JP3611344B2 - 押し花をアクリル変性耐衝撃性透明板に埋封したブローチの作り方 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
この発明は、手芸教室や手作り講習会等で、自然の花を採取して押し花にしたものを、アクリル変性透明板に常温硬化する透明性のある合成樹脂液3で埋封して、身近なブローチなどの作品を手作るための方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
積層成形物をつくる技術については熱硬化性の合成樹脂のユリヤ樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エボキシ樹脂などの分野だけでも、広い範囲にわたって積層成形物や美しい化粧板による製品が作られているところである。
(参考文献−プラスチック技術全書−秋田務著−工業調査会発刊。プラスチック材料講座−エボキシ樹脂−橋本邦之著−日刊工業新聞社発刊。プラスチック加工技術便覧−著者プラスチック加工便覧編集委員会−日刊工業新聞社刊等)
また、適当大の透明又は不透明板の片面(裏面)に、貝殻片などを透明な不飽和ポリエステル樹脂でもって貼着埋封した装飾物の製法については、特許第1271934号によってすでに実施されているところである。
これら従来からすでに実施されている技術によっては、手芸教室や60〜90分間位の手作り講習会等で、透明板に押し花を埋封して身近なブローチなどを仕上げるには、次のような問題点があった。
(1) 編み物をはじめとする手芸教室や地域の公民館活動の一環とした手作り講習会場等においては、工作するために準備できる物は、机、ヘアドライヤー、湯沸かし器、一般用鋏、研磨紙、物差し、筆記具等で従来の工場生産とその設備を前提とした技術を達成することは困難である。
(2) 最近の手芸教室や手作り講習会等においては、身近なブローチなどについても、自己の創意と感興性をできるだけ表現して、市販品にない物、皆と同じ様でないオリジナルなものを作りたいという要望が強いため、同一の押し花をあらかじめ機械裁断した同一形状の透明板に使用したものは作りたくないという意向が強い。
(3) 押し花は、金属、繊維、貝殻片、鉱物などと違い、採取時の色合いの違いや大小形状の違いをはじめ残存水分が約8〜15%ある有機物である。これらの押し花について、出来るだけ自然の色合いと形状の美しさを発揮しながら、前記公民館などにおける設備の条件で、透明板を受講者自身が好みの形状に切断して押し花を埋封し、受講者自身が好みの曲面を作りながら、60〜90分でブローチなどの作品に仕上げる方法は確立されていなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前記の手芸教室や地域の公民館等における手作り講習会において、押し花を透明板に埋封してブローチなどを手作る際に、従来の積層成形技術や透明板に貝殻片などを埋封する方法の問題点を解決し、手芸教室や地域公民館における楽しい手作り講習会の進展の一端に役立つことを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
基本となる手段としては、(イ)切断の器具が鋏しかない場合の解決として婦人の手でも容易に切断することができ、その表面にボールペンで容易に形状図柄を画く事が出来る、肉厚が0,5〜0,8mmのアクリル変性透明板を使用する。(ロ)アクリル変性透明板1の片面に押し花の埋封透明層5を設け、その押し花4の背景色には、着色した和紙6を含浸埋封した透明層5−Aを設けることによって、常温で硬化する透明性のある合成樹脂液3のみで仕上げる。(ハ)曲面7を設けるには40°C〜60°Cの範囲内(70°C〜100°Cでは封入した押し花5が変色する場合がある)で数分間加温してから手先で曲げながら、数分間冷水につける。
第1手段の構成
(イ) アクリル変性透明板1をブローチ等に必要な任意の形状に切断してから、その片面に透明性のある粘着テープ2を貼りつけ、その貼りつけた面を下側にして水平に設置してから、その上面側全体に、常温で硬化する透明性のある合成樹脂液3を注入塗布して、その上に押し花4を表側を下向きにして配置する。
(ロ) 注入塗布した合成樹脂液3の流動性がなくなりはじめた時、当該アクリル変性透明板1を手にとって反転し、押し花4の表面の気泡の有無を点検してから、下向きに配置した押し花4の裏面全体に、再度透明性のある合成樹脂液3を注入塗布して当該押し花の埋封透明層5を設けてから、その表面が流動性がなくなりはじめた時、当該アクリル変性透明板1と同形に切断し、押し花4の背景色となる着色した和紙6を、当該埋封透明層5の表面に貼着してから、その上に再々度透明性のある合成樹脂液3をその着色した和紙6に含浸注入塗布して、和紙6を埋封した透明層5−Aを設ける。
(ハ) 和紙6を埋封した透明層5−Aの硬化が進んで流動性がなくなってから、40°C〜60°Cで数分間加熱して手先で任意の曲面に曲げながら、冷水に数分間つけて曲面7を設け、その片面に貼りつけていた粘着テープ2をめくり取り、縁まわり8だけを研磨して仕上げる。
第2手段の構成
(イ) あらかじめブローチ等の縁まわり8に接着するため、その表向きの横断面が┌ と ┐状になる縁枠9を設け、当該縁枠9を反転してその断面が└ と ┘になる様にして水平に設置して、その縁枠9の内径サイズに合わせて切断した、アクリル変性透明板1を、当該縁枠9の平面部位10に接着剤11を介して、一体的になる様に接着固定する。
(ロ) 接着固定したアクリル変性透明板1の上向きの面の全体に、常温で硬化する透明性のある合成樹脂液3を注入塗布して、その上に押し花4を表側を下向きに配置して、注入塗布している合成樹脂液3の流動性がなくなりはじめた時、配置した押し花4表面の気泡の有無などを点検してから、配置している押し花4の裏側全体に、再度透明性のある合成樹脂液3を注入塗布して、当該押し花4の埋封透明層5を設け、その表面が硬化が進み流動性がなくなりはじめた時、縁枠9と同サイズに切断し着色した和紙6を、当該埋封透明層5の表面に貼着し、続いて再々度合成樹脂液3を貼着した和紙6に含浸しながら、縁枠9面一杯に注入して、硬化後は、当該縁枠9に一体的に接着固定し、任意の止め具を付着して仕上げる。
第3手段の構成
(イ) 前記第1手段の構成の(イ)のアクリル変性透明板1を水平に設置してから、常温硬化した際に空気に触れている表面が、空気中の酸素の作用によって、べたつきが残る透明性のある不飽和ポリエステル樹脂液3−Aを注入塗布してから、前記第1手段の構成の(ロ)の和紙6を貼着含浸して、和紙を埋封した透明層5−Aを設け、その上に押し花4をその表面を上向きに配置して、再度不飽和ポリエステル樹脂液3−Aをその押し花4上から注入塗布して、押し花4の埋封透明層5を設ける。
(ロ) 埋封透明層5の表面が流動性がなくなる程に硬化してから、当該埋封透明層5全面に、紫外線によって反応硬化する透明なUV樹脂液3−Bを注入塗布して、日光などにあてて硬化して仕上げる。
【0005】
【作 用】
(イ) 受講する一般の人達が鋏でもって任意の形状に容易に切断できるのは、例えアクリル変性透明板1でもその肉厚が0,8mmまでである。
(ロ) 任意の形状に切断したアクリル変性透明板1の片面に、透明性のある粘着テープ2を貼りつけることによって、当該透明板1の上面に注入塗布して押し花4の埋封透明層5などを設ける際、当該樹脂液3が溢れ落ちて下側になっている透明板1面ににじみ込んで付着硬化し、汚損することを防止する。
(ハ) 押し花4の透明埋封層5の背景面に、着色した和紙6を使用することによって、使用する合成樹脂は常温で硬化する透明性のある合成樹脂液3のみでよく、また、当該和紙6に含浸して一体的に硬化するため、作品にFRP的強度が促進される。
(ニ) 縁枠9を設けることによって、当該透明板1の縁まわりの機能を強化し、装飾性を高める。
(ホ) 紫外線によって反応硬化する透明なUV樹脂液3−Bのみによって押し花4を埋封した場合は、当該押し花4の花辨を構成するスポンジ層内まで泌み込んで含浸することがない、そのためスポンジ層などの残存水分中の酵素の活動機能を止めることが出来ず、概ね6ケ月位で埋封した押し花4は変色するとともに、当該押し花の花辨の裏面には十分に紫外線があたらないため、気泡の出現や変色の原因となる。その対応処置として硬化しても表面湿性の不飽和ポリエステル樹脂3−Aでもって、先ず押し花4を含浸埋封することによって、酵素の活動機能を止めてから、その表面にUV樹脂液3−Bを注入塗布して硬化することによって、気泡、変色の懸念少なく、また、硬化したUV樹脂液部分が離脱することなく、表面に曲面のある作品が得られる。
【0006】
【実施例】
(イ)アクリル変性透明板1を任意の形状に切断するには、あらかじめブローチなどの形状を紙面に画いてから、その上にアクリル変性透明板をのせ、透視しながらボールペンで紙面の図柄を写し画き、その写し画いた図柄線に沿って鋏で切断する。
(ロ)使用する押し花4はその肉厚が2mm以下のものがよい。
(ハ)透明性のある合成樹脂液3は、ワックスタイプ不飽和ポリエステル樹脂液、空気乾燥性不飽和ポリエステル樹脂液の他エボキシ樹脂液、歯科用アクリル樹脂液などを用いることが出来る。
(ニ)押し花4の背景色には、着色した和紙6のほか、布や繊維、常温で硬化する着色した合成樹脂液、金、銀色の金属箔や線なども用いる。
(ホ)縁枠9には、金属製、合成樹脂製、陶器製、木や竹製、ボール紙製などのものを用いる。
(へ)流動性のなくなりはじめた合成樹脂液3の上に配置した押し花4の下向きの花辨表面に、気泡などが生じていれば、アクリル変性透明板1を手にとって、軽く圧し出して除いてから、配置した押し花4の裏面全体に、合成樹脂液3を注入塗布することが好ましい。
【0007】
【発明の効果】
うすい押し花を、肉厚が0,5〜0,8mmのうすいアクリル変性透明板に、透明性のある常温で硬化乾燥する合成樹脂液のみでもって、一般の鋏などをはじめ日常生活の中にある小器具を使って、切断、含浸埋封、積層して変色を防止し、好みの背景色を附し、任意の曲面を自ら設けながら、ブローチなどの作品を、60分〜90分で手作る方法ができることによって、押し花の新しい利用分野を開くとともに、手芸教室や公民館活動としての楽しい手作り教室の進展の一助となる。
【図面の簡単な説明】
【図 1】請求項1の(イ)の実施例を示す斜視断面図。
【図 2】請求項1の(ロ)(ハ)(ニ)の実施例を示す平面、断面図。
【図 3】請求項1の(ホ)(ヘ)の実施例を示す斜視断面図。
【図4】請求項2の実施例を示す斜視断面図。
【図5】請求項3の実施例を示す断面図。
【符号の説明】
1はアクリル変性透明板。
2は透明な粘着テープ。
3は透明性のある合成樹脂液。
3−Aは不飽和ポリエステル樹脂液。
3−BはUV樹脂液。
4は押し花。
5は押し花の埋封透明層。
5−Aは和紙を埋封した透明層。
6は着色した和紙。
7は手先で設けた曲面。
8は切断したアクリル変性透明板の縁まわり。
9は縁枠。
10は縁枠の平面部位。
11は接着剤。
Claims (3)
- (イ)肉厚が、0.5〜0.8mmのアクリル変性耐衝撃性透明板1(以下単にアクリル変性透明板という)を任意の形状に切断してから、その片面に透明性の粘着テープ2を貼り付け、その粘着テープ2を貼りつけた面を下側にして水平に設置し、
(ロ)水平に設置したアクリル変性透明板1のその上面側全体に、常温で硬化する透明性のある合成樹脂液3を加熱流動させてから注入塗布して、その上に押し花4を、その表側を下向きにして配置し、
(ハ)前記注入塗布した合成樹脂液3の流動性がなくなりはじめた時、その配置した押し花4の裏面全体に、再度透明性のある合成樹脂液3を注入塗布して、当該押し花の埋封透明層5を設け、
(ニ)前記埋封透明層5の表面の流動性がなくなりはじめた時、押し花4の背景色とするための和紙6、布、繊維、常温で硬化する着色した合成樹脂液、及び金又は銀色の金属箔又は線のうちの少なくとも一つを、当該埋封透明層5の表面に配置してから、その上に再々度透明性のある合成樹脂液3を、注入塗布して埋封透明層5−Aを設け、
(ホ)前記埋封透明層5−Aが硬化してから、40〜60°Cに加熱して、任意の曲面に曲げながら、冷水につけて、曲面7を設け、
(ヘ)該曲面7を設けてから、片面に貼り付けていた前記粘着テープ2をめくり取り、縁まわり8を研磨して仕上げた
手順と構成を有する押し花を、アクリル変性透明板に埋封したブローチの作り方において、
前記合成樹脂液3は、空気乾燥性不飽和ポリエステル樹脂液を使用したことを特徴とする押し花を、アクリル変性透明板に埋封したブローチの作り方。 - (イ)縁まわり8に配設されるとともに、表向きの横断面が平面部位10により┌と┐状になる縁枠9を反転させて水平上向きに設置して、次に、肉厚が、0.5〜0.8mmのアクリル変性透明板1を、前記縁枠9の内径サイズに合わせて切断して、前記縁枠9の平面部位10に接着剤11を介して一体的になるように接着固定させた後、水平に設置し、
(ロ)前記水平に設置したアクリル変性透明板1のその上面側全体に、常温で硬化する透明性のある合成樹脂液3を加熱流動させてから注入塗布して、その上に押し花4を、その表側を下向きにして配置し、
(ハ)前記注入塗布した合成樹脂液3の流動性がなくなりはじめた時、その配置した押し花4の裏面全体に、再度透明性のある合成樹脂液3を注入塗布して、当該押し花の埋封透明層5を設け、
(ニ)前記埋封透明層5の表面の流動性がなくなりはじめた時、押し花4の背景色とするための和紙6、布、繊維、常温で硬化する着色した合成樹脂液、及び金又は銀色の金属箔又は線のうちの少なくとも一つを、当該埋封透明層5の表面に配置してから、その上に再々度透明性のある合成樹脂液3を、注入塗布して埋封透明層5−Aを設ける
手順と構成を有する押し花を、アクリル変性透明板に埋封したブローチの作り方において、
前記合成樹脂液3は、空気乾燥性不飽和ポリエステル樹脂液を使用したことを特徴とする押し花を、アクリル変性透明板に埋封したブローチの作り方。 - (イ)任意の形状の切断したアクリル変性透明板の片面に透明性の粘着テープ2を貼り付け、その粘着テープ2を貼りつけた面を下側にして水平に配置したアクリル変性透明板1の上に、常温硬化した際に空気に触れている面が、空気中の酸素の作用によって、その表面にべたつきが残る不飽和ポリエステル樹脂液3−Aを加熱流動させてから注入塗布し、次いで和紙6、布、繊維、常温で硬化する着色した合成樹脂液、及び金又は銀色の金属箔又は線のうちの少なくとも一つをその上に配置してから、その上に押花4をその表面を上向きにして配置し、
(ロ)上向きに配置した押花4の裏面に泌み込んだ不飽和ポリエステル樹脂液3−Aが流動性がなくなりはじめた時に、再度加熱流動させた不飽和ポリエステル樹脂液3−Aを配置した押花4の上から注入塗布して、埋封透明層5を設ける手順と構成を有する押し花を、アクリル変性透明板に埋封したブローチの作り方において、
前記埋封透明層5の表面が流動性がなくなる程に硬化してから、さらにその埋封透明層5全面に、紫外線によって反応硬化する透明性のあるUV樹脂液3−Bを加熱流動させてから注入塗布して、硬化して仕上げることを特徴とする押し花をアクリル変性透明板に埋封したブローチの作り方。
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JP13238494A JP3611344B2 (ja) | 1994-05-09 | 1994-05-09 | 押し花をアクリル変性耐衝撃性透明板に埋封したブローチの作り方 |
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JP13238494A Expired - Lifetime JP3611344B2 (ja) | 1994-05-09 | 1994-05-09 | 押し花をアクリル変性耐衝撃性透明板に埋封したブローチの作り方 |
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KR100693268B1 (ko) * | 2005-04-12 | 2007-03-13 | 경기도 고양시 | 아크릴을 이용한 압화 제작방법 및 그 아크릴압화 |
-
1994
- 1994-05-09 JP JP13238494A patent/JP3611344B2/ja not_active Expired - Lifetime
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