JP3609138B2 - ビデオカメラ - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、良好な信号対ノイズ比(以下、S/Nと表記する)を得ることができる新規なノイズ抑制手段を備えたビデオカメラに関する。
【0002】
【従来の技術】
ムービーとスチルを問わず、多くのビデオカメラにはAGC(自動利得制御)回路が備えられている。AGC回路は映像信号を電気的に増幅するものであり、被写体が暗いためにアイリス開度が全開になっても映像信号のレベルが不足する場合に動作し、映像信号がなるべく一定レベルとなるように制御回路(例えばマイクロコンピュータ)によりAGCレベル即ちゲインが制御される。
【0003】
しかし、周知の如くAGC回路のゲインが大きいほど、同回路の出力信号のS/Nが劣下してノイズ成分が増大し、画質低下の要因になっている。また、AGC回路を通った映像信号を用いてフォーカスレンズの位置制御を行うオートフォーカス装置では、ノイズにより合焦位置に誤差が生じたり、あるいは合焦までの時間が長くなったりする。また、オートホワイトバランス装置では、ホワイトバランス制御に誤差が生じる。
【0004】
<ノイズ抑制技術>
そこで従来、AGCゲインが大きいほど輝度信号のアパーチャゲインを小さくしてノイズが目立たないようにする回路を、ノイズ抑制手段として備えたビデオカメラが知られている。
【0005】
また、ノイズ抑制手段として、AGCゲインが大きいほど色信号に大きなオフセットを付加することによりS/N劣下を補正するものを、本願出願人が特願平5−290270号(平成5年11月19日付出願)として既に提案している。
【0006】
これらのノイズ抑制手段は、ユーザがビデオカメラを操作して被写体を撮影する場合に動作するように設定されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、暗い被写体を撮影する場合でもS/N劣下を抑制することができる新規なノイズ制御手段を備えたビデオカメラを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明のビデオカメラは、
撮像信号を電気的に増幅する増幅手段と、
前記増幅手段から出力された撮像信号を分離して得た輝度信号及び色合成信号を処理する色信号処理回路とを有し、
前記色信号処理回路は、前記色合成信号から赤信号R,緑信号G,青信号Bを形成するマトリクス回路と、前記赤信号R,緑信号G,青信号Bにそれぞれオフセットαを付加するオフセット付加回路と、オフセット付の赤信号R+α,緑信号G+α,青信号B+αに対してガンマ補正するガンマ補正回路を備えているビデオカメラにおいて、
前記増幅手段のゲインが大きくなるにつれて、前記オフセットαの値を正の方向に大きくする手段を具備することを特徴とする。
【0009】
また本発明のビデオカメラは
撮像信号を電気的に増幅する増幅手段と、
前記増幅手段から出力された撮像信号を分離して得た輝度信号及び色合成信号を処理する色信号処理回路とを有し、
前記色信号処理回路は、前記色合成信号から赤信号R,緑信号G,青信号Bを形成するマトリクス回路と、前記赤信号R,緑信号G,青信号Bにそれぞれオフセットαを付加するオフセット付加回路と、オフセット付の赤信号R+α,緑信号G+α,青信号B+αに対してガンマ補正するガンマ補正回路を備えているビデオカメラにおいて、
前記輝度信号を基に測光値を求め、求めた測光値が小さい場合に、前記オフセットαの値を大きくする手段を具備することを特徴とする。
【0010】
【実施例】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。
【0011】
<基本構成>
図1は本発明の実施例に係るビデオカメラの撮像系を示す。まず、同ビデオカメラの基本的な構成を説明する。同図に示すようにレンズ1により形成されアイリス2を通ってきた光学像がCCD3の受光面に結像される。補色フィルタ(Ye,Mg,Cy,G)を備えたCCD3からは、撮像信号Sが出力される。撮像信号Sはサンプルホールド回路4によりサンプルホールドされ、また必要に応じてAGC(自動利得調整)回路5によりゲイン調整される。更に撮像信号SはY/C分離回路(フィルタ)6により、輝度信号Y,色合成信号Cr ,Cb に分離される。
【0012】
輝度信号処理回路10には輝度信号Yが入力され、色信号処理回路20には、輝度信号Y及び色合成信号Cr ,Cb が入力される。
【0013】
輝度信号処理回路10では、ガンマ補正回路11により輝度信号Yをガンマ補正し、輝度信号処理部12により、ガンマ補正済輝度信号にアパーチャ補正による水平輪郭補償、あるいは同期信号付加などの処理を行なって出力する。
【0014】
積算回路7は輝度信号Yを積分して輝度積分値IYを求める。この輝度積分値IYは、露光量に対応したものである。カメラマイコン8は、輝度積分値IYを基に測光値を求め、この測光値と目標値の偏差に応じたアイリス制御値Ec を求めて出力する。アイリス2は、アイリス制御値Ec に応じてアイリス開度を変える。またアイリス開度はアイリスセンサ(ホール素子)9により検出され、検出されたアイリス開度Eo はカメラマイコン8に送られる。カメラマイコン8は、アイリス2が全開となっても露出不足になると判断したときには、ゲインアップ指令GA をAGC回路5に送る。AGC回路5は、ゲインアップ指令GA に応じたゲインで、撮像信号Sを増幅(ゲインアップ)する。
【0015】
一方、色信号処理回路20では、マトリクス回路21により輝度信号Y及び色合成信号Cr ,Cb をマトリクス演算して赤信号R,緑信号G,青信号Bを形成する。オフセット付加回路22は、各原色信号R,G,Bにオフセットαを付加する。
【0016】
ガンマ補正回路23は、入力信号レベルが低いところで増幅率を大きく入力信号レベルが高くなるにつれて増幅率を小さくする非線形増幅特性を持った増幅回路であり、オフセット付原色信号R+α,B+α,G+αをガンマ補正する。
【0017】
色信号処理部24は、ガンマ補正済のオフセット付原色信号R+α,G+α,B+αを信号処理して色差信号R−Y,B−Yを形成して出力する。
【0018】
次に、ノイズ抑制手段の諸例について説明する。
【0019】
<ガンマ補正係数の操作によるノイズ抑制(その1)>
ガンマ補正回路11,23とカメラマイコン8でノイズ抑制手段が構成される。一例として、カメラマイコン8は図2に例示するように、AGC回路5に指令したゲインに応じたガンマ補正係数を求め、求めたガンマ補正係数を操作信号によりガンマ補正回路11及び23に与える。これらガンマ補正回路11,23はカメラマイコン8で指定されたガンマ補正係数でそれぞれ輝度信号、色信号にガンマ補正を加える。この結果、図2の如く、AGCゲインが大きい場合、即ち被写体が暗い場合には、明るい場合に比べてガンマ補正回路11,23の低レベル信号に対するゲインが小さくなるので、S/N劣下を抑制することができる。
【0020】
<ガンマ補正係数の操作によるノイズ抑制(その2)>
カメラマイコン8はAGCゲインの代りに、図3に例示するように、測光値に応じたガンマ補正係数を求め、この求めたガンマ補正係数を操作信号によりガンマ補正回路11,23に与えることもできる。この場合も、ガンマ補正回路11,23はカメラマイコン8で指定されたガンマ補正係数でそれぞれ輝度信号、色信号にガンマ補正を加える。従って、図3の如く、測光値が小さい場合、即ち被写体が暗い場合には、明るい場合に比べてガンマ補正回路11,23の低レベル信号に対するゲインが小さくなり、S/N劣下を抑制することができる。
【0021】
<色信号のオフセットの操作によるノイズ抑制(その1)>
オフセット付加回路22とカメラマイコン8でもノイズ抑制手段が構成される。この場合、オフセットαの値はカメラマイコン8により制御しており、ゲインアップ指令GA の値に対応させている。つまりAGC回路5のゲインが1であるときにはオフセットαの値を零にしておき、AGCゲインが大きくなるにつれて(低照度撮影になるにつれて)オフセットαの値を正方向に大きくしている。オフセットαの最大値は、ダイナミックレンジの10%程度としている。このようにオフセットαを付加しているため、例えば図4(a)に示す原色信号R,G,Bは図4(b)に示すようなオフセット付原色信号R+α,G+α,B+αとなる。このように、AGCゲインが大きい場合、即ち被写体が暗い場合には、カメラマイコン8がオフセット付加回路22に指令するオフセットαの値が大きくなるのでオフセット付原色信号R+α,B+α,G+αの値は、ノイズに対して相対的に大きくなると共に、ガンマ補正前の信号R+α,G+α,B+αの信号レベルの低い部分のゲインが等価的に下がり、特に低信号レベルでのS/N比が大きくなる。よって低照度時に撮影してもS/N劣下を抑制することができる。
【0022】
<色信号のオフセットの操作によるノイズ抑制(その2)>
カメラマイコン8はAGCゲインの代りに、図5(a),(b)に例示するように測光値に応じたオフセットαの値を求め、このオフセットαを操作信号によりオフセット付加回路22に与えることもできる。この結果、図5から判るように、測光値が小さい場合、即ち被写体が暗い場合には、カメラマイコン8がオフセット付加回路22に指令するオフセットαの値を大きくするのでオフセット付原色信号R+α,B+α,G+αの値は、ノイズに対して相対的に大きくなると共に、ガンマ補正前の信号R+α,G+α,B+αの信号レベルの低い部分のゲインが等価的に下がり、特に低信号レベルのS/N比が大きくなる。よって低照度時に撮影してもS/N劣下を抑制することができる。
【0023】
<輝度信号のアパーチャゲインの操作によるノイズ抑制>
輝度信号処理部12とカメラマイコン8でもノイズ抑制手段が構成される。カメラマイコン8は図示はしないが、測光値あるいはAGCゲインに応じたアパーチャゲインを求め、これを操作信号により輝度信号処理部12に与える。なお、測光値が小さい場合は大きい場合よりもアパーチャゲインを小さくし、AGCゲインが大きい場合には小さい場合よりもアパーチャゲインを小さくする。輝度信号処理部12では、カメラマイコン8で指定されたアパーチャゲインにより輝度信号のアパーチャ補正を行う。この結果、測光値が小さい、あるいはAGCゲインが大きい場合、即ち被写体が暗い場合には明るい場合に比べてアパーチャゲインが小さくなり、その分、高域強調が抑制されるから、ノイズ強調が抑制されてS/N劣下を抑制することができる。
【0024】
なお、ビデオカメラは上述したノイズ抑制手段の諸例のうち、少なくとも一つを備えていれば良い。また、ガンマ補正係数あるいは色信号のオフセットあるいは輝度信号のアパーチャゲインと、AGCゲインまたは測光値との関係は、2段階で、あるいは多段階で、あるいは連続的に変化するものでも良い。
【0025】
【発明の効果】
本発明は新規なノイズ抑制手段を備えるビデオカメラであり、増幅手段のゲインや測光値に応じて、オフセットαの値を変えているため、暗い被写体を撮影してAGCゲインが大きくなる場合でも、S/N劣下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係るビデオカメラの撮像系を示すブロック図。
【図2】ガンマ補正係数とAGCゲインとの関係例を示す図。
【図3】ガンマ補正係数と測光値との関係例を示す図。
【図4】オフセットとAGCゲインとの関係例を示す図。
【図5】オフセットと測光値との関係例を示す図。
【符号の説明】
1 レンズ
2 アイリス
3 CCD
4 サンプルホールド回路
5 AGC(自動利得調整)回路
6 Y/C分離回路
7 積算回路
8 カメラマイコン
11,23 ガンマ補正回路
12 輝度信号処理部
22 オフセット付加回路
Claims (2)
- 撮像信号を電気的に増幅する増幅手段と、
前記増幅手段から出力された撮像信号を分離して得た輝度信号及び色合成信号を処理する色信号処理回路とを有し、
前記色信号処理回路は、前記色合成信号から赤信号R,緑信号G,青信号Bを形成するマトリクス回路と、前記赤信号R,緑信号G,青信号Bにそれぞれオフセットαを付加するオフセット付加回路と、オフセット付の赤信号R+α,緑信号G+α,青信号B+αに対してガンマ補正するガンマ補正回路を備えているビデオカメラにおいて、
前記増幅手段のゲインが大きくなるにつれて、前記オフセットαの値を正の方向に大きくする手段を具備することを特徴とするビデオカメラ。 - 撮像信号を電気的に増幅する増幅手段と、
前記増幅手段から出力された撮像信号を分離して得た輝度信号及び色合成信号を処理する色信号処理回路とを有し、
前記色信号処理回路は、前記色合成信号から赤信号R,緑信号G,青信号Bを形成するマトリクス回路と、前記赤信号R,緑信号G,青信号Bにそれぞれオフセットαを付加するオフセット付加回路と、オフセット付の赤信号R+α,緑信号G+α,青信号B+αに対してガンマ補正するガンマ補正回路を備えているビデオカメラにおいて、
前記輝度信号を基に測光値を求め、求めた測光値が小さい場合に、前記オフセットαの値を大きくする手段を具備することを特徴とするビデオカメラ。
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