JP3612236B2 - 自転車用ハブダイナモ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、前照灯等の電源供給源となる自転車用ハブダイナモの技術分野に属するものである。
【0002】
【従来技術】
一般に、自転車の前照灯等の電源供給源としてダイナモが一般に採用され、この様なダイナモとして、車輪の車軸ハブ部に設けられるハブダイナモが知られている。そしてこの様なハブダイナモは、車輪スポーク(図示せず)に固定される車軸に、スペーサを介してコイルボビンを支持し、該コイルボビンにステータコイルを巻装し、その外周側にクローポール型のヨーク(磁極片)を左右両側から設ける一方、車輪側にはマグネットが止着されたリングヨークを固定し、車輪回転に基づくマグネットのステータコイルに対する相対回転で発電するようにしている。ところでこの様なハブダイナモにおいて、前記左右のヨークを固定する必要があり、そのため従来は、次ぎのようなものがあった。まず図5(A)に示す第一のものは、前記クローポール型をした左右各ヨーク(磁極片)11の基端部(軸芯側部)を左右方向対向面側に向けてそれぞれ絞り加工してスペーサ片12を形成し、そして該左右のスペーサ片12同志を互いに接当固定したものがある。また、同図(B)に示す第二のものは、左右ヨーク13の基端部間に肉厚円筒状のスペーサ部材14を介装し、該スペーサ部材14にヨーク13の基端部を固定したものがある。さらに同図(C)に示す第三のものは、左右ヨーク15の基端部間に介装されるスペーサ16を四角筒形状とし、該四角筒形状の各辺を平板16aを複数枚積層して形成したものがある。尚、これらの図面において17はリングヨーク、18はマグネット、19はステータコイル、20はコイルボビン、Cは車軸センターである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、前記従来のものは次ぎの様な問題がある。まず第一のものは、スペーサ片12が絞り加工により形成されている結果、該絞り部の面積が磁束を受ける面積より小さくなってしまうため、この絞り部で磁束が飽和することになって効率の良い発電ができなくなるという問題がある。次ぎの第二のものは、第一のもののように面積が小さくなるため飽和するという問題はないが、高速時においてスペーサ部材14の内部に発生する渦電流損が大となって高速時の出力電圧が低下するという問題がある。最後に第三のものであるが、スペーサ部材16を積層板16aで形成しているため、第二のものに比して渦電流損を低減することができるが、スペーサ部材16が平板を積層して四角筒形状にしている結果、スペーサ部材16とコイルボビン20とは、スペーサ部材16のコーナー部では当接するが、隣接コーナー部のあいだでは離間し、しかもこの離間する距離が変化することになり、この結果、コイルボビンが大径となってステータコイル19の巻きスペースが狭くなってしまうという問題がある。しかも、コイル巻きスペースを広くしようとすると、ハブダイナモが大型化することになる。そのうえ、スペーサ部材16とステータコイル19との距離が離間することで特性が低下するという問題があり、ここに本発明の解決すべき課題がある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、車輪ハブ部に取付けられる自転車用のハブダイナモであって、該ハブダイナモを構成すべくステータコイルの外側に設けられるヨークの基端部間にスペーサ部材を介装するにあたり、該スペーサ部材は、薄板材を円筒状に積層組み込みして形成されていることを特徴とするもので、このようにすることにより、磁束が飽和することを回避し、かつ渦電流損を低減できるものでありながら、スペーサ部材とコイルボビンとのあいだに無駄なスペースが形成されてしまうことを回避して、スペース効率を向上すると共に、スペーサ部材とステータコイルとの距離関係を一定にして高速出力時の特性を改善することができる。
またこのものにおいて、スペーサ部材は、順次径の異なった薄板円筒部材を積層して形成したもの、あるいは薄板材を渦巻き状に積層して形成したものにすることができる。
さらに、スペーサ部材については、各径に設定された半円筒状のものを突き合わせて形成されているもの、各対応する円周寸法に形成された薄板材を円筒状に湾曲したものを積層して形成されているものにすることができる。
またこれらについて、スペーサ部材は、軸に対して径方向に積層されていることを特徴とすることができ、このものでは、磁気抵抗を減らし、効率よく磁束を流すことができると共に、渦電流損を低減できる。
【0005】
【発明の実施の形態】
次ぎに、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。図中、1は自転車の車軸ハブ部に取り付けられるハブダイナモであって、該ハブダイナモ1を構成する筒状のリングヨーク2は内周面にマグネット(永久磁石)3が固着されている。さらにリングヨーク2の外周を被覆内奏するケーシング4には、車輪スポーク(図示せず)を取付けるための取付け孔4aが形成されていると共に、該ケーシング4の一側部を覆蓋するサイドパネル5の軸芯部がベアリング6を介して車軸7に自由回転自在に軸支されており、そしてリングヨーク2と共にマグネット3が車輪の回転に連動して一体回動するようになっていること等は何れも従来通りである。
【0006】
一方、前記車軸7には後述するスペーサ部材8が外嵌状に止着され、該スペーサ部材8の外周にコイルボビン9が止着され、さらに該コイルボビン9にステータコイル10が巻装されている。さらに11はクローポール型のヨーク(磁極片)であって左右一対が設けられるが、該各ヨーク11の基端部11aは前記スペーサ部材8の左右両側部に止着されている。尚、図中、7a、7bはヨーク基端部11aを車軸7に固定するためのナットである。
【0007】
さて、前記スペーサ部材8は次ぎのようにして組み込み形成されている。つまり、鉄等の強磁性材料から形成され、略板厚相当分だけ順次径が異なった複数の薄板円筒部材8aを用意し、これら板厚円筒部材8aを入れ子状態(年輪状態)で軸方向に円筒積層状態になるよう嵌合組み込みして形成されている。
【0008】
叙述の如く構成されたものにおいて、車輪の回転に伴い、ステータコイル10に起電されることになるが、この場合に、左右ヨーク11の基端部を連結するためスペーサ部材8が介装されているため、ヨーク11の基端部間が磁束を受ける面積より小さくなることがなくなって磁束の飽和を回避でき、しかもこのスペーサ部材8は、薄板の積層構造になっていて、渦電流損の低減を図ることができながら、薄板積層構造を、従来のように四角筒形状ではなく円筒形状にしているから、四角筒状にしたもののようにスペーサ部材8とコイルボビン9とのあいだに無駄なスペースが形成されてしまうことがなくなって、スペーサ部材8とコイルボビン9の胴部とを隙間のない状態で組込むことができ、この結果、スペーサ部材8とステータコイル10との距離の関係も均一になって距離の関係にバラツキを生じてしまう四角筒形状のもののように特性の低下を伴うことがなく、高速時出力の特性改善を図ることができる。
【0009】
尚、本発明は、前記実施の形態のものに限定されないことは勿論であって、スペーサ部材としては図4にそれぞれ示す構成としても実施することができる。まず図4(A)に示す実施の形態のものは、スペーサ部材8を、長尺の薄板材8bを渦巻き状に積層して形成したもので、この場合には、長尺薄板材をロール成形することにより形成することができる。また、同図(B)、(C)に示す実施の形態のものは、スペーサ部材8を、各径に設定された半円筒状(半円に限らず、1/3半円、1/4半円等、必要において分割した適宜の半円で良いことは勿論である)の薄板材8cをそれぞれ突き合わせて積層形成したもの、各対応する円周寸法に形成された薄板材8dを円筒状に湾曲したものを積層して形成したもので、これらのものでは、スペーサ部材8に薄板材の区切りライン8eがでるものの、薄板材の半円または円筒の湾曲加工で良いため、加工が簡単にできる。勿論、この様な場合に、仕切りライン8eを周回り方向に位置ズレさせたものとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】ハブダイナモのケーシング部を断面した側面図である。
【図2】ハブダイナモの全体断面側面図である。
【図3】(A)スペーサ部材の正面図、(B)スペーサ部材の分解斜視図、(C)スペーサ部材の斜視図である。
【図4】(A)は長尺薄板材を渦巻き状にして形成したスペーサ部材の正面図、斜視図、(B)は半円寸法の薄板材を用いて形成したスペーサ部材の正面図、分解斜視図、斜視図、(C)は円周寸法の薄板材を用いて形成したスペーサ部材の正面図、分解斜視図、斜視図である。
【図5】(A)(B)(C)は従来のハブダイナモの部分断面図である。
【符号の説明】
1 ハブダイナモ
8 スペーサ部材
8a 薄板円筒部材
9 コイルボビン
10 ステータコイル

Claims (6)

  1. 車輪ハブ部に取付けられる自転車用のハブダイナモであって、該ハブダイナモを構成すべくステータコイルの外側に設けられるヨークの基端部間にスペーサ部材を介装するにあたり、該スペーサ部材は、薄板材を円筒状に積層組み込みして形成されていることを特徴とする自転車用ハブダイナモ。
  2. 請求項1において、スペーサ部材は、順次径の異なった薄板円筒部材を積層して形成されることを特徴とする自転車用ハブダイナモ。
  3. 請求項1において、スペーサ部材は、薄板材を渦巻き状に積層して形成したことを特徴とする自転車用ハブダイナモ。
  4. 請求項1または2において、スペーサ部材は、各径に設定された半円筒状のものを突き合わせて形成されていることを特徴とする自転車用ハブダイナモ。
  5. 請求項1または2において、スペーサ部材は、各対応する円周寸法に形成された薄板材を円筒状に湾曲したものを積層して形成されていることを特徴とする自転車用ハブダイナモ。
  6. 請求項1、2、3、4または5において、スペーサ部材は、軸に対して径方向に積層されていることを特徴とする自転車用ハブダイナモ。
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