復能がなくなる恐れがある。
【0016】
また、圧縮方法は、特に限定されないが、たとえば、独立気泡発泡体を所望の間隔で対面して配置された2つの無端ベルト間に通して無端ベルト間で圧縮する方法や、2枚のプレス板の間で圧縮して所定時間圧縮状態を保持する方法等が挙げられる。
【0017】
形状回復発泡体の独立気泡率は、用途に応じてその必要とする回復量、回復時間により決まり、特に限定されないが、30〜100%が好ましい。すなわち、30%を下回ると、回復時間が急激で取扱性があまりよくないので好ましくない。
【0018】
また、原料発泡体の断面形状は、シート状や平板状に限らず、ロッド状、楕円状など特に限定されない。
形状回復発泡体を構成する樹脂としては、特に限定されないが、圧縮永久歪み(JIS K 6767に準拠)が20%以下のもの、特に10%以下のものが形状回復性に優れ好ましい。
【0019】
このような樹脂としては、以下のような熱可塑性樹脂あるいは熱硬化性樹脂が挙げられる。
【0020】
〔熱可塑性樹脂〕
ポリエチレン,ポリプロピレン,エチレン−プロピレン共重合体,エチレン−プロピレン−ジエン共重合体,エチレン−酢酸ビニル共重合体等のオレフィン系樹脂、ポリメチルアクリレート,ポリメチルメタクレート,エチレン−エチルアクリレート共重合体等のアクリル系樹脂、ブタジエン−スチレン,アクリロニトリル−スチレン,スチレン,スチレン−ブタジエン−スチレン,スチレン−イソプレン−スチレン,スチレン−アクリル酸等のスチレン系樹脂、アクリロニトリル−ポリ塩化ビニル,ポリ塩化ビニル−エチレン等の塩化ビニル系樹脂、ポリフッ化ビニル,ポリフッ化ビニリデン等のフッ化ビニル系樹脂、6−ナイロン,6・6−ナイロン,12−ナイロン等のアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート,ポリブチレンテレフタレート等の飽和エステル系樹脂、ポリカーボネート、ポリフェニレンオキサイド、ポリアセタール、ポリフェニレンスルフィド、シリコーン樹脂、熱可塑性ウレタン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、各種エラストマーやこれらの架橋体。
【0021】
〔熱硬化性樹脂〕
エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、メラミン系樹脂、ウレタン系樹脂、イミド系樹脂、ユリア系樹脂、シリコーン系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂の硬化物等。
〔天然樹脂〕
天然ゴム、セルロース、デンプン、蛋白質、うるしなどの樹液等
なお、これらの樹脂は単独で用いても2種以上併用しても良い。
【0022】
また、上記樹脂の中でも、特に形状回復性に優れるものとして、オレフィン樹脂、スチレン系樹脂、アミド系樹脂、アクリル共重合体、軟質ポリウレタン、軟質塩化ビニル樹脂、ポリアセタール、シリコーン樹脂、各種エラストマーが特に挙げられる。
発泡方法は、プラスチックフォームハンドブックに記載されている方法を含め公知の方法が挙げられ、いずれの方法を用いても構わない。
【0023】
本発明で発泡剤として使用される液化ガスとしては、特に限定されないが、たとえば、ブタン、ペンタン、ヘキサン等の脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系炭化水素、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール系炭化水素、1,1−ジクロロ−1−フルオロエタン、2,2−ジクロロ−1,1,1−トリフルオロエタン、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、モノクロロジフルオロメタン等のハロゲン化炭化水素、水などが挙げられる。また、これらの発泡剤の中でも、常温で液化する発泡剤が好ましい。
【0024】
因に、形状回復発泡体を構成する樹脂がポリエチレン(発泡温度100〜110℃)の場合、発泡剤としてメタノール(沸点64.51℃)、エタノール(沸点78.32℃)、アセトン(沸点56.5℃)、ペンタン(沸点36.07℃)、ヘキサン(沸点68.74℃)、ベンゼン(沸点80.1℃)、エチルエーテル(沸点34.48℃)、水(沸点100℃)を用いることが好ましい。
【0025】
なお、上記発泡体には、充填剤、補強繊維、着色剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、難燃剤等を必要に応じて混合されていても構わない。
充填剤としては、たとえば、炭酸カルシウム、タルク、クレー、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、カーボンブラック、二酸化ケイ素、酸化チタン、ガラス粉、ガラスビーズ等が挙げられる。
【0026】
補強繊維としては、たとえば、ガラス繊維、炭素繊維等が挙げられる。
着色剤としては、たとえば、酸化チタン等の顔料が挙げられる。
酸化防止剤としては、一般に用いれるものであれば、特に限定されず、たとえば、テトラキス〔メチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシハイドロシンナメート)〕メタン、チオジプロピオン酸ジラウリル、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン等が挙げられる。
【0027】
難燃剤としては、ヘキサブロモフェニルエーテル,デカブロモジフェニルエーテル等の臭素系難燃剤、ポリリン酸アンモニウム、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート等の含リン酸系難燃剤、メラミン誘導体、無機系難燃剤等の1種又は2種以上の混合物が挙げられる。
【0028】
また、形状回復発泡体には、内部の独立気泡に連通する通気路を一部に設け、その形状回復時間をコントロールすることもできる。
通気路としては、直線状だけでなく、螺旋状、円弧状など特にその形状が限定されない。
【0029】
通気路の断面形状は、特に限定されず、たとえば、円形、三角形、四角形、星形、線状、波線状等が挙げられる。
通気路の大きさは、特に限定されないが、断面積を7mm2 (断面が円形の場合、直径3mm程度)以下とするが好ましく、その最大(幅)を独立気泡の平均気泡径以下とすることがより好ましい。すなわち、大き過ぎると気泡構造が破壊され、元の形状に回復しなくなる恐れがある。
【0030】
通気路の中心の間隔は、特に限定されないが、通気路の断面が気泡径より小さい場合、気泡径の2倍以上とし、通気路の断面が気泡径より大きい場合、隣接する通気路の外縁間の距離が気泡径以上とすることが好ましい。
通気路の深さは、回復時間により決定され、特に限定されないが、表面から3つ以上内部の独立気泡まで達していることが好ましく、接着剤層または粘着剤層側に貫通していないことが好ましい。
【0031】
さらに、通気路は、発泡体の表面に対して垂直に設けても構わないし、表面に対して所定の角度を付けて設けるようにしても構わない。また、発泡体の内部に向かって螺旋状に設けるようにしても構わない。
通気路を穿設する方法としては、特に限定されないが、孔状の通気路を設ける場合、針(剣山)、ドリル、電子ビーム、レーザー光線等を用いる方法が挙げられ、溝状の通気路を設ける場合、カッター(刃物)等を用いる方法が挙げられる。
【0032】
なお、上記通気路を穿設する工程と、原料発泡体を収縮させる工程とは、いずれの工程が先に行われても構わないし、同時に並行して行なわれても構わない。ただし、ガス透過性の高い気体を発泡剤として用いる場合、圧縮状態が保持されている場合、通気路を裏面側まで貫通させない場合(特に薄物の場合)等は、通気路を穿設する工程を先に実施することが好ましい。
【0033】
すなわち、ガス透過性の高い気体を発泡剤として用いる場合、あるいは、圧縮状態が保持されている場合は、収縮に際し気泡内から気体を抜かなければならないため、先に通気路が形成されている方が収縮に要する時間が短縮できる。
また、通気路を裏面側まで貫通させない場合、先に原料発泡体を収縮させると、厚みが薄くなってしまい針等が貫通してしまう恐れがある。
【0034】
ガスバリア層としては、特に限定されないが、窒素ガス透過係数が0.01〔10−10 cm3 (STP) ・cm−1・g −1・cmHg−1〕以下のもの樹脂シートが好ましく、代表例として、ポリエチレンテレフタレート(窒素ガス透過係数0.006)、ポリ塩化ビニリデン(窒素ガス透過係数0.001)、ポリビニルアルコール(窒素ガス透過係数0.00045)等が挙げられる。また、これらの樹脂シートに紙などをさらに積層するようにしても構わない。また、必要に応じ、延伸、架橋されていても構わない。
【0035】
ガスバリア層として上記樹脂シートを用いた場合、その厚みは、どの程度の時間形状回復開始を抑止するかによって異なるが、後にシートを剥がすときの作業性を考慮して10μm以上が好ましい。また、発泡積層体を巻物にして保存する場合、200μm以下が好ましく、発泡積層体を枚様物とした場合、取扱性を考慮して1mm以下が好ましい。
【0036】
ガスバリア層の発泡体層への積層方法は、弱い接着性(微粘着性)を有する接着性材料を介して行われる。このような接着性材料は、ガスバリア層の剥離時に発泡体側に接着性材料が残らないことが必要条件であり、このような接着性材料として、アクリル系、エチレン−酢酸ビニル系、ウレタン系、ゴム系、スチレン−ブタジエン系、スチレン−イソプレン系等の感圧タイプの接着剤、ホットメルト接着剤が挙げられ、必要な接着力等により適宜選択できる。また、保管性がよければ、反応タイプの接着剤を用いるようにしても構わない。
【0037】
請求項1の積層体は、特に限定されないが、たとえば、予めガスバリア層となるガスバリア性を有する樹脂シートの一面に弱接着剤層をキャスティング等によって形成するとともに、形状回復発泡体の厚み方向の一面に接着剤層をキャスティング等によって形成する。
その後、形状回復発泡体の接着剤層を設けていない他面を弱接着剤層に密着させ樹脂シートおよび弱接着剤層の積層物と、形状回復発泡体および接着剤層との積層物とを弱接着剤層を介してさらに積層することによって得ることができる。
【0038】
なお、積層体が長尺の場合は、形状回復発泡体の接着剤層を設けていない他面を樹脂シートの弱接着剤層に密着させながら、接着剤層を内側にして巻き込み、巻物状にすることもできる。なお、このように巻物状にする場合には、上記樹脂シートの弱接着剤層と反対側の面に離型剤層を設けておくか、接着剤層に離型紙等を積層しておくことが好ましい。
【0039】
一方、請求項2の発明にかかる発泡積層体(以下、「請求項2の積層体」と記す)は、請求項1の積層体のガスバリア層を、その周縁を形状回復発泡体の周縁よりはみ出させるように設けた。
上記請求項2の積層体は、以下の構成を除いて請求項1の積層体と同様の構成を備えている。
【0040】
すなわち、請求項2の積層体において、ガスバリア層としては、特に限定されないが、窒素ガス透過係数が10〔10−10 cm3 (STP) ・cm−1・g −1・cmHg−1〕未満のものが好ましく、代表例として、ポリエチレンテレフタレート(窒素ガス透過係数0.006)、ポリ塩化ビニリデン(窒素ガス透過係数0.001)、ポリビニルアルコール(窒素ガス透過係数0.00045)、ポリアクリロニトリル、各種ナイロン、ポリプロピレン(PP)、セロハン、ポリエチレン(PE)、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(Pst)等が挙げられ、これらが必要に応じて延伸、架橋されたものでもよい。また、これらの樹脂シートに紙などをさらに積層するようにしても構わない。
【0041】
また、請求項2の積層体において、ガスバリア層のはみ出る長さは、形状回復発泡体の厚みより長ければ、特に限定されないが、2〜10mm程度長いことが好ましい。
ガスバリア層がはみ出る位置は、長尺物であれば、長さ方向の両端、幅方向の両側、枚様状のものであれば、全周にわたってはみ出るように設けることが好ましい。
【0042】
この請求項2の積層体は、形状回復発泡体の大きさより大きい樹脂シートをガスバリア層として積層させる以外は、請求項1の積層体の製造方法同様にして製造することができる。すなわち、長尺物で、巻物状にする場合、形状回復発泡体の幅方向の両側からはみ出るように形状回復発泡体より幅ひろの樹脂シートを積層するようにすればよい。また、枚様状のものであれば、形状回復発泡体の周囲からはみでるように形状回復発泡体より大きな樹脂シートを積層するようにすればよい。
【0043】
他方、請求項3の発明にかかる発泡積層体(以下、「請求項3の積層体」と記す)は、上記請求項1または請求項2の積層体の構成に加えて、形状回復発泡体の幅方向の周縁部を加熱融着するようにした。
請求項3の積層体は、以下の構成を除いて請求項1および請求項2の積層体の構成と同様になっている。
【0044】
すなわち、形状回復発泡体の周縁部の熱融着は、特に限定されないが、たとえば、図1に示すように、長尺の発泡体10の両側縁部を上下からそれぞれ加熱ローラ20,20によって挟み込み熱融着する方法や、図2に示すように、長尺の発泡体10の両側面に加熱ローラ20をそれぞれ押し当てて熱融着する方法などが挙げられる。
【0045】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ詳しく説明する。
図3および図4は請求項1の積層体の実施の形態をあらわしている。
図3および図4に示すように、この積層体1aは、長尺の形状回復発泡体2aの厚み方向の一面に弱接着剤層3を介してガスバリア性を有する樹脂シートによってガスバリア層4が設けられ、形状回復発泡体2aの他方の面に接着剤層5が設けられていて、ガスバリア層4の上面に離型層6が設けられており、図3に示すように、巻物状に巻回されている。
【0046】
この積層体1aは、以上のように、巻物状になっているとともに、最表面にガスバリア層4が設けられているので、保存状態においては、ガスバリア層4によって外部雰囲気と形状回復発泡体2aとが隔絶され、形状回復発泡体2aの形状回復が防止される。
そして、使用にあったては、まず、必要な長さだけ巻き戻して切取り、接着剤層5を介して簡単に被着体に接着一体化することができるとともに、ガスバリア層4を剥がせば、形状回復発泡体2aが外部雰囲気に露出して形状回復が開始される。
【0047】
したがって、この積層体1aを被着体の所望部分に予め接着一体化しておき、施工直前にガスバリア層4を剥がすようにすれば、被着体に接着した状態で長く保管されていても、形状回復発泡体2aが施工前に形状回復を起こしていないため、従来のように、形状回復発泡体2aがすでに形状回復してしまっていて施工を行うことができないと言った問題を起こすことがない。
【0048】
図5は請求項2の積層体の実施の形態をあらわしている。
図5に示すように、この積層体1bは、形状回復発泡体2bが枚様状になっているとともに、ガスバリア層4が形状回復発泡体2bの周囲から形状回復発泡体2bの厚みより2〜10mm程度長い幅だけはみ出ていて、離型剤層6の代わりに離型紙7が接着剤層5に沿って設けられている以外は、上記積層体1aと同様になっている。
【0049】
すなわち、この積層体1bによれば、図5に示すように、ガスバリア層4のはみ出た部分41によって、形状回復発泡体2bの側面も外部雰囲気から隠蔽されたようになるため、形状回復発泡体2bの形状回復をより確実に抑えることができる。
また、使用にあたっては、まず、離型紙7を接着剤層5から剥離すれば、被着材の所定位置に簡単に接着一体化することができる。
【0050】
図6は請求項3の積層体の実施の形態をあらわしている。
図6に示すように、この積層体1cは、形状回復発泡体2cの両側縁部22,22が熱融着されている以外は、上記積層体1aと同様になっている。
【0051】
すなわち、この積層体1cによれば、両側縁部22,22が熱融着されているため、形状回復発泡体2cの側面からの内部独立気泡へのガスの流通が困難となり、形状回復発泡体2cの形状回復をより確実に抑えることができる。
なお、形状回復発泡体2cは、図6に鎖線で示すように、両側縁部22,22を残して形状回復する。
【0052】
図7は、請求項2の積層体の他の実施の形態をあらわしている。
図7に示すように、この積層体1dは、形状回復発泡体2dが長尺になっていて、形状回復発泡体2dの長手方向の端面が露出している以外は、図5の積層体1bと同様になっている。すなわち、形状回復発泡体2dの幅方向の両側からのみガスバリア層4の両端42,42が形状回復発泡体2dの厚みより2〜10mmだけ長くはみ出ている。
【0053】
本発明の積層体は、上記の実施の形態に限定されない。たとえば、上記積層体1a,1b,1c,1dはいずれも形状回復発泡体2a,2b,2c,2dがシート状をしていたが、異形体でも構わない。
【0054】
【実施例】
つぎに、本発明の実施例を詳しく説明する。
【0055】
(実施例1)
低密度ポリエチレン(住友化学社製 商品名G201)100重量部と、発泡剤としてのアゾジカルボンアミド(分解ピーク温度200℃)20重量部と、ステアリン酸亜鉛2重量部とをφ65mmの一軸押出機(135℃設定)に投入し、混練したのち、この混練物を2.4mmの厚みでシート状に押し出したのち、750kv×5Mrad の電子線をシートの両面に照射して架橋させ、この架橋物を240℃で加熱発泡させて厚み8mm、発泡倍率41倍、平均気泡径720μm、独立気泡率80%の原料発泡体を得た。
【0056】
この原料発泡体を縦100mm×横100mmの大きさに裁断したのち、この裁断片の表裏面に貫通する通気路を直径500μmの針を用いて孔あけ間隔10mm(孔あけ密度1孔/cm2 )で穿設した。
つぎに、この孔あきの原料発泡体を1mmのスペーサを備えたプレス板の間で圧縮し、12時間圧縮状態を保持して形状回復発泡体を得た。
【0057】
得られた形状回復発泡体は、厚さ1mm、縦100mm、横100mmで収縮率が12.5%であった。
【0058】
感圧タイプ接着剤(綜研化学社製SKダイン1131P)をキャスティングすることによって、このようにして得た形状回復発泡体の一面に膜厚30μmの接着剤層を形成するとともに、ガスバリア層となる膜厚30μm、縦100mm、横100mmのポリエチレンテレフタレートフィルム(ダイヤホイル社製ダイヤホイルS)を形状回復発泡体の接着剤層と反対側の面に直接積層した。また、離型剤(信越化学工業社製シリコーン離型剤KS−702)をキャスティングすることによってポリエチレンテレフタレートフィルムの形状回復発泡体と反対側の面に厚さ3μmの離型剤層を形成した。
【0059】
(実施例2)
実施例1の形状回復発泡体に代えて、孔あけ間隔5mm(孔あけ密度4孔/cm2 )で通気路を穿設した厚さ1mm、縦100mm、横100mmの形状回復発泡体を用い、この形状回復発泡体にガスバリア層となる膜厚14μm、縦120mm、横120mmのエチレン−ビニルアルコール共重合体フィルム(大倉工業社製エクシードS)を、感圧タイプ接着剤(綜研化学社製SKダイン1105に架橋剤(イソシアネート)を所定の2倍量加えたもの)をキャステングすることによって形成した厚さ30μmの弱接着剤層を介して積層した以外は、実施例1と同様にして発泡積層体を得た。
【0060】
(実施例3)
実施例1の形状回復発泡体に代えて、孔あけ間隔2.5mm(孔あけ密度16孔/cm2 )で通気路を穿設した形状回復発泡体を用いるとともに、離型剤層を設けなっかた以外は、実施例1と同様にして発泡積層体を得た。
(実施例4)
実施例1の形状回付発泡体に代えて、全く通気路を穿設しなかった形状回復発泡体を用いるとともに、この形状回復発泡体の一面にホットメルトコーターによってホットメットタイプ接着剤(積水化学工業社製エスダイン8512XS)を用いた厚さ10μmの接着剤層を形成した以外は、実施例2と同様にして発泡積層体を得た。
【0061】
(実施例5)
低密度ポリエチレン(三菱化学社製 商品名LF440HB)100重量部と、核形成剤としてのタルク(日本タルク社製 MS)1重量部とをφ65mmの一軸押出機(130℃設定)に投入して混練するとともに、発泡剤としてのペンタンを樹脂100重量部に対し10重量部の割合でこの混練物に添加したのち、105℃に設定した厚さ2mm、幅100mmの押出口金から20kg/hrで連続的に押出して原料発泡体を得た。得られた原料発泡体は、厚み8.1mm、幅280mm、平均気泡径750μm、独立気泡率80%、発泡倍率30倍であった。
【0062】
つぎに、この原料発泡体を発泡直後に厚み方向からプレス板の間に挟んで常温まで冷却し、厚さ1mmまで収縮(収縮率12.5%)させたのち、縦100mm、横100mmのシート状に裁断し、この裁断片の表裏面に貫通する通気路を直径500μmの針を用いて孔あけ間隔10mm(孔あけ密度1孔/cm2 )で穿設し、形状回復発泡体を得た。
【0063】
このようにして得られた形状回復発泡体を、実施例1の形状回復発泡体に代えて使用した以外は、実施例1と同様にして積層体を得た。
【0064】
(実施例6)
孔あけ間隔5mm(孔あけ密度4孔/cm2 )で通気路を穿設した以外は実施例5の形状回復発泡体と同様の形状回復発泡体を、実施例2の形状回復発泡体に代えて使用した以外は、実施例2と同様にして積層体を得た。
(実施例7)
孔あけ間隔2.5mm(孔あけ密度16孔/cm2 )で通気路を穿設した以外は実施例5の形状回復発泡体と同様の形状回復発泡体を、実施例3の形状回復発泡体に代えて使用した以外は、実施例3と同様にして積層体を得た。
【0065】
(実施例8)
通気路を穿設しなかった以外は実施例5の形状回復発泡体と同様の形状回復発泡体を、実施例4の形状回復発泡体に代えて使用した以外は、実施例4と同様にして積層体を得た。
(実施例9)
実施例1と同様の形状回復発泡体の周縁部を150℃の熱ロールで融着した以外は、実施例1と同様にして積層体を得た。
【0066】
(実施例10)
実施例3と同様の形状回復発泡体の周縁部を150℃の熱ロールで融着した以外は、実施例3と同様にして積層体を得た。
上記実施例1〜10で得られた積層体をパーチクルボードに手で押しつけて接着剤層を介して接着し、温度23℃、湿度65%の恒温恒湿室に入れた状態で接着後直ちにガスバリア層を剥離した場合、および、接着後3週間そのまま放置したのち、ガスバリア層を剥離した場合の、ガスバリア層を剥離後形状回復発泡体が8mmの厚さまで形状回復するまでの必要日数をそれぞれについて調べその結果を表1に示した。
【0067】
また、比較例1として実施例2に使用した形状回復発泡体と、比較例2として実施例3に使用した形状回復発泡体を直接パーチクルボードに手で押しつけて接着剤層を介して接着し、上記実施例1〜10と同様に形状回復するまでの必要日数を調べ、表1に併せて示した。
【0068】
【表1】
【0069】
表1から、本発明の積層体によれば、長期間保存でき、しかも、必要な時に形状回復発泡体を形状回復させることができることが判る。
【0070】
【発明の効果】
本発明にかかる積層体は、以上のように構成されているので、工場でロボット等で自動的に貼り付け施工できるなど、被着材の所定位置に簡単に一体化することができるとともに、ガスバリア層を剥がすまでは、形状回復発泡体の形状回復が防止されるため、長期保存が可能である。
【0071】
しかも、被着体に予め接着しておけば、施工時間を短縮化することができ、施工の信頼性も向上させることができる。
【0072】
また、請求項2または請求項3のようにすれば、ガスバリア層による形状回復発泡体の形状回復の防止をより確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項3の積層体の製造に用いる形状回復発泡体の製造方法の1例をあらわす説明図である。
【図2】請求項4の積層体の製造に用いる形状回復発泡体の製造方法の他例をあらわす説明図である。
【図3】請求項1の積層体の実施の形態をあらわす斜視図である。
【図4】図3のA−A線断面図である。
【図5】請求項2の積層体の実施の形態をあらわす断面図である。
【図6】請求項3の積層体の実施の形態をあらわす断面図である。
【図7】請求項2の積層体の他の実施の形態をあらわす斜視図である。
【符号の説明】
1a 積層体
1b 積層体
1c 積層体
1d 積層体
2a 形状回復発泡体
2b 形状回復発泡体
2c 形状回復発泡体
2d 形状回復発泡体
22 側縁部(融着部)
3 弱接着剤層
4 ガスバリア層
41 はみ出た部分
42 端(はみ出た部分)
5 接着剤層
【発明の属する技術分野】
本発明は、発泡積層体に関する。
【0002】
【従来の技術】
特開昭62−13441号公報に開示されている再膨張性プラスチックチップのように、独立気泡樹脂発泡体からなる原料発泡体が、一旦収縮状態になっていて、この原料発泡体を構成する樹脂の弾性回復力と、気泡膜(セル膜)を通しての外部から独立気泡(セル)内への空気の透過とによって徐々に形状が回復するようになっている遅延された形状回復性を有する形状回復発泡体(以下、「形状回復発泡体」とのみ記す)が、既に提案されている。
【0003】
すなわち、この形状回復発泡体は、上述のように、当初収縮状態になっていて、徐々に形状が、収縮前の元の原料発泡体の厚みまでほぼ回復するようになっているため、収縮状態時であれば、嵩張らず搬送や施工性に優れている。しかも、形状回復によってシール性や断熱性も備えたものとなり、断熱材やシール材等として有望視されている。
【0004】
しかし、上記形状回復発泡体は、チップ状であるために、完全に隙間を充填することは不可能で、シール性、気密性に劣る上、施工性も悪いと言う問題がある。
そこで、本発明の発明者らは、所望長さのシート状等の長尺の形状回復発泡体を既に提案している(特願平7−299654号参照)。
【0005】
すなわち、このシート状の形状回復発泡体の場合、必要な大きさに切取って所定の場所に施工することができるため、シール性や気密性を確実に確保することができるとともに、施工性にも優れている。
しかし、この形状回復発泡体は、空気中に放置しておくと上述のように元の形状まで自然に形状回復してしまう。
【0006】
したがって、たとえば、建材の組立施工時間の短縮や施工の信頼性を向上させようとしてこの形状回復発泡体を建材の一部にシール材等として一体化しておいたりしても、長期間保存した場合、形状回復発泡体の形状回復が進み、施工時に施工できないと言う問題が発生する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような事情に鑑みて、被着材の所定部分に自由に貼り付けすることができ、しかも、形状回復発泡体の形状回復開始時間をコントロールすることができる発泡積層体を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するために、請求項1の発明にかかる発泡積層体(以下、「請求項1の積層体」と記す)は、独立気泡を有し厚み方向に遅延した形状回復性を有する形状回復発泡体と、この形状回復発泡体の厚み方向の一方の面に積層された接着剤層または粘着剤層と、形状回復発泡体の他方の面の全面を剥離自在に覆うガスバリア層とを備えている構成とした。
【0009】
上記構成において、形状回復発泡体とは、たとえば、以下のようなものを言う。
【0010】
▲1▼ 炭酸ガスや液化ガス等のガス透過係数Pagent が空気のガス透過係数Pair より大きく、常温でガスもしくは常温で液化するガスを発泡ガスとして用いたものであって、気泡内のガス置換による体積収縮により自然収縮を起こし、収縮後樹脂の弾性回復力とガス透過により気泡の内外圧力と釣り合いながら徐々にもとの厚さに回復してゆくもの。すなわち、Pagent >Pair となるガスを発泡剤として用いた場合、セル膜を通して独立気泡(セル)内から外界(大気中)へ逃げる(透過)ガス量の方が、外界から独立気泡内へ入るガス量よりも多くなり、独立気泡内圧<外界圧(大気圧)となる。この時、発泡体には外界圧で圧縮される力F1 とそれに抵抗する樹脂の弾性力F2 がかかり、F1 とF2 が釣り合う状態まで発泡体が収縮する。収縮が進行するにしたがって独立気泡内から外界へ逃げるガス量が次第に減少し、しばらくすると独立気泡内から外界へ逃げるガス量と外界から独立気泡内に入るガス量が平衡に達し収縮は停止する。この後、形状回復発泡体は膨張を開始する。
【0011】
▲2▼ ▲1▼の発泡ガス以外のガスを発泡ガスとして用いたものであって、原料となる独立気泡発泡体に圧縮歪み(樹脂の弾性領域内の歪みが好ましい)を所定時間以上与えて圧縮され、圧縮を解除すると樹脂の弾性回復力により気泡の内外圧力と釣り合いながら徐々にもとの厚さに回復してゆく性質を持つもの。
【0012】
すなわち、原料となる独立気泡発泡体に圧縮歪みを与えた場合、発泡体を構成する独立気泡の内圧が上昇し、直後に外力を取り除けば発泡体は瞬時に元の形状に回復するが、所定時間以上その歪みを保持させれば、樹脂のガス透過性により気泡内のガスが気泡膜から徐々にぬけてゆき内圧と外圧とが釣り合い、外力を取り除いても瞬間的な形状回復は起こらず、圧縮を解除すると樹脂の弾性回復力により気泡の内外圧力と釣り合いながら徐々にもとの厚さに回復してゆく。
【0013】
▲3▼ ▲1▼の発泡ガス以外のガスを発泡ガスとして用いたものであって、減圧下で発泡することにより気泡中のガス圧力は大気圧以下となった状態で冷却固定した後大気中に取り出した時、形成された発泡体が大気圧により一旦圧縮され、樹脂の弾性回復力により気泡の内外圧力と釣り合いながら徐々にもとの厚さに回復してゆくもの。
【0014】
▲4▼ 冷却すると液化し沸点が成形温度以下の発泡剤を使用して発泡体を製造したもの。すなわち、沸点が樹脂の成形温度以下である発泡剤を用いた場合、発泡体を発泡剤の沸点まで冷却すると、独立気泡内の発泡剤も冷却されて気体から液体になる。このとき発泡剤の体積収縮によって独立気泡内圧<外界圧(大気圧)となり発泡体が収縮する。その後樹脂の弾性回復力により気泡の内外圧力と釣り合いながら徐々にもとの厚さに回復してゆく。
【0015】
なお、上記▲2▼の独立気泡樹脂発泡体を圧縮する場合、圧縮時の温度は、独立気泡樹脂発泡体を構成する樹脂の軟化点(非晶性樹脂についてはガラス転移点、結晶性樹脂については融点を軟化点とする)以下である。すなわち、軟化点以上の温度で圧縮を行った場合、抜重後の形状回復発泡体の形状回復能がなくなる恐れがある。
【0016】
また、圧縮方法は、特に限定されないが、たとえば、独立気泡発泡体を所望の間隔で対面して配置された2つの無端ベルト間に通して無端ベルト間で圧縮する方法や、2枚のプレス板の間で圧縮して所定時間圧縮状態を保持する方法等が挙げられる。
【0017】
形状回復発泡体の独立気泡率は、用途に応じてその必要とする回復量、回復時間により決まり、特に限定されないが、30〜100%が好ましい。すなわち、30%を下回ると、回復時間が急激で取扱性があまりよくないので好ましくない。
【0018】
また、原料発泡体の断面形状は、シート状や平板状に限らず、ロッド状、楕円状など特に限定されない。
形状回復発泡体を構成する樹脂としては、特に限定されないが、圧縮永久歪み(JIS K 6767に準拠)が20%以下のもの、特に10%以下のものが形状回復性に優れ好ましい。
【0019】
このような樹脂としては、以下のような熱可塑性樹脂あるいは熱硬化性樹脂が挙げられる。
【0020】
〔熱可塑性樹脂〕
ポリエチレン,ポリプロピレン,エチレン−プロピレン共重合体,エチレン−プロピレン−ジエン共重合体,エチレン−酢酸ビニル共重合体等のオレフィン系樹脂、ポリメチルアクリレート,ポリメチルメタクレート,エチレン−エチルアクリレート共重合体等のアクリル系樹脂、ブタジエン−スチレン,アクリロニトリル−スチレン,スチレン,スチレン−ブタジエン−スチレン,スチレン−イソプレン−スチレン,スチレン−アクリル酸等のスチレン系樹脂、アクリロニトリル−ポリ塩化ビニル,ポリ塩化ビニル−エチレン等の塩化ビニル系樹脂、ポリフッ化ビニル,ポリフッ化ビニリデン等のフッ化ビニル系樹脂、6−ナイロン,6・6−ナイロン,12−ナイロン等のアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート,ポリブチレンテレフタレート等の飽和エステル系樹脂、ポリカーボネート、ポリフェニレンオキサイド、ポリアセタール、ポリフェニレンスルフィド、シリコーン樹脂、熱可塑性ウレタン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、各種エラストマーやこれらの架橋体。
【0021】
〔熱硬化性樹脂〕
エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、メラミン系樹脂、ウレタン系樹脂、イミド系樹脂、ユリア系樹脂、シリコーン系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂の硬化物等。
〔天然樹脂〕
天然ゴム、セルロース、デンプン、蛋白質、うるしなどの樹液等
なお、これらの樹脂は単独で用いても2種以上併用しても良い。
【0022】
また、上記樹脂の中でも、特に形状回復性に優れるものとして、オレフィン樹脂、スチレン系樹脂、アミド系樹脂、アクリル共重合体、軟質ポリウレタン、軟質塩化ビニル樹脂、ポリアセタール、シリコーン樹脂、各種エラストマーが特に挙げられる。
発泡方法は、プラスチックフォームハンドブックに記載されている方法を含め公知の方法が挙げられ、いずれの方法を用いても構わない。
【0023】
本発明で発泡剤として使用される液化ガスとしては、特に限定されないが、たとえば、ブタン、ペンタン、ヘキサン等の脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系炭化水素、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール系炭化水素、1,1−ジクロロ−1−フルオロエタン、2,2−ジクロロ−1,1,1−トリフルオロエタン、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、モノクロロジフルオロメタン等のハロゲン化炭化水素、水などが挙げられる。また、これらの発泡剤の中でも、常温で液化する発泡剤が好ましい。
【0024】
因に、形状回復発泡体を構成する樹脂がポリエチレン(発泡温度100〜110℃)の場合、発泡剤としてメタノール(沸点64.51℃)、エタノール(沸点78.32℃)、アセトン(沸点56.5℃)、ペンタン(沸点36.07℃)、ヘキサン(沸点68.74℃)、ベンゼン(沸点80.1℃)、エチルエーテル(沸点34.48℃)、水(沸点100℃)を用いることが好ましい。
【0025】
なお、上記発泡体には、充填剤、補強繊維、着色剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、難燃剤等を必要に応じて混合されていても構わない。
充填剤としては、たとえば、炭酸カルシウム、タルク、クレー、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、カーボンブラック、二酸化ケイ素、酸化チタン、ガラス粉、ガラスビーズ等が挙げられる。
【0026】
補強繊維としては、たとえば、ガラス繊維、炭素繊維等が挙げられる。
着色剤としては、たとえば、酸化チタン等の顔料が挙げられる。
酸化防止剤としては、一般に用いれるものであれば、特に限定されず、たとえば、テトラキス〔メチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシハイドロシンナメート)〕メタン、チオジプロピオン酸ジラウリル、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン等が挙げられる。
【0027】
難燃剤としては、ヘキサブロモフェニルエーテル,デカブロモジフェニルエーテル等の臭素系難燃剤、ポリリン酸アンモニウム、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート等の含リン酸系難燃剤、メラミン誘導体、無機系難燃剤等の1種又は2種以上の混合物が挙げられる。
【0028】
また、形状回復発泡体には、内部の独立気泡に連通する通気路を一部に設け、その形状回復時間をコントロールすることもできる。
通気路としては、直線状だけでなく、螺旋状、円弧状など特にその形状が限定されない。
【0029】
通気路の断面形状は、特に限定されず、たとえば、円形、三角形、四角形、星形、線状、波線状等が挙げられる。
通気路の大きさは、特に限定されないが、断面積を7mm2 (断面が円形の場合、直径3mm程度)以下とするが好ましく、その最大(幅)を独立気泡の平均気泡径以下とすることがより好ましい。すなわち、大き過ぎると気泡構造が破壊され、元の形状に回復しなくなる恐れがある。
【0030】
通気路の中心の間隔は、特に限定されないが、通気路の断面が気泡径より小さい場合、気泡径の2倍以上とし、通気路の断面が気泡径より大きい場合、隣接する通気路の外縁間の距離が気泡径以上とすることが好ましい。
通気路の深さは、回復時間により決定され、特に限定されないが、表面から3つ以上内部の独立気泡まで達していることが好ましく、接着剤層または粘着剤層側に貫通していないことが好ましい。
【0031】
さらに、通気路は、発泡体の表面に対して垂直に設けても構わないし、表面に対して所定の角度を付けて設けるようにしても構わない。また、発泡体の内部に向かって螺旋状に設けるようにしても構わない。
通気路を穿設する方法としては、特に限定されないが、孔状の通気路を設ける場合、針(剣山)、ドリル、電子ビーム、レーザー光線等を用いる方法が挙げられ、溝状の通気路を設ける場合、カッター(刃物)等を用いる方法が挙げられる。
【0032】
なお、上記通気路を穿設する工程と、原料発泡体を収縮させる工程とは、いずれの工程が先に行われても構わないし、同時に並行して行なわれても構わない。ただし、ガス透過性の高い気体を発泡剤として用いる場合、圧縮状態が保持されている場合、通気路を裏面側まで貫通させない場合(特に薄物の場合)等は、通気路を穿設する工程を先に実施することが好ましい。
【0033】
すなわち、ガス透過性の高い気体を発泡剤として用いる場合、あるいは、圧縮状態が保持されている場合は、収縮に際し気泡内から気体を抜かなければならないため、先に通気路が形成されている方が収縮に要する時間が短縮できる。
また、通気路を裏面側まで貫通させない場合、先に原料発泡体を収縮させると、厚みが薄くなってしまい針等が貫通してしまう恐れがある。
【0034】
ガスバリア層としては、特に限定されないが、窒素ガス透過係数が0.01〔10−10 cm3 (STP) ・cm−1・g −1・cmHg−1〕以下のもの樹脂シートが好ましく、代表例として、ポリエチレンテレフタレート(窒素ガス透過係数0.006)、ポリ塩化ビニリデン(窒素ガス透過係数0.001)、ポリビニルアルコール(窒素ガス透過係数0.00045)等が挙げられる。また、これらの樹脂シートに紙などをさらに積層するようにしても構わない。また、必要に応じ、延伸、架橋されていても構わない。
【0035】
ガスバリア層として上記樹脂シートを用いた場合、その厚みは、どの程度の時間形状回復開始を抑止するかによって異なるが、後にシートを剥がすときの作業性を考慮して10μm以上が好ましい。また、発泡積層体を巻物にして保存する場合、200μm以下が好ましく、発泡積層体を枚様物とした場合、取扱性を考慮して1mm以下が好ましい。
【0036】
ガスバリア層の発泡体層への積層方法は、弱い接着性(微粘着性)を有する接着性材料を介して行われる。このような接着性材料は、ガスバリア層の剥離時に発泡体側に接着性材料が残らないことが必要条件であり、このような接着性材料として、アクリル系、エチレン−酢酸ビニル系、ウレタン系、ゴム系、スチレン−ブタジエン系、スチレン−イソプレン系等の感圧タイプの接着剤、ホットメルト接着剤が挙げられ、必要な接着力等により適宜選択できる。また、保管性がよければ、反応タイプの接着剤を用いるようにしても構わない。
【0037】
請求項1の積層体は、特に限定されないが、たとえば、予めガスバリア層となるガスバリア性を有する樹脂シートの一面に弱接着剤層をキャスティング等によって形成するとともに、形状回復発泡体の厚み方向の一面に接着剤層をキャスティング等によって形成する。
その後、形状回復発泡体の接着剤層を設けていない他面を弱接着剤層に密着させ樹脂シートおよび弱接着剤層の積層物と、形状回復発泡体および接着剤層との積層物とを弱接着剤層を介してさらに積層することによって得ることができる。
【0038】
なお、積層体が長尺の場合は、形状回復発泡体の接着剤層を設けていない他面を樹脂シートの弱接着剤層に密着させながら、接着剤層を内側にして巻き込み、巻物状にすることもできる。なお、このように巻物状にする場合には、上記樹脂シートの弱接着剤層と反対側の面に離型剤層を設けておくか、接着剤層に離型紙等を積層しておくことが好ましい。
【0039】
一方、請求項2の発明にかかる発泡積層体(以下、「請求項2の積層体」と記す)は、請求項1の積層体のガスバリア層を、その周縁を形状回復発泡体の周縁よりはみ出させるように設けた。
上記請求項2の積層体は、以下の構成を除いて請求項1の積層体と同様の構成を備えている。
【0040】
すなわち、請求項2の積層体において、ガスバリア層としては、特に限定されないが、窒素ガス透過係数が10〔10−10 cm3 (STP) ・cm−1・g −1・cmHg−1〕未満のものが好ましく、代表例として、ポリエチレンテレフタレート(窒素ガス透過係数0.006)、ポリ塩化ビニリデン(窒素ガス透過係数0.001)、ポリビニルアルコール(窒素ガス透過係数0.00045)、ポリアクリロニトリル、各種ナイロン、ポリプロピレン(PP)、セロハン、ポリエチレン(PE)、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(Pst)等が挙げられ、これらが必要に応じて延伸、架橋されたものでもよい。また、これらの樹脂シートに紙などをさらに積層するようにしても構わない。
【0041】
また、請求項2の積層体において、ガスバリア層のはみ出る長さは、形状回復発泡体の厚みより長ければ、特に限定されないが、2〜10mm程度長いことが好ましい。
ガスバリア層がはみ出る位置は、長尺物であれば、長さ方向の両端、幅方向の両側、枚様状のものであれば、全周にわたってはみ出るように設けることが好ましい。
【0042】
この請求項2の積層体は、形状回復発泡体の大きさより大きい樹脂シートをガスバリア層として積層させる以外は、請求項1の積層体の製造方法同様にして製造することができる。すなわち、長尺物で、巻物状にする場合、形状回復発泡体の幅方向の両側からはみ出るように形状回復発泡体より幅ひろの樹脂シートを積層するようにすればよい。また、枚様状のものであれば、形状回復発泡体の周囲からはみでるように形状回復発泡体より大きな樹脂シートを積層するようにすればよい。
【0043】
他方、請求項3の発明にかかる発泡積層体(以下、「請求項3の積層体」と記す)は、上記請求項1または請求項2の積層体の構成に加えて、形状回復発泡体の幅方向の周縁部を加熱融着するようにした。
請求項3の積層体は、以下の構成を除いて請求項1および請求項2の積層体の構成と同様になっている。
【0044】
すなわち、形状回復発泡体の周縁部の熱融着は、特に限定されないが、たとえば、図1に示すように、長尺の発泡体10の両側縁部を上下からそれぞれ加熱ローラ20,20によって挟み込み熱融着する方法や、図2に示すように、長尺の発泡体10の両側面に加熱ローラ20をそれぞれ押し当てて熱融着する方法などが挙げられる。
【0045】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ詳しく説明する。
図3および図4は請求項1の積層体の実施の形態をあらわしている。
図3および図4に示すように、この積層体1aは、長尺の形状回復発泡体2aの厚み方向の一面に弱接着剤層3を介してガスバリア性を有する樹脂シートによってガスバリア層4が設けられ、形状回復発泡体2aの他方の面に接着剤層5が設けられていて、ガスバリア層4の上面に離型層6が設けられており、図3に示すように、巻物状に巻回されている。
【0046】
この積層体1aは、以上のように、巻物状になっているとともに、最表面にガスバリア層4が設けられているので、保存状態においては、ガスバリア層4によって外部雰囲気と形状回復発泡体2aとが隔絶され、形状回復発泡体2aの形状回復が防止される。
そして、使用にあったては、まず、必要な長さだけ巻き戻して切取り、接着剤層5を介して簡単に被着体に接着一体化することができるとともに、ガスバリア層4を剥がせば、形状回復発泡体2aが外部雰囲気に露出して形状回復が開始される。
【0047】
したがって、この積層体1aを被着体の所望部分に予め接着一体化しておき、施工直前にガスバリア層4を剥がすようにすれば、被着体に接着した状態で長く保管されていても、形状回復発泡体2aが施工前に形状回復を起こしていないため、従来のように、形状回復発泡体2aがすでに形状回復してしまっていて施工を行うことができないと言った問題を起こすことがない。
【0048】
図5は請求項2の積層体の実施の形態をあらわしている。
図5に示すように、この積層体1bは、形状回復発泡体2bが枚様状になっているとともに、ガスバリア層4が形状回復発泡体2bの周囲から形状回復発泡体2bの厚みより2〜10mm程度長い幅だけはみ出ていて、離型剤層6の代わりに離型紙7が接着剤層5に沿って設けられている以外は、上記積層体1aと同様になっている。
【0049】
すなわち、この積層体1bによれば、図5に示すように、ガスバリア層4のはみ出た部分41によって、形状回復発泡体2bの側面も外部雰囲気から隠蔽されたようになるため、形状回復発泡体2bの形状回復をより確実に抑えることができる。
また、使用にあたっては、まず、離型紙7を接着剤層5から剥離すれば、被着材の所定位置に簡単に接着一体化することができる。
【0050】
図6は請求項3の積層体の実施の形態をあらわしている。
図6に示すように、この積層体1cは、形状回復発泡体2cの両側縁部22,22が熱融着されている以外は、上記積層体1aと同様になっている。
【0051】
すなわち、この積層体1cによれば、両側縁部22,22が熱融着されているため、形状回復発泡体2cの側面からの内部独立気泡へのガスの流通が困難となり、形状回復発泡体2cの形状回復をより確実に抑えることができる。
なお、形状回復発泡体2cは、図6に鎖線で示すように、両側縁部22,22を残して形状回復する。
【0052】
図7は、請求項2の積層体の他の実施の形態をあらわしている。
図7に示すように、この積層体1dは、形状回復発泡体2dが長尺になっていて、形状回復発泡体2dの長手方向の端面が露出している以外は、図5の積層体1bと同様になっている。すなわち、形状回復発泡体2dの幅方向の両側からのみガスバリア層4の両端42,42が形状回復発泡体2dの厚みより2〜10mmだけ長くはみ出ている。
【0053】
本発明の積層体は、上記の実施の形態に限定されない。たとえば、上記積層体1a,1b,1c,1dはいずれも形状回復発泡体2a,2b,2c,2dがシート状をしていたが、異形体でも構わない。
【0054】
【実施例】
つぎに、本発明の実施例を詳しく説明する。
【0055】
(実施例1)
低密度ポリエチレン(住友化学社製 商品名G201)100重量部と、発泡剤としてのアゾジカルボンアミド(分解ピーク温度200℃)20重量部と、ステアリン酸亜鉛2重量部とをφ65mmの一軸押出機(135℃設定)に投入し、混練したのち、この混練物を2.4mmの厚みでシート状に押し出したのち、750kv×5Mrad の電子線をシートの両面に照射して架橋させ、この架橋物を240℃で加熱発泡させて厚み8mm、発泡倍率41倍、平均気泡径720μm、独立気泡率80%の原料発泡体を得た。
【0056】
この原料発泡体を縦100mm×横100mmの大きさに裁断したのち、この裁断片の表裏面に貫通する通気路を直径500μmの針を用いて孔あけ間隔10mm(孔あけ密度1孔/cm2 )で穿設した。
つぎに、この孔あきの原料発泡体を1mmのスペーサを備えたプレス板の間で圧縮し、12時間圧縮状態を保持して形状回復発泡体を得た。
【0057】
得られた形状回復発泡体は、厚さ1mm、縦100mm、横100mmで収縮率が12.5%であった。
【0058】
感圧タイプ接着剤(綜研化学社製SKダイン1131P)をキャスティングすることによって、このようにして得た形状回復発泡体の一面に膜厚30μmの接着剤層を形成するとともに、ガスバリア層となる膜厚30μm、縦100mm、横100mmのポリエチレンテレフタレートフィルム(ダイヤホイル社製ダイヤホイルS)を形状回復発泡体の接着剤層と反対側の面に直接積層した。また、離型剤(信越化学工業社製シリコーン離型剤KS−702)をキャスティングすることによってポリエチレンテレフタレートフィルムの形状回復発泡体と反対側の面に厚さ3μmの離型剤層を形成した。
【0059】
(実施例2)
実施例1の形状回復発泡体に代えて、孔あけ間隔5mm(孔あけ密度4孔/cm2 )で通気路を穿設した厚さ1mm、縦100mm、横100mmの形状回復発泡体を用い、この形状回復発泡体にガスバリア層となる膜厚14μm、縦120mm、横120mmのエチレン−ビニルアルコール共重合体フィルム(大倉工業社製エクシードS)を、感圧タイプ接着剤(綜研化学社製SKダイン1105に架橋剤(イソシアネート)を所定の2倍量加えたもの)をキャステングすることによって形成した厚さ30μmの弱接着剤層を介して積層した以外は、実施例1と同様にして発泡積層体を得た。
【0060】
(実施例3)
実施例1の形状回復発泡体に代えて、孔あけ間隔2.5mm(孔あけ密度16孔/cm2 )で通気路を穿設した形状回復発泡体を用いるとともに、離型剤層を設けなっかた以外は、実施例1と同様にして発泡積層体を得た。
(実施例4)
実施例1の形状回付発泡体に代えて、全く通気路を穿設しなかった形状回復発泡体を用いるとともに、この形状回復発泡体の一面にホットメルトコーターによってホットメットタイプ接着剤(積水化学工業社製エスダイン8512XS)を用いた厚さ10μmの接着剤層を形成した以外は、実施例2と同様にして発泡積層体を得た。
【0061】
(実施例5)
低密度ポリエチレン(三菱化学社製 商品名LF440HB)100重量部と、核形成剤としてのタルク(日本タルク社製 MS)1重量部とをφ65mmの一軸押出機(130℃設定)に投入して混練するとともに、発泡剤としてのペンタンを樹脂100重量部に対し10重量部の割合でこの混練物に添加したのち、105℃に設定した厚さ2mm、幅100mmの押出口金から20kg/hrで連続的に押出して原料発泡体を得た。得られた原料発泡体は、厚み8.1mm、幅280mm、平均気泡径750μm、独立気泡率80%、発泡倍率30倍であった。
【0062】
つぎに、この原料発泡体を発泡直後に厚み方向からプレス板の間に挟んで常温まで冷却し、厚さ1mmまで収縮(収縮率12.5%)させたのち、縦100mm、横100mmのシート状に裁断し、この裁断片の表裏面に貫通する通気路を直径500μmの針を用いて孔あけ間隔10mm(孔あけ密度1孔/cm2 )で穿設し、形状回復発泡体を得た。
【0063】
このようにして得られた形状回復発泡体を、実施例1の形状回復発泡体に代えて使用した以外は、実施例1と同様にして積層体を得た。
【0064】
(実施例6)
孔あけ間隔5mm(孔あけ密度4孔/cm2 )で通気路を穿設した以外は実施例5の形状回復発泡体と同様の形状回復発泡体を、実施例2の形状回復発泡体に代えて使用した以外は、実施例2と同様にして積層体を得た。
(実施例7)
孔あけ間隔2.5mm(孔あけ密度16孔/cm2 )で通気路を穿設した以外は実施例5の形状回復発泡体と同様の形状回復発泡体を、実施例3の形状回復発泡体に代えて使用した以外は、実施例3と同様にして積層体を得た。
【0065】
(実施例8)
通気路を穿設しなかった以外は実施例5の形状回復発泡体と同様の形状回復発泡体を、実施例4の形状回復発泡体に代えて使用した以外は、実施例4と同様にして積層体を得た。
(実施例9)
実施例1と同様の形状回復発泡体の周縁部を150℃の熱ロールで融着した以外は、実施例1と同様にして積層体を得た。
【0066】
(実施例10)
実施例3と同様の形状回復発泡体の周縁部を150℃の熱ロールで融着した以外は、実施例3と同様にして積層体を得た。
上記実施例1〜10で得られた積層体をパーチクルボードに手で押しつけて接着剤層を介して接着し、温度23℃、湿度65%の恒温恒湿室に入れた状態で接着後直ちにガスバリア層を剥離した場合、および、接着後3週間そのまま放置したのち、ガスバリア層を剥離した場合の、ガスバリア層を剥離後形状回復発泡体が8mmの厚さまで形状回復するまでの必要日数をそれぞれについて調べその結果を表1に示した。
【0067】
また、比較例1として実施例2に使用した形状回復発泡体と、比較例2として実施例3に使用した形状回復発泡体を直接パーチクルボードに手で押しつけて接着剤層を介して接着し、上記実施例1〜10と同様に形状回復するまでの必要日数を調べ、表1に併せて示した。
【0068】
【表1】
【0069】
表1から、本発明の積層体によれば、長期間保存でき、しかも、必要な時に形状回復発泡体を形状回復させることができることが判る。
【0070】
【発明の効果】
本発明にかかる積層体は、以上のように構成されているので、工場でロボット等で自動的に貼り付け施工できるなど、被着材の所定位置に簡単に一体化することができるとともに、ガスバリア層を剥がすまでは、形状回復発泡体の形状回復が防止されるため、長期保存が可能である。
【0071】
しかも、被着体に予め接着しておけば、施工時間を短縮化することができ、施工の信頼性も向上させることができる。
【0072】
また、請求項2または請求項3のようにすれば、ガスバリア層による形状回復発泡体の形状回復の防止をより確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項3の積層体の製造に用いる形状回復発泡体の製造方法の1例をあらわす説明図である。
【図2】請求項4の積層体の製造に用いる形状回復発泡体の製造方法の他例をあらわす説明図である。
【図3】請求項1の積層体の実施の形態をあらわす斜視図である。
【図4】図3のA−A線断面図である。
【図5】請求項2の積層体の実施の形態をあらわす断面図である。
【図6】請求項3の積層体の実施の形態をあらわす断面図である。
【図7】請求項2の積層体の他の実施の形態をあらわす斜視図である。
【符号の説明】
1a 積層体
1b 積層体
1c 積層体
1d 積層体
2a 形状回復発泡体
2b 形状回復発泡体
2c 形状回復発泡体
2d 形状回復発泡体
22 側縁部(融着部)
3 弱接着剤層
4 ガスバリア層
41 はみ出た部分
42 端(はみ出た部分)
5 接着剤層
Claims (3)
- 独立気泡を有し厚み方向に遅延した形状回復性を有する形状回復発泡体と、この形状回復発泡体の厚み方向の一方の面に積層された接着剤層または粘着剤層と、形状回復発泡体の他方の面の全面を剥離自在に覆うガスバリア層とを備えていることを特徴とする発泡積層体。
- ガスバリア層がその周縁を形状回復発泡体の周縁よりはみ出すように設けられている請求項1に記載の発泡積層体。
- 形状回復発泡体の幅方向の周縁部が加熱融着されている請求項1または請求項2に記載の発泡積層体。
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