JP3609938B2 - 移動体識別装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、移動体と無線通信を行うことにより各移動体を識別する移動体識別装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
移動体識別装置は、管理設備側に固定された質問器が、通信エリア内を通過する各移動体に取り付けられた応答器との間で無線通信を行うことにより、各移動体を識別し管理を行うものである。
【0003】
図5に、従来の移動体識別装置のシステム構成を示す。この従来例では、エンジン組み付けラインに適用された移動体識別装置を示しており、本体側に3台の質問器531、532、533が設けられており、それぞれをコントロールする制御装置541、542、543に電気的に接続されている。これらの制御装置541、542、543はそれぞれのホストコンピュータ551、552、553に電気的に接続され、これらのホストコンピュータ551、552、553は更に通信ケーブル56で連結されてネットワークを構成しており、各制御装置541、542、543はそれぞれのホストコンピュータ551、552、553により管理されている。
【0004】
また、パレット等の移動体11、12、13には、応答器21、22、23がそれぞれに設けられており、各移動体11、12、13はコンベアベルト等の搬送装置7によりX方向に順次移動されるようになっている。これらの応答器21、22、23には、各移動体11、12、13を識別するための識別コードと、各移動体11、12、13を管理するための各種データ等が記憶されている。
【0005】
従って、制御装置541、542、543に接続された質問器531、532、533は、最寄りの移動体11、12、13と無線通信を行うことにより、この応答器21、22、23から識別コードや各種データを読み出すことができる。
【0006】
この従来例において、同一の周波数帯の電波を発する質問器531、532、533がシステムの制約上から隣接する質問器531、532、533同士を仕様で決められた最小隣接設置間隔以上に離して設置できない場合がある。その場合には、各質問器531、532、533が同時に動作し電波を発信すると、互いの電波が干渉し合い応答器21、22、23との通信ができなくなる。こうした不具合が起こらないように、この従来例では、制御装置541、542、543により各質問器531、532、533を時間差をつけて動作させることにより、互いの電波が干渉しないようにしている。こうした制御をするために、互いに隣接する質問器531、532、533の動作するタイミングをホストコンピュータ551、552、553により管理する必要があるので、各制御装置541、542、543にそれぞれ接続されたホストコンピュータ551、552、553を通信ケーブル56で連結してネットワークを構成している。
【0007】
具体的には、図5に示すこの従来例では、各質問器531、532、533は各応答器21、22、23との通信距離が500mmで、最小隣接設置間隔が2000mmの仕様のもので構成されている。各質問器531、532、533は移動する各応答器21、22、23に対し1対1に正面対向するように設けられており、設備の都合上から両者の間隔を500mmとしている。各応答器21、22、23はエンジンを載せるパレット等の移動体11、12、13にそれぞれ取り付けられており、移動体11、12、13は1000mmの間隔でラインを流れる。
【0008】
このようなシステム構成では、各質問器531、532、533が同時に通信動作をした場合、互いの電波が干渉し各応答器21、22、23との通信ができなくなる。そこで、各質問器531、532、533の通信動作を各ホストコンピュータ551、552、553により管理している。
【0009】
図6にホストコンピュータ552の処理手順を示す。各移動体11、12、13が、対応する各質問器531、532、533の所定位置に到達したか否かを監視し、各移動体11、12、13が所定位置に到達したことを検知するまでこの監視状態を維持し、各移動体11、12、13が所定位置に到達したことを検知すると(ステップS61)、まず質問器32が通信動作を開始する(ステップS62)。次に、質問器32が通信動作を完了したか否かを監視し、この通信動作の完了を検知するまでこの監視状態を維持し、質問器32の通信動作が完了したことを検知すると(ステップS63)、質問器31及び質問器33が共に通信動作を開始する(ステップS64)。次に、質問器31及び質問器33が共に通信動作を完了したか否かを監視し、この通信動作の完了を検知するまでこの監視状態を維持し、質問器31及び質問器33が共に通信動作が完了したことを検知すると(ステップS65)、ステップS61の処理に戻る。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来例では、隣接する質問器の通信動作のタイミングをホストコンピュータにより管理する必要があるため、各質問器を制御する制御装置にそれぞれ接続されたホストコンピュータがネットワークで連結される構成をとっている。
【0011】
従って、ネットワークを介して各ホストコンピュータ間で各質問器の動作状況に関する情報を伝達する通信時間が必要となる。また、得られた情報をホストコンピュータによりデータ処理する処理時間も必要となる。このため、質問器と応答器の通信時間に加えて、これらの余分の時間が必要となる分、システム全体の動作速度が遅くなるという問題が生じる。
【0012】
この問題は、使用する質問器の仕様で決まる最小隣接設置間隔に対し、隣接する質問器の間隔が小さくなればなるほど、各質問器の動作を細かく時間差を付けて管理する必要があるため、質問器と応答器の通信時間以外の余分の時間が一層長くなり、システム全体の動作速度が益々遅くなることになる。
【0013】
また、システム全体がネットワークで連結された各ホストコンピュータで管理されているので、ある1組の質問器と応答器との間で通信エラー等の障害が発生すると、その影響がシステム全体におよび問題を発生させる場合が多い。しかも、その原因の追求に時間がかかり、復旧作業も複雑になることから、システム全体の稼働効率を大きく低下させることになるという問題が生じる。
【0014】
更には、各ホストコンピュータをネットワークで連結したシステム構成をとるため、システムが大がかりで複雑なものとなるので、多種の製品の生産に対応してシステム全体のレイアウト変更をすることが非常に困難となる。加えて、各ホストコンピュータにシステムをネットワーク管理するための制御プログラムを組み込む必要もあり、システム全体が高価なものとなるという問題も生じる。
【0015】
本発明は、こうした従来技術の課題を解決するものであり、ネットワークで連結したシステム構成をとることなく、かつ、質問器の仕様で定められる最小隣接設置間隔以下での使用が可能である移動体識別装置を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明の移動体識別装置は、最小隣接設置間隔以下の間隔をあけてそれぞれ固定されており、それぞれが、無線通信により質問信号を送信する質問送信手段を有する複数の質問器と、前記間隔と同じ間隔をあけた状態で前記各質問器に沿って順次移動する複数の移動体のそれぞれに設けられており、前記質問器の質問送信手段によって送信される質問信号を受信する質問受信手段と、該質問受信手段が質問信号を受信すると無線通信により応答信号を送信する応答送信手段とをそれぞれ有する応答器と、前記各質問器の前記質問送信手段による質問信号の送信を制御する制御手段とを備え、前記各質問器は、前記質問送信手段によって質問信号が送信された後に前記いずれかの応答器によって送信される応答信号を受信する応答受信手段と、他の質問器の通信状態を受信する通信状態受信手段とをそれぞれ有しており、前記制御部は、前記各質問器の通信状態受信手段によって、最小隣接設置間隔以下の間隔をあけて配置されている他の質問器が通信状態でないことを確認して、前記各質問器の質問送信手段から質問信号をそれぞれ送信するように制御することを特徴とし、そのことにより上記目的が達成される。
【0017】
以下に、本発明の作用について説明する。
【0018】
上記構成によれば、無線通信手段により、本体側に設けられた質問器が、質問送信手段により質問信号を送信すると、移動体側に設けられた応答器が、質問受信手段により質問信号を受信する。そして、無線通信手段により、この応答器が、応答送信手段により応答信号を送信すると、質問器が、応答受信手段により応答信号を受信する。
【0019】
この質問器に、通信状態受信手段を設け、他の該質問器の通信状態を受信し、この通信状態信号に基づいて、制御手段により質問器の通信制御を行う。
【0020】
このため、ホストコンピュータをネットワークで連結したシステム構成をとらなくても、質問器同士を最小隣接設置間隔以下で使用した際に、互いの電波が干渉し合うことなく、通信を行うことが可能となる。
【0021】
また、システム全体をネットワークで管理する構成をとっていないので、従来必要としていたネットワーク管理のための情報通信時間やデータ処理時間が不要となり、質問器と応答器の通信時間以外の余分の時間が低減されると共に、ホストコンピュータの処理負担も軽減されるので、その分システム全体の動作速度が速くなる。
【0022】
更には、システム全体をネットワークで管理する構成をとっていないので、ある1組の質問器と応答器との間で通信エラー等の障害が発生しても、その影響がシステム全体におよぶことがなくなる。従って、障害が発生した箇所の応答器のデータを再度読み出すだけで、運転を再開することが可能となる。このため、障害の原因も短時間で把握でき、復旧作業も容易となるので、システム全体の稼働効率を大きく向上させることが可能となる。また、システム全体を簡素化できるので、安価にシステムを構築できると共に、多種の製品の生産に対応してシステム全体のレイアウト変更をすることが容易となる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を図面に基づいて具体的に説明する。
【0024】
図1に本発明の移動体識別装置のシステム構成を示す。このシステムでは、本体側となるエンジン組み付けラインに3台の質問器31、32、33が設けられており、各質問器31、32、33はそれぞれの制御装置41、42、43に電気的に接続されており、各制御装置41、42、43によりコントロールされている。各制御装置41、42、43はそれぞれのホストコンピュータ51、52、53に電気的に接続されており、各ホストコンピュータ51、52、53により管理されている。
【0025】
また、パレット等の移動体11、12、13には、応答器21、22、23がそれぞれに設けられており、各移動体11、12、13はコンベアベルト等の搬送装置7によりX方向に順次移動されるようになっている。この応答器21、22、23には、各移動体11、12、13を識別するための識別コードと、この移動体を管理するための各種データ等が記憶されている。
【0026】
より具体的には、このシステム構成では、各質問器31、32、33は各応答器21、22、23との通信距離が500mmで、最小隣接設置間隔が2000mmの仕様のもので構成されている。各質問器31、32、33は移動する各応答器21、22、23に対し1対1に正面対向するように設けられており、設備の都合上から両者の間隔を500mmとしている。各応答器21、22、23はエンジンを載せるパレット等の移動体11、12、13にそれぞれ取り付けられており、移動体11、12、13は1000mmの間隔でラインを流れる。
【0027】
応答器2は、移動体側に設けられ、図2に示すように、無線通信手段により、質問信号QSを受信すると共に受取信号TSを出力する質問受信部22と、この質問受信部22からの受取信号TSに基づいて応答信号ASを送信する応答送信部23とを有する。
【0028】
質問器3は、本体側に設けられ、無線通信手段により、質問信号QSを送信する質問送信部21と、この質問送信部21によって質問信号QSが送信された後に応答信号ASを受信する応答受信部24とを有する。更に、この質問器3には、他の質問器の搬送波CWを受信して通信状態信号SS1を出力する通信状態受信部20が設けられている。
【0029】
この質問器3の質問送信部21、応答受信部24及び通信状態受信部20は、それぞれインタフェース部29を介して制御装置4に電気的に接続されており、この制御装置4はホストコンピュータ5に電気的に接続され管理されている。
【0030】
上記通信状態受信部20は、具体的には、例えば、検波部25、増幅部26、復調部27及び積分回路28で構成されており、質問器3が他の質問器3の搬送波CWを検波し、増幅、復調し、その信号を積分することで、通信状態を示すHigh又はLowのレベル信号を生成する。この通信状態信号SS1は、シリアルI/FであるRS422A等のインタフェース部29で通信状態信号SS2とされ、この通信状態信号SS2が制御装置4に入力されており、制御装置4がこの通信状態信号SS2により他の質問器3が搬送波CWを送信しているかどうかの通信状態の判別を行う。
【0031】
上記のシステム構成におけるホストコンピュータ52及び制御装置42の具体的な動作について、図2〜図4を用いて以下に説明する。
【0032】
ホストコンピュータ52は、図3に示すように、移動体12が対応する質問器32の所定位置に到達したか否かを監視し、移動体12が所定位置に到達したことを検知するまでこの監視状態を維持し、移動体12が所定位置に到達したことを検知すると(ステップS31)、ホストコンピュータ52は制御装置42に対し質問器32への通信開始指令CS1を出力する(ステップS32)。出力後、ホストコンピュータ52は、制御装置42の出力である、応答器22との通信が完了したことを示す通信完了信号CE3の入力を待つ状態となる。
【0033】
次に、制御装置42は、図4に示すように、上記ステップS32によるホストコンピュータ52の出力である、質問器32への通信開始指令CS1の入力を監視し、この通信開始指令CS1が入力されるまでこの監視状態を維持し、通信開始指令CS1が入力されると(ステップS41)、次に、通信状態信号SS2の信号レベルを監視する。この状態信号SS2は、質問器32の通信状態受信部20から出力されるHigh又はLowの通信状態信号SS1がインタフェース部29を介して送られてくる信号である。この通信状態信号SS2がHighである場合には、他の質問器31又は33の少なくとも一方が搬送波CWを送信している通信状態にあるので、通信動作が完了し通信状態信号SS2がLowになるまでこの監視を続け、他の質問器31及び33がいずれも通信動作をしていないか否かを確認する。この通信状態信号SS2がLowとなり、他の質問器31及び33がいずれも通信動作をしていないことが確認されると(ステップS42)、制御装置42からの通信開始指令CS2がインタフェース部29に入力されて通信開始指令CS3とされ、この通信開始指令CS3に基づいて質問器32が応答器22との通信動作を開始する(ステップS43)。
【0034】
次に、通信完了信号CE2の入力により質問器32が通信動作を完了したか否かを監視し、この通信完了信号CE2が入力されるまでこの監視状態を維持する。この通信完了信号CE2は、質問器32の応答受信部24から出力される通信動作が完了したことを示す通信完了信号CE1が、インタフェース部29を介して送られてくる信号である。制御装置42に通信完了信号CE2が入力され、質問器32が通信動作を完了したことを確認すると(ステップS44)、制御装置42がホストコンピュータ52に対し質問器32への通信完了指令CE3を出力する(ステップS45)。出力後、制御装置42は、ステップS41の処理に戻る。
【0035】
次に、図3に示すホストコンピュータ5の処理手順に戻り、ホストコンピュータ52が制御装置42からの通信完了指令CE3が入力されたか否かを監視し、この通信完了指令CE3が入力されるまでこの監視状態を維持し、この通信完了指令CE3が入力された時点で(ステップS33)、ホストコンピュータ52は質問器32の通信動作の管理を終了し、ステップS31の処理に戻る。
【0036】
尚、上記の実施形態では、3台の質問器を設置するシステム構成を示しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、複数台の質問器を設置するシステム構成の全てを包含することは言うまでもないことである。
【0037】
また、制御装置とホストコンピュータとを別構成とするシステム構成を示しているが、制御装置及びホストコンピュータの各機能を統合して一体化した構成としてもよい。
【0038】
【発明の効果】
上記本発明の移動体識別装置によれば、隣接する質問器の通信動作のタイミングをホストコンピュータにより管理する必要がなくなるので、ホストコンピュータをネットワークで連結したシステム構成をとらなくても、質問器が特つ最小隣接設置間隔以下で、各質問器を使用することができる。加えて、質問器に追加した通信状態受信回路も単純で安価なものであるので、大きなコストアップにはならない。
【0039】
また、システム全体をネットワークで管理する構成をとっていないので、従来必要としていたネットワーク管理のための情報通信時間やデータ処理時間が不要となり、質問器と応答器の通信時間以外の余分の時間を低減することができると共に、ホストコンピュータの処理負担も軽減できるので、その分システム全体の動作速度を速くすることができる。
【0040】
更には、システム全体をネットワークで管理する構成をとっていないので、ある1組の質問器と応答器との間で通信エラー等の障害が発生しても、その影響がシステム全体におよぶことがなくなる。従って、障害が発生した箇所の応答器のデータを再度読み出すだけで、運転を再開できる。このため、障害の原因も短時間で把握でき、復旧作業も容易となるので、システム全体の稼働効率を大きく向上させることができる。また、システム全体を簡素化できるので、安価にシステムを構築できると共に、多種の製品の生産に対応してシステム全体のレイアウト変更をすることが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の移動体識別装置のシステム構成を示す図である。
【図2】本発明の移動体識別装置を示すブロック図である。
【図3】本発明の移動体識別装置のホストコンピュータにおける処理手順を示すフローチャートである。
【図4】本発明の移動体識別装置の制御装置における処理手順を示すフローチャートである。
【図5】従来の移動体識別装置のシステム構成を示す図である。
【図6】従来の移動体識別装置のホストコンピュータにおける処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
11、12、13 移動体
2、21、22、23 応答器
3、31、32、33、531、532、533 質問器
4、41、42、43、541、542、543 制御装置
5、51、52、53、551、552、553 ホストコンピュータ
7 搬送装置
20 通信状態受信部
21 質問送信部
22 質問受信部
23 応答送信部
24 応答受信部
25 検波部
26 増幅部
27 復調部
28 積分回路
29 インタフェース部
Claims (1)
- 最小隣接設置間隔以下の間隔をあけてそれぞれ固定されており、それぞれが、無線通信により質問信号を送信する質問送信手段を有する複数の質問器と、
前記間隔と同じ間隔をあけた状態で前記各質問器に沿って順次移動する複数の移動体のそれぞれに設けられており、前記質問器の質問送信手段によって送信される質問信号を受信する質問受信手段と、該質問受信手段が質問信号を受信すると無線通信により応答信号を送信する応答送信手段とをそれぞれ有する応答器と、
前記各質問器の前記質問送信手段による質問信号の送信を制御する制御手段とを備え、
前記各質問器は、前記質問送信手段によって質問信号が送信された後に前記いずれかの応答器によって送信される応答信号を受信する応答受信手段と、他の質問器の通信状態を受信する通信状態受信手段とをそれぞれ有しており、
前記制御部は、前記各質問器の通信状態受信手段によって、最小隣接設置間隔以下の間隔をあけて配置されている他の質問器が通信状態でないことを確認して、前記各質問器の質問送信手段から質問信号をそれぞれ送信するように制御することを特徴とする移動体識別装置。
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