JP3614039B2 - シリコンウェーハのエッチング液の補給方法 - Google Patents

シリコンウェーハのエッチング液の補給方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、LSI等の半導体装置を製造するために用いられるシリコンウェーハのエッチング技術に関する。更に詳しくはフッ酸、硝酸、酢酸及び純水からなるシリコンウェーハのエッチング液によりエッチングした後のエッチング液を補給する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種のシリコンウェーハの製造工程の中で、シリコンインゴットからシリコンウェーハにスライスするスライシング工程からこのシリコンウェーハを機械的化学的に研磨するポリッシング工程までの間で、主としてウェーハ表面の加工変質層(ダメージ層)を除去しつつ平坦な形状を維持するためにエッチングが行われている。
近年、ラッピング工程、ポリッシング工程等における加工精度の向上によりシリコンウェーハの平坦度は高くなってきている。一方、半導体デバイスの微細化が進むにつれて、ますますウェーハの平坦度が高くしかも表面粗さの小さいシリコンウェーハが要求されてきている。このため、エッチング工程では、ウェーハの向上した平坦度を損わないように維持するとともに、表面粗さを小さくしなければならない。またシリコンウェーハが片面ポリッシングされる場合には、ウェーハ裏面の光沢度を損わないようにエッチング後のウェーハの裏面粗さも小さいものが求められる。
【0003】
シリコンウェーハのエッチングには、フッ酸、硝酸、酢酸及び純水からなる混酸エッチングと、水酸化カリウムに代表されるアルカリエッチングの2種類がよく知られている。
前者の混酸エッチングでは、エッチング装置の構造とともにフッ酸、硝酸、酢酸及び純水の4成分の割合(組成比)が、本来の目的を達成するうえで重要である。この混酸の組成に依存したミクロなウェーハ表面粗さに関するエッチングの実験が古くから多くの人々によって詳細に報告されている(例えば、Harry Robbins and Bertram Schwarts: Chemical Etching of Silicon, J.Electrochem.Soc., 106, No.6, 505(1959) 及び Bertram Schwartz and Harry Robbins: Chemical Etching of Silicon, J.Electrochem.Soc., 123, No.12, 1903(1976))。またウェーハの厚さ分布であるマクロな平坦度に関しては実験的なデータが報告されている。しかしながら、シリコンウェーハの実際の混酸エッチングで良好なエッチングが行われるエッチング液の具体的な組成については公表されていない。
【0004】
混酸によるエッチング機構には、酸化反応とこれに続く還元反応がある。酸化反応は次の式(9)、又は式(10)及び(11)に分類される。
2HNO → HO + 2NO↑ + O (9)
3NO + HO → 2HNO + NO↑ + 3O (10)
2HNO → HO + 2NO↑ + 3O (11)
SiO + 6HF → HSiF + 2HO (12)
式(9)は拡散律速型、式(10)及び(11)は反応律速型(供給律速型)と呼ばれている。この酸化反応の後の式(12)の還元反応により酸化サイトが除去されて化学反応が完結する。従ってエッチング後のウェーハは、初期の酸化プロセスである式(9)、又は式(10)及び(11)により反応特性が分れる。
【0005】
一般に、式(9)の酸化反応はマクロな平坦度が得られるが、ミクロな表面粗さを制御することが困難である特徴がある。これは酸化種の表面濃度に強く依存するエッチング反応が支配的になることによる。一方、式(10)及び(11)の酸化反応は混酸エッチング液中の酸化種の濃度に直接依存し、エッチング液の撹拌条件に強く依存する反応形態で表面粗さを制御しやすい特徴がある。しかしこの反応形態は、エッチング装置の影響を大きく受け、ウェーハ面内での均一な反応が困難でマクロな平坦度を確保しにくい欠点がある。
上記(9)〜(11)の化学反応式から明らかなように、混酸エッチング液中の水の量がそれぞれの反応を制御する因子となっている。従来、混酸エッチング液における純水の割合を増加して、シリコンウェーハの平坦度を高める化学エッチングが報告されている(濱口恒夫:「シリコンウェーハの化学エッチング」、精密機械、51、1013 (1985))。
また従来、混酸エッチング液で連続してシリコンウェーハをエッチングする場合には、エッチングが行われた後で化学反応で消費された酸を補充するために、初期の組成と同一のエッチング液を一定の割合で液槽に補給している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記濱口の化学エッチングでは、純水の含有量が比較的高いため、エッチングが反応律速で行われ、液の表面張力が大きくなる。このため反応により生じたガス(NO)がウェーハ表面から離脱しにくく、高い平坦度が得られるものの、ウェーハの表面粗さが大きくなる不具合があった。
また、エッチング後に初期の組成と同一のエッチング液を一定の割合で補給する方法では、補給量の割合が大きい場合には初期のエッチング液に比較して組成変化が小さいけれども、エッチングコストが上昇する不具合があった。また反対に補給量の割合が小さい場合にはエッチングコストが低減するけれども、初期のエッチング液に比較して組成変化が大きくなる欠点があった。
【0007】
発明の目的は、エッチング液の僅かな補給量でエッチング能力を劣化させずにシリコンウェーハのエッチングを継続して行うことができるエッチング液の補給方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
【0011】
求項に係る発明は、フッ酸、硝酸、酢酸及び純水からなるエッチング液であって、パラメータα、β及びεを下記の式(1)〜(3)でそれぞれ表すとき、下記の式(4)及び(5)を満たすエッチング液を用いてシリコンウェーハをエッチングした後に、硝酸を下記の式(6)で示される重量z、酢酸を下記の式(7)で示される重量m、フッ酸を下記の式(8)で示される重量nだけそれぞれ補給することを特徴とするエッチング液の補給方法である。
【数3】
Figure 0003614039
β α 40 (4)
ε <16 (5)
但し、式(1)〜(3)において、[HF] wt はエッチング液中のフッ酸の重量、[HNO 3 wt はエッチング液中の硝酸の重量、[CH 3 COOH] wt はエッチング液中の酢酸の重量、[H 2 O] wt はエッチング液中の純水の重量である。
【0012】
【数4】
Figure 0003614039
【0013】
但し、式(6)〜(8)において、Aはエッチング前のエッチング液に含まれる硝酸の重量、Bはエッチング前のエッチング液に含まれる純水の重量、Cはエッチング前のエッチング液に含まれる酢酸の重量、Dはエッチング前のエッチング液に含まれるフッ酸の重量、xはエッチングにより生成される水の重量、yはエッチングにより消費される硝酸の重量である。
エッチングにより混酸中に溶け込むシリコン量は僅かであるためこれを無視すれば、エッチングによりそれぞれ生成される水の重量x及び消費される硝酸の重量yは、前述した反応式(9)〜(12)により求められる。求めたx及びyを上記式(6)〜(8)に代入し、これらの式に基づいた量だけ、硝酸、酢酸及びフッ酸をそれぞれエッチング後の液槽に補給すれば、初期のエッチング液の組成比を維持したエッチング液が得られ、これによりエッチング能力を劣化させずにシリコンウェーハのエッチングを継続して行うことができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明のエッチングは、シリコンインゴットからシリコンウェーハにスライスするスライシング工程からこのシリコンウェーハを機械的化学的に研磨するポリッシング工程までの間に行われる。エッチングされるシリコンウェーハはこれらの工程の間のウェーハであって、具体的にはラッピング又は研削されたウェーハのように機械的加工による加工変質層(ダメージ層)を有する高平坦度のウェーハである。平坦度としてはTTV(total thickness variation)が1μm以下が例示される。
【0015】
本発明のエッチング機構では、前述したように、式(9)〜(12)から混酸エッチング液中の水の量が酸化反応を制御する。またこれらの化学反応式に直接示されない酢酸は、エッチング作用に大きく寄与するフッ酸と硝酸のそれぞれの解離反応抑制因子として、化学平衡に関与する。具体的にはエッチング液中の酢酸濃度が水素イオンの濃度に対して質量作用の法則と電荷保存の法則により、エッチング液全体の反応速度を支配する要因になる。
本発明では、酢酸と水の2つの因子(パラメータ)を酸化反応における間接的な相対因子として、▲1▼酢酸による抑制因子(α効果)、及び▲2▼水による反応型遷移因子(β効果)と定義する。更にフッ酸による▲3▼還元反応抑制因子(ε効果)を混酸エッチングの特性制御因子とする。このように定義することにより、混酸の組成は、F(α,β,ε)によって表現することができる。これらの因子(パラメータ)は前述した式(1)〜(3)のα、β及びεに対応する。以下にそれぞれの因子の特徴について述べる。
【0016】
(a) エッチング液中の酢酸による抑制因子(α効果)
酸の解離反応を抑制するα効果は、化学反応の均一性と反応速度を制御する働きを有する。先に述べたようにエッチング液中の平衡則から化学エッチング抑制効果を次の式(13)により示すことができる。
【0017】
【数5】
Figure 0003614039
【0018】
但し、Ka1はフッ酸の解離定数、Ka2は酢酸の解離定数である。
式(13)により混酸中の酢酸量は、水素イオン濃度に対して2次の相関を有した系であると見なすことができる。従って、化学反応上のα効果の限界は、酢酸量に対して水素イオン濃度の変化が小さくなる付近、つまりフッ酸と硝酸の比率に対して等量程度までであると推察される。また酢酸溶液そのものは、混酸中のその他の成分と比較して表面張力が極めて小さい(27dyn/cm)ことが特徴でもある。これはその成分比率が多くなる程、ウェーハ表面上で起る化学反応へ3次的な効果をもたらす。また反応生成物であるガス生成物の表面からの離脱は、こうした表面張力の低下により優位となり、表面粗さに大きく影響する。一般に界面活性剤等を添加し反応のガス成分の離脱速度を大きくした方が表面粗度が良好になる。これはアルカリ液中でも同様である。
またウェーハの表面層にエッチングの前工程で加工変質層が残留する場合と、残留しない場合とではエッチング後の表面形状や平坦度に大きく影響する。このような表面を形成する理由は、エッチングの材料がラッピングされたウェーハのように加工変質層を有する場合は、表面張力の小さいことが化学反応を3次元的な等方エッチングを進行させ易くすることも原因であると考えられる。図2の図面代用写真は、エッチング液中の酢酸濃度が異なるエッチング液でエッチングしたときの表面状態(表面粗さ)を1000倍に拡大した顕微鏡写真図である。図2(a)は酢酸濃度が30容積%と場合、図2(b)は酢酸濃度が42容積%の場合であり、エッチング液中の酢酸濃度が高い程、ウェーハ表面が緻密であることが判る。
【0019】
(b) エッチング液中の水による反応型遷移因子(β効果)
エッチング液によるエッチング処理の前後の平坦度を比較するために次の式(14)に示す相対平坦度の考え方を導入した。
【0020】
【数6】
Figure 0003614039
【0021】
エッチング処理の前後の平坦度は通常のウェーハ平坦度測定器(ADE9200)によって測定されたデータである。相対平坦度が小さい程良好なエッチングが行われたことを示す。図3に、エッチングオフ量を片面10μm(両面では10×2μm)、片面15μm(両面では15×2μm)、片面20μm(両面では20×2μm)にした場合で、それぞれβ効果を変えたときの相対平坦度の変化状況を示す。図3よりβの増加につれて良好な平坦度が得やすくなっていくことが判る。更にβが大きくなるとエッチングオフ量によらず一定値に収束する傾向を示す。これはこの段階で化学反応が拡散律速型の反応にシフトしたことによる効果であると考えられる。またエッチングオフ量が多い場合、相対平坦度が悪化するのは、反応熱による面内の化学反応の不均一性の影響である。
【0022】
一方、図4に、相対平坦度と同様に、エッチング量を片面10μm(両面では10×2μm)、片面15μm(両面では15×2μm)、片面20μm(両面では20×2μm)にした場合で、それぞれβ効果を変えたときの光沢度の変化状況を示す。この光沢度は一定光源からのウェーハの反射率を表す指標であって、高い値ほどミクロな表面状態(表面粗さ)が良好で表面粗さが小さい。平坦度とは逆にβの増加に伴い表面粗さが大きくなっていくことが判る。従ってβ効果が高いほど平坦度に有利であるが、表面状態(表面粗さ)に対しては不利な作用であることが判る。これはエッチング液中の水の増加が、前述した濱口の論文に示しているように組成に依存した活性化エネルギーに変化をもたらし、化学反応形態が変ることが原因の一つである。
また4つの成分の中で水は最も表面張力が高く(72dyn/cm)、この水の増加はα効果とは逆にウェーハの表面濡れ性を小さし、ウェーハの表面張力を高くする。この結果、化学反応遷移により発生するガス成分がウェーハ表面から離脱しにくくなる。β効果はα効果とは異なり、2次元均一化反応として進行し易い状況にある。この現象はエッチング装置の撹拌能力にも依存する。化学反応形態が表面均一化しようとしても反応熱によりその化学反応が維持できなくなるからである。β効果は実用的なプロセス内での重要なパラメータである。
【0023】
(c) (α、β)系における反応活性化エネルギー分布
上述したように、混酸組成によってウェーハの平坦度は変化する。α、βのパラメータでエッチング特性を把握する場合、それぞれの特徴がどちらの化学反応形態中で生じているのかについても考慮することが重要であって、上記(b)で示した組成に依存した活性化エネルギーを知ることが必要である。そこでα効果及びβ効果の特徴を融合するために、それぞれの混酸組成における反応の活性化エネルギーを求めた。
図5に示すように、この活性化エネルギーは温度の逆数(T−1)に対してエッチングレート(μm/分)をプロットすることにより求めることができる。いわゆるアレニウスプロット(Arrhenius’ plot)である。ここでは混酸の組成をF(α,β,ε)で表すとき、εを一定にしてα=40、β=47とした場合と、εを一定にしてα=40、β=45とした場合とを比較している。温度が低くなる程、エッチングレートは低下し、βが大きい程、その傾向が強いことが示される。
【0024】
次に表1にεを一定としたときのα、βの変動に対する反応の活性化エネルギー分布を示す。βがαより大きいとき、つまりβ>αのとき、活性化エネルギーは大きく増加する傾向があることが判る。このことは化学反応遷移領域を分離するための目安となる。一般にこの化学反応遷移のための活性化エネルギーの閾値は5〜7kcal/mol程度であることが知られている。表1では、α、βのそれぞれ60以上の値は、実用的な反応速度が得にくいために省略している。従って混酸組成によっては、表面形状に有利なα効果を用いながら平坦度に良好な拡散律速型のものも存在することになる。例えばα=40付近と、β=40付近は、表面粗さが小さく、平坦度が良好である反応系にあると推察できる。このように活性化エネルギーによる反応形態の分類は、α効果及びβ効果を融合するために極めて重要な因子となっている。
【0025】
【表1】
Figure 0003614039
【0026】
(d) エッチング液中のフッ酸による還元反応抑制因子(ε効果)
更にフッ酸による還元効果と、ε効果における活性化エネルギー分布を求めることで、エッチング液中の化学反応を分離することが可能となる。還元効果は化学反応1サイクルに対して直接因子であるから、変動効果は大きくなることが予想される。
図1(c)にα=40、β=39としてεを変化させたときの活性化エネルギーの変化状況を示す。図1(c)において、ε=16を境にして反応形態が遷移することが判る。先の化学反応形態からε<16で平坦度が良好になる方向に変化する。言換えれば、化学反応形態がε=16前後で反応律速型から拡散律速型へ遷移し始めることによる効果である。また表面状態(表面粗さ)はε>16でより緻密な構造を有するようになる。この表面状態はエッチング処理温度の上昇に伴い悪化することが知られている。主に反応生成ガスの離脱の影響と液温上昇に伴う温度調整制御システムの能力限界による。
【0027】
しかしながら図6に示すように、ε=25付近からその温度依存性は小さくなる。図6ではε=12.5、ε=16、ε=25としてエッチング温度を変えたときのウェーハ表面の凹凸密度(cm−2)の変化状況を示している。これは、反応律速型と拡散律速型の2つの化学反応形態がそれぞれのパラメータ中で複合した効果を示している状態から、完全に反応律速型が優先する状態になったことによると考えられる。この状態は平坦度は悪化するが表面状態(表面粗さ)は極めて緻密な状態となる。このようなデータは混酸組成に対しての2種類の化学反応が複合する領域とそれぞれが単独で作用する領域の可能性を示唆する結果であると考えられる。
【0028】
(e) 各因子の因果関係と相互作用因子
次に上記α、β及びεについての考察から、これらの因子を複合化することにより、本発明の前述した式(4)及び(5)の根拠について述べる。
先ず平坦度に対して酸化反応の間接因子であるα効果及びβ効果の有効な領域を決定する。ラッピングしたシリコンウェーハのエッチングオフ量を変えたときのα、β効果の相対平坦度に与える影響を示す一例を図7に示す。ここではエッチングオフ量はウェーハの片面である。エッチング処理後のウェーハ平坦度はエッチングオフ量が増加するにつれて、β効果>α効果となる(β効果の方がα効果よりも相対平坦度が小さくなる)特徴があることが判る。これはウェーハ表面の加工変質層の密度に大きく依存する。一般にアルミナ粒子(FO#1200)でラッピングしたウェーハは7μm程度が加工変質層の境目であり、7μmよりエッチングオフ量が大きくなると加工変質層の密度が急速に減少することが知られている。従って加工変質層の密度が高い領域では、2次元優先のエッチング環境にあるβ効果が有効であり、逆にその密度が低い領域では、α効果が有効に作用することになる。
【0029】
単独のパラメータ特性に加えて材料のエッチングオフ量毎でそれぞれの平坦度に対する実際の作用が異なる特性があることは図7より明らかであるが、更に様々な混酸組成に対してα、βの複合効果にε効果を融合した特性を図1(a)に示す。図1(a)では、次の表2に示す6種類の混酸組成のエッチング液を用いた。
【0030】
【表2】
Figure 0003614039
【0031】
図1(a)からエッチング処理後の平坦度特性を3つのパターンに分類することができることが判る。第一にα>βのときには、エッチング温度によらずに相対平坦度が低い値(良好)を示す。第二にα=βのときには、エッチング温度が約30〜40℃で相対平坦度が極大値を示す(悪化する)。第三にα<βのときには、エッチング温度の上昇につれ相対平坦度が増大(悪化)する。これらの関係は、パラメータの定義より近似的に酢酸量と水の量との大小関係を意味することになる。但し図7に示したように全体のエッチングオフ量に対して材料の加工変質層領域がどの程度であるかによって、平坦度に対して異なる結果を有することになる点に注意が必要である。従って、ラッピングしたウェーハを材料としてその両面のエッチングオフ量を30μm(片面15μm)程度とする場合、様々なエッチング組成を平坦度に対して満足するための酸化反応の間接因子の条件は、α>βである必要がある。
【0032】
一方、α、βの両効果のウェーハ表面状態(表面粗さ)への影響は、図1(b)に示すような特徴がある。ここでは表面状態を光沢度で表示しているため、光沢度が高い値を示す程、良好な面質となり、表面粗さは小さくなる傾向にある。図1(b)では、次の表3に示す6種類の混酸組成のエッチング液を用いた。
【0033】
【表3】
Figure 0003614039
【0034】
これまでの特徴から表面状態に対してはα効果が優位に作用することが判明している。従って先に示した平坦度向上の必要条件にαの上限を決めれば相対制御因子による複合化が完了する。図1(b)よりεを一定にした場合、α≦40の条件が比較的良好な表面状態を有することになる。
以上述べた特性因子の特徴から混酸組成の平坦度に対する影響と表面状態に対する影響を満足するパラメータの条件は、ラッピングしたウェーハに対してエッチングオフ量を30μm(片面15μm)程度とする場合、前述した式(4)及び式(5)の関係が成立する。
【0035】
次に発明のエッチング液の補給方法、即ちこれまで述べた相対制御因子による化学的補給方法について説明する。
エッチング特性を制御するための相対パラメータを化学量論的に扱うことにより良好な化学反応を維持することができる。ここでは反応生成物である水の量に対して常に混酸組成が一定の組成比をとることによりエッチング能力を持続させている。なお混酸中に溶け込むシリコン量を無視している。化学反応前の相対因子をα、β、εとし、化学反応後の相対因子をα*、β*、ε*とすれば、α=α*、β=β*、ε=ε*が常に成立する必要がある。
先ずβについて述べる。化学反応前の初期の硝酸の重量をAg、初期の純水の重量をBとすれば、前述した式(2)からβ=B/(A+B)の関係が成立する。一方、化学反応により生成される水の重量をxg、反応によって消費される硝酸の重量をyg、補給に必要な硝酸の重量をzgとすれば、β*=(B+x)/(A−y+z+B+x)の関係が成立する。反応前後でβ=β*を満たす必要から、以下のようになる。
B/(A+B)=(B+x)/(A−y+z+B+x) (15)
これを解くと、
xA+yB=zB (16)
となり、この式(16)から前述した式(6)が導き出せる。
【0036】
次にαについて示す。化学反応前の初期の硝酸の重量をAg、初期の純水の重量をB、初期の酢酸の重量をCgとすれば、前述した式(1)からα=C/(A+C)の関係が成立する。一方、反応によって消費される硝酸の重量をyg、補給に必要な硝酸の重量をzg、補給に必要な酢酸の重量をmgとすれば、α=(C+m)/(A−y+z+C+m)の関係が成立する。反応前後でα=αを満たす必要から、以下のようになる。
C/(A+C)=(C+m)/(A−y+z+C+m) (17)
これを解くと、
mA+yC=zC (18)
となり、この式(18)と式(6)から前述した式(7)が導き出せる。
【0037】
次にεについて示す。化学反応前の初期の硝酸の重量をAg、初期のフッ酸の重量をDgとすれば、前述した式(3)からε=D/(A+D)の関係が成立する。一方、反応によって消費される硝酸の重量をyg、補給に必要な硝酸の重量をzg、補給に必要なフッ酸の重量をngとすれば、ε=(D+n)/(A−y+z+D+n)の関係が成立する。反応前後でα=αを満たす必要から、以下のようになる。
D/(A+D)=(D+n)/(A−y+z+D+n) (19)
これを解くと、
nA+yD=zD (20)
となり、この式(20)と式(6)から前述した式(8)が導き出せる。
【0038】
6インチのシリコンウェーハを25枚ずつ順次エッチングする場合で、25枚のウェーハのエッチングの終了毎にエッチング液を補給するときに、エッチング処理回数に応じたウェーハの表面粗さの変化状況を図8に示す。図8において破線は、硝酸、酢酸及びフッ酸を前述した式(6)〜(8)に基づいて補給総量で1.4リットル補給する本発明の補給方法である。また実線は初期エッチング液と同一の組成で補給総量1.4リットル補給する比較のための方法である。図8から明らかなように、比較のための方法ではエッチング処理回数が増えて補給回数が増加する程、ウェーハの表面粗さが悪化するのに対して、本発明の補給方法では350枚のシリコンウェーハをエッチングして補給回数が増えても、このときのエッチング液は初期エッチング液と同等のエッチング能力を有することが判る。
【0039】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明のエッチング液の補給方法によれば、相対制御因子による化学的補給方法に基づいて硝酸、酢酸及びフッ酸を補給することにより、エッチング液の僅かな補給量でエッチング能力を劣化させずにシリコンウェーハのエッチングを継続して行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a) 混酸組成とエッチング温度を変えたときの相対平坦度の変化状況を示す図。
(b) 混酸組成とエッチング温度を変えたときの光沢度の変化状況を示す図。
(c) εを変えたときの活性化エネルギーの変化状況を示す図。
【図2】(a) エッチング液中の酢酸濃度30容積%のときのウェーハ表面状態を示す顕微鏡写真図。
(b) エッチング液中の酢酸濃度42容積%のときのウェーハ表面状態を示す顕微鏡写真図。
【図3】3種類のεに対してβを変えたときの相対平坦度の変化状況を示す図。
【図4】3種類のεに対してβを変えたときの光沢度の変化状況を示す図。
【図5】α、β、εを一定にして活性化エネルギーを変えたときのエッチングレートの変化状況を示す図。
【図6】3種類のεに対してエッチング温度を上昇させたときの凹凸密度の変化状況を示す図。
【図7】エッチングオフ量を変えたときのα、β効果の相対平坦度に与える影響を示す図。
【図8】エッチング液を補給したときのウェーハの表面粗さの変化状況を示す図。

Claims (1)

  1. フッ酸、硝酸、酢酸及び純水からなるエッチング液であって、
    パラメータα、β及びεを下記の式(1)〜(3)でそれぞれ表すとき、下記の式(4)及び(5)を満たすエッチング液を用いてシリコンウェーハをエッチングした後に、硝酸を下記の式(6)で示される重量z、酢酸を下記の式(7)で示される重量m、フッ酸を下記の式(8)で示される重量nだけそれぞれ補給することを特徴とするエッチング液の補給方法。
    Figure 0003614039
    β α 40 (4)
    ε <16 (5)
    但し、式(1)〜(3)において、[HF] wt はエッチング液中のフッ酸の重量、[HNO 3 wt はエッチング液中の硝酸の重量、[CH 3 COOH] wt はエッチング液中の酢酸の重量、[H 2 O] wt はエッチング液中の純水の重量である。
    Figure 0003614039
    但し、式(6)〜(8)において、Aはエッチング前のエッチング液に含まれる硝酸の重量、Bはエッチング前のエッチング液に含まれる純水の重量、Cはエッチング前のエッチング液に含まれる酢酸の重量、Dはエッチング前のエッチング液に含まれるフッ酸の重量、xはエッチングにより生成される水の重量、yはエッチングにより消費される硝酸の重量である。
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