JP3613931B2 - 核酸結合ポリペプチド、その製造方法及びその用途 - Google Patents

核酸結合ポリペプチド、その製造方法及びその用途 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、核酸結合ポリペプチドの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
これまで遺伝子組換え操作で作製してきたタンパク質は目的とする特異的な立体構造を如何に維持しかつ抗原抗体反応に適合するかを意図して研究が行われてきた。その際に精製過程において変性操作が加わるため、天然型の構造を保ったまま精製し、それを免疫学的測定系に供与できない場合があった。また各種アッセイ系特有の反応に影響する因子が存在することもあり、しばしば期待通りの反応が起こらないことも知られている。
【0003】
例えば、免疫測定方法の1つとしていわゆる凝集法が知られている。この方法により例えば、あるタンパク抗原に対する抗体を測定する場合には、該抗原をラテックス粒子のような粒子に固定化した粒子と抗体を反応させ、抗体が存在すれば粒子が凝集するので吸光度測定等により凝集の程度を測定すれば試料中の該抗体を定量することが可能になる。ところが、この抗原として、遺伝子工学的手法により生産したタンパク質を用いると、生産されたタンパク質は、測定すべき抗体との反応性を有しているにもかかわらず、これを粒子に固定化して凝集法による免疫測定を行うと、試料中に抗体が存在する場合でも凝集が起きないことがしばしばある。
【0004】
このような場合、これまでは生産されたタンパク質を後から修飾したり、融合タンパク質の形で発現したりして少しでも反応性を改善するように努力がなされてきた。しかし、抗原性(すなわち抗体との反応性)を維持したまま所望の性質を付与できるようにタンパク質を修飾することは困難であった。
【0005】
また、遺伝子工学的手法によりタンパク質を生産した場合、タンパク質はしばしば不溶性タンパク質として生産される。これを精製する場合には、可溶化処理がなされるが、可溶化処理の間にタンパク質が変性し、本来の抗原性を喪失することもしばしばある。従って、遺伝子工学的手法によりタンパク質を生産する場合に、可溶性タンパク質として生産されることが好ましい。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、遺伝子工学的手法によりポリペプチドを生産する場合に、生産されたポリペプチドが可溶化画分中に得られるようにするポリペプチドの生産方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本願発明者らは、鋭意研究の結果、ポリペプチドに核酸を結合することにより、ポリペプチドの抗原性を変化させることなくその性質を変化させることができることを見出し、また、核酸結合ポリペプチドを抗原として用いることにより、従来では不可能であった免疫測定が可能になる場合があることを見出した。また、遺伝子工学的手法により生産されるポリペプチドに核酸を結合することにより、生産されたポリペプチドが可溶化画分中に得られることも見出した。
【0008】
すなわち、本発明は、ポリペプチドをコードする遺伝子と、核酸結合モチーフをコードする遺伝子との融合遺伝子を遺伝子工学的手法により発現させ、前記ポリペプチドに結合した核酸結合モチーフを介して核酸が結合した核酸結合ポリペプチド生産し、生じた前記核酸結合ポリペプチドを可溶性画分から精製することを特徴とする核酸結合ポリペプチドの生産方法を提供する。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の核酸結合ポリペプチドは、上述のように、ポリペプチドに核酸を結合させることにより、ポリペプチドの抗原性を変化させずにポリペプチドの性質を変化させたものである。ここで、「ポリペプチド」とは、単独で抗原性を発揮できるものであればいかなるものでもよく、従って、それを構成するアミノ酸残基の数は6以上であればよく、好ましくは8以上である。また、「ポリペプチド」には、アミノ酸のみから成るものだけでなく、糖タンパク質、リポタンパク質等、ポリペプチドと糖や脂質等の他の成分との複合体も包含される。
【0010】
ポリペプチドに結合される核酸のサイズは特に限定されるものではなく、ポリペプチドの性質を変化させることができるサイズであればよい。通常、塩基数で100b〜10Kb、好ましくは1Kb〜5Kb程度である。また、ポリペプチドに結合される核酸はDNAでもRNAでもよい。また、結合される核酸の塩基配列は何ら限定されるものではなく、いかなる配列でも構わない。
【0011】
核酸は、前記ポリペプチドに結合した核酸結合モチーフを介して前記ポリペプチドに結合されている
【0012】
発現させようとするポリペプチドの遺伝子情報に核酸を結合することで知られる核酸結合モチーフの遺伝子情報を含めて発現させると、核酸結合モチーフのついたポリペプチドが発現し、発現直後に宿主の核酸が自動的に結合し、核酸結合ポリペプチドとして精製できる。また、発現時に自動的に核酸が結合し得なかった場合でも発現後の核酸結合モチーフが結合したポリペプチドと核酸とを混合しておくと、ポリペプチドが再構成し、核酸結合ポリペプチドを得ることができる。核酸結合モチーフは種々知られており、B型肝炎ウイルス(HBV)のHBc蛋白配列に存在する核酸結合モチーフ(J. of Virology, 64, 3319−3330(1990))、マウスの核酸結合蛋白であるプロタミン(Biochim. Biophys. Acta, 950, 45−53(1988)) 等、適宜用いることができる。なお、HBVの核酸結合モチーフの塩基配列及びアミノ酸配列を配列表の配列番号1及び2に、マウスプロタミン1の塩基配列及びアミノ酸配列を配列表の配列番号15及び16に示す。
【0013】
本発明の核酸結合ポリペプチドは、ポリペプチドの抗原性を変化させずにポリペプチドの性質を変化させるたものであり得る。変化させるポリペプチドの性質としては、等電点、分子量、ポリペプチドの三次構造等を挙げることができるがこれらに限定されるものではない。
【0014】
本願発明者らは、上記本発明の核酸結合ポリペプチドを、免疫測定方法の抗原として用いることにより、驚くべきことに、従来測定が不可能であった免疫測定方法においても免疫測定が可能になることを見出した。例えば、抗原を粒子に結合し、これを検体と反応させ、粒子の凝集を測定することにより検体中の抗体を測定する、凝集法と呼ばれる免疫測定方法において、粒子に結合する抗原として遺伝子工学的手法により生産されたポリペプチドを用いた場合に、該ポリペプチドは対応抗体に対する反応性を有しているにもかかわらず、実際に凝集法により測定を行うと、検体中に抗体が存在しているにもかかわらず凝集が起きないことがある。ところが、粒子に結合する抗原として、本発明の核酸を結合したポリペプチドを用いると、検体中の抗体量に依存して粒子の凝集が起きる。本発明の免疫測定方法としては、凝集法に限らず、ELISA法等従来より公知のいずれの方法であってもよい。また、既知量の核酸結合ポリペプチドを検体に添加して競合法を行うことにより、検体中の該ポリペプチド抗原の測定を行うこともできる。本発明の免疫測定方法は、抗原として上記した、ポリペプチドに核酸が結合されたものを用いることを除き、従来より周知の方法により行うことができる。凝集法による免疫測定方法の詳細な一例が下記実施例に記載されている。
【0015】
ポリペプチドを遺伝子工学的手法で生産する場合、生産されたポリペプチドは多くの場合不溶性画分に得られる。このポリペプチドを回収して用いる場合にはポリペプチドの可溶化処理を行わなければならず、この可溶化処理によってポリペプチドの抗原性が変化する場合もしばしばある。従って、遺伝子工学的手法により生産されるポリペプチドが可溶性画分に回収されることが望ましい。遺伝子工学的手法によるポリペプチドの生産方法に本発明の方法を適用し、生産されたポリペプチドが自動的に宿主細胞中の核酸と結合するようにすると、得られる核酸結合ポリペプチドが可溶性画分に回収される。例えば、下記実施例に記載するように、発現させるポリペプチドを、HBcの核酸結合モチーフとの融合ポリペプチドとして発現させると、発現と同時に核酸結合モチーフに核酸が結合し、得られた核酸結合ポリペプチドは可溶性画分に回収される。従って、本発明はまた、ポリペプチドを遺伝子工学的方法により生産し、生産されたポリペプチドに核酸を結合させ、生じた核酸結合ポリペプチドを可溶性画分から精製することを特徴とする、ポリペプチドの生産方法をも提供する。
【0016】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づきより具体的に説明する。もっとも、本願発明は下記実施例に限定されるものではない。
【0017】
参考例1 HCVコア蛋白質(1〜120aa)の発現
配列表の配列番号3に示したHCVコアポリペプチドをコードするDNA断片を、HCVコア領域を含むDNA断片を導入したプラスミドCKSC1150を鋳型分子として、PCR法にて増幅した後、制限酵素EcoRIとBamHIで水解した。次いで1%アガロースゲル電気泳動によりHCVコア領域を含むDNA断片370bpを分離した。このDNA断片を図1に示す発現用プラスミドpW6AのEcoRI−BamHI部位に挿入し、プラスミドpW6AHCVコア120を作製した。このプラスミドを用い、大腸菌BL21(DE3)(Brookhaven National Laboratoryより入手)を形質転換させ、HCVコアポリペプチド120を発現するアンピシリン耐性の形質転換体大腸菌BL21(DE3)/pW6AHCVコア120を得、HCVコア蛋白質(1〜120aa)を発現させた。以下、本明細書中では、この発現蛋白質を120と記載する。120の塩基配列及びアミノ酸配列を配列表の配列番号3及び4に示す。
【0018】
実施例1 プラスミドの作製
配列表の配列番号5及び配列番号3に示したHCVコアポリペプチド150及び120をコードするDNA断片を、HCVコア領域を含むDNA断片を導入したプラスミドCKSC1150を鋳型分子として、PCR法にて増幅した後、制限酵素EcoRIとBamHIで水解した。次いで1%アガロースゲル電気泳動によりHCVコア領域を含むDNA断片470bp及び370bpを分離した。このDNA断片を図1に示す発現用プラスミドpW6AのEcoRI−BamHI部位に挿入し、プラスミドpW6AHCVコア150及びpW6AHCVコア120を作製した。
【0019】
一方、配列表の配列番号1に示すHBc核酸結合モチーフをコードするDNA断片を、プラスミドpHBV−11(Nucleic Acids Res., 18, 4587 (1990) )を鋳型分子として、PCR法にて増幅した後、制限酵素BamHIで水解した。次いで2%アガロースゲル電気泳動により核酸結合モチーフを含むDNA断片110bpを分離した。このDNA断片を上記プラスミドpW6AHCVコア150及びpW6AHCVコア120のBamHI部位に挿入した後、これらを用い大腸菌BL21(DE3)(Brookhaven National Laboratoryより入手)を形質転換させ、アンピシリン耐性の形質転換体大腸菌BL21(DE3)/pW6AHCVコア150NA及び大腸菌BL21(DE3)/pW6AHCVコア120NAを得た。本明細書中では、この形質転換体が発現する核酸結合モチーフが結合した蛋白質を150NA及び120NAと記載する。150NAの塩基配列及びアミノ酸配列を配列表の配列番号9及び10に、120NAの塩基配列及びアミノ酸配列を配列表の配列番号7及び8に示す。
【0020】
実施例2 組換え蛋白質(150NA及び120NA)の発現
実施例1で作製した形質転換体を、50μg/mlのアンピシリンを含むLB培地2ml中37℃で培養した。予備培養にて600nmでODを0.6〜0.8にした後、0.5mM IPTGを添加し発現誘導を行い、更に2時間培養した。1.5ml量の菌体培養液を5000rpmで2分間遠心分離して菌体を集め、100μlの緩衝液(10mMトリス−塩酸、pH8.0、0.1M塩化ナトリウム、1mM EDTA)に懸濁し、15分間の超音波破砕により完全に菌体を破砕した。これを菌体試料とする。
【0021】
菌体試料8μlに3倍濃度のSDSポリアクリルアミド緩衝液(0.15Mトリス−塩酸、pH6.8、6% SDS、24%グリセロール、6mM EDTA、2% 2−メルカプトエタノール、0.003%ブロモフェノールブルー)4μlを加え十分撹拌した後、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動を行った。ニトロセルロースフィルターにウエスタンブロットを行って転写を行い、1%BSAによりブロッキング後、リン酸緩衝液(10mMリン酸、pH7.4、0.15M塩化ナトリウム)で200倍に希釈したHCVコア抗体陽性人血清を反応させた。更にペルオキシダーゼ酵素標識された抗ヒトIgGウサギポリクロナール抗体(ダコ社製)を反応させ、洗浄後10mlの基質発色液(0.01%過酸化水素水、0.6mg/ml 4−クロロ−1−ナフトール)を添加し、発色させた。結果を図2に示す。図2に示したように大腸菌BL21(DE3)/pW6AHCVコア150NA及び大腸菌BL21(DE3)/pW6AHCVコア120NAの菌体試料はHCVコア陽性ヒト血清で陽性反応を示した。
【0022】
実施例3 可溶性核酸結合120NA(120NA(+))の精製
実施例1で作製した大腸菌BL21(DE3)/pW6AHCVコア120NAをLB培地37℃条件下で培養した。予備培養にて600nmでOD約0.7の濃度にしたのち、0.5mM IPTGを添加し発現誘導を行った。2.5時間培養後、遠心操作を行い大腸菌を回収した。回収した大腸菌に50mMトリス−塩酸緩衝液、pH8.0、20%エタノール、0.2M塩化ナトリウム、0.3%オクチルチオグルコシド(以下本明細書中ではOTGと記載する)を150ml加え、氷冷下で超音波破砕処理を行った。遠心後、可溶性画分の核酸結合120NA(以下本明細書中では120NA(+)と記載する)を回収した。50mMトリス−塩酸、pH8.0、20%エタノール緩衝液にショ糖を加え、それぞれショ糖濃度50%、30%、20%の緩衝液を作製し、これを積層した超遠心チューブに120NA(+)を含む可溶性画分を積層し、100,000g10℃、12時間の条件下ベックマン超遠心機を用いて第一ショ糖密度勾配超遠心を行った。約30%〜40%ショ糖濃度に120NA(+)を回収した。
【0023】
この120NA(+)第一ショ糖密度勾配回収画分を、0.3M塩化ナトリウム、0.1%ミリスチルスルフォベタイン(SB3−14、シグマ社製)50mMグリシン−水酸化ナトリウム緩衝液pH10.0で平衡化したスーパーデックス200ゲル濾過カラム(ファルマシア社製)で精製した。分子量約700〜1000KDに120NA(+)を回収した。ついでこの120NA(+)回収画分を、50mMトリス−塩酸、pH8.0、20%エタノール緩衝液にショ糖を加え、ショ糖濃度50%、20%の緩衝液を積層した超遠心チューブに積層し、100,000g、10℃、12時間の条件下、ベックマン超遠心機を用いて第二ショ糖密度勾配超遠心を行い濃縮精製を行った。
【0024】
参考例2 不溶性120NAの精製
実施例1で作製した大腸菌BL21(DE3)/pW6AHCVコア120NAをLB培地37℃条件下で培養した。予備培養にて600nmで約0.7の濃度にした後、0.5mM IPTGを添加し発現誘導を行った。2.5時間培養後、遠心操作を行い大腸菌を回収した。回収した大腸菌に50mMトリス−塩酸緩衝液、pH8.0、20%エタノール、0.2M塩化ナトリウム、0.3%OTGを150ml加え、氷冷下で超音波破砕処理を行った。遠心後、不溶性画分の120NAを回収した。このうち不溶性画分を6M尿素、50mMグリシン−水酸化ナトリウム緩衝液pH11.7で可溶化し、遠心操作を行い上清画分を回収した。
【0025】
この上清を、6M尿素、50mMグリシン−水酸化ナトリウム緩衝液pH10.0で平衡化したSFF陽イオン交換カラム(ファルマシア社製)でイオン交換精製した。塩化ナトリウムで溶出したところ、約0.5M塩化ナトリウム溶出画分に120NAを回収した。ついでこのSFF溶出画分を6M尿素−0.5M塩化ナトリウム、50mMトリス−塩酸緩衝液pH9.6で平衡化したスーパーデックス200ゲル濾過カラム(ファルマシア社製)で精製した。分子量約22KDの部分に精製120NAを回収した。
【0026】
実施例4 120NA及び120NA(+)の物性確認
実施例3で精製した120NA(+)のOD260/280nm比を測定したところ、約2.0であり、120NAのOD260/280nm比よりも大きくなっていることから核酸と共存していると判断した。また、120NAがショ糖密度勾配超遠心において、ほとんどショ糖濃度0%に回収されるのに対して、120NA(+)は、約30%〜40%のショ糖濃度に回収された。このことにより120NA(+)は、密度も変化しているものと考えられる。120NA(+)を、DNA分解酵素又はRNA分解酵素にて酵素処理を行ったところ、RNA分解酵素により120NA(+)に含まれる核酸がすべて分解された。よって、120NA(+)の構成核酸はRNAと考えられた。等電点電気泳動を行ったところ、120NA(+)の等電点はpI3.5〜5.0にかけて広く分布し、参考例2で精製した120NAのpI12.84とは大きく異なっていた。3%アガロース3%ポリアクリルアミドゲルを用いたNative電気泳動を行ったところ、エチジュウムブロマイド染色による発光から、120NA(+)に核酸が含まれることを確認した。このエチジュウムブロマイド染色に用いたゲルを用いて、ウエスタンブロット及びクマシーブリリアントブルー染色を行ったところ、エチジュウムブロマイド染色で発光した部分と同位置に、ウエスタンブロットでは抗HCVコア抗体との反応性を認め、クマシーブリリアントブルー染色では蛋白の存在が確認できた。一方、参考例2で精製した120NAの等電点はpI12.84と強い陽電荷を帯び、上記と同じNative電気泳動では、ウエスタンブロット及びクマシーブリリアントブルー染色による120NAのゲルの中への移動が確認できなかった。
【0027】
よって120NA(+)は、核酸と結合することにより見かけの分子量の巨大化、密度の変化、電荷の変化と120NAとは物性が大きく変化しており、ウエスタンブロット及び凝集反応に変化が無いことにより、抗原活性は保持されていると考えられる。
【0028】
参考例3 リジン結合120(120K10)の発現
実施例1と同様に、塩基性アミノ酸であるリジンを連続で10残基結合させる遺伝子操作をpW6AHCVコア120に対して行い、pW6AHCVコア120K10を作成した。これを用いて大腸菌BL21(DE3)を形質転換し、アンピシリン耐性の形質転換体大腸菌BL21(DE3)/pW6AHCVコアK10を得た。以下、本明細書中ではこの形質転換体が発現する蛋白質を、120K10と記載する。
【0029】
この形質転換体をLB培地37℃条件下で培養した。予備培養にて600nmでOD約0.7の濃度にした後、0.5mM IPTGを添加し発現誘導を行った。2.5時間培養後、遠心を行い大腸菌を回収した。回収した大腸菌に50mMトリス−塩酸緩衝液pH8.0、20%エタノール、0.2M塩化ナトリウム、0.3% OTGを150ml加え、氷冷下で超音波破砕処理を行った。遠心後、可溶性画分及び不溶性画分の両方に、発現した120K10を回収した。50mMトリス−塩酸、pH8.0,20%エタノール緩衝液にショ糖を加え、ショ糖濃度50%、30%、20%の緩衝液を積層した超遠心チューブに120K10を含む可溶性画分を積層し、100,000g、10℃、12時間の条件下、ベックマン超遠心機を用いてショ糖密度勾配超遠心を行った。しかし120K10は50%、30%、20%ショ糖画分には回収されず上層に回収された。一方、不溶性画分を参考例2と同様にSFF陽イオン交換カラム(ファルマシア社製)及びゲル濾過により精製を行い、分子量約20KDの部分に精製120K10を回収した。
【0030】
参考例4 HCVコア抗原陽性血清の測定
市販のHCV抗体測定試薬リバアッセイ(カイロン社製)を用いて、HCV抗体陽性血清の反応性を調べた。結果を表1に示す。HCV抗原c100(アミノ酸番号1569〜1931)、c33c(アミノ酸番号1192〜1457)、コア抗原c22(アミノ酸番号2〜120)及びNS5(アミノ酸番号2054〜2995)を用いて調べたところ、陽性血清1及び2共、コア抗原を含めて、全ての抗原領域に対し抗体を持つ血清であった。
【0031】
【表1】
Figure 0003613931
【0032】
実施例5 HCVポリペプチド抗原の免疫反応性試験
参考例1、2、3及び実施例3で得られたHCV蛋白質抗原を10mg/mlの濃度でゼラチン粒子(富士レビオ社製)に0.15M PBS、pH7.1にて固定し、参考例4で確認した陽性血清と、HCVコア抗原c22を免疫して得られたモノクローナル抗体#2−7を用いて、感作抗原の免疫反応性を検討した。
【0033】
リン酸緩衝液に1%濃度で懸濁した感作ゼラチン粒子25μlと陽性血清または#2−7 25μlとをマイクロタイタープレート(富士レビオ社製)中で2時間反応させ凝集像を判定した。結果を表2に示す。表2では、反応性を2希釈倍率で示し、4以上の結果を陽性と判定した。HCVコア抗原を免疫して作製したモノクローナル抗体#2−7はどのHCVコア抗原とも反応したが、実際の陽性血清が反応したのは120NA(+)感作粒子のみであった。
【0034】
【表2】
Figure 0003613931
【0035】
実施例6 120NAから120NA(+)の再構成
実施例1で作製した大腸菌BL21(DE3)/pW6AHCVコア120NAを用い、参考例2と同様に不溶性画分からHCVコア120NAを精製した。120NAの分子量は約22KD、OD260/280nm比は約0.7であった。これに、pW6A由来の環状プラスミドDNA(4.7Kbp)、6M尿素、20%ショ糖を加え、50mMトリス塩酸緩衝液、0.15M塩化ナトリウム、20%ショ糖に対して透析を行い、120NAから120NA(+)への再構成を行った。透析後再構成された120NA(+)を、スパーデックス200ゲル濾過カラム(ファルマシア社製)にて精製し、分子量700〜1000KD部分に120NA(+)を回収した。50mMトリス−塩酸、pH8.0、20%エタノール緩衝液にショ糖を加え、それぞれショ糖濃度50%、20%の緩衝液を作製し、これを積層した超遠心チューブに回収した120NA(+)を積層し、100,000g、10℃、12時間の条件下ベックマン超遠心機を用いて、ショ糖密度勾配超遠心を行った。約40%〜50%ショ糖濃度に再構成した120NA(+)を回収した。
【0036】
再構成を行った120NA(+)は、OD260/280nm比が再構成前の約0.7から約1.7に変化しており ゲル濾過による分子量及びショ糖密度勾配超遠心による比重のの値がほとんど実施例3で精製した可溶性120NA(+)と同じ数値を示すので、120NA(+)に再構成されたと考えられる。
【0037】
実施例7 120結合120NA(120NA120)発現用形質転換体の構築
配列表の配列番号3に示したHCVコアポリペプチドをコードするDNA断片を、HCVコア領域を含むDNA断片を導入したプラスミドCKSC1150を鋳型分子としてPCR法にて増幅した後、制限酵素NheIとEcoRIで水解した。次いで、1%アガロースゲル電気泳動によりHCVコア領域を含むDNA断片370bpを分離した。このDNA断片を図1に示す発現用プラスミドpW6AのNheI−EcoRI部位に挿入し、プラスミドpW6AHCVコア120(NheI/EcoRI)を作製した。
【0038】
次いで、配列表の配列番号3に示したHCVコアポリペプチドをコードするDNA断片を、プラスミドCKSC1150を鋳型分子としてPCR法にて増幅した後、制限酵素EcoRIとBamHIで水解した。次いで、1%アガロースゲル電気泳動によりHCVコア領域を含むDNA断片370bpを分離した。このDNA断片をプラスミドpW6AHCVコア120(NheI/EcoRI)のEcoRI−BamHI部位に挿入し、プラスミドpW6AHCVコア120−120を作製した。
【0039】
さらに、配列表の配列番号1に示すHBc核酸結合モチーフをコードするDNA断片を、プラスミドpHBV−11を鋳型分子として、PCR法にて増幅した後、制限酵素EcoRIで水解した。次いで、2%アガロースゲル電気泳動により核配結合モチーフを含むDNA断片110bpを分離した。このDNA断片を上記プラスミドpW6AHCVコア120−120のEcoRI部位に挿入した後、これを用い大腸菌BL21(DE3)を形質転換させ、120結合120NA(以下、本明細書中では120NA120と記載する)を発現するアンピシリン耐性の形質転換体として、大腸菌BL21(DE3)/pW6AHCVコア120NA120を得た。
【0040】
実施例8 不溶性120NA120の精製
参考例2と同様に、大腸菌BL21(DE3)/pW6AHCVコア120NA120をLB培地37℃条件下で培養した。予備培養にて600nmで約0.7の濃度にした後、0.5mM IPTGを添加し発現誘導を行った。2.5時間培養後、遠心を行い大腸菌を回収した。回収した大腸菌に50mMトリス−塩酸緩衝液pH8.0、20%エタノール、0.2M塩化ナトリウム、0.3%OTGを150ml加え、氷冷下で超音波破砕処理を行った。発現した120NA120は、遠心後可溶性及び不溶性画分に回収された。このうち不溶性画分を6M尿素、50mMグリシン−水酸化ナトリウム緩衝液pH11.0で可溶化し、遠心を行い上清画分を回収した。
【0041】
この上清を、6M尿素グリシン−水酸化ナトリウム緩衝液pH11.0で平衡化したSFF陽イオン交換カラムでイオン交換精製した。塩化ナトリウムで溶出したところ、約0.5M塩化ナトリウム溶出画分に120NA120を回収した。次いでこのSFF溶出画分を6M尿素、0.5M塩化ナトリウム、50mMトリス−塩酸緩衝液pH9.6で平衡化したスーパーデックス200ゲル濾過カラム(ファルマシア社製)で精製した。約分子量40KDに精製120NA120を回収した。120NA120の塩基配列及びアミノ酸配列を、配列表の配列番号11及び12に示す。
【0042】
実施例9 可溶性核酸結合120NA120(120NA120(+))の精製
実施例3と同様に、大腸菌BL21(DE3)/pW6AHCVコア120NA120をLB培地37℃条件下で培養した。予備培養にて600nmで約0.7の濃度にした後、0.5mM IPTGを添加し発現誘導を行った。2.5時間培養後、遠心を行い大腸菌を回収した。回収した大腸菌に50mMトリス−塩酸緩衝液pH8.0、20%エタノール、0.2M塩化ナトリウム、0.3%OTGを150ml加え、氷冷下で超音波破砕処理を行った。遠心後、可溶性画分の核酸結合120NA120(以下、本明細書中では120NA120(+)と記載する)を回収した。50mMトリス−塩酸緩衝液pH8.0、20%エタノール緩衝液にショ糖を加え、それぞれショ糖濃度50%、30%、20%緩衝液を作製し、これを積層した超遠心チューブに120NA120(+)を含む可溶性画分を積層し、100000g、10℃、12時間の条件下、ベックマン超遠心機を用いて第一ショ糖密度勾配超遠心を行った。約30%〜40%ショ糖濃度に120NA120(+)を回収した。
【0043】
この120NA120(+)第一ショ糖密度勾配回収画分を、0.3M塩化ナトリウム、0.3%OTG、50mMグリシン−水酸化ナトリウム緩衝液pH10. 0で平衡化したスーパーデックス200ゲル濾過カラム(ファルマシア社製)で精製した。分子量約700〜1000KDに120NA120(+)を回収した。次いでこの120NA120(+)回収画分を50mMトリス−塩酸緩衝液pH8.0、20%エタノール緩衝液にショ糖を加え、ショ糖濃度50%、20%の緩衝液を積層した超遠心チューブに積層し100,000g、10℃、12時間の条件下、ベックマン超遠心機を用いて第二ショ糖密度勾配超遠心を行い濃縮精製を行った。
【0044】
実施例10 120NA120から120NA120(+)の再構成
実施例9で精製した120NA120のOD260/280nm比は約0.7であった。これに、制限酵素Hae3で十分に切断した子牛胸腺から精製したDNA(シグマ社製)約1.3〜0.7Kbpと、6M尿素、20%ショ糖、1.0M塩化ナトリウムを加え、50mMトリス−塩酸緩衝液、0.3M塩化ナトリウムに対して4℃の条件下で透析を行い、120NA120から120NA120(+)への再構成を行った。透析後再構成され可溶性となった120NA120(+)を、120NA(+)同様スーパーデックス200ゲル濾過カラム(ファルマシア社製)にて精製し、分子量約700〜1000KD部分に120NA120(+)を回収した。OD260/280nm比は約0.7から約1.8に変化していた。
【0045】
実施例11 核酸結合TP47(TP47C2NA)発現用形質転換体の構築
配列表の配列番号13に示したTP由来47KD抗原をコードするDNA断片を、TP47KD抗原領域を含むDNA断片を導入したプラスミドpW6A47C2を鋳型分子としてPCR法にて増幅した後、制限酵素EcoRIとBamHIで水解した。次いで、1%アガロースゲル電気泳動によりTP47KD抗原領域を含むDNA断片1.3Kbpを分離した。このDNA断片を図1に示す発現用プラスミドpW6AのEcoRI−BamHI部位に挿入し、プラスミドpW6A47C2(EcoRI/BamHI)を作製した。
【0046】
一方、配列表の配列番号1に示すHBVコア核酸結合モチーフをコードするDNA断片を、プラスミドpHBV−11を鋳型分子として、PCR法にて増幅した後、制限酵素BamHIとHindIIIで水解した。次いで、2%アガロースゲル電気泳動により核酸結合モチーフを含むDNA断片110bpを分離した。このDNA断片を上記プラスミドpW6A47C2(EcoRI/BamHI)のBamHI−HindIII部位に挿入した後、これを用いて大腸菌BL21(DE3)を形質転換させ、核酸結合TP47(以下、本明細書中ではTP47C2NAと記載する)を発現するアンピシリン耐性の形質転換体として、大腸菌BL21(DE3)/pW6A47C2NAを得た。
【0047】
実施例12 不溶性TP47C2NAの精製
参考例2と同様に、実施例11で作製した大腸菌BL21(DE3)/pW6ATP47C2NAをLB培地37℃下で培養した。予備培養にて600nmで約0.7の濃度にした後、0.5mM IPTGを添加し発現誘導を行った。2.5時間培養後、遠心を行い大腸菌を回収した。回収した大腸菌に50mMトリス−塩酸緩衝液pH8.0、20%エタノールを150ml加え、氷冷下で超音波破砕処理を行った。発現したTP47C2NAは、遠心後可溶性及び不溶性画分に回収された。このうち不溶性画分を8M尿素、50mMトリス−塩酸緩衝液pH8.0で可溶化し遠心を行い上清画分を回収した。この上清を、8M尿素、酢酸ナトリウム緩衝液pH6.0で平衡化したSFF陽イオン交換カラムでイオン交換精製した。塩化ナトリウムで溶出したところで約0.5M塩化ナトリウム溶出画分にTP47C2NAを回収した。濃縮後このSFF溶出画分を6M尿素、0.5M塩化ナトリウム、50mMトリス−塩酸緩衝液pH9.6で平衡化したスーパーデックス200ゲル濾過カラム(ファルマシア社製)で精製した。約分子量100KDに精製TP47C2NAを回収した。TP47C2NAの塩基配列及びアミノ酸配列を、配列表の配列番号15及び16に示す。
【0048】
実施例13 可溶性核酸結合TP47C2NA(TP47C2NA(+)) の精製
実施例3と同様に、実施例11で作製した大腸菌BL21(DE3)/pW6ATP47C2NAをLB培地37℃条件下で培養した。予備培養にて600nmで約0.7の濃度にした後、0.5mM IPTGを添加し発現誘導を行った。2.5時間培養後、遠心を行い大腸菌を回収した。回収した大腸菌に50mMトリス−塩酸緩衝液pH8.0、20%エタノール、0.3%OTGを150ml加え、氷冷下で超音波破砕処理を行った。遠心後、可溶性画分に核酸結合TP47C2NA(以下、本明細書中ではTP47C2NA(+)と記載する)を回収した。50mMトリス−塩酸緩衝液pH8.0、20%エタノール緩衝液にショ糖を加え、それぞれショ糖濃度50%、30%、20%緩衝液を作製し、これを積層した超遠心チューブにTP47C2NA(+)を含む可溶性画分を積層し、100,000g、10℃、12時間の条件下ベックマン超遠心機を用いて第一ショ糖密度勾配超遠心を行った。約30%〜45%ショ糖濃度にTP47C2NA(+)を回収した。
【0049】
このTP47C2NA第一ショ糖密度勾配回収画分を、0.3M塩化ナトリウム、0.3%OTG、50mMトリス−塩酸緩衝液pH8.0で平衡化したスーパーデックス200ゲル濾過カラム(ファルマシア社製)で精製した。分子量約700−1000KDにTP47C2NA(+)を回収した。次いでこのTP47C2NA(+)回収画分を50mMトリス−塩酸緩衝液pH8.0、20%エタノール緩衝液にショ糖を加え、ショ糖濃度50%、20%の緩衝液を積層した超遠心チューブに積層し100,000g、10℃、12時間の条件下ベックマン超遠心機を用いて第二ショ糖密度勾配超遠心を行い濃縮精製を行った。
【0050】
実施例14 TP47C2NAからTP47C2NA(+)の再構成
実施例12で精製したTP47C2NAのOD260/280nm比は約0.6であった。これに、制限酵素Hae3により十分に切断した子牛胸腺より精製したDNA(シグマ社製)約1.3〜0.7Kbpと、6M尿素、20%ショ糖、1.0M塩化ナトリウムを加え、50mMトリス緩衝液、0.3M塩化ナトリウムに対して4℃の条件下で透析を行い、TP47C2NAからTP47C2NA(+)への再構成を行った。透析後再構成され可溶性となったTP47C2NA(+)を、120NA(+)同様スーパーデックス200ゲル濾過カラム(ファルマシア社製)にて精製し、分子量約700〜1000KD部分にTP47C2NA(+)を回収した。OD260/280nm比は約0.6から約1.8に変化していた。
【0051】
実施例15 プロタミン1結合120(120pro1)発現用形質転換体の構築
配列表の配列番号17に示したマウスプロタミン1をコードするDNA断片を単離した。マウスプロタミン1cDNAを鋳型分子としてPCR法にて増幅した後、制限酵素EcoRIとBamHIで水解した。次いで、1%アガロースゲル電気泳動によりマウスプロタミン1領域を含むDNA断片160bpを分離した。このDNA断片を実施例1で作製したプラスミドpW6AHCVコア120(NheI/EcoRI)のEcoRI−BamHI部位に挿入した後、これを用い大腸菌BL21(DE3)を形質転換させ、マウスプロタミン1結合120(以下、本明細書中では120pro1と記載する)を発現するアンピシリン耐性の形質転換体として、大腸菌BL21(DE3)/pW6AHCVコア120pro1を得た。
【0052】
実施例16 120pro1の精製
参考例2と同様に、大腸菌BL21(DE3)/pW6AHCVコア120pro1をLB培地37℃条件下で培養した。予備培養にて600nmで約0.7の濃度にした後、0.5mM IPTGを添加し発現誘導を行った。2.5時間培養後、遠心を行い大腸菌を回収した。回収した大腸菌に50mMトリス−塩酸緩衝液pH8.0、20%エタノール、0.2M塩化ナトリウム、0.3%OTGを150ml加え、氷冷下で超音波破砕処理を行った。発現した120pro1は、遠心後可溶性及び不溶性画分に回収された。このうち不溶性画分を6M尿素、50mMグリシン−水酸化ナトリウム緩衝液pH11.0で可溶化し、遠心を行い上清画分を回収した。
【0053】
この上清を、6M尿素グリシン−水酸化ナトリウム緩衝液pH11.0で平衡化したSFF陽イオン交換カラムでイオン交換精製した。塩化ナトリウムで溶出したところで、約0.5M塩化ナトリウム溶出画分に120pro1を回収した。次いでこのSFF溶出画分を6M尿素、0.5M塩化ナトリウム、50mMトリス−塩酸緩衝液pH9.6で平衡化したスーパーデックス200ゲル濾過カラム(ファルマシア社製)で精製した。約分子量22KDに精製120pro1を回収した。120pro1の塩基配列及びアミノ酸配列を、配列表の配列番号19及び20に示す。
【0054】
実施例17 120pro1から120pro1(+)の再構成
実施例16で精製した120pro1のOD260/280nm比は、約0.7であった。これに、制限酵素Hae3により十分に切断した子牛胸腺から精製したDNA(シグマ社製)約1.3〜0.7Kbpと、6M尿素、20%ショ糖、1.0M塩化ナトリウムを加え、50mMトリス−塩酸緩衝液、0.3M塩化ナトリウムに対して4℃の条件下で透析を行い、120pro1から120pro1(+)への再構成を行った。透析後再構成され可溶性となった120pro1(+)を、120NA(+)同様スーパーデックス200ゲル濾過カラム(ファルマシア社製)にて精製し、分子量約700〜1000KD部分に120pro1(+)を回収した。OD260/280nm比は約0.7から約1.7に変化していた。
【0055】
【発明の効果】
本発明により、ポリペプチドの抗原性に変化を与えずにポリペプチドの種々の性質を変化させた核酸結合ポリペプチドが初めて提供された。また、本発明により、従来不可能であった免疫測定も可能になった。さらに、本発明により、従来不溶性画分中に回収されていた、遺伝子工学的手法により生産される遺伝子産物を可溶性画分中に回収する方法が初めて提供された。従って、本発明は、遺伝子工学や免疫測定の分野に大いに貢献するものと期待される。
【0056】
【配列表】
Figure 0003613931
【0057】
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【0058】
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【0059】
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【0060】
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【0061】
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【0062】
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【0063】
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【0064】
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【0065】
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【0066】
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【0067】
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【0068】
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【0069】
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【0070】
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【0071】
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【0072】
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【0073】
Figure 0003613931
【0074】
Figure 0003613931
【0075】
Figure 0003613931

【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例においてHCVコアタンパクの発現に用いたクローニングベクターpW6Aの遺伝子地図である。
【図2】本発明の実施例において遺伝子工学的手法により作製したHCVコア蛋白と、HCVコア陽性ヒト血清との反応性を示すウェスタンブロットの結果を示す模式図である。

Claims (1)

  1. ポリペプチドをコードする遺伝子と、核酸結合モチーフをコードする遺伝子との融合遺伝子を遺伝子工学的手法により発現させ、前記ポリペプチドに結合した核酸結合モチーフを介して核酸が結合した核酸結合ポリペプチド生産し、生じた前記核酸結合ポリペプチドを可溶性画分から精製することを特徴とする核酸結合ポリペプチドの生産方法。
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