JP3610816B2 - 写真焼付装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、デジタル・マイクロミラー・デバイスを用いて、感光材料としての印画紙を露光することにより、該印画紙に画像を焼き付ける写真焼付装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、光変調素子を用いてデジタル画像を印画紙上に焼き付ける写真焼付装置が各種実施されている。このような写真焼付装置のうち、光変調素子として、サイズが極めて小さいマイクロミラーを平面上に多数配置し、各マイクロミラーの傾斜角を制御して反射光の反射方向を制御するデジタル・マイクロミラー・デバイス(以下、DMDと略称する)を用いる写真焼付装置が提案されている。
【0003】
DMDは、例えば現在広く用いられている液晶表示装置(以下、LCDと略称する)と比較して、光源からの光の利用効率が高いという利点を有している。これは、LCDにおいては、スイッチング素子や各種配線などによって開口率が比較的低くなってしまうという問題や、その構造上、光源からの光のうち、ある一定方向の偏光成分の光のみしか使用できないという問題があるからである。これに対して、DMDは、光源からの光をマイクロミラーによって反射させる構造であるので、全ての偏光成分の光を効率よく使用することができる。
【0004】
ここで、DMDの構成についてより詳しく説明する。DMDは、図5(a)(b)に示すように、微小サイズの揺動自在なマイクロミラー51がポスト52を介して基板53上に複数設けられてなるデバイスである。画像データに応じて個々のマイクロミラー51の傾きを調節し、光の反射方向を変えることで、印画紙の露光が制御される。
【0005】
つまり、印画紙の露光時には、マイクロミラー51は、同図(a)に示すように、基板53表面に対して時計回りにθだけ傾き(−θだけ傾き)、光源からの光がマイクロミラー51によって印画紙方向に反射される。一方、印画紙の非露光時には、マイクロミラー51は、同図(b)に示すように、基板53表面に対して反時計回りにθだけ傾き(+θだけ傾き)、光源からの光がマイクロミラー51によって印画紙方向とは異なる方向に反射される。なお、マイクロミラー51は、装置の電源ON時またはOFF時に、同図(a)(b)のいずれか一方の状態を呈している。
【0006】
このようなDMDを用いた写真焼付装置は、例えば、特開平8−262582号公報、特開平9−160140号公報、特開平9−160141号公報、特開平9−164723号公報、特開平9−164727号公報に開示されている。これらの従来技術は、いずれも、図6に示すように、印画紙61の露光時には、光源62からの光がDMD63にて印画紙61方向に反射されるように、DMD63のマイクロミラー(図示せず)を基板表面に対して所定角度傾ける一方、印画紙61の非露光時には、光源62からの光がマイクロミラーにて光吸収板64方向に反射されるように(光路がoff側へ向くように)、マイクロミラーを基板表面に対して傾斜させる構成となっている。
【0007】
また、光源62とDMD63との間には、入射光を集光させてDMD63に照射するコンデンサレンズ65が設けられている。このコンデンサレンズ65は、DMD63にて反射されて印画紙61に向かう光と当該コンデンサレンズ65とが部分的に干渉するのを回避するため、干渉するおそれのある部分がカットされて配置されている。同図中の仮想線は、干渉するおそれのある部分(カットされている部分)を示している。
【0008】
なお、図示はしていないが、光源62とDMD63との間には、必要に応じて、調光フィルタ、防熱フィルタ、バランスフィルタなどの光学部品が配置される。調光フィルタは、光源62から出射される白色光からR(赤)、G(緑)、B(青)の各色の光を取り出すものである。防熱フィルタは赤外線をカットし、バランスフィルタは、DMD63の表面に均一な照度で光が照射されるようにシェーディング補正をするものである。また、DMD63と印画紙61との間には、DMD63からの画像を伴った光を印画紙61の大きさに応じて適宜拡大投影するための焼付レンズが配置されている。
【0009】
以上のような構成の従来の写真焼付装置において、画像を印画紙上に焼き付ける際には、平面的に配置された多数のマイクロミラーを各画素に対応させ、光源からの光をDMDに照射することによって、静止した印画紙上に画像を焼き付けることになる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように、従来の写真焼付装置が備えるDMDは、多数のマイクロミラーがマトリクス状に配置された構成となっている。このようなDMDにおいて、マイクロミラー同士の間には僅かながら隙間が生じている。すなわち、このマイクロミラー同士の隙間は反射不能領域となっている。ただし、DMDにおける反射面の全面積中の反射可能領域(ミラー領域)の割合は、例えば液晶表示素子の開口率と比較して、はるかに高いものとなっている。したがって、比較的小さいサイズの印画紙上に焼き付けを行う場合には、反射不能領域による影響はほとんどなく、良好なプリント画像を提供することができる。
【0011】
しかしながら、DMDと印画紙との間に配置された焼付レンズの倍率を大きくし、印画紙上に照射される画像を拡大した場合には、各マイクロミラーに対応する画素が大きくなるとともに、上記の反射不能領域に対応する未露光領域も大きくなる。
【0012】
図7は、従来の写真焼付装置による、印画紙上における各画素の露光状態を示す平面図である。図7に示すように、印画紙上には、画素66…がマトリクス状に焼き付けられるとともに、各画素66の周囲に格子状の未露光部が形成されている。このような格子状の未露光部は、上記したように、焼き付け倍率が低い場合には、プリント画像の品質にほとんど影響を与えないが、焼き付け倍率を大きくするにつれて、印画紙上に格子状の白い線が確認できるようになってくる。この場合、プリント画像において、各画素の形状が浮き上がって見えるようになり、著しく画質が低下することになる。
【0013】
本発明は上記の問題点を解決するためになされたもので、その目的は、印画紙上に露光される画像の各画素同士の間の隙間によるプリント画像の画質の低下を抑えることが可能な写真焼付装置を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明に係る写真焼付装置は、入力される画像データに応じて各画素毎に光を出射し、感光材料にその光を照射する画像表示手段と、上記画像表示手段と上記感光材料との間に配置され、上記画像表示手段における各画素から出射される光の光軸を2つに分離する1枚の複屈折板とを備え、上記複屈折板によって分離された一方の光軸の光によって上記感光材料上に露光された各画素が、もう一方の光軸の光によって上記感光材料上に露光された各画素に対してずれた位置に配置されるとともに、上記感光材料上に露光される各画素の形状を、x方向の長さがa、y方向の長さがbの長方形とし、上記複屈折板によって分離された一方の光軸の光によって露光された画素同士の隙間の幅を、x方向がc、y方向がdとした場合、一方の光軸の光によって露光される各画素が、もう一方の光軸の光によって露光される各画素に対して移動しているx方向の距離をX、y方向の距離をYとおくと、c<|X|≦a、d<|Y|≦bの関係を満たしていることを特徴としている。
【0015】
上記の構成によれば、複屈折板によって分離された一方の光軸の光によって露光された各画素間の未露光部における所定の領域が、もう一方の光軸の光によって露光された各画素によって露光されることになる。特に、画像表示手段における各画素間の隙間が比較的狭い場合には、一方の光軸の光によって露光された各画素間の未露光部の大部分が、もう一方の光軸の光によって露光された各画素によって露光されることになる。したがって、複屈折板を設けていない構成の写真焼付装置を用いて、感光材料上への投影倍率を比較的大きい状態で焼き付けを行った場合に印画紙上に生じていた未露光領域による画質の低下を抑えることができる。
【0016】
また、上記のように、1枚の複屈折板を設けるだけで未露光部による画質の低下を抑えることができるので、材料コストおよび製造コストの上昇を低く抑えることができる。よって、コストパフォーマンスの優れた写真焼き付け装置を提供することができる。
【0017】
また、印画紙上の未露光部を最小限にすることができるとともに、印画紙上に露光された画像において、縦方向および/または横方向に連続的に形成される未露光領域をなくすことができる。よって、未露光領域による縞状あるいは格子状の白い線をなくすことが可能となり、各画素の形状が浮き上がって見えることのない、良好なプリント画像を提供することができる。
【0018】
また、上記のような範囲で、一方の光軸の光によって露光される各画素と、もう一方の光軸の光によって露光される各画素との距離を変化させることによって、プリント画像の画質を変化させることも可能となる。
【0019】
また、本発明に係る写真焼付装置は、上記の構成において、上記画像表示手段が、画像データに応じて、光源からの光の反射方向を制御する複数のマイクロミラーを有するデジタル・マイクロミラー・デバイスであることを特徴としている。
【0020】
上記の構成によれば、画像データに応じて、光源からの光の反射方向を制御する複数のマイクロミラーを有するデジタル・マイクロミラー・デバイスを用いており、このデジタル・マイクロミラー・デバイスは、各マイクロミラー同士の間の隙間が僅かなものとなっている。よって、上記のように、複屈折板を用いることによって露光を行うことにより、印画紙上における未露光領域は、点状に分布することになる。したがって、印画紙上における未露光領域による画質の低下は、ほとんど認識できない程度とすることができ、極めて画質の良好なプリント画像を提供することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の一形態について図1ないし図4に基づいて説明すれば、以下のとおりである。
【0022】
図1は、本発明の実施の形態に係る写真焼付装置の概略を示す側面図である。該写真焼付装置は、光源部1、カラーホイール2、インテグレータロッド3、コンデンサレンズ4・5、DMD6、複屈折板7、焼付レンズ8、および制御部9を備えている。
【0023】
光源部1は、DMD6の反射面における法線方向から所定の角度だけ傾いた方向に配置されている。光源部1とDMD6とを結ぶ光軸上には、カラーホイール2、インテグレータロッド3、コンデンサレンズ4・5が、この順で光源部1側から配置されている。また、DMD6の反射面に対して、光源部1が配置されている方向とは異なる方向に、焼付レンズ8が配置されており、DMD6と焼付レンズ8とを結ぶ光軸の延長上に、感光材料としての印画紙10が配置される。また、DMD6の反射面上に接するように、複屈折板7が配置されている。
【0024】
光源部1は、例えばハロゲンランプなどから構成されるランプ部、およびランプ部から出射した光をDMD6が配置されている方向に反射させるリフレクタ、ランプ部およびリフレクタを所定位置に指示するとともに、ランプ部に電力を供給するためのソケット部などから構成されている。
【0025】
カラーホイール2は、円盤形のホイールを備えており、その中心から放射方向に3等分する領域に、赤色、緑色、青色のそれぞれに対応した略扇形形状の3つのフィルタが設けられた構成となっている。そして、光源部1からの光が上記フィルタのいずれかの領域を透過できるように、回転軸2Aを中心に回転するようになっている。
【0026】
インテグレータロッド3は、例えば石英ガラス(BK−7)から構成されており、断面が2mm×6mm程度、長さが150mm程度の直方体の形状となっている。インテグレータロッド3の一方の端部から光が入射すると、内部で全反射が繰り返し行われ、もう一方の端部から光量むらが除去された状態で光が出射される。すなわち、光源部1から出射した光には、ランプのフィラメントの形状やリフレクタの形状などの影響による光量むらが発生しているが、このインテグレータロッド3を通過させることによって、その光量むらが除去される。
【0027】
なお、光源部1から出射した光の光量むらを除去する構成として、例えば拡散板を用いる構成とした場合には、必要とする範囲以外の領域にも光が拡散してしまうことによって、光量が低下することになる。これに対して、インテグレータロッド3は、上記のように、内部で全反射を繰り返すことによって光量むらを除去する構成であるので、光量むらの除去に伴う光量の低下はほとんど生じないという利点を有している。
【0028】
コンデンサレンズ4は、インテグレータロッド3から出射された光を平行光に変えるものである。また、コンデンサレンズ5は、入射した平行光をDMD6上の表示領域に向けて集光させるものである。
【0029】
DMD6は、基板上にマトリクス状に設けられる複数のメモリセル(図示せず)と、各メモリセルに対応した複数のマイクロミラー(図示せず)とを備えており、画像データに応じて画素ごとに光源部1から出射された光の反射方向を変化させる構成となっている。
【0030】
より詳しく説明すると、DMD6は、微小サイズの揺動自在なマイクロミラーがポストを介して基板上に複数設けられた構成となっており、画像データに応じて個々のマイクロミラーの傾きを調節し、光の反射方向を変えることで、印画紙10への露光を制御している。
【0031】
つまり、光を照射すべき画素に対応するマイクロミラーは、光源部1からの光が印画紙10方向に反射されるような向きに傾斜する。一方、非露光時、および光を照射すべきでない画素に対応するマイクロミラーは、光源部1からの光が印画紙10方向とは異なる方向に反射されるような向きに傾斜する。このような制御により、制御部9から送られる画像データに応じた焼き付けが印画紙10に対して行われる。
【0032】
ここで、本実施形態におけるDMD6による露光方式について説明する。本実施形態においては、DMD6は、マイクロミラーが、縦に1024個、横に1280個並べた状態で配置されている構成となっている。そして、これらのマイクロミラーが配置してある反射領域のうち、縦方向の幅の一部からなる長方形の領域、例えば、マイクロミラーが縦に192個、横に1280個並んだ領域(表示領域)のみを実際の露光に使用する構成となっている。そして、この表示領域内で画像情報をスクロールさせて表示するとともに、印画紙10を、表示領域のスクロールに同期させて移動させることにより露光を行う。
【0033】
このように、DMD6の反射領域のうち、その一部分となる表示領域のみを実際の露光に使用するので、反射領域の中で不良ミラーが存在していても、その不良ミラーが存在する領域を避けるように表示領域を設定することができる。したがって、実際に印画紙10に焼き付けられる画像は、不良ミラーからの影響が皆無となるので、高品質のプリント画像を提供することができる。
【0034】
なお、本実施形態においては、上記のように、DMD6上の一部の領域(表示領域)を使用し、この表示領域内で画像情報をスクロールさせて表示するとともに、印画紙10を、表示領域のスクロールに同期させて移動させるデジタル走査露光を行う構成であったが、これに限定されるものではない。例えば、DMD6上のマイクロミラーを全て使用して画像情報を表示し、印画紙10を静止した状態で露光する構成でも構わない。
【0035】
複屈折板7は、図2に示すように、例えば方解石、水晶などの六方晶系の結晶から構成されており、入射光を、そのまま光軸が直進する常光線ORと、屈折によって、入射光の光軸とは異なる位置に光軸が移動する異常光線ERとに分離するものである。異常光線ERは、常光線ORから分離方向(シフト方向)にシフト量tだけ移動して複屈折板7から出射される。
【0036】
常光線ORに対する異常光線ERのシフト量tは、複屈折板7の厚さmに対応しており、厚さmが増すほどシフト量tは増加することになる。異常光線ERは、上記シフト方向に振動する直線偏光であり、屈折の法則には従わない。一方、常光線ORは、上記シフト方向とは垂直方向に振動する直線偏光であり、屈折の法則に従って複屈折板7から出射される。
【0037】
本実施形態に係る写真焼付装置は、上記のような構成の1枚の複屈折板7がDMD6の反射面に接して設けられている構成となっている。すなわち、画像情報に応じて各マイクロミラーによって反射された光は、複屈折板7を透過することによって、常光線ORと異常光線ERとに分離されて印画紙10上に照射されることになる。
【0038】
なお、複屈折板7の配置位置は、上記の位置に限定されるものではなく、DMD6と印画紙10との間の領域であれば、どの位置に配置した構成でもかまわない。
【0039】
しかしながら、複屈折板7をDMD6から離して配置する場合には、コンデンサレンズ5からDMD6上に照射される光領域から外れた位置に配置する必要がある。これは、コンデンサレンズ5からDMD6上に照射される光が、直接DMD6に入射する領域と、複屈折板7を透過してからDMD6に入射する領域とに分割されてしまい、これらの領域の境界に、光量の不連続が生じてしまうからである。
【0040】
また、DMD6から離れた位置に複屈折板7を配置する場合には、複屈折板7を支持する構成が別に必要となる。さらに、複屈折板7を支持する際には、DMD6から焼付レンズ8に向かう光の光軸に対して正確に垂直となるように配置する必要がある。
【0041】
したがって、設計の容易さを考慮すれば、本実施形態の構成のように、複屈折板7がDMD6の反射面上に接するように配置された構成が最も好ましいといえる。
【0042】
焼付レンズ8は、DMD6から印画紙10方向へ反射された光を一旦集光し、その後、印画紙10上に投影するものである。焼付レンズ8は、複数のレンズから構成されており、例えば、各レンズ間の距離を変化させることが可能な構成とすることによって、印画紙10上に投影する画像の拡大倍率を変化させることが可能となる。また、上記とは別の構成として、この焼付レンズ8を、例えば、それぞれ焦点距離が異なる複数のレンズを備え、DMD6と印画紙10とを結ぶ光軸上に選択的に配置することによって、印画紙6上に焼き付ける画像のサイズを変化させる構成とすることも可能である。
【0043】
次に、以上のような構成の写真焼付装置における、印画紙10に対しての焼付動作について説明する。
【0044】
光源部1を出射した光は、カラーホイール2における、いずれかの色に対応したフィルタを透過してインテグレータロッド3に入射する。インテグレータロッド3に入射した光は、内部で全反射を繰り返すことによって光量むらが除去された後にインテグレータロッド3を出射し、コンデンサレンズ4に入射する。コンデンサレンズ4に入射した光は、平行光に変換され、コンデンサレンズ5によってDMD6の反射面上に照射される。
【0045】
なお、コンデンサレンズ5を出射した光は、複屈折板7を透過してからDMD6上に照射されることになるが、均一な光が複屈折板7の全面に入射し、複屈折板7を透過した光がDMD6の全面に照射されるので、DMD6に入射する光に対する複屈折板7による複屈折効果の影響は全くない。
【0046】
DMD6に照射された光は、画像情報に応じて傾斜されたマイクロミラーによって印画紙10方向に反射される。そして、各画素に対応する光は、複屈折板7を透過する際に、常光線ORと異常光線ERとに分離され、焼付レンズ8に入射する。その後、適宜拡大倍率が設定された焼付レンズ8によって、常光線ORによる画像光および異常光線ERによる画像光が同時に印画紙10上に照射され、印画紙10が感光される。
【0047】
次に、複屈折板7による常光線ORと異常光線ERとの分離の際の、シフト方向およびシフト量tについて説明する。
【0048】
図3は、本実施形態に係る写真焼付装置による、印画紙10上における各画素の露光状態を示す平面図である。図3において、実線で示す画素PA…は、常光線ORによって露光された画素を表しており、破線で示す画素PB…は、異常光線ERによって露光された画素を表している。
【0049】
図3に示すように、異常光線ERによって露光された各画素PBは、同じ画素データからなる常光線ORによって露光された画素PAに対して、矢印で示す方向にずれた位置に配置されることになる。すなわち、複屈折板7による常光線ORと異常光線ERとの分離の際の、シフト方向およびシフト量tは、図3における矢印の方向および矢印の長さに対応していることになる。なお、図3における矢印の長さ、すなわち、各画素PBの移動距離は、上記のシフト量tに比例しており、焼付レンズ8による拡大倍率に応じてその長さが変化することになる。
【0050】
図3に示すような状態で印画紙10上に露光が行われれば、複屈折板7による光線の分離を行わない場合に生じていた各画素間の未露光部は、その大部分が異常光線ERによる画素PB…によって露光されることになる。したがって、従来の写真焼付装置を用いた場合に印画紙上に生じていた、未露光部による格子状の白い線をなくすことができる。よって、各画素の形状が浮き上がって見えることのない、良好なプリント画像を提供することができる。
【0051】
次に、異常光線ERによる各画素PBの移動方向および移動距離の範囲について説明する。ここで、図3における横方向および縦方向をそれぞれx方向およびy方向とし、各画素PA・PBの形状を、x方向の長さがa、y方向の長さがbの長方形とする。また、隣合う画素PA・PA同士の間の露光されない領域の幅を、x方向がc、y方向がdであるとする。
【0052】
以上のような関係において、異常光線ERによる各画素PBのx方向の移動距離をx、y方向の移動距離をYとおくと、c≦|X|≦a、d≦|Y|≦bの関係を満たしていれば、未露光部を最小限にすることができる。なお、図3に示す例においては、異常光線ERによる各画素PBは、右上方向に移動させているが、上式の関係を満たしていれば、左上、左下、右下のいずれの方向に移動させても構わない。
【0053】
なお、図3に示す状態では、異常光線ERによる各画素PBは、その周囲の、異なる画像データからなる画素PA…に、その一部が重なって露光が行われていることになる。よって、この重なり部分は、隣合う画素の画像データの中間調の状態で露光されることになる。したがって、プリント画像としては、ソフトな感じの画質となる。また、この状態は、原画像において隣合う画素同士の間に中間調の画素を設けたことになるので、線形補間による高解像度化を行っていることと同等となる。
【0054】
一方、図4は、X=c、Y=dとした場合の、印画紙10上における各画素の露光状態を示す平面図である。このような状態とすれば、異常光線ERによる各画素PBが、異なる画像データからなる周囲の画素PA…に重なることなしに、未露光部を最小限にすることができる。よって、このような状態で焼き付けを行うと、プリント画像はシャープな感じの画質となる。
【0055】
以上のように、異常光線ERによる各画素PBの移動距離を変化させることによって、プリント画像の画質を変化させることが可能となる。この、異常光線ERによる各画素PBの移動距離を変化させるには、例えば、異なる厚さの複屈折板7を複数用意しておき、これらを切り換えて光路上に挿入する構成とすればよい。
【0056】
通常のプリントにおいては、原画像のニュアンスを忠実に再現することが要求されるので、図4に示すような状態となるように、複屈折板7の厚さを設定しておくことが好ましい。
【0057】
なお、上記のように、1枚の複屈折板7を用いて、常光線ORによる画素PA…と異常光線ERによる画素PB…とを印画紙10上に露光させる構成の場合、画素PA…にも画素PB…にも露光されない未露光領域は、1つの画素に対して2箇所存在していることになる。1つの未露光領域は、x方向の幅がc、y方向の幅がdの長方形となっている。したがって、隣合う画素同士の間隔が大きい場合には、この未露光領域も大きくなってしまう。
【0058】
しかしながら、本実施形態に係る写真焼付装置はDMD6によって画像データの表示を行っており、DMD6は、前記したように、隣合うマイクロミラー同士の間隔が僅かなものとなっている。したがって、印画紙10上における隣合う画素同士の間隔は比較的小さいものであるので、上記のような未露光領域は、プリント画像上において微小な点状に分布していることになり、実用範囲の拡大倍率であれば、ほとんど目立たないものとなる。すなわち、1枚の複屈折板7を用いて、常光線による画素PA…と異常光線による画素PB…とを印画紙10上に露光させる構成は、DMD6のように、隣合う画素同士の間隔が比較的小さい画像表示素子を用いた写真焼付装置に好適であるといえる。
【0059】
【発明の効果】
以上のように、本発明に係る写真焼付装置は、入力される画像データに応じて各画素毎に光を出射し、感光材料にその光を照射する画像表示手段と、上記画像表示手段と上記感光材料との間に配置され、上記画像表示手段における各画素から出射される光の光軸を2つに分離する1枚の複屈折板とを備え、上記複屈折板によって分離された一方の光軸の光によって上記感光材料上に露光された各画素が、もう一方の光軸の光によって上記感光材料上に露光された各画素に対してずれた位置に配置されるとともに、上記感光材料上に露光される各画素の形状を、x方向の長さがa、y方向の長さがbの長方形とし、上記複屈折板によって分離された一方の光軸の光によって露光された画素同士の隙間の幅を、x方向がc、y方向がdとした場合、一方の光軸の光によって露光される各画素が、もう一方の光軸の光によって露光される各画素に対して移動しているx方向の距離をX、y方向の距離をYとおくと、c<|X|≦a、d<|Y|≦bの関係を満たしている構成である。
【0060】
これにより、複屈折板によって分離された一方の光軸の光によって露光された各画素間の未露光部の大部分が、もう一方の光軸の光によって露光された各画素によって露光されることになる。したがって、複屈折板を設けていない構成の写真焼付装置を用いて、感光材料上への投影倍率を比較的大きい状態で焼き付けを行った場合に印画紙上に生じていた未露光領域による画質の低下を抑えることができるという効果を奏する。
【0061】
また、上記のように、1枚の複屈折板を設けるだけで未露光部による画質の低下を抑えることができるので、材料コストおよび製造コストの上昇を低く抑えることができる。よって、コストパフォーマンスの優れた写真焼き付け装置を提供することができるという効果を奏する。
【0062】
また、上記のような範囲で、一方の光軸の光によって露光される各画素と、もう一方の光軸の光によって露光される各画素との距離を変化させることによって、プリント画像の画質を変化させることも可能となるという効果を奏する。
【0063】
また、印画紙上の未露光部を最小限にすることができるとともに、印画紙上に露光された画像において、縦方向および/または横方向に連続的に形成される未露光領域をなくすことができる。よって、未露光領域による縞状あるいは格子状の白い線をなくすことが可能となり、各画素の形状が浮き上がって見えることのない、良好なプリント画像を提供することができるという効果を奏する。
【0064】
また、本発明に係る写真焼付装置は、上記画像表示手段が、画像データに応じて、光源からの光の反射方向を制御する複数のマイクロミラーを有するデジタル・マイクロミラー・デバイスである構成である。
【0065】
これにより、上記の構成による効果に加えて、デジタル・マイクロミラー・デバイスは、各マイクロミラー同士の間の隙間が僅かなものとなっているので、上記のように複屈折板を用いることによって露光を行うことにより、印画紙上における未露光領域は、点状に分布することになる。したがって、印画紙上における未露光領域による画質の低下は、ほとんど認識できない程度とすることができ、極めて画質の良好なプリント画像を提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態に係る写真焼付装置の概略を示す側面図である。
【図2】上記写真焼付装置が備える複屈折板による光の分離の様子を示す説明図である。
【図3】上記写真焼付装置による、印画紙上における各画素の露光状態を示す平面図である。
【図4】上記写真焼付装置による、印画紙上における各画素の他の露光状態を示す平面図である。
【図5】同図(a)および(b)は、DMDにおけるマイクロミラーの動作を示す説明図である。
【図6】従来の写真焼付装置の概略構成を示す模式図である。
【図7】従来の写真焼付装置による、印画紙上における各画素の露光状態を示す平面図である。
【符号の説明】
1 光源部
2 カラーホイール
3 インテグレータロッド
4・5 コンデンサレンズ
6 DMD
7 複屈折板
8 焼付レンズ
9 制御部
Claims (2)
- 入力される画像データに応じて各画素毎に光を出射し、感光材料にその光を照射する画像表示手段と、
上記画像表示手段と上記感光材料との間に配置され、上記画像表示手段における各画素から出射される光の光軸を2つに分離する1枚の複屈折板とを備え、
上記複屈折板によって分離された一方の光軸の光によって上記感光材料上に露光された各画素が、もう一方の光軸の光によって上記感光材料上に露光された各画素に対してずれた位置に配置されるとともに、
上記感光材料上に露光される各画素の形状を、x方向の長さがa、y方向の長さがbの長方形とし、上記複屈折板によって分離された一方の光軸の光によって露光された画素同士の隙間の幅を、x方向がc、y方向がdとした場合、一方の光軸の光によって露光される各画素が、もう一方の光軸の光によって露光される各画素に対して移動しているx方向の距離をX、y方向の距離をYとおくと、c<|X|≦a、d<|Y|≦bの関係を満たし、一方の光軸の光によって露光される各画素と、もう一方の光軸の光によって露光される各画素との距離を変化させることにより、プリント画像の画質を変化させることを特徴とする写真焼付装置。 - 上記画像表示手段が、画像データに応じて、光源からの光の反射方向を制御する複数のマイクロミラーを有するデジタル・マイクロミラー・デバイスであることを特徴とする請求項1に記載の写真焼付装置。
Priority Applications (1)
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JP06722299A JP3610816B2 (ja) | 1999-03-12 | 1999-03-12 | 写真焼付装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP06722299A JP3610816B2 (ja) | 1999-03-12 | 1999-03-12 | 写真焼付装置 |
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JP2000267195A JP2000267195A (ja) | 2000-09-29 |
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Family Applications (1)
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JP06722299A Expired - Fee Related JP3610816B2 (ja) | 1999-03-12 | 1999-03-12 | 写真焼付装置 |
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JP (1) | JP3610816B2 (ja) |
-
1999
- 1999-03-12 JP JP06722299A patent/JP3610816B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JP2000267195A (ja) | 2000-09-29 |
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