JP3614608B2 - 縦形ポンプ式の液体噴出器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は縦形ポンプ式の液体噴出器に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば特開平9‐24310 号が示すように、底部内に吸込み弁を有するシリンダ内から、上方付勢されて起立する作動部材を、付勢に抗し押下げして該押下げ位置に係止させ、該押下げ位置において、シリンダ下部内面から起立するシール用部材上端の有底シール筒が、作動部材が有する吐出管の下端開孔部内面へ水密に嵌合するよう設けた縦形ポンプ式の液体噴出器が知られている。
尚上記のように作動部材を付勢に抗して押下げ位置へ係止させる理由は、輸送時において液体噴出器が嵩張ることを防止するためであり、又有底シール筒を吐出管の下端開孔部内へ水密に嵌合させる理由は、上記作動部材を押下げて係止させた状態で容器が倒れる等した際における、作動部材からの液洩れ防止のためである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の液体噴出器にあっては使用の際、作動部材を上昇させ、その上下動で容器体内液体をシール底部内の吸込み弁を介してシリンダ内へ吸上げ、又該シリンダ内液体を作動部材内の吐出弁を介して作動部材上端の押下げヘッドが有するノズルから噴出するが、使用開始後においても再度作動部材を押下げ、該押下げ位置に係止する場合があった。
【0004】
この場合には、一たん使用したことによりシリンダ内には既に液体が流入しているから、又該作動部材押下げ状態での液洩れ防止を、既述のように作動部材の吐出管下端開孔部内への有底シール筒嵌合で行っているから、従って作動部材押下げにより吐出管の下端開孔内縁に有底シール筒上端が嵌合して、そのシール筒上端とシリンダ底部内の吸込み弁とでシリンダ下部内が密閉された後も、その密閉を確実にするため更に作動部材を下降させるから、シリンダ下部内が高圧化することとなり、すると作動部材および該作動部材をシリンダ上端部に連結している作動部材の案内筒がシリンダから外れて上方へ押上げられたり、又シリンダが膨張変形して、ポンプ機能が損われるおそれがあった。
【0005】
本発明は、上記吐出管の下端と有底シール筒との嵌合部分に逆止弁を設けてシリンダ下部内の高圧液体を吐出管内へ逃がすことで、上記おそれを除去するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
第1の手段として、底部内に吸込み弁27を有するシリンダ2内から、上方付勢されて起立する作動部材4を、付勢に抗し押下げして該押下げ位置に係止させ、該押下げ位置において、シリンダ下部内面から起立する、シール用部材21上端の有底シール筒24が、作動部材4が有する吐出管12の下端開孔部内面へ水密に嵌合するよう設けた、縦形ポンプ式の液体噴出器において、
上記吐出管12の下部内壁面へ水密に接する有底シール筒部分を、該シール筒上部で形成すると共に、該シール筒上部の単数ないし複数箇所に、弾性変形可能な肉薄部36を縦設して、該肉薄部と該肉薄部外面が水密に接する吐出管下部内壁面とで、シリンダ下部内液体を吐出管12内へ逃がす逆止弁37を形成した。
【0007】
第2の手段として、上記第1の手段を有すると共に有底シール筒24上部の全体を弾性変形可能な肉薄部36とした。
【0008】
第3の手段として、底部内に吸込み弁27を有するシリンダ2内から、上方付勢されて起立する作動部材4を、付勢に抗し押下げして該押下げ位置に係止させ、該押下げ位置において、シリンダ下部内面から起立する、シール用部材21上端の有底シール筒24が、作動部材4が有する吐出管12の下端開孔部内面へ水密に嵌合するよう設けた、縦形ポンプ式の液体噴出器において、
上記吐出管12の下端部内径を、下向き段部41を介して大内径部42に形成すると共に、該大内径部内へ有底シール筒24を、これ等大内径部内面と有底シール筒外面との間を通って液体流通が可能に挿入し、又上記下向き段部33の内周縁から弾性肉薄筒43を垂下して、上記有底シール筒24の上部内面へ水密に圧接させて、これ等弾性肉薄筒と有底シール筒とでシリンダ下部内液体を吐出管12内へ逃がす逆止弁37を形成した。
【0009】
【発明の実施の形態】
まず従来公知の構造について説明すると、1は容器体口頸部外面へ螺合させる装着筒で、該装着筒の上部内から底部内面に吸込み弁を有するシリンダ2を垂下している。又該シリンダの上端部内には内面に雌ねじを有する案内筒3を嵌合させている。
【0010】
上記シリンダ内には作動部材4を、スプリング5による上方付勢に抗して下方押下げ状態に挿入し、該作動部材上端の押下げヘッド6から垂下するステム嵌合筒7を、上記案内筒3内面へ螺合させている。該作動部材は、ステム8下端に筒状ピストン9を有し、かつステム上部内に吐出弁10を有して、該ステム上部をステム嵌合筒7内面へ嵌合させている。そのステム8とステム嵌合筒7とは、シリンダ内液体を押下げヘッド6が有するノズル11から噴出させるための吐出管12を形成する。尚作動部材4は、上記案内筒3から螺脱することで、上方付勢によりシリンダ上方へ起立するものである。
【0011】
上記シリンダ2の下部内にはシール用部材21が内装されている。該シール用部材は、シリンダ下部内面に縦設した複数のリブ13上部に設けた上向き段部上へ台板22外周部を載置し、該台板から起立する、横断面十字形状の起立部23上端に有底シール筒24を付設し、該有底シール筒を吐出管12下端開孔部内へ嵌合させることで該吐出管下端を密閉する。
【0012】
尚図示例では既述台板22の下面中心から、断面蛇行形状に屈曲部を連続する屈曲バネ板25を垂下し、該バネ板下端に付設した吸込み弁板26を、シリンダ底部に設けた弁座上へ圧接して吸込み弁27を形成しているが、吐出弁10の場合と同様に玉弁で形成してもよい。
【0013】
上記構成において、本願の請求項1記載発明にあっては、図1から図3が示すように、吐出管12の下部を大内径部31に、該大内径部31の上方を中内径部32に、該中内径部上端を下向き段部33として、それぞれ形成すると共に中内径部32の下部内面にシール突条34を周設し、又上記中内径部32内へ水密に有底シール筒24上部を嵌合させ、該有底シール筒24の上部内面に凹溝35を縦設することで該凹溝外方の有底シール筒部分を、弾性変形可能な肉薄部36とした。該肉薄部外面は上記中内径部32の内壁面、特にシール突条34内面へ圧接することで逆止弁37を形成し、シリンダ下部内液体が高圧化したとき、逆止弁が開いてその高圧液体を吐出管12内へ逃がすものである。図示のように凹溝35上方の下向き段部33には内外方向へ小溝38を穿設して上記高圧液体の逃げを容易としてもよい。
【0014】
上記実施形態では、大内径部31、中内径部32、シール突条34等を吐出管の下部内面に設けたが、これ等は必しも必要ではなく、直接有底シール筒24上部を吐出管12の下部内面へ水密に嵌合させてもよい。但しこの場合は有底シール筒上端を吐出管内へ案内するためのテーパ部を吐出管下端に設けることが望ましい。
【0015】
図4と図5とは、第2実施形態を示す。この場合は既述図1から図3の実施形態における弾性変形可能な肉薄部36を、有底シール筒24の上部全周に設けた例を示す。図示例では有底シール筒24の上半部外径を小外径化することで該筒内面側を肉薄部36としたが、その上部を大内径として外面側を肉薄部とすることも可能である。
【0016】
図6と図7とが示す第3実施形態の場合は、弾性肉薄部分を吐出管12側に設けた例を示す。
この場合は、図示のように吐出管12の下端部内径を、下向き段部41を介して大内径部42に形成すると共に、その下向き段部41の内周縁から弾性肉薄筒43を垂下している。有底シール筒24はその上端部内面を、上方大径のテーパ部44に形成して上記弾性肉薄筒43と大内径部42内壁面との間にその上半部を位置させ、弾性肉薄筒43を有底シール筒24の上部内面へ水密に圧接させて逆止弁37としている。該実施形態の場合もシール突条34を上記テーパ部下方の有底シール筒内面部分に周設している。
【0017】
以上述べた各実施形態において、作動部材4の筒状ピストン9がシリンダ2の上部内に位置する状態から作動部材4を押下げすると、シリンダ上部内液体は吐出弁10を通り、ノズル11を通って噴出する。第1、第2実施形態にあっては吐出管12の下部内面に肉薄部36,36の上端が、又第3実施形態にあっては弾性肉薄筒43下端が有底シール筒24の上端部内面に、それぞれ水密に接することで、シリンダ下部内は密閉される。該状態から既述案内筒3とステム嵌合筒7との螺合等のために、更に作動部材4が下降すると、シリンダ下部内は更に容積が狭められるために、該シリンダ下部内液体は高圧化し、すると第1、第2実施形態の場合は肉薄部36,36が、又第3実施形態の場合は弾性肉薄筒43が高圧液体により内方側へ弾性に抗して押込まれ、作動部材4が下限に達することで、上記肉薄部36,36および弾性肉薄筒43は弾性復元して各逆止弁37を閉じる。よって該状態にあっては、吸込み弁27が玉弁で形成されていて容器が倒れた場合であっても、上記逆止弁があるため、容器体内液体が吐出管内へ入って液洩れすることがない。図示のように自動的に閉塞する吸込み弁とした場合は、該吸込み弁と逆止弁とが二重に液洩れを防止することとなるから、液洩れの心配は全くない。
【0018】
【発明の効果】
本発明は既述構成とするものであり、請求項1および2記載の発明の場合は、吐出管12の下部内壁面へ水密に接する有底シール筒24部分を、該シール筒上部の一部ないし全部を弾性変形可能な肉薄部36,36として、該肉薄部と、該肉薄部外面が水密に接する吐出管12の下部内壁面とで逆止弁37,37を形成したから、既述従来例のようにシリンダ下部内が異常に高圧化することはなく、よってシリンダ下部が膨張したり、又作動部材4や案内筒3がシリンダ上端から外れるおそれがない。
【0019】
請求項3記載発明の場合は、上記請求項1および請求項2記載発明の効果と同様の効果を有するほか、弾性肉薄筒43を吐出管12側に設けたから、各構成部材組付けの際、シリンダ内へシール用部材21、スプリング5等を入れた後に、弾性肉薄筒43付きの作動部材4下部を差込むこととなるため、その組付けを迅速に行うことが出来る。即ち、請求項1および2記載発明の場合は、シリンダ内へシール用部材21を入れた後にスプリング5をシリンダ内へ入れることとなるため、該スプリングがシール用部材の有底シール筒24に設けた肉薄部36を傷つけないよう注意し乍らそのスプリングの挿入を行う必要があるが、請求項3記載発明の場合は、弾性肉薄筒43付きの作動部材の吐出管12を、上記スプリングを内装した後にシリンダ内へ装着させるから、スプリングの装着に際して弾性肉薄筒43が傷つくおそれがなく、よってそれ等の組付けを迅速に行うことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明液体噴出器の縦断面図である。
【図2】図1要部の拡大断面図である。
【図3】図1主要部材の拡大斜視図である。
【図4】第2実施形態で示す、本発明液体噴出器の縦断面図である。
【図5】図4要部の拡大断面図である。
【図6】第3実施形態で示す、本発明液体噴出器の縦断面図である。
【図7】図6要部の拡大断面図である。
【符号の説明】
12…吐出管 21…シール用部材
24…有底シール筒 36…肉薄部
37…逆止弁 43…弾性肉薄筒
Claims (3)
- 底部内に吸込み弁27を有するシリンダ2内から、上方付勢されて起立する作動部材4を、付勢に抗し押下げして該押下げ位置に係止させ、該押下げ位置において、シリンダ下部内面から起立する、シール用部材21上端の有底シール筒24が、作動部材4が有する吐出管12の下端開孔部内面へ水密に嵌合するよう設けた、縦形ポンプ式の液体噴出器において、
上記吐出管12の下部内壁面へ水密に接する有底シール筒部分を、該シール筒上部で形成すると共に、該シール筒上部の単数ないし複数箇所に、弾性変形可能な肉薄部36を縦設して、該肉薄部と該肉薄部外面が水密に接する吐出管下部内壁面とで、シリンダ下部内液体を吐出管12内へ逃がす逆止弁37を形成した
ことを特徴とする縦形ポンプ式の液体噴出器。 - 有底シール筒24上部の全体を弾性変形可能な肉薄部36とした
ことを特徴とする請求項1記載の縦形ポンプ式の液体噴出器。 - 底部内に吸込み弁27を有するシリンダ2内から、上方付勢されて起立する作動部材4を、付勢に抗し押下げして該押下げ位置に係止させ、該押下げ位置において、シリンダ下部内面から起立する、シール用部材21上端の有底シール筒24が、作動部材4が有する吐出管12の下端開孔部内面へ水密に嵌合するよう設けた、縦形ポンプ式の液体噴出器において、
上記吐出管12の下端部内径を、下向き段部41を介して大内径部42に形成すると共に、該大内径部内へ有底シール筒24を、これ等大内径部内面と有底シール筒外面との間を通って液体流通が可能に挿入し、又上記下向き段部33の内周縁から弾性肉薄筒43を垂下して、上記有底シール筒24の上部内面へ水密に圧接させて、これ等弾性肉薄筒と有底シール筒とでシリンダ下部内液体を吐出管12内へ逃がす逆止弁37を形成した
ことを特徴とする縦形ポンプ式の液体噴出器。
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JPH10272392A JPH10272392A (ja) | 1998-10-13 |
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JP09843497A Expired - Fee Related JP3614608B2 (ja) | 1997-03-31 | 1997-03-31 | 縦形ポンプ式の液体噴出器 |
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JP4749188B2 (ja) * | 2006-03-24 | 2011-08-17 | 株式会社吉野工業所 | 泡噴出器 |
JP4749189B2 (ja) * | 2006-03-24 | 2011-08-17 | 株式会社吉野工業所 | 泡噴出器 |
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1997
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