JP3611043B2 - 周波数スイープ機能付き波形発生器 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、任意の波形を発生すると共に高精度で高帯域の周波数スイープを可能とする周波数スイープ機能付き波形発生器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より周波数可変の信号を発生するファンクションジェネレータはよく知られている。このファンクションジェネレータはその内部に電圧−周波数変換を行う回路を有しているが、大半はアナログ方式のものである。
【0003】
図3はコンデンサの充放電を利用した電圧−周波数変換回路の一例を示すものである。入力端に電圧eが加わると、入力抵抗R、コンデンサC、増幅器Aからなるランプ回路により増幅器Aの出力eが図示のように上昇してゆく。この出力がツェナーダイオードZにより決まるツェナー電圧(基準電圧e :ここでは+6.3V)を越えると、コンパレータBの出力がHIGHレベルとなり、これによりフリップフロップDの出力がHIGHレベルとなる。
【0004】
フリップフロップDの出力がHIGHレベルになると、トランジスタEがONになり、コンデンサCに充電された電荷が放電する。これにより増幅器Aの出力電圧が0Vまで下がり、コンパレータBの出力がLOWレベルになり、フリップフロップDの出力もLOWレベルになる。これに応じてトランジスタEはOFFになる。
【0005】
上記の動作を繰り返すことによって、フリップフロップDからは、入力電圧eに対応した周波数Fの信号が得られる。このときの周波数Fは、
=1/{(e )・R・C}
である。
そして入力電圧eをスイープすることにより出力信号の周波数をスイープすることができる。
なお、この電圧−周波数変換回路ではパルス列状の波形しか出力されないが、三角波や正弦波に変換する回路を付加することにより三角波や正弦波が同時に得られ、また周波数スイープもできるファンクションジェネレータを構成することができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の電圧・周波数変換回路においては、各素子の温度に対する安定度が悪く、また動作速度も非常に遅いものしか実現できないという問題があった。
【0007】
本発明の目的は、このような点に鑑み、アナログ方式ではなく主としてデジタルデータを扱う回路を用いて、高精度で高安定に周波数変換および周波数スイープのできる波形発生器を実現することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
入力される周波数データに対応して変化するアドレスデータを基準クロックに同期して発生する第1のアドレスジェネレータと、
波形データが格納され、前記第1のアドレスジェネレータからアドレスが指定されると当該アドレスに格納された波形データが読み出されるように構成された波形メモリと、
この波形メモリの出力データをアナログ変換するDA変換器と、
前記第1のアドレスジェネレータに与える周波数データが格納され、アドレスが指定されると当該アドレスに格納された周波数データが読み出されるように構成された周波数情報メモリと、
前記周波数情報メモリに与えるアドレスとして、入力のデータに対応して変化するデータを前記基準クロックに同期して発生する第2のアドレスジェネレータと、
前記周波数情報メモリに与えるアドレスとして前記第2のアドレスジェネレータの出力または外部入力信号のいずれかを選択する手段
を具備し、前記DA変換器より周波数スイープされる波形が得られるように構成したことを特徴とする。
【0009】
【作用】
第1のアドレスジェネレータから発生するアドレスにより波形メモリから波形データが読み出され、DA変換器を介してアナログ波形として出力される。
出力のアナログ波形の周波数は第1のアドレスジェネレータに与える周波数データに応じて変わる。
その周波数データは周波数情報メモリに格納されている。周波数情報メモリに与えるアドレスを変化させ、読み出される周波数データを変化させることによりアナログ波形の周波数スイープができる。
周波数情報メモリに対するアドレスは、第2のアドレスジェネレータまたは外部信号入力をAD変換するAD変換器より与えられる。
【0010】
【実施例】
以下図面を用いて本発明を詳しく説明する。図1は本発明に係る周波数スイープ機能付き波形発生器の一実施例を示す構成図である。図において、1は外部入力信号(アナログ信号)をデジタル変換するアナログ・デジタル変換器(以下アナログ・デジタル変換をAD変換という)、2はスイッチ、3は周波数情報が格納された周波数情報メモリ、4は基準クロックを発生するクロック発振器、5は基準クロックを分周する分周器、6は波形データが格納された波形メモリ、7は波形メモリ6から読み出された波形データをアナログ変換するデジタル・アナログ変換器(以下デジタル・アナログ変換をDA変換という)、8は周波数情報メモリ3および波形メモリ6に対してデータの書き込み等を行うための制御演算回路、10は波形メモリ6に対するアドレスを発生する第1のアドレスジェネレータ、20は周波数情報メモリ3に対するアドレスを発生する第2のアドレスジェネレータである。
【0011】
AD変換器1は分周器5から与えられるクロックに同期して外部入力信号をAD変換する。分周器5はクロック発振器4が発生するクロックを適宜分周する。
AD変換器1の出力と第2のアドレスジェネレータ20の出力はスイッチ2により択一的に選択され、周波数情報メモリ3に対する読み出しアドレスとなる。周波数メモリ3には周波数データが予め格納されている。
【0012】
第1のアドレスジェネレータ10は、周波数情報メモリ3からの周波数データ(M)を受け、Mずつ増加するデータを波形メモリ6に対するアドレスとして発生する。
波形メモリ6は指定されたアドレスの内容(波形データ)を出力する。このデータはDA変換器7に導かれ、DA変換される。
【0013】
第1のアドレスジェネレータ10の構成について説明する。なお、第2のアドレスジェネレータ20も第1のアドレスジェネレータ10と同一構成であるので、改めて第2のアドレスジェネレータ20の構成については説明しない。
第1のアドレスジェネレータ10において、11は加算器、12はラッチである。加算器11の出力はラッチ12に入力され、ラッチ12の出力は再び加算器11に戻される。加算器11では周波数データMとラッチ12の出力とを加算する。ラッチ12はクロック発振器4のクロックに同期して入力信号をラッチする。
この結果、ラッチ12からはクロックパルスが入力されるごとにMずつ増加するアドレスが発生する。
【0014】
このような構成における動作を次に説明する。図1において、第1のアドレスジェネレータ10、波形メモリ6、DA変換器7からなる部分は、ダイレクト・デジタル・シンセサイザ(DDS)方式と呼ばれる波形発生回路部分である。この部分では、周波数データMを変えることによって出力波形の1周期の時間(換言すれば、周波数)を変えることができる。
この周波数データを変えるための回路部分が、AD変換器1、スイッチ2、第2のアドレスジェネレータ20と周波数情報メモリ3からなる部分である。
【0015】
(1) まずスイッチ2により第2のアドレスジェネレータ20の出力を選択した場合について説明する。
第1のアドレスジェネレータ10と波形メモリ6とが出力波形の1周期の時間を決めるものであるのに対し、第2のアドレスジェネレータ20と周波数情報メモリ3は周波数データの1周期の時間つまりスイープ時間を決めるものである。
第2のアドレスジェネレータ20の全体時間Nが入力されると、第2のアドレスジェネレータ20からはN,2N,3N,...が出力され、周波数情報メモリ3のアドレスを順次更新する。周波数情報メモリ3にリニアデータが格納されていた場合、出力の周波数データはリニアに変化するものとなる。
【0016】
説明の都合上、周波数情報メモリ3のアドレスはAから9Aまでで、リニアデータが格納されているものとする。N=Aとした場合は、図2(a)に示すように9クロックごとに周波数データが繰り返される。N=3Aとした場合は、図2(b)に示すように3クロックごとに周波数データが繰り返される。
したがって、全体時間Nを変えることによりスイープ時間を変えることができる。なお、スイープの時間の精度はクロックに依存し、他の素子のばらつきには影響されない。
【0017】
(2) 次に、スイッチ2によりAD変換器1の出力を選択した場合について説明する。
外部入力信号をAD変換した値が周波数情報メモリ3のアドレス値となるので、外部入力として与えられた電圧値によってスイープ時間が決まる。このAD変換器1は第2のアドレスジェネレータ20と同じ役割をする。入力される値はアナログ量であるが本発明の内部回路ではすべてデジタルデータで処理される。
なお、外部入力信号によるスイープはAD変換器1の性能に左右されるが、最近のAD変換器は100KHz以上の速度で動作するものも多く、したがって広帯域の周波数スイープが可能である。
【0018】
なお、周波数情報メモリ3に格納するデータはリニアデータに限定されず、例えば対数的に変化するデータとしてもよい。その場合本発明の波形発生回路からはログスイープの出力が得られる。
また、波形メモリ6にも適宜所望の波形データを書き込んでおくことができ、目的に応じて方形波、三角波、正弦波等の各種波形データを格納しておくことができる。
なおこれら周波数情報メモリ3および波形メモリ6へのデータ書き込みは制御演算回路8により行われる。
【0019】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、周波数情報メモリに格納するデータを変えることにより容易に多様な周波数スイープを実現することができる。
また、デジタル回路で構成したため、スイープの時間の精度は使用するクロックにのみ依存し、他の素子のばらつきには影響されず、安定な周波数スイープが容易に実現できる。
また、外部入力信号によるスイープでは、スイープの速度はAD変換器の性能に左右されるが、100KHz以上の高速動作のADも多く、広帯域の周波数スイープも容易に実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る周波数スイープ機能付き波形発生器の一実施例を示す構成図である。
【図2】周波数情報メモリから読み出される周波数データについての説明図である。
【図3】従来の電圧−周波数変換回路の一例を示す構成図である。
【符号の説明】
1 AD変換器
2 スイッチ
3 周波数情報メモリ
4 クロック発振器
5 分周器
6 波形メモリ
7 DA変換器
8 制御演算回路
10 第1のアドレスジェネレータ
11 加算器
12 ラッチ
20 第2のアドレスジェネレータ

Claims (1)

  1. 入力される周波数データに対応して変化するアドレスデータを基準クロックに同期して発生する第1のアドレスジェネレータと、
    波形データが格納され、前記第1のアドレスジェネレータからアドレスが指定されると当該アドレスに格納された波形データが読み出されるように構成された波形メモリと、
    この波形メモリの出力データをアナログ変換するDA変換器と、
    前記第1のアドレスジェネレータに与える周波数データが格納され、アドレスが指定されると当該アドレスに格納された周波数データが読み出されるように構成された周波数情報メモリと、
    前記周波数情報メモリに与えるアドレスとして、入力のデータに対応して変化するデータを前記基準クロックに同期して発生する第2のアドレスジェネレータと、
    前記周波数情報メモリに与えるアドレスとして前記第2のアドレスジェネレータの出力または外部入力信号のいずれかを選択する手段
    を具備し、前記DA変換器より周波数スイープされる波形が得られるように構成したことを特徴とする周波数スイープ機能付き波形発生器。
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