JP3615530B2 - ゴーグル - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、スイミング用、スキー用、オートバイ用、各種作業用などの眼を保護するためのゴーグルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種ゴーグルとしては、図14〜図16に例示するものが知られている(例えば、実公昭53−153700号公報、実公昭64−4372号公報、実開平2−102265号公報参照)。
図14〜図16に示すゴーグル21は、スイミング用で、左右一対のアイカップ22,22と、両アイカップ22,22の対向内端部を連結する鼻ベルト23と、両アイカップ22,22の外端部相互を接続する弾性バンド24と、両アイカップ22,22の側壁部後端に接着された柔軟な弾力を有する環状のクッションパッド25とから成っている。
【0003】
そして、前記アイカップ22の対向内端には、鼻ベルト取付台座26が突出状に設けられ、該台座26に略長方形のベルト挿通孔27が顔面方向に貫通状に設けられている。前記鼻ベルト23は、ゴム、樹脂等の可撓性を有する材料により断面長方形に成形され、その一面(顔面側)に係止突部28が複数個設けられている。この鼻ベルト23は、前記ベルト挿通孔27に挿通され、係止突部28がベルト挿通孔27の顔面側外周部に係止される。
また、前記アイカップ22,22は、対向外端部に顔面方向に貫通する弾性バンド挿通孔29を備えている。前記弾性バンド24は、ゴム製の平帯状を呈する一本の長尺物で、前記挿通孔29,29に通し、その各端部24A,24Aを重ね合わせて調節輪杆(バックル)30に通して連結してある。したがって、弾性バンド24は、ゴーグル装着者の後頭部を二重に支持するので、ゴーグル21の安定性が向上する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記従来技術では、鼻ベルト23の両端部が、ベルト取付台座26からの突出長さが長くて目立ち、体裁がよくない。また、ベルト挿通孔27が角孔で、鼻ベルト23の動きに融通性がない。したがって、アイカップ22,22の上下方向の動きは、鼻ベルト23により制限されるため、微調整をし難く、ゴーグル装着者の顔面へのフィッティング自由度がないという問題がある。
本発明は、上述のような実状に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、アイカップと鼻ベルトの上下方向の相対的な動きに融通性があり、微調整が容易で、顔面へのフィッティング自由度のあるゴーグルを提供するにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明では、上記目的を達成するために、次の技術的手段を講じた。
即ち、本発明は、左右一対のアイカップと、両アイカップを連結する鼻ベルトと、両アイカップの対向外端部相互を接続する弾性バンドとから成るゴーグルにおいて、前記アイカップと鼻ベルトとの連結を、断面略円形の棒状突起と、該突起が相対回動可能に嵌合される係合孔とにより行なうようにしたものである。
この場合、アイカップと鼻ベルトは、棒状突起を軸として相対的に回動し、アイカップの上下方向の動きに融通性が生まれる。そして、ゴーグル装着者の顔面に対するアイカップの位置調整は、アイカップを上下させることで容易に行え、顔面へのフィッティング自由度が向上する。
【0006】
また、本発明は、前記アイカップの鼻ベルト取付台部の後面に、顔面に向かって突出する棒状突起を設け、鼻ベルトの両端部に突起係合孔を設けているので、成形性が良く、十分な連結強度が得られる。
そして、本発明は、前記棒状突起の先端部に突起中心軸線に対して鋭角に傾斜する係止突部を設け、前記鼻ベルト両端部の後面に前記係止突部を係止させるようにしたので、アイカップと鼻ベルトの連結・分離が容易であり、ゴーグルを装着して使用しているとき、弾性バンドによる引張力が、前記棒状突起を鼻ベルトの係合孔に挿入方向に作用する。したがって、ゴーグル使用時に、アイカップと鼻ベルトが外れない。
この場合、前記鼻ベルトの両端部を後方に傾斜させ、後方に傾斜した鼻ベルト両端部の後面に前記係止突部を係止させるようにするのが好ましい。
【0007】
さらに、本発明は、前記アイカップの周壁部後端面を、顔面に直接接触するようにしたものであるから、パッドが不要となり、軽量化できる。
また他の本発明の特徴とするところは、左右一対の硬質プラスチック製のアイカップと、該両アイカップを連結する弾性材料により成形された鼻ベルトと、前記両アイカップの対向外端部相互を接続する弾性バンドとから成り、前記両アイカップの左右対向内側には前記鼻ベルトの取付台部が突設され、該取付台部に前記鼻ベルト両端部が取り付けられているゴーグルにおいて、前記取付台部の後面側に断面略円形の棒状突起が設けられ、前記鼻ベルトの左右両端部に、前記棒状突起が相対回動可能に嵌合される係合孔が設けられ、前記アイカップは、前面のレンズ部と、該レンズ部の周縁から後方に突出する周壁部とを備え、前記取付台部は、前記周壁部の左右対向内側より前記レンズ部の前面側に向かう傾斜面に形成された後面を有し、該後面と前記棒状突起とは、前記周壁部側において鋭角をなしている点にある。
前記棒状突起の先端部外周に前記後面と略平行になる係止突部が設けられ、前記鼻ベルトの両端部の前後面は、前記取付台部の後面と略平行な傾斜面に形成され、前記係合孔は該鼻ベルトの両端部の前後面に対して傾斜して設けられ、該鼻ベルトの両端部の前面が、前記取付台部の後面に面接触し、該鼻ベルト両端部の後面が前記係止突部に係止されているのが好ましい。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
図1〜図13は、本発明の一実施形態を示している。
図1において、ゴーグル1は、左右一対のアイカップ2,2と、鼻ベルト3と、弾性バンド4と、バンド留具5とにより構成されている。
アイカップ2,2は、透明な硬質プラスチック製で、図2、図3にも示すように、前面の平板状レンズ部6と、レンズ部6の周縁から後方に突出する周壁部7とを備えている。該周壁部7の後端部7Aは、顔面にフィットするように滑らかな曲面とされ、パッドが不要となっている。また、前記周壁部7の左右対向内側には、鼻ベルト3の取付台部8が突設されている。そして、周壁部7の各外端は、バンド接続部9とされている。
【0009】
前記アイカップ2の取付台部8は、レンズ部6の前面よりも前方に向かって斜めに突出するように設けられている。該取付台部8の後面(顔面側傾斜面)8Aに、顔面に向かって突出する断面略円形の棒状突起10が設けられている。この突起10は、前記後面8Aに対して、周壁部7側が鋭角となっている。また、突起10の後端面10Aは、図5に示しているように、前記取付台部後面8Aと略平行とすべく突起10の中心軸線に対して傾斜されている。
前記棒状突起10の後端部には、対向内側に係止突部11が設けられている。前記アイカップ2は、各周壁部7の左右方向外端側(前記取付台座8の反対側)が、後方に傾斜状に延出されて前記バンド接続部9とされている。このバンド接続部9は、厚肉とされ、バンド挿通孔12が上下方向(レンズ部6の中心軸線)と直交する方向に設けられている。
【0010】
バンド挿通孔12は、図7に示すように、断面形状が前後方向に長い(長さL)略卵形の長孔で、後方端側の孔曲率半径R1が、前方レンズ部6側の孔曲率半径R2よりも大きくされている。このバンド挿通孔12の形状寸法は、後述の弾性バンド4の形状寸法に対応して決定されている。
前記鼻ベルト3は、図1、図3、図5、図9に示されているように、平面視略弯曲状で、軟質(又は半硬質)プラスチック等の弾性材料により成形されている。また、鼻ベルト3は、長手方向(左右方向)両端部3Aが、後方に向かって傾斜状(ハ字状)に延び、該両端部3Aに前後方向に貫通する突起係合孔13,13が設けられている。この係合孔13は、前記両端部3Aの前後面に対して傾斜している。
【0011】
また、前記両端部3Aの前面には、鼻ベルト3の前端面に対して、前記取付台部8の前後方向厚さと略同じ寸法の段差Hが設けられている(図5参照)。この段差Hは、アイカップ2の前記取付台部8前面と、鼻ベルト3前面を、面一(フラッシュサーフェース)にするのに役立つ。これは、スイミングゴーグルに採用することにより、水の抵抗をなくするのに効果がある。
なお、突起係合孔13は、円形であるから、円形断面の棒状突起10と嵌合させるとき、アイカップ2と鼻ベルト3が、突起10を軸として相対的に回動自在となる。そして、鼻ベルト3の両端部3A後面には、左右内端側に、係止突部11の係止する切欠部14が設けられている。
【0012】
前記弾性バンド4は、ゴム等の弾性材により伸縮自在に構成されている。図1に示すように、弾性バンド4は、長手方向の中央部4Aと両端部4Cが断面略情報系の帯状とされ、他の中間部4Bが断面略円形のヒモ状とされて一体的に成形されている。このバンド4の中央部4A及び両端部4Cの幅Wは、アイカップ2のバンド挿通孔12の長手方向長さLよりも若干狭い寸法とされ、バンド挿通孔12に容易に通しうるようにしてある(図7参照)。
また、中間部4Bの半径は、アイカップ2のバンド挿通孔12の後端側曲率半径R1のと同じか又は若干小さい寸法とされている。なお、帯状の中央部4Aと両端部4Cの厚さtは、バンド挿通孔12のレンズ部6側曲率半径R2の2倍と同じか又は若干小さい寸法とされている(図7参照)。そして、バンド挿通状態では、ヒモ状中間部4Bがアイカップ2のバンド挿通孔12に位置し、挿通孔12の長手方向(アイカップ2の前後方向)の動きが少なく、ゴーグル非装着時における弾性バンド4のアイカップ2に対する移動がなく安定する。
【0013】
さらに、バンド挿通孔12に位置するヒモ状中間部4Bは、断面略円形であるから、アイカップ2と弾性バンド4との相対回動が自在となる。したがって、アイカップ2の顔面へのフィッティング自由度が良くなる。そして、弾性バンド4がねじれても、ねじれ応力はヒモ状中間部4Bで吸収され、安定した微調整が可能である。このため、クッションパッドを使用しない競技用のアイカップ2には最適である。
前記バンド留具5(バックル)は、硬質プラスチック製で、弾性バンド4の両端部4Cを夫々個別に挿通し、二重にして留めるようになっている。そして、該留具5は、バンド4の装着長さを、装着者の頭部の大きさに応じて、任意に調整できると共に、弾性バンド4の両端部4Cを相互に接続する。したがって、帯状の中央部4A及び両端部4Cが、ゴーグル装着者の後頭部を安定良く二重に支持し、フィット性が向上する。
【0014】
なお、前記アイカップ2の成形に際しては、パーティングラインPは、図4、図10に示すように、周壁部7端面7A又はフランジ部外端面から、フランジ部7Fの肉厚Tの半分以上の寸法Dの位置とされている。したがって、周壁部端面7Aは、ゴーグル装着者の顔面に直接当たっても、顔面にソフトに接触し、顔面に傷みや違和感を生じさせない。
上記実施形態によれば、ゴーグル1を装着するとき、左右のアイカップ2,2は、鼻ベルト3に対して棒状突起10を軸として、図6に矢印で示すように相対回転する。そのため、アイカップ2は上下方向に融通性をもって動き、装着者の顔面にアイカップ後端面7Aがフィットする。また、アイカップ2は、弾性バンド4中間部4Bに対しても、図3に矢印イ,ロで示す前後方向に回動して、アイカップ2の位置調整が容易となる。
【0015】
さらに、ゴーグル1を装着して使用しているとき、アイカップ2と鼻ベルト3には、図5に示すように、弾性バンド4の張力Fが矢印で示す方向に作用し、そのために、鼻ベルト3の両端部3Aには、図3に矢印FAで示す方向に力が作用する。即ち、突起係合孔13の各外端側が、アイカップ2の取付台部8と棒状突起10の間に押し込められる。また、棒状突起10の係止突部11が、鼻ベルト3の突起係合孔13後方の切欠部14に係止されている。したがって、ゴーグル1の使用中は、前記係合孔13から棒状突起10が抜け出して、アイカップ2と鼻ベルト3が分離することはない。
【0016】
そして、弾性バンド4は、アイカップ2のバンド挿通孔12に上下方向に挿通されているので、アイカップ2をねじることがなく、フィット性が良好である。また、弾性バンド4は、その帯状部分4A,4Cが後頭部に接するので、安定性がよく、断面略円形の中間部4Bが顔の側部に位置しているので、スイミング用ゴーグルの場合水の抵抗が減少し、競技用として最適である。
上記実施形態において、棒状突起10の係止突部11は、図11に示すように、突起10の端部全周にわたって設けることができる。また棒状突起10の係止突部11は、図12に示すように、アイカップ2の周壁部7側に突出状に設けることができる。さらに、鼻ベルト3は、図13に示すように、帯板状とすることができる。
【0017】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、例えば、棒状突起10はベルト取付台部8の前面側に突設することができる。また鼻ベルト3に棒状突起を設け、アイカップ2のベルト取付台部8に突起係合孔を設けることができる。さらにアイカップ2には、その周壁部7の後端面7Aにクッションパッドを接着することができる。
前記アイカップのバンド挿通孔を略円形、卵形、だ円形、略長円形等とすることができるほか、弾性バンドの断面形状を全長にわたって略円形とすることができ、適宜設計変更可能である。
【0018】
そして、本発明は、弾性バンド及びその取付部が従来公知の他の形式のものにも採用できる。
【0019】
【発明の効果】
本発明は、上述のように、アイカップと鼻ベルトの連結を、断面略円形の棒状突起と、該突起が相対回動可能に嵌合される係合孔により行なうようにしたものであるから、アイカップの上下方向の動きに融通性が生まれ、ゴーグル装着者の顔面に対する位置調整が容易で、フィッティング自由度を向上させることができる。
また、本発明によれば、前記アイカップの鼻ベルト取付台部に棒状突起を設け、鼻ベルトの両端に突起係合孔を設けたので、成形性が良く、連結強度を確保できる。
【0020】
そして、本発明によれば、前記棒状突起の先端部に突起中心軸線に対して鋭角に傾斜する係止突部を設け、前記鼻ベルトの両端部を後方に傾斜させ、該鼻ベルト両端傾斜面に前記突部と係止させるようにしたので、アイカップと鼻ベルトの連結が使用中に外れることがなく、連結・分離が容易である。
さらに、本発明によれば、クッションパッドが不用で、軽量化及びコスト低下を図ることができ、水泳競技用として最適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す正面斜視図である。
【図2】同実施形態におけるアイカップの拡大正面図である。
【図3】図2の平面図である。
【図4】図2のA−A線断面図である。
【図5】図3のB部拡大図である。
【図6】図5のC−C線矢視図である。
【図7】同実施形態におけるアイカップのバンド挿通孔の形状を示す正面図である。
【図8】同実施形態における鼻ベルトの正面図である。
【図9】図8の上平面図である。
【図10】同実施形態におけるアイカップの他の形状例を示す断面図である。
【図11】同アイカップの棒状突起係止突部の他の形状例を示す斜視図である。
【図12】同アイカップの係止突部のさらに他の形状例を示す斜視図である。
【図13】同実施形態における鼻ベルトの他の形状例を示す斜視図である。
【図14】従来例の頭部への装着状態を示す側面図である。
【図15】従来例の拡大平面図である。
【図16】従来例のアイカップを示す正面図である。
【符号の説明】
1 ゴーグル
2 アイカップ
3 鼻ベルト
3A 両端傾斜部
4 弾性バンド
7 周壁部
7A 周壁部後端面
8 鼻ベルト取付台部
9 外端部
10 棒状突起
11 係止突部
13 突起係合孔
Claims (5)
- 左右一対のアイカップと、両アイカップを連結する鼻ベルトと、両アイカップの対向外端部相互を接続する弾性バンドとから成るゴーグルにおいて、前記アイカップと鼻ベルトとの連結を、断面略円形の棒状突起と、該突起が相対回動可能に嵌合される係合孔とにより行なうようにし、
前記アイカップの鼻ベルト取付台部の後面に、顔面に向かって突出する棒状突起を設け、鼻ベルトの両端部に突起係合孔を設け、前記棒状突起の先端部に突起中心軸線に対して鋭角に傾斜する係止突部を設け、鼻ベルト両端部の後面に前記係止突部を係止させるようにしたことを特徴とするゴーグル。 - 前記鼻ベルトの両端部を後方に傾斜させ、後方に傾斜した鼻ベルト両端部の後面に前記係止突部を係止させるようにしたことを特徴とする請求項1記載のゴーグル。
- 前記アイカップの周壁部後端面を、顔面に直接接触するようにしたことを特徴とする請求項1又は2記載のゴーグル。
- 左右一対の硬質プラスチック製のアイカップと、該両アイカップを連結する弾性材料により成形された鼻ベルトと、前記両アイカップの対向外端部相互を接続する弾性バンドとから成り、前記両アイカップの左右対向内側には前記鼻ベルトの取付台部が突設され、該取付台部に前記鼻ベルト両端部が取り付けられているゴーグルにおいて、
前記取付台部の後面側に断面略円形の棒状突起が設けられ、
前記鼻ベルトの左右両端部に、前記棒状突起が相対回動可能に嵌合される係合孔が設けられ、
前記アイカップは、前面のレンズ部と、該レンズ部の周縁から後方に突出する周壁部とを備え、
前記アイカップの取付台部は、レンズ部の前面よりも前方に向かって斜めに突出するように設けられ、前記棒状突起は、取付台部の後面に対して、前記周壁部側において鋭角をなしていることを特徴とするゴーグル。 - 前記棒状突起の先端部外周に前記後面と略平行になる係止突部が設けられ、前記鼻ベルトの両端部の前後面は、前記取付台部の後面と略平行な傾斜面に形成され、前記係合孔は該鼻ベルトの両端部の前後面に対して傾斜して設けられ、該鼻ベルトの両端部の前面が、前記取付台部の後面に面接触し、該鼻ベルト両端部の後面が前記係止突部に係止されていることを特徴とする請求項4記載のゴーグル。
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