JP3608734B2 - イルリガートルスタンドの昇降固定装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、大小径のパイプ材などを伸縮調節して固定する際、がたつきがなく、固定した際も締付け箇所が変形することのない、イルリガートルスタンドの昇降固定装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、径の大きいパイプ材1に径の小さいパイプ材2を昇降可能に差し込んで、任意の位置に径の小さいパイプ材2を固定する手段として、径の大きいパイプ材1側から、握りを有するねじ部材、すなわちノブボルト3を内側の径の小さいパイプ材2に向かってねじ込んで締め付け固定する構造のものがある(図参照)。また、径の小さいパイプ材2側に、専用取付穴(図示せず)を設けて、ノブボルト3の軸部を嵌入して固定するようにしたものもある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前者のノブボルト3による締め込み方式では、ノブボルト3の軸部が当たる径の小さいパイプ材2が局所的に変形したり、傷が付いたりする。
また、後者の専用取付穴に嵌入する方式のものでは、径の小さいパイプ材2側のがたつきが残るという問題がある。
本発明は、以上のような課題を克服するために提案されたものであって、大小径のパイプ材などを伸縮調節して固定する際、がたつきがなく、固定した際も締付け箇所が変形することのない、イルリガートルスタンドの昇降固定装置を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
前記した課題を解決するために、本発明では、請求項1において、移動用キャスタを装着した脚部に立設した基部支柱と、基部支柱に高さ調節可能に装着してなる支持支柱とを有し、支持支柱頂部に設けた、点滴瓶等を吊下げるための吊し具を備えたイルリガートルスタンドにおいて、前記基部支柱の上端側に装着した第1のストッパ部材と、この第1ストッパ部材に上から回動可能に装着してなる第2のストッパ部材とを備え、前記第1ストッパ部材は、前記支持支柱を昇降可能に挿通させると共に、前記基部支柱の上端側を内側に装入して保持するようにした基部支柱装着部と支持支柱挿通部とによって構成して、前記支持支柱挿通部に、周周りに等間隔ごとに、且つ軸方向に形成した複数のスリットを設けて、径方向に撓み変形可能とすると共に、外周部を、周方向に一つのスリットを挟んで互い違いに肉厚が厚くなるように構成し、前記第2ストッパ部材は、前記第1ストッパ部材における支持支柱挿通部の外周部に対応して当接するように、内側に向かって徐々に突出する押圧突部を突設し、前記第2ストッパ部材を回動操作して、前記押圧突部を前記第1ストッパにおける支持支柱挿通部の外周部の肉厚部位にもたらすことで、前記支持支柱挿通部を径方向に撓み変形させ、前記支持支柱を押圧保持することで、支持支柱頂部の吊し具の高さを調節する構成としたイルリガートルスタンドの昇降固定装置を提案する。
また本発明では、請求項2において、前記第1ストッパ部材は、前記基部支柱装着部の内側に基部支柱の上端を差し入れた際に基部支柱の上端を保持すると共に、前記支持支柱を昇降可能にガイドする案内保持部を突設し、前記第1ストッパ部材の基部支柱装着部と支持支柱挿通部との外周部境目に段差部を設ける一方、前記第2ストッパ部材の内周部の上半部に前記段差部に当接して、前記第1ストッパに対して定位置に第2ストッパ部材を回動可能に保持するための保持リブを突設すると共に、前記内周部の上半部上端側に前記押圧突部を設けたイルリガートルスタンドの昇降固定装置を提案する。
【0005】
請求項1によれば、第2ストッパ部材を回動操作することで、第2ストッパ部材の押圧突部を、第1ストッパ部材の支持支柱挿通部の外周部の肉厚部位にもたらすことで、前記支持支柱挿通部を径方向に撓み変形させ、支持支柱を押圧保持することができる。
【0006】
請求項2によれば、支持支柱を、第1ストッパ部材の支持支柱挿通部側を通過し、基部支柱装着部側の案内保持部内側に沿って摺動して出し入れすることができ、第2ストッパ部材は、第1ストッパ部材の基部支柱装着部と支持支柱挿通部との外周部境目に段差部において、保持リブを当接した状態で定位置に、回動操作可能に保持することができる。
【0007】
【発明の実施の態様】
次に、本発明にかかるイルリガートルスタンドの昇降固定装置について、一つの実施の形態を示し、添付の図面に基づいて以下説明する。
図1に示すイルリガートルスタンド5は、支柱部6の固定調節手段として本発明にかかる昇降固定装置4を備えたものである。
すなわち前記イルリガートルスタンド5は、移動用キャスタ7を装着した脚部8に立設した支柱部6を構成する基部支柱6a、基部支柱6aに前記昇降固定装置4により、高さ調節可能に装着してなる支持支柱6bを有し、支持支柱6b頂部に設けた、点滴瓶等を吊下げるための吊し具9を備えている。
【0008】
そこで前記昇降固定装置4について説明する。すなわち前記昇降固定装置4は、基部支柱6aに基部支柱6aに比較して径の小さい支持支柱6bを昇降可能に差し込んで、任意の位置に前記支持支柱6bを固定するようにしたものである。
前記昇降固定装置4は、前記基部支柱6aの上端側に装着した第1のストッパ部材10と、この第1ストッパ部材10に上から支持支柱6bと共に回動可能に装着してなる第2のストッパ部材11とを備え、前記第1ストッパ部材10の装着部外周部(後述)を肉厚が周廻りに徐々に厚くなったり薄くなったりするように加工して構成している。
前記第2ストッパ部材11は、第1ストッパ部材10の装着部外周部に対応して装着内周部(後述)を変形形成して、第2ストッパ部材11を回動操作することで第1ストッパ部材10の装着部を介して支持支柱6bを押圧したり、緩めたりして昇降可能に保持する構成としている。
【0009】
前記第1ストッパ部材10は、合成樹脂によって成形した結合パイプ状のもので、前記基部支柱6aの上端側を内側に装入すると共に保持部材によって保持するようにした基部支柱装着部10aと、前記支持支柱6bを外形に対応して支持支柱6bを挿通させるようにした支持支柱挿通部10bとによって構成している。
前記基部支柱装着部10aには、内側に基部支柱6aの上端を差し入れた際に基部支柱6aの上端を抜けないように保持すると共に、前記支持支柱6bをガイドする案内保持部12を突設している。
また、前記支持支柱挿通部10bは、四方に鉛直方向にスリットSを入れ、径方向に撓み変形可能としている。そしてこの支持支柱挿通部10bの外周部は、周方向に一つのスリットSを挟んで180°の範囲で互い違いに肉厚が厚くなるように構成している。
【0010】
一方、前記第2ストッパ部材11は、前記第1ストッパ部材10に上から嵌合可能な内径を有する回動操作パイプ上のものであり、外周部の上半部に回動操作しやすくするために膨出形状とすると共に、滑り止め用のリブRを等間隔毎に設けている。
また、前記第2ストッパ部材11は、内径が前記基部支柱装着部10aの外径にほぼ等しい寸法としている。
さらに、前記第2ストッパ部材11内周部の上半部には、第1ストッパ部材10における基部支柱装着部10aと支持支柱挿通部10bとの外周部境目の段差部に当接して、定位置に第2ストッパ部材11を保持するための保持リブRmを等間隔に突設している。
そして、前記第2ストッパ部材11の上端の内周側には、第1ストッパ部材10における支持支柱挿通部10b上端に対応して当接するように内側に向かって180度の範囲で徐々に突出する押圧突部13を突設している。この場合、押圧突部13は、支持支柱挿通部10bの外周部の肉薄部位において当接するように設定している。
【0011】
以上のような構成の昇降固定装置4を有するイルリガートルスタンド5において、看護婦が支持支柱6b頂部の吊し具9に、点滴瓶、輸液バッグを吊す際、もし、支持支柱6b頂部の吊し具9が高すぎる位置にあるときは、昇降固定装置4における第2ストッパ部材11を緩め操作して、支持支柱6bを基部支柱6a内に退縮させる。
【0012】
このとき、前記支持支柱6bは、第1ストッパ部材10の支持支柱挿通部10b側を通過し、基部支柱装着部10a側の案内保持部12内側に沿って摺動していく。
【0013】
そして、支持支柱6bを適当な高さに調節したら、今度は、前記第2ストッパ部材11を緩め操作とは、逆方向に回すことで締付け操作をする。
すなわち、第2ストッパ部材11を緩め操作とは、逆方向に回すことで、第2ストッパ部材11の上端の内周側における押圧突部13の突出部位が、第1ストッパ部材10における支持支柱挿通部10bの外周部の肉薄部位から肉厚部位にもたらされるので、支持支柱挿通部10bが内側に押し込まれて変形し、支持支柱挿通部10bの内周壁によって支持支柱6bを押圧し、支持支柱6bをその場でがたつかないように保持することができる。
【0014】
このように、第1ストッパ部材10における支持支柱挿通部10bの内壁で支持支柱6bを押圧し、支持支柱6bをその場でがたつかないように保持するので、これまでのようにノブボルトによる締め込み方式のような、ノブボルトの軸部が当たる径の小さいパイプ材が局所的に変形したり、傷が付いたりするおそれはない。
また、専用取付穴に嵌入する方式のように、径の小さいパイプ材側のがたつきが残るという問題も解決することができる。
【0015】
以上、本発明にかかるイルリガートルスタンドの昇降固定装置について、説明したが、勿論、昇降固定装置は、イルリガートルスタンド5に限らず、他の備品にも可能であり、汎用性の高いものとなる。
【0016】
【発明の効果】
以上の通り、本発明によれば、大小径のパイプ材などを伸縮調節して固定する際、がたつきがなく、固定した際も締付け箇所が変形することのない、イルリガートルスタンドの昇降固定装置を提供することができ、これまでのようにノブボルトによる締め込み方式のような、ノブボルトの軸部が当たる径の小さいパイプ材が局所的に変形したり、傷が付いたりするおそれはない。
また、専用取付穴に嵌入する方式のように、径の小さいパイプ材側のがたつきが残るという問題も解決することができる。
【0017】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる昇降固定装置を用いた、イルリガートルスタンドの外観説明図である。
【図2】図1に示すイルリガートルスタンドにおける昇降固定装置の拡大側面図である。
【図3】図1に示す昇降固定装置の断面説明図である。
【図4】第2ストッパ部材の平面図である。
【図5】図1に示す昇降固定装置の断面説明図である。
【図6】図1に示す昇降固定装置を操作して支持支柱を押圧した際の断面説明図である。
【図7】従来のパイプ材の固定手段の一例を示す、要部側面図である。
【符号の説明】
1 径の大きいパイプ材
2 径の小さいパイプ材
3 ノブボルト
4 昇降固定装置
5 イルリガートルスタンド
6 支柱部
6a 基部支柱
6b 支持支柱
7 移動用キャスタ
8 脚部
9 吊し具
10 第1ストッパ部材
10a 基部支柱装着部
10b 支持支柱挿通部
11 第2ストッパ部材
12 案内保持部
13 押圧突出部
S スリット
R リブ
Rm 保持リブ
Claims (2)
- 移動用キャスタを装着した脚部に立設した基部支柱と、基部支柱に高さ調節可能に装着してなる支持支柱とを有し、支持支柱頂部に設けた、点滴瓶等を吊下げるための吊し具を備えたイルリガートルスタンドにおいて、前記基部支柱の上端側に装着した第1のストッパ部材と、この第1ストッパ部材に上から回動可能に装着してなる第2のストッパ部材とを備え、前記第1ストッパ部材は、前記支持支柱を昇降可能に挿通させると共に、前記基部支柱の上端側を内側に装入して保持するようにした基部支柱装着部と支持支柱挿通部とによって構成して、前記支持支柱挿通部に、周周りに等間隔ごとに、且つ軸方向に形成した複数のスリットを設けて、径方向に撓み変形可能とすると共に、外周部を、周方向に一つのスリットを挟んで互い違いに肉厚が厚くなるように構成し、前記第2ストッパ部材は、前記第1ストッパ部材における支持支柱挿通部の外周部に対応して当接するように、内側に向かって徐々に突出する押圧突部を突設し、前記第2ストッパ部材を回動操作して、前記押圧突部を前記第1ストッパにおける支持支柱挿通部の外周部の肉厚部位にもたらすことで、前記支持支柱挿通部を径方向に撓み変形させ、前記支持支柱を押圧保持することで、支持支柱頂部の吊し具の高さを調節する構成としたことを特徴とするイルリガートルスタンドの昇降固定装置。
- 前記第1ストッパ部材は、前記基部支柱装着部の内側に基部支柱の上端を差し入れた際に基部支柱の上端を保持すると共に、前記支持支柱を昇降可能にガイドする案内保持部を突設し、前記第1ストッパ部材の基部支柱装着部と支持支柱挿通部との外周部境目に段差部を設ける一方、前記第2ストッパ部材の内周部の上半部に前記段差部に当接して、前記第1ストッパに対して定位置に第2ストッパ部材を回動可能に保持するための保持リブを突設すると共に、前記内周部の上半部上端側に前記押圧突部を設けたことを特徴とする請求項1記載のイルリガートルスタンドの昇降固定装置。
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