JP3610388B2 - 復水脱塩装置 - Google Patents
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Description
本発明は、火力発電所や原子力発電所の復水を脱塩処理する復水脱塩装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
火力発電所、原子力発電所で発電する場合には、火力、原子力を利用してボイラ、蒸気発生器等内において高純度水を加熱して蒸気を作り、この蒸気によって発電タービンを駆動し、発電するようにしている。そして、発電時には、発電後の蒸気を復水器において冷却して復水として回収し、この復水を再び加熱して蒸気を作るというサイクルを繰り返している。この循環サイクルでは、系内を循環する復水が各種の不純物イオンや金属酸化物等からなる懸濁物質(以下、「クラッド」と称す)で汚染されるため、これらの汚染物を復水中から除去する必要がある。
【0003】
そこで、上述した火力発電所や原子力発電所の復水系統では、カチオン交換樹脂及びアニオン交換樹脂が充填された脱塩塔を複数備えた復水脱塩装置を用いて復水中の不純物イオンやクラッドを除去している。また、カチオン交換樹脂は水素イオン形とし、アニオン交換樹脂は水酸基形として用いるH−OH形の復水脱塩装置と、カチオン交換樹脂はアンモニア形とし、アニオン交換樹脂は水酸基形として用いるアンモニア形の復水脱塩装置とがある。H−OH形の復水脱塩装置の場合には、仮に僅かの海水が復水器から復水中に混入することがあっても海水に起因するナトリウムイオンや塩化物イオンは復水脱塩装置により除去されるのは勿論のこと、海水が混入しない通常時にも復水に存在するクラッドや他の微量の重金属、更には腐食抑制剤として添加されているアンモニウムイオン等を復水脱塩装置により除去し、電気伝導率が一般に0.1μS/cm以下になるように復水を精製し、この精製水を発電用水として使用している。一方、アンモニア形の復水脱塩装置の場合には、カチオン交換樹脂をアンモニア形にすることによって復水中のアンモニウムイオン以外の全ての不純物イオンと懸濁物質を除去するように工夫されている。
【0004】
しかし、いずれのタイプの復水脱塩装置であっても一定量の復水を精製するとイオン交換樹脂がブレークするが、その時にはイオン交換樹脂の再生を行う。この再生を行う場合には、まずイオン交換樹脂を復水脱塩装置の脱塩塔から再生設備の再生塔へ移送する。そして、再生塔内で空気攪拌(エアスクラビング)と逆洗を行うことによりイオン交換樹脂の表面に付着したクラッドを除去した後、この再生塔内で比重差を利用して逆洗によりカチオン交換樹脂とアニオン交換樹脂に分離する。イオン交換樹脂を分離した後、アニオン交換樹脂には水酸化ナトリウム水溶液等のアルカリ再生剤を通薬し、カチオン交換樹脂には硫酸水溶液または塩酸水溶液等の酸再生剤を通薬し、両イオン交換樹脂に付着した不純物イオンを脱着して両イオン交換樹脂を再生している。
【0005】
上述の再生方式には一塔再生方式と二塔再生方式とがある。一塔再生方式の場合には、再生塔内で両イオン交換樹脂を比重差により分離して下側にカチオン交換樹脂層を、上側にアニオン交換樹脂層を形成させ、この分離層を保持したまま下層のカチオン交換樹脂には酸再生剤を、上層のアニオン交換脂にはアルカリ再生剤を通薬し、一塔内で両イオン交換樹脂を再生する方式である。また、二塔再生方式の場合には、一つの塔(カチオン再生塔)内で両イオン交換樹脂を分離した後、上層のアニオン交換樹脂を別の再生塔(アニオン再生塔)へ移送し、両イオン交換樹脂をそれぞれ別々の再生塔内で再生する方式である。
【0006】
両イオン交換樹脂の再生が終了すると、次の脱塩塔が通水終点に達するまでの間、再生後の両イオン交換樹脂を貯蔵タンクに貯蔵して待機させておく。そして、通水終点に達したらその脱塩塔のイオン交換樹脂を脱塩塔から取り出して再生塔へ移送する。その後、空になった脱塩塔へ貯蔵タンクで待機中の両イオン交換樹脂を移送し、その脱塩塔内でカチオン交換樹脂とアニオン交換樹脂を十分に混合した後、復水の脱塩処理に使用する。
【0007】
ところで、復水脱塩装置の処理水に要求される水質は、ボイラ、蒸気発生器、原子炉等の腐食防止やスケール付着防止の観点から最近益々高純度化する傾向にある。例えばNaイオン、Clイオン、SO4イオンの場合には、それぞれの濃度が0.01ppb以下の純度を目標としている。そのため、復水脱塩装置においてはこのような高純度の処理水を得るために種々の改善がなされており、その結果、現在では上述した目標の純度は達成できる段階にある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の復水脱塩装置の場合には、ボイラ、蒸気発生器、原子炉等の腐食防止やスケール付着防止の観点から処理水の水質が益々高純度化するに伴ってNaイオンやClイオン等の無機イオンは目標とする純度を達成しているが、再生後のイオン交換樹脂を脱塩塔に充填し、通水を開始すると、その開始初期において極微量の有機物が処理水中に漏出し、この極微量の有機物が高純度化傾向に伴って新たな課題となっている。特に、再生して繰り返し使用したカチオン交換樹脂は使用の間に徐々に酸化劣化して上述の有機物がカチオン交換樹脂から処理水中に漏出し易くなり、処理水の水質が悪化するという課題があった。
【0009】
ところで、最近の研究によれば、有機物の中にはスチレンスルホン酸のオリゴマーや低分子ポリマーが含まれており、これらの有機物は復水脱塩装置に通常使用されている、スチレンとジビニルベンゼンとの共重合体をスルホン化した強酸性カチオン交換樹脂から溶出するものであることが判明している。また、復水脱塩装置の処理水は前述のようにボイラ、蒸気発生器、原子炉等の蒸気発生装置へ供給されるが、蒸気発生装置の内部は高温、高圧になっているため、前述の有機物が処理水中に含まれていると、これらの有機物は蒸気発生装置内で高温、高圧の作用により分解されてSO4イオン等を生成し、SO4イオン等が蒸気発生装置等を腐食し、蒸気発生装置等に悪影響を及ぼす虞がある。
【0010】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、復水脱塩装置のカチオン交換樹脂から処理水中へ漏出する有機物を低減して処理水の水質を向上させることができ、ひいては有機物に起因した火力発電所のボイラ、沸騰水型原子力発電所の原子炉、加圧水型原子力発電所の蒸気発生器等の高温高圧系を構成する部材の腐食を防止することができる復水脱塩装置を提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、有機物の処理水中への漏出防止対策について種々検討した結果、従来の復水脱塩装置の場合には、再生設備からの再生済みのカチオン交換樹脂とアニオン交換樹脂との混合イオン交換樹脂を脱塩塔に移送して充填した後、更に脱塩塔内でカチオン交換樹脂とアニオン交換樹脂を空気により混合して混合イオン交換樹脂層を形成する操作を行い、次いで、脱塩処理を行うようにしているが、カチオン交換樹脂はアニオン交換樹脂より比重が大きく、上記脱塩塔での再混合を実施してもカチオン交換樹脂が混合イオン交換樹脂層の下部に遍在し易いため、復水が塔上部から下部に通水されると、下部層のカチオン交換樹脂から溶出する有機物はアニオン交換樹脂と接触する確率が低くなり、アニオン交換樹脂で捕捉されずに直接処理水中に漏出することを知見した。
【0012】
本発明は上記知見に基づいてなされたもので、請求項1に記載の復水脱塩装置は、カチオン交換樹脂とアニオン交換樹脂を用いて復水の脱塩処理を行う脱塩塔を備えた復水脱塩装置において、上記脱塩塔は上下で異なるイオン交換樹脂層を有し、上側のイオン交換樹脂層はカチオン交換樹脂とアニオン交換樹脂を混合した混合イオン交換樹脂で形成され、下側のイオン交換樹脂層はアニオン交換樹脂単独で形成されていることを特徴とするものである。
【0013】
また、本発明の請求項2に記載の復水脱塩装置は、カチオン交換樹脂とアニオン交換樹脂を用いて復水の脱塩処理を行う複数の脱塩塔と、いずれかの脱塩塔内の使用済みのカチオン交換樹脂及びアニオン交換樹脂を再生する再生設備とを備えた復水脱塩装置において、上記脱塩塔は上下で異なるイオン交換樹脂層を有し、上側のイオン交換樹脂層はカチオン交換樹脂とアニオン交換樹脂を混合した混合イオン交換樹脂として形成され、下側のイオン交換樹脂層はアニオン交換樹脂単独で形成されてなり、また、上記各脱塩塔と上記再生設備は再生後のアニオン交換樹脂を単独で移送する樹脂移送配管により連結されてなることを特徴とするものである。
【0014】
また、本発明の請求項3に記載の復水脱塩装置は、請求項1または請求項2に記載の発明において、上記アニオン交換樹脂層は脱塩塔下部の脱塩処理水の流出点から少なくとも200mmの層高を有することを特徴とするものである。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、図1〜図7及び表1〜表3に示す実施例に基づいて本発明を説明する。尚、図1は本発明の復水脱塩装置におけるイオン交換樹脂の充填方法を好適に適用できる復水脱塩装置の一実施形態を示す構成図、図2の(a)は図1に示す脱塩塔の下部の構成を示す構成図、同図の(b)は他の脱塩塔の下部の構成を示す構成図、図3〜図6はそれぞれ本発明の復水脱塩装置におけるイオン交換樹脂の充填方法を好適に適用できる復水脱塩装置の他の実施形態の再生設備を示す構成図、図7は本実施例におけるNaイオンの漏出を示すグラフであり、また、表1は本発明の復水脱塩装置の性能をベンチスケールで実験した時の実験条件を示す表、表2はベンチスケールで実験した時の有機物等の漏出結果を示す表、表3は実施例におけるNaイオンの漏出結果を示す表である。
【0024】
まず、本発明の復水脱塩装置の一実施形態について説明する。本実施形態の復水脱塩装置10は、図1に示すように、複数の脱塩塔11(図1では2塔のみ図示してある)と、これらの脱塩塔11内のイオン交換樹脂を再生する再生設備20とを備えて構成されている。各脱塩塔11の上部には復水器(図示せず)から前置濾過装置(図示せず)を経由して流れて来る復水が流入する流入配管12が接続され、それぞれの下部には脱塩処理後の処理水が流出する流出配管13が接続されている。そして、流入配管12から各脱塩塔11内へ流入した復水はそれぞれのイオン交換樹脂層14を下降流で通水され、通水の間にイオン交換樹脂により脱塩処理され、処理水が流出配管13から流出するようにしてある。また、各脱塩塔11の流入配管12及び流出配管13にはバルブ12A、13Aが取り付けられ、通水終点に達した脱塩塔11内のイオン交換樹脂を再生する時にその脱塩塔11のバルブ12A、13Aを閉じ、他の脱塩塔11から切り離すようにしてある。尚、各脱塩塔11は略等しい時間間隔で順に通水終点に達するようにしてある。
【0025】
而して、上記イオン交換樹脂層14は図1に示すように上下の2層から構成されている。上層14Aは強酸性カチオン交換樹脂(以下、単に「カチオン交換樹脂」と称す)Cと強塩基性アニオン交換樹脂(以下、単に「アニオン交換樹脂」と称す)Aを混合した混合イオン交換樹脂CAで形成されている。下層14Bはアニオン交換樹脂A単独で形成されている。そして、通水終点に達したイオン交換樹脂層14のカチオン交換樹脂C及びアニオン交換樹脂Aは再生設備20に移送して再生し、繰り返し使用するようにしている。
【0026】
ここで、上記カチオン交換樹脂Cについて概説すると、復水脱塩装置に使用されているカチオン交換樹脂は通常スチレンとジビニルベンゼンを共重合して共重合体を製造し、この共重合体をスルホン化することにより得られる。しかしながら、これらの合成段階で極僅かではあるが未反応のモノマーや、所期の重合度に達しないオリゴマーや低分子ポリマーの生成は避けられない。そのため、その後の精製処理によりカチオン交換樹脂の残留不純物を低減した後使用するが、スチレンスルホン酸のオリゴマーや低分子のポリマーは僅かではあるが残留し、この残留物が通水中に溶出してくることは避けられない。また、イオン交換樹脂は経年使用する間に酸化劣化を受け、カチオン交換樹脂の場合には酸化劣化によりスチレンスルホン酸のオリゴマーや低分子のポリマーが溶出し易くなる。ところが、スチレンスルホン酸は、アニオン成分であるため、アニオン交換樹脂Aとのイオン交換反応により、またはアニオン交換樹脂Aへの物理吸着によりアニオン交換樹脂Aに捕捉される性質がある。
【0027】
カチオン交換樹脂Cからは上述のように復水の通水中に僅かではあるが有機物が溶出するが、本実施形態では、カチオン交換樹脂Cから溶出する有機物がそのまま処理水中に漏出するのを防止するために、上記イオン交換樹脂層14は、上述のように上下2層で構成され、上層14Aはカチオン交換樹脂Cとアニオン交換樹脂Aの混合イオン交換樹脂CAで形成され、下層14Bがアニオン交換樹脂Aにより形成されている。従って、アニオン交換樹脂Aとの比重差によりカチオン交換樹脂Cが下層部に偏在しカチオンリッチになって通水時にカチオン交換樹脂Cから溶出する有機物が上層14Aの混合イオン交換樹脂CAから漏出しても、下層14Bがアニオン交換樹脂Aにより形成されているため、上層14Aから漏出する有機物は下層14Bのアニオン交換樹脂Aにより殆ど捕捉され、処理水中へ殆ど漏出することがなく、処理水質の悪化を防止することができる。
【0028】
上記アニオン交換樹脂Aからなる下層14Bは上層14Aのカチオン交換樹脂Cから漏出する有機物を確実に捕捉できる層高hに形成しておけば良く、その層高hとしては例えば脱塩塔下部の脱塩処理水の流出点から少なくとも200mmあれば良い。層高hの採り方は脱塩塔11の塔構成によって異なる。例えば図2の(a)で示すように処理水が上下複数段に渡って配置された環状の集水管15を介して流出するように構成されている場合には、その層高hは、最も上段の集水管15の流出点を基準点とし、この基準点から下層14Bの上面までの高さであり、この高さが少なくとも200mmあれば良いことになる。また、図2の(b)で示すように処理水が支持板16の流出部16Aを介して流出するように構成されている場合には、その層高hは、支持板16の流出部16Aを基準点とし、この基準点から下層14Bの上面までの高さである。
【0029】
従って、上層14Aが混合イオン交換樹脂CAからなる本実施形態の復水脱塩装置10の脱塩塔11を用いて復水を処理する場合には、復水が流入配管12から各脱塩塔11内へ並行して流入すると、各脱塩塔11内では復水が上層14Aを通過する間に復水中のNaイオン、Clイオン、金属イオン等の不純物イオンは上層14Aの混合イオン交換樹脂CAにより除去される。そして、上層14Aのカチオン交換樹脂から漏出するスチレンスルホン酸のオリゴマー等の有機物は上層14Aでの処理水が下層14Bを通過する間にアニオン交換樹脂Aにより捕捉され、各脱塩塔11から流出する処理水中の漏出有機物は従来より格段に低減する。従って、この処理水が復水脱塩装置10の下流側にあるボイラ、蒸気発生器等において高温、高圧の作用を受けてもSO4イオンを生成することなく、これらの構成機器の腐食を防止することができる。そして、いずれかの脱塩塔11が通水終点に達した時にはそのバルブ12A、13Aを閉じて他の脱塩塔11から切り離し、通水終点に達した脱塩塔11内のイオン交換樹脂を再生設備20において再生し、再生後のイオン交換樹脂をその脱塩塔11へ充填する。
【0030】
次に、本発明の復水脱塩装置におけるイオン交換樹脂の充填方法を実施する場合に好適に用いられる再生設備20について図1を参照しながら説明する。尚、本実施形態ではイオン交換樹脂の移送を中心に説明するため、以下の説明では配管として樹脂移送配管のみを図示し、その他の給排水管及び空気等を供給するガス配管等の付帯機器は図面から省略してある。図1に示す再生設備20は二塔再生方式の再生設備である。この再生設備20は、同図に示すように、1つの脱塩塔11内の全てのイオン交換樹脂を受け取ってカチオン交換樹脂Cを再生する第1再生塔(以下、「カチオン再生塔」と称す)21と、このカチオン再生塔21からアニオン交換樹脂Aを受け取ってそれを再生する第2再生塔(以下、「アニオン再生塔」と称す)22と、両再生塔21、22において再生された各イオン交換樹脂を受け取って次の脱塩塔11が通水終点に達するまでの間両イオン交換樹脂を貯蔵する貯蔵タンク23とを備えて構成されている。
【0031】
上記カチオン再生塔21は上記各脱塩塔11と第1樹脂移送配管24を介して接続されている。第1樹脂移送配管24は一方が各脱塩塔11の下部に接続され、その他方はカチオン再生塔21の上部に接続されている。そして、脱塩塔11からカチオン再生塔21へイオン交換樹脂を移送する場合には、第1樹脂移送配管24のバルブ24Aを開き、各脱塩塔11内に供給される脱塩水等の水及び空気等のガスにより第1樹脂移送配管24を介してイオン交換樹脂をカチオン再生塔21内へ移送するようにしてある。また、カチオン再生塔21内には塩酸や硫酸等の酸再生剤を供給するディストリビュータ21Aが配設されている。従って、このカチオン再生塔21においてカチオン交換樹脂Cを再生する場合には以下のようにして行う。即ち、カチオン再生塔21内では脱塩塔11から移送されたイオン交換樹脂をエアスクラビング操作によりイオン交換樹脂からクラッド等を剥離した後、逆洗操作により剥離したクラッド等を排出し、引き続きこの操作によりカチオン交換樹脂Cを下層にアニオン交換樹脂Aを上層に分離する。その後、アニオン交換樹脂Aを後述のようにアニオン再生塔22へ移送した後、ディストリビュータ21Aから酸再生剤を供給すると共に再生廃水を塔下部の排水管(図示せず)から排出し、カチオン交換樹脂Cを再生する。再生後のカチオン交換樹脂Cは脱塩水等を用いて水洗して酸再生剤を洗い落とす。
【0032】
上記アニオン再生塔22はカチオン再生塔21と第2樹脂移送配管25を介して接続されている。第2樹脂移送配管25は一方がカチオン再生塔21のほぼ中間部(分離後のアニオン交換樹脂Aのみを移送できる位置)に接続され、その他方はアニオン再生塔22の上部に接続されている。そして、カチオン再生塔21からアニオン再生塔22へアニオン交換樹脂Aを移送する場合には、第2樹脂移送配管25のバルブ25Aを開き、カチオン再生塔21内に供給される脱塩水等の水及び空気等のガスにより第2樹脂移送配管25を介してアニオン交換樹脂Aをアニオン再生塔22内へ移送するようにしてある。また、アニオン再生塔22内には水酸化ナトリウム等のアルカリ再生剤(本実施形態及び以下の実施形態では水酸化ナトリウムを使用することとする)を供給するディストリビュータ22Aが配設されている。従って、このアニオン再生塔22においてアニオン交換樹脂Aを再生する場合には、ディストリビュータ22Aからアルカリ再生剤を供給すると共に廃水を塔下部の排水管(図示せず)から排出し、アニオン交換樹脂Aを再生し、その後アニオン交換樹脂Aを脱塩水等を用いて水洗して水酸化ナトリウムを洗い落とす。
【0033】
上記貯蔵タンク23はカチオン再生塔21及びアニオン再生塔22と第3樹脂移送配管26を介してそれぞれ接続されている。第3樹脂移送配管26は一方がカチオン再生塔21とアニオン再生塔22に達するように分岐し、各分岐端が両再生塔21、22の下部にそれぞれ接続され、他方が貯蔵タンク23に接続されている。そして、カチオン再生塔21及びアニオン再生塔22から貯蔵タンク23へカチオン交換樹脂C及びアニオン交換樹脂Aをそれぞれ移送する場合には、第3樹脂移送配管26のバルブ26A、26Bをそれぞれ開き、各再生塔21、22内に供給される脱塩水等の水及び空気等のガスによりカチオン交換樹脂C及びアニオン交換樹脂Aを第3樹脂移送配管26を介して貯蔵タンク23へそれぞれ移送するようにしてある。また、貯蔵タンク23は各脱塩塔11と第4樹脂移送配管27を介して接続されている。第4樹脂移送配管27は一方が貯蔵タンク23の下部に接続され、他方側が各脱塩塔11に達するように分岐し、各分岐端が各脱塩塔11の上部にそれぞれ接続されている。また、貯蔵タンク23内ではカチオン交換樹脂Cとアニオン交換樹脂Aを混合して混合イオン交換樹脂CAを調整するようにしてある。貯蔵タンク23内の混合イオン交換樹脂CAはその内部に供給される脱塩水等の水及び空気等のガスを用いて第4樹脂移送配管27を介して空の脱塩塔11へ移送するようにしてある。
【0034】
更に、本実施形態ではアニオン再生塔22と各脱塩塔11が第5樹脂移送配管(アニオン交換樹脂用樹脂移送管)28を介してそれぞれ接続されている。第5樹脂移送配管28は、一方が第3樹脂移送配管26のバルブ26Bの上流側に接続され、他方が第4樹脂移送配管27に接続されて各脱塩塔11と連結され、第5樹脂移送配管28を介してアニオン再生塔22内のアニオン交換樹脂Aを単独で各脱塩塔11へ直接移送できるようにしてある。従って、第5樹脂移送配管28を介してアニオン再生塔22内のアニオン交換樹脂Aを脱塩塔11内へ移送し、脱塩塔11内にアニオン交換樹脂Aからなるイオン交換樹脂層14の下層14Bを形成することができるようにしてある。
【0035】
次に、上記再生設備20を用いて通水終点に達した脱塩塔11内のイオン交換樹脂を再生し、再生後のイオン交換樹脂を脱塩塔11内へ充填する方法の一実施態様について図1を参照しながら説明する。例えば図1の右側に示す脱塩塔11が通水終点に達した時には、そのイオン交換樹脂を再生する。それにはまず、バルブ24Aを開き、第1樹脂移送配管24を介して脱塩塔11内の全てのイオン交換樹脂をカチオン再生塔21へ移送する。尚、イオン交換樹脂の移送が終了し、空になった上記脱塩塔11には、後述のような方法で予め再生されて貯留されているアニオン再生塔22内のアニオン交換樹脂Aと貯蔵タンク23内の混合イオン交換樹脂CAとを後述のようにして移送して充填し、再び復水の通水を行う。イオン交換樹脂を脱塩塔11から移送した後、カチオン再生塔21内ではエアスクラビング洗浄を行い、イオン交換樹脂の付着物を除去した後、逆洗によりアニオン交換樹脂Aを上層に、カチオン交換樹脂Cを下層に分離する。次いで、バルブ25Aを開き、分離後のアニオン交換樹脂Aを第2樹脂移送配管25を介してアニオン再生塔22へ移送する。
【0036】
その後、カチオン再生塔21ではディストリビュータ21Aからカチオン再生塔21内に酸再生剤を供給し、カチオン交換樹脂Cを再生し、再生後のカチオン交換樹脂Cを洗浄して酸再生剤を洗い落とす。また、アニオン再生塔22ではディストリビュータ22Aからアニオン再生塔22内にアルカリ再生剤を供給し、アニオン交換樹脂Aを再生し、再生後のアニオン交換樹脂Aを洗浄してアルカリ再生剤を洗い落とす。これらの操作を終えた後、カチオン再生塔21内のカチオン交換樹脂Cを第3樹脂移送配管26を介して貯蔵タンク23へ、また、アニオン再生塔22内のアニオン交換樹脂Aも第3樹脂移送配管26を介して貯蔵タンク23へ移送する。この時、アニオン再生塔22内にはアニオン交換樹脂Aの一部を残し、必要ならばアニオン再生塔22内で残留させたアニオン交換樹脂Aを十分に洗浄する。貯蔵タンク23内では移送後のカチオン交換樹脂Cとアニオン交換樹脂Aを混合して混合イオン交換樹脂CAとして調整し、次の脱塩塔11(例えば図1の左側の脱塩塔)へ移送するまで貯蔵タンク23内で混合イオン交換樹脂CAを貯蔵する。この間、適宜の間隔で混合イオン交換樹脂CAを洗浄すると良い。
【0037】
次の脱塩塔11が通水終点に達し、その脱塩塔11へ上述のようにして再生した再生済みのイオン交換樹脂を充填する場合には、その脱塩塔11内の使用済みのイオン交換樹脂を上述したように脱塩塔11からカチオン再生塔21へ取り出した後、まず、第4樹脂移送配管27のバルブ27B及び第5樹脂移送配管28のバルブ28Aを開き、アニオン再生塔22内に残留させておいたアニオン交換樹脂Aの全てを第5樹脂移送配管28及び第4樹脂移送配管27を介して脱塩塔11へ移送して充填し、予め脱塩塔11の下部にアニオン交換樹脂Aからなる下層14Bを形成しておく。引き続き、上記バルブ28Aを閉じ、第4樹脂移送配管27の貯蔵タンク23側のバルブ27Aを開いて貯蔵タンク23内の全ての混合イオン交換樹脂CAを第4樹脂移送配管27を介して脱塩塔11へ移送し、混合イオン交換樹脂CAを先に充填したアニオン交換樹脂A上に積層する。この結果、脱塩塔11のイオン交換樹脂層14は、上層14Aが混合イオン交換樹脂CAにより形成され、下層14Bがアニオン交換樹脂Aにより形成され、本実施形態の復水脱塩装置10の脱塩塔11が構成されることになる。
【0038】
また、図3は二塔再生方式の他の実施形態の再生設備20Aを示す図である。この再生設備20Aは、同図に示すように、アニオン再生塔22内の再生済みのアニオン交換樹脂Aを直接脱塩塔11へ移送する樹脂移送配管(図1における第5樹脂移送配管28)が付設されておらず、アニオン再生塔22内のアニオン交換樹脂Aの全てを第3樹脂移送配管26を介して一旦貯蔵タンク23内に移送するように構成されていると共に、貯蔵タンク23のほぼ中間部(分離後のアニオン交換樹脂Aのみを移送できる位置)にバルブ50Aを備えた第6樹脂移送配管50(アニオン交換樹脂用樹脂移送配管)が接続されており、更にこの第6樹脂移送配管50の一方が第4樹脂移送配管27に接続されている以外は上記再生設備20と同様に構成されている。このように第6樹脂移送配管50を貯蔵タンク23に接続したのは、後述するように再生後のアニオン交換樹脂Aに残留する再生剤(NaOH)由来のNaイオンを、貯蔵タンク23内でカチオン交換樹脂Cと混合することによりカチオン交換樹脂Cによって奪い取り、残留Naイオンが低減されたアニオン交換樹脂Aを脱塩塔11へ移送するためである。このような残留Naイオンの低減されたアニオン交換樹脂Aを脱塩塔11の下層14Aとして用いることにより通水時における下層14Bのアニオン交換樹脂Aからの処理水へのナトリウムリークを防止することができる。
【0039】
図3に示す再生設備20Aを用いてイオン交換樹脂を充填する方法について説明する。この方法の場合には、再生するまでの操作は上記再生設備20における操作と共通するため再生後の充填操作についてのみ説明する。この実施態様では、カチオン再生塔21内で再生された再生後のカチオン交換樹脂Cをバルブ26A、第3樹脂移送配管26を介してカチオン再生塔21から貯蔵タンク23へ移送すると共に、アニオン再生塔22内で再生された再生後のアニオン交換樹脂Aの全てをバルブ26B、第3樹脂移送配管26を介してアニオン再生塔22から貯蔵タンク23へ移送し、貯蔵タンク23内に両イオン交換樹脂C、Aを充填する。次いで、貯蔵タンク23内でカチオン交換樹脂Cとアニオン交換樹脂Aを例えば空気吹込みによる攪拌によって混合し、この混合操作によりアニオン交換樹脂Aに残留する再生剤由来のNaイオンをカチオン交換樹脂Cによって奪い取り、アニオン交換樹脂Aに残留するNaイオンを低減させる。Naイオンが低減されたアニオン交換樹脂Aを後述のようにイオン交換樹脂層14の下層14Bとして使用することにより、処理水中へのナトリウムリークをより確実に防止することができる。この混合操作の後、貯蔵タンク23内で逆洗により再度カチオン交換樹脂Cとアニオン交換樹脂Aに分離する。
【0040】
即ち、貯蔵タンク23内でイオン交換樹脂を分離した後、まず、アニオン交換樹脂Aの一部をバルブ50A、第6樹脂移送配管50及び第4樹脂移送配管27を介して貯蔵タンク23から脱塩塔11へ移送して充填し、予め脱塩塔11の下部にアニオン交換樹脂Aからなる下層14Bを形成しておく。次いで、バルブ50Aを閉じ、貯蔵タンク23内で分離後のカチオン交換樹脂Cと分離後の残余のアニオン交換樹脂Aを混合して混合イオン交換樹脂CAを調整した後、バルブ27Aを開き、この混合イオン交換樹脂CAをバルブ27A及び第4樹脂移送配管27を介して貯蔵タンク23から脱塩塔11へ移送して既に充填されているアニオン交換樹脂Aからなる下層14B上に積層し、混合イオン交換樹脂CAからなる上層14Aを形成する。
【0042】
また、図4、図5はそれぞれ更に他の再生設備を示す図で、これらの再生設備120、120Aは、同図に示すように、図1〜図3に示す再生設備20、20Aと同様に二塔再生方式であるが、図1〜図3に示す再生設備と異なって貯蔵タンクを有しないタイプである。
【0043】
図4に示す再生設備120は、貯蔵タンクを有しない二塔再生方式の再生設備を示す図で、カチオン再生塔121とアニオン再生塔122とを備え構成されている。カチオン再生塔121と脱塩塔は第1樹脂移送配管123によって接続され、第1樹脂移送配管123を介して通水終点に達したイオン交換樹脂を脱塩塔からカチオン再生塔121へ移送するようにしてある。また、カチオン再生塔121とアニオン再生塔122は第2樹脂移送配管124によって接続され、第2樹脂移送配管124を介してカチオン再生塔121において洗浄、分離されたアニオン交換樹脂Aをカチオン再生塔121からアニオン再生塔122へ移送するようにしてある。第1、第2樹脂移送配管123、124の接続形態は前述した再生設備と同様の接続形態になっている。
【0044】
また、上記アニオン再生塔122とカチオン再生塔121は第3樹脂移送配管125によって接続されている。第3樹脂移送配管125は、一方がアニオン再生塔122の下部に接続され、他方がカチオン再生塔121の上部に接続されており、第3樹脂移送配管125を介して再生後のアニオン交換樹脂Aをカチオン再生塔121へ移送するようにしてある。カチオン再生塔121及びアニオン再生塔122は各脱塩塔と第4樹脂移送配管126を介してそれぞれ接続されている。第4樹脂移送配管126は一方がカチオン再生塔121とアニオン再生塔122に達するように分岐し、各分岐端が両再生塔121、122の下部にそれぞれ接続され、また、他方が図1の場合と同様に各脱塩塔に達するように分岐し、各分岐端が各脱塩塔の上部にそれぞれ接続されている。尚、121A、122Aはディストリビュータであり、124A、125A、126A、126Bはバルブである。
【0045】
次に、上記再生設備120を用いて再生後のイオン交換樹脂を脱塩塔に充填する方法について説明する。再生設備120の各再生塔121、122内でカチオン交換樹脂C及びアニオン交換樹脂Aの再生が終了した後、バルブ125Aを開き、第3樹脂移送配管125を介して再生後のアニオン交換樹脂Aをその一部を残してアニオン再生塔122からカチオン再生塔121 へ移送する。カチオン再生塔121ではアニオン交換樹脂Aが移送された後、エアスクラビング操作等を行ってカチオン交換樹脂Cとアニオン交換樹脂Aを混合し、混合イオン交換樹脂CAを調整する。混合イオン交換樹脂CAを調整する間、バルブ126Bを開き、第4樹脂移送配管126を介してアニオン再生塔122内に残留するアニオン交換樹脂Aを脱塩塔へ移送して充填し、予め脱塩塔の下部にアニオン交換樹脂Aからなる下層14Bを形成しておく(図1の脱塩塔参照)。次いで、バルブ126Bを閉じ、バルブ126Aを開いてカチオン再生塔121内で調整された混合イオン交換樹脂CAを第4樹脂移送配管126を介して脱塩塔へ移送し、混合イオン交換樹脂CAを先に充填したアニオン交換樹脂A上に積層する。
【0046】
また、図5は図4と同様に貯蔵タンクを有しない二塔再生方式の他の再生設備を示す図で、図4と同一部分または相当部分には同一符号を附して説明する。図5に示す再生設備120Aの場合には、カチオン再生塔121が前記第2樹脂移送配管124から分岐した第5樹脂移送配管(アニオン交換樹脂用樹脂移送配管)127により、第4樹脂移送配管126を介して各脱塩塔に接続されている。これによって後述のようにカチオン再生塔121から脱塩塔へ再生後のアニオン交換樹脂Aを直接移送できるようにしてある。
【0047】
次に、上記再生設備120Aを用いて再生後のイオン交換樹脂を脱塩塔に充填する方法について説明する。再生設備120Aの各再生塔121、122内でカチオン交換樹脂C及びアニオン交換樹脂Aの再生が終了した後、バルブ125Aを開き、第3樹脂移送配管125を介して全てのアニオン交換樹脂Aをアニオン再生塔122からカチオン再生塔121 へ移送する。カチオン再生塔121では前述した場合と同様にしてエアスクラビング操作等により混合イオン交換樹脂CAを調整する。混合イオン交換樹脂CAを調整した後、このカチオン再生塔121では再度逆洗操作により混合イオン交換樹脂CAをカチオン交換樹脂Cとアニオン交換樹脂Aに分離する。次いで、第5樹脂移送配管127のバルブ127Aを開き、分離後のアニオン交換樹脂Aの一部を第5樹脂移送配管127を介して脱塩塔へ移送して充填し、アニオン交換樹脂Aからなる下層を形成しておく。
【0048】
上述の移送操作後、カチオン再生塔121内で残余のアニオン交換樹脂Aとカチオン交換樹脂Cをエアスクラビング操作等により混合し、混合イオン交換樹脂CAを再び調整する。次いで、バルブ126Aを開き、第4樹脂移送配管126を介して混合イオン交換樹脂CAをカチオン再生塔121から脱塩塔へ移送して先に充填したアニオン交換樹脂A上に積層し、混合イオン交換樹脂CAからなる上層を形成してイオン交換樹脂層とする。再生後のアニオン交換樹脂Aを脱塩塔へ充填する前に、再生後のアニオン交換樹脂Aと再生後のカチオン交換樹脂Cの混合操作を行い、アニオン交換樹脂Aの残留Naイオンがカチオン交換樹脂Cによって奪い取られるため、脱塩処理時における下層のアニオン交換樹脂Aからの処理水へのナトリウムリークを防止することができる。尚、図4、図5の場合のように再生設備内に貯蔵タンクを有しない復水脱塩装置の場合は、通水終点に達した脱塩塔から使用済みのイオン交換樹脂を再生設備に移送して再生を行い、再生後のイオン交換樹脂を再び同一の脱塩塔に戻すようにし、再生操作を行っている間はこの脱塩塔の運転を停止させておく等の運転方法を採用することができる。
【0049】
また、図6は一塔再生方式の再生設備であって、この再生設備内に再生後のイオン交換樹脂の貯蔵タンクを有しない再生設備220を示す図である。この再生設備220は、同図に示すように、一塔の再生塔221を備えて構成されている。従って、再生塔221内にはイオン交換樹脂層の上部にアルカリ再生剤を供給するディストリビュータ221Aとカチオン交換樹脂Cとアニオン交換樹脂Aの分離境界面付近に再生廃液を排出するコレクタ225が配設されており、更に再生塔221の下部には酸再生剤を供給する酸再生剤供給配管226が配設されている。また、再生塔221と脱塩塔は第1樹脂移送配管222によって接続され、第1樹脂移送配管222を介して通水終点に達したイオン交換樹脂を脱塩塔から再生塔221へ移送するようにしてある。また、再生塔221の下部と各脱塩塔の上部は第2樹脂移送配管223によって接続され、第2樹脂移送配管223を介して再生塔221において再生されたイオン交換樹脂を再生塔221から各脱塩塔へ移送するようにしてある。また、再生塔221のほぼ中間部(カチオン交換樹脂Cとアニオン交換樹脂Aの分離境界面付近)と各脱塩塔の上部は第3樹脂移送配管(アニオン交換樹脂用樹脂移送配管)224を介して接続されている。尚、223A、224Aはバルブである。
【0050】
次に、上記再生設備220を用いて再生後のイオン交換樹脂を脱塩塔に充填する方法について説明する。尚、脱塩塔から再生塔221へ移送されたイオン交換樹脂を再生する方法は従来と同様であるためその説明を省略する。イオン交換樹脂を脱塩塔に充填するにはまず、バルブ224Aを開き、再生操作により分離した再生塔221内の上層のアニオン交換樹脂Aの一部を第3樹脂移送配管224を介して再生塔221から脱塩塔へ移送して充填し、予め脱塩塔の下部にアニオン交換樹脂Aからなる下層を形成しておく。そして、再生塔221内でカチオン交換樹脂Cと残余のアニオン交換樹脂Aを混合し、次いで、バルブ223Aを開き、この混合イオン交換樹脂CAを第2樹脂移送配管223を介して再生塔221から脱塩塔へ移送してアニオン交換樹脂A上に積層し、混合イオン交換樹脂CAからなる上層を形成してイオン交換樹脂層とする。
【0051】
また、図6に示す再生設備220を用いた他の充填方法について説明する。上述した方法では、まず再生塔221内の分離した再生後のアニオン交換樹脂Aを脱塩塔へ移送したが、これから説明する方法の場合には、まず再生塔221内の分離した再生後のカチオン交換樹脂Cとアニオン交換樹脂Aをエアスクラビング操作等により混合し、この混合操作を行った後、再び、カチオン交換樹脂Cとアニオン交換樹脂Aに分離する。この操作により再生後のアニオン交換樹脂Aの残留Naイオンをカチオン交換樹脂Cにより奪い取り、よってこのような操作を施したアニオン交換樹脂Aにより脱塩塔の下層を形成させた時に、通水時におけるアニオン交換樹脂Aからの処理水中へのナトリウムリークを防止することができる。その後の操作は上述した場合と同様である。尚、上述の例では再生設備内に貯蔵タンクを有しない場合の一塔再生方式の装置について説明したが、貯蔵タンクを有する一塔再生方式の場合は、再生塔で再生された両イオン交換樹脂を一旦貯蔵タンクに移送した後、この貯蔵タンク内で両イオン交換樹脂を分離し、しかる後に上述したように再生塔から脱塩塔へ樹脂を移送する場合と同様にして再生済みのイオン交換樹脂を貯蔵タンクから脱塩塔に移送すれば良い。
【0052】
また、本発明は上記実施形態に何等制限されるものではなく、要はカチオン交換樹脂からの溶出物を低減するため、脱塩塔の下層部にアニオン交換樹脂単独の層を確実に形成することができる装置であれば、本発明に包含される。
【0053】
【実施例】
次に、本発明の復水脱塩装置を用いた場合に、カチオン交換樹脂からの有機物の漏出を防止あるいは抑制することができ、また、Naイオンのリークを防止できることを実験により実証した。以下でその説明を行う。
【0054】
実施例1
本実施例では、発電所の復水脱塩装置で約2年間使用したカチオン交換樹脂(アンバーライト(登録商標、以下同様)200CP:ローム&ハース社製)とアニオン交換樹脂(アンバーライトIRA−900CP)を表1に示した条件で各々のイオン交換樹脂を再生した後、内径32mm、長さ1500mmのアクリル製カラムに、まずアニオン交換樹脂を170mL(樹脂層高約200mm)充填し、その上部にカチオン交換樹脂を660mLとアニオン交換樹脂を170mLを混合した混合イオン交換樹脂を充填した。
【0055】
次いで、上記カラムにアンモニア濃度が500ppbで、ヒドラジン濃度が200ppbの復水を線速度(LV)80m/時で通水した。通水開始後、1時間、3時間後に処理水をサンプリングし、各サンプリング水の導電率、TOC(全有機物濃度)を測定した。更に、各サンプル水を紫外線照射し、各サンプル水中に含まれている有機物を分解し、分解液中の硫酸イオンの濃度を測定した。それぞれの測定結果を表2に示した。
【0056】
参考例1
本参考例では、実施例1で用いたものと同一のイオン交換樹脂を同一の条件で再生した後、実施例1で用いたものと同一のカラムにアニオン交換樹脂を340mL(樹脂層高約400mm)充填し、その上部にカチオン交換樹脂を660mL充填し、実施例1と同一条件で通水試験を行った。そして、通水の間に、実施例1と同一の条件でサンプリング水を採取し、各サンプリング水について実施例1と同様の測定を行い、その結果を表2に示した。
【0057】
比較例
本比較例では、実施例1で用いたものと同一のイオン交換樹脂を同一の条件で再生した後、340mLのアニオン交換樹脂と660mLのカチオン交換樹脂とを混合して混合イオン交換樹脂を調整した。次いで、実施例1で用いたものと同一のカラムに混合イオン交換樹脂を充填した後、実施例1と同一条件で通水試験を行い、その結果を表2に示した。
【0058】
【表1】
【0059】
【表2】
【0060】
表2に示した結果によれば、カラム下部にアニオン交換樹脂を充填した実施例1及び参考例1の場合には処理水中のTOC濃度及び紫外線照射分解後の硫酸イオンの濃度が比較例の場合と比較して低減していることが判った。
【0061】
参考例2
本参考例では、実施例1で用いたものと同一のイオン交換樹脂を同一の条件で再生した後、内径48.5mm、長さ1000mmのアクリル製カラムに充填し、下部から5分間空気を入れ、カチオン交換樹脂とアニオン交換樹脂を混合した。混合終了後、そのままの状態で約1時間待機させ、しかる後にカラムの下部から約30分間純水を通水し、アニオン交換樹脂とカチオン交換樹脂を逆洗分離した。その後、実施例1で用いたものと同一のカラムにまず分離したアニオン交換樹脂340mmを充填し、その上部に分離したカチオン交換樹脂660mmを充填し、実施例1と同一の条件で通水試験を行った。そして、通水時のカラムの出口のサンプリング水中のNaイオンの測定を行い、その結果を表3及び図7に示した。また、比較のために実施例1と参考例1についても同様にカラム出口のサンプリング水中のNaイオンの測定を行い、その結果を表3及び図7に示した。
【0062】
【表3】
【0063】
表3及び図7に示した結果によれば、再生後のカチオン交換樹脂とアニオン交換樹脂を一旦混合した後、再度両イオン交換樹脂を分離してからカラムに充填することにより、通水時におけるNaイオンのリーク量が低減することが判った。
【0064】
以上説明したように、本発明の請求項1〜請求項3に記載の発明によれば、復水脱塩装置のカチオン交換樹脂から処理水中へ漏出する有機物を低減し、処理水の水質を向上させることができ、ひいては火力発電所のボイラ、沸騰水型原子力発電所の原子炉、加圧水型原子力発電所の蒸気発生器等の高温高圧系を構成する部材の腐食を防止でき、特に、カチオン交換樹脂が劣化を受けている場合に高温高圧系の構成部材の腐食を効果的に防止できる復水脱塩装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の復水脱塩装置におけるイオン交換樹脂の充填方法を好適に適用できる復水脱塩装置の一実施形態を示す構成図である。
【図2】(a)は図1に示す脱塩塔の下部の構成を示す構成図、同図(b)は他の脱塩塔の下部を構成を示す構成図である。
【図3】本発明の復水脱塩装置におけるイオン交換樹脂の充填方法を好適に適用できる復水脱塩装置の他の実施形態の再生設備を示す構成図である。
【図4】本発明の復水脱塩装置におけるイオン交換樹脂の充填方法を好適に適用できる復水脱塩装置の更に他の実施形態の再生設備を示す構成図である。
【図5】本発明の復水脱塩装置におけるイオン交換樹脂の充填方法を好適に適用できる復水脱塩装置の更に他の実施形態の再生設備を示す構成図である。
【図6】本発明の復水脱塩装置におけるイオン交換樹脂の充填方法を好適に適用できる復水脱塩装置の更に他の実施形態の再生設備を示す構成図である。
【図7】実施例3におけるNaイオンの漏出結果を示すグラフである。
【符号の説明】
10 復水脱塩装置
11 脱塩塔
14 イオン交換樹脂層
14A 上層(上側のイオン交換樹脂層)
14B 下層(下側のイオン交換樹脂層)
20、20A、120、120A、220 再生設備
28、50、126、127、224 アニオン交換樹脂用樹脂移送配管
Claims (3)
- カチオン交換樹脂とアニオン交換樹脂を用いて復水の脱塩処理を行う脱塩塔を備えた復水脱塩装置において、上記脱塩塔は上下で異なるイオン交換樹脂層を有し、上側のイオン交換樹脂層はカチオン交換樹脂とアニオン交換樹脂を混合した混合イオン交換樹脂で形成され、下側のイオン交換樹脂層はアニオン交換樹脂単独で形成されていることを特徴とする復水脱塩装置。
- カチオン交換樹脂とアニオン交換樹脂を用いて復水の脱塩処理を行う複数の脱塩塔と、いずれかの脱塩塔内の使用済みのカチオン交換樹脂及びアニオン交換樹脂を再生する再生設備とを備えた復水脱塩装置において、上記脱塩塔は上下で異なるイオン交換樹脂層を有し、上側のイオン交換樹脂層はカチオン交換樹脂とアニオン交換樹脂を混合した混合イオン交換樹脂として形成され、下側のイオン交換樹脂層はアニオン交換樹脂単独で形成されてなり、また、上記各脱塩塔と上記再生設備は再生後のアニオン交換樹脂を単独で移送する樹脂移送配管により連結されてなることを特徴とする復水脱塩装置。
- 上記アニオン交換樹脂層は脱塩塔下部の脱塩処理水の流出点から少なくとも200mmの層高を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の復水脱塩装置。
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