JP3615608B2 - ラジカル捕捉能を有する植物油を有効成分とするラジカル捕捉剤 - Google Patents

ラジカル捕捉能を有する植物油を有効成分とするラジカル捕捉剤 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、植物油の一般的な抽出・精製工程を利用して、ラジカル捕捉能を有する植物油組成物を調製することにより、そのもの自体が酸化的障害に抵抗性を有する植物油組成物を提供すると同時に、該組成物を食用油として用いることによって、健康を維持する上で問題となる生体の酸化的障害をも防ぐことができる植物油組成物に関する。
【0002】
【従来技術】
食用の植物油糧原料としては、大豆、なたね、コ−ン、オリ−ブ、ごま、紅花(サフラワ−)、綿実、米、ひまわり、やし、パ−ムなどが用いられる。昨今の食品工業あるいは家庭で利用される食用油は、精製度が高く、トリグリセリドを主成分としてそれ以外の成分をほとんど含まない、ほぼ無味無臭の油が主に使用されている。この様な食用油は一般に「サラダ油」と称され、色も淡く、匂いも少なく、くせのない淡味であることから、あらゆる料理、食品加工に適する油として広く使われている。食用油の精製工程は、雑味や異臭を除いて食用に適した状態にする工程と言える。
【0003】
油糧種子には、トコフェロ−ルやβ−カロチンなどの天然の抗酸化成分が含有されるが、これらの抗酸化成分が場合によっては殆ど精製工程で徐かれてしまうので、精製された食用油は精製されていない状態に比べて酸化的劣化を受けやすい。
【0004】
米油については、精製度を上げると油の酸化安定性が低下することが報告されている(JAOCS、71(2)、227−229(1994);油化学、33(6)、305−310(1983))。これは、抗酸化成分であるオリザノ−ルとトコフェロ−ルの含量が減少するためと説明されている。
【0005】
大豆油についても、精製度を上げると油の酸化安定性が低下することが報告されている。大豆の精製工程油では、原油が最も酸化安定性に優れており、脱酸油が最も不安定であることが報告されている(JAOCS、61(1)、118−120(1989);JAOCS、45(9)、632−634(1968);JAOCS、61(12)、1843−1846(1989);JAOCS、58(3)、239−247(1981))。
【0006】
また、ラジカル反応を誘起する活性酸素を抑制・除去する作用を有する植物油組成物について一連の発明がある(特公平5−19531;特公平7−51510;特開平6−9421;特開平7−188044)。これらは、油糧原料を予め焙煎、酵素、発酵などにより処理したり、あるいは油糧原料以外の副資材を添加するなどの処理をした上で植物油組成物を得ており、一般的な植物油の抽出・精製法とは異なる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、一般的な植物油の抽出・精製工程において、精製度の低い工程油がラジカル捕捉能を有することを見い出し、このようなラジカル捕捉能を有する植物油組成物並びにこれを含有するラジカル捕捉剤を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
活性酸素やフリ−ラジカルが引き金となる疾病などを予防するためには、これらの引き金因子を速やかに消去、捕捉、安定化することが有効な手だてとなる。
【0009】
脂質が酸素障害を受けて生じる脂質過酸化物(アルキルヒドロパ−オキサイド)は、寿命が長い上に、かつ脂質で出来ているので、生体の細胞膜に親和性が強く細胞内へも容易に侵入すると考えられている。
【0010】
従って、脂質過酸化物に起因するラジカルを捕捉することは、生体の酸化的障害を抑制する上で重要な意味がある。
【0011】
そこで、本発明者は、「原油」は一般に食用には適さないが酸化に対しては安定であり、「精製油」は広く食用に適するが原油に比べて酸化に対する安定性は劣るという事実を知り、「原油」の安定性についてラジカル捕捉能という指標で検討を進めた結果、通常の油の抽出・精製工程において、精製度の低い工程油が優れたラジカル捕捉能を有することを見出し、本発明を完成した。
【0012】
すなわち、本願発明は、(1)大豆の脱ガム油又は脱ガム脱臭油からなる植物油を有効成分とするラジカル捕捉剤;(2)菜種の脱ガム油又は脱ガム脱臭油からなる植物油を有効成分とするラジカル捕捉剤;(3)コーンの脱ガム油、脱酸油又は脱ガム脱臭油からなる植物油を有効成分とするラジカル捕捉剤、である。
【0013】
本発明の植物油組成物としては、次のようなものが挙げられる。
【0014】
オリーブ又はゴマ、紅花又はひまわり由来のものである植物油は、圧搾抽出及び/又は溶剤抽出による原油又は該原油に水洗処理及び/又は脱臭処理といった軽度の精製処理が施されたものである。
【0015】
菜種又は大豆由来のものである植物油は、原油に脱ガム処理又は更に脱臭処理が施されたものである。
【0016】
コーン由来のものである植物油は、原油に脱ガム処理が施されたもの、さらに脱臭処理が施されたものである。
【0017】
しかし、菜種や大豆由来の原油の場合、一般的な精製工程における脱酸油以降の工程油、また、コーン由来の原油の場合、脱色以降の工程油は、本発明のようなラジカル捕捉能は有しないし、また、一般的な精製工程、すなわち、脱ガム処理、脱酸処理、脱色処理、脱臭処理等の一連の処理を経て製造されたものである菜種、大豆あるいはコ−ン由来の精製油も、本発明のようなラジカル捕捉能は有しない。
【0018】
このように、「原油」又は「精製油」といっても、その種類によって、そのラジカル捕捉能の程度は異なり、抽出・精製工程からの工程油が優れたラジカル捕捉能を有することを見出すことは容易ではなく、価値がある。
【0019】
また、大豆、菜種、コーン等の精製度の低い工程油は、通常は食味の点から食用に適さないが、ラジカル捕捉能を生かすためには、あまり精製しないことが必要となるので、食味等を考慮すると、その問題点を解決するための工夫が必要となる。
【0020】
そこで、本発明では、食味を満たすための手段として、精製度の低い工程油を直接「脱臭処理」したり、通常「サラダ油(精製油)」と称される食用精製油と適宜配合するなどの手段等を採用することにより、その問題点を解決したものである。
【0021】
以上のように、本発明は、抽出・精製工程からの工程油から、優れたラジカル捕捉能を有するものを見つけたことに価値があるだけではなく、該植物油に対し食味向上のための工夫をしている点においても価値がある。
【0022】
本発明の植物油組成物は、一般的な抽出・精製手段等によって製造することができる。
【0023】
原油は、植物油の油糧原料から、圧搾抽出及び/又は溶剤抽出により得ることができる。
【0024】
油糧原料としては、菜種、大豆、コーン、オリーブ、ゴマ、紅花、ひまわり、綿実、米、やし又はパ−ム等が用いられる。
【0025】
圧搾抽出は、原料に高圧を加えて細胞中の油分を搾り取ることにより行う。ゴマのような比較的油分の高い植物原料に用いる。
【0026】
溶剤抽出は、原料となる油糧種子を圧扁もしくは圧搾抽出後の残渣に溶剤を接触させ、油分を溶剤溶液として抽出し、得られる溶液から溶剤を留去して油分を得ることにより行う。溶剤としては、ヘキサン等を使用する。大豆等の含油量の少ない原料に用いる。
【0027】
次に、精製手段としては、植物油の一般的な精製工程を適用することができる。すなわち、一般に、(抽出油)原油→脱ガム油→脱酸油→脱色油→脱臭油(精製油)の順に不純物が除かれ、それぞれの間の操作である「脱ガム処理」、「脱酸処理」、「脱色処理」、「脱臭処理」の工程からその一部をあるいは組み合せて適宜用いることが可能である。それ自体としては一般的な、脱ガム処理、脱酸処理、脱臭処理等が採用される。
【0028】
脱ガム処理は、油分中に含まれるリン脂質を主成分とするガム質を水和除去する工程である。
【0029】
脱酸処理は、油分中に含まれる遊離脂肪酸をアルカリ水で処理することにより、セッケン分として除去する工程である。
【0030】
脱色処理は、油分中に含まれる色素を活性白土に吸着させて除去する工程である。
【0031】
脱臭処理は、油分中に含まれる揮発性有臭成分を減圧下で水蒸気蒸留することによって除去する工程である。
【0032】
なお、オリ−ブについては、圧搾抽出及び/又は溶剤抽出された原油をそのまま又は該原油が簡単な水洗処理を施されたものを食用に供される場合もある。この様な油はバ−ジンオイルと呼ばれて、その独特な風味が好まれて利用される。ゴマ、紅花並びにひまわりについても、同様の状態の油が食用に供される場合がある。
【0033】
本発明の植物油組成物は、そのラジカル捕捉能を保持したまま食用に適する植物油組成物となるが、精製度の低い油を通常の(抽出油)原油→脱ガム油→脱酸油→脱色油→脱臭油(精製油)という順を追った精製工程を経ずに脱臭処理することによって、本来は風味(味、臭い)等の点で食用に適さない油をラジカル捕捉能を保持したまま可食に適する植物油組成物を提供することもできる。
【0034】
また、本発明の植物油組成物は、優れたラジカル捕捉能を有するので、ラジカル捕捉剤としても有用である。
【0035】
通常「サラダ油」と称される食用の精製油等に添加、配合することにより、生体内ラジカル捕捉能のあるものを得ることができる。
【0036】
食品、飼料、化粧料、医薬等に添加、配合しても、同様な効果が期待できる。
【0037】
【発明の実施の形態】
油糧原料からの原油の製造は、次のような圧搾抽出及び溶剤抽出法で行った。
【0038】
菜種、ゴマ、オリーブ等の油分の高い原料は、圧搾機を用いて圧搾抽出により得た圧搾油に、圧搾粕から下記の要領で溶剤抽出により得た抽出油を併せて、原油を得た。
【0039】
また、大豆等の油分の低い原料は、溶剤抽出法により、まず、予備加熱(温度80〜90℃、10分程度)、圧扁(穀粒を軽く押し潰してフレーク状にすること)して溶剤で抽出され易くし、この圧扁原料の油分を温度50〜70℃で5〜10倍量のヘキサンに30〜60分間浸漬して抽出し、ヘキサンを留去することにより、原油を得た。
【0040】
原油を精製する場合の脱ガム処理、脱酸処理、脱色処理、脱臭処理は、次のようにして行った。
【0041】
脱ガム処理は、原油に温水を加え(1〜3%)、温度50〜80℃にて、30〜60分間撹拌して、リン脂質等を水和させ、これを遠心分離して除去することにより、脱ガム油を得た。
【0042】
脱酸処理は、脱ガム油中に存在する遊離脂肪酸の含有量と当量よりも若干過剰量の苛性ソーダを加え、温度30〜50℃で30〜90分間撹拌して、遊離脂肪酸をセッケンに変え、遠心分離により除去した後、分離油を水洗して、脱酸油を得た。
【0043】
脱色処理は、原油に、酸性白土を0.5〜2%加え、50mmHg以下の減圧下、温度80〜110℃で撹拌し、活性白土に色素成分等を吸着させ除去して、脱色処理油を得た。
【0044】
脱臭処理は、脱色油に3mmHg以下の減圧下、220〜270℃で水蒸気を吹き込み(油の量に対して3%までを目安とする)、揮発性有臭成分を除去して、脱臭油(精製油)を得た。
【0045】
本発明においては、ラジカル捕捉能を保持したまま風味等の点で可食に適した植物油組成物を提供するために、原油、脱ガム油、脱酸油等の一般的な植物油の抽出・精製工程において精製度の低い油に直接脱臭処理や分子蒸留(水蒸気を吹き込まずに減圧とする)等によって有臭成分を除去したり、及び/又は食用の精製油と配合したりすることが考えられる。
【0046】
実施例におけるラジカル捕捉能は、以下の方法で測定した。
【0047】
脂質過酸化物(アルキルヒドロパ−オキサイド:LOOH)のモデル化合物としてt−butyl hydroperoxide(t−BuOOH)を用いる測定系で、化学発光法により測定して、化学発光を50%抑制する被験物の濃度を求める{Jpn.J.Cancer Res.,83,923(1992);Arch.Biochem.Biophys.,294,55(1992)}。
【0048】
0.01Mリン酸緩衝生理食塩水(ダルベッコPBS(ー)、日水製薬製)250μlに、10mM DTPA(ジエチレントリアミン5酢酸:SIGMA製)50μlと300mMt−BuOOH(SIGMA製)50μlとを加えて十分に攪拌する。植物油組成物などの被験物のエタノ−ル溶液50μlと、100μMルミノ−ル(SIGMA製)50μlを加えてさらに激しく攪拌して、最後に素早くヘモグロビン(ブタ由来、SIGMA製,1mg/l)50μlを加えて発光測定器にセットして、発光量を測定する。各溶液はPBSを用いて調製した。
【0049】
被験物を入れない場合に対して、発光量を50%に抑制する被験物濃度を求めて50%抑制濃度とする。この値が小さいほどラジカル捕捉能が強いことを示す。
【0050】
本発明のラジカル捕捉能を有する植物油組成物は、そのまま食用油として用いても、一般にサラダ油と称される食用精製油と配合することによってさらに可食に適した食用油として加工食品(例えば、飲料、乳製品、ゼリー、錠剤、パン、麺、スープ等)を得ることができる。
【0051】
また、食品だけではなく、飼料あるいは化粧品や医薬品等の基材として用いて、ラジカル捕捉能を有する飼料、化粧料、医薬等を得ることができる。
【0052】
以下、本発明の詳細を実施例で説明する。
【0053】
実施例1は、油糧原料が菜種、大豆、コーンである原油からの各精製工程油のラジカル捕捉能を測定したもの、実施例2は、油糧原料がオリーブである原油及びその脱臭処理油のラジカル捕捉能と風味を測定したもの、実施例3は、油糧原料がオリーブである原油とその脱臭処理油及びこれらを菜種サラダ油に配合した植物油のラジカル捕捉能と風味を測定したもの、実施例4は、油糧原料がゴマである原油及びその脱臭処理油のラジカル捕捉能と風味を測定したもの、実施例5は、油糧原料がゴマである原油とその脱臭処理油及びこれらを菜種サラダ油に配合した植物油のラジカル捕捉能と風味を測定したもの、実施例6は、油糧原料が大豆、菜種、コーンである脱ガム油及びその脱臭処理油(脱ガム脱臭処理油)の原油からの改質油のラジカル捕捉能と風味を測定したもの、実施例7は、油糧原料が大豆、菜種、コーンから得られた脱ガム脱臭処理油をサラダ油に配合した植物油のラジカル捕捉能と風味を測定したもの、である。
【0054】
【実施例1】
菜種、大豆、コ−ン等の油糧原料に上記の圧搾抽出及び/又は溶剤抽出を施して得た原油について、上記のような精製処理を施すことにより得られた脱ガム処理油、脱酸処理油、脱色処理油、脱臭処理油のラジカル捕捉能を測定した。その結果を以下の表1に示す。
【0055】
【表1】
Figure 0003615608
※1:ビタミンE製剤イ−ミックス80(エーザイ)を無添加の菜種サラダ油に10%濃度で溶かした。
【0056】
※2:β−カロチン(和光純薬)を無添加の菜種サラダ油に1%濃度で溶かした。
菜種、大豆由来原油の場合、脱ガム油が、コ−ン由来原油の場合、脱ガム油並びに脱酸処理油が、強いラジカル捕捉能を示した。
【0057】
これらの活性の程度は、天然抗酸化成分として広く用いられているビタミンE並びにβ−カロチンを配合した精製油よりも強いものであった。
【0058】
【実施例2】
オリ−ブを上記のような圧搾抽出するで得た原油に相当するバ−ジンオリ−ブ油(昭和産業)を、3mmHg以下の減圧下で水蒸気を吹き込んで脱臭処理をして、処理条件の異なる処理油を得た。
【0059】
得られた処理油のラジカル捕捉能を測定し、併せて食用油としての風味を官能的に評価した。その結果を以下の表2に示す。
【0060】
【表2】
Figure 0003615608
※1:脱臭処理に供した原料の油
※2:【発明の実施の形態】の項で説明した方法で調製した精製油
※3:ビタミンE製剤イ−ミックス80(エーザイ)を無添加の菜種サラダ油に10%濃度で溶かした。
【0061】
※4:β−カロチン(和光純薬)を無添加の菜種サラダ油に1%濃度で溶かした。
【0062】
※5:5 ほぼ無色〜極微黄色、 3 やや黄色〜黄色、 1 濃い黄色〜緑黄色
※6:5 良好、 4 ほぼ良好、 3 やや青臭い、 2 かなり青臭い、
1 非常に青臭い
※7:5 良好、 4 ほぼ良好、 3 やや雑味あり、 2 雑味あり、 1 強い雑味あり
バ−ジン油は、ラジカル捕捉能は最も強いが食用油としては癖が強い。
【0063】
脱臭処理油では、処理温度が高いほどラジカル捕捉能はやや低下するが、食用油としての風味は良好なものになった。
【0064】
一方、精製油は無味無臭に近いが、ラジカル捕捉能は弱くなる。しかし、実施例1の菜種、大豆、コ−ンと比較すると、オリ−ブは精製されてもある程度のラジカル捕捉能を保持しており、その活性の程度は天然抗酸化成分として広く用いられるビタミンEならびにβ−カロチンを配合した精製油よりも強いものであった。
【0065】
オリ−ブ油の風味については、好き嫌いの差が著しく、独特の青臭さと雑味がむしろ好まれる場合もある。
【0066】
本実施例の結果から、脱臭処理条件を適宜選択することにより、ラジカル捕捉能を保持した状態で風味を調整できることが示された。
【0067】
【実施例3】
実施例2の脱臭温度160℃で得られた脱臭処理油と、その原料の油であるバ−ジン油を、無添加の菜種サラダ油に配合率を変えてブレンドして植物油組成物を調合した。
【0068】
得られた調合油のラジカル捕捉能を測定し、併せて食用油としての風味を官能的に評価した。結果を以下の表3に示す。
【0069】
【表3】
Figure 0003615608
※1:5 良好、 4 ほぼ良好、 3 やや青臭い、 2 かなり青臭い 1 非常に青臭い
※2:5 良好、 4 ほぼ良好、 3 やや雑味あり、2 雑味あり、 1 強い雑味あり
原料の菜種サラダ油はラジカル捕捉能を示さないが、オリ−ブのバ−ジン油又は脱臭処理油を配合すると、配合率に応じたラジカル捕捉能が示された。
【0070】
実施例2でも述べた通り、オリ−ブ油の風味については、好き嫌いの差が著しい。
【0071】
脱臭処理油と、菜種サラダのようにラジカル捕捉能はないが、殆ど無味無臭の植物油とを調合することによって、ラジカル捕捉能を保持したまま独特の青臭さと雑味を抑えた植物油組成物を得ることができる。
【0072】
【実施例4】
原料のゴマを焙煎(いわゆる煎りゴマの状態)にしてから溶剤抽出して得た原油を一般的な植物油の精製工程を経ずに濾過処理と水洗処理のみを施して油を得た。これは「焙煎ゴマ油」と称して、オリーブのバージンオイル(生搾り油)に相当するもので、日本においてはその芳香が好まれて用いられている。
【0073】
また、原料のゴマを焙煎することなく、一般的な植物油の抽出・精製工程を経て油を調製した。この「精製ゴマ油」は、無色透明で殆ど無味無臭である。
【0074】
焙煎ゴマ油に3mmHg以下の減圧下で水蒸気を吹き込んで脱臭処理をして、条件の異なる処理油を得た。
【0075】
得られた処理油のラジカル捕捉能を測定し、併せて食用油としての風味を官能的に評価した。その結果を表4に示す。
【0076】
【表4】
Figure 0003615608
※1:ビタミンE製剤イ−ミックス80(エーザイ)を無添加の菜種サラダ油に10%濃度で溶かした。
【0077】
※2:β−カロチン(和光純薬)を無添加の菜種サラダ油に1%濃度で溶かした。
【0078】
※3:5 淡黄色〜赤みを帯びた黄色、 3 やや赤褐色、 1 赤褐色
※4:5 ほぼ無臭、 4 ほのかに煎りゴマ臭、 3 煎りゴマ臭、 2 やや強い煎りゴマ臭、 1 非常に強い煎りゴマ臭
※5:5 ほぼ無味、 4 ほのかに煎りゴマ風味、 3 煎りゴマ風味、2 やや強い煎りゴマ風味、 1 非常に強い煎りゴマ風味
結果をみると、大体、実施例2のオリーブ油の場合と同じような傾向を示した。
【0079】
【実施例5】
先の実施例4の脱臭温度160℃で得られた脱臭処理油と、その原料の油である焙煎ゴマ油を、無添加の菜種油に配合率を変えてブレンドして植物油組成物を調合した。
【0080】
得られた調合油のラジカル捕捉能を測定し、併せて食用油としての風味を官能的に評価した。その結果を表5に示す。
【0081】
【表5】
Figure 0003615608
※1:5 ほぼ無臭、 4 ほのかに煎りゴマ臭、 3 煎りゴマ臭、 2 やや強い煎りゴマ臭、 1 非常に強い煎りゴマ臭
※2:5 ほぼ無味、 4 ほのかに煎りゴマ風味、 3 煎りゴマ風味、2 やや強い煎りゴマ風味、 1 非常に強い煎りゴマ風味
結果をみると、大体、実施例3のオリーブ油の場合と同じようなことがいえる。
【0082】
【実施例6】
上記のような抽出・精製処理で得られる、大豆及び菜種の脱ガム油、コ−ンの脱酸油とを、3mmHg以下の減圧下で水蒸気を吹き込んで脱臭処理(160℃、40分)して処理油を得た。
【0083】
各原料の油、得られた各処理油ならびに各サラダ油のラジカル捕捉能を測定し、併せて食用油としての風味を官能的に評価した。その結果を以下の表6に示す。
【0084】
【表6】
Figure 0003615608
※1:5 良好、 4 ほぼ良好、 3 やや青臭い、 2 かなり青臭い、1 非常に青臭い
※2:5 良好、 4 ほぼ良好、 3 やや雑味あり、2 雑味あり、 1 強い雑味あり
大豆及び菜種の脱ガム油、コ−ンの脱酸油は、脱臭処理するといずれもやや低下する傾向はあるもののラジカル捕捉能を概ね保持したままで、風味においてはサラダ油には及ばないものの、臭いと味は改善された。
【0085】
このことから、これらの処理油を脱臭処理することによって、ラジカル捕捉能を保持したままで、食用により適した風味を有する植物油を供することができることが明らかになった。
【0086】
【実施例7】
実施例6で得られた各脱臭処理油を、無添加のそれぞれのサラダ油に配合率を変えてブレンドして植物油組成物を調合した。
【0087】
得られた調合油のラジカル捕捉能を測定し、併せて食用油としての風味を官能的に評価した。その結果を以下の表7に示す。
【0088】
【表7】
Figure 0003615608
※1:5 良好、 4 ほぼ良好、 3 やや青臭い、 2 かなり青臭い、1 非常に青臭い
※2:5 良好、 4 ほぼ良好、 3 やや雑味あり、2 雑味あり、 1 強い雑味あり
原料の各サラダ油はラジカル捕捉能を示さないが、脱ガム油又は脱酸油を脱臭処理した油は、配合率に応じたラジカル捕捉能が示された。
【0089】
従って、このような脱臭処理油に、菜種サラダ油のようにラジカル捕捉能はないが、殆ど無味無臭の植物油を調合することによって、ラジカル捕捉能を保持したまま独特の青臭さと雑味を抑えた植物油組成物を得ることができる。
【0090】
【発明の効果】
本発明の植物油組成物は、優れたラジカル捕捉能を有している。
【0091】
本発明の植物油組成物は、そのラジカル捕捉能を保持したまま食用に適する植物油組成物となり、また、精製度の低い油を通常の精製工程を経ずに脱臭処理することによって、本来は風味等の点で食用に適さない油をラジカル捕捉能を保持したまま可食に適する植物油組成物を提供することができる点で価値がある。
【0092】
また、本発明の植物油組成物は、優れたラジカル捕捉能を有するので、ラジカル捕捉剤としても有用である。
【0093】
そのため、原油と比べると酸化安定性が劣る状態も植物油、例えば、菜種サラダ油等に添加、配合することにより、酸化安定性のあるものを得ることができるし、生体にとっては各種の疾病につながる生体も酸化的障害を抑制することができ、また、食品、飼料、化粧料、医薬等に添加、配合しても、同様な効果が期待できる点でも優れた発明である。
【0094】
ところで、一般に、脂質は酸化を受けやすいものであることからみて、このような脂質を構成成分とするところの植物油から、優れたラジカル捕捉能を有するものが得られるであろうことは、常識では考えられないことであり、このことからみても、本発明の効果は、予期し得ない格別の効果であることが分かる。
【0095】
そして、本発明のラジカル捕捉剤は、天然に存在する原料、すなわち、菜種、大豆、コーン、オリーブ等から、通常の植物油の製造に用いられている方法により製造されるから、原料、製法等からみて、人体に安全であり、また、安定的に得られる点において、価値が高い。
【0096】

Claims (3)

  1. 大豆の脱ガム油又は脱ガム脱臭油からなる植物油を有効成分とする生体内ラジカル捕捉剤。
  2. 菜種の脱ガム油又は脱ガム脱臭油からなる植物油を有効成分とする生体内ラジカル捕捉剤。
  3. コーンの脱ガム油、脱酸油又は脱ガム脱臭油からなる植物油を有効成分とする生体内ラジカル捕捉剤。
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