JP3610807B2 - 電源装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電源装置に係り、より詳しくは、入力された制御信号に基づいて電源入力をスイッチングすることにより制御信号に応じた大きさの電源出力を得る電源装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、トランジスタ等のスイッチ素子のスイッチング動作を利用して出力電力を得る、所謂スイッチング電源装置では一般に、図13(A)、図13(B)に示すように、PWM(Pulse Width Modulation、パルス幅変調)信号PWMによるスイッチ素子20のスイッチング動作によって昇圧トランス16の1次巻線への直流電源26による直流電圧の印加/非印加を繰り返すことによって、昇圧トランス16の2次巻線側にエネルギーを伝達して負荷に供給する出力電力を得ている。
【0003】
一方、この種の電源装置では、出力電圧、又は出力電流を安定して目標値に一致させるために、図13(A)、図13(B)に示すように、電圧検出回路22によって生成された電圧モニタ信号Vmonが示す電圧モニタ値(出力電圧値に相当)、又は電流検出回路24によって生成された電流モニタ信号Imonが示す電流モニタ値(出力電流値に相当)が目標値に一致するように上記PWM信号PWMのデューティを制御している。以下では、出力電圧を目標値に一致させる制御を定電圧制御といい、出力電流を目標値に一致させる制御を定電流制御という。
【0004】
なお、図13(A)に示すものは、電圧モニタ信号Vmon又は電流モニタ信号ImonをA/D変換器36によってデジタル信号に変換したものに基づいて定電圧制御又は定電流制御を行う所謂デジタル制御方式のスイッチング電源装置の一例を示すものであり、図13(B)に示すものは、電圧モニタ信号Vmon又は電流モニタ信号Imonをデジタル信号に変換することなく用いて定電圧制御又は定電流制御を行う所謂アナログ制御方式のスイッチング電源装置の一例を示すものである。
【0005】
このような従来のスイッチング電源装置では、ノイズの影響やPWM信号の生成部の異常等に起因してPWM信号のデューティが異常に大きくなった場合、スイッチ素子のオン時間が長くなり過ぎて、スイッチ素子、昇圧トランス等の電子部品が破損・発煙したり、異常な出力を発生して負荷を破損する恐れがある、という問題点があり、該問題点を解決するための技術として、特開昭64−89961号公報、実開平2−68683号公報、及び特開平4−207969号公報に記載の技術があった。
【0006】
特開昭64−89961号公報記載の技術では、トランス駆動用のスイッチ素子のエミッタ(ソース)とグランド(GND)との間に抵抗を接続してスイッチ素子に流れる電流を検出し、その値が所定値よりも大きくなったとき、すなわちスイッチ素子に過大電流が流れたときにスイッチ素子の駆動を停止していた。
【0007】
また、実開平2−68683号公報及び特開平4−207969号公報記載の技術では、PWM信号を充放電回路によって直流レベルに変換し、該直流レベルが所定値を越えたときにスイッチ素子を駆動するPWM信号をグランド(GND)に落とすことによってスイッチ素子の駆動を停止する割込み回路(各公報では保護回路と表現)を適用していた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特開昭64−89961号公報記載の技術では、正常な状態においてもスイッチ素子のオン/オフ時に発生する過渡的なピーク電流と異常時の過大電流との区別が困難で正確な動作が期待し難い、という問題点があった。
【0009】
また、上記特開昭64−89961号公報記載の技術は、スイッチ素子に過大電流が流れた後に保護動作を行うものであるため、スイッチ素子等の電子部品が破損する可能性が高い、という問題点もあった。
【0010】
また、上記実開平2−68683号公報及び特開平4−207969号公報記載の技術では次のような問題点があった。
1.PWM信号を充放電回路によって直流レベルに変換しているため、異常状態になってから割込み回路(保護回路)が動作するまでに遅れが生じる。
2.直流レベルに整流する充放電回路や割込み用のトランジスタの特性のばらつき等に起因して割込み動作を開始するデューティ(PWM信号のデューティの上限値であり、以下では割込み動作開始デューティという)が大きくばらついてしまう。
3.PWM信号の生成部のばらつき等に起因するPWM信号の振幅のばらつきによって、割込み動作開始デューティが大きくばらついてしまう。
4.PWM信号のデューティが割込み動作開始デューティ以上になった場合、出力を完全に停止する対処しか実施できない。
【0011】
本発明は、上記問題点を解消するために成されたものであり、PWM信号等の制御信号に異常が発生しても構成部品や負荷の破損を確実に防止することができる電源装置を提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1記載の電源装置は、入力されたパルス幅変調信号に基づいて電源入力をスイッチングして前記パルス幅変調信号に応じた大きさの電源出力を得るスイッチング手段と、前記スイッチング手段に入力されるパルス幅変調信号のデューティが所定デューティ値を越えたとき、該パルス幅変調信号のデューティが前記所定デューティ値以下となるように変換する変換手段と、を備えている。
【0013】
請求項1記載の電源装置によれば、スイッチング手段によって、入力されたパルス幅変調信号に基づいて電源入力がスイッチングされて上記パルス幅変調信号に応じた大きさの電源出力が得られる。なお、上記電源入力及び電源出力には、電力、電流、電圧等が含まれる。また、上記スイッチング手段としては、バイポーラトランジスタ、電界効果トランジスタ(以下、FETという)等のスイッチ素子を適用することができる。
【0014】
ここで、請求項1記載の電源装置では、前記スイッチング手段に入力されるパルス幅変調信号のデューティが所定デューティ値を越えたとき、該パルス幅変調信号のデューティが前記所定デューティ値以下となるように変換手段によって変換される。
【0015】
このように請求項1記載の電源装置によれば、スイッチング手段に入力されるパルス幅変調信号のデューティが所定デューティ値を越えたとき、該パルス幅変調信号のデューティが上記所定デューティ値以下となるように変換しているので、上記所定デューティ値を構成部品や負荷を破損することのない値とすることにより、当初のパルス幅変調信号に異常が発生しても構成部品や負荷の破損を確実に防止することができる。
【0018】
なお、請求項2記載の電源装置のように、請求項1記載の電源装置において、前記変換手段が、前記パルス幅変調信号に同期し、かつデューティが前記所定デューティ値のパルス信号を発生するパルス発生手段と、変換後のパルス幅変調信号として、前記パルス信号及び前記パルス幅変調信号の双方がハイレベルであるときにのみハイレベルを出力する出力手段と、を備えていることが好ましい。
【0019】
また、請求項3記載の電源装置のように、請求項1記載の電源装置において、前記変換手段が、前記パルス幅変調信号に同期し、かつ前記パルス幅変調信号のデューティの大きさに応じて頂点部の値が大きくなる三角波を生成する三角波生成手段と、変換後のパルス幅変調信号として、前記パルス幅変調信号と前記三角波とを比較して、前記パルス幅変調信号の大きさが前記三角波の大きさより大きなときはハイレベルを出力し、前記パルス幅変調信号の大きさが前記三角波の大きさより小さなときはローレベルを出力する比較出力手段と、を備えていることが好ましい。
【0020】
また、本発明に係る電源装置は、請求項4記載の発明のように、前記所定デューティ値を、構成部品や負荷を破損することのない値とすることができる。
【0021】
更に本発明に係る電源装置は、請求項5記載の発明のように、デジタル制御方式のものとすることもできる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明をデジタル制御方式の高圧電源装置に適用した場合の実施の形態について詳細に説明する。まず、図1を参照して、後述する2つの実施形態(第1実施形態及び第2実施形態)に係る高圧電源装置の基本的な構成について説明する。
【0023】
同図に示すように、この高圧電源装置10は、負荷40に供給するための高圧電力を生成する高圧電源部12、所定の直流電圧を生成する直流電源26、及び装置全体の動作を司る主制御部28を含んで構成されている。
【0024】
高圧電源部12は、PWM信号変換回路14、昇圧トランス16、1入力3出力の整流平滑回路18、スイッチ素子20、電圧検出回路22、及び電流検出回路24を含んで構成されている。なお、電圧検出回路22及び電流検出回路24は、必ずしも双方とも備えている必要はなく、どちらか一方のみを備える形態としてもよい。
【0025】
昇圧トランス16の1次巻線の一方の端子には直流電源26の出力端が接続されており、直流電源26によって生成した直流電圧Vinを昇圧トランス16の1次巻線の一方の端子に印加することができる。
【0026】
また、昇圧トランス16の1次巻線の他方の端子にはスイッチ素子20の出力端が接続されており、昇圧トランス16の2次巻線の端子は整流平滑回路18の入力端に接続されている。更に、整流平滑回路18の3つの出力端のうちの2つには各々、電圧検出回路22及び電流検出回路24の各々の入力端が接続されている。
【0027】
更に、スイッチ素子20の入力端はPWM信号変換回路14の出力端に接続されている。
【0028】
このように構成された高圧電源部12では、PWM信号変換回路14から出力された信号に応じてスイッチ素子20のスイッチング動作が行われ、該スイッチング動作に応じて昇圧トランス16の1次巻線への直流電源26による直流電圧Vinの印加/非印加が行われる。
【0029】
一方、主制御部28は、CPU30、パルス発振器34、及び2入力1出力のアナログ/デジタル変換器(以下、A/D変換器という)36を含んで構成されており、更にCPU30は演算器32を含んで構成されている。
【0030】
演算器32の出力端はパルス発振器34の入力端に、演算器32の入力端はA/D変換器36の出力端に、パルス発振器34の出力端はPWM信号変換回路14の入力端に、各々接続されている。
【0031】
更に、A/D変換器36の2つの入力端には各々、電圧検出回路22及び電流検出回路24の各々の出力端が接続されている。従って、CPU30には電圧検出回路22によって生成した電圧モニタ信号Vmonが示す電圧モニタ値(出力電圧値に相当)、及び電流検出回路24によって生成した電流モニタ信号Imonが示す電流モニタ値(出力電流値に相当)をデジタル値として入力することができる。
【0032】
なお、整流平滑回路18の残りの出力端は外部の負荷40に対応するものであり、負荷40に接続される。
【0033】
以下、このような高圧電源装置10の具体的な2つの実施の形態について詳細に説明する。
【0034】
〔第1実施形態〕
まず、図2を参照して、本第1実施形態に係る高圧電源装置10のPWM信号変換回路14の詳細な構成について説明する。
【0035】
図2に示すように、本第1実施形態に係るPWM信号変換回路14は、パルス発生回路14A及び2入力1出力のAND回路14Bを含んで構成されており、パルス発生回路14Aの出力端はAND回路14Bの一方の入力端に接続され、AND回路14Bの出力端はスイッチ素子20の入力端に接続されている。
【0036】
また、パルス発生回路14Aの入力端及びAND回路14Bの他方の入力端はパルス発振器34の出力端に接続されている。従って、パルス発生回路14A及びAND回路14Bにはパルス発振器34によって生成したPWM信号PWMが入力される。
【0037】
図3は、図2に示した高圧電源部12の具体的な回路構成の一例を示したものである。なお、図3は定電圧制御を行う場合の回路構成例であり、図2における電流検出回路24に相当する部分は含まれていない。
【0038】
図3に示すように、パルス発生回路14Aはコンデンサから成る微分回路50、トランジスタ52、及び単安定マルチバイブレータとして機能させるタイマー回路54を含んで構成されている。なお、本実施形態では、タイマー回路54として、汎用のタイマーIC(日本電気株式会社製、商品名μPC617/1555)を適用している。
【0039】
微分回路50の一方の端子はパルス発振器34の出力端に接続されており、パルス発振器34から出力されたPWM信号PWMが入力される。また、微分回路50の他方の端子は抵抗56を介してトランジスタ52のベース端子に接続されており、トランジスタ52のコレクタ端子はタイマー回路54のトリガー(TRIG)端子に接続されており、トランジスタ52のエミッタ端子は接地されている。また、トランジスタ52のベース端子は抵抗58を介して接地されている。更にトランジスタ52のコレクタ端子は抵抗60等を介して直流電源26の出力端にも接続されており、直流電源26によって生成された直流電圧Vinに基づく電圧が印加される。即ち、抵抗56、抵抗58、抵抗60及びトランジスタ52によって反転回路が構成されている。
【0040】
一方、タイマー回路54のディスチャージ(DISCH)端子及びスレッシュホールド(THRES)端子は抵抗62等を介して直流電源26の出力端に接続されていると共にコンデンサ64を介して接地されている。また、タイマー回路54のリセット(RESET)端子は抵抗を介して直流電源26の出力端に接続されており、コントロール(CONT)端子はコンデンサ66を介して接地されている。
【0041】
更に、タイマー回路54の出力(OUT)端子は抵抗68を介して2入力1出力のNAND回路14B’の一方の入力端に接続されている。なお、NAND回路14B’は図2におけるAND回路14Bに対応するものであるが、AND回路14BをNAND回路14B’とした理由については後述する。
【0042】
以上のように接続されたタイマー回路54では、出力(OUT)端子から出力される信号のパルス幅t(ハイレベルの期間)は次の(1)式によって求めることができる。
【0043】
t=1.1×C1×R1 (1)
ここで、C1はコンデンサ64の容量を、R1は抵抗62の抵抗値を、各々表す。
【0044】
また、タイマー回路54は、トリガー(TRIG)端子に入力されている信号(以下、トリガー入力信号という)の立下りに同期して出力信号を出力する。
【0045】
以上のように構成されたパルス発生回路14Aでは、微分回路50によってPWM信号PWMをワンショットパルスに変換し、該ワンショットパルスを上記反転回路によって反転して、タイマー回路54のトリガー端子にトリガー入力信号として入力する。トリガー入力信号が入力されたタイマー回路54は、上記(1)式によって得られるパルス幅tのパルス信号を出力する。
【0046】
一方、NAND回路14B’の他方の入力端は抵抗70を介してパルス発振器34の出力端に接続されており、パルス発振器34から出力されたPWM信号PWMが入力される。
【0047】
本第1実施形態に係る高圧電源装置10では、以上のパルス発生回路14A及びNAND回路14B’によってPWM信号変換回路14(図2参照)が構成されている。
【0048】
NAND回路14B’の出力端は抵抗72を介してトランジスタ74のベース端子に接続されており、トランジスタ74のエミッタ端子は直流電源26の出力端に接続されており、トランジスタ74のコレクタ端子は抵抗78を介してトランジスタ80及びトランジスタ82の双方のベース端子に接続されていると共に抵抗84を介して接地されている。また、トランジスタ74のベース端子は抵抗76を介して直流電源26の出力端に接続されている。
【0049】
一方、トランジスタ80及びトランジスタ82の双方のエミッタ端子は互いに接続されていると共に抵抗86を介してスイッチ素子20を構成するFET88のゲート端子に接続されている。
【0050】
また、トランジスタ80のコレクタ端子は直流電源26の出力端に接続されており、トランジスタ82のコレクタ端子は接地されている。
【0051】
抵抗78及び抵抗84とトランジスタ80及びトランジスタ82は、FET88を確実にオン/オフさせるためにFET88のゲート端子に入力する信号(以下、スイッチ素子駆動信号という)のハイレベルを所定電圧(例えば10V)付近にするため、及びFET88のオン時のスムースな立上がりとオフ時のスムースな立下りを得るために使用しているものであり、トランジスタ80及びトランジスタ82によってプッシュプル回路を構成し、抵抗78及び抵抗84によってスイッチ素子駆動信号のハイレベルが上記所定電圧となるように分圧を行っている。
【0052】
このとき、抵抗78及び抵抗84を直接に直流電源26の出力端に接続すると、出力停止時には上記スイッチ素子駆動信号がデューティが100%のオン信号となってしまうため、これを避けるためにトランジスタ74を設けている。ここでトランジスタ74は反転回路となってしまうため、図2のAND回路14Bに対応するものとして図3ではNAND回路14B’を適用している。
【0053】
一方、FET88のドレイン端子は1次巻線の一方の端子が直流電源26に接続された昇圧トランス16の1次巻線の他方の端子に接続されている。なお、昇圧トランス16の1次巻線の一方の端子と他方の端子との間には抵抗92が接続されており、スナバ回路が構成されている。また、FET88のソース端子はコンデンサ94を介してドレイン端子に接続されていると共に接地されている。
【0054】
一方、整流平滑回路18は昇圧トランス16の2次巻線の一方の端子にカソード端子が接続されたダイオード96を備えており、ダイオード96のアノード端子はコンデンサ98及び抵抗100の一方の端子に接続されており、コンデンサ98及び抵抗100の他方の端子は昇圧トランス16の2次巻線の他方の端子に接続されている。
【0055】
このように構成された整流平滑回路18では、昇圧トランス16の2次巻線に誘起された交番電流をコンデンサとダイオードとの組み合わせによって整流しかつ平滑する。
【0056】
一方、電圧検出回路22にはオペアンプ102が備えられており、オペアンプ102の反転入力端は整流平滑回路18の抵抗100の他方の端子に接続されると共に、コンデンサ104と抵抗106及び抵抗108を並列に介してオペアンプ102の出力端に接続され、かつコンデンサ110を介してオペアンプ102の非反転入力端に接続されている。また、オペアンプ102の出力端は抵抗112を介してA/D変換器36の入力端にも接続されている。なお、オペアンプ102の非反転入力端は接地されている。
【0057】
このように構成された電圧検出回路22では、整流平滑回路18の出力電圧の電圧値である電圧モニタ値を示す電圧モニタ信号VmonをA/D変換器36に常時出力することができる。
【0058】
PWM信号変換回路14が本発明の変換手段に、パルス発生回路14Aが本発明のパルス発生手段に、AND回路14B(NAND回路14B’)が本発明の出力手段に、スイッチ素子20が本発明のスイッチング手段に、各々相当する。
【0059】
以上のように構成された高圧電源装置10では、電圧検出回路22から入力されている電圧モニタ信号Vmonに基づいてCPU30により次のように定電圧制御を行う。
【0060】
すなわち、CPU30は、電圧検出回路22からA/D変換器36を介して入力されている電圧モニタ信号Vmonが示す電圧モニタ値(出力電圧値を示すデジタル値)が目標値と一致するようにパルス発振器34によって生成されるPWM信号PWMのデューティを制御する。
【0061】
より具体的には、電圧モニタ値が上記目標値より小さな場合は出力電圧値が大きくなるように、又、電圧モニタ値が上記目標値より大きな場合は出力電圧値が小さくなるように、PWM信号PWMのデューティを制御する。ここで、出力電圧値を大きくする場合はPWM信号PWMのデューティを大きくし、出力電圧値を小さくする場合にはPWM信号PWMのデューティを小さくすればよい。このPWM信号PWMはPWM信号変換回路14によって変換されてスイッチ素子駆動信号としてスイッチ素子20に入力され、該入力されたスイッチ素子駆動信号のデューティに応じてスイッチ素子20がオン/オフを繰り返すことによって出力電圧値が上記目標値と一致するように制御される。
【0062】
次に、図4乃至図6を参照して、上記のような定電圧制御が行われている際の各種デューティ(30%、80%、100%)のPWM信号PWMに応じた高圧電源部12の動作について詳細に説明する。
【0063】
なお、ここでは一例として、PWM信号PWMの周波数を20kHzに、スイッチ素子駆動信号のデューティの上限値を60%に、各々設定した場合について説明する。従って、PWM信号PWMの周波数が20kHzでデューティの上限値を60%とするために、抵抗62の抵抗値及びコンデンサ64の容量は、出力信号のパルス幅tが30μS(=1/20kHz×60%)となるように上記(1)式から逆算して予め決定されている。また、図4乃至図6は、図3に示すように高圧電源部12の所定の5箇所の各位置を各々S1〜S5で表し、各位置S1〜S5における信号の状態を示すタイムチャートである。なお、上記スイッチ素子駆動信号のデューティの上限値が本発明の所定デューティ値に相当する。
【0064】
まず、図4を参照して、PWM信号PWMのデューティが30%である場合について説明する。
【0065】
PWM信号PWMの周波数は20kHzであるので、PWM信号PWMの周期は50μSとなっている。
【0066】
このようなPWM信号PWMを入力したパルス発生回路14Aでは、微分回路50の出力信号(以下、微分回路出力信号という)として、PWM信号PWMの立上り及び立下りに対応したワンショットパルスを発生する。このワンショットパルスのデューティはPWM信号PWMのデューティには殆ど依存することがなく、常に安定した信号として発生される。
【0067】
この微分回路出力信号のうちのPWM信号PWMの立上りに対応して発生されたワンショットパルスは抵抗56、抵抗58、抵抗60、及びトランジスタ52によって構成された反転回路によって反転されてトリガー入力信号としてタイマー回路54のトリガー端子に入力される。ここで、ワンショットパルスを反転するのは、トリガー入力信号の立下りで動作するタイマー回路54をPWM信号PWMの立上りのタイミングに同期させるためである。
【0068】
トリガー入力信号が入力されたタイマー回路54は、抵抗62の抵抗値及びコンデンサ64の容量に基づいて決定されるパルス幅t(本実施形態では30μS)であるパルスを出力する。このパルスは次のトリガー入力信号のパルスが入力された時点で再度出力されるので、PWM信号PWMが入力され続ける限りPWM信号PWMに同期し、かつデューティが60%のパルス信号(以下、タイマー回路出力パルス信号という)を発生する。
【0069】
従って、NAND回路14B’には、デューティが30%のPWM信号PWMと、該PWM信号PWMに同期し、かつデューティが60%のタイマー回路出力パルス信号とが入力される。
【0070】
NAND回路14B’は、入力されている信号が双方ともハイレベルのときにのみローレベルの信号を出力し、その他のときにはハイレベルの信号を出力する。従って、この場合は、NAND回路14B’は図4に示すようにPWM信号PWMを反転させた信号(以下、NAND回路出力パルス信号という)を出力する。
【0071】
すなわち、NAND回路14B’の特性上、PWM信号PWMのデューティがタイマー回路出力パルス信号のデューティより小さなときはPWM信号PWMを反転させた信号が出力され、PWM信号PWMのデューティがタイマー回路出力パルス信号のデューティより大きなときはタイマー回路出力パルス信号を反転させた信号が出力されることになる。
【0072】
NAND回路出力パルス信号は、抵抗72、抵抗76、及びトランジスタ74によって構成された反転回路によって反転されて、スイッチ素子駆動信号としてスイッチ素子20に供給される。この結果、PWM信号PWMと同様のデューティ(30%)であるスイッチ素子駆動信号によってスイッチ素子20のFET88はスイッチングされる。
【0073】
次に、図5を参照して、PWM信号PWMのデューティが80%である場合について説明する。なお、パルス発生回路14AからNAND回路14B’に対して出力されるタイマー回路出力パルス信号の発生までの動作は、上述したPWM信号PWMのデューティが30%である場合と同様であるので、その説明を省略する。
【0074】
NAND回路14B’には、デューティが80%のPWM信号PWMと、該PWM信号PWMに同期し、かつデューティが60%のタイマー回路出力パルス信号とが入力される。
【0075】
この場合、PWM信号PWMのデューティ(80%)がタイマー回路出力パルス信号のデューティ(60%)より大きいので、図5に示すように、NAND回路14B’はNAND回路出力パルス信号としてタイマー回路出力パルス信号を反転させた信号を出力する。
【0076】
NAND回路出力パルス信号は、抵抗72、抵抗76、及びトランジスタ74によって構成された反転回路によって反転されて、スイッチ素子駆動信号としてスイッチ素子20に供給される。この結果、タイマー回路出力パルス信号と同様のデューティ(60%)であるスイッチ素子駆動信号によってスイッチ素子20のFET88はスイッチングされる。
【0077】
次に、図6を参照して、PWM信号PWMのデューティが100%である場合について説明する。
【0078】
同図に示すように、この場合はデューティが100%のPWM信号PWM、すなわち直流電圧が入力されるので、微分回路50は微分回路出力信号としてPWM信号PWMの最初の立上り時のみにワンショットパルスを出力する。
【0079】
この1つのみのワンショットパルスが抵抗56、抵抗58、抵抗60、及びトランジスタ52によって構成された反転回路によって反転されてトリガー入力信号としてタイマー回路54のトリガー端子に入力される。
【0080】
このトリガー入力信号が入力されたタイマー回路54はタイマー回路出力パルス信号として、30μSの間ハイレベルとなり、その後ローレベルとなるパルスを1回のみ出力する。すなわち、この場合は、トリガーパルスが1回しか入力されないのでタイマー回路54から出力されるパルスは1つのみとなる。
【0081】
従って、NAND回路14B’には、デューティが100%のPWM信号PWM(直流電圧)と、上記のようなパルス幅が30μSの1パルスのみのタイマー回路出力パルス信号とが入力される。この場合はPWM信号PWMが常にハイレベルであるため、NAND回路出力パルス信号は図6に示すようにタイマー回路出力パルス信号を反転させた信号となる。
【0082】
このNAND回路出力パルス信号は、抵抗72、抵抗76、及びトランジスタ74によって構成された反転回路によって反転されて、スイッチ素子駆動信号としてスイッチ素子20に供給される。この結果、1回のみ60%のデューティでスイッチ素子20のFET88がスイッチングされるが、その後は完全にスイッチング動作が停止される。
【0083】
以上の図4乃至図6を参照して示した高圧電源部12のスイッチング動作をまとめると次の表1のようになる。
【0084】
【表1】
Figure 0003610807
【0085】
すなわち、PWM信号PWMと本第1実施形態に係るPWM信号変換回路14によって生成されるスイッチ素子駆動信号との各々のデューティの関係は図7に示すようになる。
【0086】
以上詳細に説明したように、本第1実施形態に係る高圧電源装置では、PWM信号のデューティが所定デューティ値(本実施形態では60%)を越えたとき、PWM信号変換回路によってPWM信号のデューティを上記所定デューティ値に変換することによって得られたスイッチ素子駆動信号によってスイッチ素子をスイッチングしているので、PWM信号に異常が発生しても装置を構成する部品や負荷の破損を確実に防止することができる。
【0087】
また、本第1実施形態に係る高圧電源装置では、抵抗62の抵抗値及びコンデンサ64の容量によってスイッチ素子駆動信号のデューティの上限値を設定しているので、抵抗62及びコンデンサ64の精度を上げることによってスイッチ素子駆動信号のデューティの上限値を容易に精度よく任意に設定することができる。
【0088】
また、本第1実施形態に係る高圧電源装置では、NAND回路14B’によってPWM信号とタイマー回路出力パルス信号とを比較しているので、PWM信号の振幅が変動してもスイッチ素子駆動信号のデューティの上限値が変動することがなく、かつPWM信号の異常状態の発生に高速に対応することができる(応答性が良い)。
【0089】
さらに、本第1実施形態に係る高圧電源装置では、PWM信号のデューティが上限値を越えたときにスイッチ素子駆動信号のデューティは上記上限値を維持しているので、PWM信号のデューティの異常に対してスイッチ素子の駆動を完全に停止することがなく、本高圧電源装置を画像形成装置に適用した場合における不要な白紙の出力を防止することができる。即ち、ファクシミリ、プリンタ、複写機等の画像形成装置では一般に、高圧電源装置は画像を形成する部分に用いられており、この場合、画像形成動作中に高圧電源装置の出力が停止すると白紙が出力される場合が多いが、本第1実施形態に係る高圧電源装置を上記のような画像形成装置の電源装置として用いた場合には、PWM信号のデューティの異常に対してスイッチ素子の駆動を完全に停止することがないため、白紙の出力を防止することができる。
【0090】
なお、本第1実施形態では、本発明を定電圧制御を行う装置に適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明は定電流制御を行う装置に適用することもできる。この場合、図3における電圧検出回路22を電流検出回路24(図2も参照)に置き換える必要がある。
【0091】
また、本第1実施形態では、パルス発生回路14Aをタイマー回路54を用いた回路によって構成した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、パルス発生回路14AはPWM信号に同期した所定のデューティであるパルス信号を発生できるものであれば如何なる構成としてもよい。
【0092】
また、本第1実施形態において図3に示した高圧電源部12を構成する整流平滑回路18、スイッチ素子20、及び電圧検出回路22等の各回路構成は一例であり、上記各部の機能を実現することができる回路構成であれば如何なるものでも適用することができる。
【0093】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態について詳細に説明する。まず、図8を参照して、本第2実施形態に係る高圧電源装置10’の構成について説明する。なお、図8における図2と同様の部分については同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0094】
図8に示すように、本第2実施形態に係る高圧電源装置10’は、上述した第1実施形態に係る高圧電源装置10に比較して、PWM信号変換回路14が積分回路14C、増幅器14D、及び比較器14Eを含んで構成されたPWM信号変換回路14’とされている点のみが相違している。
【0095】
積分回路14Cの出力端は増幅器14Dの入力端に接続されており、増幅器14Dの出力端は比較器14Eの一方の入力端に接続されており、比較器14Eの出力端はスイッチ素子20の入力端に接続されている。
【0096】
一方、積分回路14Cの入力端及び比較器14Eの他方の入力端はパルス発振器34の出力端に接続されている。
【0097】
図9は、図8に示した高圧電源部12’の具体的な回路構成の一例を示したものである。なお、図9は定電圧制御を行う場合の回路構成例であり、図8における電流検出回路24に相当する部分は含まれていない。また、図9における図3と同様の部分については同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0098】
図9に示すように、積分回路14Cは抵抗114及びコンデンサ116を含んで構成されており、抵抗114の一方の端子はパルス発振器34の出力端に接続されており、PWM信号PWMが入力される。また、抵抗114の他方の端子はコンデンサ116の一方の端子に接続されており、コンデンサ116の他方の端子は接地されている。
【0099】
また、増幅器14Dはオペアンプ118を含んで構成されており、オペアンプ118の非反転入力端は抵抗114の他方の端子に接続されており、オペアンプ118の反転入力端は抵抗120を介してオペアンプ118の出力端に接続されていると共に、抵抗122を介して接地されている。
【0100】
すなわち、本第2実施形態における増幅器14Dはオペアンプ118を用いた非反転増幅回路として構成されており、このときの増幅率は抵抗120及び抵抗122の各抵抗値によって決定される。
【0101】
更に、比較器14Eはコンパレータ124によって構成されており、コンパレータ124の非反転入力端は抵抗126を介してオペアンプ118の出力端に接続されており、コンパレータ124の反転入力端は抵抗128を介してパルス発振器34の出力端に接続されており、更にコンパレータ124の出力端は、図3と同様に抵抗72を介してトランジスタ74のベース端子に接続されている。
【0102】
PWM信号変換回路14’が本発明の変換手段に、積分回路14C及び増幅器14Dが本発明の三角波生成手段に、比較器14E及び抵抗72、抵抗76、トランジスタ74により構成される反転回路が本発明の比較出力手段に、スイッチ素子20が本発明のスイッチング手段に、各々相当する。
【0103】
以上のように構成された高圧電源装置10’では、電圧検出回路22から入力されている電圧モニタ信号Vmonに基づいてCPU30により、上記第1実施形態に係る高圧電源装置10と同様に、次のように定電圧制御を行う。
【0104】
すなわち、CPU30は、電圧検出回路22からA/D変換器36を介して入力されている電圧モニタ信号Vmonが示す出力電圧値が目標値と一致するようにPWM信号PWMのデューティを制御する。
【0105】
より具体的には、電圧モニタ値が上記目標値より小さな場合は出力電圧値が大きくなるように、又、電圧モニタ値が上記目標値より大きな場合は出力電圧値が小さくなるように、PWM信号PWMのデューティを制御する。ここで、出力電圧値を大きくする場合はPWM信号PWMのデューティを大きくし、出力電圧値を小さくする場合にはPWM信号PWMのデューティを小さくすればよい。このPWM信号PWMはPWM信号変換回路14’によって変換されてスイッチ素子駆動信号としてスイッチ素子20に入力され、該入力されたスイッチ素子駆動信号のデューティに応じてスイッチ素子20がオン/オフを繰り返すことによって出力電圧値が目標値と一致するように制御される。
【0106】
次に、図10及び図11を参照して、上記のような定電圧制御が行われている際の高圧電源部12’の動作について詳細に説明する。なお、図10及び図11は、図9に示すように高圧電源部12’の所定の4箇所の各位置を各々T1〜T4で表し、各位置T1〜T4における信号の観測結果を示す波形図である。
【0107】
パルス発振器34から入力されたPWM信号PWMは、積分回路14Cによって整流される。ここで、積分回路14Cを構成する抵抗114の抵抗値及びコンデンサ116の容量値は、この積分回路14Cによって整流された信号(以下、積分回路出力信号という)が三角波となるように、PWM信号PWMの周波数との関係から設定されている(図10(A)参照)。このときの三角波の電圧は、PWM信号PWMのデューティが大きくなるほど高くなることは言うまでもない。
【0108】
積分回路出力信号は増幅器14Dによって増幅され、該増幅された信号(以下、増幅器出力信号という)は比較器14Eのコンパレータ124の非反転入力端に入力される。なお、図10(B)に同図に示す積分回路出力信号に対する増幅器出力信号の一例を示す。
【0109】
一方、コンパレータ124の反転入力端にはPWM信号PWMが入力されている。ここで、比較器14Eは、入力されている2つの信号(増幅器出力信号及びPWM信号PWM)の比較結果に基づいて、出力信号が次の状態となるように構成されている。
・PWM信号の電圧値>増幅器出力信号の電圧値→ローレベル
・PWM信号の電圧値<増幅器出力信号の電圧値→ハイレベル
従って、比較器14Eの出力信号はPWM信号に対して次のようになる。
(a)PWM信号のハイレベルの電圧値>増幅器出力信号の頂点の電圧値である場合(図10(B)に示す状態である場合):
この場合は、PWM信号がハイレベルであるときは常に[PWM信号の電圧値>増幅器出力信号の電圧値]の関係にあるので比較器14Eの出力信号はローレベルとなり、逆にPWM信号がローレベルであるときは常に[PWM信号の電圧値<増幅器出力信号の電圧値]の関係にあるので比較器14Eの出力信号はハイレベルとなる。
【0110】
従って比較器14Eの出力信号はPWM信号PWMを反転させたものとなる。
(b)PWM信号のハイレベルの電圧値<増幅器出力信号の頂点の電圧値である場合(図10(C)に示す状態である場合):
この場合は、PWM信号がハイレベルであるときは増幅器出力信号がPWM信号のハイレベル電圧と交差する部分を境として、[PWM信号の電圧値>増幅器出力信号の電圧値]となる部分の比較器14Eの出力信号はローレベルとなり、[PWM信号の電圧値<増幅器出力信号の電圧値]となる部分の比較器14Eの出力信号はハイレベルとなる。
【0111】
一方、PWM信号がローレベルであるときは常に[PWM信号の電圧値<増幅器出力信号の電圧値]の関係にあるので比較器14Eの出力信号はハイレベルとなる。
【0112】
従って比較器14Eの出力信号はPWM信号PWMのデューティを減少させて反転させたものとなる。
【0113】
その後、比較器14Eの出力信号は、抵抗72、抵抗76、トランジスタ74によって構成された反転回路によって反転されて、スイッチ素子駆動信号(図10(B)及び図10(C)参照)としてスイッチ素子20に供給される。
【0114】
この結果、上記(a)の場合にはPWM信号PWMと同様のデューティであるスイッチ素子駆動信号によってスイッチ素子20のFET88はスイッチングされ、上記(b)の場合にはPWM信号PWMよりも小さなデューティであるスイッチ素子駆動信号によってスイッチ素子20のFET88はスイッチングされる。
【0115】
図11(A)〜図11(G)には、パルス発振器34から入力されるPWM信号PWMのデューティが各々10%、20%、30%、40%、50%、60%、及び70%である場合の増幅器出力信号、PWM信号PWM、及びスイッチ素子駆動信号の状態が示されている。なお、同図では、増幅器出力信号をT2、PWM信号PWMをT3、スイッチ素子駆動信号をT4、というように図9に示す各位置に対応付けて表している。
【0116】
同図に示すように、PWM信号PWMのハイレベルの電圧値が増幅器出力信号の頂点の電圧値より大きな場合のスイッチ素子駆動信号は、PWM信号PWMと同様のデューティとなる。一方、PWM信号のハイレベルの電圧値が増幅器出力信号の頂点の電圧値より小さな場合のスイッチ素子駆動信号は、PWM信号PWMのデューティが増加するに従ってデューティが減少されたものとなる。
【0117】
すなわち、PWM信号PWMのデューティが増加すると、増幅器出力信号の頂点の電圧が増加し、該頂点の電圧がPWM信号PWMのハイレベルの電圧に達するときのPWM信号PWMのデューティがスイッチ素子駆動信号のデューティの上限値となり、該上限値をPWM信号PWMのデューティが越えた場合に、PWM信号PWMのデューティの増加に伴ってスイッチ素子駆動信号のデューティが減少される。なお、上記スイッチ素子駆動信号のデューティの上限値が本発明の所定デューティ値に相当する。
【0118】
従って、PWM信号PWMと本第2実施形態に係るPWM信号変換回路14’によって生成されるスイッチ素子駆動信号との各々のデューティの関係は図12に示すようになる。
【0119】
以上詳細に説明したように、本第2実施形態に係る高圧電源装置では、PWM信号のデューティが所定デューティ値を越えたとき、PWM信号変換回路によって、PWM信号のデューティが大きくなるに従ってデューティが小さくなるようにスイッチ素子駆動信号を生成してスイッチ素子をスイッチングしているので、PWM信号に異常が発生しても装置を構成する部品や負荷の破損を確実に防止することができる。
【0120】
また、本第2実施形態に係る高圧電源装置では、抵抗114、120、122の各抵抗値及びコンデンサ116の容量によってスイッチ素子駆動信号のデューティの上限値を設定しているので、抵抗114、120、122とコンデンサ116の精度を上げることによってスイッチ素子駆動信号のデューティの上限値を容易に精度よく任意に設定することができる。
【0121】
また、本第2実施形態に係る高圧電源装置では、比較器14Eによって比較する信号が共に主制御部28から入力されたPWM信号に基づく信号であるので、PWM信号の振幅が変動してもスイッチ素子駆動信号のデューティの上限値が変動することがない。
【0122】
さらに、本第2実施形態に係る高圧電源装置では、比較器14Eによって比較対象とされる増幅器出力信号を三角波としているので、次のような効果を奏することができる。
・PWM信号の異常状態の発生に高速に対応することができる(応答性が良い)。
・直流レベルに整流したときには基準値と整流値が同等となる付近でノイズ等に起因して高周波発振が発生する場合があるが、これを防止することができる。
・PWM信号のデューティが上限値を越えたときにスイッチ素子駆動信号のデューティは上記上限値より小さくされているので、上記第1実施形態と同様に、PWM信号のデューティの異常に対してスイッチ素子の駆動を完全に停止することがなく、本高圧電源装置を画像形成装置に適用した場合における不要な白紙の出力を防止することができる。
【0123】
なお、本第2実施形態では、本発明を定電圧制御を行う装置に適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明は定電流制御を行う装置に適用することもできる。この場合、図9における電圧検出回路22を電流検出回路24(図8も参照)に置き換える必要がある。
【0124】
また、本第2実施形態において図9に示した高圧電源部12’を構成する積分回路14C、増幅器14D、比較器14E、整流平滑回路18、スイッチ素子20、電圧検出回路22等の各回路構成は一例であり、上記各部の機能を実現することができる回路構成であれば如何なるものでも適用することができる。
【0125】
また、上記各実施形態では、本発明をデジタル制御方式の電源装置に適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えばアナログ制御方式の電源装置に適用する形態としてもよい。本発明を図13(B)に示す従来のアナログ制御方式の電源装置に適用する場合は、図13(B)における制御回路とスイッチ素子20との間に上記各実施形態におけるPWM信号変換回路14又は14’又は各PWM信号変換回路と同様に作用する回路を挿入すればよい。
【0126】
【発明の効果】
本発明によれば、スイッチング手段に入力されるパルス幅変調信号のデューティが所定デューティ値を越えたとき、該パルス幅変調信号のデューティが前記所定デューティ値以下となるように変換しているので、上記所定デューティ値を構成部品や負荷を破損することのない値とすることにより、当初のパルス幅変調信号に異常が発生しても構成部品や負荷の破損を確実に防止することができる、という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明をデジタル制御方式の高圧電源装置に適用した場合の該高圧電源装置の基本的な構成を示すブロック図である。
【図2】第1実施形態に係る高圧電源装置の概略構成を示すブロック図である。
【図3】第1実施形態に係る高圧電源装置の高圧電源部の回路構成の一例を示す回路図である。
【図4】PWM信号のデューティが30%であるときの第1実施形態に係る高圧電源部の各位置における信号の波形の状態を示すタイミングチャートである。
【図5】PWM信号のデューティが80%であるときの第1実施形態に係る高圧電源部の各位置における信号の波形の状態を示すタイミングチャートである。
【図6】PWM信号のデューティが100%であるときの第1実施形態に係る高圧電源部の各位置における信号の波形の状態を示すタイミングチャートである。
【図7】第1実施形態に係る高圧電源装置のPWM信号のデューティとスイッチ素子駆動信号のデューティの関係を示すグラフである。
【図8】第2実施形態に係る高圧電源装置の概略構成を示すブロック図である。
【図9】第2実施形態に係る高圧電源装置の高圧電源部の回路構成の一例を示す回路図である。
【図10】第2実施形態に係る高圧電源部の各位置における信号の波形の観測結果を示す波形図である。
【図11】(A)〜(G)は各々、PWM信号のデューティを各々10%から70%まで10%毎に変化させたときの第2実施形態に係る高圧電源部の各位置における信号の波形の観測結果を示す波形図である。
【図12】第2実施形態に係る高圧電源装置のPWM信号のデューティとスイッチ素子駆動信号のデューティの関係を示すグラフである。
【図13】従来の電源装置の概略構成を示す図であり、(A)はデジタル制御方式の電源装置の構成例を、(B)はアナログ制御方式の電源装置の構成例を、各々示すブロック図である。
【符号の説明】
10、10’ 高圧電源装置
12、12’ 高圧電源部
14、14’ PWM信号変換回路(変換手段)
14A パルス発生回路(パルス発生手段)
14B AND回路(出力手段)
14C 積分回路(三角波生成手段)
14D 増幅器(三角波生成手段)
14E 比較器(比較出力手段)
16 昇圧トランス
18 整流平滑回路
20 スイッチ素子(スイッチング手段)
22 電圧検出回路
24 電流検出回路
26 直流電源
28 主制御部
30 CPU
32 演算器
34 パルス発振器
36 A/D変換器
40 負荷

Claims (5)

  1. 入力されたパルス幅変調信号に基づいて電源入力をスイッチングして前記パルス幅変調信号に応じた大きさの電源出力を得るスイッチング手段と、
    前記スイッチング手段に入力されるパルス幅変調信号のデューティが所定デューティ値を越えたとき、該パルス幅変調信号のデューティが前記所定デューティ値以下となるように変換する変換手段と、
    を備えた電源装置。
  2. 前記変換手段が、
    前記パルス幅変調信号に同期し、かつデューティが前記所定デューティ値のパルス信号を発生するパルス発生手段と、
    変換後のパルス幅変調信号として、前記パルス信号及び前記パルス幅変調信号の双方がハイレベルであるときにのみハイレベルを出力する出力手段と、
    を備えていることを特徴とする請求項1記載の電源装置。
  3. 前記変換手段が、
    前記パルス幅変調信号に同期し、かつ前記パルス幅変調信号のデューティの大きさに応じて頂点部の値が大きくなる三角波を生成する三角波生成手段と、
    変換後のパルス幅変調信号として、前記パルス幅変調信号と前記三角波とを比較して、前記パルス幅変調信号の大きさが前記三角波の大きさより大きなときはハイレベルを出力し、前記パルス幅変調信号の大きさが前記三角波の大きさより小さなときはローレベルを出力する比較出力手段と、
    を備えていることを特徴とする請求項1記載の電源装置。
  4. 前記所定デューティ値を、構成部品や負荷を破損することのない値としたことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項記載の電源装置。
  5. デジタル制御方式のものとしたことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項記載の電源装置。
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