JP3607869B2 - フック - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は荷役作業での使用に代表される鈎型フックの改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より荷役作業に使用されるフックは用途に応じて各種のものが提供されており、特に1トンを越す重量物を懸吊する際に用いられるフックの一例を図3に示す。つまり従来のフックは、鋼材を略U字状に湾曲してなるフック本体30に外れ止め40を回動可能に設けた構造が一般的である。外れ止め40はスプリング50により常時フック本体30の開口部31を閉塞するように付勢され、この付勢力によって外れ止め40の先端41がフック本体30の先端32と当接して開口部31の閉塞状態は維持される。外れ止め40は重量物の懸吊時に内側に回動し、その後、元の閉塞位置に復帰して重量物の不用意な脱落を防止する。このような外れ止め40を設けることは荷役作業の安全性を高める上で国際的に多く採用される傾向にある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来の一般的なフックは、開口部31の口幅aの大きさの割にはふところ部33が浅く、開口部31を通った物でも外れ止め40が干渉して外れ止め40が元の閉塞位置に復帰しない場合がある。つまり、従来のフックはふところ部33の有効範囲が外れ止め40の回動軌跡bを除いた極めて小さいものであるため、ロープなど小径の線状体しか懸吊することができず、用途が制限されていた。
【0004】
また、従来のフックにおいて外れ止め40は、図4に示すように、二股状に形成した軸止部42・42の間にフック本体30の基端34を挟持し、両者間42・34に回動軸60を通して軸止した構造であるが、外れ止め40を付勢するスプリング50の中間コイル部51もまた前記回動軸60に挿通され、該中間コイル部51・51は二股状軸止部42・42とフック本体30の基端の間に介在される。このため、当該構造では次のような課題がある。
【0005】
すなわち、上述した構造において外れ止め40に横方向の荷重がかかったときは、この荷重によってスプリング50の中間コイル部51が圧縮され、この結果、回動軸60を中心に外れ止め40の先端41が左右にずれ、フック本体30の先端との当接がなくなる可能性がある。このように閉塞状態における外れ止め40とフック本体30の先端当接が解除されると、外れ止め40はスプリング50の付勢力によって急激に外開きし、これが作業者に接触する危険があるばかりでなく、開口部31から重量物が脱落する危険もある。特にこの種フックの使用形態が単に重量物を吊り下げるだけでなく、斜め引きというように角度をつけて使用することもあることから、いかなる使用形態においても外れ止め40の横ずれを回避し、作業の安全性を確保しなければならない。このことは近年注目されている国際標準化規格(ISO9000)の取得にも直結する問題であり、国際競争力に打ち勝つ意味でも重要視されるものである。
【0006】
以上述べた従来の課題より明らかなように、本発明の目的とするところは懸吊の対象を拡大すると共に、外れ止めの信頼性を高め、この種フックの用途の拡大と安全性の向上を同時に図ることである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上述した目的を達成するために本発明では、必要な強度を有する鋼材を略「し」字状に曲げ、その先端を開口部とすると共に、曲げた内側をふところ部としたフック本体に前記開口部を閉塞する外れ止めを内側に向かって回動するように軸止してなるフックにおいて、前記外れ止めは後端に二股状の軸止部を有し、該二股状軸止部の間にフック本体に突設した左右円筒部を密着挟持した状態で回動軸を挿通して軸止すると共に、前記左右円筒部に常時外れ止めを開口部の閉塞方向に付勢するスプリングのコイル部を挿通する一方、ふところ部は前記外れ止めを全開したときにおける前記開口部の口幅よりも長く設定される直径の仮想円が内接可能な大きさとし、且つ、前記仮想円が前記外れ止めの軌跡と干渉しない位置までふところ部を深くとるという手段を用いた。
【0008】
当該手段によれば、断面が前記仮想円の大きさの物を懸吊することができ、このとき懸吊物に干渉することなく、外れ止めにより開口部を閉塞することができる。
【0009】
また、請求項2では、外れ止めは開口部を全開したときにふところ部の軸止側一部と密着する形状とするという手段を選択的に採用することにより、開口部の全開状態において外れ止めのふところ部側の突出が小さくなり、開口部の有効口幅を大きくとることとした。
【0010】
さらに、請求項3では、外れ止めの先端は必要な強度を有する太さの二股形状とし、該二股状先端をフック本体の先端を密着するように挟持し得る形状とするという手段を採用した。これにより、外れ止めに横方向の荷重が作用しても、その先端はフック本体の先端と密着状態にあるため、左右へのぶれが拘束される。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、添付した図面に従って本発明の最良な実施の形態を説明する。図1は本発明の一実施形態に係るフック側面図を示したものであり、図中の符号1はフック本体、10は外れ止めである。フック本体1はこの種フックに使用される堅牢な材質から選択された鋼材を略「し」字状に湾曲してなり、その先方を懸吊物を投入する開口部2とすると共に、内側の湾曲部分を懸吊物を懸吊するふところ部3としたものである。また、フック本体1の基端4にはロープ等を介して揚重機等に取付けるための取付孔5を貫設すると共に、該取付孔5の中心と同じ高さに回動軸孔6を並設している。この回動軸孔6を貫設した基端4部分は、フックの正面図を示した図2のとおり、外れ止め10の後述する付勢スプリング20のコイル部21を挿通する左右円筒部7・7を突設している。
【0012】
ここで本実施形態の場合、フック本体1は、開口部2の口幅A、すなわちフック本体1の先端8と基端4の最短長さは60mmに成型され、且つ、ふところ部3の湾曲部分を形成する円弧の直径Bは65mmとして成型している。つまり、ふところ部3は開口部2の口幅Aよりも長く設定される直径を有する仮想円Cが内接できる大きさとしている。
【0013】
一方、外れ止め10は、図2に示すように、後端の軸止部11を二股の形状とし、該二股状軸止部11・11の間にフック本体基端4に形成した左右円筒部7・7を密着挟持した状態で回動軸12を挿通して軸止している。また、外れ止め10は中間をコイル部21とし、両端22・23それぞれをフック本体1と外れ止め10に係止したスプリング20によって、常時、フック本体1の開口部2を閉塞する方向に付勢されている。そして、外れ止め10はその先端13をフック本体1の先端8と当接して開口部2の閉塞状態を維持するものである。ここでスプリング20の中間コイル部21は図2から明らかなようにフック本体1の基端4における左右円筒部7・7に挿通されている。また、外れ止め10の先端13はフック本体1の先端8と合致する二股形状に形成されている。
【0014】
そして、上述した構成要素からなる本実施形態において、ふところ部3はその内接仮想円Cが外れ止め10の回動軌跡Dと干渉しない位置まで深くとっている。具体的には上述した寸法において回動軸12の中心から仮想円Cの中心までは130mmに設定している。従って、開口部2より投入した懸吊物は断面が仮想円Cと同じ大きさの物まで懸吊でき、このとき外れ止め10は懸吊物と干渉せず、確実に開口部2を閉塞することができる。
【0015】
また、外れ止め10はその先端13の二股形状によってフック本体1の先端8を密着挟持し、左右のずれが規制され、且つ、仮に外れ止め10に横方向の荷重がかかったとしても外れ止め10の軸止部11はフック本体1の基端4(左右円筒部7・7の先端面)と密着した状態にあるため、軸が傾く余地はなく、より確実に外れ止め10の横ずれを防止することができる。
【0016】
さらに、本実施形態では外れ止め10を全開したときに、その内側縁14がふところ部3の一部と密着する形状として、開口部2の有効口幅を大きくとった。従って、懸吊物を投入する際も外れ止め10と干渉することがなく、開口部2の口幅に見合った比較的大きな物を懸吊することができた。
【0017】
なお、上述した寸法は耐荷重1.5トンを想定したフックについての例示であり、本発明はこの寸法のものに限定されない。つまり、ふところ部を深くとり、また外れ止めの横ずれを防止したことを要旨とする本発明の発明特定事項を採用する限り、所期の目的を達成することができる。よって、これ以外のフックや外れ止めの材質や太さ、また全体の大きさ等は懸吊の対象物や用途に応じて適宜選択されることはもちろんであって、このような選択は本発明を利用したものにとどまる。
【0018】
また、本実施形態では外れ止め10をフック本体1の基端4に軸止したが、これは外れ止め10の回動角を一定以下に抑え作業性を良好とすると共に、外れ止め10の回動軌跡をふところ部3の内接仮想円Cから遠ざけることによってふところ部3の深さ、すなわちフック本体1の全長が不用意に長くならないようにするためである。ただし、外れ止め10の軸止位置をフック本体1の基端4よりも下方に位置させることも可能であって、この場合、外れ止め10の全長を短くでき、横方向の荷重に対する耐久性は高くなる。
【0019】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、開口部の口幅に見合った大きさの物を外れ止めとの干渉もなく確実に懸吊できるため、懸吊の対象や用途を拡大することができる。また、請求項2の発明にあっては開口部の有効口幅を最大限に確保できる。さらに、請求項3の発明にあっては外れ止めの横ずれを防止し、より安全性の高いフックを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るフックの側面図
【図2】同フックの正面図
【図3】従来のフックを示した側面図
【図4】同従来フックの正面図
【符号の説明】
1 フック本体
2 開口部
3 ふところ部
4 フック本体の基端
5 取付口
6 回動軸孔
7 左右円筒部
8 フック本体の先端
10 外れ止め
11 軸止部
12 回動軸
13 外れ止めの先端
20 スプリング

Claims (3)

  1. 必要な強度を有する鋼材を略「し」字状に曲げ、その先端を開口部とすると共に、曲げた内側をふところ部としたフック本体に前記開口部を閉塞する外れ止めを内側に向かって回動するように軸止してなるフックにおいて、前記外れ止めは後端に二股状の軸止部を有し、該二股状軸止部の間にフック本体に突設した左右円筒部を密着挟持した状態で回動軸を挿通して軸止すると共に、前記左右円筒部に常時外れ止めを開口部の閉塞方向に付勢するスプリングのコイル部を挿通する一方、ふところ部は前記外れ止めを全開したときにおける前記開口部の口幅よりも長く設定される直径の仮想円が内接可能な大きさとし、且つ、前記仮想円が前記外れ止めの軌跡と干渉しない位置までふところ部を深くとったことを特徴とするフック。
  2. 外れ止めは開口部を全開したときにふところ部の軸止側一部と密着する形状とした請求項1記載のフック。
  3. 外れ止めの先端は必要な強度を有する太さの二股形状とし、該二股状先端をフック本体の先端を挟持する形状とした請求項1または2記載のフック。
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