JP3613991B2 - サイフォン式水洗便器の排水構造 - Google Patents
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
この発明は、リフォーム用のサイフォン式水洗便器の排水構造に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
従来より、サイフォン式水洗便器を新設するにあたって、便器本体の排水出口を床排水口の床フランジにシール材によって直接接続するのが一般的である。
【０００３】
ところが、この種のサイフォン式水洗便器をリフォームして取替える場合にあっては、床排水口の位置はトイレルーム内で既に決まった位置にあり、一方、便器のサイズは種々であるため、トイレルームの寸法によっては便器本体を据え付けることができなくなる場合があった。
【０００４】
そこで、従来より図５に示すように、サイフォン式の便器本体２の下部に、接続筒５′と横引き管６とを設置し、接続筒５′の上開口部８を便器本体２の曲がり流路４の排水出口２ａに接続し、接続筒５′の横開口部９を横引き管６の一端部に接続し、横引き管６の他端部を床排水口７に接続してある。図中の３は便器ボウル、３ａは下部排水口、Ａは液面、２０は床フランジ、２１はシール材、２２は床排水管、２３は床フランジ接続部である。そして、便器設置時に横引き管６の長さを調節することによって、リフォーム時に新たな便器本体２の据え付け位置がずれないようにしながら、便器本体２の取り替えが可能となるものである。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、従来のリフォーム用のサイフォン式水洗便器１に用いられる接続筒５′は、側面からみて円弧状に湾曲した形状をしており、コーナー部５ｃのアールＲが大きく形成されているために、接続筒５′内の容積が小さくなって、汚物の詰まりが生じ易くなるという問題があった。
【０００６】
しかも、接続筒５′の上開口部８及び横開口部９の開口形状は、図６、図７に示すように、それぞれ真円形状に形成されているため、接続筒５′内では、曲がり流路４からの排水がそのまま下に流れ落ちてしまい、横引き管６内に水が抵抗なくスムーズに排出されてしまうために曲がり流路４内でサイフォン現象が起こりにくくなり、そのために洗浄性能が低下するという問題もあった。
【０００７】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、汚物が詰まり難く、しかも洗浄性能に優れたリフォーム用のサイフォン式水洗便器の排水構造を得ることにある。
【０００８】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明は、便器ボウル３の下部に設けた排水口３ａが逆Ｕ字状に曲成された曲がり流路４の前端部４ａに連通し、曲がり流路４の中間部４ｂが便器ボウル３内の液面Ａよりも高い位置に配置されると共に、曲がり流路４の後端部４ｃが便器ボウル３内の液面Ａよりも低い位置に設けた排水出口２ａに連通して構成された便器本体２の下部に、上端に上方に開口した上開口部８を有すると共に一側部５ａに横方向に開口した横開口部９を有する接続筒５と、横引き管６とが設置され、接続筒５の上開口部８を便器本体２の曲がり流路４の排水出口２ａに接続し、接続筒５の横開口部９を横引き管６の一端部に接続し、横引き管６の他端部を床排水口７に接続して、便器ボウル３の排水口３ａからの洗浄水を曲がり流路４内から接続筒５内及び横引き管６内を通して床排水口７に排水するようにしたサイフォン式水洗便器の排水構造であって、接続筒５の底部５ｄと上記横開口部９が設けられている一側部５ａとは反対側の他側部５ｂとのなすコーナー部５ｃを略直角に形成すると共に、接続筒５内部の上記横開口部９が設けられている一側部５ａの上部に曲がり流路４からの排水が当たる突起部１０を突出させたことを特徴としており、このように構成することで、曲がり流路４からの排水がそのまま下に流れ落ちず、突起部１０に当たることによって、乱流が発生してサイフォン現象が起こり易く、洗浄性能が向上し、さらに接続筒５の底部５ｄと他側部５ｂとのコーナー部５ｃの開口面積が広がることによって、接続筒５内の容積が大きくなり、汚物が詰まり難くなる。
【０００９】
また上記突起部１０は、下方に行く程接続筒５の内方に向かって傾斜した傾斜部１２を有しているのが好ましく、このように構成することで、傾斜部１２によって接続筒５の出口流路１３のしぼり距離が長くなり、且つ、接続筒５内を通過する排水が出口流路１３とは反対の方向に流れるようになるので、接続筒５内で乱流が一層起こり易くなる。
【００１０】
また上記接続筒５の横開口部９を中央側の上下幅Ｄ１と両側の上下幅Ｄ２とが略等しくなるような形状となっているのが好ましく、このように構成することで、接続筒５内を排水が流れる際に、横開口部９の中央側の上下両端部がそれぞれ抵抗となり、接続筒５内に水が溜まり易くなる結果、突起部１０による乱流発生効果とあいまって、サイフォン現象が確実に起こるようになる。
【００１１】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明すると、サイフォン式水洗便器１は、図１に示すように、便器本体２の便器ボウル３の下部に設けた排水口３ａが、逆Ｕ字状に曲成された曲がり流路４の前端部４ａに連通しており、曲がり流路４の中間部４ｂが便器ボウル３内の液面Ａよりも高い位置に配置されていると共に、曲がり流路４の後端部４ｃが便器ボウル３内の液面よりも低い位置に設けた排水出口２ａに連通している。なお、図１中の２０は床フランジ、２１はシール材、２２は床排水管、２３は床フランジ接続部、２４は排水ジョイントである。
【００１２】
上記便器本体２の下部には、接続筒５と横引き管６とが設置されている。接続筒５は、図２〜図４に示すように、上端に上方に開口した上開口部８を有すると共に一側部５ａに横方向に開口した横開口部９を有している。この接続筒５の上開口部８は上記曲がり流路４の排水出口２ａに接続され、接続筒５の横開口部９は横引き管６の一端部に接続され、横引き管６の他端部は床排水口７に接続されている。
【００１３】
ここで、接続筒５は側面から見てＬ字状に屈曲しており、接続筒５の底部５ｄと上記横開口部９が設けられた一側部５ａとは反対側の他側部５ｂとのなすコーナー部５ｃのアールＲが小さく形成されており、これにより接続筒５内の容積を大きくして汚物の詰まり防止が図られている。
【００１４】
また、接続筒５内部には曲がり流路４からの排水が当たる突起部１０が突出されている。この突起部１０は接続筒５の出口流路１３を絞ってサイフォン現象を発生させるためのものであり、この実施形態では、横開口部９が設けられている一側部５ａの上部から水平に突出した段部１１と、段部１１の先端に連なって、下方に行く程接続筒５の内方、つまり出口流路１３を狭める方向に向かって傾斜した傾斜部１２とで構成されている。段部１１は、便器本体２の排水出口２ａからの排水の一部が当たる位置まで突出しており、これにより、曲がり流路４からの排水に乱れが発生するようになっている。また、傾斜部１２の下端部は段部１１の先端よりも更に内方に突出しており、この傾斜部１２によって、出口流路１３のしぼり距離を長くし、且つ、接続筒５内を通過する排水を出口流路１３と反対の方向に流すようにして、接続筒５内でより乱流が起こり易くしてある。
【００１５】
また、接続筒５の横開口部９は、図４に示すように、中央側の上下幅Ｄ１と両側の上下幅Ｄ２とが略等しくなるような開口形状に形成されている。この実施形態では、横開口部９は上下両縁部がそれフラットに形成された横長の円形状に形成されており、横開口部９の上縁部９ａが上記傾斜部１２の下端縁に連設しており、横開口部９の下縁部９ｂが接続筒５の底部５ｄと面一状に連設している。このように横開口部９を横長状に形成することで、接続筒５の出口流路１３が絞られ、前記突起部１０（段部１１、傾斜部１２）による絞り効果とあいまって、サイフォン現象がより発生し易い構造となっている。
【００１６】
しかして、便器ボウル３の排水口３ａからの洗浄水は曲がり流路４内を通り、さらに接続筒５内から横引き管６内を通り、床フランジ接続部２３から床排水管２２内に排出されるが、接続筒５の底部５ｄと他側部５ｂとのコーナー部５ｃのアールＲが小さく形成されているので、接続筒５のコーナー部５ｃの開口面積が広がり、接続筒５内の容積が大きくなり、汚物が詰まり難くすることができる。
【００１７】
しかも、接続筒５内には段部１１と傾斜部１２とからなる突起部１０が突設されているので、曲がり流路４からの排水がそのまま下に流れ落ちず、段部１１と傾斜部１２とにそれぞれ当たることによって、流れが乱れる。またこのとき、傾斜部１２は下方に行く程接続筒５の出口流路１３を狭める方向に向かって傾斜しているので、出口流路１３のしぼり距離が長くなり、且つ、接続筒５内を通過する排水が出口流路１３とは反対の方向に流れるようになるので、接続筒５内で乱流が一層起こり易くなる。さらに加えて、接続筒５の横開口部９は横長の円形状に形成されているので、横開口部９の上下両端部９ａ，９ｂがそれぞれ抵抗となり、接続筒５内に水が溜まり易くなる結果、サイフォン現象を確実に起こすことができ、洗浄性能を確実に向上させることができるものである。
【００１８】
なお、前記実施形態では、突起部１０を段部１１と傾斜部１２とで構成したが、必ずしもこれに限定されるものではなく、傾斜部１２は省略可能である。
【００１９】
また、接続筒５の横開口部９を横長の円形状に形成したが、例えば四角形状であってもよいものであり、要は排水の流れの抵抗となる部分を備えた開口形状であればよいものである。
【００２０】
【発明の効果】
上記のように本発明のうち請求項１記載の発明は、便器ボウルの下部に設けた排水口が逆Ｕ字状に曲成された曲がり流路の前端部に連通し、曲がり流路の中間部が便器ボウル内の液面よりも高い位置に配置されると共に、曲がり流路の後端部が便器ボウル内の液面よりも低い位置に設けた排水出口に連通して構成された便器本体の下部に、上端に上方に開口した上開口部を有すると共に一側部に横方向に開口した横開口部を有する接続筒と、横引き管とが設置され、接続筒の上開口部を便器本体の曲がり流路の排水出口に接続し、接続筒の横開口部を横引き管の一端部に接続し、横引き管の他端部を床排水口に接続して、便器ボウルの排水口からの洗浄水を曲がり流路内から接続筒内及び横引き管内を通して床排水口に排水するようにしたサイフォン式水洗便器の排水構造であって、接続筒の底部と上記横開口部が設けられている一側部とは反対側の他側部とのなすコーナー部を略直角に形成すると共に、接続筒内部の上記横開口部が設けられている一側部の上部に曲がり流路からの排水が当たる突起部を突出させたから、曲がり流路からの排水がそのまま下に流れ落ちず、突起部に当たることによって、乱流が発生してサイフォン現象が起こり易くなり、洗浄性能を向上させることができる。また、接続筒の底部と他側部とのコーナー部のアールが小さく形成されており、開口面積が広がることによって、接続筒内の容積が大きくなり、汚物が詰まり難くなるものである。
【００２１】
また請求項２記載の発明は、請求項１記載の効果に加えて、突起部は、下方に行く程接続筒の内方に向かって傾斜した傾斜部を有しているので、傾斜部によって接続筒の出口流路のしぼり距離が長くなり、且つ、接続筒内を通過する排水が出口流路とは反対の方向に流れるようになるので、接続筒内で乱流が一層起こり易くなる。
【００２２】
また請求項３記載の発明は、請求項１記載の効果に加えて、接続筒の横開口部を中央側の上下幅と両側の上下幅とが略等しくなるような形状となっているので、接続筒内を排水が流れる際に、横開口部の中央側の上下両端部がそれぞれ抵抗となり、接続筒内に水が溜まり易くなる結果、突起部による乱流発生効果とあいまって、サイフォン現象が確実に起こるようになり、洗浄性能をより向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の実施形態の一例を示す断面図である。
【図２】同上の横引き管及び接続筒の平面図である。
【図３】同上の横引き管及び接続筒の側面断面図である。
【図４】同上の接続筒を横開口部側から見た正面図である。
【図５】従来のサイフォン式便器の設置状態の断面図である。
【図６】従来の横引き管及び接続筒の平面図である。
【図７】従来の接続筒を横開口部側から見た正面図である。
【符号の説明】
１ サイフォン式水洗便器
２ 便器本体
２ａ 排水出口
３ 便器ボウル
３ａ 排水口
４ 曲がり流路
５ 接続筒
５ａ 一側部
５ｂ 他側部
５ｃ コーナー部
５ｄ 底部
６ 横引き管
７ 床排水口
８ 上開口部
９ 横開口部
１０ 突起部
１２ 傾斜部
Ｄ１，Ｄ２ 上下幅
【発明の属する技術分野】
この発明は、リフォーム用のサイフォン式水洗便器の排水構造に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
従来より、サイフォン式水洗便器を新設するにあたって、便器本体の排水出口を床排水口の床フランジにシール材によって直接接続するのが一般的である。
【０００３】
ところが、この種のサイフォン式水洗便器をリフォームして取替える場合にあっては、床排水口の位置はトイレルーム内で既に決まった位置にあり、一方、便器のサイズは種々であるため、トイレルームの寸法によっては便器本体を据え付けることができなくなる場合があった。
【０００４】
そこで、従来より図５に示すように、サイフォン式の便器本体２の下部に、接続筒５′と横引き管６とを設置し、接続筒５′の上開口部８を便器本体２の曲がり流路４の排水出口２ａに接続し、接続筒５′の横開口部９を横引き管６の一端部に接続し、横引き管６の他端部を床排水口７に接続してある。図中の３は便器ボウル、３ａは下部排水口、Ａは液面、２０は床フランジ、２１はシール材、２２は床排水管、２３は床フランジ接続部である。そして、便器設置時に横引き管６の長さを調節することによって、リフォーム時に新たな便器本体２の据え付け位置がずれないようにしながら、便器本体２の取り替えが可能となるものである。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、従来のリフォーム用のサイフォン式水洗便器１に用いられる接続筒５′は、側面からみて円弧状に湾曲した形状をしており、コーナー部５ｃのアールＲが大きく形成されているために、接続筒５′内の容積が小さくなって、汚物の詰まりが生じ易くなるという問題があった。
【０００６】
しかも、接続筒５′の上開口部８及び横開口部９の開口形状は、図６、図７に示すように、それぞれ真円形状に形成されているため、接続筒５′内では、曲がり流路４からの排水がそのまま下に流れ落ちてしまい、横引き管６内に水が抵抗なくスムーズに排出されてしまうために曲がり流路４内でサイフォン現象が起こりにくくなり、そのために洗浄性能が低下するという問題もあった。
【０００７】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、汚物が詰まり難く、しかも洗浄性能に優れたリフォーム用のサイフォン式水洗便器の排水構造を得ることにある。
【０００８】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明は、便器ボウル３の下部に設けた排水口３ａが逆Ｕ字状に曲成された曲がり流路４の前端部４ａに連通し、曲がり流路４の中間部４ｂが便器ボウル３内の液面Ａよりも高い位置に配置されると共に、曲がり流路４の後端部４ｃが便器ボウル３内の液面Ａよりも低い位置に設けた排水出口２ａに連通して構成された便器本体２の下部に、上端に上方に開口した上開口部８を有すると共に一側部５ａに横方向に開口した横開口部９を有する接続筒５と、横引き管６とが設置され、接続筒５の上開口部８を便器本体２の曲がり流路４の排水出口２ａに接続し、接続筒５の横開口部９を横引き管６の一端部に接続し、横引き管６の他端部を床排水口７に接続して、便器ボウル３の排水口３ａからの洗浄水を曲がり流路４内から接続筒５内及び横引き管６内を通して床排水口７に排水するようにしたサイフォン式水洗便器の排水構造であって、接続筒５の底部５ｄと上記横開口部９が設けられている一側部５ａとは反対側の他側部５ｂとのなすコーナー部５ｃを略直角に形成すると共に、接続筒５内部の上記横開口部９が設けられている一側部５ａの上部に曲がり流路４からの排水が当たる突起部１０を突出させたことを特徴としており、このように構成することで、曲がり流路４からの排水がそのまま下に流れ落ちず、突起部１０に当たることによって、乱流が発生してサイフォン現象が起こり易く、洗浄性能が向上し、さらに接続筒５の底部５ｄと他側部５ｂとのコーナー部５ｃの開口面積が広がることによって、接続筒５内の容積が大きくなり、汚物が詰まり難くなる。
【０００９】
また上記突起部１０は、下方に行く程接続筒５の内方に向かって傾斜した傾斜部１２を有しているのが好ましく、このように構成することで、傾斜部１２によって接続筒５の出口流路１３のしぼり距離が長くなり、且つ、接続筒５内を通過する排水が出口流路１３とは反対の方向に流れるようになるので、接続筒５内で乱流が一層起こり易くなる。
【００１０】
また上記接続筒５の横開口部９を中央側の上下幅Ｄ１と両側の上下幅Ｄ２とが略等しくなるような形状となっているのが好ましく、このように構成することで、接続筒５内を排水が流れる際に、横開口部９の中央側の上下両端部がそれぞれ抵抗となり、接続筒５内に水が溜まり易くなる結果、突起部１０による乱流発生効果とあいまって、サイフォン現象が確実に起こるようになる。
【００１１】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明すると、サイフォン式水洗便器１は、図１に示すように、便器本体２の便器ボウル３の下部に設けた排水口３ａが、逆Ｕ字状に曲成された曲がり流路４の前端部４ａに連通しており、曲がり流路４の中間部４ｂが便器ボウル３内の液面Ａよりも高い位置に配置されていると共に、曲がり流路４の後端部４ｃが便器ボウル３内の液面よりも低い位置に設けた排水出口２ａに連通している。なお、図１中の２０は床フランジ、２１はシール材、２２は床排水管、２３は床フランジ接続部、２４は排水ジョイントである。
【００１２】
上記便器本体２の下部には、接続筒５と横引き管６とが設置されている。接続筒５は、図２〜図４に示すように、上端に上方に開口した上開口部８を有すると共に一側部５ａに横方向に開口した横開口部９を有している。この接続筒５の上開口部８は上記曲がり流路４の排水出口２ａに接続され、接続筒５の横開口部９は横引き管６の一端部に接続され、横引き管６の他端部は床排水口７に接続されている。
【００１３】
ここで、接続筒５は側面から見てＬ字状に屈曲しており、接続筒５の底部５ｄと上記横開口部９が設けられた一側部５ａとは反対側の他側部５ｂとのなすコーナー部５ｃのアールＲが小さく形成されており、これにより接続筒５内の容積を大きくして汚物の詰まり防止が図られている。
【００１４】
また、接続筒５内部には曲がり流路４からの排水が当たる突起部１０が突出されている。この突起部１０は接続筒５の出口流路１３を絞ってサイフォン現象を発生させるためのものであり、この実施形態では、横開口部９が設けられている一側部５ａの上部から水平に突出した段部１１と、段部１１の先端に連なって、下方に行く程接続筒５の内方、つまり出口流路１３を狭める方向に向かって傾斜した傾斜部１２とで構成されている。段部１１は、便器本体２の排水出口２ａからの排水の一部が当たる位置まで突出しており、これにより、曲がり流路４からの排水に乱れが発生するようになっている。また、傾斜部１２の下端部は段部１１の先端よりも更に内方に突出しており、この傾斜部１２によって、出口流路１３のしぼり距離を長くし、且つ、接続筒５内を通過する排水を出口流路１３と反対の方向に流すようにして、接続筒５内でより乱流が起こり易くしてある。
【００１５】
また、接続筒５の横開口部９は、図４に示すように、中央側の上下幅Ｄ１と両側の上下幅Ｄ２とが略等しくなるような開口形状に形成されている。この実施形態では、横開口部９は上下両縁部がそれフラットに形成された横長の円形状に形成されており、横開口部９の上縁部９ａが上記傾斜部１２の下端縁に連設しており、横開口部９の下縁部９ｂが接続筒５の底部５ｄと面一状に連設している。このように横開口部９を横長状に形成することで、接続筒５の出口流路１３が絞られ、前記突起部１０（段部１１、傾斜部１２）による絞り効果とあいまって、サイフォン現象がより発生し易い構造となっている。
【００１６】
しかして、便器ボウル３の排水口３ａからの洗浄水は曲がり流路４内を通り、さらに接続筒５内から横引き管６内を通り、床フランジ接続部２３から床排水管２２内に排出されるが、接続筒５の底部５ｄと他側部５ｂとのコーナー部５ｃのアールＲが小さく形成されているので、接続筒５のコーナー部５ｃの開口面積が広がり、接続筒５内の容積が大きくなり、汚物が詰まり難くすることができる。
【００１７】
しかも、接続筒５内には段部１１と傾斜部１２とからなる突起部１０が突設されているので、曲がり流路４からの排水がそのまま下に流れ落ちず、段部１１と傾斜部１２とにそれぞれ当たることによって、流れが乱れる。またこのとき、傾斜部１２は下方に行く程接続筒５の出口流路１３を狭める方向に向かって傾斜しているので、出口流路１３のしぼり距離が長くなり、且つ、接続筒５内を通過する排水が出口流路１３とは反対の方向に流れるようになるので、接続筒５内で乱流が一層起こり易くなる。さらに加えて、接続筒５の横開口部９は横長の円形状に形成されているので、横開口部９の上下両端部９ａ，９ｂがそれぞれ抵抗となり、接続筒５内に水が溜まり易くなる結果、サイフォン現象を確実に起こすことができ、洗浄性能を確実に向上させることができるものである。
【００１８】
なお、前記実施形態では、突起部１０を段部１１と傾斜部１２とで構成したが、必ずしもこれに限定されるものではなく、傾斜部１２は省略可能である。
【００１９】
また、接続筒５の横開口部９を横長の円形状に形成したが、例えば四角形状であってもよいものであり、要は排水の流れの抵抗となる部分を備えた開口形状であればよいものである。
【００２０】
【発明の効果】
上記のように本発明のうち請求項１記載の発明は、便器ボウルの下部に設けた排水口が逆Ｕ字状に曲成された曲がり流路の前端部に連通し、曲がり流路の中間部が便器ボウル内の液面よりも高い位置に配置されると共に、曲がり流路の後端部が便器ボウル内の液面よりも低い位置に設けた排水出口に連通して構成された便器本体の下部に、上端に上方に開口した上開口部を有すると共に一側部に横方向に開口した横開口部を有する接続筒と、横引き管とが設置され、接続筒の上開口部を便器本体の曲がり流路の排水出口に接続し、接続筒の横開口部を横引き管の一端部に接続し、横引き管の他端部を床排水口に接続して、便器ボウルの排水口からの洗浄水を曲がり流路内から接続筒内及び横引き管内を通して床排水口に排水するようにしたサイフォン式水洗便器の排水構造であって、接続筒の底部と上記横開口部が設けられている一側部とは反対側の他側部とのなすコーナー部を略直角に形成すると共に、接続筒内部の上記横開口部が設けられている一側部の上部に曲がり流路からの排水が当たる突起部を突出させたから、曲がり流路からの排水がそのまま下に流れ落ちず、突起部に当たることによって、乱流が発生してサイフォン現象が起こり易くなり、洗浄性能を向上させることができる。また、接続筒の底部と他側部とのコーナー部のアールが小さく形成されており、開口面積が広がることによって、接続筒内の容積が大きくなり、汚物が詰まり難くなるものである。
【００２１】
また請求項２記載の発明は、請求項１記載の効果に加えて、突起部は、下方に行く程接続筒の内方に向かって傾斜した傾斜部を有しているので、傾斜部によって接続筒の出口流路のしぼり距離が長くなり、且つ、接続筒内を通過する排水が出口流路とは反対の方向に流れるようになるので、接続筒内で乱流が一層起こり易くなる。
【００２２】
また請求項３記載の発明は、請求項１記載の効果に加えて、接続筒の横開口部を中央側の上下幅と両側の上下幅とが略等しくなるような形状となっているので、接続筒内を排水が流れる際に、横開口部の中央側の上下両端部がそれぞれ抵抗となり、接続筒内に水が溜まり易くなる結果、突起部による乱流発生効果とあいまって、サイフォン現象が確実に起こるようになり、洗浄性能をより向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の実施形態の一例を示す断面図である。
【図２】同上の横引き管及び接続筒の平面図である。
【図３】同上の横引き管及び接続筒の側面断面図である。
【図４】同上の接続筒を横開口部側から見た正面図である。
【図５】従来のサイフォン式便器の設置状態の断面図である。
【図６】従来の横引き管及び接続筒の平面図である。
【図７】従来の接続筒を横開口部側から見た正面図である。
【符号の説明】
１ サイフォン式水洗便器
２ 便器本体
２ａ 排水出口
３ 便器ボウル
３ａ 排水口
４ 曲がり流路
５ 接続筒
５ａ 一側部
５ｂ 他側部
５ｃ コーナー部
５ｄ 底部
６ 横引き管
７ 床排水口
８ 上開口部
９ 横開口部
１０ 突起部
１２ 傾斜部
Ｄ１，Ｄ２ 上下幅
Claims (3)
- 便器ボウルの下部に設けた排水口が逆Ｕ字状に曲成された曲がり流路の前端部に連通し、曲がり流路の中間部が便器ボウル内の液面よりも高い位置に配置されると共に、曲がり流路の後端部が便器ボウル内の液面よりも低い位置に設けた排水出口に連通して構成された便器本体の下部に、上端に上方に開口した上開口部を有すると共に一側部に横方向に開口した横開口部を有する接続筒と、横引き管とが設置され、接続筒の上開口部を便器本体の曲がり流路の排水出口に接続し、接続筒の横開口部を横引き管の一端部に接続し、横引き管の他端部を床排水口に接続して、便器ボウルの排水口からの洗浄水を曲がり流路内から接続筒内及び横引き管内を通して床排水口に排水するようにしたサイフォン式水洗便器の排水構造であって、接続筒の底部と上記横開口部が設けられている一側部とは反対側の他側部とのなすコーナー部を略直角に形成すると共に、接続筒内部の上記横開口部が設けられている一側部の上部に曲がり流路からの排水が当たる突起部を突出させてなることを特徴とするサイフォン式水洗便器の排水構造。
- 突起部は、下方に行く程接続筒の内方に向かって傾斜した傾斜部を有していることを特徴とする請求項１記載のサイフォン式水洗便器の排水構造。
- 接続筒の横開口部を中央側の上下幅と両側の上下幅とが略等しくなるような形状としたことを特徴とする請求項１記載のサイフォン式水洗便器の排水構造。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP23997598A JP3613991B2 (ja) | 1998-08-26 | 1998-08-26 | サイフォン式水洗便器の排水構造 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
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