JP3615352B2 - 自動運転建設機械 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動運転する建設機械に係わり、特に、掘削から放土までの一連の作業を自動的に繰り返す油圧ショベル等の自動運転建設機械に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、建設機械の代表例として油圧ショベルが知られているが、近年、油圧ショベが掘削から放土までの一連の作業を単調に繰り返す作業の場合には、自動運転によって作業を行わせるようになってきている。例えば、特公昭54ー7121号公報には、掘削から放土までの一連の動作を教示し、教示された動作を繰り返し再生して、油圧ショベルに掘削から放土までの一連の作業を自動的に行わせる技術が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来、掘削から放土までの一連の作業を自動的に繰り返す建設機械において、教示操作は、通常は、作業者が建設機械の運転室に搭乗して、掘削から放土までの一連の作業を教示する。また、再生操作は、安全上の観点から、この作業者が運転室から降りてから、建設機械から離れた再生操作のし易い場所に設置された教示再生操作装置を操作して実施している。しかし、教示操作を行った作業者以外の作業者が教示再生操作装置から再生操作を行う場合、建設機械の周囲に、前記運転室から降りた他の作業者が存在するか否かを確認して安全を図っているが、建設機械が大型であったり、大型の付帯設備が設置されているような場合には、再生操作をする作業者は、それらの背後等にいる前記他の作業者を十分に把握できない場合がある。このような状態で再生操作を開始することは非常に危険である。
【0004】
本発明は、上記の問題点に鑑みて、自動運転を行う建設機械において、再生操作時の安全性を向上した自動運転建設機械を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の目的を達成するために、
教示された掘削から放土までの一連の動作を、再生操作により繰り返し行う建設機械と、該建設機械から遠隔の位置に設置され前記建設機械の自動運転操作を行う遠隔操作装置と、から構成される自動運転建設機械において、
前記建設機械および前記遠隔操作装置と接離可能であって、教示時に前記建設機械の運転室に装着されて操作され掘削から放土までの一連の動作を教示する教示操作部を備え、
この教示操作部が前記遠隔操作装置に接続されていないときには、再生操作が指令されても、再生処理が実行されないように構成したことを特徴とする。
【0006】
また、前記遠隔操作装置は、
前記教示された動作を繰り返し行わせる再生操作手段と、
前記教示操作部が前記遠隔操作装置に接続された時、前記再生操作手段から出力される再生起動信号のロックを解除するインターロックと、
を設けたことを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の一実施形態を図1〜図6を用いて説明する。
【0008】
図1は本実施形態に係わる自動運転建設機械の作業状態を示す斜視図である。
図において、1は斜面2に形成された土石貯留場所、3は運搬してきた土石4を土石貯留場所1に放出するトラック、5は土石貯留場所1に貯留された土石を掘削し後述する破砕機6に放出する油圧ショベル、7は油圧ショベル5の再生操作を行うのに適した任意の場所に設置された操作ボックスである。
【0009】
油圧ショベル5は、走行体50と、走行体50上に旋回可能に設けられた旋回体51と、旋回体51に俯仰動可能に設けられたブーム52と、ブーム52の先端に回動可能に設けられたアーム53と、アーム53の先端に回動可能に設けられたバケット54と、ブーム52、アーム53、バケット54をそれぞれ俯仰動作するためのシリンダ55,56,57と、旋回体51に設けられた運転室58と、操作ボックスとの間で信号の送受信を行うアンテナ59とから構成されている。
【0010】
また、破砕機6は、走行体60と、走行体60上に設けられたフレーム61と、フレーム61に設けられたホッパ62と、ホッパ62の下方に設けられた破砕部63と、破砕部63の下方に設けられたコンベア64とから構成されており、65は破砕機6によって粉砕された土石を示す。
【0011】
また、操作ボックス7は、支持台70と、支持台70に固定された遠隔操作装置としての教示再生操作装置71とから構成され、教示再生操作装置71には、再生起動釦711と、再生停止釦712と、非常停止釦713と、教示再生操作装置71本体と機械的かつ電気的に接続可能に設けられ、教示時に前記建設機械の運転室に装着されて操作され掘削から放土までの一連の動作を教示する教示操作部714と、教示結果を表示する表示部7141と、教示操作部714と教示再生操作装置71本体とをコネクタ部715において電気的に接続するコード7142と、油圧ショベル5のアンテナ59との間で信号の送受信を行うアンテナ716とを備えている。
【0012】
図2は図1に示す運転室58の内部構造を示す図であり、図において、581は運転席であり、714’は図1に示す着脱可能の教示操作部714が運転席に装着された状態を示す教示操作部であり、7141’はその表示部である。
【0013】
次に、本実施形態に係わる自動運転建設機械の制御機構について図3を用いて説明する。
【0014】
なお、図において、図1に示した教示再生操作装置71の構成と対応する部分については同一符号を付して説明を省略する。
【0015】
図において、717は再生時に操作される再生操作部、718は教示操作部714または再生操作部717から出力される信号を自動運転コントローラ800に出力するための所定の信号に形成するための車外信号生成部、719および816はそれぞれシリアル通信等を行う、教示再生操作装置71と自動運転コントローラ800間で信号の送受信を行う車外無線装置および車内無線装置である。
【0016】
なお、車外信号生成部718は、マイクロコンピュータを使用した一般的なコントローラで構成され、入力した信号に相当する指令コードを生成する機能を有する。入力した信号は、例えば、起動は「ST」、停止は「SP」というように識別可能なASCIIコード列に変換される。
【0017】
80は車内搭載装置を示し、800は自動運転コントローラ、811は自動運転コントローラ800から出力される駆動電流によって駆動される補助制御弁、812は、補助制御弁811から出力される油圧信号により制御され、アクチュエータに流入する油量または油圧を制御する主制御弁、813は図1に示す油圧ショベル5の各部を作動するためのシリンダ55,56,57等のアクチュエータ、814は、旋回体51とブーム52間、ブーム52とアーム53間、アーム53とバケット54間のそれぞれの回転角度と旋回体51の旋回角を検出する角度センサである。
【0018】
なお、図において、教示操作部714は、運転室58から外された教示操作部714’が教示再生操作装置71に装着されている時の状態を示す。
【0019】
また、図において、教示時は、運転室58内の教示操作部714’からの操作によって掘削から放土までの一連の動作についての教示が行われ、自動運転コントローラ800はその操作に従って、各角度センサ814からの検出出力を入力して演算し、後に説明するように所定の記憶領域に教示位置データと教示コマンドを記憶する。再生時は、再生操作部717から再生起動釦711をオンすることによって、車外信号生成部718において形成された所定の信号が無線装置719,816を介して自動運転コントローラ800に送信され、再生処理が開始される。自動運転コントローラ800で再生処理が開始されると、記憶している教示位置データを呼び出し、角度センサ814から得られた現在位置情報と対比しながら、この教示位置データに合致するように、旋回体51、ブーム52、アーム53、バケット54をそれぞれ作動するための補助制御弁811に駆動電流を出力する。補助制御弁811からさらに主制御弁812を介して各アクチュエータ813の油圧を制御して油圧ショベル5の自動運転を行う。
【0020】
次に、本実施形態に係わる自動運転建設機械における機能構成について図4を用いて説明する。
【0021】
なお、図4において、図1〜図3に示した構成と対応する同一部分については同一符号を付して説明を省略する。
【0022】
7181は、車外信号生成部718において、教示再生操作装置71に教示操作部714を装着した時、装着したことを検出して検出信号を出力する車外コマンドポート、7182は、車外信号生成部718において、車外コマンドポート7181から検出信号が出力されている時に、再生起動するために、再生起動釦711をオンした時、再生起動信号のロックを解除するインタ−ロックである。
【0023】
また、801は、教示操作部714’を運転室58内の自動運転コントローラ800に装着して教示操作した時、教示操作信号の出力が可能となる車内コマンドポート、802は角度センサ814から検出された角度信号を現在の位置データに演算する現在位置演算部、803は、教示時、教示操作部714または714’からの操作により、教示コマンドと、現在位置演算部802から得られた油圧ショベル5の現在位置を教示位置データとして出力する教示処理部、804は教示処理部803から出力された教示コマンドを格納する教示コマンド格納部、805は教示処理部803から出力された教示位置データを格納する教示位置格納部、806は教示再生操作装置71から送信された再生起動信号または再生停止信号を入力処理する起動・停止処理部、807は、起動・停止処理部806から出力される信号により再生起動または再生停止され、再生起動された時、格納されている教示コマンドを逐次解釈して教示位置格納部805から所定の教示位置データの出力を指示するコマンドインタプリタ部、808はコマンドインタプリタ部807からの指令に応じて教示位置格納部805から教示位置データを出力処理する教示位置出力処理部、809は、油圧ショベル5が各教示位置間を円滑に動作するように、教示位置出力処理部808から出力された教示位置データから教示位置データ間に演算によって補間された教示位置データを作成し出力するサーボ前処理部、810はサーボ前処理部809から出力された補間教示位置データと現在位置演算部802から出力される現在位置データとを対比して油圧ショベル5の各部を所定の位置に制御するための駆動電流を出力するサーボ制御部である。
【0024】
次に、図4に示す車外コマンドポート7181およびインターロック7182の具体的構成およびその動作について図5〜図6を用いて説明する。
【0025】
図5において、教示操作部714が教示再生操作装置71に装着されると、車外コマンドポート7181aと7181bが結合され、ラインaとラインbがラインcを介して接続され、電源Vccの電圧が端子DIー1に出力する。一方、再生起動釦711がオンされると端子DIー2が接地電位になり、再生起動信号が端子DIー2に出力する。車外信号生成器では、端子DIー1からの信号入力を条件として端子DIー2から入力された再生起動信号のロックが解除される。その結果、再生起動信号は、車外信号生成器から車外無線装置719を介して自動運転コントローラ800に出力される。
【0026】
また、図6は示すものは、図5に示すものの他の例であり、図6において、教示操作部714が教示再生操作装置71に装着されると、車外コマンドポート7181aと7181bが結合され、ラインaとラインbがラインcを介して接続される。一方、再生起動釦711がオンされるとラインbが接地電位になり再生起動信号が生成される。その結果、接地電位が端子DIー1に出力し、ラインaとラインbが接続されたことを条件として、再生起動信号のロックが解除される。その結果、再生起動信号は、車外信号生成器から車外無線装置719を介して自動運転コントローラ800に出力される。
【0027】
次に本実施形態の油圧ショベルの動作を主として図4に基づいて説明する。
【0028】
教示操作は、教示操作部714または714’から操作される。通常は、教示操作部714’が運転室58内に装着され、運転室58から教示操作が行われる。
【0029】
教示操作部714’が運転室58内に装着され、教示操作が行われると、その指令は教示処理部803に入力され、教示処理部803では現在位置演算部802から現在位置データを入力して、各教示点に対応する教示コマンドと教示位置データを生成する。生成された教示コマンドと教示位置データはそれぞれ、教示コマンド格納部804と教示位置格納部805に格納される。
【0030】
ここで、教示コマンドとは、例えば、v=0.7のような速度の指令命令、move P1、move P2、・・・move Pnのような位置の動作命令から構成される。ここでvは速度を表すコマンド、moveは動作を表すコマンド、P1・・・Pnはラベルを表す。これらの教示コマンドのパラメータは、各油圧ショベルの各部の関節の角度情報を示すラベルに相当し、そのラベル情報は、教示位置データとして教示位置格納部805に格納される。
【0031】
再生処理は、教示操作部714が教示再生操作装置71に装着されることを条件としており、教示操作部714が教示再生操作装置71に装着されると、図5および図6において説明したように、車外コマンドポート7181から教示操作部714が装着されたことを検出する検出信号がインターロック7182に出力する。このような状態で、再生起動釦711をオンすると、インターロック7182において、再生起動信号のロックが解除され、再生起動信号は自動運転コントローラ800の起動・停止処理部806に出力される。
【0032】
コマンドインタプリタ部807は、起動・停止処理部806からの起動命令により教示コマンド格納部804に格納されている教示コマンドを順次読み出し実行する。教示コマンドがmove命令の場合は、教示位置出力処理部808を起動し、教示位置格納部805から該当するパラメータを呼び出し、サーボ前処理部809に転送する。
【0033】
サーボ前処理部809は、コマンドインタプリタ部807から与えられた目標速度で各関節が動作するように角度の補間計算を行い、サーボ制御部810に角度目標値を出力する。
【0034】
サーボ制御部810は、現在位置演算部802で演算された現在位置をもとに、フイードバック制御を行い、補助制御弁811を駆動するための駆動電流を出力する。
【0035】
これにより、主制御弁812が制御されてアクチュエータ813に、所定の圧油を供給し、油圧ショベルの各関節を駆動する。
【0036】
上記のごとく、本実施形態によれば、再生操作時は、再生起動釦711がオンされた時、教示操作部714が教示再生操作装置71に接続されていない時は、インターロック7182が動作して、起動・停止処理部806に起動指令を伝達しない。また、作業者が運転室58内の教示操作部714’で教示操作をした後、この教示操作部714’を教示再生操作装置71に装着すると、教示操作部714が教示再生操作装置71に接続されて、インターロック7182によるロックが解除され、起動・停止処理部806に再生起動指令を出力することができる。
【0037】
なお、再生起動釦711は1カ所設ける場合について説明したが、数カ所設ける場合でも、同様の安全機構を設けることにより、安全に自動運転ショベルの起動をかけることができる。
【0038】
【発明の効果】
以上説明したごとく、本発明によれば、遠隔操作によって自動運転する建設機械において、誤って再生操作を起動しても、運転室の作業者が教示操作部を遠隔操作装置に装着しない限り、再生起動信号が出力しないように構成したので、自動運転建設機械の安全性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係わる自動運転建設機械の作業状態を示す斜視図である。
【図2】図1に示す運転室58の内部構造を示す図である。
【図3】本実施形態に係わる自動運転建設機械の制御機構を示すブロック図である。
【図4】本実施形態に係わる自動運転建設機械の機能構成を示すブロック図である。
【図5】図4に示す車外コマンドポート7181およびインターロック7182の一例を示す図である。
【図6】図4に示す車外コマンドポート7181およびインターロック7182の他の例を示す図である。
【符号の説明】
5 建設機械
7 操作ボックス
711 再生起動釦
714,714’ 教示操作部
717 再生操作部
7181 車外コマンドポート
7182 インターロック
800 自動運転コントローラ
801 車内コマンドポート
806 起動・停止処理部
Claims (2)
- 教示された掘削から放土までの一連の動作を、再生操作により繰り返し行う建設機械と、該建設機械から遠隔の位置に設置され前記建設機械の自動運転操作を行う遠隔操作装置と、から構成される自動運転建設機械において、
前記建設機械および前記遠隔操作装置と接離可能であって、教示時に前記建設機械の運転室に装着されて操作され掘削から放土までの一連の動作を教示する教示操作部を備え、
この教示操作部が前記遠隔操作装置に接続されていないときには、再生操作が指令されても、再生処理が実行されないように構成したことを特徴とする自動運転建設機械。 - 請求項1において、
前記遠隔操作装置は、
前記教示された動作を繰り返し行わせる再生操作手段と、
前記教示操作部が前記遠隔操作装置に接続された時、前記再生操作手段から出力される再生起動信号のロックを解除するインターロックと、
を設けたことを特徴とする自動運転建設機械。
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JP10182297A JP3615352B2 (ja) | 1997-04-18 | 1997-04-18 | 自動運転建設機械 |
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