JP3609303B2 - 遊技機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、遊技者の操作に応じて遊技が行われるパチンコ遊技機やコイン遊技機等の遊技機に関し、特に、遊技盤における遊技領域において遊技者の操作に応じて遊技が行われる遊技機に関する。
【0002】
【従来の技術】
遊技機として、遊技球などの遊技媒体を発射装置によって遊技領域に発射し、遊技領域に設けられている入賞口などの入賞領域に遊技媒体が入賞すると、所定個の賞球が遊技者に払い出されるものがある。さらに、表示状態が変化可能な可変表示部が設けられ、可変表示部の表示結果があらかじめ定められた特定の表示態様となった場合に所定の遊技価値を遊技者に与えるように構成されたものがある。
【0003】
特別図柄を表示する可変表示部の表示結果があらかじめ定められた特定の表示態様の組合せとなることを、通常、「大当り」という。なお、遊技価値とは、遊技機の遊技領域に設けられた可変入賞球装置の状態が打球が入賞しやすい遊技者にとって有利な状態になることや、遊技者にとって有利な状態となるための権利を発生させたりすることである。
【0004】
大当りが発生すると、例えば、大入賞口が所定回数開放して打球が入賞しやすい大当り遊技状態に移行する。そして、各開放期間において、所定個(例えば10個)の大入賞口への入賞があると大入賞口は閉成する。そして、大入賞口の開放回数は、所定回数(例えば16ラウンド)に固定されている。なお、各開放について開放時間(例えば29.5秒)が決められ、入賞数が所定個に達しなくても開放時間が経過すると大入賞口は閉成する。また、大入賞口が閉成した時点で所定の条件(例えば、大入賞口内に設けられているVゾーンへの入賞)が成立していない場合には、大当り遊技状態は終了する。
【0005】
また、「大当り」の組合せ以外の表示態様の組合せのうち、複数の可変表示部の表示結果のうちの一部が未だに導出表示されていない段階において、既に表示結果が導出表示されている可変表示部の表示態様が特定の表示態様の組合せとなる表示条件を満たしている状態を「リーチ」という。そして、可変表示部に可変表示される識別情報の表示結果が「リーチ」となる条件を満たさない場合には「はずれ」となり、可変表示状態は終了する。遊技者は、大当りをいかにして発生させるかを楽しみつつ遊技を行う。
【0006】
【0007】
そして、遊技球が遊技盤に設けられている入賞口に遊技球が入賞すると、あらかじめ決められている個数の賞球払出が行われる。遊技の進行は主基板に搭載された遊技制御手段によって制御されるので、入賞にもとづく賞球個数は、遊技制御手段によって決定され、賞球制御基板に送信される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
遊技機に対する電源供給が停止したときには、遊技制御手段等の各制御手段を駆動するための駆動電圧(例えば+5V)は徐々に低下する。各制御手段は一般にマイクロコンピュータを含むが、素子のばらつき等に起因して、各制御手段が動作不能になる電圧は異なる。遊技制御手段から各制御手段にコマンドを送信する際に、遊技制御手段が搭載された遊技制御基板への不正信号入力防止等の観点から、各制御手段からの応答をとらないように構成されている。すると、例えば、遊技機に対する電源供給が停止する直前に遊技制御手段がコマンドを送出したにもかかわらず、コマンドを受信する側の制御手段が既に動作不能になっていることもある。その場合、遊技制御手段はコマンドを送出したと認識するが、コマンドを受信する側の制御手段はコマンドを受信できていない。その場合、一般には、駆動電圧がなくなって遊技制御手段および他の各制御手段が動作しなくなり、その後、電源再投入されたときにリセットされるので問題は生じないことが多い。ただし、制御上の問題は生じないが、入賞にもとづく賞球払出が完了していないうちに不測の停電等が生ずると、未払出賞球が発生して遊技者に不利益が与えられることになる。
【0009】
また、遊技者に不利益を与えないようにするために、賞球制御手段が遊技制御手段から指示された賞球個数をバックアップRAMに保存し、電源断後に電源復旧したときに保存されている賞球個数にもとづいて賞球払出を継続するように構成されている場合でも、電源断直前に遊技制御手段が所定個の賞球払出指示を行ったにもかかわらず、賞球制御手段は、その指示を受け取っていないということが考えられる。その場合、電源復旧後に賞球制御手段が記憶にもとづく賞球払出を再開したとしても、本来払い出されるべき賞球数よりも少ない個数の賞球払出が行われる。すなわち、遊技者に対して不利益を与えることになる。
【0010】
そこで、本発明は、停電等の不測の電源断が発生したときに必要なデータを保存して電源復旧時に電源断時の状態から遊技を再開できるように構成された場合に、遊技制御手段と賞球制御手段との間でコマンドを常に確実に受け渡しして遊技者に不利益を与えることのない遊技機を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明による遊技機は、入賞領域に遊技球が入賞すると、所定個の賞球が遊技者に払い出される遊技機であって、電源投入時(遊技店員等によって人為的に遊技機に電源が投入されたときおよび停電からの復旧時等、電源が供給されていない状態から供給される状態になったときの全てを含む概念)に電源断直前の内容が保持されている保持データにもとづいて遊技状態を復帰させる遊技状態復帰制御を行うことが可能であり、RAMを内蔵し、遊技進行を制御して、入賞に応じて払い出すべき賞球数を示す賞球制御コマンドと賞球制御コマンドの受信割込処理の実行を示す割込信号とを出力する遊技制御用マイクロコンピュータが搭載された遊技制御基板と、RAMを内蔵し、入賞に応じて遊技制御用マイクロコンピュータから出力される賞球制御コマンドにもとづいて賞球払出制御を行う賞球制御用マイクロコンピュータが搭載された賞球制御基板と、遊技機の電源断時に遊技制御用マイクロコンピュータおよび賞球制御用マイクロコンピュータのRAMの記憶内容を保持させるためのバックアップ電源と、遊技機に供給される電源を監視して、所定量の電圧低下を検出したときに検出信号を出力する電源監視手段と、遊技制御用マイクロコンピュータから賞球制御用マイクロコンピュータに向かう方向にのみ賞球制御コマンドと割込信号とを通過させるバッファ回路とを備え、電源監視手段は、検出信号を、遊技制御用マイクロコンピュータと賞球制御用マイクロコンピュータとに出力し、遊技制御用マイクロコンピュータおよび賞球制御用マイクロコンピュータは、電源監視手段からの検出信号の入力に応じて、RAMの記憶内容を保持させるための電源断時処理を実行し、賞球制御用マイクロコンピュータは、遊技制御用マイクロコンピュータから割込信号が入力されたことに応じて実行される受信割込処理により賞球制御コマンドが示す賞球数をRAMに記憶させ、RAMに賞球数が記憶されているときに賞球払出制御を実行し、RAMに記憶されている賞球数から賞球払出制御処理による賞球の払い出しに応じた賞球数を減算し、電源投入時に、RAMに賞球数の記憶が保持されていたことを条件に未払出の賞球の賞球払出制御を実行し、賞球制御用マイクロコンピュータが電源断時処理を開始するタイミングを、遊技制御用マイクロコンピュータが電源断時処理を開始するタイミングよりも遅らせるための遅延時間を作成する遅延手段を備えたことを特徴とする。なお、遊技結果価値とは、遊技球の払い出しや、画像式遊技機の場合の得点の加点を示す概念である。
【0012】
遊技制御基板および賞球制御基板とは別個に設けられ、遊技機で使用される電源電圧を作成する電源基板を備え、遊技制御基板および賞球制御基板に検出信号出力する共通の電源監視手段が電源基板に搭載されているように構成されていてもよい。
【0013】
遅延時間は、少なくとも遊技制御用マイクロコンピュータから賞球制御用マイクロコンピュータに送信される賞球制御コマンドを賞球制御用マイクロコンピュータが受信可能な時間である
【0014】
遅延手段は、例えば、電源監視手段からの検出信号を遊技制御用マイクロコンピュータよりも遅延させて賞球制御用マイクロコンピュータに入力させる遅延回路である
【0015】
遅延手段は、例えば、電源監視手段からの検出信号の入力に応じて賞球制御用マイクロコンピュータが遅延処理を開始するように構成されたソフトウェアである
【0016】
電源監視手段からの検出信号が、賞球制御用マイクロコンピュータの割込端子に入力され、賞球制御用マイクロコンピュータは、電源監視手段からの検出信号が割込端子に入力されたことにもとづく割込処理によって電源断時処理を実行するように構成されていてもよい。
【0017】
電源監視手段からの検出信号は入力ポートに入力され、賞球制御用マイクロコンピュータが、入力ポートに検出信号が入力されたことを検出したときに電源断時処理を実行するように構成されていてもよい。
【0018】
賞球制御用マイクロコンピュータが、電源断時処理を実行した後、該賞球制御用マイクロコンピュータをホールト状態に設定するようにしてもよい
【0019】
電源監視手段と同一の電圧の電源を監視し、検出電圧が電源監視手段の検出電圧よりも低く、賞球制御用マイクロコンピュータが動作する電圧値であるときに電源電圧の電圧低下を検出する第2の電源監視手段を備え、賞球制御用マイクロコンピュータが、第2の電源監視手段からの検出出力の入力に応じて動作停止状態とされるように構成されていてもよい
【0020】
第2の電源監視手段は賞球制御基板に搭載されている構成であってもよい
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面を参照して説明する。
まず、遊技機の一例であるパチンコ遊技機の全体の構成について説明する。図1はパチンコ遊技機1を正面からみた正面図、図2はパチンコ遊技機1の内部構造を示す全体背面図、図3はパチンコ遊技機1の遊技盤を背面からみた背面図である。なお、ここでは、遊技機の一例としてパチンコ遊技機を示すが、本発明はパチンコ遊技機に限られず、例えばコイン遊技機等であってもよい。また、画像式の遊技機やスロット機に適用することもできる。
【0022】
図1に示すように、パチンコ遊技機1は、額縁状に形成されたガラス扉枠2を有する。ガラス扉枠2の下部表面には打球供給皿3がある。打球供給皿3の下部には、打球供給皿3からあふれた景品玉を貯留する余剰玉受皿4と打球を発射する打球操作ハンドル(操作ノブ)5が設けられている。ガラス扉枠2の後方には、遊技盤6が着脱可能に取り付けられている。また、遊技盤6の前面には遊技領域7が設けられている。
【0023】
遊技領域7の中央付近には、複数種類の図柄を可変表示するための可変表示部9と7セグメントLEDによる可変表示器10とを含む可変表示装置8が設けられている。この実施の形態では、可変表示部9には、「左」、「中」、「右」の3つの図柄表示エリアがある。可変表示装置8の側部には、打球を導く通過ゲート11が設けられている。通過ゲート11を通過した打球は、玉出口13を経て始動入賞口14の方に導かれる。通過ゲート11と玉出口13との間の通路には、通過ゲート11を通過した打球を検出するゲートスイッチ12がある。また、始動入賞口14に入った入賞球は、遊技盤6の背面に導かれ、始動口スイッチ17によって検出される。また、始動入賞口14の下部には開閉動作を行う可変入賞球装置15が設けられている。可変入賞球装置15は、ソレノイド16によって開状態とされる。
【0024】
可変入賞球装置15の下部には、特定遊技状態(大当り状態)においてソレノイド21によって開状態とされる開閉板20が設けられている。この実施の形態では、開閉板20が大入賞口を開閉する手段となる。開閉板20から遊技盤6の背面に導かれた入賞球のうち一方(Vゾーン)に入った入賞球はVカウントスイッチ22で検出される。また、開閉板20からの入賞球はカウントスイッチ23で検出される。可変表示装置8の下部には、始動入賞口14に入った入賞球数を表示する4個の表示部を有する始動入賞記憶表示器18が設けられている。この例では、4個を上限として、始動入賞がある毎に、始動入賞記憶表示器18は点灯している表示部を1つずつ増やす。そして、可変表示部9の可変表示が開始される毎に、点灯している表示部を1つ減らす。
【0025】
遊技盤6には、複数の入賞口19,24が設けられ、遊技球の入賞口19,24への入賞は入賞口スイッチ19a,24aによって検出される。遊技領域7の左右周辺には、遊技中に点滅表示される装飾ランプ25が設けられ、下部には、入賞しなかった打球を吸収するアウト口26がある。また、遊技領域7の外側の左右上部には、効果音を発する2つのスピーカ27が設けられている。遊技領域7の外周には、遊技効果LED28aおよび遊技効果ランプ28b,28cが設けられている。
【0026】
そして、この例では、一方のスピーカ27の近傍に、景品玉払出時に点灯する賞球ランプ51が設けられ、他方のスピーカ27の近傍に、補給玉が切れたときに点灯する球切れランプ52が設けられている。さらに、図1には、パチンコ遊技台1に隣接して設置され、プリペイドカードが挿入されることによって玉貸しを可能にするカードユニット50も示されている。
【0027】
カードユニット50には、使用可能状態であるか否かを示す使用可表示ランプ151、カード内に記録された残額情報に端数(100円未満の数)が存在する場合にその端数を打球供給皿3の近傍に設けられる度数表示LEDに表示させるための端数表示スイッチ152、カードユニット50がいずれの側のパチンコ遊技機1に対応しているのかを示す連結台方向表示器153、カードユニット50内にカードが投入されていることを示すカード投入表示ランプ154、記録媒体としてのカードが挿入されるカード挿入口155、およびカード挿入口155の裏面に設けられているカードリーダライタの機構を点検する場合にカードユニット50を解放するためのカードユニット錠156が設けられている。
【0028】
打球発射装置から発射された打球は、打球レールを通って遊技領域7に入り、その後、遊技領域7を下りてくる。打球が通過ゲート11を通ってゲートスイッチ12で検出されると、可変表示器10の表示数字が連続的に変化する状態になる。また、打球が始動入賞口14に入り始動口スイッチ17で検出されると、図柄の変動を開始できる状態であれば、可変表示部9内の図柄が回転を始める。図柄の変動を開始できる状態でなければ、始動入賞記憶を1増やす。
【0029】
可変表示部9内の画像の回転は、一定時間が経過したときに停止する。停止時の画像の組み合わせが大当り図柄の組み合わせであると、大当り遊技状態に移行する。すなわち、開閉板20が、一定時間経過するまで、または、所定個数(例えば10個)の打球が入賞するまで開放する。そして、開閉板20の開放中に打球が特定入賞領域に入賞しVカウントスイッチ22で検出されると、継続権が発生し開閉板20の開放が再度行われる。継続権の発生は、所定回数(例えば15ラウンド)許容される。
【0030】
停止時の可変表示部9内の画像の組み合わせが確率変動を伴う大当り図柄の組み合わせである場合には、次に大当りとなる確率が高くなる。すなわち、高確率状態という遊技者にとってさらに有利な状態となる。また、可変表示器10における停止図柄が所定の図柄(当り図柄)である場合に、可変入賞球装置15が所定時間だけ開状態になる。さらに、高確率状態では、可変表示器10における停止図柄が当り図柄になる確率が高められるとともに、可変入賞球装置15の開放時間と開放回数が高められる。
【0031】
次に、パチンコ遊技機1の裏面の構造について図2を参照して説明する。
可変表示装置8の背面では、図2に示すように、機構板36の上部に景品玉タンク38が設けられ、パチンコ遊技機1が遊技機設置島に設置された状態でその上方から景品玉が景品玉タンク38に供給される。景品玉タンク38内の景品玉は、誘導樋39を通って玉払出装置に至る。
【0032】
機構板36には、中継基板30を介して可変表示部9を制御する可変表示制御ユニット29、基板ケース32に覆われ遊技制御用マイクロコンピュータ等が搭載された遊技制御基板(主基板)31、可変表示制御ユニット29と遊技制御基板31との間の信号を中継するための中継基板33、および景品玉の払出制御を行う賞球制御用マイクロコンピュータ等が搭載された賞球制御基板37が設置されている。さらに、機構板36の下部には、モータの回転力を利用して打球を遊技領域7に発射する打球発射装置34と、遊技効果ランプ・LED28a,28b,28c、賞球ランプ51および球切れランプ52に信号を送るためのランプ制御基板35が設置されている。
【0033】
また、図3はパチンコ遊技機1の遊技盤を背面からみた背面図である。誘導樋39を通った玉は、図3に示されるように、球切れ検出器187a,187bを通過して玉供給樋186a,186bを経て玉払出装置97に至る。玉払出装置97から払い出された景品玉は、連絡口45を通ってパチンコ遊技機1の前面に設けられている打球供給皿3に供給される。連絡口45の側方には、パチンコ遊技機1の前面に設けられている余剰玉受皿4に連通する余剰玉通路46が形成されている。入賞にもとづく景品玉が多数払い出されて打球供給皿3が満杯になり、ついには景品玉が連絡口45に到達した後さらに景品玉が払い出されると景品玉は、余剰玉通路46を経て余剰玉受皿4に導かれる。さらに景品玉が払い出されると、感知レバー47が満タンスイッチ48を押圧して満タンスイッチ48がオンする。その状態では、玉払出装置97内のステッピングモータの回転が停止して玉払出装置97の動作が停止するとともに、必要に応じて打球発射装置34の駆動も停止する。なお、この実施の形態では、電気的駆動源の駆動によって遊技球を払い出す玉払出装置として、ステッピングモータの回転によって遊技球が払い出される玉払出装置97を例示するが、その他の駆動源によって遊技球を送り出す構造の玉払出装置を用いてもよいし、電気的駆動源の駆動によってストッパを外し遊技球の自重によって払い出しがなされる構造の玉払出装置を用いてもよい。
【0034】
賞球払出制御を行うために、入賞口スイッチ19a,24a、始動口スイッチ17およびVカウントスイッチ22からの信号が、主基板31に送られる。主基板31のCPU56は、始動口スイッチ17がオンすると6個の賞球払出に対応した入賞が発生したことを知る。また、カウントスイッチ23がオンすると15個の賞球払出に対応した入賞が発生したことを知る。そして、入賞口スイッチがオンすると10個の賞球払出に対応した入賞が発生したことを知る。なお、この実施の形態では、例えば、入賞口24に入賞した遊技球は、入賞口24からの入賞球流路に設けられている入賞口スイッチ24aで検出され、入賞口19に入賞した遊技球は、入賞口19からの入賞球流路に設けられている入賞口スイッチ19aで検出される。
【0035】
図4は、主基板31における回路構成の一例を示すブロック図である。なお、図4には、賞球制御基板37、ランプ制御基板35、音制御基板70、発射制御基板91および表示制御基板80も示されている。主基板31には、プログラムに従ってパチンコ遊技機1を制御する基本回路53と、ゲートスイッチ12、始動口スイッチ17、Vカウントスイッチ22、カウントスイッチ23および入賞口スイッチ19a,24aからの信号を基本回路53に与えるスイッチ回路58と、可変入賞球装置15を開閉するソレノイド16および開閉板20を開閉するソレノイド21を基本回路53からの指令に従って駆動するソレノイド回路59と、始動記憶表示器18の点灯および滅灯を行うとともに7セグメントLEDによる可変表示器10と装飾ランプ25とを駆動するランプ・LED回路60とが搭載されている。
【0036】
また、基本回路53から与えられるデータに従って、大当りの発生を示す大当り情報、可変表示部9の画像表示開始に利用された始動入賞球の個数を示す有効始動情報、確率変動が生じたことを示す確変情報等をホール管理コンピュータ等のホストコンピュータに対して出力する情報出力回路64を含む。
【0037】
基本回路53は、ゲーム制御用のプログラム等を記憶するROM54、ワークメモリとして使用される揮発性記憶手段の一例であるRAM55、制御用のプログラムに従って制御動作を行うCPU56およびI/Oポート部57を含む。この実施の形態では、ROM54,RAM55はCPU56に内蔵されている。すなわち、CPU56は、1チップマイクロコンピュータである。なお、1チップマイクロコンピュータは、少なくともRAM55が内蔵されていればよく、ROM54およびI/Oポート部57は外付けであっても内蔵されていてもよい。また、I/Oポート部57は、マイクロコンピュータにおける情報入出力可能な端子である。
【0038】
さらに、主基板31には、電源投入時に基本回路53をリセットするための初期リセット回路65と、基本回路53から与えられるアドレス信号をデコードしてI/Oポート部57のうちのいずれかのI/Oポートを選択するための信号を出力するアドレスデコード回路67とが設けられている。
なお、玉払出装置97から主基板31に入力されるスイッチ情報もあるが、図4ではそれらは省略されている。
【0039】
遊技球を打撃して発射する打球発射装置は発射制御基板91上の回路によって制御される駆動モータ94で駆動される。そして、駆動モータ94の駆動力は、操作ノブ5の操作量に従って調整される。すなわち、発射制御基板91上の回路によって、操作ノブ5の操作量に応じた速度で打球が発射されるように制御される。
【0040】
図5は、賞球制御基板37および玉払出装置97の構成要素などの賞球に関連する構成要素を示すブロック図である。図5に示すように、満タンスイッチ48からの検出信号は、中継基板71を介して主基板31のI/Oポート57に入力される。満タンスイッチ48は、余剰玉受皿4の満タンを検出するスイッチである。
【0041】
球切れ検出スイッチ167および球切れスイッチ187(187a,187b)からの検出信号は、中継基板72および中継基板71を介して主基板31のI/Oポート57に入力される。球切れ検出スイッチ167は景品玉タンク38内の補給玉の不足を検出するスイッチであり、球切れスイッチ187は、景品玉通路内の景品玉の有無を検出するスイッチである。
【0042】
主基板31のCPU56は、球切れ検出スイッチ167または球切れスイッチ187からの検出信号が球切れ状態を示しているか、または、満タンスイッチ48からの検出信号が満タン状態を示していると、玉貸し禁止を指示する賞球制御コマンドを送出する。玉貸し禁止を指示する賞球制御コマンドを受信すると、賞球制御基板37の賞球制御用CPU371は、玉貸し処理を停止する。
【0043】
さらに、賞球カウントスイッチ301Aからの検出信号も、中継基板72および中継基板71を介して主基板31のI/Oポート57に入力される。また、主基板31のI/Oポート57から入賞球排出ソレノイド127への駆動信号は、中継基板71を介して入賞球排出ソレノイド127に供給される。なお、賞球カウントスイッチ301Aは、玉払出装置97の賞球機構部分に設けられ、実際に払い出された賞球を検出する。
【0044】
入賞があると、賞球制御基板37には、主基板31の出力ポート(ポートG,H)577,578から賞球個数を示す賞球制御コマンドが入力される。出力ポート577は8ビットのデータを出力し、出力ポート578は1ビットのストローブ信号(INT信号)を出力する。賞球個数を示す賞球制御コマンドは、入力バッファ回路373を介してI/Oポート372aに入力される。賞球制御用CPU371は、I/Oポート372aを介して賞球制御コマンドを入力し、賞球制御コマンドに応じて玉払出装置97を駆動して賞球払出を行う。なお、この実施の形態では、賞球制御用CPU371は、1チップマイクロコンピュータであり、少なくともRAMが内蔵されている。
【0045】
入力バッファ回路373における各バッファは、主基板31から賞球制御基板37へ向かう方向にのみ信号を通過させることができる。従って、賞球制御基板37側から主基板31側に信号が伝わる余地はない。賞球制御基板37内の回路に不正改造が加えられても、不正改造によって出力される信号が主基板31側に伝わることはない。なお、入力バッファ回路373の入力側にノイズフィルタを設けてもよい。
【0046】
また、主基板31において、賞球制御コマンドを出力する出力ポート577,578の外側にバッファ回路68が設けられている。このような構成によれば、外部から主基板31の内部に入力される信号が阻止されるので、賞球制御基板37から主基板31に信号が与えらる可能性がある信号ラインをより確実になくすことができる。
【0047】
また、賞球制御用CPU371は、出力ポート372gを介して、貸し玉数を示す玉貸し個数信号をターミナル基板160に出力し、ブザー駆動信号をブザー基板75に出力する。ブザー基板75にはブザーが搭載されている。さらに、出力ポート372eを介して、エラー表示用LED374にエラー信号を出力する。
【0048】
さらに、賞球制御基板37の入力ポート372bには、中継基板72を介して、賞球カウントスイッチ301Aの検出信号および玉貸しカウントスイッチ301Bの検出信号が入力される。玉貸しカウントスイッチ301Bは、実際に貸し出された遊技球を検出する。賞球制御基板37からの払出モータ289への駆動信号は、出力ポート372cおよび中継基板72を介して玉払出装置97の賞球機構部分における払出モータ289に伝えられる。
【0049】
カードユニット50には、カードユニット制御用マイクロコンピュータが搭載されている。また、カードユニット50には、端数表示スイッチ152、連結台方向表示器153、カード投入表示ランプ154およびカード挿入口155が設けられている(図1参照)。残高表示基板74には、打球供給皿3の近傍に設けられている度数表示LED、玉貸しスイッチおよび返却スイッチが接続される。
【0050】
残高表示基板74からカードユニット50には、遊技者の操作に応じて、玉貸しスイッチ信号および返却スイッチ信号が賞球制御基板37を介して与えられる。また、カードユニット50から残高表示基板74には、プリペイドカードの残高を示すカード残高表示信号および玉貸し可表示信号が賞球制御基板37を介して与えられる。カードユニット50と賞球制御基板37の間では、ユニット操作信号(BRDY信号)、玉貸し要求信号(BRQ信号)、玉貸し完了信号(EXS信号)およびパチンコ機動作信号(PRDY信号)がI/Oポート372fを介してやりとりされる。
【0051】
パチンコ遊技機1の電源が投入されると、賞球制御基板37の賞球制御用CPU371は、カードユニット50にPRDY信号を出力する。カードユニット50においてカードが受け付けられ、玉貸しスイッチが操作され玉貸しスイッチ信号が入力されると、カードユニット制御用マイクロコンピュータは、賞球制御基板37にBRDY信号を出力する。この時点から所定の遅延時間が経過すると、カードユニット制御用マイクロコンピュータは、賞球制御基板37にBRQ信号を出力する。そして、賞球制御基板37の賞球制御用CPU371は、払出モータ289を駆動し、所定個の貸し玉を遊技者に払い出す。そして、払出が完了したら、賞球制御用CPU371は、カードユニット50にEXS信号を出力する。
【0052】
以上のように、カードユニット50からの信号は全て賞球制御基板37に入力される構成になっている。従って、玉貸し制御に関して、カードユニット50から主基板31に信号が入力されることはなく、主基板31の基本回路53にカードユニット50の側から不正に信号が入力される余地はない。なお、主基板31および賞球制御基板37には、ソレノイドおよびモータやランプを駆動するためのドライバ回路が搭載されているが、図5では、それらの回路は省略されている。
【0053】
この実施の形態では、少なくとも主基板31のCPU56および賞球制御用CPU371が有するRAMの一部は、バックアップ電源でバックアップされている。すなわち、遊技機に対する電力供給が停止しても、バックアップ電源によってバックアップRAMは記憶内容を保持することができる。そして、各CPUは、電源電圧の低下を検出すると、所定の処理を行った後に電源断待ちの状態になる。
【0054】
図6は、電源監視および電源バックアップのためのCPU56周りの一構成例を示すブロック図である。図6に示すように、電源基板に搭載されている第1の電源監視回路(第1の電源監視手段)からの電圧低下信号が、CPU56の割込端子(IRQ端子)に接続されている。第1の電源監視回路は、遊技機が使用する各種直流電源のうちのいずれかの電源の電圧を監視して電源電圧低下を検出する回路である。従って、CPU56は、割込処理によって電源断の発生を確認することができる。
【0055】
主基板31には、第2の電源監視回路903が搭載されている。この例では、第2の電源監視回路903において、電源監視用IC904が、第1の電源監視回路が監視する電源電圧と等しい電源電圧である+30V電源電圧を監視して電圧値が所定値以下になるとローレベルの電圧低下信号を発生する。そして、例えば、電源基板に搭載される第1の電源監視回路の検出電圧(電圧低下信号を出力することになる電圧)を+16Vとし、第2の電源監視回路903の検出電圧を+8Vとする。そのように構成した場合には、同一の電圧を監視するので、第1の電圧監視回路が電圧低下信号を出力するタイミングと第2の電圧監視回路が電圧低下信号を出力するタイミングの差を所望の所定期間に確実に設定することができる。所望の所定期間とは、第1の電源監視回路からの電圧低下信号に応じて電源断時処理を開始してから電源断時処理が確実に完了するまでの期間である。
【0056】
第2の電源監視回路903からの電圧低下信号は、初期リセット回路65からの初期リセット信号と論理和をとられた後に、CPU56のリセット端子に入力される。従って、CPU56は、初期リセット回路65からの初期リセット信号がローレベルを呈しているとき、または、第2の電源監視回路903からの電圧低下信号がローレベルを呈しているときに、リセット状態(非動作状態)になる。
【0057】
なお、初期リセット回路65のリセットIC651は、遊技機に電源が投入され+5V電源の電圧が上昇していくときに、+5V電源電圧が所定値以上になると、出力信号をハイレベルにする。すなわち、初期リセット信号をオフ状態にする。
【0058】
CPU56等の駆動電源である+5V電源から電力が供給されていない間、RAMの少なくとも一部は、電源基板から供給されるバックアップ電源によってバックアップされ、遊技機に対する電源が断しても内容は保存される。そして、+5V電源が復旧すると、初期リセット回路65からリセット信号が発せられるので、CPU56は、通常の動作状態に復帰する。そのとき、必要なデータがバックアップされているので、停電等からの復旧時には停電発生時の遊技状態に復帰することができる。
【0059】
図7は、電源基板910の一構成例を示すブロック図である。電源基板910は、主基板31、表示制御基板80、音制御基板70、ランプ制御基板35および賞球制御基板37等の遊技装置制御基板と独立して設置され、遊技機内の各遊技装置制御基板および機構部品が使用する電圧を生成する。この例では、AC24V、DC+30V、DC+21V、DC+12VおよびDC+5Vを生成する。また、バックアップ電源となるコンデンサ916は、DC+5Vすなわち各基板上のIC等を駆動する電源のラインから充電される。
【0060】
トランス911は、交流電源からの交流電圧を24Vに変換する。AC24V電圧は、コネクタ915に出力される。また、整流回路912は、AC24Vから+30Vの直流電圧を生成し、DC−DCコンバータ913およびコネクタ915に出力する。DC−DCコンバータ913は、+21V、+12Vおよび+5Vを生成してコネクタ915に出力する。コネクタ915は例えば中継基板に接続され、中継基板から各遊技装置制御基板および機構部品に必要な電圧の電力が供給される。なお、トランス911の入力側には、遊技機に対する電源供給を停止したり開始させたりするための電源スイッチ918が設置されている。
【0061】
DC−DCコンバータ913からの+5Vラインは分岐してバックアップ+5Vラインを形成する。バックアップ+5Vラインとグラウンドレベルとの間には大容量のコンデンサ916が接続されている。コンデンサ916は、遊技機に対する電力供給が遮断されたときの遊技装置制御基板のバックアップRAM(電源バックアップされているRAMすなわち記憶内容保持状態となりうる記憶手段)に対して記憶状態を保持できるように電力を供給するバックアップ電源となる。また、+5Vラインとバックアップ+5Vラインとの間に、逆流防止用のダイオード917が挿入される。
【0062】
なお、バックアップ電源として、+5V電源から充電可能な電池を用いてもよい。電池を用いる場合には、+5V電源から電力供給されない状態が所定時間継続すると容量がなくなるような充電池が用いられる。
【0063】
また、電源基板910には、上述した第1の電源回路を構成する電源監視用IC902が搭載されている。電源監視用IC902は、+30V電源電圧を導入し、+30V電源電圧を監視することによって電源断の発生を検出する。具体的には、+30V電源電圧が所定値(この例では+16V)以下になったら、電源断が生ずるとして電圧低下信号を出力する。なお、+30V電源電圧は、交流から直流に変換された直後の電圧である。電源監視用IC902からの電圧低下信号は、主基板31や賞球制御基板37等に供給される。
【0064】
電源監視用IC902が電源断を検知するための所定値は、通常時の電圧より低いが、各遊技装置制御基板上のCPUが暫くの間動作しうる程度の電圧である。また、電源監視用IC902が、CPUを駆動するための電圧(この例では+5V)よりも高く、かつ、交流から直流に変換された直後の電圧を監視するように構成されているので、CPUが必要とする電圧に対して監視範囲を広げることができる。従って、より精密な監視を行うことができる。さらに、監視電圧として+30Vを用いる場合には、遊技機の各種スイッチに供給される電圧が+12Vであることから、電源瞬断時のスイッチオン誤検出の防止も期待できる。すなわち、+30V電源の電圧を監視すると、+30V作成の以降に作られる+12Vが落ち始める以前の段階でそれの低下を検出できる。よって、+12V電源の電圧が低下するとスイッチ出力がオン状態を呈するようになるが、+12Vより早く低下する+30V電源電圧を監視して電源断を認識すれば、スイッチ出力がオン状態を呈する前に電源復旧待ちの状態に入ってスイッチ出力を検出しない状態となることができる。
【0065】
また、電源監視用IC902は、遊技装置制御基板とは別個の電源基板910に搭載されているので、第1の電源監視回路から複数の遊技装置制御基板に電圧低下信号を供給することができる。電圧低下信号を必要とする遊技装置制御基板が幾つあっても第1の電源監視手段は1つ設けられていればよいので、各遊技装置制御基板における各遊技装置制御手段が後述する電源復帰制御を行っても、遊技機のコストはさほど上昇しない。さらに、電源基板901は、遊技機枠側ではなく遊技機本体側に設置されているので、機構板36を交換する場合でも電源基板901は交換不要である。よって、電源基板910の使い回しができ、このことからも遊技機のコスト上昇を抑えることができる。
【0066】
次に遊技機の動作について説明する。
図8は、主基板31におけるCPU56が実行するメイン処理を示すフローチャートである。遊技機に対する電源が投入されると、メイン処理において、CPU56は、まず、停電からの復旧時であったか否か確認する(ステップS1)。停電からの復旧時であったか否かは、例えば、電源断時にバックアップRAM領域に設定される電源断フラグによって確認される。
【0067】
すなわち、RAM領域が電源バックアップされている状態で遊技機に電源が再投入されるとRAMには電源断時の状態が保存されているので電源断フラグも正確に保存されている。RAM領域が電源バックアップされていない状態で遊技機に電源が投入されると、RAMの内容は不定になっているので、電源断フラグの値は正しくない。従って、電源断フラグのセット状態に応じて停電からの復旧時であったか否か確認することができる。なお、仮に、電源バックアップされていない状態で遊技機に電源が投入されたときに電源断フラグがセット状態になってしまったとしても、後述するパリティ診断によって、停電からの復旧時であったと誤って判断されてしまうことは防止される。
【0068】
停電からの復旧時であった場合には、CPU56は、後述する停電復旧処理を実行する(ステップS4)。なお、停電からの復旧時でない場合には、CPU56は、通常の初期化処理を実行する(ステップS1,S2)。その後、メイン処理では、タイマ割込フラグの監視(ステップS6)の確認を行うループ処理に移行する。なお、ループ内では、表示用乱数更新処理(ステップS5)も実行される。
【0069】
通常の初期化処理では、図9に示すように、レジスタおよびRAMのクリア処理(ステップS2a)と、必要な初期値設定処理(ステップS2b)が行われた後に、2ms毎に定期的にタイマ割込がかかるようにCPU56に設けられているタイマレジスタの初期設定(タイムアウトが2msであることと繰り返しタイマが動作する設定)が行われる(ステップS2c)。すなわち、ステップS2cで、タイマ割込を能動化する処理と、タイマ割込インタバルを設定する処理とが実行される。
【0070】
従って、この実施の形態では、CPU56の内部タイマが繰り返しタイマ割込を発生するように設定される。この実施の形態では、繰り返し周期は2msに設定される。そして、図10に示すように、タイマ割込が発生すると、CPU56は、タイマ割込フラグをセットする(ステップS11)。
【0071】
CPU56は、ステップS6において、タイマ割込フラグがセットされたことを検出すると、タイマ割込フラグをリセットするとともに(ステップS7)、遊技制御処理を実行する(ステップS10)。以上の制御によって、この実施の形態では、遊技制御処理は2ms毎に起動されることになる。なお、この実施の形態では、タイマ割込処理ではフラグセットのみがなされ、遊技制御処理はメイン処理において実行されるが、タイマ割込処理で遊技制御処理を実行してもよい。
【0072】
図11は、遊技制御処理を示すフローチャートである。遊技制御処理において、CPU56は、まず、表示制御基板80に送出される表示制御コマンドをRAM55の所定の領域に設定する処理を行った後に(表示制御データ設定処理:ステップS21)、表示制御コマンドを出力する処理を行う(表示制御データ出力処理:ステップS22)。
【0073】
次いで、各種出力データの格納領域の内容を各出力ポートに出力する処理を行う(データ出力処理:ステップS23)。また、ホール管理用コンピュータに出力される大当り情報、始動情報、確率変動情報などの出力データを格納領域に設定する出力データ設定処理を行う(ステップS24)。さらに、パチンコ遊技機1の内部に備えられている自己診断機能によって種々の異常診断処理が行われ、その結果に応じて必要ならば警報が発せられる(エラー処理:ステップS25)。
【0074】
次に、遊技制御に用いられる大当り判定用の乱数等の各判定用乱数を示す各カウンタを更新する処理を行う(ステップS26)。
【0075】
さらに、CPU56は、特別図柄プロセス処理を行う(ステップS27)。特別図柄プロセス制御では、遊技状態に応じてパチンコ遊技機1を所定の順序で制御するための特別図柄プロセスフラグに従って該当する処理が選び出されて実行される。そして、特別図柄プロセスフラグの値は、遊技状態に応じて各処理中に更新される。また、普通図柄プロセス処理を行う(ステップS28)。普通図柄プロセス処理では、7セグメントLEDによる可変表示器10を所定の順序で制御するための普通図柄プロセスフラグに従って該当する処理が選び出されて実行される。そして、普通図柄プロセスフラグの値は、遊技状態に応じて各処理中に更新される。
【0076】
さらに、CPU56は、スイッチ回路58を介して、ゲートセンサ12、始動口センサ17、カウントセンサ23および入賞口スイッチ19a,24aの状態を入力し、各入賞口や入賞装置に対する入賞があったか否か判定する(スイッチ処理:ステップS29)。CPU56は、さらに、停止図柄の種類を決定する乱数等の表示用乱数を更新する処理を行う(ステップS30)。
【0077】
また、CPU56は、賞球制御基板37との間の信号処理を行う(ステップS31)。すなわち、所定の条件が成立すると賞球制御基板37に賞球制御コマンドを出力する。賞球制御基板37に搭載されている賞球制御用CPUは、賞球制御コマンドに応じて玉払出装置97を駆動する。
【0078】
以上のように、メイン処理には遊技制御処理に移行すべきか否かを判定する処理が含まれ、CPU56の内部タイマが定期的に発生するタイマ割込にもとづくタイマ割込処理で遊技制御処理に移行すべきか否かを判定するためのフラグがセットされるので、遊技制御処理の全てが確実に実行される。つまり、遊技制御処理の全てが実行されるまでは、次回の遊技制御処理に移行すべきか否かの判定が行われないので、遊技制御処理中の全ての各処理が実行完了することは保証されている。
【0079】
従来の一般的な遊技制御処理は、定期的に発生する外部割込によって、強制的に最初の状態に戻されていた。図11に示された例に則して説明すると、例えば、ステップS31の処理中であっても、強制的にステップS21の処理に戻されていた。つまり、遊技制御処理中の全ての各処理が実行完了する前に、次回の遊技制御処理が開始されてしまう可能性があった。
【0080】
なお、ここでは、主基板31のCPU56が実行する遊技制御処理は、CPU56の内部タイマが定期的に発生するタイマ割込にもとづくタイマ割込処理でセットされるフラグに応じて実行されたが、定期的にクロック信号を発生するハードウェア回路を設け、その回路からの信号をCPU56のタイマ動作用クロック入力端子に導入し、外部クロックにもとづくタイマ割込によって遊技制御処理に移行すべきか否かを判定するためのフラグをセットするようにしてもよい。そのように構成した場合にも、遊技制御処理の全てが実行されるまでは、フラグの判定が行われないので、遊技制御処理中の全ての各処理が実行完了することが保証される。
【0081】
図12は、電源基板910の第1の電源監視回路からの電圧低下信号にもとづく割込に応じて実行される停電発生割込処理の一例を示すフローチャートである。停電発生割込処理において、CPU56は、まず、割込禁止に設定する(ステップS41)。停電割込発生処理ではRAM内容の保存を確実にするためにチェックサムの生成処理を行う。その処理中に他の割込処理が行われたのではチェックサムの生成処理が完了しないうちにCPUが動作し得ない電圧にまで低下してしまうことがことも考えられるので、まず、他の割込が生じないような設定がなされる。
【0082】
次いで、CPU56は、全ての出力ポートをオフ状態にする(ステップS42)。そして、必要ならば各レジスタの内容をバックアップRAM領域に格納する(ステップS43)。また、電源断フラグをセットする(ステップS44)。さらに、バックアップRAM領域のバックアップチェックデータ領域に適当な初期値を設定し(ステップS45)、初期値およびバックアップRAM領域のデータについて順次排他的論理和をとって(ステップS46)、最終的な演算値をバックアップパリティデータ領域に設定する(ステップS47)。その後、RAMアクセス禁止状態にする(ステップS48)。電源電圧が低下していくときには、各種信号線のレベルが不安定になってRAM内容が化ける可能性があるが、このようにRAMアクセス禁止状態にしておけば、バックアップRAM内のデータが化けることはない。
【0083】
次いで、CPU56は、ホールト命令(HALT命令)を発行する(ステップS49)。すなわち、CPU自身を、リセット解除または割込発生以外では動作しない状態にする。ただし、ステップS41で割込禁止に設定されているので、割込は発生しない。従って、図5に示された電源監視用IC904からのリセット信号によって外部から動作禁止状態にされる前に、内部的に動作停止状態になる。よって、電源断時に確実にCPU56は動作停止する。その結果、上述したRAMアクセス禁止の制御および動作停止制御によって、電源電圧が低下していくことに伴って生ずる可能性がある異常動作に起因するRAMの内容破壊等を確実に防止することができる。
【0084】
なお、この実施の形態では、停電発生割込処理は、最終部でホールト命令を発行するように構成されるが、プログラムをループ状態にしてもよい。
【0085】
また、RAMアクセス禁止にする前にセットされる電源断フラグは、上述したように、電源投入時において停電からの復旧か否かを判断する際に使用される。また、ステップS41からS49の処理は、第2の電源監視手段が電圧低下信号を発生する前に完了する。換言すれば、第2の電源監視手段が電圧低下信号を発生する前に完了するように、第1の電圧監視手段および第2の電圧監視手段の検出電圧の設定が行われている。
【0086】
図13は、停電復旧処理(ステップS4)の一例を示すフローチャートである。停電復旧処理において、CPU56は、まず、バックアップRAM領域のデータチェック(この例ではパリティチェック)を行う(ステップS51)。不測の電源断が生じた後に復旧した場合には、バックアップRAM領域のデータは保存されていたはずであるから、チェック結果は正常になる。チェック結果が正常でない場合には、内部状態を電源断時の状態に戻すことができないので、停電復旧時でない電源投入時に実行される初期化処理(ステップS2)と同様の初期化処理を実行する(ステップS52,S54)。
【0087】
チェック結果が正常であれば、CPU56は、内部状態を電源断時の状態に戻すための遊技状態復旧処理を行うとともに(ステップS53)、電源断フラグをクリアする(ステップS55)。
【0088】
なお、ここでは、ステップS1で停電からの復旧か否かを確認し、停電からの復旧時であればパリティチェックを行ったが、最初に、パリティチェックを実行し、チェック結果が正常でなければ停電からの復旧ではないと判断してステップS2の初期化処理を実行し、チェック結果が正常であれば遊技状態復帰処理を行ってもよい。すなわち、パリティチェックの結果をもって停電からの復旧であるか否かを判断してもよい。
【0089】
図14は、バックアップパリティデータ作成方法を説明するための説明図である。ただし、図14に示す例では、簡単のために、バックアップデータRAM領域のデータのサイズを3バイトとする。電源電圧低下にもとづく停電発生処理において、図14(A)に示すように、バックアップチェックデータ領域に、初期データ(この例では00H)が設定される。次に、「00H」と「F0H」の排他的論理和がとられ、その結果と「16H」の排他的論理和がとられる。さらに、その結果と「DFH」の排他的論理和がとられる。そして、その結果(この例では「39H」)がバックアップパリティデータ領域に設定される。
【0090】
電源が再投入されたときには、停電復旧処理においてパリティ診断が行われるが、図14(B)はパリティ診断の例を示す説明図である。バックアップ領域の全データがそのまま保存されていれば、電源再投入時に、図14(A)に示すようなデータがバックアップ領域に設定されている。
【0091】
ステップS51の処理において、CPU56は、バックアップRAM領域のバックアップパリティデータ領域に設定されていたデータ(この例では「39H」)を初期データとして、バックアップデータ領域の各データについて順次排他的論理和をとる処理を行う。バックアップ領域の全データがそのまま保存されていれば、最終的な演算結果は、「00H」、すなわちバックアップチェックデータ領域に設定されているデータと一致する。バックアップRAM領域内のデータにビット誤りが生じていた場合には、最終的な演算結果は「00H」にならない。
【0092】
よって、CPU56は、最終的な演算結果とバックアップチェックデータ領域に設定されているデータとを比較して、一致すればパリティ診断正常とする。一致しなければ、パリティ診断異常とする。
【0093】
以上のように、この実施の形態では、遊技制御手段には、遊技機の電源が断しても、所定期間電源バックアップされる記憶手段(この例ではバックアップRAM)が設けられ、電源投入時に、CPU56(具体的にはCPU56が実行するプログラム)は、記憶手段がバックアップ状態にあればバックアップデータにもとづいて遊技状態を回復させる遊技状態復旧処理(ステップS53)を行うように構成される。
【0094】
以下、賞球制御処理について説明する。
図15は、主基板31から賞球制御基板37に送信される賞球制御コマンドのビット構成の一例を示す説明図である。図15に示すように、1バイト中の上位4ビットが制御指定部として使用され、下位4ビットが賞球数を示す領域として用いられる。
【0095】
図16に示すように、制御指定部において、ビット7,6,5,4が「0,1,0,0」であれば払出個数指定コマンドであることを示し、「0,1,0,1」であれば払出指定コマンドであることを示す。払出個数指定コマンドは、主基板31のCPU56が入賞を検出すると直ちに賞球制御基板37に送出される。
【0096】
ビット7,6,5,4が「1,0,0,0」である球切れ指定コマンドは、玉切れ検出スイッチ167または玉切れスイッチ187がオンしたとき(玉切れ状態フラグがオンしたとき)に、主基板31から送信される。また、ビット7,6,5,4が「1,0,0,1」である発射停止指定コマンドは、余剰玉受皿4が満タンになって満タンスイッチ48がオンしたとき(満タン状態フラグがオンしたとき)に、主基板31から送信される。
【0097】
賞球制御コマンドは、主基板31から賞球制御基板37に、1バイト(8ビット:賞球制御コマンドD7〜D0)のデータとして出力される。賞球制御コマンドD7〜D0は正論理で出力される。また、賞球制御コマンドD7〜D0が出力されたときには、負論理の賞球制御INT信号が出力される。
【0098】
図5に示されたように、賞球制御コマンドは、出力ポート577を介して送信される。そして、この実施の形態では、図17に示すように、主基板31から賞球制御コマンドD7〜D0が出力されるときに、賞球制御INT信号が5μs以上ローレベルになる。賞球制御INT信号は、賞球制御基板37において、賞球制御用CPU371の割込端子に接続されている。よって、賞球制御用CPU371は、割り込みがあると、賞球制御コマンドD7〜D0が主基板31から送出されたことを認識でき、割込処理において賞球制御コマンド受信処理を行う。
【0099】
なお、図15に示されたコマンド構成は一例であって、他の構成にしてもよい。例えば、1バイト中の上位下位を、図15に示された構成とは逆にしてもよい。
【0100】
さらに、図15に示されたコマンド構成では、賞球制御コマンドに賞球数そのものが設定されるが、賞球制御コマンドにおいて、賞球数そのものではなく、賞球数を示す情報(例えば、00,01,10等)が設定されていてもよい。
【0101】
図18は、遊技制御処理におけるステップS29のスイッチ処理を示すフローチャートである。スイッチ処理において、CPU56は、まず、ゲートスイッチ12がオンしたか否かを検出する(ステップS120)。次いで、始動口スイッチ17がオンしたか否かを検出する(ステップS140)。また、カウントスイッチ23がオンしたか否かを検出する(ステップS160)。さらに、Vカウントスイッチ22がオンしたか否かを検出する(ステップS180)。そして、入賞口スイッチ19a,24aがオンしたか否かを検出する(ステップS200,S220)。
【0102】
以下、スイッチ処理における賞球払出制御に関わる処理について詳しく説明する。
図19は、始動口スイッチ17がオンしたか否かを検出する始動口スイッチチェック処理(ステップS120)を示すフローチャートである。始動口スイッチチェック処理において、CPU56は、始動口スイッチ17がオン状態を示しているか否か確認する(ステップS141)。オン状態を示していれば、始動口スイッチオンカウンタが最大値になっているか否か確認し(ステップS142)、最大値になっていれば、始動口スイッチエラーフラグをセットする(ステップS149)。
【0103】
始動口スイッチオンカウンタは、始動口スイッチ17のオン状態を検出した回数を計数するためのカウンタである。また、最大値は、その値までカウンタ値が進んでしまうと断線エラー(オン状態が長期間継続する)等であると判定するための値である。すなわち、カウント値が最大値まで進むと、最大値に応じた期間オン状態が継続したことになり、始動口スイッチ17に異常が生じたと判定される。なお、始動口スイッチエラーフラグは、遊技制御処理のエラー処理(ステップS25)で参照される。
【0104】
始動口スイッチオンカウンタが最大値になっていない場合には、CPU56は、始動口スイッチオンカウンタを+1する(ステップS144)。そして、始動口スイッチオンカウンタの値をチェックし(ステップS145)、その値が2になっていれば、始動入賞口14に遊技球が入賞したと判断する。
【0105】
始動入賞口14に遊技球が入賞したと判断した場合には、CPU56は、6個カウンタの値を+1する(ステップS145)。6個カウンタの値は、メイン処理の入賞球信号処理(ステップS16)で参照される。入賞球信号処理では、始動口賞球記憶カウンタの値が0でない場合には、6個の賞球数を示すコマンドを賞球制御基板37に送信するとともに、6個カウンタの値を−1する。
【0106】
さらに、CPU56は、始動入賞記憶が最大値(この例では4)になっているか否か確認し(ステップS146)、最大値になっていなければ、大当り決定用乱数を抽出して抽出値を保存する(ステップS147)。保存された大当り決定用乱数値は特別図柄プロセス処理で使用される。また、始動入賞記憶数を+1する(ステップS148)。
【0107】
ステップS141において始動口スイッチ17がオン状態でないことが確認されると、CPU56は、始動口スイッチオンカウンタをクリアするとともに(ステップS150)、始動口スイッチエラーフラグをクリアする(ステップS151)。なお、図19に示された処理は2msに1回起動されるので、結局、スイッチオン状態が4ms継続すると、スイッチがオンしたと判定される。
【0108】
図20は、カウントスイッチ23がオンしたか否かを検出するカウントスイッチチェック処理(ステップS160)を示すフローチャートである。カウントスイッチチェック処理において、CPU56は、カウントスイッチ23がオン状態を示しているか否か確認する(ステップS161)。オン状態を示していれば、カウントスイッチオンカウンタが最大値になっているか否か確認し(ステップS162)、最大値になっていれば、カウントスイッチエラーフラグをセットする(ステップS167)。
【0109】
カウントスイッチオンカウンタが最大値になっていない場合には、CPU56は、カウントスイッチオンカウンタを+1する(ステップS163)。そして、カウントスイッチオンカウンタの値をチェックし(ステップS164)、その値が2になっていれば、大入賞口に遊技球が入賞したと判断する。
【0110】
大入賞口に遊技球が入賞したと判断した場合には、CPU56は、大入賞口入賞個数カウンタを+1するとともに(ステップS165)、15個カウンタの値を+1する(ステップS166)。大入賞口入賞個数カウンタの値は、特別図柄プロセス処理で参照される。特別図柄プロセス処理では、例えば、大入賞口入賞個数カウンタの値が10になると大当り遊技の1ラウンドが終了したと判断される。また、15個カウンタの値は、メイン処理の入賞球信号処理(ステップS16)で参照される。入賞球信号処理では、15個カウンタの値が0でない場合には、15個の賞球数を示すコマンドを賞球制御基板37に送信するとともに、15個カウンタの値を−1する。
【0111】
ステップS161においてカウントスイッチ23がオン状態でないことが確認されると、CPU56は、カウントスイッチオンカウンタをクリアするとともに(ステップS168)、カウントスイッチエラーフラグをクリアする(ステップS169)。
【0112】
図21は、入賞口スイッチ19aがオンしたか否かを検出する入賞口スイッチ19aチェック処理(ステップS200)を示すフローチャートである。入賞口スイッチ19aチェック処理において、CPU56は、入賞口スイッチ19aがオン状態を示しているか否か確認する(ステップS201)。オン状態を示していれば、入賞口スイッチ19aオンカウンタが最大値になっているか否か確認し(ステップS202)、最大値になっていれば、入賞口スイッチ19aエラーフラグをセットする(ステップS206)。
【0113】
入賞口スイッチ19aオンカウンタが最大値になっていない場合には、CPU56は、入賞口スイッチ19aオンカウンタを+1する(ステップS203)。そして、入賞口スイッチ19aオンカウンタの値をチェックし(ステップS204)、その値が2になっていれば、入賞口スイッチ19aで入賞検出される入賞口19に遊技球が入賞したと判断する。
【0114】
入賞口19に遊技球が入賞したと判断した場合には、CPU56は、10個カウンタの値を+1する(ステップS205)。10個カウンタの値は、メイン処理の入賞球信号処理(ステップS16)で参照される。入賞球信号処理では、10個カウンタの値が0でない場合には、10個の賞球数を示すコマンドを賞球制御基板37に送信するとともに、10個カウンタの値を−1する。
【0115】
ステップS201において入賞口スイッチ19aがオン状態でないことが確認されると、CPU56は、入賞口スイッチ19aオンカウンタをクリアするとともに(ステップS207)、入賞口スイッチ19aエラーフラグをクリアする(ステップS208)。
【0116】
図22は、入賞口スイッチ24aがオンしたか否かを検出する入賞口スイッチ24aチェック処理(ステップS220)を示すフローチャートである。入賞口スイッチ24aチェック処理において、CPU56は、入賞口スイッチ24aがオン状態を示しているか否か確認する(ステップS221)。オン状態を示していれば、入賞口スイッチ24aオンカウンタが最大値になっているか否か確認し(ステップS222)、最大値になっていれば、入賞口スイッチ24aエラーフラグをセットする(ステップS226)。
【0117】
入賞口スイッチ24aオンカウンタが最大値になっていない場合には、CPU56は、入賞口スイッチ24aオンカウンタを+1する(ステップS223)。そして、入賞口スイッチ24aオンカウンタの値をチェックし(ステップS224)、その値が2になっていれば、入賞口スイッチ24aで入賞検出される入賞口24に遊技球が入賞したと判断し、10個カウンタの値を+1する(ステップS225)。
【0118】
ステップS221において入賞口スイッチ24aがオン状態でないことが確認されると、CPU56は、入賞口スイッチ24aオンカウンタをクリアするとともに(ステップS227)、入賞口スイッチ24aエラーフラグをクリアする(ステップS228)。
【0119】
図23は、メイン処理のデータ出力処理(ステップS6)における賞球コマンド出力処理を示すフローチャートである。賞球コマンド出力処理において、CPU56は、まず、割込マスクを設定する(ステップS360)。割込マスクが設定されることによって、マスク可能割込が発生してもその受付が待たされる。この実施の形態では、電源断時処理がマスク可能割込処理で実行される。よって、賞球コマンド出力処理中に電源電圧の低下を示す信号が入力されても、直ちに電源断時処理は開始されない。電源断時処理は、割込マスクが解除されるまで待たされる。割込マスクは賞球コマンド出力処理が終了するときに解除されるので、結局、賞球コマンド出力処理中に電源電圧の低下を示す信号が入力された場合でも、賞球制御コマンドの送出処理は完了する。
【0120】
次いで、CPU56は、15個カウンタの値が0であるか否か確認する(ステップS361)。0でなければ、賞球制御コマンドである払出個数指示(15個)コマンドを出力ポート577に出力する(ステップS362)。そして、INT信号をオン状態にする(ステップS363)。次いで、5μsのディレイタイムをおいて(ステップS364)、INT信号をオフ状態にする(ステップS365)。そして、15個カウンタの値を−1する(ステップS366)。また、払出指令個数累積値を+15する(ステップS367)。払出指令個数累積値は、賞球制御基板37に対して指示した払出個数の累積値を示すものであり、CPU56は、払出指令個数累積値を用いて賞球が完了したか否か確認する。
【0121】
15個カウンタの値が0であれば、CPU56は、10個カウンタの値が0であるか否か確認する(ステップS371)。0でなければ、賞球制御コマンドである払出個数指示(10個)コマンドを出力ポート577に出力する(ステップS372)。そして、INT信号をオン状態にする(ステップS373)。次いで、5μsのディレイタイムをおいて(ステップS374)、INT信号をオフ状態にする(ステップS375)。そして、10個カウンタの値を−1する(ステップS376)。また、払出指令個数累積値を+10する(ステップS377)。
【0122】
10個カウンタの値が0であれば、CPU56は、6個カウンタの値が0であるか否か確認する(ステップS381)。0でなければ、賞球制御コマンドである払出個数指示(6個)コマンドを出力ポート577に出力する(ステップS382)。そして、INT信号をオン状態にする(ステップS383)。次いで、5μsのディレイタイムをおいて(ステップS384)、INT信号をオフ状態にする(ステップS385)。そして、6個カウンタの値を−1する(ステップS386)。また、払出指令個数累積値を+6する(ステップS387)。
【0123】
なお、ここでは、15個の賞球払出指示を10個および6個の賞球払出指示に優先させ、10個の賞球払出指示を6個の賞球払出指示に優先させたが、入賞が発生した順に、対応する賞球個数を示すコマンドを賞球制御手段に送出してもよい。
【0124】
以上のように、この実施の形態では、、遊技制御プログラムにおける賞球制御コマンドを送出するルーチンの開始時で割込マスクがセットされ、賞球制御コマンド送出完了時に割込マスクが解除される。よって、賞球制御コマンド送出処理が行われている間では割込処理は開始されず、第1の電圧低下信号が電圧低下状態を示しても停電発生処理は開始されない。従って、例えば停電発生の直前に発生した入賞にもとづく賞球個数情報も確実に賞球制御基板37に転送される。
【0125】
なお、上記の実施の形態では、CPU56は、電源基板からの第1の電圧低下信号(第1の電源監視手段からの電圧低下信号)をマスク可能外部割込端子(IRQ端子)を介して検知したが、第1の電圧低下信号をマスク不能割込割込端子(NMI端子)または入力ポートに導入してもよい。
【0126】
NMI処理で停電発生処理を実行する場合には、図23に示された賞球コマンド送出処理において割り込みマスクをセットしてもNMI割込が生ずるため、NMI処理において、賞球コマンド送出中であれば賞球コマンド送出処理を継続実行するように構成される。また、第1の電圧低下信号を入力ポートに導入した場合には、CPU56は、第1の電圧低下信号を検知したときに賞球コマンド送出中であれば賞球コマンド送出処理を継続実行し、処理が完了したらRAMアクセス禁止処理等を行うように構成される。
【0127】
図24は、電源監視および電源バックアップのための賞球制御用CPU371周りの一構成例を示すブロック図である。図24に示すように、電源基板910に搭載されている第1の電源監視回路(第1の電源監視手段)からの電圧低下信号が、遅延回路936を介して賞球制御用CPU371の割込端子(IRQ端子)に入力されている。従って、賞球制御用CPU371は、割込処理によって電源断の発生を確認することができる。なお、遅延回路936の遅延時間は、少なくとも1つの賞球制御コマンドを受信しうる時間に設定される。
【0128】
主基板31のCPU56および賞球制御基板37の賞球制御用CPU371には、電源基板910に搭載されている第1の電源監視回路から電圧低下信号が供給されている。すなわち、主基板31のCPU56および賞球制御用CPU371が、電源断時処理を行うための電源監視手段の検出電圧は同じである。よって、主基板31のCPU56と賞球制御用CPU371とは、同時に電源断時処理を開始するはずである。しかし、何らかの原因で主基板31のCPU56と賞球制御用CPU371とが電源断時処理を開始するタイミングがずれてしまう可能性がある。しかし、この実施の形態では、遅延回路936が設けられているので、賞球制御用CPU371が、必ず主基板31のCPU56が電源断時処理を開始した後に、電源断時処理を開始するように構成することができる。
【0129】
賞球制御用CPU371等の駆動電源である+5V電源から電力が供給されていない間、賞球制御用CPU371の内蔵RAMの少なくとも一部は、電源基板910から供給されるバックアップ電源がバックアップ端子に接続されることによってバックアップされ、遊技機に対する電源が断しても内容は保存される。そして、+5V電源が復旧すると、初期リセット回路935からリセット信号が発せられるので、賞球制御用CPU371は、通常の動作状態に復帰する。そのとき、必要なデータがバックアップされているので、停電等からの復旧時には停電発生時の遊技状態に復帰することができる。
【0130】
図24に示す構成では、賞球制御基板37には、第2の電源監視回路933が搭載されている。この例では、第2の電源監視回路933において、電源監視用IC934が、電源基板910の第1の電源監視回路が監視する電源電圧と等しい電圧である+30V電源電圧を監視して電圧値が所定値以下になるとローレベルの電圧低下信号を発生する。第2の電源監視回路933が設けられている場合には、第2の電源監視回路933の検出電圧(電圧低下信号を出力することになる電圧)を、電源基板910に搭載されている第1の電源監視回路の検出電圧よりも低くする。
【0131】
第2の電源監視回路933からの電圧低下信号は、初期リセット回路935からの初期リセット信号と論理和をとられた後に、賞球制御用CPU371のリセット端子に入力される。従って、賞球制御用CPU371は、初期リセット回路935からの初期リセット信号がローレベルを呈しているとき、または、第2の電源監視回路933からの電圧低下信号がローレベルを呈しているときに、リセット状態(非動作状態)になる。
【0132】
図25は、賞球制御用CPU371のメイン処理を示すフローチャートである。メイン処理では、賞球制御用CPU371は、まず、RAM領域をクリアする等の初期値設定処理を行う(ステップS701)。なお、内蔵RAMの電源バックアップされたRAM領域(バックアップRAM領域)にデータが設定されている場合には、それらの領域のクリア処理はなされない。その後、この実施の形態では、賞球制御用CPU371は、タイマ割込フラグの監視(ステップS702)の確認を行うループ処理に移行する。
【0133】
ステップS701の初期化処理では、例えば、後述する総合個数記憶の値が0でない場合には、非バックアップRAM領域をクリアする処理が行われる。そして、賞球再開のための設定を行う。例えば、賞球中処理中フラグのセット等を行う。なお、バックアップRAM領域であっても、賞球個数に関わらない領域であるならば、それらのアドレスを指定してクリアするようにしてもよい。さらに、それら処理の他に、2ms毎に定期的にタイマ割込がかかるように賞球制御用CPU371に設けられているタイマレジスタの初期設定(タイムアウトが2msであることと繰り返しタイマが動作する設定)が行われる。すなわち、タイマ割込を能動化する処理と、タイマ割込インタバルを設定する処理とが実行される。
【0134】
従って、この実施の形態では、賞球制御用CPU371の内部タイマが繰り返しタイマ割込を発生するように設定される。この実施の形態では、繰り返し周期は2msに設定される。そして、図26に示すように、タイマ割込が発生すると、賞球制御用CPU371は、タイマ割込フラグをセットする(ステップS711)。
【0135】
賞球制御用CPU371は、ステップS702において、タイマ割込フラグがセットされたことを検出すると、タイマ割込フラグをリセットするとともに(ステップS703)、賞球制御処理を実行する(ステップS705)。以上の制御によって、この実施の形態では、賞球制御処理は2ms毎に起動されることになる。
【0136】
図27は、賞球制御用CPU371が内蔵するRAMの使用例を示す説明図である。この例では、バックアップRAM領域に総合個数記憶(例えば2バイト)が形成されている。総合個数記憶は、主基板31の側から指示された払出個数の総数を記憶するものである。
【0137】
図28は、割込処理による賞球制御コマンド受信処理を示すフローチャートである。この実施の形態では、主基板31からの賞球制御INT信号は賞球制御用CPU371の割込端子に入力されている。よって、主基板31からの賞球制御INT信号がオン状態になると、賞球制御用CPU371に割込がかかり、図28に示す賞球制御コマンドの受信処理が開始される。
【0138】
賞球制御コマンドの受信処理において、賞球制御用CPU371は、まず、賞球制御コマンドデータの入力に割り当てられている入力ポートから1バイトのデータを読み込む(ステップS852)。読み込んだデータが払出個数指示コマンドであれば(ステップS853)、払出個数指示コマンドで指示された個数を総合個数記憶に加算する(ステップS855)。そうでなければ、通信終了フラグをセットする(ステップS854)。なお、通信終了フラグは、この例では、払出個数指示コマンド以外のコマンドを受信したことを示すフラグである。
【0139】
以上のように、賞球制御基板37に搭載された賞球制御用CPU371は、主基板31のCPU56から送られた払出個数指示コマンドに含まれる賞球数をバックアップRAM領域(総合個数記憶)に記憶する。
【0140】
図29は、タイマ割込で起動される賞球制御処理(ステップS711)を示すフローチャートである。賞球制御処理において、賞球制御用CPU371は、総合個数記憶が0でないか否かの確認を行う(ステップS511)。総合個数記憶が0でなければ、賞球制御用CPU371は、賞球払出処理を行う(ステップS512)。賞球払出処理では、払出モータ289がオンしていなければオンするとともに、賞球カウントスイッチ301Aの検出出力によって遊技球の払出がなされたか否かの確認を行う。そして、1個の払出が行われたことを確認したら(ステップS513)、総合個数記憶の値を−1する(ステップS514)。また、総合個数記憶の値が0になったら(ステップS515)、払出モータ289をオフする(ステップS516)。
【0141】
総合個数記憶の内容は、遊技機の電源が断しても、所定期間電源基板910のバックアップ電源によって保存される。従って、所定期間中に電源が回復すると、賞球制御用CPU371は、総合個数記憶の内容にもとづいて賞球払出処理を継続することができる。
【0142】
賞球制御用CPU371は、電源投入時に、バックアップRAM領域のデータを確認するだけで、通常の初期設定処理を行うのか賞球中の状態を復元するのか決定できる。すなわち、簡単な判断によって、未払出賞球について賞球処理再開を行うことができる。
【0143】
なお、賞球制御用CPU371は、主基板31から指示された賞球個数を総合個数記憶で総数として管理したが、賞球数毎(例えば15個、10個、6個)に管理してもよい。例えば、賞球数毎に対応した個数カウンタを設け、払出個数指定コマンドを受信すると、そのコマンドで指定された個数に対応する個数カウンタを+1する。そして、賞球数毎の賞球払出が終了すると、対応する個数カウンタを−1する。その場合にも、各個数カウンタはバックアップRAM領域に形成される。よって、遊技機の電源が断しても、所定期間中に電源が回復すれば、賞球制御用CPU371は、各個数カウンタの内容にもとづいて賞球払出処理を継続することができる。
【0144】
図30は、賞球制御用CPU371が実行する停電発生処理(停電発生割込処理)を示すフローチャートである。電源基板910の第1の電源監視回路(電源監視用IC902)が電源電圧の低下を検出すると電圧低下信号が電圧低下を示す状態となり、停電発生処理が開始される。停電発生処理において、賞球制御用CPU371は、まず、割込禁止に設定する(ステップS801)。そして、RAMアクセス禁止状態に設定して(ステップS802)、ホールト命令(HALT命令)を発行する(ステップS803)。すなわち、CPU自身を、リセット解除または割込発生以外では動作しない状態にする。
【0145】
ただし、ステップS41で割込禁止に設定されているので、一般の割込は発生しない。従って、図24示された電源監視用IC934からのリセット信号によって外部から動作禁止状態にされる前に、内部的に動作停止状態になる。よって、電源断時に確実に賞球制御用CPU371は動作停止する。その結果、上述したRAMアクセス禁止の制御および動作停止制御によって、電源電圧が低下していくことに伴って生ずる可能性がある異常動作に起因するRAMの内容破壊等を確実に防止することができる。
【0146】
図31は、賞球制御用CPU371が電源投入時に実行する初期化処理の一部を示すフローチャートである。電源が投入され、または、電源が復旧したときには、賞球制御用CPU371は、まず、バックアップRAM領域に形成されている総合個数記憶の値が0でないかどうか確認する(ステップS901)。0である場合には、前回の電源オフ時に未払出賞球はなかったことになるので、通常の初期設定処理を行う。すなわち、レジスタおよび全RAM領域をクリアして(ステップS903)、スタックポインタの初期設定を行う(ステップS904)。
【0147】
総合個数記憶の値が0でない場合には、アドレスを指定してレジスタと非バックアップRAM領域をクリアする(ステップS905)。そして、賞球再開のための設定を行う。例えば、賞球中処理中フラグのセット等を行う(ステップS906)。なお、バックアップRAM領域であっても、賞球個数に関わらない領域であるならば、それらのアドレスを指定してクリアするようにしてもよい。
【0148】
このように、賞球制御用CPU371は、電源投入時に、バックアップRAM領域のデータを確認するだけで、通常の初期設定処理を行うのか賞球中の状態を復元するのか決定できる。すなわち、簡単な判断によって、未払出賞球について賞球処理再開を行うことができる。
【0149】
図31に示された処理では、賞球制御用CPU371は、電源投入時に、バックアップRAM領域のデータを確認したが、そのような判断を行わなくてもよい。すなわち、電源投入時に、電源バックアップされていないRAM領域のみをアドレスを指定してクリアする。なお、ここで、レジスタのクリア処理も行う。そして、そのような初期化処理を行うように構成されている場合、電源断時に、レジスタの退避は行われない。
【0150】
この実施の形態では、図24に示されたように、電源基板に搭載されている第1の電源監視手段からの電圧低下信号が、遅延回路936を介して賞球制御用CPU371のIRQ端子に入力されている。第1の電源監視手段からの電圧低下信号(第1の電圧低下信号)は、主基板31にも入力されている。賞球制御基板37における遅延回路936は第1の電圧低下信号を所定時間遅延させて賞球制御用CPU371のIRQ端子に入力する。よって、主基板31のCPU56が、第1の電源監視手段が電圧低下を検出したことを認識するタイミングは、賞球制御基板37の賞球制御用CPU371が認識するタイミングよりも早い。
【0151】
CPU56および賞球制御用CPU371はそれぞれ第1の電圧低下信号に応じて電源断時処理を行うのであるが、CPU56は、賞球制御用CPU371よりも早く電源断時処理を開始する。すなわち、賞球制御用CPU371による賞球制御処理が停止するよりも早くCPU56による遊技制御処理が停止する。すると、図32に例示するように、遊技制御処理中に送出された賞球制御コマンドは、電源断が生ずるときであっても、確実に賞球制御用CPU371で受信される。賞球制御用CPU371は受信した賞球制御コマンドにもとづく賞球数をバックアップRAM領域に保存するので、賞球数は、停電中でも保持され停電復旧後に処理される。よって、この実施の形態によれば、遊技制御手段が検出した入賞にもとづく賞球払出が確実になされる。よって、遊技者に不利益が与えられることはない。
【0152】
なお、この実施の形態では、賞球制御用CPU371は、マスク可能割込端子(IRQ端子)を介して電源基板からの第1の電圧低下信号(第1の電源監視手段からの電圧低下信号)を検知したが、第1の電圧低下信号をマスク不能割込割込端子または入力ポートに導入してもよい。
【0153】
さらに、第1の電圧低下信号を、賞球制御用CPU371のタイマカウンタのクロック入力端子(CLK/TRG端子)に導入してもよい。図33は、そのような形態を示すブロック図である。図33において、反転回路937は、単に信号の立ち上がりで動作するタイマカウンタに対する信号極性を調整するだけのものである。
【0154】
賞球制御用CPU371が内蔵するタイマカウンタは、例えば、CLK/TRG端子に立ち上がり信号が入力されるとレジスタ値を1減らす。そして、レジスタ値が0になると内部的に割込を発生する。従って、図34に示すように、タイマカウンタレジスタに初期値として「1」を設定しておけば、第1の電圧低下信号が入力されると割込が発生する。よって、タイマカウンタにもとづく割込処理によっても、電源断時処理を開始することができる。電源断時処理は、図30に示された処理と同じでよい。
【0155】
また、遅延回路936を設けず、第1の電圧低下信号をソフトウェア的に遅延させてもよい。そのように構成する場合には、図24や図33に示された構成を用いることができるが、遅延回路936は設けられない。そして、その場合、第1の電圧低下信号にもとづく割込処理では、図35に示すように、遅延時間タイマが起動される(ステップS811)。遅延時間は、少なくとも1つの賞球制御コマンドを受信しうる時間に設定される。
【0156】
また、メイン処理では、図36に示すように、遅延時間タイマが動作中であれば(ステップS720)、遅延時間タイマがタイムアウトするのを待ち(ステップS722)、遅延時間タイマがタイムアウトしたら、賞球制御用CPU371は、割込禁止に設定し(ステップS801)、RAMアクセス禁止状態に設定して(ステップS802)、ホールト命令(HALT命令)を発行する(ステップS803)。すなわち、CPU自身を、リセット解除または割込発生以外では動作しない状態にする。
【0157】
この実施の形態では、コマンド受信処理は割込処理によって実行される(図28参照)。よって、遅延時間タイマがタイムアウトするまでコマンド受信割込処理が実行可能になっている。すなわち、ハードウェアの遅延回路936を設けた場合と同様に、第1の電圧低下信号が発生してから所定期間、賞球制御コマンドの受信が可能になっている。
【0158】
この実施の形態では、図35に示すように、停電発生割込処理では遅延時間タイマの起動のみが行われ、遅延時間タイマがタイムアウトするまで電源断時処理を行わずコマンド受信割込処理を実行可能な状態としたが、停電発生割込処理において、遅延時間タイマがタイムアウトするまでコマンド受信処理を実行するように構成してもよい。
【0159】
また、停電発生割込処理において、賞球制御コマンド受信中であるか否かを確認し受信中であれば賞球制御コマンド受信処理を完了させ、その後に電源断時処理を行うように構成してもよい。
【0160】
上記の各実施の形態では、遅延時間をハードウェア的に作成するにせよソフトウェア的に作成するにせよ、第1の電圧低下信号は、割込を発生させる端子に導入されていた。しかし、第1の電圧低下信号を入力ポートに導入してもよい。図37は、そのような形態を示すブロック図である。
【0161】
そのように構成されている場合には、図38に示すように、メイン処理において、賞球制御用CPU371は、入力ポートの入力信号を監視することによって電圧異常が(電源電圧低下)が生じたか否かを確認する(ステップS704)。そして、電圧異常を検出したら、電源断時処理を実行する。すなわち、割込禁止に設定し(ステップS801)、RAMアクセス禁止状態に設定して(ステップS802)、ホールト命令(HALT命令)を発行する(ステップS803)。
【0162】
さらに、図37に示された構成においても、遅延回路936を設けず、ソフトウェア的に遅延時間を作成してもよい。図39は、図37に示された構成において遅延回路936が設けられていない場合の賞球制御用CPU371が実行するメイン処理を示すフローチャートである。
【0163】
図39に示すように、賞球制御用CPU371は、入力ポートの入力信号を監視することによって電圧異常を検出したら(ステップS704)、遅延時間タイマを起動し(ステップS721)、遅延時間タイマがタイムアウトしたら、賞球制御用CPU371は、電源断時処理を実行する。すなわち、割込禁止に設定し(ステップS801)、RAMアクセス禁止状態に設定して(ステップS802)、ホールト命令(HALT命令)を発行する(ステップS803)。なお、電圧異常を検出した段階で、払出モータ289をオフしておくことが望ましい。
【0164】
コマンド受信処理は割込処理によって実行されるので、遅延時間タイマがタイムアウトするまでコマンド受信割込処理が実行可能になっている。すなわち、ハードウェアの遅延回路936を設けた場合と同様に、第1の電圧低下信号が発生してから所定期間、賞球制御コマンドの受信が可能になっている。
【0165】
上記の各実施の形態では、図40に示すように、電源基板910に第1の電源監視手段を構成する電源監視用IC902が搭載され、電源監視用IC902からの第1の電圧低下信号が主基板31および賞球制御基板37に供給された。そして、図40(A)に示すように賞球制御基板37に第1の電圧低下信号を遅延させて賞球制御用CPU371に供給する遅延回路936が設けられるか、または、図40(B)に示すように、第1の電圧低下信号を賞球制御用CPU371にそのまま供給してソフトウェア的に遅延時間を生成した。
【0166】
しかし、図41に示すように、電源基板910に電源監視用IC902とともに遅延回路936を搭載し、電源監視用IC902からの、第1の電圧低下信号を主基板31に供給し、遅延回路936で遅延させた第1の電圧低下信号を賞球制御基板37に供給するように構成してもよい。そのように構成された場合にも、賞球制御用CPU371が電源断時処理を開始するタイミングを、主基板31のCPU56が電源断時処理を開始するタイミングよりも確実に遅らせることができ、賞球制御用CPU371が賞球制御コマンドを確実に受信することができる。
【0167】
また、図42に示すように、電源監視用IC902を主基板31に搭載し、電源監視用IC902と同一の電源電圧を監視するとともに検出電圧(第1の電圧低下信号を出力することになる電圧)も同じである電源監視用IC932を賞球制御基板37に搭載してもよい。図42(A)は、賞球制御基板37に遅延回路936が設けられ、ハードウェア的に第1の電圧低下信号を遅延させる構成を示し、図42(B)は、第1の電圧低下信号を直接賞球制御用CPU371に供給してソフトウェア的に第1の電圧低下信号を遅延させる場合の構成を示す。
【0168】
図42(A),(B)に示すように構成した場合にも、賞球制御用CPU371が電源断時処理を開始するタイミングを、主基板31のCPU56が電源断時処理を開始するタイミングよりも確実に遅らせることができる。
【0169】
以上のように、上記の各実施の形態によれば、遊技制御手段に電源断時処理を開始させるための検出信号および賞球制御手段に電源断時処理を開始させるための検出信号を同時に供給するような電源監視手段を設け、賞球制御手段に対して検出信号を遅延させる遅延手段を設けたので、賞球制御手段が電源断時処理を開始するタイミングを、遊技制御手段が電源断時処理を開始するタイミングよりも確実に遅らせることができる。
【0170】
特に、賞球制御コマンド受信中に停電したような場合でも、少なくともコマンド受信が完了するまで電源断時処理開始を遅らせるように遅延時間が設定されるので、賞球制御コマンド受信処理が確実に完了する。
【0171】
その結果、賞球制御手段は、電源断が発生したときに賞球制御コマンドを受信中であったとしても、賞球制御コマンドを確実に受信でき、受信した賞球制御コマンドにもとづく賞球数を確実にバックアップRAMに記憶することができる。
【0172】
なお、上記の各実施の形態のパチンコ遊技機1は、始動入賞にもとづいて可変表示部9に可変表示される特別図柄の停止図柄が所定の図柄の組み合わせになると所定の遊技価値が遊技者に付与可能になる第1種パチンコ遊技機であったが、始動入賞にもとづいて開放する電動役物の所定領域への入賞があると所定の遊技価値が遊技者に付与可能になる第2種パチンコ遊技機や、始動入賞にもとづいて可変表示される図柄の停止図柄が所定の図柄の組み合わせになると開放する所定の電動役物への入賞があると所定の権利が発生または継続する第3種パチンコ遊技機であっても、本発明を適用できる。
【0173】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、遊技機を、遊技制御用マイクロコンピュータおよび賞球制御用マイクロコンピュータが、電源監視手段からの検出信号の入力に応じてRAMの記憶内容を保持させるための電源断時処理を実行し、賞球制御用マイクロコンピュータが電源断時処理を開始するタイミングを、遊技制御用マイクロコンピュータが電源断時処理を開始するタイミングよりも遅らせるための遅延時間を作成する遅延手段を備えた構成にしたので、停電等の不測の電源断が発生したときに必要なデータを保存して電源復旧時に電源断時の状態から遊技を再開できるように構成された場合に、遊技制御用マイクロコンピュータと賞球制御用マイクロコンピュータとの間でコマンドを確実に受け渡しして遊技者に不利益を与えることがないという効果がある。
【0174】
遊技制御基板および賞球制御基板とは別個に設けられ、遊技機で使用される電源電圧を作成する電源基板を備え、遊技制御基板および賞球制御基板に検出信号出力する共通の電源監視手段が電源基板に搭載されていることから、電源監視手段からの検出信号を必要とする複数の遊技装置制御基板に対して電源監視手段は1つ設けられていればよいので遊技機のコストはさほど上昇しない。
【0175】
遅延時間が、少なくとも遊技制御用マイクロコンピュータから賞球制御用マイクロコンピュータに送信される賞球制御コマンドを賞球制御用マイクロコンピュータが受信可能な時間であることから、遊技制御用マイクロコンピュータと賞球制御用マイクロコンピュータとの間で賞球制御コマンドを常に確実に受け渡しすることができる
【0176】
遅延手段が、電源監視手段からの検出信号を遅延させて賞球制御用マイクロコンピュータに入力させる遅延回路であることから、ソフトウェアの負担を増大させることなく遅延手段を実現できる
【0177】
遅延手段が、電源監視手段からの検出信号の入力に応じて遅延を開始するように構成されたソフトウェアであることから、遅延手段を実現する際にハードウェアの増加はないので、コスト上昇させることなく遅延手段を実現できる
【0178】
電源監視手段からの検出信号が、賞球制御用マイクロコンピュータの割込端子に入力されていることから、割込処理によって電源断時処理を行うことが可能になり、検出信号監視制御を簡略に実現することができる。
【0179】
電源監視手段からの検出信号が入力ポートに入力され、賞球制御用マイクロコンピュータが、入力ポートに検出信号が入力されたことを検出したときに電源断時処理を実行することから、割込を使用しなくてよいので、他の処理で割込を使用しているような場合に割込要因の解析等を行わなくてよく、割込処理が簡略化するという効果がある。
【0180】
賞球制御用マイクロコンピュータが、電源断時処理を実行した後、賞球制御用マイクロコンピュータをホールト状態に設定することから、電源電圧が低下していくことに伴って生ずる可能性がある記憶手段の内容破壊等を確実に防止でき、電源断時に確実にデータを保存することができる
【0181】
電源監視手段と同一の電圧の電源を監視し、検出電圧が電源監視手段の検出電圧よりも低く、賞球制御用マイクロコンピュータが動作する電圧値であるときに電源電圧の電圧低下を検出する第2の電源監視手段を備え、賞球制御用マイクロコンピュータが、第2の電源監視手段からの検出信号の入力に応じて動作停止状態とされることから、マイクロコンピュータの動作が外部から停止されるので、電源断時により確実なデータ保存を行うことができる
【0182】
第2の電源監視手段が賞球制御基板に搭載されていることから、第2の電源監視手段が電源基板等の賞球制御基板とは別の基板に搭載されている場合に比べて、第2の電源監視手段からの検出信号をケーブル等を介して伝達する必要はなく、第2の電源監視手段からの検出信号が確実に賞球制御用マイクロコンピュータに伝達される効果がある
【図面の簡単な説明】
【図1】パチンコ遊技機を正面からみた正面図である。
【図2】パチンコ遊技機の遊技盤を正面からみた正面図である。
【図3】パチンコ遊技機を背面からみた背面図である。
【図4】遊技制御基板(主基板)の回路構成例を示すブロック図である。
【図5】賞球制御基板の回路構成例を示すブロック図である。
【図6】電源監視および電源バックアップのためのCPU周りの一構成例を示すブロック図である。
【図7】電源基板の一構成例を示すブロック図である。
【図8】主基板におけるCPUが実行するメイン処理を示すフローチャートである。
【図9】初期化処理を示すフローチャートである。
【図10】2msタイマ割込処理を示すフローチャートである。
【図11】遊技制御処理を示すフローチャートである。
【図12】停電発生処理を示すフローチャートである。
【図13】停電復旧処理を示すフローチャートである。
【図14】バックアップパリティデータ作成方法を説明するための説明図である。
【図15】賞球制御コマンドの構成例を示す説明図である。
【図16】賞球制御コマンドのビット構成を示す説明図である。
【図17】賞球制御コマンドデータの出力の様子を示すタイミング図である。
【図18】スイッチ処理を示すフローチャートである。
【図19】始動口スイッチチェック処理を示すフローチャートである。
【図20】カウントスイッチチェック処理を示すフローチャートである。
【図21】入賞口スイッチ19aチェック処理を示すフローチャートである。
【図22】入賞口スイッチ24aチェック処理を示すフローチャートである。
【図23】賞球コマンド送出処理を示すフローチャートである。
【図24】電源監視および電源バックアップのための賞球制御用CPU周りの一構成例を示すブロック図である。
【図25】賞球制御用CPUが実行するメイン処理を示すフローチャートである。
【図26】賞球制御用CPUの2msタイマ割込処理を示すフローチャートである。
【図27】賞球制御手段におけるRAMの一構成例を示す説明図である。
【図28】賞球制御用CPUのコマンド受信処理を示すフローチャートである。
【図29】賞球制御処理を示すフローチャートである。
【図30】賞球制御用CPUが実行する停電発生処理を示すフローチャートである。
【図31】賞球制御用CPUが実行する初期化処理の一例を示すフローチャートである。
【図32】電源断信号とコマンド受信処理との関係の一例を示すタイミング図である。
【図33】電源監視および電源バックアップのための賞球制御用CPU周りの他の構成例を示すブロック図である。
【図34】タイマカウンタレジスタと割込との関係を示す背説明図である。
【図35】賞球制御用CPUが実行する停電発生処理の他の例を示すフローチャートである。
【図36】賞球制御用CPUが実行するメイン処理の他の例を示すフローチャートである。
【図37】電源監視および電源バックアップのための賞球制御用CPU周りのさらに他の構成例を示すブロック図である。
【図38】賞球制御用CPUが実行するメイン処理のさらに他の例を示すフローチャートである。
【図39】賞球制御用CPUが実行するメイン処理のさらに他の例を示すフローチャートである。
【図40】電源基板と主基板および賞球制御基板との関係を示すブロック図である。
【図41】電源基板と主基板および賞球制御基板との関係の他の例を示すブロック図である。
【図42】電源基板と主基板および賞球制御基板との関係のさらに他の例を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 パチンコ遊技機
31 主基板
37 賞球制御基板
53 基本回路
56 CPU
371 賞球制御用CPU
902,904,934 電源監視用IC
910 電源基板
936 遅延回路

Claims (10)

  1. 入賞領域に遊技球が入賞すると、所定個の賞球が遊技者に払い出される遊技機であって、電源投入時に電源断直前の内容が保持されている保持データにもとづいて遊技状態を復帰させる遊技状態復帰制御を行うことが可能であり、
    RAMを内蔵し、遊技進行を制御して、入賞に応じて払い出すべき賞球数を示す賞球制御コマンドと賞球制御コマンドの受信割込処理の実行を示す割込信号とを出力する遊技制御用マイクロコンピュータが搭載された遊技制御基板と、
    RAMを内蔵し、入賞に応じて前記遊技制御用マイクロコンピュータから出力される前記賞球制御コマンドにもとづいて賞球払出制御を行う賞球制御用マイクロコンピュータが搭載された賞球制御基板と、
    遊技機の電源断時に前記遊技制御用マイクロコンピュータおよび前記賞球制御用マイクロコンピュータのRAMの記憶内容を保持させるためのバックアップ電源と、
    遊技機に供給される電源を監視して、所定量の電圧低下を検出したときに検出信号を出力する電源監視手段と、
    前記遊技制御用マイクロコンピュータから前記賞球制御用マイクロコンピュータに向かう方向にのみ前記賞球制御コマンドと前記割込信号とを通過させるバッファ回路とを備え、
    前記電源監視手段は、前記検出信号を、前記遊技制御用マイクロコンピュータと前記賞球制御用マイクロコンピュータとに出力し、
    前記遊技制御用マイクロコンピュータおよび前記賞球制御用マイクロコンピュータは、前記電源監視手段からの検出信号の入力に応じて、前記RAMの記憶内容を保持させるための電源断時処理を実行し、
    前記賞球制御用マイクロコンピュータは、
    前記遊技制御用マイクロコンピュータから前記割込信号が入力されたことに応じて実行される受信割込処理により賞球制御コマンドが示す賞球数を前記RAMに記憶させ、
    前記RAMに賞球数が記憶されているときに賞球払出制御を実行し、
    前記RAMに記憶されている賞球数から前記賞球払出制御処理による賞球の払い出しに応じた賞球数を減算し、
    電源投入時に、前記RAMに賞球数の記憶が保持されていたことを条件に、未払出の賞球の賞球払出制御を実行し、
    前記賞球制御用マイクロコンピュータが電源断時処理を開始するタイミングを、前記遊技制御用マイクロコンピュータが電源断時処理を開始するタイミングよりも遅らせるための遅延時間を作成する遅延手段を備えた
    ことを特徴とする遊技機。
  2. 遊技制御基板および賞球制御基板とは別個に設けられ、遊技機で使用される電源電圧を作成する電源基板を備え、
    前記遊技制御基板および前記賞球制御基板に検出信号を出力する共通の電源監視手段が前記電源基板に搭載されている
    請求項1記載の遊技機。
  3. 遅延時間は、少なくとも遊技制御用マイクロコンピュータから賞球制御用マイクロコンピュータに送信される賞球制御コマンドを賞球制御用マイクロコンピュータが受信可能な時間である
    請求項1または請求項2記載の遊技機。
  4. 遅延手段は、電源監視手段からの検出信号を遊技制御用マイクロコンピュータよりも遅延させて賞球制御用マイクロコンピュータに入力させる遅延回路である
    請求項1から請求項3のうちのいずれかに記載の遊技機。
  5. 遅延手段は、電源監視手段からの検出信号の入力に応じて賞球制御用マイクロコンピュータが遅延処理を開始するように構成されたソフトウェアである
    請求項1から請求項3のうちのいずれかに記載の遊技機。
  6. 電源監視手段からの検出信号は、賞球制御用マイクロコンピュータの割込端子に入力され、
    賞球制御用マイクロコンピュータは、前記電源監視手段からの検出信号が前記割込端子に入力されたことにもとづく割込処理によって電源断時処理を実行する
    請求項1から請求項5のうちのいずれかに記載の遊技機。
  7. 電源監視手段からの検出信号は入力ポートに入力され、
    賞球制御用マイクロコンピュータは、前記入力ポートに前記検出信号が入力されたことを検出したときに電源断時処理を実行する
    請求項1から請求項5のうちのいずれかに記載の遊技機。
  8. 賞球制御用マイクロコンピュータは、電源断時処理を実行した後、該賞球制御用マイクロコンピュータをホールト状態に設定する
    請求項1から請求項7のうちのいずれかに記載の遊技機。
  9. 電源監視手段と同一の電圧の電源を監視し、検出電圧が前記電源監視手段の検出電圧よりも低く、賞球制御用マイクロコンピュータが動作する電圧値であるときに電源電圧の電圧低下を検出する第2の電源監視手段を備え、
    前記賞球制御用マイクロコンピュータは、前記第2の電源監視手段からの検出出力の入力に応じて動作停止状態とされる
    請求項1から請求項8のうちのいずれかに記載の遊技機。
  10. 第2の電源監視手段は賞球制御基板に搭載されている
    請求項9記載の遊技機。
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