JP3613269B2 - ノイズイミュニティ評価装置及びノイズイミュニティ評価方法 - Google Patents

ノイズイミュニティ評価装置及びノイズイミュニティ評価方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ノイズイミュニティ評価装置及びノイズイミュニティ評価方法に関し、特に、半導体集積回路デバイスの伝導性ノイズについてのノイズイミュニティ評価装置及びそのノイズイミュニティ評価方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体集積回路デバイスは、その微細化技術の進展により高速化及び低電圧化が実現されたが、電源ラインの外来ノイズに対する耐性即ちノイズイミュニティは、益々低下する傾向にあり、より高度な対策が求められるようになってきている。このため、半導体集積回路デバイスのノイズイミュニティのより客観的な評価が必要となり、既にIEC(International Electrotechnical Commission:国際電気標準会議)を中心にいくつかの手法が検討されている。そのなかで、伝導性ノイズを印加するダイレクト高周波電力注入法(参考文献1;「Direct RF Power Injection to measure the immunity againstconducted RF−disturbances of integrated circuit up to 1 GHz]IEC,47A/625/NP)が注目されている。
【0003】
このダイレクト高周波電力注入法によるノイズイミュニティ評価装置の構成の一例は、図24に示すように、電源110が高周波信号の漏洩を防ぐデカップリング回路109を介して評価用ボード111上に実装された被測定サンプルとしての半導体集積回路デバイス106の電源端子107に供給され、半導体集積回路デバイス106のグラウンド端子108がグラウンドに接続され、評価用ノイズ源としての高周波信号を発生する信号源101の出力が増幅器102により増幅され、方向性結合器103と直流カット用のカップリング容量105とを介して電源端子107に重畳され、方向性結合器103の検出レベルをパワーメータ104によって読み取るようになっている。そして、信号源101の出力をパワーメータ104によりモニタしながら、信号源101の出力を増大させて、半導体集積回路デバイス106が誤動作するポイントの測定を行う。
【0004】
ところで、半導体集積回路デバイスが実際の製品に組み込まれるとき、半導体集積回路デバイスの電源端子には、半導体集積回路デバイスの動作に必要な電荷を高速に供給して電源電圧を安定化するためのデカップリング容量が備えられるのが一般的である。そこで、デカップリング容量が付加された半導体集積回路デバイスのダイレクト高周波電力注入法によるノイズイミュニティ評価装置は、図25に示すように、図24に示す構成に対し、さらにデカップリング容量112が電源端子107とグラウンドとの間に接続される構成となる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、図25に示す従来例のノイズイミュニティ評価装置は、デカップリング容量112の接続点よりも信号源101側に設置された方向性結合器103により、半導体集積回路デバイス106の電源端子107に注入されるパワーレベルをモニタしているため、半導体集積回路デバイス106の周辺部品であるデカップリング容量112の特性の違いによって、パワーメータ104で読み取るパワーレベルと実際に半導体集積回路デバイス106の電源端子107に印加されるパワーレベルとが大きく異なってしまうという問題が発生する。
【0006】
即ち、デカップリング容量112は、一般的には半導体集積回路デバイス106の電源端子107から内部を見込んだ内部容量に比べ十分に大きな値に設定しているのが普通であるため、信号周波数に対するデカップリング容量112のインピーダンスが下がって、信号源101から注入する信号電力の大部分がデカップリング容量112を通してグラウンドに漏れてしまい、半導体集積回路デバイス106の電源端子107から内部にはほとんど信号電力が入らないためである。また、十分な信号電力を半導体集積回路デバイス106の電源端子107に注入しようとすれば、ハイパワーの信号源101及び増幅器102が必要となってしまうという問題も発生する。
【0007】
半導体集積回路デバイスが実際の製品に使用されるとき、デカップリング容量なしでは正常動作しないことも多く、そのためにデカップリング容量を備えることにより外来ノイズを吸収して電源ライン全体のノイズイミュニティを向上させわけであるから、半導体集積回路デバイスのユーザの立場からは、デカップリング容量込みのノイズイミュニティを評価することが必要となる。
【0008】
一方、半導体集積回路デバイスをデザインする立場からは、デカップリング容量にどの程度ノイズが吸収され、半導体集積回路デバイスにどの程度のノイズが注入されるのか、即ち、半導体集積回路デバイス自体のノイズイミュニティを評価することが重要となる。
【0009】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであって、ハイパワーの高周波信号源を必要とすることなく、電源ラインにデカップリング容量を備える半導体集積回路デバイスについて、精度の高いノイズイミュニティ評価を行うことができるノイズイミュニティ評価装置と、そのノイズイミュニティ評価方法とを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明のノイズイミュニティ評価装置は、第1の節点に接続される第1の容量手段と、電源が供給される第2の節点に接続される第2の容量手段と、半導体デバイスの電源端子と前記第1の節点との間を接続する第1の配線と、前記第1の節点と前記第2の節点との間を接続する第2の配線と、前記第2の容量手段を介して信号を注入する信号源と、を備え、前記第1の配線及び前記第2の配線のうちの少なくとも一方が既知の特性インピーダンスを有するマイクロストリップラインを含み、さらに、前記マイクロストリップラインからの信号を検出する検出手段を備えることを特徴とする。
【0011】
また、第1の節点に接続される第1の容量手段と、前記第1の容量手段と直列に接続される抵抗手段と、電源が供給される第2の節点に接続される第2の容量手段と、半導体デバイスの電源端子と前記第1の節点との間を接続する第1の配線と、前記第1の節点と前記第2の節点との間を接続する第2の配線と、前記第2の容量手段を介して信号を注入する信号源と、を備え、前記第1の配線及び前記第2の配線のうちの少なくとも一方が既知の特性インピーダンスを有するマイクロストリップラインを含み、さらに、前記マイクロストリップラインからの信号を検出する検出手段を備えることを特徴とする。
【0012】
また、前記第1の容量手段、前記第2の容量手段及び前記半導体デバイスが評価用ボード上に実装され、前記第1の配線及び前記第2の配線が前記評価用ボードに設けられたプリント配線であることを特徴とする。
【0013】
また、前記第1の容量手段、前記抵抗手段、前記第2の容量手段及び前記半導体デバイスが評価用ボード上に実装され、前記第1の配線及び前記第2の配線が前記評価用ボードに設けられたプリント配線であることを特徴とする。
【0014】
また、前記第1の配線が前記マイクロストリップラインを含むとき、前記検出手段により前記マイクロストリップラインから発生する磁界を検出して前記電源端子に流れ込む電流を求め、又は前記検出手段により前記マイクロストリップラインから発生する電界を検出して前記電源端子に印加される電圧を求め、又は前記検出手段により前記マイクロストリップラインから発生する磁界及び電界を検出して前記電源端子に流れ込む電力を求めることを特徴とする。
【0015】
また、前記第2の配線が前記マイクロストリップラインを含むとき、前記検出手段により前記マイクロストリップラインから発生する磁界を検出して前記電源端子及び前記第1の容量手段に流れ込む電流を求め、又は前記検出手段により前記マイクロストリップラインから発生する電界を検出して前記電源端子及び前記第1の容量手段に印加される電圧を求め、又は前記検出手段により前記マイクロストリップラインから発生する磁界及び電界を検出して前記電源端子及び前記第1の容量手段に流れ込む電力を求めることを特徴とする。
【0016】
さらに、本発明のノイズイミュニティ評価方法は、第1の節点に接続される第1の容量手段と、電源が供給される第2の節点に接続される第2の容量手段と、半導体デバイスの電源端子と前記第1の節点との間を接続する第1の配線と、前記第1の節点と前記第2の節点との間を接続する第2の配線と、前記第2の容量手段を介して信号を注入する信号源と、を備え、前記第1の配線及び前記第2の配線のうちの少なくとも一方が既知の特性インピーダンスを有するマイクロストリップラインを含み、さらに、前記マイクロストリップラインからの信号を検出する検出手段を備えるノイズイミュニティ評価装置におけるノイズイミュニティ評価方法であって、前記信号源の出力レベルを徐々に増加させて、前記半導体デバイスが誤動作する時点での前記検出手段を介して求めた測定量をノイズイミュニティ量とすることを特徴とする。
【0017】
また、第1の節点に接続される第1の容量手段と、前記第1の容量手段と直列に接続される抵抗手段と、電源が供給される第2の節点に接続される第2の容量手段と、半導体デバイスの電源端子と前記第1の節点との間を接続する第1の配線と、前記第1の節点と前記第2の節点との間を接続する第2の配線と、前記第2の容量手段を介して信号を注入する信号源と、を備え、前記第1の配線及び前記第2の配線のうちの少なくとも一方が既知の特性インピーダンスを有するマイクロストリップラインを含み、さらに、前記マイクロストリップラインからの信号を検出する検出手段を備えるノイズイミュニティ評価装置におけるノイズイミュニティ評価方法であって、前記信号源の出力レベルを徐々に増加させて、前記半導体デバイスが誤動作する時点での前記検出手段を介して求めた測定量をノイズイミュニティ量とすることを特徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態のノイズイミュニティ評価装置の構成図である。図1に示すように、本発明の第1の実施の形態のノイズイミュニティ評価装置は、被測定サンプルとしての半導体集積回路デバイス1と、第1の配線としての配線2と、第1の容量手段としてのデカップリング容量3と、第2の配線としての配線4と、デカップリングインダクタ5と、電源6と、第2の容量手段としてのカップリング容量7と、同軸ケーブル8と、信号源10のインピーダンスマッチング用抵抗9と、信号源10と、ケーブル11と、表示器12と、検出手段としての検出プローブ13と、同軸ケーブル14と、レベルメータ15と、検出手段としての検出プローブ16と、同軸ケーブル17と、を備える。
【0019】
また、半導体集積回路デバイス1が電源端子1Vとグラウンド端子1Gとを備える。
【0020】
デカップリング容量3の一端が第1の節点としての節点N1に接続され、デカップリング容量3の他端が基準電位としてのグラウンドに接続される。
【0021】
電源6の高電位側の一端がデカップリングインダクタ5の一端に接続され、電源6の低電位側の他端がグラウンドに接続され、デカップリングインダクタ5の他端が第2の節点としての節点N2に接続されて、電源6が節点N2に供給される。
【0022】
カップリング容量7の一端が節点N2に接続され、カップリング容量7の他端が同軸ケーブル8を介してインピーダンスマッチング用抵抗9の一端に接続され、インピーダンスマッチング用抵抗9の他端が信号源10の出力端に接続され、信号源10の基準端子がグラウンドに接続されて、信号源10がカップリング容量7を介して評価用の高周波信号を注入する。
【0023】
配線2が半導体集積回路デバイス1の電源端子1Vと節点N1との間を接続し、配線2が既知の特性インピーダンスを有するマイクロストリップライン2bを含んで構成され、半導体集積回路デバイス1のグラウンド端子1Gがグラウンドに接続される。
【0024】
配線4が節点N1と節点N2との間を接続し、配線4が既知の特性インピーダンスを有するマイクロストリップライン4bを含んで構成される。
【0025】
マイクロストリップライン2bに非接触で一定の距離だけ離れて配置される検出プローブ13がマイクロストリップライン2bからの信号を検出し、マイクロストリップライン4bに非接触で一定の距離だけ離れて配置される検出プローブ16がマイクロストリップライン4bからの信号を検出する。
【0026】
検出プローブ13による検出信号が同軸ケーブル14を介してレベルメータ15に入力されて、レベルメータ15によりその測定量が求められる。
【0027】
同様に、検出プローブ16による検出信号が同軸ケーブル17を介してレベルメータ15に入力されて、レベルメータ15によりその測定量が求められる。
【0028】
半導体集積回路デバイス1にはケーブル11を介して半導体集積回路デバイス1の動作状態を表示する表示器12が接続される。半導体集積回路デバイス1はCPUブロック等の制御回路を内蔵するので、表示器12の構成としては、例えば、正常動作中は緑LEDランプが点灯され、異常が発生したときに赤LEDランプが点灯されるようにしておいてもよいし、液晶パネルに正常動作中であること又は異常発生したことがメッセージで表示されるようにしておいてもよい。その他、正常動作中と異常発生時とを区別して認識できるような構成であれば何でもかまわない。
【0029】
さらに、本発明の第1の実施の形態のノイズイミュニティ評価装置の具体的な構成について、図2、図3、図4及び図5を参照して説明する。
【0030】
図2は、図1に示すノイズイミュニティ評価装置の斜視図であり、図3は、図2に示す評価用ボードの平面図であり、図4及び図5は、図1に示すマイクロストリップラインと検出プローブとの位置関係の説明図である。
【0031】
図2に示すように、誘電体材料からなる評価用ボード31の一方の表面には導体層であるグラウンドプレーン32が設けられて基準電位面をなし、他方の表面上には、配線2としてのプリント配線2aと、配線4としてのプリント配線4aと、プリント配線2aの一端をなす接続パッド18と、ヴィアホール20によりグラウンドプレーン32に接続される接続パッド19と、プリント配線2aの他端及びプリント配線4aの一端をなす接続パッド21と、ヴィアホール23によりグラウンドプレーン32に接続される接続パッド22と、プリント配線4aの他端をなす接続パッド24と、給電用の接続パッド25と、ヴィアホール27によりグラウンドプレーン32に接続される給電用の接続パッド26と、信号注入用の接続パッド28と、ヴィアホール30によりグラウンドプレーン32に接続される信号注入用の接続パッド29と、が設けられる。
【0032】
ここで、接続パッド21が図1に示す節点N1に対応し、接続パッド24が図1に示す節点N2に対応する。
【0033】
そして、デカップリング容量3としてのキャパシタ3aが接続パッド21と接続パッド22との間にソルダリングにより実装され、カップリング容量7としてのキャパシタ7aが接続パッド24と接続パッド28との間にソルダリングにより実装され、デカップリングインダクタ5としてのインダクタ5aが接続パッド24と接続パッド25との間にソルダリングにより実装され、半導体集積回路デバイス1の電源端子1Vが接続パッド18にソルダリングされ、グラウンド端子1Gが接続パッド19にソルダリングされて実装される、
評価用ボード31の外部からは、電源6の高電位側の一端が接続パッド25に接続され、電源6の低電位側の他端が接続パッド26に接続される。
【0034】
また、信号源10の出力端がインピーダンスマッチング用抵抗9を介して、さらに同軸ケーブル8の内部導体8Sを経由して接続パッド28に接続され、信号源10の基準端子が同軸ケーブル8の外部導体8Gを経由して接続パッド29に接続され、グラウンドの安定化のために信号源10の基準端子が接続パッド26にも接続される。
【0035】
そして、図3に示すように、プリント配線2a及びプリント配線4aの幅を両者とも等しくdとする。
【0036】
また、図4はマイクロストリップライン2bのライン長方向を見込んだ断面と検出プローブ13との位置関係を示しているが、評価用ボード31を挟んで対向するプリント配線2aとグラウンドプレーン32とによりマイクロストリップライン2bが構成され、その対向間隔である評価用ボード31の厚さをhとすれば、評価用ボード31の比誘電率を4.7(FR−4タイプのガラスエポキシボードの場合)とし、厚さhを0.6mmとし、幅dを1mmとして、約50オームの特性インピーダンスとしている。
【0037】
そして、検出プローブ13がマイクロストリップライン2bの信号ラインであるプリント配線2aに対し非接触で上方に一定の距離だけ離れて配置される。このとき、検出プローブ13とプリント配線2a即ちマイクロストリップライン2bとが垂直に配置されることが好ましい。
【0038】
また、図5はマイクロストリップライン4bのライン長方向を見込んだ断面と検出プローブ16との位置関係を示しているが、評価用ボード31を挟んで対向するプリント配線4aとグラウンドプレーン32とによりマイクロストリップライン4bが構成され、マイクロストリップライン2bと同様に、評価用ボード31の比誘電率を4.7とし、厚さhを0.6mmとし、幅dを1mmとして、約50オームの特性インピーダンスを実現することができ、約50オームの特性インピーダンスを有する同軸ケーブル8とインピーダンスがマッチングされる。
【0039】
検出プローブ16がマイクロストリップライン4bの信号ラインであるプリント配線4aに対し非接触で上方に一定の距離だけ離れて配置される。このとき、検出プローブ16とプリント配線4a即ちマイクロストリップライン4bとが垂直に配置されることが好ましい。
【0040】
検出プローブ13として、マイクロストリップライン2bからの磁界を検出するときには、例えば日本電気製のCP−2S型非接触形微小磁界プローブを適用することができ、また、マイクロストリップライン2bからの電界を検出するときには、例えば安藤電気製のAQ7710型非接触形EOプローブを適用することができる。
【0041】
このとき、マイクロストリップライン2bのライン長即ちプリント配線2aの配線長は3mmから5mm程度で十分である。
【0042】
そして、マイクロストリップライン2bと同一構造による同一特性インピーダンスを有する校正用マイクロストリップラインを別に用意して、実際の測定前に検出プローブ13及びレベルメータ15の校正を行っておくことにより、検出プローブ13により検出したマイクロストリップライン2bからの磁界レベルを精度よくレベルメータ15によりマイクロストリップライン2bに流れる電流値に換算して読み取ることができ、或いは、検出プローブ13により検出したマイクロストリップライン2bからの電界レベルを精度よくレベルメータ15によりマイクロストリップライン2bに印加される電圧値に換算して読み取ることができる。
【0043】
また、上記のような磁界プローブ及び電界プローブを両方適用して、マイクロストリップライン2bからの磁界レベル及び電界レベルを同時に検出し、精度よくレベルメータ15によりその電流値及び電圧値を乗算して電力を求めることもできる。また、磁界及び電界を同時に検出できる複合形の非接触形プローブを適用しても電力を求めることができる。
【0044】
検出プローブ16についても検出プローブ13と同じ磁界プローブ及び電界プローブを適用する。
【0045】
このとき、マイクロストリップライン4bのライン長即ちプリント配線4aの配線長は3mmから5mm程度で十分である。
【0046】
そして、マイクロストリップライン4bと同一構造による同一特性インピーダンスを有する校正用マイクロストリップラインを別に用意して、実際の測定前に検出プローブ16及びレベルメータ15の校正を行っておくことにより、検出プローブ16により検出したマイクロストリップライン4bからの磁界レベルを精度よくレベルメータ15によりマイクロストリップライン4bに流れる電流値に換算して読み取ることができ、或いは、検出プローブ16により検出したマイクロストリップライン4bからの電界レベルを精度よくレベルメータ15によりマイクロストリップライン4bに印加される電圧値に換算して読み取ることができる。
【0047】
また、上記のような磁界プローブ及び電界プローブを両方適用して、マイクロストリップライン4bからの磁界レベル及び電界レベルを同時に検出し、精度よくレベルメータ15によりその電流値及び電圧値を乗算して電力を求めることもできる。また、磁界及び電界を同時に検出できる複合形の非接触形プローブを適用しても電力を求めることができる。
【0048】
以上の説明では、検出プローブ13及び検出プローブ16の具体例として上記の2つを挙げたが、校正可能な非接触形プローブであれば他のものであっても差し支えない。
【0049】
また、本実施の形態では、最も精度と作業効率が良くなるように、レベルメータ15が2チャネル入力形であって、検出プローブ13及び検出プローブ16の検出信号が同時に入力されるように構成したが、レベルメータ15を1チャネル入力形として、検出プローブ13及び検出プローブ16の検出信号が切り替えられて入力されるように構成しても良いし、或いは、レベルメータ15を1チャネル入力形として、検出プローブ13及び検出プローブ16の一方のみを用いて2箇所の測定を行う構成にしてもかまわない。
【0050】
次に、図1を参照して、動作及及びノイズイミュニティ評価方法について説明する。
【0051】
先ず、電源6を投入すると、被測定サンプルとしての半導体集積回路デバイス1が正常動作を開始する。半導体集積回路デバイス1が表示器12に対し正常に動作していることを表示する。
【0052】
次に、信号源10の出力パワーレベルを十分小さく設定した上で、評価したい周波数の高周波信号を注入する。
【0053】
電源系の給電点である節点N2に高周波信号が注入されると、デカップリングインダクタ5によって高周波信号の電源6への流入が阻止され、高周波信号が配線4に注入され、マイクロストリップライン4bを通過してデカップリング容量3の接続点である節点N1に到達し、節点N1に到達した高周波信号の一部がデカップリング容量3を介してグラウンドに流れ、節点N1に到達した高周波信号の残りの一部が配線2に注入され、マイクロストリップライン2bを通過して半導体集積回路デバイス1の電源端子1Vに注入される。
【0054】
そして、検出プローブ13によりマイクロストリップライン2bから発生する磁界を検出してレベルメータ15により電源端子1Vに流れ込む電流を求める。又は、検出プローブ13によりマイクロストリップライン2bから発生する電界を検出してレベルメータ15により電源端子1Vに印加される電圧を求める。又は、検出プローブ13によりマイクロストリップライン2bから発生する磁界及び電界を検出してレベルメータ15により電源端子1Vに流れ込む電力を求める。
【0055】
同様に、検出プローブ16によりマイクロストリップライン4bから発生する磁界を検出してレベルメータ15により電源端子1V及びデカップリング容量3に流れ込む電流を求める。又は、検出プローブ16によりマイクロストリップライン4bから発生する電界を検出してレベルメータ15により電源端子1V及びデカップリング容量3に印加される電圧を求める。又は、検出プローブ16によりマイクロストリップライン4bから発生する磁界及び電界を検出してレベルメータ15により電源端子1V及びデカップリング容量3に流れ込む電力を求める。
【0056】
このとき、表示器12の表示によって、半導体集積回路デバイス1の動作を確認する。
【0057】
次に、信号源10の出力レベルを徐々に増加させて、半導体集積回路デバイス1の動作を確認しながら上記測定を繰り返し、半導体集積回路デバイス1の誤動作による異常が発生した時点での測定量、即ち上記電流値、又は電圧値、又は電力値を、半導体集積回路デバイス1のノイズイミュニティ量とする。
【0058】
以上説明したように、本発明の第1の実施の形態のノイズイミュニティ評価装置によれば、デカップリング容量3と半導体集積回路デバイス1の電源端子1Vとの間の配線2が信号検出用のマイクロストリップライン2bを備え、さらに、デカップリング容量3と電源給電点との間の配線4が信号検出用のマイクロストリップライン4bを備える構成としたので、マイクロストリップライン2bに対する測定により半導体集積回路デバイス1の電源端子1Vに流れ込む電流と、電源端子1Vに印加される電圧と、電源端子1Vに流れ込む電力と、を求めることでデザイン側が必要とする半導体集積回路デバイス1自体のノイズイミュニティを確認することができ、同時に、マイクロストリップライン4bに対する測定により半導体集積回路デバイス1の電源端子1V及びデカップリング容量3に流れ込む電流と、電源端子1V及びデカップリング容量3に印加される電圧と、電源端子1V及びデカップリング容量3に流れ込む電力と、を求めることでユーザ側が必要とするデカップリング容量3込みの半導体集積回路デバイス1のノイズイミュニティを確認することができ、精度のよいノイズイミュニティ評価を行うことが可能となるという効果が得られる。
【0059】
次に、図6は、本発明の第2の実施の形態のノイズイミュニティ評価装置の構成図である。図6に示すように、本発明の第2の実施の形態のノイズイミュニティ評価装置は、被測定サンプルとしての半導体集積回路デバイス1と、第1の配線としての配線2と、第1の容量手段としてのデカップリング容量3と、第2の配線としての配線4と、デカップリングインダクタ5と、電源6と、第2の容量手段としてのカップリング容量7と、同軸ケーブル8と、信号源10のインピーダンスマッチング用抵抗9と、信号源10と、ケーブル11と、表示器12と、検出手段としての検出プローブ13と、同軸ケーブル14と、レベルメータ15と、を備える。
【0060】
また、半導体集積回路デバイス1が電源端子1Vとグラウンド端子1Gとを備える。
【0061】
デカップリング容量3の一端が第1の節点としての節点N1に接続され、デカップリング容量3の他端が基準電位としてのグラウンドに接続される。
【0062】
電源6の高電位側の一端がデカップリングインダクタ5の一端に接続され、電源6の低電位側の他端がグラウンドに接続され、デカップリングインダクタ5の他端が第2の節点としての節点N2に接続されて、電源6が節点N2に供給される。
【0063】
カップリング容量7の一端が節点N2に接続され、カップリング容量7の他端が同軸ケーブル8を介してインピーダンスマッチング用抵抗9の一端に接続され、インピーダンスマッチング用抵抗9の他端が信号源10の出力端に接続され、信号源10の基準端子がグラウンドに接続されて、信号源10がカップリング容量7を介して評価用の高周波信号を注入する。
【0064】
配線2が半導体集積回路デバイス1の電源端子1Vと節点N1との間を接続し、配線2が既知の特性インピーダンスを有するマイクロストリップライン2bを含んで構成され、半導体集積回路デバイス1のグラウンド端子1Gがグラウンドに接続される。
【0065】
配線4が節点N1と節点N2との間を接続する。
【0066】
マイクロストリップライン2bに非接触で一定の距離だけ離れて配置される検出プローブ13がマイクロストリップライン2bからの信号を検出する。
【0067】
検出プローブ13による検出信号が同軸ケーブル14を介してレベルメータ15に入力されて、レベルメータ15によりその測定量が求められる。
【0068】
そして、半導体集積回路デバイス1にはケーブル11を介して半導体集積回路デバイス1の動作状態を表示する表示器12が接続される。
【0069】
さらに、本発明の第2の実施の形態のノイズイミュニティ評価装置の具体的な構成について、図7及び図8を参照して説明する。
【0070】
図7は、図6に示すノイズイミュニティ評価装置の斜視図であり、図8は、図7に示す評価用ボードの平面図である。
【0071】
図7に示すように、誘電体材料からなる評価用ボード31の一方の表面には導体層であるグラウンドプレーン32が設けられて基準電位面をなし、他方の表面上には、配線2としてのプリント配線2aと、プリント配線2aの一端をなす接続パッド18と、ヴィアホール20によりグラウンドプレーン32に接続される接続パッド19と、プリント配線2aの他端及び配線4をなす接続パッド33と、ヴィアホール23によりグラウンドプレーン32に接続される接続パッド22と、給電用の接続パッド25と、ヴィアホール27によりグラウンドプレーン32に接続される給電用の接続パッド26と、信号注入用の接続パッド28と、ヴィアホール30によりグラウンドプレーン32に接続される信号注入用の接続パッド29と、が設けられる。
【0072】
ここで、接続パッド33が図6に示す節点N1及び節点N2に対応する。
【0073】
そして、デカップリング容量3としてのキャパシタ3aが接続パッド33と接続パッド22との間にソルダリングにより実装され、カップリング容量7としてのキャパシタ7aが接続パッド33と接続パッド28との間にソルダリングにより実装され、デカップリングインダクタ5としてのインダクタ5aが接続パッド33と接続パッド25との間にソルダリングにより実装され、半導体集積回路デバイス1の電源端子1Vが接続パッド18にソルダリングされ、グラウンド端子1Gが接続パッド19にソルダリングされて実装される。
【0074】
評価用ボード31の外部からは、電源6の高電位側の一端が接続パッド25に接続され、電源6の低電位側の他端が接続パッド26に接続される。
【0075】
また、信号源10の出力端がインピーダンスマッチング用抵抗9を介して、さらに同軸ケーブル8の内部導体8Sを経由して接続パッド28に接続され、信号源10の基準端子が同軸ケーブル8の外部導体8Gを経由して接続パッド29に接続され、グラウンドの安定化のために信号源10の基準端子が接続パッド26にも接続される。
【0076】
そして、図8に示すように、プリント配線2aの幅をdとし、マイクロストリップライン2bのライン長方向を見込んだ断面と検出プローブ13との位置関係については、図4に示すように、検出プローブ13がマイクロストリップライン2bの信号ラインであるプリント配線2aに対し非接触で上方に一定の距離だけ離れて配置される。
【0077】
上述したように、図6に示す本発明の第2の実施の形態のノイズイミュニティ評価装置の構成と図1に示す本発明の第1の実施の形態のノイズイミュニティ評価装置の構成との相違部分は、図1に示す構成からマイクロストリップライン4bと、検出プローブ16と、同軸ケーブル17と、を除いた部分のみであり、そのため、図2に示す接続パッド21と、プリント配線4aと、接続パッド24と、が削除され、図7に示すように接続パッド33が追加されている。他の構成部分は同一であるため、図6、図7及び図8と、図1、図2及び図3と、の同一構成部分には同一符号を付して、その説明を省略する。
【0078】
また、動作及びノイズイミュニティ評価方法についても、本発明の第1の実施の形態のノイズイミュニティ評価装置と同様である。
【0079】
以上説明したように、本発明の第2の実施の形態のノイズイミュニティ評価装置によれば、本発明の第1の実施の形態のノイズイミュニティ評価装置と同様に、マイクロストリップライン2bに対する測定により半導体集積回路デバイス1の電源端子1Vに流れ込む電流と、電源端子1Vに印加される電圧と、電源端子1Vに流れ込む電力と、を求めることでデザイン側が必要とする半導体集積回路デバイス1自体のノイズイミュニティを確認することができ、精度のよいノイズイミュニティ評価を行うことが可能となるという効果が得られる。
【0080】
次に、図9は、本発明の第3の実施の形態のノイズイミュニティ評価装置の構成図である。図9に示すように、本発明の第3の実施の形態のノイズイミュニティ評価装置は、被測定サンプルとしての半導体集積回路デバイス1と、第1の配線としての配線2と、第1の容量手段としてのデカップリング容量3と、抵抗手段としての抵抗34と、第2の配線としての配線4と、デカップリングインダクタ5と、電源6と、第2の容量手段としてのカップリング容量7と、同軸ケーブル8と、信号源10のインピーダンスマッチング用抵抗9と、信号源10と、ケーブル11と、表示器12と、検出手段としての検出プローブ13と、同軸ケーブル14と、レベルメータ15と、検出手段としての検出プローブ16と、同軸ケーブル17と、を備える。
【0081】
また、半導体集積回路デバイス1が電源端子1Vとグラウンド端子1Gとを備える。
【0082】
デカップリング容量3の一端が第1の節点としての節点N1に接続され、デカップリング容量3の他端が抵抗34の一端に接続され、抵抗34の他端が基準電位としてのグラウンドに接続される。このように、抵抗34がデカップリング容量3に対し直列に接続される。
【0083】
電源6の高電位側の一端がデカップリングインダクタ5の一端に接続され、電源6の低電位側の他端がグラウンドに接続され、デカップリングインダクタ5の他端が第2の節点としての節点N2に接続されて、電源6が節点N2に供給される。
【0084】
カップリング容量7の一端が節点N2に接続され、カップリング容量7の他端が同軸ケーブル8を介してインピーダンスマッチング用抵抗9の一端に接続され、インピーダンスマッチング用抵抗9の他端が信号源10の出力端に接続され、信号源10の基準端子がグラウンドに接続されて、信号源10がカップリング容量7を介して評価用の高周波信号を注入する。
【0085】
配線2が半導体集積回路デバイス1の電源端子1Vと節点N1との間を接続し、配線2が既知の特性インピーダンスを有するマイクロストリップライン2bを含んで構成され、半導体集積回路デバイス1のグラウンド端子1Gがグラウンドに接続される。
【0086】
配線4が節点N1と節点N2との間を接続し、配線4が既知の特性インピーダンスを有するマイクロストリップライン4bを含んで構成される。
【0087】
マイクロストリップライン2bに非接触で一定の距離だけ離れて配置される検出プローブ13がマイクロストリップライン2bからの信号を検出し、マイクロストリップライン4bに非接触で一定の距離だけ離れて配置される検出プローブ16がマイクロストリップライン4bからの信号を検出する。
【0088】
検出プローブ13による検出信号が同軸ケーブル14を介してレベルメータ15に入力されて、レベルメータ15によりその測定量が求められる。
【0089】
同様に、検出プローブ16による検出信号が同軸ケーブル17を介してレベルメータ15に入力されて、レベルメータ15によりその測定量が求められる。
【0090】
半導体集積回路デバイス1にはケーブル11を介して半導体集積回路デバイス1の動作状態を表示する表示器12が接続される。
【0091】
さらに、本発明の第3の実施の形態のノイズイミュニティ評価装置の具体的な構成について、図10及び図11を参照して説明する。
【0092】
図10は、図9に示すノイズイミュニティ評価装置の斜視図であり、図11は、図10に示す評価用ボードの平面図である。
【0093】
図10に示すように、誘電体材料からなる評価用ボード31の一方の表面には導体層であるグラウンドプレーン32が設けられて基準電位面をなし、他方の表面上には、配線2としてのプリント配線2aと、配線4としてのプリント配線4aと、プリント配線2aの一端をなす接続パッド18と、ヴィアホール20によりグラウンドプレーン32に接続される接続パッド19と、プリント配線2aの他端及びプリント配線4aの一端をなす接続パッド21と、接続パッド35と、ヴィアホール37によりグラウンドプレーン32に接続される接続パッド36と、プリント配線4aの他端をなす接続パッド24と、給電用の接続パッド25と、ヴィアホール27によりグラウンドプレーン32に接続される給電用の接続パッド26と、信号注入用の接続パッド28と、ヴィアホール30によりグラウンドプレーン32に接続される信号注入用の接続パッド29と、が設けられる。
【0094】
ここで、接続パッド21が図9に示す節点N1に対応し、接続パッド24が図9に示す節点N2に対応する。
【0095】
そして、デカップリング容量3としてのキャパシタ3aが接続パッド21と接続パッド35との間にソルダリングにより実装され、抵抗34としての抵抗器34aが接続パッド35と接続パッド36との間にソルダリングにより実装され、カップリング容量7としてのキャパシタ7aが接続パッド24と接続パッド28との間にソルダリングにより実装され、デカップリングインダクタ5としてのインダクタ5aが接続パッド24と接続パッド25との間にソルダリングにより実装され、半導体集積回路デバイス1の電源端子1Vが接続パッド18にソルダリングされ、グラウンド端子1Gが接続パッド19にソルダリングされて実装される。
【0096】
評価用ボード31の外部からは、電源6の高電位側の一端が接続パッド25に接続され、電源6の低電位側の他端が接続パッド26に接続される。
【0097】
また、信号源10の出力端がインピーダンスマッチング用抵抗9を介して、さらに同軸ケーブル8の内部導体8Sを経由して接続パッド28に接続され、信号源10の基準端子が同軸ケーブル8の外部導体8Gを経由して接続パッド29に接続され、グラウンドの安定化のために信号源10の基準端子が接続パッド26にも接続される。
【0098】
そして、図11に示すように、プリント配線2a及びプリント配線4aの幅を両者とも等しくdとし、マイクロストリップライン2bのライン長方向を見込んだ断面と検出プローブ13との位置関係については、図4に示すように、検出プローブ13がマイクロストリップライン2bの信号ラインであるプリント配線2aに対し非接触で上方に一定の距離だけ離れて配置され、マイクロストリップライン4bのライン長方向を見込んだ断面と検出プローブ16との位置関係については、図5に示すように、検出プローブ16がマイクロストリップライン4bの信号ラインであるプリント配線4aに対し非接触で上方に一定の距離だけ離れて配置される。
【0099】
上述したように、図9に示す本発明の第3の実施の形態のノイズイミュニティ評価装置の構成と図1に示す本発明の第1の実施の形態のノイズイミュニティ評価装置の構成との相違部分は、図1に示す構成に対し抵抗34を追加した部分のみであり、そのため、図2に示す接続パッド22と、ヴィアホール23と、が削除され、図10に示すように抵抗器34aと、接続パッド35と、接続パッド36と、ヴィアホール37と、が追加されている。他の構成部分は同一であるため、図9、図10及び図11と、図1、図2及び図3と、の同一構成部分には同一符号を付して、その説明を省略する。
【0100】
また、動作及びノイズイミュニティ評価方法についても、本発明の第1の実施の形態のノイズイミュニティ評価装置と同様である。
【0101】
図1に示す本発明の第1の実施の形態のノイズイミュニティ評価装置では、一般的に、デカップリング容量3の容量値が半導体集積回路デバイス1の電源端子1Vから内部を見込んだ容量値よりも数桁大きく、しかも、図2に示すデカップリング容量3としてのキャパシタ3aがセラミックのチップ部品であるとき、低周波数では容量として動作するが、ある周波数以上ではインダクタンスとして動作して、その共振周波数である10数MHz付近においてインピーダンスが極小となることから、配線2により半導体集積回路デバイス1自体のノイズイミュニティを測定するとき、共振周波数付近では半導体集積回路デバイス1の電源端子1Vに流れ込む電流よりデカップリング容量3に流れ込む電流の方が大きくなり、電源端子1Vに流れ込む電流の方が小さくなって測定精度が低下する。
【0102】
例えば、デカップリングインダクタ5のインピーダンスを無限大とし、カップリング容量7のインピーダンスを0とし、同軸ケーブル8を無視すれば、キャパシタ3aの共振周波数における半導体集積回路デバイス1の電源端子1Vの印加電圧は、キャパシタ3aの共振周波数におけるインピーダンス値約50mΩとインピーダンスマッチング用抵抗9の抵抗値50Ωとの比で決まるので、約1mVとなって、信号源10の出力電圧が半導体集積回路デバイス1の電源端子1Vにおいては1000分の1に減少してしまう。
【0103】
一方、電源端子1Vに大きな電圧を発生させようとすれば、信号源10としてさらに大きな出力電圧が必要となる。
【0104】
そのために、本実施の形態のノイズイミュニティ評価装置では、効率の良い高周波信号の注入を行うとともに、デカップリング容量3の影響を低減して半導体集積回路デバイス1自体の測定精度を向上させるため、デカップリング容量3と直列に抵抗34が接続される。
【0105】
次に、本実施の形態による効果について説明する。図12は、半導体集積回路デバイス1の電源端子1Vから内部を見込んだ容量値を2000pFとし、デカップリング容量3の容量値を一般的な値として0.1μFとしたときの、電源端子1Vの電圧特性を示している。ここでは、半導体集積回路デバイス1の内部抵抗を1Ωとし、インダクタンス成分を1nHとし、信号源10の出力電圧を1ボルトとしている。
【0106】
抵抗34の抵抗値Rが0Ωのとき、共振周波数付近ではデカップリング容量3の特性により半導体集積回路デバイス1の特性がマスクされているが、抵抗34の抵抗値Rを増やして10Ωとすると、半導体集積回路デバイス1を外した状態では、この抵抗値10Ωとインピーダンスマッチング用抵抗9の抵抗値50Ωとの比により、最大で信号源10の出力電圧の6分の1程度が半導体集積回路デバイス1の電源端子1Vに印加され、100kHzから1GHzまでの信号周波数に対し、電源端子1Vへの印加電圧として0.1V以上が得られることがわかる。
【0107】
したがって、半導体集積回路デバイス1が接続された状態でも、デカップリング容量3による電圧低下の影響を低減して、半導体集積回路デバイス1自体のノイズイミュニティの測定精度を向上することができる。
【0108】
また、図13は、半導体集積回路デバイス1の電源端子1Vへの印加電圧を1Vとしたとき、必要な信号源10の出力電圧を示している。抵抗34の抵抗値Rが大きいほど信号源10の出力電圧は低くてすむことがわかり、信号源10を小型化することができる。
【0109】
しかも、抵抗34の抵抗値Rが大きいほど平坦部分の周波数帯域が広くなるので、より安定した高周波信号の印加が可能になる。
【0110】
仮に50W出力程度の信号源10を用いた場合でも、抵抗34の抵抗値Rが10Ωであるならば、最大数Vの印加電圧が得られるので、数kWクラスの大型信号源を必要とせず、卓上で簡便で効率的なノイズイミュニティ評価が可能となる。
【0111】
以上説明したように、本発明の第3の実施の形態のノイズイミュニティ評価装置によれば、本発明の第1の実施の形態のノイズイミュニティ評価装置が有する効果に加え、効率の良い高周波信号の注入を行うことができ、デカップリング容量3の影響を低減して半導体集積回路デバイス1自体のノイズイミュニティの測定精度を向上させることができるという効果が得られる。
【0112】
次に、図14は、本発明の第4の実施の形態のノイズイミュニティ評価装置の構成図である。図14に示すように、本発明の第4の実施の形態のノイズイミュニティ評価装置は、被測定サンプルとしての半導体集積回路デバイス1と、第1の配線としての配線2と、第1の容量手段としてのデカップリング容量3と、抵抗手段としての抵抗34と、第2の配線としての配線4と、デカップリングインダクタ5と、電源6と、第2の容量手段としてのカップリング容量7と、同軸ケーブル8と、信号源10のインピーダンスマッチング用抵抗9と、信号源10と、ケーブル11と、表示器12と、検出手段としての検出プローブ13と、同軸ケーブル14と、レベルメータ15と、を備える。
【0113】
また、半導体集積回路デバイス1が電源端子1Vとグラウンド端子1Gとを備える。
【0114】
デカップリング容量3の一端が第1の節点としての節点N1に接続され、デカップリング容量3の他端が抵抗34の一端に接続され、抵抗34の他端が基準電位としてのグラウンドに接続される。このように、抵抗34がデカップリング容量3に対し直列に接続される。
【0115】
電源6の高電位側の一端がデカップリングインダクタ5の一端に接続され、電源6の低電位側の他端がグラウンドに接続され、デカップリングインダクタ5の他端が第2の節点としての節点N2に接続されて、電源6が節点N2に供給される。
【0116】
カップリング容量7の一端が節点N2に接続され、カップリング容量7の他端が同軸ケーブル8を介してインピーダンスマッチング用抵抗9の一端に接続され、インピーダンスマッチング用抵抗9の他端が信号源10の出力端に接続され、信号源10の基準端子がグラウンドに接続されて、信号源10がカップリング容量7を介して評価用の高周波信号を注入する。
【0117】
配線2が半導体集積回路デバイス1の電源端子1Vと節点N1との間を接続し、配線2が既知の特性インピーダンスを有するマイクロストリップライン2bを含んで構成され、半導体集積回路デバイス1のグラウンド端子1Gがグラウンドに接続される。
【0118】
配線4が節点N1と節点N2との間を接続する。
【0119】
マイクロストリップライン2bに非接触で一定の距離だけ離れて配置される検出プローブ13がマイクロストリップライン2bからの信号を検出する。
【0120】
検出プローブ13による検出信号が同軸ケーブル14を介してレベルメータ15に入力されて、レベルメータ15によりその測定量が求められる。
【0121】
そして、半導体集積回路デバイス1にはケーブル11を介して半導体集積回路デバイス1の動作状態を表示する表示器12が接続される。
【0122】
さらに、本発明の第4の実施の形態のノイズイミュニティ評価装置の具体的な構成について、図15及び図16を参照して説明する。
【0123】
図15は、図14に示すノイズイミュニティ評価装置の斜視図であり、図16は、図15に示す評価用ボードの平面図である。
【0124】
図15に示すように、誘電体材料からなる評価用ボード31の一方の表面には導体層であるグラウンドプレーン32が設けられて基準電位面をなし、他方の表面上には、配線2としてのプリント配線2aと、プリント配線2aの一端をなす接続パッド18と、ヴィアホール20によりグラウンドプレーン32に接続される接続パッド19と、プリント配線2aの他端及び配線4をなす接続パッド33と、接続パッド35と、ヴィアホール37によりグラウンドプレーン32に接続される接続パッド36と、給電用の接続パッド25と、ヴィアホール27によりグラウンドプレーン32に接続される給電用の接続パッド26と、信号注入用の接続パッド28と、ヴィアホール30によりグラウンドプレーン32に接続される信号注入用の接続パッド29と、が設けられる。
【0125】
ここで、接続パッド33が図14に示す節点N1及び節点N2に対応する。
【0126】
そして、デカップリング容量3としてのキャパシタ3aが接続パッド33と接続パッド35との間にソルダリングにより実装され、抵抗34としての抵抗器34aが接続パッド35と接続パッド36との間にソルダリングにより実装され、カップリング容量7としてのキャパシタ7aが接続パッド33と接続パッド28との間にソルダリングにより実装され、デカップリングインダクタ5としてのインダクタ5aが接続パッド33と接続パッド25との間にソルダリングにより実装され、半導体集積回路デバイス1の電源端子1Vが接続パッド18にソルダリングされ、グラウンド端子1Gが接続パッド19にソルダリングされて実装される。
【0127】
評価用ボード31の外部からは、電源6の高電位側の一端が接続パッド25に接続され、電源6の低電位側の他端が接続パッド26に接続される。
【0128】
また、信号源10の出力端がインピーダンスマッチング用抵抗9を介して、さらに同軸ケーブル8の内部導体8Sを経由して接続パッド28に接続され、信号源10の基準端子が同軸ケーブル8の外部導体8Gを経由して接続パッド29に接続され、グラウンドの安定化のために信号源10の基準端子が接続パッド26にも接続される。
【0129】
そして、図16に示すように、プリント配線2aの幅をdとし、マイクロストリップライン2bのライン長方向を見込んだ断面と検出プローブ13との位置関係については、図4に示すように、検出プローブ13がマイクロストリップライン2bの信号ラインであるプリント配線2aに対し非接触で上方に一定の距離だけ離れて配置される。
【0130】
上述したように、図14に示す本発明の第4の実施の形態のノイズイミュニティ評価装置の構成と図6に示す本発明の第2の実施の形態のノイズイミュニティ評価装置の構成との相違部分は、図6に示す構成に対し抵抗34を追加した部分のみであり、そのため、図7に示す接続パッド22と、ヴィアホール23と、が削除され、図15に示すように抵抗器34aと、接続パッド35と、接続パッド36と、ヴィアホール37と、が追加されている。他の構成部分は同一であるため、図14、図15及び図16と、図6、図7及び図8と、の同一構成部分には同一符号を付して、その説明を省略する。
【0131】
また、動作及びノイズイミュニティ評価方法についても、本発明の第1の実施の形態のノイズイミュニティ評価装置と同様である。
【0132】
以上説明したように、本発明の第4の実施の形態のノイズイミュニティ評価装置によれば、本発明の第2の実施の形態のノイズイミュニティ評価装置が有する効果に加え、効率の良い高周波信号の注入を行うことができ、デカップリング容量3の影響を低減して半導体集積回路デバイス1自体のノイズイミュニティの測定精度を向上させることができるという効果が得られる。
【0133】
次に、図17は、本発明の第5の実施の形態のノイズイミュニティ評価装置の構成図である。図17に示すように、本発明の第5の実施の形態のノイズイミュニティ評価装置は、被測定サンプルとしての半導体集積回路デバイス1と、第1の配線としての配線2と、第1の容量手段としてのデカップリング容量3と、第2の配線としての配線4と、デカップリングインダクタ5と、電源6と、第2の容量手段としてのカップリング容量7と、同軸ケーブル8と、信号源10のインピーダンスマッチング用抵抗9と、信号源10と、ケーブル11と、表示器12と、検出手段としての検出プローブ16と、同軸ケーブル17と、レベルメータ15と、を備える。
【0134】
また、半導体集積回路デバイス1が電源端子1Vとグラウンド端子1Gとを備える。
【0135】
デカップリング容量3の一端が第1の節点としての節点N1に接続され、デカップリング容量3の他端が基準電位としてのグラウンドに接続される。
【0136】
電源6の高電位側の一端がデカップリングインダクタ5の一端に接続され、電源6の低電位側の他端がグラウンドに接続され、デカップリングインダクタ5の他端が第2の節点としての節点N2に接続されて、電源6が節点N2に供給される。
【0137】
カップリング容量7の一端が節点N2に接続され、カップリング容量7の他端が同軸ケーブル8を介してインピーダンスマッチング用抵抗9の一端に接続され、インピーダンスマッチング用抵抗9の他端が信号源10の出力端に接続され、信号源10の基準端子がグラウンドに接続されて、信号源10がカップリング容量7を介して評価用の高周波信号を注入する。
【0138】
配線2が半導体集積回路デバイス1の電源端子1Vと節点N1との間を接続し、半導体集積回路デバイス1のグラウンド端子1Gがグラウンドに接続される。
【0139】
配線4が節点N1と節点N2との間を接続し、配線4が既知の特性インピーダンスを有するマイクロストリップライン4bを含んで構成される。
【0140】
マイクロストリップライン4bに非接触で一定の距離だけ離れて配置される検出プローブ16がマイクロストリップライン4bからの信号を検出する。
【0141】
検出プローブ16による検出信号が同軸ケーブル17を介してレベルメータ15に入力されて、レベルメータ15によりその測定量が求められる。
【0142】
そして、半導体集積回路デバイス1にはケーブル11を介して半導体集積回路デバイス1の動作状態を表示する表示器12が接続される。
【0143】
さらに、本発明の第5の実施の形態のノイズイミュニティ評価装置の具体的な構成について、図18及び図19を参照して説明する。
【0144】
図18は、図17に示すノイズイミュニティ評価装置の斜視図であり、図19は、図18に示す評価用ボードの平面図である。
【0145】
図18に示すように、誘電体材料からなる評価用ボード31の一方の表面には導体層であるグラウンドプレーン32が設けられて基準電位面をなし、他方の表面上には、配線4としてのプリント配線4aと、配線2及びプリント配線4aの一端をなす接続パッド38と、ヴィアホール20によりグラウンドプレーン32に接続される接続パッド19と、プリント配線4aの他端をなす接続パッド24と、ヴィアホール23によりグラウンドプレーン32に接続される接続パッド22と、給電用の接続パッド25と、ヴィアホール27によりグラウンドプレーン32に接続される給電用の接続パッド26と、信号注入用の接続パッド28と、ヴィアホール30によりグラウンドプレーン32に接続される信号注入用の接続パッド29と、が設けられる。
【0146】
ここで、接続パッド38が図17に示す節点N1に対応し、接続パッド24が図17に示す節点N2に対応する。
【0147】
そして、デカップリング容量3としてのキャパシタ3aが接続パッド38と接続パッド22との間にソルダリングにより実装され、カップリング容量7としてのキャパシタ7aが接続パッド24と接続パッド28との間にソルダリングにより実装され、デカップリングインダクタ5としてのインダクタ5aが接続パッド24と接続パッド25との間にソルダリングにより実装され、半導体集積回路デバイス1の電源端子1Vが接続パッド38にソルダリングされ、グラウンド端子1Gが接続パッド19にソルダリングされて実装される。
【0148】
評価用ボード31の外部からは、電源6の高電位側の一端が接続パッド25に接続され、電源6の低電位側の他端が接続パッド26に接続される。
【0149】
また、信号源10の出力端がインピーダンスマッチング用抵抗9を介して、さらに同軸ケーブル8の内部導体8Sを経由して接続パッド28に接続され、信号源10の基準端子が同軸ケーブル8の外部導体8Gを経由して接続パッド29に接続され、グラウンドの安定化のために信号源10の基準端子が接続パッド26にも接続される。
【0150】
そして、図19に示すように、プリント配線4aの幅をdとし、マイクロストリップライン4bのライン長方向を見込んだ断面と検出プローブ16との位置関係については、図5に示すように、検出プローブ16がマイクロストリップライン4bの信号ラインであるプリント配線4aに対し非接触で上方に一定の距離だけ離れて配置される。
【0151】
上述したように、図17に示す本発明の第5の実施の形態のノイズイミュニティ評価装置の構成と図1に示す本発明の第1の実施の形態のノイズイミュニティ評価装置の構成との相違部分は、図1に示す構成からマイクロストリップライン2bと、検出プローブ13と、同軸ケーブル14と、を除いた部分のみであり、そのため、図2に示す接続パッド21と、プリント配線2aと、接続パッド18と、が削除され、図18に示すように接続パッド38が追加されている。他の構成部分は同一であるため、図17、図18及び図19と、図1、図2及び図3と、の同一構成部分には同一符号を付して、その説明を省略する。
【0152】
また、動作及びノイズイミュニティ評価方法についても、本発明の第1の実施の形態のノイズイミュニティ評価装置と同様である。
【0153】
以上説明したように、本発明の第5の実施の形態のノイズイミュニティ評価装置によれば、本発明の第1の実施の形態のノイズイミュニティ評価装置と同様に、マイクロストリップライン4bに対する測定により半導体集積回路デバイス1の電源端子1V及びデカップリング容量3に流れ込む電流と、電源端子1V及びデカップリング容量3に印加される電圧と、電源端子1V及びデカップリング容量3に流れ込む電力と、を求めることでユーザ側が必要とするデカップリング容量3込みの半導体集積回路デバイス1のノイズイミュニティを確認することができるという効果が得られる。
【0154】
次に、図20は、本発明の第6の実施の形態のノイズイミュニティ評価装置の構成図である。図20に示すように、本発明の第6の実施の形態のノイズイミュニティ評価装置は、被測定サンプルとしての半導体集積回路デバイス1と、第1の配線としての配線2と、第1の容量手段としてのデカップリング容量3と、抵抗手段としての抵抗34と、第2の配線としての配線4と、デカップリングインダクタ5と、電源6と、第2の容量手段としてのカップリング容量7と、同軸ケーブル8と、信号源10のインピーダンスマッチング用抵抗9と、信号源10と、ケーブル11と、表示器12と、検出手段としての検出プローブ16と、同軸ケーブル17と、レベルメータ15と、を備える。
【0155】
また、半導体集積回路デバイス1が電源端子1Vとグラウンド端子1Gとを備える。
【0156】
デカップリング容量3の一端が第1の節点としての節点N1に接続され、デカップリング容量3の他端が抵抗34の一端に接続され、抵抗34の他端が基準電位としてのグラウンドに接続される。このように、抵抗34がデカップリング容量3に対し直列に接続される。
【0157】
電源6の高電位側の一端がデカップリングインダクタ5の一端に接続され、電源6の低電位側の他端がグラウンドに接続され、デカップリングインダクタ5の他端が第2の節点としての節点N2に接続されて、電源6が節点N2に供給される。
【0158】
カップリング容量7の一端が節点N2に接続され、カップリング容量7の他端が同軸ケーブル8を介してインピーダンスマッチング用抵抗9の一端に接続され、インピーダンスマッチング用抵抗9の他端が信号源10の出力端に接続され、信号源10の基準端子がグラウンドに接続されて、信号源10がカップリング容量7を介して評価用の高周波信号を注入する。
【0159】
配線2が半導体集積回路デバイス1の電源端子1Vと節点N1との間を接続し、半導体集積回路デバイス1のグラウンド端子1Gがグラウンドに接続される。
【0160】
配線4が節点N1と節点N2との間を接続し、配線4が既知の特性インピーダンスを有するマイクロストリップライン4bを含んで構成される。
【0161】
マイクロストリップライン4bに非接触で一定の距離だけ離れて配置される検出プローブ16がマイクロストリップライン4bからの信号を検出する。
【0162】
検出プローブ16による検出信号が同軸ケーブル17を介してレベルメータ15に入力されて、レベルメータ15によりその測定量が求められる。
【0163】
そして、半導体集積回路デバイス1にはケーブル11を介して半導体集積回路デバイス1の動作状態を表示する表示器12が接続される。
【0164】
さらに、本発明の第6の実施の形態のノイズイミュニティ評価装置の具体的な構成について、図21及び図22を参照して説明する。
【0165】
図21は、図20に示すノイズイミュニティ評価装置の斜視図であり、図22は、図21に示す評価用ボードの平面図である。
【0166】
図21に示すように、誘電体材料からなる評価用ボード31の一方の表面には導体層であるグラウンドプレーン32が設けられて基準電位面をなし、他方の表面上には、配線4としてのプリント配線4aと、配線2及びプリント配線4aの一端をなす接続パッド38と、ヴィアホール20によりグラウンドプレーン32に接続される接続パッド19と、プリント配線4aの他端をなす接続パッド24と、接続パッド35と、ヴィアホール37によりグラウンドプレーン32に接続される接続パッド36と、給電用の接続パッド25と、ヴィアホール27によりグラウンドプレーン32に接続される給電用の接続パッド26と、信号注入用の接続パッド28と、ヴィアホール30によりグラウンドプレーン32に接続される信号注入用の接続パッド29と、が設けられる。
【0167】
ここで、接続パッド38が図20に示す節点N1に対応し、接続パッド24が図20に示す節点N2に対応する。
【0168】
そして、デカップリング容量3としてのキャパシタ3aが接続パッド38と接続パッド35との間にソルダリングにより実装され、抵抗34としての抵抗器34aが接続パッド35と接続パッド36との間にソルダリングにより実装され、カップリング容量7としてのキャパシタ7aが接続パッド24と接続パッド28との間にソルダリングにより実装され、デカップリングインダクタ5としてのインダクタ5aが接続パッド24と接続パッド25との間にソルダリングにより実装され、半導体集積回路デバイス1の電源端子1Vが接続パッド38にソルダリングされ、グラウンド端子1Gが接続パッド19にソルダリングされて実装される。
【0169】
評価用ボード31の外部からは、電源6の高電位側の一端が接続パッド25に接続され、電源6の低電位側の他端が接続パッド26に接続される。
【0170】
また、信号源10の出力端がインピーダンスマッチング用抵抗9を介して、さらに同軸ケーブル8の内部導体8Sを経由して接続パッド28に接続され、信号源10の基準端子が同軸ケーブル8の外部導体8Gを経由して接続パッド29に接続され、グラウンドの安定化のために信号源10の基準端子が接続パッド26にも接続される。
【0171】
そして、図22に示すように、プリント配線4aの幅をdとし、マイクロストリップライン4bのライン長方向を見込んだ断面と検出プローブ16との位置関係については、図5に示すように、検出プローブ16がマイクロストリップライン4bの信号ラインであるプリント配線4aに対し非接触で上方に一定の距離だけ離れて配置される。
【0172】
上述したように、図20に示す本発明の第6の実施の形態のノイズイミュニティ評価装置の構成と図17に示す本発明の第5の実施の形態のノイズイミュニティ評価装置の構成との相違部分は、図17に示す構成に対し抵抗34を追加した部分のみであり、そのため、図18に示す接続パッド22と、ヴィアホール23と、が削除され、図21に示すように抵抗器34aと、接続パッド35と、接続パッド36と、ヴィアホール37と、が追加されている。他の構成部分は同一であるため、図20、図21及び図22と、図17、図18及び図19と、の同一構成部分には同一符号を付して、その説明を省略する。
【0173】
また、動作及びノイズイミュニティ評価方法についても、本発明の第1の実施の形態のノイズイミュニティ評価装置と同様である。
【0174】
以上説明したように、本発明の第6の実施の形態のノイズイミュニティ評価装置によれば、本発明の第5の実施の形態のノイズイミュニティ評価装置が有する効果に加え、効率の良い高周波信号の注入を行うことができ、デカップリング容量3の影響を低減して半導体集積回路デバイス1自体のノイズイミュニティの測定精度を向上させることができるという効果が得られる。
【0175】
次に、図23は、本発明の第7の実施の形態のノイズイミュニティ評価装置の構成図である。図23に示すように、本発明の第7の実施の形態のノイズイミュニティ評価装置は、被測定サンプルとしての半導体集積回路デバイス1と、既知の特性インピーダンスを有するマイクロストリップライン2bを含んで構成される第1の配線としての配線2と、第1の容量手段としてのデカップリング容量3と、既知の特性インピーダンスを有するマイクロストリップライン4bを含んで構成される第2の配線としての配線4と、デカップリングインダクタ5と、電源6と、第2の容量手段としてのカップリング容量7と、同軸ケーブル8と、信号源10のインピーダンスマッチング用抵抗9と、信号源10と、検出手段としての検出プローブ13と、同軸ケーブル14と、レベルメータ15と、検出手段としての検出プローブ16と、同軸ケーブル17と、インターフェースケーブル39と、テスタ40と、を備える。
【0176】
図23に示す本発明の第7の実施の形態のノイズイミュニティ評価装置の構成と図1に示す本発明の第1の実施の形態のノイズイミュニティ評価装置の構成との相違部分は、図1に示すケーブル11と、表示器12と、をインターフェースケーブル39と、テスタ40と、に変更した構成部分のみであり、他の構成部分は同一であるため、図1及び図23の同一構成部分には同一符号を付して、その説明を省略する。
【0177】
半導体集積回路デバイス1にはインターフェースケーブル39を介して半導体集積回路デバイス1のファンクションテストを実行するテスタ40が接続される。
【0178】
先ず、電源6を投入し、テスタ40により、ファンクションテストを実行し、被測定サンプルとしての半導体集積回路デバイス1が正常動作することを確認する。
【0179】
次に、信号源10の出力パワーレベルを十分小さく設定した上で、評価したい周波数の高周波信号を注入する。
【0180】
電源系の給電点である節点N2に高周波信号が注入されると、デカップリングインダクタ5によって高周波信号の電源6への流入が阻止され、高周波信号が配線4に注入され、マイクロストリップライン4bを通過してデカップリング容量3の接続点である節点N1に到達し、節点N1に到達した高周波信号の一部がデカップリング容量3を介してグラウンドに流れ、節点N1に到達した高周波信号の残りの一部が配線2に注入され、マイクロストリップライン2bを通過して半導体集積回路デバイス1の電源端子1Vに注入される。
【0181】
そして、検出プローブ13によりマイクロストリップライン2bから発生する磁界を検出してレベルメータ15により電源端子1Vに流れ込む電流を求める。又は、検出プローブ13によりマイクロストリップライン2bから発生する電界を検出してレベルメータ15により電源端子1Vに印加される電圧を求める。又は、検出プローブ13によりマイクロストリップライン2bから発生する磁界及び電界を検出してレベルメータ15により電源端子1Vに流れ込む電力を求める。
【0182】
同様に、検出プローブ16によりマイクロストリップライン4bから発生する磁界を検出してレベルメータ15により電源端子1V及びデカップリング容量3に流れ込む電流を求める。又は、検出プローブ16によりマイクロストリップライン4bから発生する電界を検出してレベルメータ15により電源端子1V及びデカップリング容量3に印加される電圧を求める。又は、検出プローブ16によりマイクロストリップライン4bから発生する磁界及び電界を検出してレベルメータ15により電源端子1V及びデカップリング容量3に流れ込む電力を求める。
【0183】
このとき、テスタ40により、ファンクションテストを実行し、半導体集積回路デバイス1が正常動作することを確認する。半導体集積回路デバイス1の動作に異常が発生したとき、テスタ40がその旨を表示又は通報する。
【0184】
次に、信号源10の出力レベルを徐々に増加させて、ファンクションテストを実行しながら上記測定を繰り返し、半導体集積回路デバイス1の誤動作による異常が発生した時点での測定量、即ち上記電流値、又は電圧値、又は電力値を、半導体集積回路デバイス1のノイズイミュニティ量とする。
【0185】
以上説明したように、本発明の第7の実施の形態のノイズイミュニティ評価装置によれば、テスタ40によって半導体集積回路デバイス1の詳細なファンクションテストを実行しながらノイズイミュニティ量を測定できるので、障害内容とノイズイミュニティ量との関連付けを行うことができ、より的確なノイズイミュニティ評価が可能になるという効果が得られる。
【0186】
なお、テスタ40によるファンクションテストを、本発明の第1から第6までの実施の形態のノイズイミュニティ評価装置に対し適用できることは、言うまでもない。
【0187】
【発明の効果】
本発明による効果は、ハイパワーの高周波信号源を必要とすることなく、電源ラインにデカップリング容量を備える半導体集積回路デバイスについて、精度の高いノイズイミュニティ評価を行うことができるノイズイミュニティ評価装置と、そのノイズイミュニティ評価方法とを実現することができることである。
【0188】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態のノイズイミュニティ評価装置の構成図である。
【図2】図1に示すノイズイミュニティ評価装置の斜視図である。
【図3】図2に示す評価用ボードの平面図である。
【図4】図1に示すマイクロストリップラインと検出プローブとの位置関係の説明図である。
【図5】図1に示すマイクロストリップラインと検出プローブとの位置関係の説明図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態のノイズイミュニティ評価装置の構成図である。
【図7】図6に示すノイズイミュニティ評価装置の斜視図である。
【図8】図7に示す評価用ボードの平面図である。
【図9】本発明の第3の実施の形態のノイズイミュニティ評価装置の構成図である。
【図10】図9に示すノイズイミュニティ評価装置の斜視図である。
【図11】図10に示す評価用ボードの平面図である。
【図12】本発明の第3の実施の形態のノイズイミュニティ評価装置による効果の説明図である。
【図13】本発明の第3の実施の形態のノイズイミュニティ評価装置による効果の説明図である。
【図14】本発明の第4の実施の形態のノイズイミュニティ評価装置の構成図である。
【図15】図14に示すノイズイミュニティ評価装置の斜視図である。
【図16】図15に示す評価用ボードの平面図である。
【図17】本発明の第5の実施の形態のノイズイミュニティ評価装置の構成図である。
【図18】図17に示すノイズイミュニティ評価装置の斜視図である。
【図19】図18に示す評価用ボードの平面図である。
【図20】本発明の第6の実施の形態のノイズイミュニティ評価装置の構成図である。
【図21】図20に示すノイズイミュニティ評価装置の斜視図である。
【図22】図21に示す評価用ボードの平面図である。
【図23】本発明の第7の実施の形態のノイズイミュニティ評価装置の構成図である。
【図24】従来例のノイズイミュニティ評価装置の構成図である。
【図25】従来例のノイズイミュニティ評価装置の構成図である。
【符号の説明】
1 半導体集積回路デバイス
1V 電源端子
1G グラウンド端子
2 配線
2a プリント配線
2b マイクロストリップライン
3 デカップリング容量
3a キャパシタ
4 配線
4a プリント配線
4b マイクロストリップライン
5 デカップリングインダクタ
5a インダクタ
6 電源
7 カップリング容量
7a キャパシタ
8 同軸ケーブル
8S 内部導体
8G 外部導体
9 インピーダンスマッチング用抵抗
10 信号源
11 ケーブル
12 表示器
13 検出プローブ
14 同軸ケーブル
15 レベルメータ
16 検出プローブ
17 同軸ケーブル
18 接続パッド
19 接続パッド
20 ヴィアホール
21 接続パッド
22 接続パッド
23 ヴィアホール
24 接続パッド
25 接続パッド
26 接続パッド
27 ヴィアホール
28 接続パッド
29 接続パッド
30 ヴィアホール
31 評価用ボード
32 グラウンドプレーン
33 接続パッド
34 抵抗
34a 抵抗器
35 接続パッド
36 接続パッド
37 ヴィアホール
38 接続パッド
39 インターフェースケーブル
40 テスタ
101 信号源
102 増幅器
103 方向性結合器
104 パワーメータ
105 カップリング容量
106 半導体集積回路デバイス
107 電源端子
108 グラウンド端子
109 デカップリング回路
110 電源
111 評価用ボード
112 デカップリング容量

Claims (8)

  1. 第1の節点に接続される第1の容量手段と、電源が供給される第2の節点に接続される第2の容量手段と、半導体デバイスの電源端子と前記第1の節点との間を接続する第1の配線と、前記第1の節点と前記第2の節点との間を接続する第2の配線と、前記第2の容量手段を介して信号を注入する信号源と、を備え、前記第1の配線及び前記第2の配線のうちの少なくとも一方が既知の特性インピーダンスを有するマイクロストリップラインを含み、さらに、前記マイクロストリップラインからの信号を検出する検出手段を備えることを特徴とするノイズイミュニティ評価装置。
  2. 第1の節点に接続される第1の容量手段と、前記第1の容量手段と直列に接続される抵抗手段と、電源が供給される第2の節点に接続される第2の容量手段と、半導体デバイスの電源端子と前記第1の節点との間を接続する第1の配線と、前記第1の節点と前記第2の節点との間を接続する第2の配線と、前記第2の容量手段を介して信号を注入する信号源と、を備え、前記第1の配線及び前記第2の配線のうちの少なくとも一方が既知の特性インピーダンスを有するマイクロストリップラインを含み、さらに、前記マイクロストリップラインからの信号を検出する検出手段を備えることを特徴とするノイズイミュニティ評価装置。
  3. 前記第1の容量手段、前記第2の容量手段及び前記半導体デバイスが評価用ボード上に実装され、前記第1の配線及び前記第2の配線が前記評価用ボードに設けられたプリント配線であることを特徴とする請求項1記載のノイズイミュニティ評価装置。
  4. 前記第1の容量手段、前記抵抗手段、前記第2の容量手段及び前記半導体デバイスが評価用ボード上に実装され、前記第1の配線及び前記第2の配線が前記評価用ボードに設けられたプリント配線であることを特徴とする請求項2記載のノイズイミュニティ評価装置。
  5. 前記第1の配線が前記マイクロストリップラインを含むとき、前記検出手段により前記マイクロストリップラインから発生する磁界を検出して前記電源端子に流れ込む電流を求め、又は前記検出手段により前記マイクロストリップラインから発生する電界を検出して前記電源端子に印加される電圧を求め、又は前記検出手段により前記マイクロストリップラインから発生する磁界及び電界を検出して前記電源端子に流れ込む電力を求めることを特徴とする請求項1及び請求項2の何れか1項記載のノイズイミュニティ評価装置。
  6. 前記第2の配線が前記マイクロストリップラインを含むとき、前記検出手段により前記マイクロストリップラインから発生する磁界を検出して前記電源端子及び前記第1の容量手段に流れ込む電流を求め、又は前記検出手段により前記マイクロストリップラインから発生する電界を検出して前記電源端子及び前記第1の容量手段に印加される電圧を求め、又は前記検出手段により前記マイクロストリップラインから発生する磁界及び電界を検出して前記電源端子及び前記第1の容量手段に流れ込む電力を求めることを特徴とする請求項1及び請求項2の何れか1項記載のノイズイミュニティ評価装置。
  7. 第1の節点に接続される第1の容量手段と、電源が供給される第2の節点に接続される第2の容量手段と、半導体デバイスの電源端子と前記第1の節点との間を接続する第1の配線と、前記第1の節点と前記第2の節点との間を接続する第2の配線と、前記第2の容量手段を介して信号を注入する信号源と、を備え、前記第1の配線及び前記第2の配線のうちの少なくとも一方が既知の特性インピーダンスを有するマイクロストリップラインを含み、さらに、前記マイクロストリップラインからの信号を検出する検出手段を備えるノイズイミュニティ評価装置におけるノイズイミュニティ評価方法であって、前記信号源の出力レベルを徐々に増加させて、前記半導体デバイスが誤動作する時点での前記検出手段を介して求めた測定量をノイズイミュニティ量とすることを特徴とするノイズイミュニティ評価方法。
  8. 第1の節点に接続される第1の容量手段と、前記第1の容量手段と直列に接続される抵抗手段と、電源が供給される第2の節点に接続される第2の容量手段と、半導体デバイスの電源端子と前記第1の節点との間を接続する第1の配線と、前記第1の節点と前記第2の節点との間を接続する第2の配線と、前記第2の容量手段を介して信号を注入する信号源と、を備え、前記第1の配線及び前記第2の配線のうちの少なくとも一方が既知の特性インピーダンスを有するマイクロストリップラインを含み、さらに、前記マイクロストリップラインからの信号を検出する検出手段を備えるノイズイミュニティ評価装置におけるノイズイミュニティ評価方法であって、前記信号源の出力レベルを徐々に増加させて、前記半導体デバイスが誤動作する時点での前記検出手段を介して求めた測定量をノイズイミュニティ量とすることを特徴とするノイズイミュニティ評価方法。
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