JP3612284B2 - エアゾール容器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エアゾール容器に関する。さらに詳しくは、エアゾール容器内に充填される内容液からガスが発生した場合であっても、該ガスの発生による内圧の上昇を抑制しうるエアゾール容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、過酸化水素などのように分解して酸素を発生するような化合物が含有された内容物が充填されたエアゾール製品は、経時とともに前記化合物が分解し、内圧が上昇し、爆発するというおそれがあるため、前記化合物ができるだけ含まれない組成でエアゾール製品を作製しなければならなかった。
【0003】
こうした問題を解決するエアゾール製品としては、エアゾール容器内に過酸化水素を含有するエアゾール組成物を充填し、前記エアゾール容器内の気相部に接するように酸素吸収剤が配置されたエアゾール製品が提案されている(実開平2−53153号公報)。
【0004】
前記エアゾール製品は、確かにエアゾール容器内の気相部に接する酸素吸収剤により、過酸化水素の分解によって発生した酸素が吸収されるため、該エアゾール製品の内圧の上昇を防止することができるという点で、利用価値がある。しかしながら、前記エアゾール製品は、傾けたり、横転させたり、倒立状態にさせることなく、常に常態、すなわち正立状態で使用されるということはありえず、このようにエアゾール製品を転倒などさせた場合には、本来、気相部に存在すべき酸素吸収剤に、エアゾール製品内に充填されたエアゾール組成物が付着し、該酸素吸収剤が酸素を有効に吸収しなくなり、その結果として、過酸化水素が分解して発生した酸素により、エアゾール製品の内圧が高くなってしまうことがあった。
【0005】
また、内容物として嫌気性の物質が用いられたものが充填された、従来の二重容器式エアゾール製品およびピストン式エアゾール製品にあっては、前記二重容器式エアゾール製品の内部容器と外部容器との空間や、前記ピストン式エアゾール製品の下部室の空間に残存している酸素が経時とともに前記内容物と接触するようになり、前記内容物に用いられた嫌気性の物質が変質することがあった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記従来技術に鑑みてなされたものであり、エアゾール製品内に充填された内容液から内圧を上昇させるガスが発生した場合であっても、かかるガスを有効に吸収し、エアゾール製品の内圧の上昇を抑制することができるエアゾール容器を提供することを第1の目的とする。
【0007】
また、本発明は、充填された内容物に、酸素などのガスが接触することを防止することができるエアゾール容器を提供することを第2の目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、
(1)筒状の外部容器、前記外部容器内に設けられ、内容液が充填される内部容器および前記内部容器の開口端に取り付けられた噴射バルブからなる多室型エアゾール容器であって、前記外部容器が耐圧性容器であり、前記内部容器がガス透過性樹脂容器であり、前記内部容器の外側に前記内部容器に充填される内容液と非接触の状態になるように、かつ、前記内部容器と接触せずに前記外部容器の内面上にガス吸収剤が設けられていることを特徴とする多室型エアゾール容器(以下、第1発明という)、
(2)筒状の外部容器、前記外部容器内に設けられる複数の内部容器からなり、前記内部容器の少なくとも1つが内容液が充填される容器であり、前記内部容器の各開口端に取り付けられる噴射バルブからなる多室型エアゾール容器であって、前記外部容器と前記内部容器とのあいだの空間が一室を形成するようにそれぞれ接続され、前記外部容器が耐圧性容器であり、前記内部容器がガス透過性樹脂容器であり、前記内部容器の外側に前記内部容器に充填される内容液と非接触の状態になるようにガス吸収剤が設けられていることを特徴とする多室型エアゾール容器(以下、第2発明という)、
(3)筒状の外部容器、前記外部容器内に、前記外部容器の内面と摺動可能に設けられたピストン、前記外部容器内で前記ピストンによって仕切られて形成された上部室および下部室、ならびに前記外部容器の開口端に取り付けられた噴射バルブからなるピストン型エアゾール容器であって、前記外部容器が耐圧性容器であり、前記ピストンがガス透過性樹脂製ピストンであり、前記上部室または下部室には内容液が充填されるようになっており、前記内容液が充填される上部室または下部室の外側に該内容液と非接触の状態になるように、かつ、前記ピストンと接触せずに前記上部室または下部室の外側の外部容器の内面上にガス吸収剤が設けられていることを特徴とするピストン型エアゾール容器(以下、第3発明という)、
(4)筒状の外部容器、前記外部容器内に、前記外部容器の内面と摺動可能に設けられたピストン、前記外部容器内で前記ピストンによって仕切られて形成された上部室および下部室、ならびに前記外部容器の開口端に噴射バルブが取り付けられたピストン型エアゾール容器であって、前記ピストンが複数用いられ、前記外部容器が耐圧性容器であり、前記ピストンがガス透過性樹脂製ピストンであり、前記噴射バルブ側の上部室に内容液が充填されるようになっており、前記上部室の外側に前記上部室に充填される内容液と非接触の状態になるようにガス吸収剤が設けられていることを特徴とするピストン型エアゾール容器(以下、第4発明という)、ならびに
(5)筒状の外部容器、前記外部容器内に設けられ、内容液が充填される内部容器および前記外部容器の内面と摺動可能に設けられたピストン、前記外部容器内で前記ピストンによって仕切られて形成された上部室および下部室、ならびに前記外部容器の開口端に取り付けられた噴射バルブからなる多室−ピストン複合型エアゾール容器であって、前記外部容器内で内部容器とピストンとのあいだに前記上部室が形成され、外部容器が耐圧性容器であり、前記内部容器がガス透過性樹脂容器であり、前記ピストンがガス透過性樹脂ピストンであり、前記内部容器と下部室に内容液が充填されるようになっており、前記上部室に、前記内容液と非接触の状態になるようにガス吸収剤が設けられていることを特徴とする多室−ピストン複合型エアゾール容器(以下、第5発明という)
に関する。
【0009】
【発明の実施の形態】
第1発明の多室型エアゾール容器は、前記したように、筒状の外部容器、前記外部容器内に設けられ、内容液が充填される内部容器および前記内部容器の開口端に取り付けられた噴射バルブからなる多室型エアゾール容器であって、前記外部容器が耐圧性容器であり、前記内部容器がガス透過性樹脂容器であり、前記内部容器の外側に前記内部容器に充填される内容物と非接触の状態になるように、かつ、前記内部容器と接触せずに前記外部容器の内面上にガス吸収剤が設けられたものである。
【0010】
また、第2発明の多室型エアゾール容器は、第1発明の多室型エアゾール容器に用いられている内部容器が複数用いられ、外部容器と内部容器とのあいだの空間が一室を形成するようにそれぞれ接続され、前記内部容器の外側に前記内部容器に充填される内容液と非接触の状態になるようにガス吸収剤が設けられたものである。
【0011】
第3発明のピストン型エアゾール容器は、前記したように、筒状の外部容器、前記外部容器内に、前記外部容器の内面と摺動可能に設けられたピストン、前記外部容器内で前記ピストンによって仕切られて形成された上部室および下部室、ならびに前記外部容器の開口端に取り付けられた噴射バルブからなるピストン型エアゾール容器であって、前記外部容器が耐圧製容器であり、前記ピストンがガス透過性樹脂製ピストンであり、前記上部室または下部室には内容液が充填されるようになっており、前記内容液が充填される上部室または下部室の外側に該内容液と非接触の状態になるように、かつ、前記ピストンと接触せずに前記上部室または下部室の外側の外部容器の内面上にガス吸収剤が設けられたものである。
【0012】
また、第4発明のピストン型エアゾール容器は、第3発明のピストン式エアゾール容器に用いられているピストンが複数用いられ、前記外部容器が耐圧性容器であり、前記ピストンがガス透過性樹脂製ピストンであり、前記噴射バルブ側の上部室に内部液が充填されるようになっており、前記上部室の外側に前記上部室に充填される内容液と非接触の状態になるようにガス吸収剤が設けられたものである。
【0013】
また第5発明の多室−ピストン複合型エアゾール容器は、第1発明の多室容器型エアゾール製品に用いられている容器と、第3発明に用いられているピストン型容器とを組合せたものであり、前記外部容器内で内部容器とピストンとのあいだに前記上部室が形成され、外部容器が耐圧性容器であり、前記内部容器がガス透過性樹脂容器であり、前記ピストンがガス透過性樹脂ピストンであり、前記内部容器と下部室に内容液が充填されるようになっており、前記上部室に、前記内容液と非接触の状態になるようにガス吸収剤が設けられたものである。
【0014】
第1発明、第2発明および第5発明のエアゾール製品においては、ガス吸収剤は、内容液が充填される内部容器内に設けられるのではなく、外部容器と内部容器とのあいだに内部容器に充填される内容液と非接触の状態になるように設けられており(第1発明の場合、さらに、前記内部容器と接触せずに前記外部容器の内面上に設けられており)、しかも前記内部容器は、ガス透過性を有するので、前記ガス吸収剤が、内部容器内に充填される内容液と直接接触することがなく、また前記内部容器内で発生するガスは、前記内部容器を透過し、前記外部容器と前記内部容器とのあいだで前記ガス吸収剤によって吸収されるようになっているため、前記ガス吸収剤のガス吸収性を充分に有効に活用することができる。
【0015】
ここで、内部容器に充填される内容液がガス吸収剤と非接触の状態になるように設けられた態様としては、たとえば内容液が充填される内部容器と酸素吸収剤とのあいだに空間を形成させて隔絶させた態様、内容液が充填される内部容器とガス透過性樹脂シートで覆われたガス吸収剤とが接触されている態様、内容液が充填される内部容器とガス透過性樹脂シートで覆われたガス吸収剤とのあいだに空間を形成させて隔絶させた態様などがあげられる。
【0016】
また、前記内部容器内に嫌気性の物質が用いられた内容液が充填される場合には、外部容器と内部容器とのあいだの空間に設けられたガス吸収剤により、酸素などのガスが吸収されるので、前記空間に含有されていた酸素などのガスが内部容器内に入り込み、嫌気牲の物質を変質させることを防止することができる。
【0017】
また、第3発明、第4発明および第5発明のエアゾール製品においては、上部室内に内容液が充填されるようになっており、下部室内に設けられたガス吸収剤が上部室の内容液と非接触の状態になるように設けられており(第3発明の場合、さらに、前記ピストンと接触せずに前記上部室または下部室の外側の外部容器の内面上に設けられており)、しかも上部室と下部室とを仕切っているピストンは、ガス透過性を有するので、前記ガス吸収剤が、上部室内に充填される内容液と直接接触することがなく、また前記上部室内で発生したガスは、前記ピストンを透過し、前記下部容器内のガス吸収剤によって吸収されるため、前記ガス吸収剤のガス吸収性を充分に有効に活用することができる。
【0018】
また、嫌気性の物質が用いられた内容液が上部室内に充填される場合には、下部室内に上部室と非接触の状態で設けられたガス吸収剤により、酸素などのガスが吸収されるので、上部室内に酸素などのガスが入り込み、嫌気性の物質を変質させることを防止することができる。
【0019】
前記嫌気性の物質としては、たとえ嫌気性酵素、ビタミン類、不飽和脂肪酸、タンニン、色素、香料などをはじめ、化粧品、医薬部外部、コンタクトレンズ用品、医薬品、食品などの無添加内容物などがあげられる。
【0020】
前記内容液は、いわゆる乳化液や粉末の懸濁液などの分散液であってもよく、また通常の溶液であってもよく、さらにはゲル状物であってもよく、その形態にはとくに限定がない。
【0021】
また、エアゾール製品から吐出させる際の形態についてもとくに限定がなく、たとえばゲル、フォーム、ミストなどがあげられる。
【0022】
つぎに、本発明のエアゾール容器の実施態様を図面にもとづいて説明する。
【0023】
図1〜3は、それぞれ第1発明の多室型エアゾール容器の代表的な態様である二重型エアゾール容器の一実施態様を示す概略断面図である。
【0024】
図1〜3において、1は外部容器、2は内部容器、3は内部容器2の開口端に取りつけられた噴射バルブ、4は外部容器1と内部容器2とのあいだに内部容器2に充填される内容液と非接触の状態で設けられたガス吸収剤である。
【0025】
第1発明においては、外部容器1として、耐圧性容器が用いられる。耐圧性容器の代表例としては、たとえばアルミニウム製容器、鋼製容器などの金属製容器、ポリエステル製容器などの樹脂製容器などがあげられる。
【0026】
外部容器1が金属製容器である場合、その内面には内部容器2からの透過成分による外部容器1自体の腐食を防止するために、樹脂皮膜が設けられていることが好ましい。かかる樹脂皮膜の代表例としては、たとえばエポキシ−フェノール樹脂、エポキシ−ユリア樹脂、ポリアミドイミドなどの塗料を塗布して形成された皮膜、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ナイロンフィルムやそれらのラミネートフィルムなどがあげられる。前記樹脂皮膜の厚さは、とくに限定がないが、外部容器1の防食および成形性の点から、通常、5〜150μm程度であることが好ましい。
【0027】
また、内部容器2としては、ガス透過性樹脂容器が用いられる。
【0028】
第1発明においては、内部容器2として、このようにガス透過性樹脂容器が用いられている点に、1つの大きな特徴がある。前記内部容器2がガス透過性樹脂容器であることから、前記内部容器2に充填される内容液4から発生するガスを前記内部容器2を介して外部容器1と内部容器2とのあいだに逃散させることができるので、内部容器2の内圧上昇を抑制することができる。
【0029】
前記内部容器2に用いられるガス透過性樹脂としては、ガス透過性にすぐれ、容易に変形させることができるものであれば、とくに限定なく用いることができる。前記ガス透過性樹脂の代表例としては、たとえばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、塩化ビニル樹脂、ナイロンで代表されるポリアミドなどがあげられる。これらのガス透過性樹脂は、単独でまたは積層体として用いることができる。
【0030】
前記内部容器2は、たとえばブロー成形法によって成形された容器であってもよく、また射出成形法によって成形された容器であってもよい。また、前記内部容器2の形状についてもとくに限定がないが、その代表的なものとしては、たとえば円筒形状があげられる。前記内部容器2の肉厚は、かかる内部容器2を構成しているガス透過性樹脂の種類によって異なるので一概には決定することができないが、通常、0.2〜1.5mm程度であることが好ましい。
【0031】
前記内部容器2内に充填される内容液は、本発明の目的や用途などに応じて適宜調製すればよく、とくに限定がないが、本発明のエアゾール容器が内容液から発生するガスによる内圧の上昇を抑制することを目的としたものであるため、製品状態にしたのちに内圧を高めるガスを発生する成分を含有していることが必要となる。
【0032】
前記内圧を高めるガスを発生する成分としては、たとえば脱色剤や染毛剤などに使用される過酸化水素(酸素を発生)、消臭剤、殺菌剤などに使用される次亜塩素酸ナトリウム(酸素を発生)、酸性染毛剤などに使用される炭酸プロピレン(二酸化炭素を発生)などがあげられるが、かかる例示のみに限定されるものではない。
【0033】
なお、前記内部容器2内には、必要により、たとえばイソペンタン、n−ペンタン、液化石油ガス、ジメチルエーテルなどの液化ガス、チッ素ガス、炭酸ガスなどの圧縮ガスなどの噴射剤が単独でまたは混合して充填されてもよい。
【0034】
なお、前記噴射剤を用いる際には、前記噴射剤として、前記ガス吸収剤4に対して不活性なもの、すなわち、前記ガス吸収剤4に吸収されないものを用いることが前記ガス吸収剤4が有するガス吸収性を充分に活用するうえで好ましい。
【0035】
前記外部容器1と前記内部容器2とのあいだには、ガス吸収剤4が設けられる。
【0036】
第1発明においては、このように、外部容器1と内部容器2とのあいだに内部容器2に充填される内容物と非接触の状態になるようにガス吸収剤4が設けられている点にも、1つの大きな特徴がある。内容液から発生するガスは、内部容器2がガス透過性を有するので、該内部容器2を介して、外部容器1と内部容器2との間隙に逸散し、前記ガス吸収剤4によって吸収されるため、内圧上昇が抑制される。
【0037】
前記ガス吸収剤4は、充填される内容液から発生するガスの種類に応じて適宜選択して用いられる。たとえば内容液から酸素ガスが発生する場合には、ガス吸収剤4として、たとえば活性酸化鉄、亜硫酸水素ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、アスコルビン酸、システイン、チオグリコール、ピロガロール、次亜硫酸ナトリウム、塩化第一クロム、没食子酸、活性炭などの酸素吸収剤を用いることができる。これらの酸素吸収剤のなかでは、活性酸化鉄は、安全性にすぐれたものであるので、本発明において好適に使用しうるものである。また、たとえば内容液から塩素ガスが発生する場合には、ガス吸収剤4として、たとえばヨウ化カリウムなどの塩素吸収剤を用いることができる。また、たとえば内容液から炭酸ガスが発生する場合には、ガス吸収剤4として、たとえば水酸化カリウムなどの炭酸ガス吸収剤を用いることができる。
【0038】
前記ガス吸収剤4の使用量は、その種類などによって異なるので一概には決定することができない。通常、前記ガス吸収剤4の使用量は、前記ガス吸収剤4が有するガス吸収能力ならびに内容液に含有された内圧を高めるガスを発生する成分の種類およびその量に応じてあらかじめ必要量を求めておくことによって決定することができる。
【0039】
前記ガス吸収剤4は、内部容器2と直に接触した場合、内部容器2内に充填される内容液とガス吸収剤4とが直接反応するおそれがあることがある。このような場合には、内部容器2とガス吸収剤4とが直接接触しないようにするために、たとえば透水性は有しないが、ガス透過性を有する樹脂シートでガス吸収剤4を被覆したり(ただし、この場合は第1発明に含まれない)、内部容器2と非接触の状態になるように外部容器1の内面に固定すればよい。前記ガス吸収剤4が固形状物である場合、ガス透過性シートからなる袋体などの中に入れたのち、たとえば接着剤などを用いて外部容器1の内面に接着、固定すればよく、また粉体あるいは粒状物である場合、ガス透過性シートからなる袋体などの中に入れたのち、前記と同様に、たとえば接着剤など用いて外部容器1の内面に接着、固定すればよい。また、前記ガス吸収剤4が液状物である場合、該液状物をゲル化させたのち、あるいは液状のままで、ガス透過性を有するが、通水性を有しないシートからなる袋体などの中に入れたのち、たとえば接着剤などを用いて外部容器1の内面に接着、固定すればよい。前記ガス透過性シートとしては、たとえば紙、不織布、ガス透過性プラスチックフィルムなどがあげられる。
【0040】
第1発明においては、内部容器1内に充填される内容液を噴射バルブ3を介して外部に噴射させるために、前記外部容器1と前記内部容器2との間隙に噴射剤が充填されることが好ましい。この場合、前記外部容器1と前記内部容器2との間隙に形成された空間部分の圧力は、通常2〜6kg/cm2・G(25℃)になることが好ましい。
【0041】
前記噴射剤の代表例としては、たとえばイソペンタン、n−ペンタン、液化石油ガス、ジメチルエーテルなどの液化ガス、チッ素ガス、炭酸ガスなどの圧縮ガスなどがあげられ、これらは、通常、単独でまたは2種以上を混合して用いられる。
【0042】
なお、前記噴射剤を用いる際には、前記噴射剤として、前記ガス吸収剤4に対して不活性なもの、すなわち前記ガス吸収剤4に吸収されないものを用いることが前記ガス吸収剤4が有するガス吸収性を充分に活用するうえで好ましい。
【0043】
前記内部容器2の開口端には、噴射バルブ3が取りつけられている。この噴射バルブ3の内部構造は、基本的に通常の噴射バルブと同様であればよい。
【0044】
第1発明の多室型エアゾール容器は、前記したように、内部容器2内に充填される内容液から内圧を高めるガスが発生した場合、該ガスは、内部容器2を透過し、外部容器1と内部容器2との間隙に設けられたガス吸収剤4によって吸収されるので、内圧の上昇が抑制される。
【0045】
また、前記ガス吸収剤4は、前記内部容器2によって充填される内容液と隔絶されるように形成されているため、前記内容液が充填されても前記ガス吸収剤4に付着するようなことがなく、前記ガス吸収剤4のガス吸収性の有効利用を図ることができる。
【0046】
図3に示されたエアゾール製品においては、内部容器2の下面に底ゴム栓5aが設けられており、たとえば内部容器2内に噴射バルブ3を介して噴射剤を圧入したときには、孔5bから噴射剤が噴出し、底ゴム栓5aを押し上げて外部容器1と内部容器2との空間に入り、かかる空間に噴射剤による圧力を付与することができる。
【0047】
図4〜6は、それぞれ第2発明の多室型エアゾール容器の一実施態様を示す概略断面図である。
【0048】
図4〜6に示された多室型エアゾール容器は、外部容器内に2つの内部容器が設けられた多室型エアゾール容器であり、前記内部容器の1つに内容液が充填されるようになっており、外部容器1と内部容器2とのあいだに内部容器2に充填される内容液と非接触の状態になるようにガス吸収剤4が設けられている。
【0049】
なお、図5〜6に示された多室型エアゾール容器には、内部容器2の下面に底ゴム栓5aが内部容器2を介して内部容器2と外部容器1との空間に噴射剤が充填されるように設けられている。
【0050】
図7〜8は、第3発明のピストン型エアゾール容器の一実施態様を示す概略断面図である。
【0051】
図7〜8において、1は外部容器、3は外部容器1の開口端に取りつけられた噴射バルブ、6は外部容器1の内面と摺動可能に設けられたピストン、7および8はそれぞれピストン6によって仕切られて形成された上部室および下部室であり、4は下部室8に上部室7と非接触の状態になるように設けられたガス吸収剤である。
【0052】
第3発明においては、多室型エアゾール容器と同様に、外部容器1として、耐圧性容器が用いられる。耐圧性容器の代表例としては、たとえばアルミニウム製容器、鋼製容器などの金属製容器、ポリエステル性容器などの樹脂製容器などがあげられる。
【0053】
外部容器1が金属製容器である場合には、その内面にはピストン6からの透過成分による外部容器1自体の腐食を防止するために、樹脂皮膜が設けられていることが好ましい。かかる樹脂皮膜の代表例としては、たとえばエポキシ−フェノール樹脂、エポキシ−ユリア樹脂、ポリアミドイミドなどの塗料を塗布して形成された皮膜、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ナイロンフィルムやそれらのラミネートフィルムなどがあげられる。前記樹脂皮膜の厚さは、とくに限定がないが、外部容器1の防食および成形性の点から、通常、5〜150μm程度であることが好ましい。
【0054】
また、ピストン6には、ガス透過性樹脂が用いられる。
【0055】
第3発明においては、ピストン6に、このようにガス透過性樹脂が用いられている点に、1つの大きな特徴がある。前記ピストン6がガス透過性樹脂からなることから、上部室7(図7)または下部室8(図8)内に充填される内容液から発生するガスを前記ピストン6を介して下部室8(図7)または上部室(図8)内に逃散させることができるので、上部室7(図7)または下部室8(図8)内の内圧上昇を抑制することができる。
【0056】
前記ピストン6に用いられるガス透過性樹脂としては、ガス透過性および耐圧性にすぐれ、摺動性があれば、とくに限定なく用いることができる。前記ガス透過性樹脂の代表例としては、たとえばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、塩化ビニル樹脂、ABS樹脂、ナイロンで代表されるポリアミドなどがあげられる。これらのガス透過性樹脂は、単独でまたは積層体として用いることができる。
【0057】
前記ピストン6は、たとえばブロー成形法によって成形された成形品であってもよく、また射出成形法によって成形された成形品であってもよい。また、前記ピストン6の形状についてもとくに限定がないが、その代表的なものとしては、たとえば円筒形状があげられる。前記ピストン6の肉厚は、かかるピストン6を構成しているガス透過性樹脂の種類によって異なるので一概には決定することができないが、充分な耐圧性およびガス透過性を付与せしめるためには、0.5〜2mm程度であることが好ましい。
【0058】
前記上部室7(図7)または下部室(図8)内に充填される内容液は、本発明の目的や用途などに応じて適宜調製すればよく、とくに限定がないが、本発明のエアゾール容器が内容液から発生するガスによる内圧の上昇を抑制することを目的としたものであるため、製品状態にしたのちに内圧を高めるガスを発生する成分を含有していることが必要となる。
【0059】
前記内圧を高めるガスを発生する成分としては、たとえば脱色剤や染毛剤などに使用される過酸化水素(酸素を発生)、消臭剤、殺菌剤などに使用される次亜塩素酸ナトリウム(酸素を発生)、酸性染毛剤などに使用される炭酸プロピレン(二酸化炭素を発生)などがあげられるが、かかる例示のみに限定されるものではない。
【0060】
なお、前記上部室7(図7)または下部室8(図8)内には、必要により、たとえばイソペンタン、n−ペンタン、液化石油ガス、ジメチルエーテルなどの液化ガス、チッ素ガス、炭酸ガスなどの圧縮ガスなどの噴射剤が単独でまたは混合して充填されてもよい。
【0061】
なお、前記噴射剤を用いる際には、前記噴射剤として、前記ガス吸収剤4に対して不活性なもの、すなわち、前記ガス吸収剤4に吸収されないものを用いることが前記ガス吸収剤4が有するガス吸収性を充分に活用するうえで好ましい。
【0062】
下部室8(図7)または上部室7(図8)内には、ガス吸収剤4が設けられる。
【0063】
第3発明においては、このように、下部室8(図7)または上部室(図8)内にガス吸収剤5が設けられている点にも、1つの大きな特徴がある。内容液から発生するガスは、ピストン6がガス透過性を有するので、該ピストン6を介して、下部室8(図7)または上部室(図8)内に逸散し、前記ガス吸収剤4によって吸収されるため、内圧上昇が抑制される。
【0064】
前記ガス吸収剤5は、多室型エアゾール容器と同様に、充填される内容液から発生するガスの種類に応じて適宜選択して用いられる。たとえば内容液から酸素ガスが発生する場合には、ガス吸収剤4として、たとえば活性酸化鉄、亜硫酸水素ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、アスコルビン酸、システイン、チオグリコール、ピロガロール、次亜硫酸ナトリウム、塩化第一クロム、没食子酸、活性炭などの酸素吸収剤を用いることができる。これらの酸素吸収剤のなかでは、活性酸化鉄は、安全性にすぐれたものであるので、本発明において好適に使用しうるものである。また、たとえば内容液から塩素ガスが発生する場合には、ガス吸収剤4して、たとえばヨウ化カリウムなどの塩素吸収剤を用いることができる。また、たとえば内容液から炭酸ガスが発生する場合には、ガス吸収剤4として、たとえば水酸化カリウムなどの炭酸ガス吸収剤を用いることができる。
【0065】
前記ガス吸収剤4の使用量は、その種類などによって異なるので一概には決定することができない。通常、前記ガス吸収剤4の使用量は、前記ガス吸収剤4が有するガス吸収能力ならびに内容液に含有された内圧を高めるガスを発生する成分の種類およびその量に応じてあらかじめ必要量を求めておくことによって決定することができる。
【0066】
前記ガス吸収剤4は、ピストン6と直に接触した場合、内容液とガス吸収剤4とが直接反応するおそれがあることがある。このような場合には、ピストン6とガス吸収剤4とが直接接触しないようにするために、透水性は有しないがガス透過性を有する樹脂シートでガス吸収剤4を被覆したり(ただし、この場合は第3発明に含まれない)、図7に示されるように、ピストン6に接触させずに下部室8の外部容器1の内面上にガス吸収剤4を固定させたり、図8に示されるように、内部に空間が設けられたピストン6を用い、該ピストン6の内容液と接触しない面にガス吸収剤4を固定させればよい(ただし、図8に示される場合は第3発明に含まれない)。前記ガス吸収剤4が固形状物である場合、ガス透過性シートの袋体などの中に入れたのち、たとえば接着剤などを用いて外部容器1の内面に接着し、固定すればよく、また粉体あるいは粒状物である場合、ガス透過性シートの袋体などの中に入れたのち、前記と同様に、たとえば接着剤などを用いて外部容器1の内面に接着し、固定したり(図7)、ピストン6の内容液と接触しない面に固定(図8)すればよい。また、前記ガス吸収剤4が液状物である場合、該液状物をゲル化させたのち、あるいは液状のままで、ガス透過性を有するが、通水性を有しないシートからなる袋体などの中に入れたのち、たとえば接着剤などを用いて接着し、固定すればよい。
【0067】
第3発明においては、外部容器1内に充填される内容液を噴射バルブ3を介して外部に噴射させるために、下部室8(図7)または上部室7(図8)内に噴射剤が充填されることが好ましい。この場合、下部室8(図7)または上部室7(図8)内の圧力は、通常2〜6kg/cm2・G(25℃)であることが好ましい。
【0068】
前記噴射剤の代表例としては、たとえばイソペンタン、n−ペンタン、液化石油ガス、ジメチルエーテルなどの液化ガス、チッ素ガス、炭酸ガスなどの圧縮ガスなどがあげられ、これらは、通常、単独でまたは2種以上を混合して用いられる。
【0069】
なお、前記噴射剤を用いる際には、前記噴射剤として、前記ガス吸収剤4に対して不活性なもの、すなわち前記ガス吸収剤4に吸収されないものを用いることが前記ガス吸収剤4が有するガス吸収性を充分に活用するうえで好ましい。
【0070】
前記外部容器1の開口端には、噴射バルブ3が取りつけられている。この噴射バルブ3の内部構造は、基本的に通常の噴射バルブと同様であればよい。
【0071】
第3発明のピストン型エアゾール製品は、前記したように、上部室7(図7)又は下部室8(図8)内に充填される内容液から内圧を高めるガスが発生した場合、該ガスは、前記ピストン6を透過し、下部室8(図7)または上部室7(図8)内に設けられたガス吸収剤4によって吸収されるので、内圧の上昇が抑制される。
【0072】
また、前記ガス吸収剤4は、前記ピストン6によって内容液と隔絶されるため、前記内容液が前記ガス吸収剤4に付着するようなことがなく、前記ガス吸収剤4のガス吸収性の有効利用を図ることができる。
【0073】
図9は、第4発明のピストン型エアゾール容器の一実施態様を示す概略説明図である。
【0074】
図9に示されたピストン型エアゾール容器には、第3発明のピストン型エアゾール容器において、ピストンが2本用いられたものであり、下部室8にはガス吸収剤4が設けられている。
【0075】
図10〜11は、それぞれ第5発明の多室−ピストン複合型エアゾール容器の一実施態様を示す概略断面図である。
【0076】
図10〜11に示されたエアゾール容器には、第1発明と同様の多室型容器と、第3発明に用いられるのと同様のピストン型容器とが連結されている。
【0077】
外部容器1内で内部容器2とピストン6とのあいだで空間が形成され、内部容器2に内容液が充填され、上部室7および下部室8の空間の少なくとも一方の空間に前記内部容器2に充填される内容液と非接触の状態になるようにガス吸収剤が設けられている。
【0078】
なお、図10に示された内部容器2の下面に底ゴム栓5aが内部容器2を介して内部容器2と外部容器1との空間に噴射剤を充填するために設けられている。
【0079】
なお、第1発明、第2発明および第5発明においては、外部容器1と内部容器2との間隙には、酸素などのガスを効率よく吸収させるために、図12に示されるように、シート形状を有するガス吸収剤4を用いることが好ましい。
【0080】
また、図1に示されるようなエアゾール容器において、ガス吸収剤4が直接内部容器1と接触しないようにするために、ガス吸収剤4には、図13に示されるように、接触防止用ガード9を設け、外部容器1に固定させてもよい。
【0081】
また、第1発明においては、図1のA−A部における断面図の一実施態様である図14に示されるように、内部容器2全体が波打つように成形させた場合には、内部容器2の内圧が高くなり、外部容器1と接着したとしても、常に内部容器2と外部容器とのあいだで、空隙が保たれ、内部容器2と外部容器との空間に存在する酸素などのガスを有効にガス吸収剤4に吸収させることができるので好ましい。
【0082】
また、第1発明においては、図15に示されるように、ガス吸収剤4は、該ガス吸収剤4を固定することができるようにするために、底面に凹部が設けられた内部容器2を用いて固定させてもよい。
【0083】
【実施例】
つぎに、本発明のエアゾール容器を実施例にもとづいてさらに詳細に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
【0084】
実施例1
内面にポリアミドフイルムが樹脂皮膜として設けられた、アルミニウム製の有底筒状の外部容器(直径40mm、長さ130mm)の内部に、ポリエチレン製内部容器(直径38mm、長さ110mm、肉厚1mm)が設けられ、該内部容器の開口端に噴射バルブが取りつけられた図1に示されたタイプの二重容器型エアゾール容器を用いた。
【0085】
なお、前記内部容器内には6%過酸化水素水溶液85mlを充填し、また前記外部容器の内面に、ガス吸収剤として活性酸化鉄0.3gをガス通気性の袋体に入れ、前記内部容器と接触しないようにして接着剤であらかじめ接着、固定させた。
【0086】
また、前記外部容器と内部容器との間隙に、噴射剤としてチッ素ガスを充填し、製品圧力を6kg/cm2・G(25℃)に調整した。
【0087】
つぎに、えられた二重容器式エアゾール製品を50℃の雰囲気中に正立で保存し、2日後、14日後および6カ月後に内圧を測定した。その結果を表1に示す。
【0088】
比較例1
実施例1において、ガス吸収剤を用いなかったほかは、実施例1と同様にして二重容器式エアゾール製品を作製した。
【0089】
つぎに、えられた二重容器式エアゾール製品を、実施例1と同様に、50℃の雰囲気中に正立で保存し、2日後、14日後および6カ月後に内圧を測定した。その結果を表1に示す。
【0090】
なお、エアゾール製品を50℃の雰囲気中に6カ月間保存することは、エアゾール製品を25℃の雰囲気中に3〜5年間保存することに相当する促進試験である。
【0091】
実施例2
アルミニウム製の有底筒状の外部容器(直径40mm、長さ130mm)の内部に、ポリエチレン製ピストン(直径38mm、長さ30mm、肉厚1mm)が設けられ、該外部容器の開口端に噴射バルブが取りつけられた図7に示されたタイプのピストン型エアゾール容器を用意した。
【0092】
つぎに、前記外部容器の上部室内には、以下の組成からなる第1剤85mlを充填し、また前記外部容器の下部室内の外部容器の内面に、ガス吸収剤として活性酸化鉄0.3gをガス透過性の袋体に入れ、前記ピストンと接触しないようにして接着剤であらかじめ接着し、固定させて、第1剤用エアゾール製品をえた。
【0093】
(第1剤の組成) 重量%
パラフェニレンジアミン 3.0
レゾルシン 0.5
オレイン酸 20.0
ポリオキシエチレン(10)
オレイルアルコールエーテル 15.0
イソプロピルアルコール 10.0
28%アンモニア水 10.0
精製水 41.5
酸化防止剤、キレート化剤 適量
【0094】
また、前記第1剤用エアゾール製品とは別に、第1剤用エアゾール製品に用いたものと同じ図7に示されたタイプのピストン型エアゾール容器を用意した。
【0095】
つぎに、前記外部容器の上部室内には、以下の組成からなる第2剤85mlを充填し、また前記外部容器の下部室内の外部容器の内面に、ガス吸収剤として活性酸化鉄0.3gをガス透過性の袋体に入れ、前記ピストンと接触しないようにして接着剤であらかじめ接着し、固定させて、第2剤用エアゾール製品をえた。
【0096】
(第2剤の組成) 重量%
30%過酸化水素水 20.0
精製水 80.0
安定化剤 適量
【0097】
また、第1剤用エアゾール製品および第2剤用エアゾール製品のそれぞれ下部室内に、噴射剤としてチッ素ガスを充填し、製品圧力を6kg/cm2・G(25℃)に調整した。
【0098】
つぎに、えられたピストン型エアゾール製品を50℃の雰囲気中に正立で保存し、2日後、14日後および6カ月後に内圧を測定した。その結果を表1に示す。
【0099】
そののち、第1剤用エアゾール製品および第2剤用エアゾール製品から、内容物をそれぞれ約5mlずつ吐出させ、充分に混合して酸化染毛剤を調製したところ、染毛剤として充分に機能するものであった。
【0100】
比較例2
実施例2において、ガス吸収剤を用いなかったほかは、実施例2と同様にしてピストン式エアゾール製品を作製した。
【0101】
つぎに、えられたピストン式エアゾール製品を、実施例2と同様に、50℃の雰囲気中に正立で保存し、2日後、14日後および6カ月後に内圧を測定した。その結果を表1に示す。
【0102】
【表1】
【0103】
表1に示された結果から、実施例1でえられた二重容器型エアゾール製品を用いた場合には、外部容器と内部容器とのあいだに設けられたガス吸収剤により、内容液(6%過酸化水素水)から発生した酸素が内部容器を透過して吸収されるので、6カ月後においても比較例1にみられるような内圧の上昇がないことがわかる。
【0104】
また、実施例2でえられたピストン型エアゾール製品を用いた場合には、下部室内に設けられたガス吸収剤により、内容液(30%過酸化水素水)から発生した酸素がピストンを透過して吸収されるので、6カ月後においても比較例2にみられるような内圧の上昇がないことがわかる。
【0105】
【発明の効果】
本発明のエアゾール容器は、内部に充填される内容液から内圧を上昇させるガスが発生した場合であっても、かかるガスを有効に吸収するので、内圧の上昇を抑制するという効果を奏する。
【0106】
また、本発明のエアゾール容器は、充填される内容物に、酸素などのガスが接触することを防止することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1発明の多室型エアゾール容器の一実施態様を示す概略断面図である。
【図2】第1発明の多室型エアゾール容器の一実施態様を示す概略断面図である。
【図3】第1発明の多室型エアゾール容器の一実施態様を示す概略断面図である。
【図4】第2発明の多室型エアゾール容器の一実施態様を示す概略断面図である。
【図5】第2発明の多室型エアゾール容器の一実施態様を示す概略断面図である。
【図6】第2発明の多室型エアゾール容器の一実施態様を示す概略断面図である。
【図7】第3発明のピストン型エアゾール容器の一実施態様を示す概略断面図である。
【図8】 ピストン型エアゾール容器の一実施態様を示す概略断面図である。
【図9】第4発明のピストン型エアゾール容器の一実施態様を示す概略断面図である。
【図10】第5発明の多室−ピストン複合型エアゾール容器の一実施態様を示す概略断面図である。
【図11】第5発明の多室−ピストン複合型エアゾール容器の一実施態様を示す概略断面図である。
【図12】 第2発明および第5発明のエアゾール容器に用いられるシート形状を有するガス吸収剤が設けられたときのエアゾール容器の概略断面図である。
【図13】ガス吸収剤に接触防止用ガードが設けられた本発明のエアゾール容器の一実施態様の概略断面図である。
【図14】図1に示された第1発明の多室型エアゾール容器のA−A部における概略断面図である。
【図15】 多室型エアゾール容器の一実施態様を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1 外部容器
2 内部容器
3 噴射バルブ
4 ガス吸収剤
6 ピストン
7 上部室
8 下部室
Claims (18)
- 筒状の外部容器、前記外部容器内に設けられ、内容液が充填される内部容器および前記内部容器の開口端に取り付けられた噴射バルブからなる多室型エアゾール容器であって、前記外部容器が耐圧性容器であり、前記内部容器がガス透過性樹脂容器であり、前記内部容器の外側に前記内部容器に充填される内容液と非接触の状態になるように、かつ、前記内部容器と接触せずに前記外部容器の内面上にガス吸収剤が設けられていることを特徴とする多室型エアゾール容器。
- 筒状の外部容器、前記外部容器内に設けられる複数の内部容器からなり、前記内部容器の少なくとも1つが内容液が充填される容器であり、前記内部容器の各開口端に取り付けられる噴射バルブからなる多室型エアゾール容器であって、前記外部容器と前記内部容器とのあいだの空間が一室を形成するようにそれぞれ接続され、前記外部容器が耐圧性容器であり、前記内部容器がガス透過性樹脂容器であり、前記内部容器の外側に前記内部容器に充填される内容液と非接触の状態になるようにガス吸収剤が設けられていることを特徴とする多室型エアゾール容器。
- 筒状の外部容器、前記外部容器内に、前記外部容器の内面と摺動可能に設けられたピストン、前記外部容器内で前記ピストンによって仕切られて形成された上部室および下部室、ならびに前記外部容器の開口端に取り付けられた噴射バルブからなるピストン型エアゾール容器であって、前記外部容器が耐圧性容器であり、前記ピストンがガス透過性樹脂製ピストンであり、前記上部室または下部室には内容液が充填されるようになっており、前記内容液が充填される上部室または下部室の外側に該内容液と非接触の状態になるように、かつ、前記ピストンと接触せずに前記上部室または下部室の外側の外部容器の内面上にガス吸収剤が設けられていることを特徴とするピストン型エアゾール容器。
- 筒状の外部容器、前記外部容器内に、前記外部容器の内面と摺動可能に設けられたピストン、前記外部容器内で前記ピストンによって仕切られて形成された上部室および下部室、ならびに前記外部容器の開口端に噴射バルブが取りつけられたピストン型エアゾール容器であって、前記ピストンが複数用いられ、前記外部容器が耐圧性容器であり、前記ピストンがガス透過性樹脂製ピストンであり、前記噴射バルブ側の上部室に内容液が充填されるようになっており、前記上部室の外側に前記上部室に充填される内容液と非接触の状態になるようにガス吸収剤が設けられていることを特徴とするピストン型エアゾール容器。
- 筒状の外部容器、前記外部容器内に設けられ、内容液が充填される内部容器および前記外部容器の内面と摺動可能に設けられたピストン、前記外部容器内で前記ピストンによって仕切られて形成された上部室および下部室、ならびに前記外部容器の開口端に取り付けられた噴射バルブからなる多室−ピストン複合型エアゾール容器であって、前記外部容器内で内部容器とピストンとのあいだに前記上部室が形成され、外部容器が耐圧性容器であり、前記内部容器がガス透過性樹脂容器であり、前記ピストンがガス透過性樹脂ピストンであり、前記内部容器と下部室に内容液が充填されるようになっており、前記上部室に、前記内容液と非接触の状態になるようにガス吸収剤が設けられていることを特徴とする多室−ピストン複合型エアゾール容器。
- 前記ガス透過性樹脂容器がポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、塩化ビニル樹脂またはポリアミドからなる容器である請求項1、2または5記載のエアゾール容器。
- 前記ガス吸収剤が酸素吸収剤である請求項1、2、3、4または5記載のエアゾール容器。
- 前記酸素吸収剤が活性酸化鉄である請求項7記載のエアゾール容器。
- 前記ガス吸収剤が前記内部容器と接触せずに前記外部容器の内面上に設けられている請求項2または5記載のエアゾール容器。
- 前記外部容器と前記内部容器との間隙に噴射剤が充填される請求項1、2または5記載のエアゾール容器。
- 前記噴射剤が前記ガス吸収剤に対して不活性のものである請求項10記載のエアゾール容器。
- 前記ピストンがポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ABS樹脂、塩化ビニル樹脂またはポリアミドからなる請求項3、4または5記載のエアゾール容器。
- 前記ガス吸収剤が前記ピストンと接触せずに前記下部室の外部容器の内面上に設けられている請求項4または5記載のエアゾール容器。
- 前記ガス吸収剤が前記ピストンの内容液と接触していない面に設けられている請求項3、4または5記載のエアゾール容器。
- 前記下部室内に噴射剤が充填されてなる請求項3、4または5記載のエアゾール容器。
- 前記噴射剤が前記ガス吸収剤に対して不活性のものである請求項15記載のエアゾール容器。
- 前記ガス吸収剤としてシート形状を有するガス吸収剤が用いられ、該シート形状を有するガス吸収剤が前記外部容器と前記内部容器との間隙に設けられてなる請求項1、2または5記載のエアゾール容器。
- 前記ガス吸収剤の表面上に接触防止用ガードが設けられてなる請求項1、2、3、4または5記載のエアゾール容器。
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